説明

粒子状物質フィルタの閉塞方法および装置

【課題】ハニカム構造体のセルを閉塞すること。
【解決手段】ハニカム構造体の端面を、本体、およびあるセルチャンネルの対向するように位置した複数の同じ大きさの開口部を有するマスクで覆い、ここで、本体の外縁が、端面から外方に放射状に延在している。フイルムも端面から外方に延在しており、栓の材料がフイルム上に提供される。マスクとフイルム材料が互いに封止され、フイルムに力が加えられて、材料をマスクに押し通してセルに押し入れる。また、マスクがハニカムの外縁を超えて放射状に延在する外側部分を有するように、マスクをハニカムの第1の端面に付着させ;ある容積の閉塞材料を提供し;第1のクランプ部分と第2のクランプ部分の間で外側部分を締め付け;閉塞材料をハニカム中に移動させる。マスクと予備閉塞チャンバとの間で閉塞材料を切断して、その上に実質的に平面の表面を形成する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2004年12月21日に出願された、「Flat Patty Plugging of Particulate Filters」と題する米国仮特許出願第60/638275号の優先権と恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ハニカム構造体の選択されたセル中への流動性材料の装填に関し、より詳しくは、セラミックフィルタ体を製造するためのハニカム構造体および他の選択的に封止されたハニカム構造体のセルを選択的にマニホールド形成(manifolding)する、すなわち、閉塞する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
約10から100セル以上毎平方センチメートルの横断面のセルラ密度を有するハニカム構造体には、固体粒子状物質フィルタ体および据置型熱交換器を含むいくつかの用途がある。ウォールフロー型粒子状物質フィルタ用途では、構造体の選択されたセルを、それぞれの端部の一方または両方で、マニホールド形成などによって、封止または閉塞する必要がある。「封止」および他の対応する文法的形態、すなわち、封止剤、シーラント、封止するなどの用語は、セルの開いた横断面区域を閉じる多孔質および非多孔質方法を称するためにここに用いられている。
【0004】
参照番号10(図1)は概して、一般によく知られており、図示された実例においては円形断面構造が提供されている、外壁15により囲まれた交差した薄い多孔質壁14のマトリクスにより形成されたハニカム構造体10を用いて製造されることが多い固体粒子状物質フィルタ体を表している。壁14は、第1の端面18と反対側の第2の端面20との間に亘り延在しており、これも端面18,20の間に延在し、両端で開いているセルチャンネル22が、多数の隣接する中空通路すなわちフィルタ体10を形成している。外壁15(外皮)は、第1の端面18および第2の端面20両方の外縁16を画成している。フィルタ10(図2および3)を形成するために、各セルチャンネル22の一端が封止される。このとき、セルチャンネル22の第1のサブセット24は、フィルタ10の第1の端面18で封止され、セルチャンネル22の第2のサブセット26は第2の端面20で封止される。チャンネル22の全てが同じサイズである場合、端面18,20のいずれを、形成されたフィルタ10の入口面として用いてもよい。
【0005】
動作において、汚染された流体(例えば、排気煤などの粒子状物質を含む)が、圧力下で入口面に施され、入口面に開放端を有するセルチャンネルを介してフィルタ10に入る。これらのセルチャンネルは反対の端面、すなわちフィルタ体の出口面で封止されているので、汚染された流体は、薄い多孔質壁14に押し通され、入口面で封止され、出口面で開いている隣接するセルチャンネル中に押し入れられる。流体中の固体粒子状物質汚染物質は、大きすぎて壁の多孔質開口部を通過できないので、後に残され、浄化された流体が出口のセルを通ってフィルタ10から排出される。
【0006】
そのようなフィルタや熱交換器の大量生産のために、選択されたセルの端部をできるだけ迅速かつ安価に封止できることが非常に望ましい。閉塞の公知の方法は、固体粒子状物質フィルタ体の製造においてハニカム構造体を選択的にマニホールド形成するために、その中を延在する多数の開口部を有するマスクの使用を含む(特許文献1から4に示されているような)。これまで、これらのマスクは一般に、セラミック原料を、メチルセルロースなどの水性結合剤、可塑剤および水と混合することによってペーストに形成された気泡セメントと関連して用いられてきた(例えば、特許文献4参照)。この気泡セメントを使用する場合、ハニカム構造体の両端が、セメントが、セルの端部中にそこを通して押し込まれる孔を有する軟質または硬質のプレートにより覆われる。ある特定の用途において、セメントは、サーボ駆動ピストンに基づく閉塞機械により関連するマスクに押し通され(特許文献3の図1参照)、ここで、その機械は、セメントの装填物を移動させて、セルチャンネル内に要求される栓を形成する。この特定のプロセスには、栓の全体の長さの大きい変動性、フィルタ体に関するマスクのミスアライメント、それによって生じる未閉塞のセル、および塗布前に新しいセメント中に「剥がれ落ちる」乾燥したセメントによる未閉塞セルの形成を含む数多くの欠点がある。このプロセスでは一般に、多数のハニカム構造体を閉塞するために再利用されるシリコンから予備形成されたマスクが用いられる。再利用可能なマスクは、ハニカム構造体間でのばらつきに適応できないので、セルを閉塞するのにはそれほど効果的ではあり得ない。これらの従来のプロセスに用いられる設備も、レーザにより切断されたポリマーマスクには不適合である。何故ならば、これらのレーザにより切断されたマスクは、部品を解放するために関連する閉塞機械が開かれたときに、セメントが充填されたフィルタ体と一緒のままであるからである(特許文献4参照)。シリコンマスクに関する別の問題(特許文献2に示されているような)は、それらのマスクが、フィルタの外縁とアライメントされるような大きさになっており、それによって、セメントがフィルタの外縁に沿って流動し、そこに付着させることである。
【0007】
