説明

粒子測定装置

【課題】 粒子検出器への外部からの電磁ノイズを効果的に遮蔽して、測定精度を高く維持すること。
【解決手段】 検出用の貫通孔を通過する粒子含有液のインピーダンスの変化を検出するために貫通孔の両側に第1および第2電極を備えた粒子検出器と、第1および第2電極間に通電するための電流供給回路と、第1および第2電極間に電流が流れたときに両電極間に生じる電圧を増幅して出力する増幅回路と、電流供給回路と増幅回路とに正電圧印加用配線と負電圧印加用配線を介して回路駆動電圧を印加する直流電源回路と、粒子検出器を収容する導体ケースとを備え、導体ケースは互いに絶縁した外側導体ケースと内側導体ケースからなり、外側導体ケースは接地され、内側導体ケースは前記負電圧印加用配線に電気的に接続されてなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は粒子測定装置に関し、さらに詳しくは、ファインセラミックス粒子、顔料、化粧品用パウダー等の粉体粒子の粒度や数を測定するために粒子含有液を貫通孔に流し電気インピーダンスの変化に基づき液中の粒子を測定する電気的検知帯法を採用した粒子検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】この発明に関連する従来技術としては、粒子検出用の貫通孔を有する検出ブロックと、前記貫通孔へ粒子含有液をシース液に包んで供給する第1セルと、前記貫通孔を通過した粒子含有液とシース液を受取って排出する第2セルと、第1および第2セルにそれぞれ設けられた電極と、第1又は第2セルの一方を摺動可能支持して両者の間隙を変化しうる摺動部材とを備え、検出ブロックが、第1および第2セルの間隙に離脱可能に扶持されて第1および第2セルに水密的に連結された粒子検出器が知られている(例えば、特開平2001−33378号公報参照)。
【0003】また、内体部と外体部の二重構造を有する電子機器収納ラックであって、内体部は直接電子機器を収納し、外体部は接地され、内体部と外体部との間に絶縁部材が介在されていることを特徴とするノイズ遮蔽ラックも知られている(例えば、特開平11−87981号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、血液中の血球、あるいはセメントの粉、ラテックス、トナー等の工業用粒子の粒度や数を測定するには、電気的検知帯法が用いられている。電気的検知帯法では、電解質溶液中に貫通孔を1つ有する隔壁を設け、貫通孔をはさんで電極を配置し、電解質溶液中に対象となる粒子を分散させた粒子含有液を貫通孔に通して流す。
【0005】粒子が貫通孔を通過する時、電気抵抗が瞬間的に変化し電圧パルスが生じる。そのパルス高さは粒子体積を反映しているので、粒子の球相当径が形状にほとんど影響されずに測定でき、この結果をもとに試料粒子の体積基準の粒度を求めることができる。また、パルス数から粒子数を求めることができる。
【0006】ところで、電気的検知帯法を採用した粒子検出器、つまり電気抵抗式粒子検出器は、外部からの電磁波ノイズの影響を受けると、粒子の貫通孔通過時に得られる電圧パルスにノイズが重畳され、検出精度が低下する。
【0007】従って、近年、欧州連合(EU)は、医用電子測定機器について所謂EMC規制により定めた規格に合格すること、つまり、規定の電界強度の電波に対して測定値が影響を受けないことを要求している。
【0008】この発明はこのような事情を考慮してなされたもので、粒子検出器に適切なシールド処理を施すことにより、外部ノイズに対しEMC規制に合格することが可能な粒子検出装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、検出用の貫通孔を通過する粒子含有液のインピーダンスの変化を検出するために貫通孔の両側に第1および第2電極を備えた粒子検出器と、第1および第2電極間に通電するための電流供給回路と、第1および第2電極間に電流が流れたときに両電極間に生じる電圧を増幅して出力する増幅回路と、電流供給回路と増幅回路に正電圧印加用配線と負電圧印加用配線を介して回路駆動電圧を印加する直流電源回路と、粒子検出器を収容する導体ケースとを備え、導体ケースは互いに絶縁した外側導体ケースと内側導体ケースからなり、外側導体ケースは接地され、内側導体ケースは前記負電圧印加用配線に電気的に接続されてなる粒子測定装置を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の粒子検出装置は、検出用の貫通孔を通過する粒子含有液のインピーダンスの変化を検出するために貫通孔の両側に第1および第2電極を備えた粒子検出器と、第1および第2電極間に通電するための電流供給回路と、第1および第2電極間に電流が流れたときに両電極間に生じる電圧を増幅して出力する増幅回路と、電流供給回路と増幅回路に正電圧印加用配線と負電圧印加用配線を介して回路駆動電圧を印加する直流電源回路と、粒子検出器を収容する導体ケースとを備える。
