粒子画像分析装置用標準液
【課題】 粒子を撮像し、撮像された粒子画像から円形度を算出する粒子画像分析装置から得られる粒子の円形度の信頼性を保証するための標準液を提供することを目的とする。
【解決手段】 粒子画像分析装置用標準液は、粒子を撮像し、撮像した粒子像から円形度を算出する粒子画像分析装置用標準液であって、平均円形度が0.9〜1の範囲内であり、且つ、平均円形度の標準偏差が0.05以下である粒子を含有することを特徴とする。
【解決手段】 粒子画像分析装置用標準液は、粒子を撮像し、撮像した粒子像から円形度を算出する粒子画像分析装置用標準液であって、平均円形度が0.9〜1の範囲内であり、且つ、平均円形度の標準偏差が0.05以下である粒子を含有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子画像分析装置用標準粒子に関し、特に、撮像された粒子画像から円形度を算出する粒子画像分析装置用標準粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロー式粒子画像解析装置の測定データの信頼性を確保するためのフロー式粒子画像解析装置用標準液が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、連続的に流れている測定サンプル内に浮遊する粒子を光走査で検出し、さらに画像処理を行う装置に用いる標準液に於いて、粒子の濃度、大きさ、形状が任意に選択でき、染色液による染色が可能な人工的粒子を用いることが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−102152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたフロー式粒子画像解析装置用標準液は、粒子画像分析装置から得られる粒子の円形度の信頼性を保証するため標準液ではない。このように、粒子画像分析装置から得られる粒子の円形度の信頼性を保証するための標準液は存在しなかったため、粒子画像分析装置から得られる粒子の円形度の信頼性を確保することは難しかった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、粒子を撮像し、撮像された粒子画像から円形度を算出する粒子画像分析装置から得られる粒子の円形度の信頼性を保証するための標準液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粒子画像分析装置用標準液は、粒子を撮像し、撮像した粒子像から円形度を算出する粒子画像分析装置用標準液であって、平均円形度が0.9〜1の範囲内であり、且つ、平均円形度の標準偏差が0.05以下である粒子を含有することを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記粒子の平均円形度の変動係数が0.3%以内にあることが好ましい。
【0009】
さらに、前記粒子がラテックス粒子であることが好ましい。
【0010】
さらに、前記ラテックス粒子がポリスチレンラテックス粒子であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粒子画像分析装置用標準液は、粒子を撮像し、撮像した粒子像から円形度を算出する粒子画像分析装置用標準液であって、平均円形度が0.9〜1の範囲内であり、且つ、平均円形度の標準偏差が0.05以下である粒子を含有することを特徴とする。そのため、前記粒子の円形度は均一であり、前記粒子画像分析装置から得られ円形度の精度管理や校正に使用することが可能となり、前記粒子画像分析装置から得られる円形度のデータの信頼性を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の粒子画像分析装置用標準液を適用する粒子画像分析システム(粒子画像分析装置)の全体構成を示した斜視図であり、図2は、図1に示した粒子画像分析システムの概略図である。図3および図4は、図2に示した粒子画像分析システムの粒子画像処理装置における撮像部の構成を示した図である。図5は、図1に示した粒子画像分析システムの粒子画像処理装置の構成を示したブロック図である。まず、図1、図2および図5を参照して、粒子画像分析システム100の全体構成について説明する。この粒子画像分析システム100は、ファインセラミックス粒子や、顔料、化粧品パウダーなどの粉体(粒子)の品質を管理するために用いられる。また、この粒子画像分析システム100は、図1および図2に示すように、粒子画像処理装置1と、粒子画像処理装置1に電気信号線(本実施形態では、USB(Universal Serial Bus)2.0ケーブル)3を用いて電気的に接続される画像データ分析装置2とにより構成されている。
【0014】
粒子画像処理装置1は、液体中の粒子を撮像し、撮像された粒子画像に画像処理を施すために設けられている。この粒子画像処理装置1により撮像される粒子としては、たとえば、ファインセラミックス粒子、顔料、化粧品パウダーなどの粉体(粒子)が挙げられる。また、画像データ分析装置2は、粒子画像処理装置1により画像処理された粒子画像のデータを記憶および分析することにより、粒子の大きさや形状などを自動的に算出して表示するために設けられている。
【0015】
ここで、粒子画像処理装置1は、図1、図2および図5に示すように、粒子懸濁液の流れを撮像する撮像部1aと、全体画像から部分画像(粒子画像)の切り出し処理などを行う画像処理基板1bと、粒子画像処理装置1の制御を行うCPU基板1cとを備えている。
【0016】
撮像部1aは、図2および図3に示すように、試料液容器11と、透明な石英製のシースフローセル12と、光源としてのストロボランプ13と、CCDカメラ14と、シース液容器15と、シリンジポンプ16、17および18(図3参照)と、駆動機構部19および20(図3参照)と、排出液容器21とを含んでいる。撮像部1aのCCDカメラ14は、画像処理基板1bとケーブル4によって接続されている。
【0017】
試料液容器11は、上部が開放された漏斗形状を有しており、内部に試料液(粒子懸濁液)を貯留することが可能なように構成されている。試料液容器11とシースフローセル12との間の流路31には、図3に示すように、バルブ41が設けられている。また、試料液容器11には、試料液容器11内に貯留された試料液(粒子懸濁液)を攪拌するための攪拌装置22が取り付けられている。
【0018】
シースフローセル12は、粒子懸濁液の流れを、粒子懸濁液の両側を流れるシース液の流れで挟み込むことにより、偏平な流れに変換する機能を有している。このシースフローセル12は、図2および図4に示すように、外面の中央位置近傍に縦長形状の凹部12aを有している。シースフローセル12内を流れる粒子懸濁液は、シースフローセル12の凹部12aを介してCCDカメラ14により撮像されるように構成されている。シースフローセル12は、図3に示すように、流路32を介して、シリンジポンプ16に接続されている。また、シースフローセル12は、流路33および34を介して、シリンジポンプ18に接続されている。また、シースフローセル12は、流路33および35を介して、排出液容器21に接続されている。流路32および33には、それぞれ、バルブ42および43が設けられている。また、流路34および35には、それぞれ、バルブ44および45が設けられている。
【0019】
シース液容器15は、内部にシース液を貯留することが可能なように構成されている。このシース液容器15は、流路36および37を介して、シリンジポンプ16および17に接続されている。流路36および37には、それぞれ、バルブ46および47が設けられている。シリンジポンプ17は、流路38を介して、シリンジポンプ18に接続されている。
【0020】
駆動機構部19は、2つのシリンジポンプ16および18を連動して駆動させるために設けられている。この駆動機構部19は、ステッピングモータ19aと、ステッピングモータ19aの回転運動を直線運動に変換してシリンジポンプ16および18に伝達する駆動伝達部19bとを含んでいる。また、駆動機構部20は、シリンジポンプ17を駆動させるために設けられている。この駆動機構部20は、ステッピングモータ20aと、ステッピングモータ20aの回転運動を直線運動に変換してシリンジポンプ17に伝達する駆動伝達部20bとを含んでいる。
【0021】
また、シースフローセル12とCCDカメラ14との間には、ストロボランプ13により照射された粒子懸濁液中の粒子の光像を拡大するための対物レンズ23が設けられている。この対物レンズ23は、異なる拡大倍率を有する他の対物レンズ23と交換可能なように構成されている。これにより、測定可能な粒径の範囲を広くしている。すなわち、対物レンズ23の倍率を大きくすれば、CCDカメラ14による撮像エリアが小さくなる一方、小さな粒子をより大きく撮像することが可能である。また、対物レンズ23の倍率を小さくすれば、CCDカメラ14による撮像エリアが大きくなるので、大きな粒子を撮像するのに適している。
【0022】
次に、図2および図5を参照して、画像処理基板1bの構成について説明する。画像処理基板1bは、図5に示すように、CPU51と、ROM52と、メインメモリ53と、画像処理プロセッサ54と、フレームバッファ55と、フィルタテスト用メモリ56と、バックグラウンド補正データ用メモリ57と、プライムコードデータ格納用メモリ58と、頂点データ格納用メモリ59と、結果データ格納用メモリ60と、画像入力インタフェース61と、USBインタフェース62とにより構成されている。CPU51、ROM5
2、メインメモリ53および画像処理プロセッサ54は、互いにデータの送受信が可能なようにバス(BUS)により接続されている。また、画像処理プロセッサ54は、フレームバッファ55、フィルタテスト用メモリ56、バックグラウンド補正データ用メモリ57、プライムコードデータ格納用メモリ58、頂点データ格納用メモリ59、結果データ格納用メモリ60および画像入力インタフェース61と、それぞれ、個別のバス(BUS)により接続されている。これにより、画像処理プロセッサ54から、フレームバッファ55、フィルタテスト用メモリ56、バックグラウンド補正データ用メモリ57、プライムコードデータ格納用メモリ58、頂点データ格納用メモリ59および結果データ格納用メモリ60へ、それぞれ、データの読み出し、および書き込みが可能になるとともに、画像入力インタフェース61から画像処理プロセッサ54へデータの入力が可能になる。このような画像処理基板1bのCPU51は、PCIバスを介してUSBインタフェース62に接続されている。USBインタフェース62は、図示しないUSB/RS−232c変換器を介してCPU基板1cに接続されている。