マスクは、セルの選択された行と列に亘り、マスキングテープなどの、封止材料が不浸透性の接着性支持軟質ウェブのストリップを施すことによって、ハニカム構造体の開放面で実質的に相互に平行な行および実質的に相互に平行な列の中で、規則的に間隔が置かれているセルをマニホールド形成するために形成されてきた。あるいは、これらのセルは、金属箔などの弾性のある不浸透性の再利用できる材料の間隔の空けられた積重されたストリップのマトリクスを提供し、次いで、下にガスケットが有る無しにかかわらず、互いに接合し、充填すべきセルチャンネルの反対のマトリクスおよびガスケット位置を通る開口部を持つ構造体の開放面上に、適合することによって形成される。相互に平行な列および相互に平行な行に配列されたセルを有するハニカム構造体を提供し、マスキングテープまたは接合された薄い金属ストリップなどの適切な柔軟材料のストリップで、セルの交互の列と交互の行を被覆することによって、開放面に亘り市松模様に配列されたセルのサブセットの半分の開放端が露出される。ストリップの端部を充填した後、ストリップは取り外され、残りの交互の列および残りの交互の行を被覆するようにストリップを施し、それによって、充填のために、端面の市松模様のセルのサブセットの残りの半分の開放端を露出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4411856号明細書
【特許文献2】米国特許第4427728号明細書
【特許文献3】米国特許第4557682号明細書
【特許文献4】米国特許第4557773号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの実施の形態の両方とも、表面の高さのばらつきに対処するのに大きな融通性を提供し、硬質プレートの実施の形態よりも、損傷しているかもしれない端部を含む、充填すべきではないセルの端部を、より良好にマスキングする。しかしながら、両方の実施の形態は一般に、各端面に二度実施しなければならない。このことは、各端面に亘り個別に施さなければならないテープストリップに関して著しい制限であり、これは時間のかかる作業である。第2の実施の形態の再利用できるマトリクスおよびガスケットは、より迅速に施し、取り外せるかもしれないが、硬質プレートの実施の形態と同様に、端面のセルの位置における歪みにはそれほど容易に適合できない。さらに、益々増えるセルラ密度のために、そのような手法は実行不可能になってきた。
【0010】
さらに、閉塞装置上の閉塞材料の表面におけるばらつきは、基体へと移行され、栓の侵入長さにばらつきが生じ得る。したがって、実質的に平らであり、均一な力で押し入れられて、得られた栓の全てが長さが等しくなる初期表面を有することが好ましい。侵入長さは、封止されたチャンネルを確実に良好に封鎖するのに十分に深いべきであるが、栓の長さが増加すると、多孔質壁の表面積が失われるので、限られていることが望ましい。
【0011】
既存のセメント組成物およびレオロジーを使用し、レーザにより切断されたポリマーマスクに使用するのに適合しており、栓の長さの変動性を減少し、栓がなくなるのを最小にし、閉塞材料が施されるセルチャンネルからの閉塞材料の溢れをなくす、ディーゼルエンジンのためのセラミック粒子状物質トラップなどの、押出ハニカム構造体をマニホールド形成または閉塞する方法が望ましい。この方法は、非常に再現可能が高く、精度も高く、容易に施され、ハニカム構造体の意図せぬ変形を減らすはずである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある態様は、ハニカム構造体のセルのサブセットを閉塞する方法を提供することにある。このハニカム構造体は、その周りに延在する外縁を持つ第1の端面と反対側の第2の端面との間に延在する複数の開放端セルチャンネルを有する。第1の端面は、本体、外縁、およびそこを通って延在する複数の開口部を有するマスクで被覆される。その外縁は、第1の端面の外縁の少なくとも一部分から実質的に外方に延在する。第1の端面の外縁の少なくとも一部分から外方に延在する外縁を有するフイルム材料が提供され、そのフイルム材料の上に材料の栓が提供される。マスクとフイルム材料が、マスクの外周の少なくとも一部分およびフイルム材料の外周の少なくとも一部分の周りに互いに封止され、力がフイルム材料に加えられて、材料の栓を、マスクを通して、セルの第1のサブセット中に押し込む。その後、マスクは、ハニカム構造体の第1の端面との接触から外される。
【0013】
さらなる実施の形態によれば、ハニカム構造体のセルのサブセットを閉塞するための装置であって、第1のクランプ部分および第1のクランプ部分と対向した第2のクランプ部分を有するクランプアセンブリであって、それらのクランプ部分が協働してハニカム構造体の第1の端面に付着したマスクの外縁およびマスクの外縁に隣接したフイルムの外縁を締め付け、マスクおよびフイルムが、それらの間に形成されたチャンバ内に収容される閉塞材料を有するものであるクランプアセンブリ、およびフイルムと協働し、閉塞材料をマスクに通しセルのサブセット中に押し入れるように適用されるピストンを備えた装置が提供される。
【0014】
さらに別の実施の形態によれば、端面にマスクが付着したハニカム構造体を閉塞する方法であって、ハニカム構造体を閉塞材料のチャンバに隣接して向け、閉塞材料の少なくともある程度をマスクに通してハニカム構造体に移送し、チャンバに隣接した閉塞材料を切断する各工程を有してなる方法が開示されている。
【0015】
本発明のさらに別の実施の形態は、ハニカム構造体を閉塞するための装置であって、ある体積の閉塞材料、および閉塞材料を切断するように位置付けられた切断部材を備えた装置である。切断材料がワイヤであることが好ましい。
【0016】
本発明のさらに他の実施の形態は、ハニカム構造体の端面に付着したマスクを通してハニカム構造体を閉塞するための装置であって、ある体積の閉塞材料、第1のクランプ部分、および第1のクランプ部分と協働して、ハニカム構造体の外縁から半径方向外側に延在するマスクの外側部分を開放可能に締め付ける第2のクランプ部分を備えた装置に関する。
【0017】