【0011】そして、導体ケースは互いに絶縁した外側導体ケースと内側導体ケースからなり、外側導体ケースは接地され、内側導体ケースは前記負電圧印加用配線に電気的に接続されることを特徴とする。
【0012】導体ケースは、開閉可能なカバーを備えることが好ましい。これによって、導体ケース内部の粒子検出器のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0013】内側導体ケースが、金属パネル上に絶縁して設置された導電性の底板と、底板に軸支されて底板を開閉可能に覆う箱状の内側導体カバーからなり、外側導体ケースが内側導体カバー上を絶縁部材を介して覆う箱状の外側導体カバーからなり、粒子検出器が底板上に設置されてもよい。
【0014】その場合、金属パネルに固定された導電性の弾性部材をさらに備え、内側導体カバーが底板を覆う時、内側導体カバーは底板に接触し外側導体カバーは導電性の弾性部材に接触することが好ましい。
【0015】それによって、内側導体カバーと底板とが電気的に導通し、かつ外側導体カバーが金属パネルに電気的に導通するので、粒子検出器の導体による遮蔽度が向上する。
【0016】実施例以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明を詳述する。
血液分析装置の構成図1はこの発明に係る血液分析装置の構成を示すブロック図であり、図2はその外観斜視図である。これらの図に示すように、血液分析装置は、血液分析装置本体101とパーソナルコンピュータ102から構成される。
【0017】本体101は、サンプリング部51、希釈反応部52、電気抵抗式検出部53、フローサイトメータ式検出部54、比色式検出部55を備え、パーソナルコンピュータ102は、データ処理部56と出力部57を備える。
【0018】サンプリング部51は、分析対象の血液試料を収容した検体容器から所望量の血液試料を吸引定量し、希釈反応部52へ送出する。希釈反応部52は、定量された血液試料を所定倍率で希釈すると共に必要な試薬で反応させた後、電気抵抗式検出部53、フローサイトメータ式検出部54、比色式検出部55へ送出する。
【0019】電気抵抗式検出部53は電気的検知帯法により、血液試料中の赤血球や血小板などの項目を測定する。フローサイトメータ式検出部はフローサイトメトリー法により、血液試料中の白血球の計数と分類を行うためのデータを測定する。また、比色式検出部55は比色法により、血液試料中のヘモグロビン濃度を測定する。
【0020】データ処理部56は、検出部53,54,55で得られた各測定データから所望の測定項目を算出し、数値一覧表やスキャッタグラムの形で出力部57に出力させる。
【0021】なお、データ処理部56は、CPU,ROM,RAMで構成され、出力部57はCRTおよびプリンタで構成される。また、本体101は金属製のハウジング58を備え、金属製ハウジング58は、サンプリング部51、希釈反応部52、検出部53,54,55を収容する。
【0022】しかし、電気抵抗式検出部53の粒子検出器は特にそのメンテナンス(保守、点検)が容易に行えるように、ハウジング58の前面パネル58aの外面に設けられ、開閉可能なノイズ防止用の金属製カバー59内に収容されている。
【0023】粒子検出器の構成図3はカバー59内に収容される粒子検出器1の側面図、図4は図3のA−A矢視断面図、図5は図3のB−B矢視断面図、図6は図4のC部拡大図である。
【0024】これらの図に示されるように、粒子検出器1は、板状部材3と、第1セル4と、第2セル5と、2本の貫通シャフト8,9とを備える。板状部材3は粒子検出用の貫通孔2を有する。第1セル4は、第1蓋部材15と筒状の第1セル本体16からなり、第2セル5は、第2蓋部材18と筒状の第2セル本体20からなる。