【0023】
CPU51は、ROM52に記憶されているコンピュータプログラムと、メインメモリ53にロードされたコンピュータプログラムとを実行する機能を有している。ROM52は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどにより構成されている。このROM52には、CPU51により実行されるコンピュータプログラムや、コンピュータプログラムに用いるデータなどが記録されている。メインメモリ53は、SRAMまたはDRAMなどにより構成されている。このメインメモリ53は、ROM52に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられるとともに、コンピュータプログラムをCPU51が実行する際のCPU51の作業領域として使用される。
【0024】
画像処理プロセッサ54は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などにより構成されている。この画像処理プロセッサ54は、メディアンフィルタ処理回路、ラプラシアンフィルタ処理回路、2値化処理回路、エッジトレース処理回路、重なりチェック処理回路、結果データ作成回路などの画像処理を実行可能なハードウェアを備える画像処理専用のプロセッサである。フレームバッファ55、フィルタテスト用メモリ56、バックグラウンド補正データ用メモリ57、プライムコードデータ格納用メモリ58、頂点データ格納用メモリ59および結果データ格納用メモリ60は、それぞれ、SRAMやDRAMなどにより構成されている。これらのフレームバッファ55、フィルタテスト用メモリ56、バックグラウンド補正データ用メモリ57、プライムコードデータ格納用メモリ58、頂点データ格納用メモリ59および結果データ格納用メモリ60は、画像処理プロセッサ54が画像処理を実行する際のデータの格納用として使用される。
【0025】
画像入力インタフェース61は、A/D変換器を含むビデオデジタイズ回路(図示せず)を備えている。この画像入力インタフェース61は、図2に示すように、ビデオ信号ケーブル4によってCCDカメラ14に電気的に接続されている。これにより、CCDカメラ14から入力されたビデオ信号は、画像入力インタフェース61(図5参照)でA/D変換される。そして、デジタル化された画像データ(粒子画像)は、フレームバッファ55に格納されるように構成されている。USBインタフェース62は、CPU基板1cと図示しないUSB/RS−232c変換器を介して接続されている。また、USBインタフェース62は、電気信号線(USB2.0ケーブル)3によって画像データ分析装置2に接続されている。CPU基板1cは、CPU、ROMおよびRAMなどにより構成されており、粒子画像処理装置1を制御する機能を有している。
【0026】
画像データ分析装置2は、図1および図2に示すように、画像表示部2aと、CPU、ROM、RAMおよびハードディスクなどを備えた装置本体としての画像データ処理部2bと、キーボードなどの入力装置2cとを含むパーソナルコンピュータ(PC)により構成されている。画像データ処理部2bのハードディスクには、粒子画像処理装置1と通信することにより粒子画像処理装置1での処理結果に基づいて画像データの解析処理および統計処理を行うためのアプリケーションプログラムがインストールされている。このアプリケーションプログラムは、画像データ処理部2bのCPUにより実行されるように構成されている。
【0027】
図6は、図1に示した粒子画像分析システムの画像処理動作を説明するための概略図である。次に、図1〜図4および図6を参照して、本発明の一実施形態による粒子画像分析システム100の動作について説明する。
【0028】
まず、図1〜図3に示した粒子画像処理装置1の撮像部1aによる粒子の撮像を開始する前に、シース液容器15に収容されたシース液による流体経路の洗浄が行われる。具体的には、図3に示すように、シリンジポンプ16を、ピストンがシリンダから引き出された状態(吐出動作可能状態)にするとともに、シリンジポンプ17および18を、ピストンがシリンダ内へ押し込まれた状態(吸引動作可能状態)にする。この状態を初期状態とする。また、初期状態では、すべてのバルブ41〜47が閉じられた状態(遮断状態)になっている。
【0029】
次に、上記した初期状態から、バルブ42、43、45および46が開放される。このとき、シース液容器15には予め陽圧が印加されているので、シース液容器15内に収容されているシース液は、バルブ46、シリンジポンプ16、バルブ42、シースフローセル12、バルブ43およびバルブ45を通過して排出液容器21内へ排出される。これにより、シース液容器15から、バルブ46、シリンジポンプ16、バルブ42、シースフローセル12、バルブ43およびバルブ45を介して排出液容器21へ至る流体経路がシース液により洗浄される。そして、バルブ42、43、45および46が再度閉じられる。これにより、シース液がシリンジポンプ16に充填される。
【0030】
次に、バルブ44、45および47が開放される。これにより、シース液容器15内に収容されているシース液は、バルブ47、シリンジポンプ17、シリンジポンプ18、バルブ44およびバルブ45を通過して排出液容器21内へ排出される。これにより、シース液容器15から、バルブ47、シリンジポンプ17、シリンジポンプ18、バルブ44およびバルブ45を介して排出液容器21へ至る流体経路がシース液により洗浄される。そして、バルブ44、45および47が再度閉じられる。
【0031】
次に、バックグラウンド補正データを生成するためのバックグラウンド補正用画像の撮像が行われる。具体的には、シースフローセル12にシース液のみを供給した状態で、ストロボランプ13からパルス光を照射し、CCDカメラ14により撮像する。すなわち、バルブ42〜44が開放され、駆動機構部19のステッピングモータ19aが駆動される。これにより、シリンジポンプ16が流量Qのシース液の吐出動作を行うとともに、シリンジポンプ18が流量Qのシース液の吸引動作を行う。これによって、シースフローセル12に、シリンジポンプ16から流量Qのシース液が流入する。このとき、バルブ41が遮断状態にあるので、試料液容器11内の試料液(粒子懸濁液)がシースフローセル12に流入することはない。そして、シースフローセル12内をシース液が上方から下方に向かって流れる。そして、流量Qのシース液が、シースフローセル12から排出されて、シリンジポンプ18に吸引される。
【0032】
このとき、シースフローセル12内のシース液の流れに対して、ストロボランプ13からパルス光を1/60秒毎に周期的に照射する。これによって、粒子がシースフローセル12内を通過していない状態の1/60秒毎の静止画像(バックグラウンド補正用画像)が、対物レンズ23を介してCCDカメラ14により撮像される。そして、粒子が写っていない状態の複数のバックグラウンド補正用画像を画像処理基板1bに取り込む。これにより、図6に示すように、1つのバックグラウンド補正データを生成する。そして、画像処理基板1bでは、バックグラウンド補正データをバックグラウンド補正データ用メモリ57(図5参照)に格納するとともに、電気信号線(USB2.0ケーブル)3を介して画像データ分析装置2の画像データ処理部2bに送信する。そして、画像データ分析装置2側では、受信したバックグラウンド補正データを画像データ処理部2b内のメモリに保存する。なお、このバックグラウンド補正データを生成する処理は、粒子の撮像開始前に1回だけ実行される。
【0033】
次に、撮像部1a(図2参照)による粒子の撮像が開始される。具体的には、図3に示すバルブ41〜44が開放され、駆動機構部19および20のステッピングモータ19aおよび20aが駆動される。これにより、シリンジポンプ16が流量Qのシース液の吐出動作を行うとともに、シリンジポンプ18および17が流量Qおよび流量Qsの吸引動作を行う。これによって、シースフローセル12に、シリンジポンプ16から流量Qのシース液が流入するとともに、試料液容器11から流量Qsの試料液(粒子懸濁液)が流入する。そして、試料液(粒子懸濁液)は、図4に示すように、シース液に両側を挟み込まれることにより流体力学的に偏平に絞られた状態で、シースフローセル12内を上方から下方に向かって流れる。そして、試料液(粒子懸濁液)とシース液とが混合された流量(Q+Qs)の混合液が、シースフローセル12から排出されて、図3に示すシリンジポンプ18および17に吸引される。
【0034】
このとき、シースフローセル12内で偏平に絞られた粒子懸濁液の流れに対して、ストロボランプ13からパルス光を1/60秒毎に周期的に照射する。このストロボランプ13からのパルス光の照射は、60秒間行われる。これによって、合計3600枚の粒子の静止画像が対物レンズ23を介してCCDカメラ14により撮像される。
【0035】
なお、半透明状の粒子を撮像する場合には、装置内に染色液を収容する染色液ボトルと、粒子を染色液で染色するための反応チャンバとを設けることにより、撮像前の粒子に対して適当な染色を施すのが好ましい。また、粒子の特性(粒径や比重)に応じて粒子を懸濁する溶媒を選択するのが好ましい。また、粒子懸濁液の特性(たとえば、溶媒の粘度や比重など)に応じて、シース液の粘度や比重を変更することが好ましい。これにより、容易に、粒子懸濁液の流れを偏平に絞り込むことが可能である。
【0036】
また、粒子懸濁液の流れの偏平な面をCCDカメラ14で撮像することにより、撮像される粒子の重心と、CCDカメラ14の撮像面との距離を実質的に一定にすることが可能である。これにより、粒子の大きさに関わらず常にピントの合った粒子像を得ることが可能である。
【0037】
また、試料を測定する前に、CCDカメラ14の撮像面との距離と撮像される粒子の重心との距離を調整し、ピントを調整する必要がある。ピント調整方法としては、特開平4−81640に開示されている技術が使用でき、均一な粒子を撮像してピント調整用評価値が最大になるように調整することにより、ピントを調整するものである。この方法を利用した自動焦点シーケンスのプログラムが、粒子画像分析システムの粒子画像処理装置1のメモリ(図示せず)に格納されている。
【0038】