さらなる実施の形態によれば、ハニカム構造体を閉塞する方法であって、マスクが、ハニカム構造体の外縁を超えて半径方向に延在する外側部分を有するように、ハニカム構造体の第1の端面にマスクを付着させ、ある体積の閉塞材料を提供し、第1のクランプ部分と第2のクランプ部分との間にマスクの外側部分の少なくとも一部分を締め付け、閉塞材料の少なくとも一部をハニカム構造体中に移送する各工程を有してなる方法が提供される。
【0018】
本発明の方法および装置は、既存のセメント組成物およびレオロジーを用いてもよく、レーザで切断されたポリマーマスクに使用するのに適合している。本発明の方法および装置は、栓の長さのばらつきを減少し、栓の詰め損ないを最小にし、閉塞材料が施されるセルチャンネルから閉塞材料が溢れるのをなくすことが有利である。ここに記載された方法および装置は、非常に繰り返し性と精度が高く、容易に施され、ハニカム構造体の意図しない変形を減少し、提案された使用のために特にうまく適合している。
【0019】
本発明のこれらと他の利点は、以下に記載された明細書、特許請求の範囲および添付の図面を参照することによって、当業者によりさらに理解され、分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は複数の開放端セルチャンネルを有する第1の端部を含む押出フィルタ体の斜視図である。
【図2】図2はセルチャンネルの第1のサブセットが閉塞され、セルチャンネルの第2のサブセットが開放端となっている、押出フィルタ体の斜視図である。
【図3】図3はセルの第1のサブセットが開放端となっており、セルの第2のサブセットが閉塞されている、第2の端部を含むフィルタ体の側面図である。
【図4】図4は切断されたマスクにより被覆された押出フィルタ体の第1の端部の斜視図である。
【図5】図5はマスクにより被覆された押出フィルタ体、およびフイルムで被覆されたピストンアセンブリ上に位置する、薄膜材料および閉塞材料のパテにより被覆された閉塞装置のピストンの断面図である。
【図6】図6はマスクの周辺縁が薄膜の周辺縁により封止されている、押出フィルタ体の断面図である。
【図7】図7は閉塞材料がフィルタ体の選択されたセルチャンネル内に位置している、押出フィルタ体の断面図である。
【図8】図8は本発明による装置の実施の形態の断面側面図である。
【図9】図9は本発明のさらに別の態様によるクランプ部分の実施の形態の部分正面図である。
【図10】図10は本発明のさらに別の態様によるクランプ部分の実施の形態の部分正面図である。
【図11】図11は本発明のさらに別の態様による可動性流動制御部材の実施の形態の断面部分側面図である。
【図12】図12は本発明の方法による各工程を示す流れ図である。
【図13】図13は本発明のさらに別の態様による切断装置の実施の形態の断面正面図である。
【図14】図14は本発明のある態様による切断動作を示す切断装置の実施の形態の部分断面側面図である。
【図15】図15は本発明のある態様による切断動作を示す切断装置の実施の形態の部分断面側面図である。
【図16】図16は例示の実施の形態の方法による各工程を示す流れ図である。
【図17】図17は例示の実施の形態による位置決め装置の断面正面図である。
【図18】図18は例示の実施の形態による可動性流動制御部材の正面図である。
【図19】図19は例示の実施の形態による洗浄部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここに説明の目的として、「上側」、「下側」、「右側」、「左側」、「後方」、「前方」、「垂直」、「水平」、およびその派生形は、図1および4において方向付けられたような本発明に関するものとする。しかしながら、本発明では、それと反対に特に指定されていない限り、様々な代わりの方向付けおよび工程の順序が想定されることが理解されよう。また、添付の図面に示され、以下の明細書に記載された特定のデバイスおよびプロセスは、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の概念の例示の実施の形態であることも理解されよう。それゆえ、ここに開示された実施の形態に関する特定の寸法および他の物理的特徴は、請求項に特に述べられていない限り、制限と見なされるべきではない。
【0022】
フィルタ体10などの固体粒子状物質フィルタ体、および他の用途のためのハニカム構造体は、セラミック、ガラスセラミック、ガラス、金属を含む様々な材料から、選択された材料による様々な方法によって、形成されてよい。固体粒子状物質濾過用途のための必ず均一に形成された薄い多孔質の相互に接続された壁を持つハニカム構造体は、心出しを行うために焼成された後に多孔質の心出し材料を生成する、可塑変形性かつ焼結性の細粒の物質から製造されることが好ましい。適切な材料としては、金属、セラミック、ガラスセラミック、および他のセラミックベースの混合物が挙げられる。固体粒子状物質濾過用途において好ましい押出コージエライト材料からそのようなセラミックハニカムモノリスを形成する方法が、本出願の譲受人に共に譲渡された米国特許第5258150号明細書に記載され、クレームされている。
【0023】
本発明の実施の形態によれば、図4に示されているように、第1の端面18または第2の端面20のいずれかがマスク28により被覆され、ここで、被覆工程は、それぞれ本出願の譲受人に共に譲渡され、引用によりその全てが包含される、特許文献4および米国特許第6673300号明細書に記載されたプロセスによりマスク28を形成する工程を含む。図示された実例において、第1の端面18は、熱可塑性材料、好ましくはポリエステルまたはPET材料から形成された、接着剤付きの粘着性の薄い透明または半透明フイルムを含むマスク28により被覆されている。しかしながら、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリウレタンなどの他の材料を用いてもよい。先に挙げられた文献に記載されているように、光学像分析器により制御された開口部形成手段(例えば、レーザ)によって、セルチャンネル22の選択された第2のサブセット26に対応する開口部がマスクに開けられている。
【0024】
