説明

粒子分類システム用光検出器

【課題】本発明は、空間的なチャネルアレイからの高速スペクトルを収集するための光学システムを提供する。
【解決手段】空間的なチャネルアレイからの高速のスペクトルを収集するための光学システムは、モニタされるマイクロ流体チップ又はチャネルを通過する光ビームを生成するための光源、マイクロ流体チャネル中の粒子又はケミカルとの相互作用の後の光源から光を捉える1又は2以上のレンズ又は光ファイバー、1又は2以上の検出器を有している。検出器は光増幅エレメントを有しても良く、各光信号を検出して光信号を電気信号に変換する。電気信号は各々が光信号の強度を示し、分析のため各検出器から電子データ収集システムに通される。単数又は複数の光増幅エレメントは、フォトダイオード検出器のアレイに連結されたイメージ増幅器に基づくフォトチューブのアレイ、マルチアノードフォトチューブ、又はマルチチャネルプレートを備え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2003年8月14日に出願の米国特許出願第60/495、374号明細書の米国での仮出願、2004年8月9日に出願の米国特許出願第XX/XXX,XXX号明細書について優先権を主張し、その全体の内容は参照として組み入れられる。
本発明は、チャネルを介して粒子の流れをモニタリングするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体システムのような、1又は2以上のチャネルを通って粒子を運ぶシステムにおいて、粒子をモニタリング、分析、又は検出するために、光学システムが用いられ得る。光学システムは、例えば、所定の特性に基づく1又は2以上のチャネルを通って流動する粒子の流れを分類する粒子分類システムにおいて、有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第00/06996号明細書
【特許文献2】国際公開第01/002846号明細書
【特許文献3】特開平7−167798号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来型の検出システムは、顕著な障害を有している。例えば、従来の光学検出システムは、大きい領域に亘って拡がるときに粒子上の蛍光ラベルからの低い光レベルの信号を観察することが困難であるため、しばしば不正確であり、貧弱な結果を提供している。従前の光学システムは、検出すべき光信号が例えば1ミリ秒未満の短期間である場合にも、困難である。例えば、従来型のCCD(電荷結合素子)技術は、1ミリ秒より大きいフレームレートを有している。
【0005】
マイクロチャネル検索用の従前のシステムは、約500μm未満の領域での、単一のチャネル上の集束光、及び、同様に限定された領域から捕捉する光をも制限する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、空間的なチャネルアレイからの高速スペクトルを収集する(得る)ための光学システムを提供する。前記システムは、マイクロ流体粒子分析の検索、又は、1から200ミリメータより大きい間隔のパラレルな流体チャネルアレイを有する分類チップの検索に使用するために設計される。チャネル中を流通する(運ばれる)前記粒子は、1秒当たり0.1から10メーターの速度を有し、それ故、検出器で観察される信号は、サブミリ秒の期間であっても良く、1から100メガヘルツのバンド幅の検出器及び電子機器を有する観察に要求され得る。
【0007】
光学検出システムは、モニタされるマイクロ流体チップ又はチャネルを通過する光ビームを生成するための光源と、マイクロ流体チャネル中の粒子又はケミカル(化学物質)との相互作用の後の光源から光を捉える1又は2以上のレンズ又は光ファイバーと、1又は2以上の検出器を有している。前記検出器は、光増幅エレメントを有しても良く、各光信号を検出して光信号を電気信号に変換する。前記電気信号は、各々が光信号の強度を示し、分析のため、各検出器から電子データ収集システムに通される。単数又は複数の光増幅エレメントは、フォトダイオード検出器のアレイに連結されたイメージ増幅器に基づく、フォトチューブのアレイ、マルチアノードフォトチューブ、又はマルチチャネルプレートを備え得る。
【0008】
前記光学システムは、コスト的に有効であり、減衰信号と、1又は2以上の散乱信号と、1又は2以上の蛍光信号とを、1又は2以上の粒子流通チャネルから一度に、全て低い光レベル及び高いバンド幅(>1MHz)で、同時に捉える。前記システムは、様々な条件の下で各粒子の有効かつ正確なモニタリングを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】粒子の流れを運ぶための複数のチャネルを有するシステムを示し、実施に好適な本発明で示される実施の形態である。