そして、CCDカメラ14によって撮像された静止画像(粒子画像)は、ビデオ信号ケーブル4を介してビデオ信号として画像処理基板1b(図5参照)へ出力される。画像処理基板1bの画像入力インタフェース61では、CCDカメラ14(図2参照)からのビデオ信号をA/D変換することにより、デジタル化された画像データを生成する。図5に示す画像入力インタフェース61が出力した画像データは、転送されてフレームバッファ55に格納される。そして、フレームバッファ55に格納されたフレームデータに対して、図6に示すように、画像処理基板1bによる画像データからの部分画像(粒子画像)の切り出し処理と、画像データ処理部2bへの画像処理結果データの送信とが行われる。この場合、まず、画像処理基板1bの画像処理プロセッサ54(図5参照)による以下のような画像処理が実行される。
【0039】
図7は、図5に示した一実施形態による粒子画像処理装置の画像処理プロセッサの処理手順を示したフローチャートである。図8〜図14は、図5に示した一実施形態による粒子画像処理装置の画像処理プロセッサの処理方法を説明するための図である。図5〜図14を参照して、画像処理プロセッサ54による画像処理としては、ステップS1において、画像処理プロセッサ54は、フレームバッファ55に格納された粒子画像(画像データ)に対してノイズ除去処理を実行する。すなわち、画像処理プロセッサ54には、上記したように、メディアンフィルタ処理回路が設けられている。このメディアンフィルタ処理回路によるメディアンフィルタ処理を施すことによって、粒子画像中のゴミなどのノイズが除去される。このメディアンフィルタ処理は、注目画素およびその近傍の8画素を含む計9画素について、各々の輝度値(画素値)を数値の大きい(または、小さい)順に並べて、9画素の画素値のメディアン(中間値)を注目画素の画素値とする処理である。
【0040】
次に、ステップS2において、画像処理プロセッサ54は、粒子懸濁液の流れに対する照射光の強度むらを補正するためのバックグラウンド補正処理を実行する。すなわち、画像処理プロセッサ54には、上記したように、ラプラシアンフィルタ処理回路が設けられている。バックグラウンド補正処理では、ラプラシアンフィルタ処理回路によって、予め取得されてバックグラウンド補正データ用メモリ57に格納されているバックグラウンド補正データと、メディアンフィルタ処理後の粒子画像との比較演算を行い、粒子画像から大部分の背景画像を除去した補正画像を生成する。
【0041】
次に、ステップS3において、画像処理プロセッサ54は、輪郭強調処理を実行する。この輪郭強調処理においては、ラプラシアンフィルタ処理回路によるラプラシアンフィルタ処理が行われる。このラプラシアンフィルタ処理は、注目画素およびその近傍の8画素を含む計9画素について、各々の輝度値と、対応する所定の係数とを掛け合わせ、その乗算結果の和を注目画素の画素値とする処理である。図8に示すように、本実施形態においては、注目画素X(i,j)に対応する係数を「2」とし、注目画素と上下左右方向で隣接する4つの画素X(i,j−1)、X(i,j+1)、X(i−1,j)、および、X(i+1,j)に対応する係数を「−1/4」とし、注目画素と斜め方向で隣接する4つの画素X(i−1,j−1)、X(i+1,j−1)、X(i+1,j+1)、および、X(i−1,j+1)に対応する係数を「0」としている。そして、以下の式(1)によって、ラプラシアンフィルタ処理後の注目画素の画素値Y(i,j)を算出する。なお、以下の式(1)による演算の結果が255よりも大きい場合には255を出力し、式(1)による演算の結果が負の数となる場合には0を出力する。
Y(i,j) = 2×X(i,j)−0.25×(X(i,j−1)+X(i−1,j)+X(i,j+1)+X(i+1,j))+0.5 ・・・(1)
【0042】
次に、ステップS4において、画像処理プロセッサ54は、輪郭強調処理が施された後のデータに基づいて、2値化のスレッシュホールドレベル(2値化閾値)を設定する。すなわち、画像処理プロセッサ54のラプラシアンフィルタ回路には、2値化閾値設定処理を実行する輝度ヒストグラマ部が設けられている。まず、画像処理プロセッサ54は、ラプラシアンフィルタ処理後の画像データから輝度ヒストグラムを作成し、この輝度ヒストグラムに対して所定のスムージング処理を行う。そして、スムージング処理後の輝度ヒストグラムから最頻度輝度値を求めた後、この最頻度輝度値を用いて以下の式(2)によって2値化閾値を算出する。
2値化閾値 = 最頻度輝度値 × A + B ・・・(2)
なお、上記式(2)において、AおよびBは、設定可能なパラメータであり、本実施形態では、AおよびBのデフォルト値(既定値)は、それぞれ、「90%」および「0」である。
【0043】
次に、ステップS5において、画像処理プロセッサ54は、2値化閾値設定処理で設定
したスレッシュホールドレベル(2値化閾値)で、ラプラシアンフィルタ処理後の画像に対して2値化処理を行う。そして、ステップS6において、2値化処理が施された画像の各画素に対して、プライムコードおよび多重点情報を取得する。すなわち、画像処理プロセッサ54には、2値化処理回路が設けられている。この2値化処理回路によって、2値化処理およびプライムコード・多重点情報取得処理が実行される。なお、プライムコードとは、注目画素およびその近傍の8つの画素を含む計9画素について求められる2値化コードであり、以下のように定義される。プライムコードデータ格納用メモリ58は、図9に示すように、1ワード(11bit)中にプライムコード格納領域58aおよび多重点数格納領域58bの2つの領域を含んでいる。プライムコード格納領域58aは、図9中のbit0〜bit7で示す8bitの領域であり、多重点数領域58bは、図9中のbit8〜bit10で示す3bitの領域である。次に、プライムコードの定義について説明する。図10に示すように、2値化処理された画像データのP0〜P8の9画素について、P1〜P3の画素値が0になっており、P0およびP4〜P8の画素値が1となっている。なお、P0〜P8の9画素に各々対応する輝度値が2値化閾値以上の場合には、P0〜P8の画素値が1となり、P0〜P8の9画素に各々対応する輝度値が2値化閾値未満の場合には、P0〜P8の画素値が0となる。この場合のプライムコードを説明する。注目画素P8以外の8つの画素P0〜P7は、プライムコード格納領域58aのbit0〜bit7に各々対応している。つまり、プライムコード格納領域58aは、下位ビット(bit0)から上位ビット(bit7)へ向けて、8つの画素P0〜P7の画素値が各々格納されるように構成されている。これにより、プライムコードは、2進数表記では11110001となり、16進数表記ではF1となる。なお、注目画素P8の画素値は、プライムコードには含まれない。
【0044】
また、注目画素とその近傍の8画素とによって構成される領域が、粒子像の境界の一部である場合、すなわち、プライムコードが2進数表記で00000000以外の場合には、多重点情報が求められる。多重点とは、後述するエッジトレースの際に何回通過する可能性があるかを示すコードであり、予めルックアップテーブル(図示せず)に全てのパターンに対応する多重点情報が記憶されている。そして、このルックアップテーブルを参照することによって多重点数が求められる。図11を参照して、P2およびP5〜P8の4画素の画素値が1であり、P0、P1、P3およびP4の4画素の画素値が0である場合には、図11中の矢印AおよびBで示すように、エッジトレースの際に注目画素P8を2回通過する可能性がある。したがって、注目画素P8は2重点となり、多重点数は2となる。この多重点数は、多重点数格納領域58bに格納される。
【0045】
次に、ステップS7において、画像処理プロセッサ54は、頂点データを作成する。この頂点データ作成処理も、上記した2値化処理およびプライムコード・多重点情報取得処理と同様、画像処理プロセッサ54に設けられた2値化処理回路によって実行される。頂点データとは、後述するエッジトレースを開始する予定の座標を示すデータである。注目画素およびその近傍の8画素を含む計9画素の領域が、以下の3つの条件(条件(1)〜条件(3))をすべて満たす場合にのみ頂点であると判断される。
条件(1)・・・注目画素P8の画素値が1である。
条件(2)・・・注目画素P8の上方の3画素(P1〜P3)、および、注目画素P8の左隣の1画素(P4)の画素値が0である。
条件(3)・・・注目画素P8の右隣の1画素(P0)、および、注目画素P8の下方の3画素(P5〜P7)のうち少なくとも1つの画素の画素値が1である。
画像処理プロセッサ54は、全画素の中から頂点に該当する画素を検索し、作成した頂点データ(頂点の位置を示す座標データ)を頂点データ格納用メモリ59に格納する。
【0046】
次に、ステップS8において、画像処理プロセッサ54は、エッジトレース処理を実行する。画像処理プロセッサ54には、上記したように、エッジトレース処理回路が設けられており、エッジトレース処理回路によりエッジトレース処理が実行される。このエッジトレース処理では、まず、頂点データからエッジトレースを開始する座標を特定し、この座標からプライムコードと、予め記憶されている進行方向を決定するためのコードとに基づいて、粒子像のエッジトレースを行う。そして、画像処理プロセッサ54は、エッジトレースの際に、各粒子像の面積値、直行カウント数、斜行カウント数、コーナカウント数および位置を算出する。ここで、粒子像の面積値とは、粒子像を構成する画素の総数、すなわち、エッジで囲まれた領域の内側に含まれる画素の総数をいう。また、直行カウント数とは、粒子像の3画素以上のエッジ画素が上下方向または左右方向に直線状に並ぶ場合に、その直線区間の両端のエッジ画素を除いたエッジ画素の総数をいう。すなわち、直行カウント数は、粒子像のエッジのうち、上下方向または左右方向へ延びた直線成分を構成するエッジ画素の総数のことである。また、斜行カウント数とは、粒子像の3画素以上のエッジ画素が斜め方向に直線状に並ぶ場合に、その斜め方向の直線区間の両端のエッジ画素を除いたエッジ画素の総数をいう。すなわち、斜行カウント数は、粒子像のエッジのうち、斜め方向へ延びた直線成分を構成するエッジ画素の総数のことである。また、コーナカウント数とは、粒子像のエッジ画素のうち、隣り合う複数のエッジ画素がそれぞれ異なる方向で接する(たとえば、一方のエッジ画素とは上方で隣り合い、他方のエッジ画素とは左方で隣り合う場合など)エッジ画素の総数をいう。すなわち、コーナカウント数は、粒子像のエッジのうち、コーナを構成するエッジ画素の総数のことである。また、粒子像の位置は、本実施形態では、粒子像の右端、左端、上端および下端の座標により決定される。画像処理プロセッサ54は、上記した算出結果のデータを、画像処理プロセッサ54に内蔵されている内部メモリ(図示せず)に格納する。