例示のマスク28は、外面34と内面36との間に延在する開口部30を備えた、外面34と反対の内面36を持つ中央本体32を含む。開口部30は、閉塞材料を装填すべきセルチャンネル22の第2のサブセット26の端部と一致するように、本体32内に位置している。開口部30は、セルチャンネル22の第2のサブセット26の開放端を露出するような適切なサイズであるが、セルチャンネル22の隣接する第1のサブセット24を露出するほどは大きくないことが好ましい。所望であれば、いくつかの隣接するセルチャンネル22を露出するように、より大きな開口部を設けても差し支えないことも留意すべきである。マスク28は、第1の端面18の外縁16から外側に半径方向に延在する外縁38および外周部40を含む。
【0025】
マスク28の本体32は、マスク28を適所に保持するために、ハニカム構造体10の壁14の交差するマトリクスに付着している。マスクは、アクリル系接着剤または任意の同様な接着剤物質によって接着することができる。その接着剤は、ある実施の形態においては、構造体10にこのマスクを配置する前に、マスク28に塗布される。
【0026】
次の工程は、セルチャンネル22の選択されたサブセット内に栓を形成する工程を含む。図5に示されたある実施の形態において、PETからなることが好ましい薄いフイルム材料42が、メチルセルロースなどの水性結合剤、可塑剤および水を含むセラミック原料を含むことが好ましい閉塞材料44の栓、例えば、平らなパテにより被覆される。フイルム材料42は、以下に説明するように、それぞれ、構造体10の外縁16から外側に延在する、外周部46および外縁48を含む。図示されているように、閉塞材料44は、フイルム材料42の外周部46に閉塞材料44がないように、フイルム材料42に関して位置付けられている。図示された実例において、閉塞材料44は、均一な厚さの平らなパテの形態で設けられているが、様々な厚さを用いてもよい。
【0027】
閉塞材料44をその上に有するフイルム材料42は、図6および7に示されるように、第1のクランプ部分52および第2のクランプ部分54を有するクランプアセンブリ51により囲まれた、平面状であることが好ましいピストン50を含むサーボ駆動式ピストンに基づく閉塞装置上に位置している。ピストン50は、閉塞されているハニカム構造体に対応するような形状であり、おおよそその構造体に匹敵するサイズのものである。クランプアセンブリ51の第1と第2のクランプ部分52,54を用いて、マスク28の外周部40をフイルム材料42の外周部46で封止する。矢印60により示されたようなある方向の力がピストン50によってフイルム材料42に印加され、それによって、閉塞材料44をマスク28の開口部30に押し通し、ハニカム構造体10のセルチャンネル22のサブセット26を装填し(図7)複数の栓62を形成する。
【0028】
図7に最もよく示されているある実例において、過剰の閉塞材料44は、矢印64により示された方向に、ハニカム構造体10の第1の端面18に亘り側方に移動せしめられ、マスク28の外周部40およびフイルム材料42の外周部46により画成され、クランプアセンブリ51およびピストン50の間に位置するようなポケット66内に保持され、それによって、過剰な閉塞材料がハニカム構造体10の外壁15に沿って広がるのを防ぐ。次いで、このピストン50は、ハニカム構造体10の第1の端面18から引っ込められ、マスク28およびフイルム材料42がハニカム構造体の端部から取り外される。次いで、ハニカム構造体10を、関連する閉塞装置内から取り出してもよい。ハニカム構造体10は、垂直および水平を含む、閉塞プロセス中の任意の方向に位置付けられてもよいことに留意すべきであり、第2の端面20に位置するセルチャンネル22の第2のサブセット26をセルチャンネル22の第1のサブセット24と同時に閉塞し、それによって、閉塞プロセスの全体のサイクル時間を著しく減少させてもよいことに留意すべきである。
【0029】
本発明の方法は、既存のセメント組成物およびレオロジーを用いてもよく、レーザで切断されたポリマーマスクに使用するのに適合しており、栓の長さのばらつきを減少し、栓の詰め損ないを最小にし、閉塞材料が施されるセルチャンネルから閉塞材料が溢れるのをなくす。本発明の方法は、繰り返し性と精度が非常に高く、容易に施され、ハニカム構造体の意図しない変形を減少し、提案された使用のために特にうまく適合している。
【0030】
本発明のさらに別の実施の形態を、図8〜19を参照して説明する。図8に示されている、ハニカム構造体10を閉塞するための装置80を説明する。装置80は、その第1の端面18に付着した透明または半透明のマスク28を有するそのような構造体10の高速閉塞に有用である。さらに、基体10は、第2の端面20に別のマスク(図示せず)を有していても差し支えない。装置80は、ある体積の閉塞材料44、第1のクランプ部分52および第2のクランプ部分54を含む。両方のクランプ部分52,54は協働して、マスク28の外周部40を開放可能に締め付ける。
【0031】
マスク28の外周部40は、ハニカム構造体10の外縁16から外方に半径方向に延在している。マスク28の一部分が、構造体10に配置され(付着され)ている間に外縁16を超えて半径方向に延在しているときに、マスク28は、外縁16から外方に半径方向に延在している。ある実施の形態において、マスク28は、構造体10の外縁16を約1インチ(2.54cm)超えて延在しているが、外周部40を確実に締め付けるのに十分な任意の距離だけ延在して差し支えない。
【0032】
装置80内では、ある体積の閉塞材料44が閉塞準備チャンバ84内に収容されている。閉塞準備チャンバ84は、構造体10の第1の端面18の形状にほぼ似ている形状、例えば、円形または楕円形を有している。閉塞準備チャンバ84はある体積の閉塞材料44を収容しており、少なくともその一部は、構造体10内に栓62を形成するために提供される(図11参照)。ある実施の形態において、閉塞準備チャンバ84は、閉塞材料44のパテを形成するようなサイズである。閉塞準備チャンバ84内の閉塞材料44のパテは、閉塞材料44の圧縮性の影響を最小にするために厚さが実質的に均一である。このことは、構造体10内に均一な深さの栓62を形成するのに役立つ。
【0033】