【図2】本発明における光検出システムの概略図である。
【図3】マイクロチャネルに垂直な平面中の1つのマクロチャネルを貫通する断面図を示す。
【図4】本発明の光検出システムの概略図であり、蛍光検出器の部材の詳細を示す。
【図5】マイクロ流体システムの複数のチャネル中の粒子分析用に適した光検出システムを示す。
【図6A】図2の光検出システム中で90度又は消光角で光散乱検出用サブシステムの実施の形態を示す。
【図6B】図2の光検出システム中で90度又は消光角で光散乱検出用サブシステムの実施の形態を示す。
【図6C】図2の光検出システム中で90度又は消光角で光散乱検出用サブシステムの実施の形態を示す。
【図7】図2の光検出システムでの使用に好適なビーム整形光学系の概略図である。
【図8】本発明における光検出システムでの使用に好適なセグメント化されたミラーを示す。
【図9】図8のセグメント化されたミラーにおける溝の部分図である。
【図10】対応するスポットの幅に基づくセグメント化されたミラーにおける溝に対する異なる配置を示すテーブルである。
【図11】本発明で示される実施の形態の光検出システムでのセグメント化されたミラーを用いるビーム整形光学系の概略図である。
【図12】本発明で示される実施の形態の光検出システムでの使用に好適なイメージ増強器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、ここでの説明及び添付した図面から明らかになるであろう。ここで、同様の参照番号は、異なる図面を通して同一の部分を示している。
【0011】
本発明は、チャネルのアレイを介して粒子の流れをモニタリングして検出するための光学システムを提供する。本発明は、示される実施の形態に関して下記で説明されるであろう。当業者は、本発明は多数の異なる応用及び具体例を企図することができ、本出願においてここで示される特定の具体例に特に限定されないことを理解するであろう。
【0012】
図1は、本発明で示される実施の形態の実施に好適なマイクロ流体システム10を示し、粒子又はセルといった物質を運ぶための複数のチャネルを備えている。示されたマイクロ流体システム10は、基板1に配置されるマイクロチャネル3のような複数のチャネルを有する基板1を備えている。前記チャネルは、液体の試料上で任意の適した操作を処理するため、操作するため、及び/又は行うために、マイクロ流体システム10を介して流体及び/又は粒子を輸送する。本明細書では、「マイクロ流体」の語は、マイクロスケールの寸法を有する少なくとも1つのチャネルを有する流体試料を操作するため、処理するため、放出するため、及び/又は分析するための、システム又は機器を指すものとする。本明細書で用いられる語「チャネル」は、液体や気体といった流体の移動可能な媒体中またはこれを介して形成される通路を指す。「マイクロチャネル」の語は、約1.0μmから約500μmの範囲、好ましくは約25μmから約350μmの範囲、最も好ましくは約50μmから約300μmの範囲で、断面寸法を有する好ましくはマイクロ流体システム又は機器中に形成されたチャネルを指す。当技術分野での通常の技術の1つにより、適切なチャネルの体積及び長さを決定することが可能であろう。前記範囲は、上述した値を上限又は下限値として含むものである。前記チャネルは、任意に選択された形又は配置を有することができ、例えば、直線又は非直線の構成及びU字状の構成を含む。マイクロ流体システム10は、マイクロ流体システム10を介して流体を輸送するための任意の好適な数のマイクロチャネル3を有し得る。
【0013】
本発明は、図1におけるマイクロ流体システムのような、マイクロ流体チップとともに使用するための光検出器を提供する。本発明における光検出器は、この領域におけるシステムに問い合わせを行うマイクロ流体システムにおける測定領域2中で実施され得る。本発明は、1又は2以上の検索領域2に亘る1から200のチャネルからなる平行なチャネルアレイとともにマイクロ流体チップを測定可能な検出システムの構築を容易にする。前記領域2は、1から250mmの物理的な範囲を有し、好ましくは1から100mmの範囲を有する。
【0014】