【0047】
次に、ステップS9において、画像処理プロセッサ54は、粒子の重なりチェック処理を実行する。画像処理プロセッサ54には、上記したように、重なりチェック回路が設けられており、この重なりチェック回路によって、重なりチェック処理が実行される。この粒子の重なりチェック処理においては、まず、画像処理プロセッサ54が、上記したエッジトレース処理による粒子像の解析結果に基づいて、1つの粒子像(外側粒子像)の中に他の粒子像(内側粒子像)が包含されているか否かを判別する。そして、外側粒子像の中に内側粒子像が存在する場合には、内側粒子像を後述する結果データ作成処理における部分画像の切り出し対象から除外する。次に、内側粒子像が存在するか否かの判別原理について説明する。まず、図12に示すように、2つの粒子像G1およびG2を選択し、一方の粒子像G1のX座標の最大値G1XMAXおよび最小値G1XMINと、Y座標の最大値G1YMAXおよび最小値G1YMINとを特定する。次に、他方の粒子像G2のX座標の最大値G2XMAXおよび最小値G2XMINと、Y座標の最大値G2YMAXおよび最小値G2YMINとを特定する。そして、以下の4つの条件(条件(4)〜条件(7))を全て満たす場合に、粒子像G1は、粒子像G2を包含していると判別されて、内側粒子像が存在すると判別される。
条件(4)・・・粒子像G1のX座標の最大値G1XMAXが、粒子像G2のX座標の最大値G2XMAXよりも大きい。
条件(5)・・・粒子像G1のX座標の最小値G1XMINが、粒子像G2のX座標の最小値G2XMINよりも小さい。
条件(6)・・・粒子像G1のY座標の最大値G1YMAXが、粒子像G2のY座標の最大値G2YMAXよりも大きい。
条件(7)・・・粒子像G1のY座標の最小値G1YMINが、粒子像G2のY座標の最小値G2YMINよりも小さい。
上記した重なりチェック処理の結果データは、画像処理プロセッサ54の内部メモリ(図示せず)に格納される。
【0048】
次に、ステップS10において、画像処理プロセッサ54は、上記したステップS1〜S9における処理により特定した個々の粒子像を個別に含む部分画像を粒子画像から切り出すとともに、画像処理結果データを作成する。画像処理プロセッサ54には、上記したように、結果データ作成回路が設けられており、結果データ作成回路により結果データ作成処理が実行される。この結果データ作成処理により作成される部分画像は、粒子画像から、1つの粒子と、予め設定されている余白値によって決定される粒子の周囲の領域とを含む矩形領域を切り出した画像である。なお、本実施形態による矩形領域は、図13に示す粒子像の上端の座標(YMIN)、下端の座標(YMAX)、左端の座標(XMIN)および右端の座標(XMAX)により決定される領域R1よりも上下左右方向に各々3画素分ずつ広い領域R2のことをいう。
【0049】
ここで、画像処理結果データは、図14に示すように、上記したステップS10における画像処理によって認識された全ての粒子像についての部分画像データ、粒子像の面積値(画素数)、直行カウント数、斜行カウント数およびコーナカウント数などのデータに加えて、粒子像を含む部分画像の位置のデータ(XMIN、XMAX、YMINおよびYMAX)や、画像データの格納位置のデータを含んでいる。この画像処理結果データは、1フレーム毎に生成される。なお、1フレームの画像処理結果データ(1フレームデータ)の大きさは、64キロバイトの固定長である。このため、1粒子データの大きさによって、1フレームデータの大きさが変化することはない。また、1フレームデータは、前フレームデータに上書きされて生成される。図14に示した1フレームデータでは、各々の1粒子データが非常に大きいため、4つの粒子データのみが埋め込まれている。1粒子データ長が小さい場合や、1粒子データの数が少ない場合には、1フレームデータの先頭からデータが埋め込まれていくので、1フレームデータの末尾に前フレームデータが残ることがある。しかしながら、転送先の画像データ処理部では、1粒子データ内に記憶されている1フレーム内の粒子総数によって、1フレームデータ内の1粒子データを認識するため、末尾に残った前フレームデータが認識されることはない。画像処理プロセッサ54は、結果データ作成処理によって作成した画像処理結果データを結果データ格納用メモリ60に格納する。このようにして、画像処理プロセッサ54による画像処理が終了する。なお、画像処理プロセッサ54は、以上のような一連の画像処理をパイプライン処理によって繰り返し実行し、1フレーム毎の部分画像を3600フレーム分について生成する。なお、1フレーム内に粒子画像が存在しない場合は、図14に示した1フレーム内の1粒子データの先頭データを上書きするとともに、ヘッダーとフッターとの間の粒子情報を「0」で埋める。
【0050】
ここで、結果データ格納用メモリ60に格納された画像処理結果データは、図6に示すように、1フレーム毎に順次、電気信号線(USB2.0ケーブル)3を介して画像データ分析装置2の画像データ処理部2bへ送信される。そして、画像データ処理部2bでは、受信した1フレーム分の画像処理結果データ毎に画像データ処理部2bのメモリ(図示せず)に保存する。この画像データ処理部2bのメモリに保存された画像処理結果データは、画像データ処理部2bの解析処理後にメモリから取り出して、画像表示部2aに表示することが可能である。
【0051】
また、図6に示すように、画像データ分析装置2の画像データ処理部2bは、上記した画像処理結果データの保存動作に並行して、粒子画像処理装置1から順次受信した1フレーム分の画像処理結果データ毎に含まれる部分画像をリアルタイムで画像表示部2aに表示する。
【0052】
また、画像データ分析装置2の画像データ処理部2bのハードディスクには、粒子画像処理装置1での画像処理結果データに基づいて部分画像の解析処理(画像処理)および統計処理を行うためのアプリケーションプログラムがインストールされている。つまり、画像処理部2bは、解析処理および統計処理を実行可能なソフトウェアを備えている。これにより、図6に示したように、画像データ処理部2bでは、上記した画像処理結果データの保存動作と、模擬全体画像(1フレーム分の部分画像)の画像表示部2aへのリアルタイム表示動作とに並行して、受信した部分画像に対して上記した画像処理基板1bの画像処理プロセッサ54と同様の画像処理を実行することにより、各粒子像の粒径(円相当径)や円形度などを算出する。この画像処理を行う際には、予め粒子画像処理装置1から送信されて画像データ処理部2bのメモリに記憶されているバックグラウンド補正データが使用される。なお、画像データ分析装置2の画像データ処理部2bでは、受信した部分画像に対して上記した画像処理基板1bの画像処理プロセッサ54とは異なる画像処理を実行することにより、各粒子像の粒径(円相当径)や円形度などを算出することも可能である。そして、解析処理の終了後に、部分画像を画像データ処理部2bのメモリから取り出して、画像表示部2aに、マトリックス状に並べて表示するとともに、選択されている部分画像の粒子の粒径および円形度を表示する。また、画像データ処理部2bのハードディスクには、粒子の粒径や円形度を校正するための校正プログラムがインストールされており、粒子分析システムから得られる粒子の粒径や円形度を校正することが可能である。
【0053】
次に、本発明の粒子画像分析装置用標準液の一実施形態である円形度標準粒子懸濁液の製造方法について説明する。
【0054】
円形度標準粒子懸濁液には個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む懸濁液と個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む懸濁液の2種類がある。まず、個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の製造方法について、説明する。
【0055】
個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子は、Duke Scientific Corporation製、カタログナンバー:5200A(個数平均粒径:2.0±0.2μm、濃度:10%(wt/wt)、粒径分布:5%CV以下、容量:15mLのもの)を使用する。このポリスチレンラテックスを12.60mL容器にとり、1分間超音波分散させた後、セルシース液(シスメックス株式会社製)と攪拌混合する。20分間以上攪拌混合させた後、容器に15mLずつ分注することにより、個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液が調製される。
【0056】
個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子は、Duke Scientific Corporation製、カタログナンバー:7516A(個数平均粒径:16±3μm、濃度:10%(wt/wt)、粒径分布:15%CV以下、容量:15mLのもの)を使用する。このポリスチレンラテックスを321.4mL容器にとり、1分間超音波分散させた後、セルシース液(シスメックス株式会社製)と攪拌混合する。20分間以上攪拌混合させた後、容器に15mLずつ分注することにより、個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液が調製される。
【0057】
次に、前記円形度標準粒子懸濁液の平均円形度の表示値付けするための粒子画像分析装置の校正方法に説明する。
【0058】
まず、粒子画像分析装置の校正に用いる円形度標準レティクルについて説明する。
【0059】
円形度標準レティクルは、図15に示されるように、厚さ1.1mmの巾26mm×高さ30mmのガラス製の板である。その中心には、図16に示されるように、黒塗りされた図形が印刷されている。円の図形は真円であり、その直径が1.3μmから300μmの範囲内にある図形が複数印刷されている。円以外の図形として、正方形、長方形、三角形などの図形が印刷されている。
【0060】
円形度標準レティクルの表示値付けには、光学顕微鏡本体:Olympus BX60、対物レンズは:Olympus UMPlanFl20*/0.46BD、CCDカメラ:Sony XC-HR50から構成される光学顕微鏡を使用する。また、CCDカメラは画素寸法が予め校正されたものを使用する。前述した粒子画像分析装置1のCCDカメラ14からケーブル4をはずし、光学顕微鏡のCCDカメラに接続する。粒子画像処理装置1に接続された画像データ分析装置2に表示される輝度値が所定の値(160±5)になるように、光学顕微鏡の光源の出射光量を調整する。この輝度値は、光学顕微鏡の光源からCCDカメラに入射する光量を表している。