例示の実施の形態において、閉塞準備チャンバ84は、約1/2インチ(1.27cm)の深さを有する。あるいは、閉塞準備チャンバ84は、全断面積が充填されるのに十分な閉塞材料44を確実に流動させるのに十分に大きい任意の深さを有していて差し支えない。また、閉塞準備チャンバ84は、構造体10が水平の向きで閉塞される場合、閉塞材料44のスランプ(slumping)の発生を最小にするのに十分に小さいべきである。スランプは、閉塞材料44の液体の性質のために生じる。この装置が、新しい構造体10を装填している間に開いているときに、閉塞材料44を閉塞準備チャンバ84内に保持するものは何もない。したがって、十分な時間があると、閉塞材料44は、閉塞準備チャンバ84から流れ出し始め、閉塞準備チャンバ84内の閉塞材料44の表面86にスランプが生じる。それゆえ、閉塞すべき次の構造体のマスク28を、先に閉塞した構造体を取り出した後直ちに、クランプ部分52,54の間に迅速に封止すべきであることが明らかであろう。
【0034】
貯蔵部45が、閉塞準備チャンバ84と接続されていることが好ましく、これもまた閉塞材料44を収容している。動作において、ピストン50により貯蔵部45内の材料44が流動制御部材74内のアライメントされた通路75(図11参照)を通過させられる。ピストン50の動きによって、閉塞材料44が閉塞準備チャンバ84を補充するように移動させられる。閉塞準備チャンバ84中に押し入れられた閉塞材料44は、それに付随して、ほぼ同じ量の閉塞材料44を閉塞準備チャンバ84から押し出して、構造体10の選択されたチャンネルを所望の栓の深さだけ充填する。ピストン50は、例えば、ピストン50と可動性フレーム94との間に取り付けられた作動装置57によって、矢印81の方向に動く。
【0035】
貯蔵部45と閉塞準備チャンバ84との間の閉塞材料44の流動は、流動制御部材74の通路75a,75bの整合とずれにより制御される。ある実施の形態において、流動制御部材は、可動性シャッタープレートなどの可動性部材76、および静止部材71、好ましくは閉塞準備チャンバ84の壁を備えている。流動制御部材74を通って流動するためには、可動性部材76は、第1の位置に動かされ(図11)、ここで、複数の開口部75aが、閉塞準備チャンバ84の壁に形成された同数の開口部75bと実質的に整合される。
【0036】
ここで、図18を参照すると、ある例示の実施の形態において、可動性部材76と静止部材71内に形成された開口部75a,75bは円形であるのが示されている。開口部75a,75bは、約5/16インチ(0.79cm)の等間隔「a」だけ離れていることが好ましく、約1/4インチ(0.64cm)の直径「b」を有する。あるいは、開口部75a,75bは、閉塞材料44がそこを通って流動できるが、それでもまだ、ずらされたときに、材料44の流動を十分に止めることができる、任意のサイズ、形状または空間的に近接しているものであって差し支えない。ある好ましい実施の形態において、可動性部材76および静止部材71の開口部75a,75bは、それらの部材の可能な表面の約25パーセントを覆う。ここで、100パーセントの被覆は、閉塞中に閉塞材料44の全てが全く遮断されていないことに等しい。ある実施の形態において、可動性部材76の開口部75aは、静止部材71の開口部と実質的に同じであり、閉塞材料44が貯蔵部45から閉塞準備チャンバ84へ滑らかに移行できる。
【0037】
閉塞材料44の閉塞準備チャンバ84への移行を停止するために、可動性部材76が第2の位置に動かされ、ここで、可動性部材76の開口部75aと静止部材71の開口部75bがずらされている(図8参照)。可動性部材76は、矢印73の方向に直線的に摺動可能であり(図11)、作動装置77の助けにより動く。ある実施の形態において、可動性部材76は、0.5インチ(1.27cm)未満、好ましくは1/4インチ(0.63cm)動き、停止を完了するのに1秒未満しかかからない。可動性部材76と静止部材71との間で複数の開口部75a,75bをずらした後、貯蔵部に閉塞材料44を補充することができる。
【0038】
動作において、流動制御部材74が開かれ、次いで、ピストン50が構造体10に向かって動く。ピストン50が一旦、閉塞材料44を構造体10中に押し入れ始めたら、ピストン50は、栓62が所望の深さに到達するまで停止しない。これは、均一な深さの栓62を形成するのに役立つ。
【0039】
ピストン50が一旦、閉塞材料44の所望の部分を構造体10内の所望の深さまで押し入れたら、ピストン50は停止し、わずかに引っ込められて、閉塞プロセスにより蓄積した圧力を解放させる。ピストン50は、閉塞材料44によるピストン50に対する力を測定するセンサ(図示せず)を有している。ピストン50に対する閉塞材料44の力が一旦、ゼロ以下に到達したら、ピストン50は停止される。この時点で、圧力が解放され、可動性部材76は、貯蔵部45と閉塞準備チャンバ84との間で開口部75a,75bを閉じる(ずらす)ように作動させられる。可動性部材76が一旦、開口部を閉じたら、ハニカム構造体10は、最初に閉塞準備チャンバ84を分離し、それに隣接する閉塞材料44を切断することによって、閉塞準備チャンバ84から取り外すことができる。流動制御部材74が一旦閉じられたら、貯蔵部45に閉塞材料44を補充することができる。貯蔵部45を補充するために、閉塞材料44の加圧供給源47(図8)が貯蔵部45に連結されている。ピストン50が引っ込められているときに、バルブが開かれて、閉塞材料44が貯蔵部45中に流入できる。
【0040】
閉塞材料44のハニカム構造体10中への貫入深さ(すなわち、栓62の長さ)は多くの変数により制御される。そのような制御の1つは、作動装置57の速度と、それにより生じた圧力および流量である。ある実施の形態において、構造体10中への閉塞材料44の均一な流れを得るために、ピストン50は2mm/秒未満の速度で動かされ、閉塞材料44に約100および750psi(約690kPaおよび5.2MPa)の間の圧力が生じる。栓の深さのさらに別の制御は、閉塞材料44の粘度を制御することによって行ってもよい。閉塞材料44の粘度は、構造体を水平に閉塞するときに、スランプの発生を制御することに限られる。
【0041】