光検出器は、チップ中に同時に複数のチャネルを介して流れをモニタしてもよい。光検出器又は光検出器のシステムは、通常の技術の1つで明らかな他の特性と同様に、サイズ、形状、蛍光強度光散乱、といった、1又は2以上の特性に対して、個々の粒子を検査することができる。例えば、示される実施の形態において、本発明の光検出器は、観察すべき粒子流れの100を超えるチャネルを有する前記チップの比較的大きい領域(例えば、直径で約20ミリメータから50ミリメータの間のアクティブ領域)に亘って位置し得る。前記光検出器は、複数の又は全てのチャネルで一度に発生する低い光水準の信号を、コスト効率良く迅速に捉えることができる。当業者は、光学システムが粒子又はセルの分類システムでの使用に限定されず、1又は2以上のチャネルを介した流れをモニタするための粒子のような、基板を有する任意の好適なシステムで実施し得ることを理解するであろう。
【0015】
図2は、本発明で示される実施の形態での光検出システム8の全体図を示し、図1のマイクロ流体システムにおいて実施され得る。当業者は、光検出システムが任意の好適なシステムで実施することができ、図1のマイクロ流体システムに制限されないということを理解するであろう。
【0016】
光検出システム8は、マイクロ流体チップ10中の粒子アレイ搬送チャネル3に配列されたピンホールのアレイとして示された、光マスク13を通過する光ビーム14を生成して整形するためのビーム整形光学系12に接続され、レーザとして示された光源11を備える。ピンホールに入った光は、次に、搬送チャネル3自体を貫通する。1又は2以上の関連するピンホールを経て各チャネルに入った光ビームが横断する粒子18は、光信号を生成するチャネル3を介して搬送される(流通する)。光ビームが粒子に交差するときの光粒子分析、サイトメトリー、分類中で生成され得る光信号の実施例は、光減衰、角度依存の光散乱及び蛍光を含む。光減衰は、相互作用せずに粒子を通過する光の量を指す。角度依存の光散乱は、入射した光ビームから散乱又はそれぞれの角度(θ)で曲げられる光の一部を指す。蛍光は、粒子中の分子に吸収されてより長い波長で再放射された光である。
【0017】
検出器光学系15、16、17は、光源11からチャネル3の反対側に位置しているが、チャネル中の粒子とともに光ビームの相互作用によって生成される光信号を捉えて観察する。光減衰検出器15は、光源11に正反対の方向に配置され、光減衰を検出するために入射光路14に配列される。光散乱検出器16は、入射光ベクトル及びこれが交差するマイクロ流体チャネルによって形成された平面中の入射光路14に実質的に垂直に位置している。前記光散乱検出器は、入射光路14に対して約90度の角度で位置することが好ましい。他の角度用の光散乱検出器は、その角度の同一平面上に任意的に配置され得る。蛍光検出サブシステム17は、蛍光からの光信号を捉える。蛍光検出サブシステム17は、光エレメントを伴う大きな高開口レンズ(アパーチャレンズ)を有する。示されるように、蛍光検出サブシステムは、出来る限り多くの蛍光フォトンを捉えるためにマイクロ流体チップ10の上方に配置され、検出器(図示せず)の上で撮像する。
【0018】
光検出システム8は、チップ10の検索領域2中で実施され得る。示された検索領域2は、24のチャネル3を包含しているが、当業者は、任意の好適な数のチャネルが光検出システム8を用いて観察し得ることを認識するであろう。示される実施の形態において、検索領域2は、(各チャネル3に沿った)4mmの長さで(複数のチャネルが横断する)約10mmの幅であるが、当業者は、本発明がこの範囲に限定されないことを認識するであろう。
【0019】
レーザー11からの光14又は他の光源がチップ10上に入射したとき、粒子が流れる狭い領域を通る光だけが粒子と相互作用して光信号を生成する。チャネル3の外側のチップ10を通る光、又は、粒子を含まないチャネルの領域を通る光は、背景又はノイズにのみ寄与するものであり、信号には寄与しないため、迷光となり、最小化するべきである。観察される粒子を通らずにチップを通る光は、消費されたレーザーの光出力を表し、それ故コスト及び熱処理の理由から最小化すべきであることも考慮すべきである。ピンホールの層によって形成される光マスク13及びビーム整形光学系12のいずれも迷光を最小化するとともにレーザー出力を最小化する。
【0020】
示されるように、光源11は入射光をチャネル3に対して約45度の角度で供する。この方法において、前方散乱/減衰は、チャネル3における反対側の同一方向に拡大する。示されるように、前方散乱14bは、チャネル3から45度の角度で拡がる。側方散乱14cは、入射光から約90度で拡がり、機械的自由度の円錐170の蛍光光学系を提供する。機械的自由度の円錐170は、前方散乱14b及び側方散乱14cの間での検出器に対して90度の見通しのよい眺め(視野)を提供する。
【0021】