【0061】
次に、円形度標準レティクルの表示値付けについて説明する。
【0062】
光学顕微鏡のステージに円形度標準レティクルを設置し、視野中に対象画像が1つだけ表示されるように、ステージの位置を調整する。表示させる画像は形状が円で直径が2μmのものを表示する。
【0063】
前述した粒子画像処理装置1の自動焦点シーケンスを実行し、焦点を合わせる。粒子画像分析システムの自動焦点シーケンスを利用することにより、顕微鏡の焦点調整のばらつきがなくなる利点がある。
【0064】
顕微鏡の焦点調整後、顕微鏡のステージを移動させて形状が円で直径が40μmの画像を表示させる。粒子画像分析システム100によって、画像の円形度を測定する。連続10回測定し、10回測定の平均値を求め、平均円形度、標準偏差を算出し、表示値とする。
【0065】
次に、円形度標準レティクルを用いた粒子画像分析システム100(粒子画像分析装置)の校正手順について説明する。
【0066】
粒子画像分析システム100の画像処理装置1のフローセル12を取り外し、フローセル12の代わりに円形度の表示値付けされた円形度標準レティクルを設置する。粒子画像分析システム100の輝度値が所定の値(160±5)になるように画像データ分析装置2で設定する。この輝度値は、粒子画像処理装置1のストロボランプ13からCCDカメラ14に入射する輝度値を表している。画像データ分析装置2で所定の値に調整することにより、ストロボランプ13から出射光量が調整される。
【0067】
画像データ分析装置2の画像表示部2aに表示される対象画像が1つだけ表示されるように、円形度標準レティクルの位置を調整する。表示させる画像は形状が円で直径が2μmのものを表示する。
【0068】
前述した粒子画像処理装置1の自動焦点シーケンスを実行する。この処理によって、円形度標準レティクルの画像に焦点が合うように調整される。
【0069】
焦点調整後、円形度標準レティクルを移動させて形状が円で直径が40μmの画像を表示させる。粒子画像分析システム100によって、画像の円形度を測定する。連続10回測定し、10回測定の平均値を求め、平均円形度、標準偏差を算出し、円形度標準レティクルの表示値の許容範囲内にあることを確認する。粒子画像分析システム100によって算出された円形度が円形度標準レティクルの表示値の許容範囲内にある場合、この粒子画像分析システム100を用いて、個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液と個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の表示値を作成する。この円形度標準レティクルを用いて校正された粒子画像分析システム100は標準器として、円形度標準粒子懸濁液の表示値を作成するために使用され、定期的に円形度標準レティクルで校正される。
【0070】
次に、個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液と個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の表示値作成方法について説明する。
【0071】
円形度標準レティクルで円形度の校正処理が行われた粒子画像分析システム100(粒子画像分析装置)において、円形度標準レティクルを取りはずし、フローセル12を装着する。試料容器11に円形度標準粒子懸濁液を2mL入れ、画像データ分析装置2から測定指示を入力し、測定を開始する。連続10回測定し、10回測定された平均値を平均円形度の表示値とする。また、10回測定された円形度の値から標準偏差を算出し、表示値とする。個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液と個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の測定結果を表1に示した。
【0072】
【表1】
表1に示されたように、個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の粒子の平均円形度は0.985、平均円形度の標準偏差SDは0.001、平均円形度の変動係数は0.05%であった。個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の粒子の平均円形度は0.995、平均円形度の標準偏差SDは0.001、平均円形度の変動係数は0.05%であった。これらの値に基づいて、表示値を付ける。この表示値付けされた個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液と個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液を用いて、製造直後の粒子分析システムや各施設に設置されている粒子分析システムで得られる粒子の円形度が表示値の許容範囲内にあることを確認する。このようにして、粒子分析システム(粒子画像分析装置)から得られる粒子の円形度が保証される。
【0073】
本実施形態では、上記のように、円形度標準粒子の平均円形度は0.985および0.995であったが、円形度標準粒子として平均円形度が0.9〜1の範囲内の粒子が使用可能である。円形度標準粒子の平均円形度は0.95〜1であることが好ましく、0.98〜1であることがより好ましい。
【0074】
また、本実施形態では、円形度標準粒子の平均円形度の標準偏差は0.001であったが、円形度標準粒子として平均円形度の標準偏差が0.05以下の粒子が使用可能である。円形度標準粒子の平均円形の標準偏差は0.01以下であることが好ましく、0.005以下であることがより好ましい。
【0075】
また、本実施形態では、円形度標準粒子の平均円形度の変動係数は0.05%であったが、円形度標準粒子としての平均円形度の変動係数が0.3%以下の粒子が使用可能である。円形度標準粒子の平均円形の変動係数は0.01%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態による粒子画像分析システムの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による粒子画像分析システムの全体構成を示した概略図である。
【図3】図2に示した一実施形態による粒子画像分析システムの粒子画像処理装置における撮像部の構成を示した概略図である。
【図4】図3に示した一実施形態による撮像部のシースフローセル内における粒子懸濁液およびシース液の流れを説明するための断面図である。
【図5】図1に示した一実施形態による粒子画像分析システムの粒子画像処理装置の構成を示したブロック図である。
【図6】図1に示した一実施形態による粒子画像分析システムの画像処理動作を説明するための概略図である。
【図7】図5に示した一実施形態による粒子画像処理装置の画像処理プロセッサの処理手順を示したフローチャートである。
【図8】図5に示した一実施形態による画像処理プロセッサのラプラシアンフィルタ処理回路によるラプラシアンフィルタ処理の際に使用する係数の設定値を説明するための模式図である。
【図9】図5に示した一実施形態による画像処理プロセッサの2値化処理回路によるプライムコード・多重点情報取得処理の際に使用するプライムコードデータ格納用メモリの内容を示した模式図である。
【図10】図5に示した一実施形態による画像処理プロセッサの2値化処理回路によるプライムコード・多重点情報取得処理の際に使用するプライムコードの定義を説明するための模式図である。
【図11】図5に示した一実施形態による画像処理プロセッサの2値化処理回路によるプライムコード・多重点情報取得処理の際に使用する多重点の概念を説明するための模式図である。
【図12】図5に示した一実施形態による画像処理プロセッサの重なりチェック回路による重なりチェック処理の際に用いる内側粒子像が存在するか否かの判別原理を説明するための模式図である。
【図13】図6に示した一実施形態による画像処理基板から画像データ処理部に送信される1フレームデータ中の1粒子データの構成を示した模式図である。
【図14】図6に示した一実施形態による画像処理基板により粒子の全体画像から部分画像を切り出す際の法則を説明するための図である。
【図15】円形度標準レティクルを表した図である。
【図16】図15に示した円形度標準レティクルの印刷部分の図である。
【符号の説明】
【0077】
1 粒子画像処理装置
1b 画像処理基板(画像処理部)
2 画像データ分析装置
2a 画像表示部(表示画面)
2b 画像データ処理部
12 シースフローセル(フローセル)
14 CCDカメラ(撮像部)
62 USBインタフェース(送信手段)
100 粒子画像分析システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子画像分析装置用標準粒子に関し、特に、撮像された粒子画像から円形度を算出する粒子画像分析装置用標準粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロー式粒子画像解析装置の測定データの信頼性を確保するためのフロー式粒子画像解析装置用標準液が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、連続的に流れている測定サンプル内に浮遊する粒子を光走査で検出し、さらに画像処理を行う装置に用いる標準液に於いて、粒子の濃度、大きさ、形状が任意に選択でき、染色液による染色が可能な人工的粒子を用いることが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−102152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたフロー式粒子画像解析装置用標準液は、粒子画像分析装置から得られる粒子の円形度の信頼性を保証するため標準液ではない。このように、粒子画像分析装置から得られる粒子の円形度の信頼性を保証するための標準液は存在しなかったため、粒子画像分析装置から得られる粒子の円形度の信頼性を確保することは難しかった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、粒子を撮像し、撮像された粒子画像から円形度を算出する粒子画像分析装置から得られる粒子の円形度の信頼性を保証するための標準液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粒子画像分析装置用標準液は、粒子を撮像し、撮像した粒子像から円形度を算出する粒子画像分析装置用標準液であって、平均円形度が0.9〜1の範囲内であり、且つ、平均円形度の標準偏差が0.05以下である粒子を含有することを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記粒子の平均円形度の変動係数が0.3%以内にあることが好ましい。