ここで図11を参照すると、好ましい実施において、第1のクランプ部分52は、閉塞準備チャンバ84の周りに位置し、その外周部を取り囲む第1の表面53を有している。同様に、第2のクランプ部分54は第2の表面55を有しており、この第2の表面55は、第1の表面53とほぼ向かい合って、それに対して平行であることが好ましい。ある実施の形態において、第2のクランプ部分54は、マスク28を締め付けている間のシールを改善するために変形されられるエラストマーまたはポリマー材料、好ましくはポリウレタンの従順(compliant)面96を有する。マスクを締め付けるために、第1の表面53は、マスク28の外周部40と接触させられる。第2の表面55も同様に、マスク28の外周部40と接触させられる。それらの表面は、閉塞材料44の移行工程中に、材料が構造体10の側面に漏れたり、表面53とマスク28との間から漏れたりするのが防がれるように、閉塞準備チャンバ84を封止するのに十分な力で、マスク28を圧縮する。もちろん、第1と第2の表面53,55は、平面または平行である必要はなく、封止を達成する任意の構成を用いてよい。
【0042】
図9〜10に示されているようなある実施の形態において、第2のクランプ部分54は、構造体10の外周を実質的に取り囲むリングを備えている。第2のクランプ部分54の内周は、ハニカム構造体10の外縁16よりも半径方向に大きいことが好ましい。第2のクランプ部分54の内周と、構造体10の外縁16との間に形成された間隙83は、構造体10の外縁16の近くの栓62の貫入深さを制御するために制御できる。間隙83が大きいと、外縁16の近くの栓62は短くなり、間隙83が小さいと、栓62が長くなる。したがって、ある実例において、間隙83は、外縁16近くの栓62は他の栓62と実質的に同じ深さであり、構造体全体に亘って栓の深さが均一になるように設定される。ある実例において、間隙83は、0.1インチ(2.54mm)と0.5インチ(12.7mm)の間であり、約0.25インチ(6.4mm)であることが好ましい。
【0043】
図9および10に示されているように、第2のクランプ部分54は、構造体10を中に配置することのできるある様式で分離できるツーピースを含むことが好ましい。ある実例において、第2のクランプ部分54は、ヒンジ92を使用して開く。別の実例において、第2のクランプ部分54は、クレビスにおけるように、反対の直線方向に2つの部品を摺動させることにより開く。動作において、部分54が開かれ、その端面18にマスク28が付着した構造体10をその中に挿入する。
【0044】
さらに、構造体10を閉塞する前に、位置決め装置90によって、構造体10を、垂直方向と横方向に、ある体積の閉塞材料44に対して位置決めしなければならない。位置決め装置90は、伸びたり引っ込んだりする(図8において紙面の奥へと手前に)可動性フレーム72上にある。あるいは、位置決め装置90は、静止位置に予めセットされ、よって、ハニカム構造体10を位置決め装置90上に配置することができ、次いで閉塞のために正確な位置に置かれてもよい。
【0045】
ここで図17を参照する。位置決め装置90は、移動と閉塞の最中に構造体10を固定するための位置締めクランプ91を備えることが好ましい。位置決めクランプ91は、矢印99の方向に上下に動いて、構造体10を解放したり固定したりする。ある実施の形態において、位置決めクランプ91は、構造体10に対する衝撃を吸収しそれを把持するためのエラストマーまたはポリマー材料の従順面96を備え、構造体10の形状とほぼ同じ外形をしている。位置決め装置90は、ある実施の形態において、支持フレーム72に取り付けられたローラ92を備え、楕円形の構造体10が重力を用いて回転により中央に置かれることができる。別の実施の形態において、位置決め装置90は、円形の構造体10を保持するためのV字形把持具を備えている。
【0046】
動作において、位置決めクランプ91を備えた位置決め装置90が伸び、位置決めクランプ91がハニカム構造体10から引っ込められ(図17参照)て、ハニカム構造体10を位置決め装置90上に配置することができる。作動装置または他の適切な手段を用いて、位置決め装置90および位置決めクランプ91を移動させてもよい。構造体10が一旦位置決め装置90上に配置されたら、位置決めクランプ91が閉じられて、位置決め装置90の移動中に構造体10を固定する。次いで、位置決め装置90は、構造体10の第1の端面18が閉塞準備チャンバ84と軸方向にアライメントされるように、ハニカム構造体10を閉塞準備チャンバ84に対して方向付ける。あるいは、手作業によるものを含む、構造体10をある体積の閉塞材料44に対して位置決めする任意の適切な方法を実施しても差し支えない。位置決め装置90による構造体10の移動中、第2のクランプ部分54を開いて、構造体10を受け入れる。構造体10が閉塞準備チャンバと一旦アライメントされたら、クランプ部分54が構造体10の周りで閉じられる。
【0047】
再度図8を参照する。閉塞プロセス中のハニカム構造体10の動きを制限するために、装置80はさらに補助部材88を備えており、この部材は引っ込み可能であることが好ましい。構造体10は、支持されていないと、閉塞中に遭遇する高圧のために、動いてしまう。補助部材88は、第2の端面20に対する衝撃を吸収するエラストマーまたはポリマー材料の従順面85を含むことによって、また第2の端面20に亘り均一な圧力を与えることによって、構造体10を保護する。作動装置93または他の適切な手段を用いて、補助部材88の位置を矢印95に沿って移動させ、引っ込めてもよい。作動装置93は、補助部材88を装置80の第1のフレーム70に対して動かし、それによって、構造体10が閉塞されているときに、その部材を位置決めして、構造体10の第2の端面20(マスク28が付着されていてもよい)に接触させる。
【0048】