図3は、一対のマイクロチャネル3a、3bを有するマイクロ流体チップ10の一部を通る断面の具体例の図を示す。前記断面図は、マイクロチャネル及びマスク13のピンホール13a、13bを切断する平面中にある。入射光14は、ピンホール層13によって一部遮断され、各ピンホール13a、13bによって画定された集光ビーム18に対して初期のビーム14を狭める。前記集光ビーム18は、従来型の円錐流れ(コーン流)における流れが許容される粒子18を中に有する領域31を照射するための各チャネルを交差する。多くの迷光がピンホール層13によって遮断され、これはマイクロ流体チップから分離された部分であり、フォトリソグラフィ又はチップ作製における技術分野において既知の他の方法によって前記チップの表面上に作製され得る。
【0022】
マイクロ流体システムは、粒子又はセルといった、物質が流れるためのチャネルを有する任意のシステムを備える。例えば、マイクロ流体システム10は、米国特許出願第10/179,488号明細書及び米国特許出願第10/329,008号明細書に記載されているような、粒子分類システムを備えていてもよい。これらの明細書はいずれも参照として本明細書に組み込まれている。他の好適なマイクロ流体システムは、米国特許出願第10/028,852号明細書、米国特許出願第10/027,484号明細書、米国特許出願第10/027,516号明細書、米国特許出願第10/607,287号明細書、に記載されている。これらは全て参照として本明細書に組み込まれている。
【0023】
図4は、蛍光検出サブシステム17の部材の詳細を示す図2の光検出システムの概略図を示す。蛍光検出サブシステム17は、照射された粒子から放出されるフォトンを出来るだけ多く捉えるために構成されて配置された高開口数(低いF#、Fナンバー)の収集レンズ45を有する。レンズ45は、市場で入手可能な50mmのオフザシェルフのF#=1のレンズ及びフォーカルレンズであっても良い。一例としては、Leica Noctiluxの50mmのF#1レンズがある。より大きいレンズも利用でき、撮像する多層プレートに対して使用される。リトロー回折格子として示される分散エレメント46は、第1の収集レンズ45の上方に位置している。分散エレメント46は、特定の光線の波長に関してある程度光を曲げる。示されたリトロー回折格子46は、73mmの活性領域を有する76.2mmの直径である。リトロー回折格子46は、単位mm当たり720の溝(グルーブ)を有し、550nmでの43.1度のブレーズ角(前記格子が位置する垂直方向からの角度)を有する。図4で550nmの光が垂直方向から曲げられる角度であるリトロー角は、23.33度である。当業者は、特定の方法で光を曲げるための任意の好適な手段が本発明の教示に従って使用され得るということを認識するであろう。再生レンズ(レコンストラクションレンズ)47は、回折格子46からの一次のオーダーの回折光を捉えて撮像平面48中に照射された粒子のイメージ中で回折光を再生するためにリトロー角に位置している。
【0024】
ファイバーアレイ49は、撮像平面48から延長され、信号を分析するために検出器50に信号を伝達する。前記検出器は、カメラ又は他の好適な機器であっても良い。
【0025】
光路中にリトロー回折格子が存在することによって、マイクロチャネル3中の照射された粒子が、より短い波長のフォトンよりも大きい角度に傾いたより長い波長のフォトンとともに平面48中に撮像され、これにより粒子が撮像平面に亘って拡がるスペクトルを有する。500nmから700nmの波長を有するフォトンは、レンズ45、47に対して用いられる50mmのフォーカルレンズに対して前記撮像平面48中に約7841ミクロンに亘って拡がる。示される実施の形態は、単位nm波長に対して39.2ミクロンのスペクトル解像度(分解能)を有する。
【0026】
光検出システム8は、サイトメトリーの技術において既知の蛍光プローブ又は他の蛍光粒子マーカーに束縛された抗体(アンチボディ)で表示された粒子を観察するために用いることができる。例えば、励起光が488nmの波長である場合、FITC(フルオレセインイソチオシアン酸塩)、PE(R−フィコエリトリン)、APC(アロフィコシアニン)、及びPerCP(ペリディニンクロロフィルプロテイン複合体)の蛍光プローブに束縛された抗体で表示された粒子を用いることができ、これらの蛍光プローブは、それぞれ、530nm、575nm、630nm及び695nmで蛍光放射のピークを有する。FITC、PE、及びPerPCは、(550nmの位置が0であるのに対して)それぞれ784ミクロン、980ミクロン、3136nm、及び5684ミクロンの位置で撮像平面上に配置される。400μmのホールを有し該ホール中に直径400ミクロンの光ファイバーを配置する不透明な平面により、約10nmの波長捕捉(キャプチャ)バンド幅の各ファイバー49が付与される。