【0025】図4に示すように、板状部材3を挟んだ第1および第2セル本体16と20にはシャフト8,9が貫通し、貫通したシャフト8,9の両端からチューブ状のストッパー10,11,12,13がそれぞれ挿入されている。
【0026】そして、シャフト8,9の両端に形成された雄ネジにナット31が螺着し、ナット31の締め付け力により第1および第2セル本体16と20は板状部材3に水密的に結合している。
【0027】さらに、第1および第2蓋部材15,18はそれぞれ軸心を貫通するノズル14と回収管17を備える。また、第1および第2蓋部材15,18は、突出部15a、フランジ部15bと突出部18a、フランジ18bとをそれぞれ備える。
【0028】突出部15a,18aがそれぞれ第1および第2セル本体16,20の開口に挿入された状態でフランジ部15aと15bがストッパー10,11,12,13の環状部10a,11a,12a,13aに係止し、第1および第2セル本体16,20の方向へ押圧されている。
【0029】それにより、第1および第2蓋部材15,18は、それぞれパッキン21,22を介して第1および第2セル本体16,20に水密的に結合されている。また、同時に、第1および第2蓋部材15,18は、ノズル15aと貫通孔2と回収管17が互いに同軸になるようにシャフト8,9により位置決めされている。
【0030】フランジ部15bには、図3に示すように、ノズル14の軸を中心とする円弧上に挿通穴32,33と、係止穴34,35と、挿通穴32と係止穴34とを連通する円弧状の連通穴36、挿通穴33と係止穴35とを連通する円弧状の連通穴37が穿設されている。
【0031】挿通穴32,33は内径がストッパー10,12の環状部10a,12aの外径よりも大きく、係止穴34,35は内径が環状部10a,12aの外径より小さくなっている。
【0032】また、挿通穴32と連通穴36と係止穴34の各周縁および挿通穴33と連通穴37と係止穴35の各周縁には、フランジ部15bの表面から突出した帯状の縁取り部15cが設けられている。そして、縁取り部15cは、係止穴35を囲む部分の高さが他の部分よりも高くなっている。そして、環状部10a,12aは、図3に示すように係止穴34,35の周りの縁取り部15cに乗り上げた状態に保持されている。それによって、第1蓋部材15は第1セル本体16の方向に押圧され、パッキン21を介して第1セル本体16に水密的に結合される。
【0033】また、フランジ部18bもフランジ部15bと同等の構成を有するので、第2蓋部材18も同様にして第2セル本体20にパッキン22を介して水密的に結合される。
【0034】板状部材3は、図6に示すように中央の開口23の内部に、貫通孔2を有するペレット24と、ペレット24を両側から挟む2つのリング状パッキン25,26を備える。そして、第1および第2セル本体部16,20はペレット24に対し、それぞれパッキン25,26を介して水密的に結合されている。
【0035】図5に示すように、第1セル本体16は上方から嵌入されたステンレス鋼製のニップル6および下方に一体成型されたニップル27を備える。ニップル6はシース液を受入れて貫通孔2へ供給し、ノズル14から噴射される粒子含有液を包んで貫通孔2を通過させる。また、ニップル6の先端は第1セル本体16の内部に露出しており、測定用の電極(負極)として使用される。
【0036】ニップル27は、洗浄液を受入れて貫通孔2へ斜め下方から吹き付けることができるように、ノズル14の軸に対してほぼ45度の角度を有する。
【0037】また、第2セル本体20は上方と下方にそれぞれ一体成型されたニップル28,19を備える。ニップル19は、洗浄液を受入れて貫通孔2へ斜め下方から吹き付けることができるように、回収管17の軸に対しほぼ45度の角度を有する。
【0038】ニップル28は第2セル本体20内の洗浄液を排出するために設けられている。第2セル本体20は、内部に露出する測定用電極7(図4)を備える。電極7は白金製の棒状電極であり、陽極として使用され、フランジ部18に回収管17と平行に固定されている。
【0039】ノズル14は後端にチューブ接続部29を備え、回収管17も後端にチューブ接続部30を備える。
【0040】ノズル14はステンレス鋼製で0.2mmの内径を有し、ペレット24は人工ルビー製で1mmの板厚を有する。なお、貫通孔2の直径は測定対象粒子の粒度により異なるが、赤血球の場合は、50〜100μmである。
【0041】第1および第2セル本体16,20、第1蓋部材15および第2蓋部材18は、いずれも耐薬品性の熱可塑性樹脂ポリエーテルイミドを射出成型することにより形成される。