装置80は、矢印97の方向に動く可動性フレーム94も備えていてもよい。可動性フレーム94は、閉塞準備チャンバ84、貯蔵部45、流動制御部材74およびピストン50を保持する。構造体10と係合するために、可動性フレーム94は、閉塞準備チャンバ84を動かして、ハニカム構造体10のマスク28と接触させる。次いで、フレーム94は、マスクの外周部40が図11に示されるように第1の表面53と第2の表面55との間に締め付けられるように、構造体10およびマスク28を押す。締め付け中、マスク28の外周部40の少なくとも一部分は、マスク28の内面36の接着剤のために、第2のクランプ部分54の第2の表面に付着する。マスク28が一旦締め付けられたら、そのマスクは第1のクランプ部分52の表面53に対して封止され、それによって、閉塞準備チャンバ84を封止し、図11に示されるように栓62を形成するために、閉塞材料44のマスクの開口部30を通した移動のためのアセンブリの準備ができる。動作において、構造体10がマスク28を締め付けるために押し戻されたときに、構造体10の第2の端面20も補助部材88と接触する。さらに、位置決めクランプ91を開いて、構造体10を位置決め装置90上で摺動させてもよい。構造体10が一旦閉塞位置に入ったら、位置決めクランプ91を動かして構造体10を再度固定する。
【0049】
図12に示されるように、本発明のさらに別の実施の形態によれば、ハニカム構造体10を閉塞する方法は、ハニカム構造体10の第1の端面18にマスク28を付着させ、ある体積の閉塞材料44を提供し、マスク28の外周部40を締め付け、閉塞材料44の一部分をハニカム構造体10中に移行させる各工程を有してなる。
【0050】
本発明の別の態様によれば、図16に示されるように、ハニカム構造体10を閉塞する方法が提供される。本発明の方法は、ハニカム構造体10を閉塞材料44の閉塞準備チャンバ84に隣接して方向付け、閉塞材料44の少なくともある程度をハニカム構造体10中に移行させ、閉塞材料44を切断して、閉塞準備チャンバ84内の閉塞材料44上に実質的に平らな表面を形成する各工程を有してなる。ある実施の形態において、閉塞材料44を構造体中に移行させる工程を、図8に示されているように、水平に向けられたハニカム構造体10に行う。
【0051】
移行工程が一旦行われ、可動性部材76が貯蔵部45を閉じた後、閉塞準備チャンバ84がマスク28およびハニカム構造体10から分離され、それによって、図14に示されるような間隙89が形成される。可動性フレーム94は、作動装置78によりフレーム70に対して動くことによって、分離を行う。分離の工程により、後の切断工程のために閉塞材料の準備ができる。本発明の実施の形態によれば、分離、すなわち、間隙89は、切断工程中に1/4インチ(6.4mm)以下であり、約3mmであることが好ましい。
【0052】
分離工程が完了した後、マスク28の外面34に隣接して方向付けられている切断部材98、好ましくはワイヤーが作動され、閉塞材料44を通して動かされてそれを切断する。あるいは、切断部材98は、ナイフまたは閉塞準備チャンバ84内の閉塞材料44に実質的に平らな表面を形成するのに適した任意の他の形状として形成されていても差し支えない。切断部材98は、2つの搭載ブロック87の間に移動可能に取り付けられていることが好ましく(図13)、各ブロックはそれぞれの作動装置79によって動かされる。あるいは、切断部材98は、手作業によるものを含む、任意の適切な様式で閉塞材料を横切って動かされても差し支えない。
【0053】
作動装置79は、搭載ブロック87を、それゆえ、ワイヤ98を矢印82の方向に動かし、そのワイヤを閉塞材料44を実質的に完全に通して、好ましくは頂部から底部まで、通過させる。切断部材98は、閉塞材料44のチャンバ、好ましくは閉塞準備チャンバに隣接して動かされるが、閉塞および閉塞材料の収容のために使用できる任意のチャンバでもよい。切断部材98が第1の表面53に近接し、マスク28に隣接して切断を行うことが好ましい。ある実例において、切断部材98は、切断中に第1の表面53に接触し、それによって、第1の表面53と同じ平面にある閉塞材料44の表面86を確実に形成する。次いで、表面86は、ハニカム構造体10の別の端部に、またはそうでなければ閉塞すべき次の構造体に直接移送される準備ができている。切断工程は、0.75mm/秒と5mm/秒の間で行われることが好ましい。ある実施の形態において、切断部材98は、直径が約0.032インチ(約0.81mm)であり、硬化ステンレス鋼ミュージック・ワイヤ、または閉塞材料44を通る移動に耐えられる適切な引張強度を持つ他の材料から製造されている。切断部材98が閉塞材料44を通過した後、切断部材98が定位置に戻るように引っ込められたときに(図13)、部材98が表面86と接触しないように、その部材は、形成された表面86から離して動かされる。切断されている際に、閉塞された構造体10は、クランプ91を引っ込め、第2のクランプ部分54を開き、補助部材88を引っ込めることによって、位置決め装置90から取り外してもよい。
【0054】
切断工程により、閉塞準備チャンバ84内の閉塞材料44の残りの部分に、平面、すなわち、実質的に平らな表面86が形成される。これにより、閉塞準備チャンバ84は、次の構造体の閉塞動作の準備ができている。「実質的に平ら」という用語は、表面86に亘り平均からの変動が、切断の直後に2mm以下、より好ましくは1mm未満しかばらつかないことを意味する。さらに、切断工程により、マスク28の外面34上に閉塞材料44が0.25インチ(6.4mm)未満の厚さ「t」しか残らない。
【0055】
各切断の通過後、切断部材98を洗浄することが好ましい。洗浄プロセスは、ある実例において、図13および15に示されているように、流体56を含む容器59中に切断部材98を通過させ、切断部材98を洗浄することによって行われる。流体56は、水または閉塞材料44を洗い流すまたは溶解させる任意の他の溶剤であることが好ましい。必要に応じて、洗浄工程は、切断部材98を流体の高圧流に施す様式で、流体の強制撹拌または容器59中への流動を含む。あるいは、洗浄工程は、図19に示したようなスクレーパ100などの洗浄部材を用いて行ってもよい。スクレーパ100は、矢印101の方向に動かすことによって、切断部材98の周りに締め付けられる。次いで、スクレーパ100を切断部材98の長手方向に沿って動かし、それによって、部材98から任意の閉塞材料44をすくい取る。切断部材98の搭載ブロック87(図13)に到達した際に、閉塞材料44を、スクレーパ100および切断部材98から、吹き落とし、または他の様式で落としてもよい。
【0056】