所望の蛍光プローブにおけるピークの放射に対応する各位置にファイバー49を配置することで、効果的かつコンパクトな多重カラー検出システムが提供される。撮像平面48中に一端部を配置されるファイバー49は、検出器に装着された他端部を有している。示される実施の形態では、ファイバーの第2の端部は、蛍光の光信号を増幅して電気信号に変換するために、シングルアノードに対応する位置で、フォトチューブのフォトカソードウィンドウ(例えば浜松コーポレーションのシングロアノードH6780−20又は32アノードH7260−20フォトチューブ)に連結されている。イメージ増強器、アバランシェ・フォトダイオードアレイ、又は、光学系の分野で既知の技術といった他の光検出器の増幅も、光信号の検出及びその電気信号への変換に使用され得る。
【0027】
図4において、照射されたチャネル中で粒子を探索する前記ファイバー49は、マイクロ流体チップ中のチャネル平面である同一平面に配置される。前記システムが多重チャネルアレイ上で使用される場合、他のチャネルは、示されたチャネルの平面の正面又は示された平面の後に位置している。
【0028】
図5は、マイクロ流体チップ中の多重チャネルを観察するために使用される光検出システム80の透視図を示す。光検出システム80もまた、大部分の入射光14を遮断してマイクロ流体チップの6つのチャネルにおける各チャネル3の小さい検出領域2を照射するピンホールアレイ13を備える。収集レンズの光コラム、リトロー回折格子及び再生レンズは、図4に示したものと同様であり、同一の実施の形態のレンズ及び回折格子の規格を有し得る。全体的に、レンズ及び回折格子のセットの部材のサイズは、検出領域(チャネルがピンホールを介して照射される領域)のサイズよりも大きいチップ上での視野を与えるのに十分である必要がある。撮像平面48中において、6つのアレイ490を保持するプレート480が、各々4つのファイバーを備えて、位置している。4つの光ファイバー49のそれぞれのアレイは、関連するチャネル3から放出された光スペクトルをサンプリングするために配置されている。アレイ中の各ファイバーは、1つの蛍光プローブのピーク放射位置に配置されている。高開口数のファイバー又はレンズドファイバーは、当業者に明らかであるようにここでは適切である。
【0029】
図6A−6Cは、90度の角度での光散乱又は減衰を検出するためのサブシステムの実施の形態を示す。この実施の形態では、光励起カラム検出器リボン63が、約500ミクロンのチャネル間のスペースを有する多重チャネルチップ10の上方に配置されている。光励起カラム検出器リボン63は、図6Bの断面図で示されているが、リボン厚さ63dより小さい深さで穴空けされた300ミクロンの直径のホールを有し、チャネルスペースを有するホールを整列するために中央部に500ミクロンの間隔を有する機械的部品である。高開口数のファイバー65は、単位チャネル当たり1つのファイバーを有する、ファイバー61のアレイを形成するために各ホール内に配置されている。ファイバーホール63cより小さいが同心の円柱状のホールが各ホール中に空けられている。この円柱状のホールは、リボンコネクタ63bを貫通し、光が前記円柱状のホールを通過して、より大きい直径のシャフト中に配置されているファイバー65の中に入ることを可能にする。このサブシステムを作動させるために、入射光68はピンホール及びチャネルに角度40度近辺で交差して、リボンの位置で示されるように、前記光励起検出器リボン63が入射光のベクトルに沿って(つまり、入射光に対して180度の角度で)直接搭載される。カラムネータの開口部は、ピンホールに交差する十分に円柱化された入射光の全ての光がファイバー中のカラムネータの端部で検出され得るように、ピンホールの開口部より大きくなければならない。カラムネータ自体は、他のチャネルからの任意の迷光を遮断するために十分な長さになるように選択される。例えば、1つの実施の形態においては、ピンホールの開口部は150ミクロンの直径であり、カラムネータは250ミクロンの直径であり、ファイバーは300ミクロンの直径であり、及びコリメータは、2mmのチャネル内に配置されるが、1mmの長さである。ファイバーアレイ61の遠端で、各ファイバーはフォトチューブ又は他の光検出器に装着される。光励起は、その検出器用のフォトダイオードを使用するためにしばしば十分な明るさである。
【0030】
図6Cにおいて、第2リボン66は、記載された第1のリボン63と実質的に同一に構築されているが、セル又は粒子からの90度の散乱又は側方散乱の信号を測定するのに好適な、入射光から90度の位置に配置されている。当業者は、他の散乱パラメータを観察するために他の角度に同様のリボンが配置されていても良いことを認識するであろう。興味ある特定の角度は、励起通路中の直線上の光を得ることなく前方に位置する方向(入射からほぼ180度)に近接するような全体的に大部分が前方方向での光散乱である、いわゆる前方散乱である。