【0009】
さらに、前記粒子がラテックス粒子であることが好ましい。
【0010】
さらに、前記ラテックス粒子がポリスチレンラテックス粒子であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粒子画像分析装置用標準液は、粒子を撮像し、撮像した粒子像から円形度を算出する粒子画像分析装置用標準液であって、平均円形度が0.9〜1の範囲内であり、且つ、平均円形度の標準偏差が0.05以下である粒子を含有することを特徴とする。そのため、前記粒子の円形度は均一であり、前記粒子画像分析装置から得られ円形度の精度管理や校正に使用することが可能となり、前記粒子画像分析装置から得られる円形度のデータの信頼性を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の粒子画像分析装置用標準液を適用する粒子画像分析システム(粒子画像分析装置)の全体構成を示した斜視図であり、図2は、図1に示した粒子画像分析システムの概略図である。図3および図4は、図2に示した粒子画像分析システムの粒子画像処理装置における撮像部の構成を示した図である。図5は、図1に示した粒子画像分析システムの粒子画像処理装置の構成を示したブロック図である。まず、図1、図2および図5を参照して、粒子画像分析システム100の全体構成について説明する。この粒子画像分析システム100は、ファインセラミックス粒子や、顔料、化粧品パウダーなどの粉体(粒子)の品質を管理するために用いられる。また、この粒子画像分析システム100は、図1および図2に示すように、粒子画像処理装置1と、粒子画像処理装置1に電気信号線(本実施形態では、USB(Universal Serial Bus)2.0ケーブル)3を用いて電気的に接続される画像データ分析装置2とにより構成されている。
【0014】
粒子画像処理装置1は、液体中の粒子を撮像し、撮像された粒子画像に画像処理を施すために設けられている。この粒子画像処理装置1により撮像される粒子としては、たとえば、ファインセラミックス粒子、顔料、化粧品パウダーなどの粉体(粒子)が挙げられる。また、画像データ分析装置2は、粒子画像処理装置1により画像処理された粒子画像のデータを記憶および分析することにより、粒子の大きさや形状などを自動的に算出して表示するために設けられている。
【0015】
ここで、粒子画像処理装置1は、図1、図2および図5に示すように、粒子懸濁液の流れを撮像する撮像部1aと、全体画像から部分画像(粒子画像)の切り出し処理などを行う画像処理基板1bと、粒子画像処理装置1の制御を行うCPU基板1cとを備えている。
【0016】
撮像部1aは、図2および図3に示すように、試料液容器11と、透明な石英製のシースフローセル12と、光源としてのストロボランプ13と、CCDカメラ14と、シース液容器15と、シリンジポンプ16、17および18(図3参照)と、駆動機構部19および20(図3参照)と、排出液容器21とを含んでいる。撮像部1aのCCDカメラ14は、画像処理基板1bとケーブル4によって接続されている。
【0017】
試料液容器11は、上部が開放された漏斗形状を有しており、内部に試料液(粒子懸濁液)を貯留することが可能なように構成されている。試料液容器11とシースフローセル12との間の流路31には、図3に示すように、バルブ41が設けられている。また、試料液容器11には、試料液容器11内に貯留された試料液(粒子懸濁液)を攪拌するための攪拌装置22が取り付けられている。
【0018】
シースフローセル12は、粒子懸濁液の流れを、粒子懸濁液の両側を流れるシース液の流れで挟み込むことにより、偏平な流れに変換する機能を有している。このシースフローセル12は、図2および図4に示すように、外面の中央位置近傍に縦長形状の凹部12aを有している。シースフローセル12内を流れる粒子懸濁液は、シースフローセル12の凹部12aを介してCCDカメラ14により撮像されるように構成されている。シースフローセル12は、図3に示すように、流路32を介して、シリンジポンプ16に接続されている。また、シースフローセル12は、流路33および34を介して、シリンジポンプ18に接続されている。また、シースフローセル12は、流路33および35を介して、排出液容器21に接続されている。流路32および33には、それぞれ、バルブ42および43が設けられている。また、流路34および35には、それぞれ、バルブ44および45が設けられている。
【0019】
シース液容器15は、内部にシース液を貯留することが可能なように構成されている。このシース液容器15は、流路36および37を介して、シリンジポンプ16および17に接続されている。流路36および37には、それぞれ、バルブ46および47が設けられている。シリンジポンプ17は、流路38を介して、シリンジポンプ18に接続されている。
【0020】
駆動機構部19は、2つのシリンジポンプ16および18を連動して駆動させるために設けられている。この駆動機構部19は、ステッピングモータ19aと、ステッピングモータ19aの回転運動を直線運動に変換してシリンジポンプ16および18に伝達する駆動伝達部19bとを含んでいる。また、駆動機構部20は、シリンジポンプ17を駆動させるために設けられている。この駆動機構部20は、ステッピングモータ20aと、ステッピングモータ20aの回転運動を直線運動に変換してシリンジポンプ17に伝達する駆動伝達部20bとを含んでいる。
【0021】
また、シースフローセル12とCCDカメラ14との間には、ストロボランプ13により照射された粒子懸濁液中の粒子の光像を拡大するための対物レンズ23が設けられている。この対物レンズ23は、異なる拡大倍率を有する他の対物レンズ23と交換可能なように構成されている。これにより、測定可能な粒径の範囲を広くしている。すなわち、対物レンズ23の倍率を大きくすれば、CCDカメラ14による撮像エリアが小さくなる一方、小さな粒子をより大きく撮像することが可能である。また、対物レンズ23の倍率を小さくすれば、CCDカメラ14による撮像エリアが大きくなるので、大きな粒子を撮像するのに適している。
【0022】
次に、図2および図5を参照して、画像処理基板1bの構成について説明する。画像処理基板1bは、図5に示すように、CPU51と、ROM52と、メインメモリ53と、画像処理プロセッサ54と、フレームバッファ55と、フィルタテスト用メモリ56と、バックグラウンド補正データ用メモリ57と、プライムコードデータ格納用メモリ58と、頂点データ格納用メモリ59と、結果データ格納用メモリ60と、画像入力インタフェース61と、USBインタフェース62とにより構成されている。CPU51、ROM5
2、メインメモリ53および画像処理プロセッサ54は、互いにデータの送受信が可能なようにバス(BUS)により接続されている。また、画像処理プロセッサ54は、フレームバッファ55、フィルタテスト用メモリ56、バックグラウンド補正データ用メモリ57、プライムコードデータ格納用メモリ58、頂点データ格納用メモリ59、結果データ格納用メモリ60および画像入力インタフェース61と、それぞれ、個別のバス(BUS)により接続されている。これにより、画像処理プロセッサ54から、フレームバッファ55、フィルタテスト用メモリ56、バックグラウンド補正データ用メモリ57、プライムコードデータ格納用メモリ58、頂点データ格納用メモリ59および結果データ格納用メモリ60へ、それぞれ、データの読み出し、および書き込みが可能になるとともに、画像入力インタフェース61から画像処理プロセッサ54へデータの入力が可能になる。このような画像処理基板1bのCPU51は、PCIバスを介してUSBインタフェース62に接続されている。USBインタフェース62は、図示しないUSB/RS−232c変換器を介してCPU基板1cに接続されている。
【0023】
CPU51は、ROM52に記憶されているコンピュータプログラムと、メインメモリ53にロードされたコンピュータプログラムとを実行する機能を有している。ROM52は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどにより構成されている。このROM52には、CPU51により実行されるコンピュータプログラムや、コンピュータプログラムに用いるデータなどが記録されている。メインメモリ53は、SRAMまたはDRAMなどにより構成されている。このメインメモリ53は、ROM52に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられるとともに、コンピュータプログラムをCPU51が実行する際のCPU51の作業領域として使用される。
【0024】
画像処理プロセッサ54は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などにより構成されている。この画像処理プロセッサ54は、メディアンフィルタ処理回路、ラプラシアンフィルタ処理回路、2値化処理回路、エッジトレース処理回路、重なりチェック処理回路、結果データ作成回路などの画像処理を実行可能なハードウェアを備える画像処理専用のプロセッサである。フレームバッファ55、フィルタテスト用メモリ56、バックグラウンド補正データ用メモリ57、プライムコードデータ格納用メモリ58、頂点データ格納用メモリ59および結果データ格納用メモリ60は、それぞれ、SRAMやDRAMなどにより構成されている。これらのフレームバッファ55、フィルタテスト用メモリ56、バックグラウンド補正データ用メモリ57、プライムコードデータ格納用メモリ58、頂点データ格納用メモリ59および結果データ格納用メモリ60は、画像処理プロセッサ54が画像処理を実行する際のデータの格納用として使用される。
【0025】