これまでの説明において、ここに開示した概念から逸脱せずに、ハニカム構造体を閉塞するための方法および装置に改変を行ってもよいことが当業者には容易に認識されよう。そのような改変は、特許請求の範囲に別記されていない限り、その範囲に含まれるものと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲に関して考えられるべきであり、明細書および図面に示され、説明された構造体および動作の詳細に制限されるものではないと理解されるであろう。
【符号の説明】
【0057】
10 ハニカム構造体
14 多孔質壁
15 外壁
28 マスク
30 開口部
42 フイルム材料
44 閉塞材料
50 ピストン
62 栓
74 流動制御部材
80 装置
84 閉塞準備チャンバ
90 位置決め装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカム構造体を閉塞する方法であって、
マスクが前記ハニカム構造体の外縁を半径方向に超えて延在する外周部を有するように、該マスクを該ハニカム構造体の第1の端面に付着させる工程、
ある体積の閉塞材料を提供する工程、
前記マスクの外周部の少なくとも一部分を、第1のクランプ部分および第2のクランプ部分の間に締め付ける工程、および
前記閉塞材料の少なくとも一部を前記ハニカム構造体中に移行させる工程、
前記閉塞材料に力を印加して、前記閉塞材料を前記マスクに通して前記ハニカム構造体中に押し込む工程、を有してなる方法。
【請求項2】
前記ある体積の閉塞材料の少なくとも一部を収容するための閉塞準備チャンバを提供する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1のクランプ部分が前記閉塞準備チャンバに隣接して位置していることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
封止を改善するために、前記第2のクランプ部分上の従順面を変形させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ハニカム構造体をその中に挿入できるように第2のクランプ部分を開く工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記マスクの外周部の少なくとも一部分を前記第2のクランプ部分に付着させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ハニカム構造体が、該ハニカム構造体の第2の端面に均一な圧力を印加することによって、移動しないようにされており、該第2の端面が前記第1の端面の反対にあることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記移行工程が、前記閉塞材料を前記ハニカム構造体中に押し入れるピストンにより行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記締め付け工程が、前記閉塞材料の前記ハニカム構造体の側面への流動を防ぐことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項10】
ハニカム構造体を、該ハニカム構造体の端面に付着したマスクを用いて閉塞するための装置であって、
ある体積の閉塞材料、
第1のクランプ部分、
前記ハニカム構造体の外縁から外方に半径方向に延在する前記マスクの外周部を解放可能に締め付けるための、前記第1のクランプ部分と協働する第2のクランプ部分、および
前記閉塞材料を前記マスクに通して前記ハニカム構造体中に押し込むように適合されているピストン、を備えた装置。
【請求項11】
前記ある体積の閉塞材料が閉塞準備チャンバ内に収容され、前記第1のクランプ部分が該閉塞準備チャンバの外周部の周りに位置する第1の表面であることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記第2のクランプ部分が、前記第1の表面にほぼ対向し、それに対して平行な第2の表面を含むことを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記第2のクランプ部分が、前記ハニカム構造体の外縁よりも半径方向に0.1インチと0.5インチ(2.54mmと12.7mm)の間だけ大きい内周を含むことを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項14】
閉塞中に前記ハニカム構造体を支持する補助部材をさらに含むことを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項15】
前記補助部材が引っ込められることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記第2のクランプ部分がツーピースからなることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項17】
前記第2のクランプ部分が前記ハニカム構造体の周りで閉じるように動作可能であることを特徴とする請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記ある体積の閉塞材料に対して前記ハニカム構造体を位置決めするための位置決め装置をさらに備えることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項19】
前記第2のクランプ部分が、ポリマー材料の従順面を含むことを特徴とする請求項10記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−111241(P2012−111241A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−63206(P2012−63206)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【分割の表示】特願2007−548239(P2007−548239)の分割
【原出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】