【0031】
さらなる実施の形態において、光源11は、コヒーレントサファイヤ488/200レーザーであり、該レーザーは小さく、ガスレーザーチューブ放射から非常なノイズ又はノイズを生じずに、約200mwを生じる空冷の固体の機器である。あるいは、OPSS(光励起固体)レーザーが用いられ、該レーザーはモニタリングを行うために必要な全ての異なる励起波長をも生成可能である。当業者は、任意の好適な光源を用いることができることを認識するであろう。
【0032】
図7は、本発明で示される実施の形態の光検出器での使用に好適なビーム整形光学系12の一実施の形態における断面図である。光学図は、z軸に沿った光伝搬の全体的な方向とともにx−z平面中に描かれている。各点線は、前記ビームが整形光学系によってどのように操作されるかを示す光線のx−yプロファイルスケッチ14’に導かれる。前記ビームは、ほぼ直径700ミクロンのラウンドプロファイルで出力された単一のレーザー11からローパス又はバンドパスフィルタ74の後でフィルタされたビームの波長を通過する。そして、前記ビームは5mmの焦点距離と250mmの焦点距離を有する第1の対の視準レンズ73を通過して、これにより実質的に長方形状のビームが生成される。そして、前記ビームは、y軸で14から100ミクロンに鮮鋭化するために、焦点距離が150nmの円筒形レンズを有する集束レンズ71を通過する。集束レンズ71の後のこの実施の形態における全体的なプロファイルは、100ミクロン毎に36mmであり、500ミクロン間隔で最大70のピンホール/チャネルのピンホールアレイ13を照射するために用いられ得る。ピンホールは、y軸方向において約100ミクロンより小さいため、ビームの制限によって光の浪費が防止される。中央部(センター)での500ミクロン間隔のN個のピンホールチップにおいて、レーザー出力の消費を最小限にするために、x軸に沿って500xNミクロンをわずかに超えて、y軸に沿って(100ミクロンをわずかに超える)200ミクロンであることがビームにとって好ましい。そして、円柱化されて整形されたビームは、ピンホールアレイ13に交差して、マッチする(合致する)チャネル3のアレイに交差するように間隔を有するNピンホール整形ビーム78になる。
【0033】
図7のビーム整形の実施の形態は、この設計が高速(バンド幅>10MHZ)の励起、散乱、及び蛍光の同時観察を可能にすることを考慮すれば、迷光を最小限にして約10%の出力効率を許容するのに非常に有効である。
【0034】
図8は、本発明の光検出システムでの使用に好適な、溝付きの鏡に基づく反射型のビームスプリッター80を示す。前記ビームスプリッター80は、入射光ビームを複数のビームに分割するために、セグメント化されたミラー83を備えている。円柱化された入射ビーム82は、スプリッター80に入り、入射ビームをより小さいビームのアレイ84に分割するセグメント化されたミラー83に対して入射の正しい角度(全体的に低い角度)を設定するために用いられる入射ミラー81から反射される。上述の、より小さいビームのアレイ84は、入射ビーム82に平行な上方にも延在している。
【0035】
前記セグメント化されたミラー83は、反射溝の一様なアレイを備える。前記一様なアレイは、異方性のエッチングされたシリコンを有することが好ましい。あるいは、前記一様な溝のアレイは、光学仕上げをされた従来型の機械加工で作られている。他の実施の形態においては、前記一様な溝のアレイは、プラスチック材料で形成され、そして前記溝のアレイに対する反射膜で覆われている。
【0036】
図9は、このようなセグメント化されたミラーの設計を導く角度及び公式を示す。入射光82は、ミラー中の各溝83aに部分的に留められており、この留められた部分は、より狭いビーム84aを作るために固定角度で反射される。第2の狭いビーム84bは、隣接する溝84bで形成される。各溝は、溝スペースAで隔離されており、前記スプリッターは(一様な溝を想定して)一様なスポット幅のビーム、及び、マイクロ流体チップ中のピンホールとチャネルスペースとを合わせるように設計されるレーンスペースLのビームを生成している。
【0037】
図10は、レーンスペースLが500ミクロンであり、溝(固定溝角度e=54.74である)がシリコン異方性エッチングで作製される図8のビームスプリッターの実施の形態におけるテーブルである。前記テーブルは、選択されたスポットサイズに対する好適なミラー構造を示す。例えば、100ミクロンスポットサイズの場合は、100ミクロン未満のピンホールに対して好適であるが、溝スペースA=575ミクロン、溝傾斜角G=29.7度、及び入射角I=25度に対応する。