【0042】ニップル27は第1セル本体16と一体成型され、ニップル19,28は第2セル本体20と一体成型される。ノズル14、電極兼ニップル6および電極7は、成型後の第1セル本体16および第2蓋部材18にそれぞれ圧入され、接着剤で固定される。
【0043】粒子検出器の分解と組立て貫通孔2およびその近傍の付着物を除去する保守作業などを行う場合に粒子検出器1を分解し、組立てる方法について説明する。まず、作業者は、図3に示すフランジ部15bを握り、矢印D方向(反時計方向)に約45度だけ回転させる。それによって、環状部10a,12aが相対的にフランジ部15bの2つの挿通穴32,33へ移動する。そこで、作業者はフランジ部15bを握りながら第1蓋部材15を第1セル本体16から図7に示すように引き出すことができる。
【0044】第2蓋部材18についても、フランジ部18bを同様に操作することにより、第2セル本体20から引き出すことができる。そこで、作業者は、第1および第2セル本体16,20の各開口から細筆状のブラシを挿入し、貫通孔2およびその近傍の付着物を貫通孔2の両側から除去する。
【0045】次に、粒子検出器1をもと通りに組立てる場合は、分解操作と逆の順序で行う。つまり、第1蓋部材15のフランジ部15bを握り、フランジ部15bの挿通穴32,33にそれぞれストッパー10,12の環状部10a,12aを挿通する。同時に突出部15aも第1セル本体16の開口に挿入する。
【0046】そして、フランジ部15bを第1セル本体16の方向へ押し付けながらフランジ部15bを図3の矢印Dと逆方向(反時計方向)に約45度だけ回転させる。それに伴って、環状部10a,12aは、係止穴34,35へ相対的に移動し縁取り部15cの高い部分に乗り上げる。
【0047】それによって第1蓋部材15は第1セル本体16に向って押圧され、パッキン21を介して第1セル本体16に水密的に結合する。第2蓋部材18も同様の手順によって第2セル本体18に水密的に結合させる。それによって、組立て作業を終了する。
【0048】粒子検出器のカバーの構成図8は粒子検出器1のカバー59の斜視図、図9はカバー59を開いた状態を示す斜視図、図10はカバー59の横断面図である。これらの図に示すように、カバー59はビス82により固定されているので、ビス82をゆるめてツマミ80を手前に引くと、カバー59が開いて、内部に設置されている粒子検出器1が露出するようになっている。
【0049】カバー59は外側カバー60と内側カバー61の2重構造になっている。内側カバー61は対応する底板63を備え、底板63は絶縁ブッシュ62を介して絶縁樹脂製のビス65により前面パネル58aに固定されている。底板63は周縁から立設する2枚の横方向の補助側板63aと2枚の縦方向の補助側板63bを備え、補助側板63a,63bはカバー59を閉じた時に、内側カバー61の内面に弾性的に接触するように構成されている。
【0050】また、外側カバー60に対応して1枚の補助側板64が前面パネル58aに金属製ビス81で固定され、カバー59を閉じた時に、補助側板64は外側カバー60の内面に弾性的に接触する。そして、外側カバー60は金属製ビス82により補助側板64に固定される。
【0051】さらに、外側カバー60は開口の周縁にスポット溶接した4枚の接触板66を備える。これらに対応して前面パネル58aには、4つの導電性の弾性部材67が固定され、カバー59を閉じた時に、4枚の接触板66が対応する各弾性部材67に弾性的に接触するようになっている。
【0052】また、外側カバー60は図10に示すように内側カバー61に絶縁部材68を介して固定されている。内側カバー61は、図9に示すように、2本の支点ピン69により、2枚の縦方向の補助側板63bに回転可能に支持され、これによってカバー59が開閉できるようになっている。
【0053】外側カバー60、内側カバー61、補助側板63a,63b,64、接触板66はすべて金属板(例えばステンレス鋼板)で製作されている。従って、カバー59を閉じた時には、粒子検出器1は、互いに絶縁された2重の導体ケースで覆われることになる。なお、導電性の弾性部材66は、例えば、スポンジゴムに導電テープを貼り付けることにより容易に形成することができる。