画像入力インタフェース61は、A/D変換器を含むビデオデジタイズ回路(図示せず)を備えている。この画像入力インタフェース61は、図2に示すように、ビデオ信号ケーブル4によってCCDカメラ14に電気的に接続されている。これにより、CCDカメラ14から入力されたビデオ信号は、画像入力インタフェース61(図5参照)でA/D変換される。そして、デジタル化された画像データ(粒子画像)は、フレームバッファ55に格納されるように構成されている。USBインタフェース62は、CPU基板1cと図示しないUSB/RS−232c変換器を介して接続されている。また、USBインタフェース62は、電気信号線(USB2.0ケーブル)3によって画像データ分析装置2に接続されている。CPU基板1cは、CPU、ROMおよびRAMなどにより構成されており、粒子画像処理装置1を制御する機能を有している。
【0026】
画像データ分析装置2は、図1および図2に示すように、画像表示部2aと、CPU、ROM、RAMおよびハードディスクなどを備えた装置本体としての画像データ処理部2bと、キーボードなどの入力装置2cとを含むパーソナルコンピュータ(PC)により構成されている。画像データ処理部2bのハードディスクには、粒子画像処理装置1と通信することにより粒子画像処理装置1での処理結果に基づいて画像データの解析処理および統計処理を行うためのアプリケーションプログラムがインストールされている。このアプリケーションプログラムは、画像データ処理部2bのCPUにより実行されるように構成されている。
【0027】
図6は、図1に示した粒子画像分析システムの画像処理動作を説明するための概略図である。次に、図1〜図4および図6を参照して、本発明の一実施形態による粒子画像分析システム100の動作について説明する。
【0028】
まず、図1〜図3に示した粒子画像処理装置1の撮像部1aによる粒子の撮像を開始する前に、シース液容器15に収容されたシース液による流体経路の洗浄が行われる。具体的には、図3に示すように、シリンジポンプ16を、ピストンがシリンダから引き出された状態(吐出動作可能状態)にするとともに、シリンジポンプ17および18を、ピストンがシリンダ内へ押し込まれた状態(吸引動作可能状態)にする。この状態を初期状態とする。また、初期状態では、すべてのバルブ41〜47が閉じられた状態(遮断状態)になっている。
【0029】
次に、上記した初期状態から、バルブ42、43、45および46が開放される。このとき、シース液容器15には予め陽圧が印加されているので、シース液容器15内に収容されているシース液は、バルブ46、シリンジポンプ16、バルブ42、シースフローセル12、バルブ43およびバルブ45を通過して排出液容器21内へ排出される。これにより、シース液容器15から、バルブ46、シリンジポンプ16、バルブ42、シースフローセル12、バルブ43およびバルブ45を介して排出液容器21へ至る流体経路がシース液により洗浄される。そして、バルブ42、43、45および46が再度閉じられる。これにより、シース液がシリンジポンプ16に充填される。
【0030】
次に、バルブ44、45および47が開放される。これにより、シース液容器15内に収容されているシース液は、バルブ47、シリンジポンプ17、シリンジポンプ18、バルブ44およびバルブ45を通過して排出液容器21内へ排出される。これにより、シース液容器15から、バルブ47、シリンジポンプ17、シリンジポンプ18、バルブ44およびバルブ45を介して排出液容器21へ至る流体経路がシース液により洗浄される。そして、バルブ44、45および47が再度閉じられる。
【0031】
次に、バックグラウンド補正データを生成するためのバックグラウンド補正用画像の撮像が行われる。具体的には、シースフローセル12にシース液のみを供給した状態で、ストロボランプ13からパルス光を照射し、CCDカメラ14により撮像する。すなわち、バルブ42〜44が開放され、駆動機構部19のステッピングモータ19aが駆動される。これにより、シリンジポンプ16が流量Qのシース液の吐出動作を行うとともに、シリンジポンプ18が流量Qのシース液の吸引動作を行う。これによって、シースフローセル12に、シリンジポンプ16から流量Qのシース液が流入する。このとき、バルブ41が遮断状態にあるので、試料液容器11内の試料液(粒子懸濁液)がシースフローセル12に流入することはない。そして、シースフローセル12内をシース液が上方から下方に向かって流れる。そして、流量Qのシース液が、シースフローセル12から排出されて、シリンジポンプ18に吸引される。
【0032】
このとき、シースフローセル12内のシース液の流れに対して、ストロボランプ13からパルス光を1/60秒毎に周期的に照射する。これによって、粒子がシースフローセル12内を通過していない状態の1/60秒毎の静止画像(バックグラウンド補正用画像)が、対物レンズ23を介してCCDカメラ14により撮像される。そして、粒子が写っていない状態の複数のバックグラウンド補正用画像を画像処理基板1bに取り込む。これにより、図6に示すように、1つのバックグラウンド補正データを生成する。そして、画像処理基板1bでは、バックグラウンド補正データをバックグラウンド補正データ用メモリ57(図5参照)に格納するとともに、電気信号線(USB2.0ケーブル)3を介して画像データ分析装置2の画像データ処理部2bに送信する。そして、画像データ分析装置2側では、受信したバックグラウンド補正データを画像データ処理部2b内のメモリに保存する。なお、このバックグラウンド補正データを生成する処理は、粒子の撮像開始前に1回だけ実行される。
【0033】
次に、撮像部1a(図2参照)による粒子の撮像が開始される。具体的には、図3に示すバルブ41〜44が開放され、駆動機構部19および20のステッピングモータ19aおよび20aが駆動される。これにより、シリンジポンプ16が流量Qのシース液の吐出動作を行うとともに、シリンジポンプ18および17が流量Qおよび流量Qsの吸引動作を行う。これによって、シースフローセル12に、シリンジポンプ16から流量Qのシース液が流入するとともに、試料液容器11から流量Qsの試料液(粒子懸濁液)が流入する。そして、試料液(粒子懸濁液)は、図4に示すように、シース液に両側を挟み込まれることにより流体力学的に偏平に絞られた状態で、シースフローセル12内を上方から下方に向かって流れる。そして、試料液(粒子懸濁液)とシース液とが混合された流量(Q+Qs)の混合液が、シースフローセル12から排出されて、図3に示すシリンジポンプ18および17に吸引される。
【0034】
このとき、シースフローセル12内で偏平に絞られた粒子懸濁液の流れに対して、ストロボランプ13からパルス光を1/60秒毎に周期的に照射する。このストロボランプ13からのパルス光の照射は、60秒間行われる。これによって、合計3600枚の粒子の静止画像が対物レンズ23を介してCCDカメラ14により撮像される。
【0035】
なお、半透明状の粒子を撮像する場合には、装置内に染色液を収容する染色液ボトルと、粒子を染色液で染色するための反応チャンバとを設けることにより、撮像前の粒子に対して適当な染色を施すのが好ましい。また、粒子の特性(粒径や比重)に応じて粒子を懸濁する溶媒を選択するのが好ましい。また、粒子懸濁液の特性(たとえば、溶媒の粘度や比重など)に応じて、シース液の粘度や比重を変更することが好ましい。これにより、容易に、粒子懸濁液の流れを偏平に絞り込むことが可能である。
【0036】
また、粒子懸濁液の流れの偏平な面をCCDカメラ14で撮像することにより、撮像される粒子の重心と、CCDカメラ14の撮像面との距離を実質的に一定にすることが可能である。これにより、粒子の大きさに関わらず常にピントの合った粒子像を得ることが可能である。
【0037】
また、試料を測定する前に、CCDカメラ14の撮像面との距離と撮像される粒子の重心との距離を調整し、ピントを調整する必要がある。ピント調整方法としては、特開平4−81640に開示されている技術が使用でき、均一な粒子を撮像してピント調整用評価値が最大になるように調整することにより、ピントを調整するものである。この方法を利用した自動焦点シーケンスのプログラムが、粒子画像分析システムの粒子画像処理装置1のメモリ(図示せず)に格納されている。
【0038】
そして、CCDカメラ14によって撮像された静止画像(粒子画像)は、ビデオ信号ケーブル4を介してビデオ信号として画像処理基板1b(図5参照)へ出力される。画像処理基板1bの画像入力インタフェース61では、CCDカメラ14(図2参照)からのビデオ信号をA/D変換することにより、デジタル化された画像データを生成する。図5に示す画像入力インタフェース61が出力した画像データは、転送されてフレームバッファ55に格納される。そして、フレームバッファ55に格納されたフレームデータに対して、図6に示すように、画像処理基板1bによる画像データからの部分画像(粒子画像)の切り出し処理と、画像データ処理部2bへの画像処理結果データの送信とが行われる。この場合、まず、画像処理基板1bの画像処理プロセッサ54(図5参照)による以下のような画像処理が実行される。
【0039】
図7は、図5に示した一実施形態による粒子画像処理装置の画像処理プロセッサの処理手順を示したフローチャートである。図8〜図14は、図5に示した一実施形態による粒子画像処理装置の画像処理プロセッサの処理方法を説明するための図である。図5〜図14を参照して、画像処理プロセッサ54による画像処理としては、ステップS1において、画像処理プロセッサ54は、フレームバッファ55に格納された粒子画像(画像データ)に対してノイズ除去処理を実行する。すなわち、画像処理プロセッサ54には、上記したように、メディアンフィルタ処理回路が設けられている。このメディアンフィルタ処理回路によるメディアンフィルタ処理を施すことによって、粒子画像中のゴミなどのノイズが除去される。このメディアンフィルタ処理は、注目画素およびその近傍の8画素を含む計9画素について、各々の輝度値(画素値)を数値の大きい(または、小さい)順に並べて、9画素の画素値のメディアン(中間値)を注目画素の画素値とする処理である。
【0040】
次に、ステップS2において、画像処理プロセッサ54は、粒子懸濁液の流れに対する照射光の強度むらを補正するためのバックグラウンド補正処理を実行する。すなわち、画像処理プロセッサ54には、上記したように、ラプラシアンフィルタ処理回路が設けられている。バックグラウンド補正処理では、ラプラシアンフィルタ処理回路によって、予め取得されてバックグラウンド補正データ用メモリ57に格納されているバックグラウンド補正データと、メディアンフィルタ処理後の粒子画像との比較演算を行い、粒子画像から大部分の背景画像を除去した補正画像を生成する。