【0038】
図11は、光学検出システムでの使用に好適なビーム整形サブシステム112の実施の形態を描く。示されるビーム整形サブシステム112は、図7で説明されたビーム整形光学系12に類似のビーム整形光学系12を用いた後の最終ステージにおいて、図8に示したような、セグメント化されたミラー80の使用に好適である。
【0039】
他の実施の形態では、光学システム上に個々に搭載されるのではなく、各マイクロ流体チップ上に作製されるピンホールアレイ13を備える。
【0040】
図4及び図5の撮像平面中で使用されるファイバーアレイ用の検出器についての他の実施の形態では、前記平面中にイメージ増強器が配置され、発光体上に生成される光信号を読み出す前記イメージ増強器の後にファイバーが配置される。このような代換例は、全ての蛍光信号、及びポストイメージ増強器で光信号を電気信号に変換するためのフォトダイオードに対して1つの光増幅エレメント(イメージ増強器)のみを用いることでコストを低減し得る。
【0041】
図12は、標準的な浜松製のイメージ増強器220の図面を示すが、当業者は、この代換として任意の大きい領域の高い空間分解能を有する光増幅部材を使用し得ることを認識するであろう。前記イメージ増強器220は、信号をフォトダイオードアレイ又は他の好適な検出機器に渡す前に光学イメージを増幅するために用いられる。示されるように、前記イメージ増強器は、撮像信号に対する入力ウインドウ221、光を光電子に変換するフォトカソード222のような光感知電子エミッタ、電子増倍のためのMCP223、電子を光に変換する発光体スクリーン224、ファイバー光プレートとして示した出力ウインドウ225を備える。この示される実施の形態によれば、イメージ増強器は、25mmから40mmの浜松製のイメージ増強器を備え得るが、当業者は、任意の好適な機器が使用され得ることを認識するであろう。
【0042】
ビーム成型サブシステム12及び蛍光検出サブシステム17の両方についての他の実施の形態は、蛍光検出システムの場合における迷光又は不要光を除去するため、又は、光源11から放射される光から迷光又は不要光の波長成分を除去するため、ショートパスフィルタ、又は、ロングパスフィルタ、又は、波長バンドパスフィルタ、又は、バンド遮断フィルタ、を備える。
【0043】
減衰又は散乱検出器15、16についての他の実施の形態では、これらの信号を標準化するために、独立したレーザー出力モニタを前記システムに追加する。この構成は、レーザー上のノイズがこれらの信号に対してゆがめられるように、これらの信号のいずれもがレーザー出力に直接比例するため、有用である。
【0044】
検出器15、16及び17とともに使用されるファイバーアレイについての他の実施の形態では、各ファイバーアレイをフォトダイオード又はアバランシェフォトダイオード又は他の光検出器アレイで置き換えている。当業者は、サンプルの光水準要求と、使用される特定のチップの具体例におけるフォームファクタ(波形率)とを合わせる他の検出器も可能であることを認識するであろう。
【0045】
ビームスプリッターに対する他の実施の形態では、異方性エッチング結晶材料又は従来型の機械加工金属、又は、適切な光学研磨又は反射コーティングが続くプラスチック成型で作製される反射型の溝アレイを使用し得る。
【0046】
この発明の全ての実施の形態において、ピンホールアレイは、全体的にマイクロ流体チャネルの間隔に合わせられる。反射型のビームスプリッターがビーム成型光学系で使用される場合、前記ピンホールとも合わせられなければならない。
【0047】
最も単純な実施例では、一様に配列されたチャネル及び一様に配列されたピンホール及び分割ビーム(ビームスプリッティング)中に出来るだけ一様に配置された溝を用いるが、このことが本発明では必ずしも必要ではなく、同様の実施の形態は不規則な間隔又はチャネルパターンを用いて設計され得る。
【0048】
蛍光検出サブシステムA7に対する他の実施の形態では、撮像平面(3−5)、(2−8)中のファイバーの前又は後にナローバンドパスフィルタを追加している。前記平面中の400ミクロンのファイバーは、10nmのバンド幅を捉えうる。10nm又は5nmのバンドパスフィルタは、いくつかの場合に感度を向上してノイズを減少させるであろう。
【0049】
本発明は、示された実施の形態に対して説明されてきた。一定の変形が、本発明の範囲から離れることなく、上述の構成で行われ得る。上述の説明に含まれ、又は、添付の図に示される全ての事柄は、例示的に解釈され、限定的な意味ではないことが意図されている。
【0050】