【0054】電気抵抗式検出部53の電気回路の構成と動作図11は電気抵抗式検出部53の電気回路の要部を示す回路図である。図11に示すように、商用電源からAC100Vの電圧がスイッチング電源回路71に入力されると、スイッチング電源回路71はAC100Vの電圧をDC5VとDC12Vの電圧に変換し、グランドラインGを共通の負極として5Vと12Vの直流電圧を出力する。
【0055】昇圧回路72はDC12Vを56Vに昇圧し、グランドラインGを負極として56Vの直流電圧を定電流回路73へ入力する。
【0056】定電流回路73は無負荷電圧56Vの直流電圧を粒子検出器1の電極6,7へ、電極7が正極、電極6が負極になるように印加する。粒子検出器1において、シース液に包まれた粒子含有液が貫通孔2を通過するとき、電極6,7間に定電流回路73から定電流が供給され、電極6,7間の電気抵抗(又はインピーダンス)が変化し、その変化が電圧の変化(パルス)として電極6,7間に現れる。
【0057】電極6,7間の電圧がアンプ74により増幅され、A/D変換器75でデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号に基づいて演算回路76は粒径や粒子数などのデータを算出し、パーソナルコンピュータ102(図1)へ出力する。
【0058】図11に示す回路において、スイッチング電源回路71の5Vの出力電圧はその正極と負極がそれぞれ電源ラインHとグランドラインGに接続される。アンプ74、A/D変換器75、演算回路76はラインH.Gに接続され、ラインH.Gから電圧を受けて駆動するようになっている。
【0059】粒子検出器1のノイズ対策粒子検出器1を図8〜図10に示すように外側カバー60と内側カバー61からなる2重構造のカバー59で覆い、図11に示すように外側カバー60をハウジング58の前面パネル58aを介して接地し、内側カバー61を電気回路のグランドラインGに接続する。このような構成によって粒子検出器1を外部ノイズから遮蔽することができ、電磁波に関するEMC規制をクリアすることができる。
【0060】つまり、80MHz〜1GHzの高周波を1KHzでAM変調した3V/mの電界強度の電波を外部から受けても、アンプ74の出力はそれによって影響を受けないことが確認されている。
【0061】粒子検出器1の気泡除去操作粒子検出器1において、第1セル4から第2セルへ貫通孔2を介してシース液と共に粒子含有液を流しながら、粒子の検出を行うと、貫通孔2およびその近傍に気泡が発生する。この気泡が多くなると、その気泡が電極6,7間の検出電圧を乱し、粒子情報が誤って検出されるという不都合が生じる。
【0062】そこで、この発明では、1つの検体の測定を行う直前に、図5に示すニップル19,27から洗浄液を貫通孔2とその近傍に吹き付ける。それにより、貫通孔2とその近傍に付着又は浮遊する気泡を除去して洗浄液と共にニップル28,6からそれぞれ排出させるようにしている。これによって、粒子検出器1は高い検出精度を維持することができる。
【0063】電気抵抗式検出部53の流体回路とその動図12は粒子検出器1を用いた電気抵抗式検出部53の要部流体回路図である。同図において、バルブV1,V2が開くと、排液チャンバWC1の陰圧により赤血球測定用の試料が試料チャンバSCより流路Pに吸引され貯留される。なお、試料チャンバSCには希釈反応部52(図1)で希釈された赤血球測定用試料が予め貯留されている。
【0064】バルブV1,V2が閉じ、バルブV3,V4,V5,V6が開くと、希釈液チャンバDCから陽圧により希釈液が洗浄液としてニップル27,19へ供給され、貫通孔2に吹き付けられ、第1および第2セル4,5内の洗浄と気泡の除去を行ってニップル6,28から排液チャンバWC1へ排出される。
【0065】バルブV3,V4,V5,V6が閉じ、バルブV7が開くと、希釈液チャンバDCから陽圧により希釈液がシース液としてニップル6へ供給され、貫通孔2と回収管17を通って排液チャンバWC2へ排出される。これによって貫通孔2を通るシース液流が形成される。
【0066】この状態でシリンジポンプCPを吐出方向に作動させると、流路Pに貯留されていた試料が押し出され、ノズル14から貫通孔2へ噴出する。噴出した試料はシース液に包まれて貫通孔2を通過し回収管17を介して排液チャンバWC2ヘ排出される。
【0067】試料がシース液に包まれて貫通孔2を通過するとき電極6(図3)と電極7(図2)間のインピーダンスの変化が図11に示す測定回路により測定される。測定が終了すると、シリンジポンプCPを停止させる。そして、バルブV8を開き、試料チャンバSCの残留試料を排液チャンバWC1へ排出する。