特許請求の範囲は、ここで説明された本発明における全ての一般的及び特定の特色と、言語の問題として、それらの間に収まるように言及され得る、本発明の範囲の全ての記述をカバーするものであることも理解されるべきである。
【符号の説明】
【0051】
1 基板
2 測定領域
3 マイクロチャネル
8 光検出システム
10 マイクロ流体システム
11 光源
12 ビーム整形光学系
13 光マスク
14 光ビーム
15 検出器光学系
16 検出器光学系
17 検出器光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型のビームスプリッターを用いて制御された間隔で、単一の入射ビームをより小さいビームアレイ中に整形するためのシステムであって、
一様な反射溝のアレイと;
選択された角度で入射ビームへの反射溝のアレイを提示するためのポジショナーと、
を備える、システム。
【請求項2】
粒子を通すマイクロ流体チャネルアレイを有するマイクロ流体システムを検索するための光学検出システムであって、
光ビームを生成するための光源と;
前記光ビームを複数の派生光ビームに分割するための反射型のビームスプリッターを有する一組のビーム整形光学系と;
前記マイクロ流体システムのマイクロ流体チャネルに合わせられるピンホールアレイと、を備え、
前記ビーム整形光学系が、前記ピンホールの1つを介して、それぞれの前記複数の派生光ビームに向けられている、光学検出システム。
【請求項3】
粒子又は分子が流通するチャネルを有するマイクロ流体システムを観察するための光学検出システムであって、
光ビームを生成するための光源と;
前記光ビームを集光するための一組のビーム整形光学系と;
マイクロ流体システムのチャネルと連通するピンホールと;
前記マイクロ流体システム中の複数のチャネルを同時に検索して、光増幅エレメントとしてイメージ増強器を用いるための、高開口数の蛍光検出器と;を備える、光学検出システム。
【請求項4】
粒子又は分子が流通するチャネルを有するマイクロ流体システムを観察するための光学検出システムであって、
スポットでのみ開口しているマスクを介して空間的に延長された前記スポットのアレイを照射する1又は2以上のレーザーと;
前記空間的に延長されたスポットアレイ全体からの光を一度に捉えるように配置された第1の高開口数レンズと;
前記第1レンズからの光を受けて屈曲させるスペクトル分離エレメントと;
前記スペクトル分離エレメントによって屈曲した光を捉えて、この捉えた光を第2ピンホールアレイ上に撮像するための第2高開口数レンズと;
前記第2ピンホールアレイを通過する光を検出して増幅するための、前記第2ピンホールアレイの後のイメージ増強器と;
前記イメージ増強器からの光を捉えて変換するためのフォトダイオード検出器のアレイと;を備える、光学検出システム。
【請求項5】
フォトダイオードからの電気的出力を収集するフォトダイオード検出器に連結された電子データ収集システムをさらに備える、請求項4に記載の光学検出システム。
【請求項6】
前記スポットのアレイと前記イメージ増強器との間に配置されたレーザーバンド遮断フィルタをさらに備える、請求項4に記載の光学検出システム。
【請求項7】
前記検出器は、空間的に延長された複数のスポットからの1ミリ秒未満の期間の低強度の光学スペクトルを増幅でき、前記スペクトルを電気信号に変換できる、請求項4に記載の光学検出システム。
【請求項8】
モニタされる対象を通過する光ビームを生成するための光源と;
前記光源からの光を捉えるためのレンズと;
光信号を検出して前記光信号を電気信号に変換するための、光増幅エレメントを有する、検出器と;を備える光学システム。
【請求項9】
前記光増幅エレメントは、フォトチューブアレイを有する、請求項8に記載の光学システム。
【請求項10】
前記光増幅エレメントは、フォトダイオード検出器のアレイに連結されたイメージ増強器に基づくマルチチャネルプレートを備える、請求項8に記載の光学システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−282049(P2009−282049A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202457(P2009−202457)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【分割の表示】特願2006−523430(P2006−523430)の分割
【原出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【出願人】(501063508)サイトノーム インコーポレーテッド (5)