【0068】次に、バルブV1,V2,V8,V9を開き、試料吸引流路、試料チャンバSC、シリンジポンプCP、ノズル14に希釈液チャンバDCから希釈液を洗浄液として供給し、一定時間後にバルブV1,V2、V8,V9を閉じて洗浄を終了する。
【0069】
【発明の効果】この発明によれば、粒子検出器を二重構造の導体ケースに収容し、外側ケースを接地して、内側ケースを増幅回路のグランドラインに接続したので、外部からの電磁ノイズが効果的に遮蔽され、測定精度を高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る血液分析装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明に係る血液分析装置の斜視図である。
【図3】この発明に係る粒子検出器の側面図である。
【図4】図3のA−A矢視断面図である。
【図5】図3のB−B矢視断面図である。
【図6】図4のC部拡大図である。
【図7】図4に示す粒子検出器の分解図である。
【図8】この発明に係る粒子検出器のカバーの斜視図である。
【図9】図8に示すカバーを開いた状態を示す斜視図である。
【図10】図8に示すカバーの横断面図である。
【図11】この発明に係る血液分析装置の要部電気回路図である。
【図12】この発明に係る血液分析装置の要部流体回路図である。
【符号の説明】
1 粒子検出器
2 貫通孔
3 板状部材
4 第1セル
5 第2セル
6 電極
7 電極
8 シャフト
9 シャフト
10 ナット
11 ナット
12 ナット
13 ナット
14 ノズル
15 第1蓋部材
16 第1セル本体
17 回収管
18 第2蓋部
19 ニップル
20 第2セル本体
21 パッキン
22 パッキン
23 開口
24 ペレット
25 パッキン
26 パッキン
27 ニップル
28 ニップル
29 チューブ接続部
30 チューブ接続部
59 カバー
60 外側カバー
61 内側カバー
62 絶縁ブッシュ
63 底板
64 補助側板
65 ビス
66 接触板
67 弾性部材
68 絶縁部材
69 支点ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 検出用の貫通孔を通過する粒子含有液のインピーダンスの変化を検出するために貫通孔の両側に第1および第2電極を備えた粒子検出器と、第1および第2電極間に通電するための電流供給回路と、第1および第2電極間に電流が流れたときに両電極間に生じる電圧を増幅して出力する増幅回路と、電流供給回路と増幅回路とに正電圧印加用配線と負電圧印加用配線を介して回路駆動電圧を印加する直流電源回路と、粒子検出器を収容する導体ケースとを備え、導体ケースは互いに絶縁した外側導体ケースと内側導体ケースからなり、外側導体ケースは接地され、内側導体ケースは前記負電圧印加用配線に電気的に接続されてなる粒子測定装置。
【請求項2】 導体ケースは、開閉可能なカバーを備える請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項3】 内側導体ケースが、金属パネル上に絶縁して設置された導電性の底板と、底板に軸支されて底板を開閉可能に覆う箱状の内側導体カバーからなり、外側導体ケースが内側導体カバー上を絶縁部材を介して覆う箱状の外側導体カバーからなり、粒子検出器が底板上に設置されてなる請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項4】 金属パネルに固定された導電性の弾性部材をさらに備え、内側導体カバーが底板を覆う時、内側導体カバーは底板に接触し外側導体カバーは導電性の弾性部材に接触する請求項3記載の粒子測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【図12】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2003−172686(P2003−172686A)
【公開日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−371503(P2001−371503)
【出願日】平成13年12月5日(2001.12.5)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)