【0041】
次に、ステップS3において、画像処理プロセッサ54は、輪郭強調処理を実行する。この輪郭強調処理においては、ラプラシアンフィルタ処理回路によるラプラシアンフィルタ処理が行われる。このラプラシアンフィルタ処理は、注目画素およびその近傍の8画素を含む計9画素について、各々の輝度値と、対応する所定の係数とを掛け合わせ、その乗算結果の和を注目画素の画素値とする処理である。図8に示すように、本実施形態においては、注目画素X(i,j)に対応する係数を「2」とし、注目画素と上下左右方向で隣接する4つの画素X(i,j−1)、X(i,j+1)、X(i−1,j)、および、X(i+1,j)に対応する係数を「−1/4」とし、注目画素と斜め方向で隣接する4つの画素X(i−1,j−1)、X(i+1,j−1)、X(i+1,j+1)、および、X(i−1,j+1)に対応する係数を「0」としている。そして、以下の式(1)によって、ラプラシアンフィルタ処理後の注目画素の画素値Y(i,j)を算出する。なお、以下の式(1)による演算の結果が255よりも大きい場合には255を出力し、式(1)による演算の結果が負の数となる場合には0を出力する。
Y(i,j) = 2×X(i,j)−0.25×(X(i,j−1)+X(i−1,j)+X(i,j+1)+X(i+1,j))+0.5 ・・・(1)
【0042】
次に、ステップS4において、画像処理プロセッサ54は、輪郭強調処理が施された後のデータに基づいて、2値化のスレッシュホールドレベル(2値化閾値)を設定する。すなわち、画像処理プロセッサ54のラプラシアンフィルタ回路には、2値化閾値設定処理を実行する輝度ヒストグラマ部が設けられている。まず、画像処理プロセッサ54は、ラプラシアンフィルタ処理後の画像データから輝度ヒストグラムを作成し、この輝度ヒストグラムに対して所定のスムージング処理を行う。そして、スムージング処理後の輝度ヒストグラムから最頻度輝度値を求めた後、この最頻度輝度値を用いて以下の式(2)によって2値化閾値を算出する。
2値化閾値 = 最頻度輝度値 × A + B ・・・(2)
なお、上記式(2)において、AおよびBは、設定可能なパラメータであり、本実施形態では、AおよびBのデフォルト値(既定値)は、それぞれ、「90%」および「0」である。
【0043】
次に、ステップS5において、画像処理プロセッサ54は、2値化閾値設定処理で設定
したスレッシュホールドレベル(2値化閾値)で、ラプラシアンフィルタ処理後の画像に対して2値化処理を行う。そして、ステップS6において、2値化処理が施された画像の各画素に対して、プライムコードおよび多重点情報を取得する。すなわち、画像処理プロセッサ54には、2値化処理回路が設けられている。この2値化処理回路によって、2値化処理およびプライムコード・多重点情報取得処理が実行される。なお、プライムコードとは、注目画素およびその近傍の8つの画素を含む計9画素について求められる2値化コードであり、以下のように定義される。プライムコードデータ格納用メモリ58は、図9に示すように、1ワード(11bit)中にプライムコード格納領域58aおよび多重点数格納領域58bの2つの領域を含んでいる。プライムコード格納領域58aは、図9中のbit0〜bit7で示す8bitの領域であり、多重点数領域58bは、図9中のbit8〜bit10で示す3bitの領域である。次に、プライムコードの定義について説明する。図10に示すように、2値化処理された画像データのP0〜P8の9画素について、P1〜P3の画素値が0になっており、P0およびP4〜P8の画素値が1となっている。なお、P0〜P8の9画素に各々対応する輝度値が2値化閾値以上の場合には、P0〜P8の画素値が1となり、P0〜P8の9画素に各々対応する輝度値が2値化閾値未満の場合には、P0〜P8の画素値が0となる。この場合のプライムコードを説明する。注目画素P8以外の8つの画素P0〜P7は、プライムコード格納領域58aのbit0〜bit7に各々対応している。つまり、プライムコード格納領域58aは、下位ビット(bit0)から上位ビット(bit7)へ向けて、8つの画素P0〜P7の画素値が各々格納されるように構成されている。これにより、プライムコードは、2進数表記では11110001となり、16進数表記ではF1となる。なお、注目画素P8の画素値は、プライムコードには含まれない。
【0044】
また、注目画素とその近傍の8画素とによって構成される領域が、粒子像の境界の一部である場合、すなわち、プライムコードが2進数表記で00000000以外の場合には、多重点情報が求められる。多重点とは、後述するエッジトレースの際に何回通過する可能性があるかを示すコードであり、予めルックアップテーブル(図示せず)に全てのパターンに対応する多重点情報が記憶されている。そして、このルックアップテーブルを参照することによって多重点数が求められる。図11を参照して、P2およびP5〜P8の4画素の画素値が1であり、P0、P1、P3およびP4の4画素の画素値が0である場合には、図11中の矢印AおよびBで示すように、エッジトレースの際に注目画素P8を2回通過する可能性がある。したがって、注目画素P8は2重点となり、多重点数は2となる。この多重点数は、多重点数格納領域58bに格納される。
【0045】
次に、ステップS7において、画像処理プロセッサ54は、頂点データを作成する。この頂点データ作成処理も、上記した2値化処理およびプライムコード・多重点情報取得処理と同様、画像処理プロセッサ54に設けられた2値化処理回路によって実行される。頂点データとは、後述するエッジトレースを開始する予定の座標を示すデータである。注目画素およびその近傍の8画素を含む計9画素の領域が、以下の3つの条件(条件(1)〜条件(3))をすべて満たす場合にのみ頂点であると判断される。
条件(1)・・・注目画素P8の画素値が1である。
条件(2)・・・注目画素P8の上方の3画素(P1〜P3)、および、注目画素P8の左隣の1画素(P4)の画素値が0である。
条件(3)・・・注目画素P8の右隣の1画素(P0)、および、注目画素P8の下方の3画素(P5〜P7)のうち少なくとも1つの画素の画素値が1である。
画像処理プロセッサ54は、全画素の中から頂点に該当する画素を検索し、作成した頂点データ(頂点の位置を示す座標データ)を頂点データ格納用メモリ59に格納する。
【0046】
次に、ステップS8において、画像処理プロセッサ54は、エッジトレース処理を実行する。画像処理プロセッサ54には、上記したように、エッジトレース処理回路が設けられており、エッジトレース処理回路によりエッジトレース処理が実行される。このエッジトレース処理では、まず、頂点データからエッジトレースを開始する座標を特定し、この座標からプライムコードと、予め記憶されている進行方向を決定するためのコードとに基づいて、粒子像のエッジトレースを行う。そして、画像処理プロセッサ54は、エッジトレースの際に、各粒子像の面積値、直行カウント数、斜行カウント数、コーナカウント数および位置を算出する。ここで、粒子像の面積値とは、粒子像を構成する画素の総数、すなわち、エッジで囲まれた領域の内側に含まれる画素の総数をいう。また、直行カウント数とは、粒子像の3画素以上のエッジ画素が上下方向または左右方向に直線状に並ぶ場合に、その直線区間の両端のエッジ画素を除いたエッジ画素の総数をいう。すなわち、直行カウント数は、粒子像のエッジのうち、上下方向または左右方向へ延びた直線成分を構成するエッジ画素の総数のことである。また、斜行カウント数とは、粒子像の3画素以上のエッジ画素が斜め方向に直線状に並ぶ場合に、その斜め方向の直線区間の両端のエッジ画素を除いたエッジ画素の総数をいう。すなわち、斜行カウント数は、粒子像のエッジのうち、斜め方向へ延びた直線成分を構成するエッジ画素の総数のことである。また、コーナカウント数とは、粒子像のエッジ画素のうち、隣り合う複数のエッジ画素がそれぞれ異なる方向で接する(たとえば、一方のエッジ画素とは上方で隣り合い、他方のエッジ画素とは左方で隣り合う場合など)エッジ画素の総数をいう。すなわち、コーナカウント数は、粒子像のエッジのうち、コーナを構成するエッジ画素の総数のことである。また、粒子像の位置は、本実施形態では、粒子像の右端、左端、上端および下端の座標により決定される。画像処理プロセッサ54は、上記した算出結果のデータを、画像処理プロセッサ54に内蔵されている内部メモリ(図示せず)に格納する。
【0047】
次に、ステップS9において、画像処理プロセッサ54は、粒子の重なりチェック処理を実行する。画像処理プロセッサ54には、上記したように、重なりチェック回路が設けられており、この重なりチェック回路によって、重なりチェック処理が実行される。この粒子の重なりチェック処理においては、まず、画像処理プロセッサ54が、上記したエッジトレース処理による粒子像の解析結果に基づいて、1つの粒子像(外側粒子像)の中に他の粒子像(内側粒子像)が包含されているか否かを判別する。そして、外側粒子像の中に内側粒子像が存在する場合には、内側粒子像を後述する結果データ作成処理における部分画像の切り出し対象から除外する。次に、内側粒子像が存在するか否かの判別原理について説明する。まず、図12に示すように、2つの粒子像G1およびG2を選択し、一方の粒子像G1のX座標の最大値G1XMAXおよび最小値G1XMINと、Y座標の最大値G1YMAXおよび最小値G1YMINとを特定する。次に、他方の粒子像G2のX座標の最大値G2XMAXおよび最小値G2XMINと、Y座標の最大値G2YMAXおよび最小値G2YMINとを特定する。そして、以下の4つの条件(条件(4)〜条件(7))を全て満たす場合に、粒子像G1は、粒子像G2を包含していると判別されて、内側粒子像が存在すると判別される。
条件(4)・・・粒子像G1のX座標の最大値G1XMAXが、粒子像G2のX座標の最大値G2XMAXよりも大きい。
条件(5)・・・粒子像G1のX座標の最小値G1XMINが、粒子像G2のX座標の最小値G2XMINよりも小さい。
条件(6)・・・粒子像G1のY座標の最大値G1YMAXが、粒子像G2のY座標の最大値G2YMAXよりも大きい。
条件(7)・・・粒子像G1のY座標の最小値G1YMINが、粒子像G2のY座標の最小値G2YMINよりも小さい。
上記した重なりチェック処理の結果データは、画像処理プロセッサ54の内部メモリ(図示せず)に格納される。
【0048】
次に、ステップS10において、画像処理プロセッサ54は、上記したステップS1〜S9における処理により特定した個々の粒子像を個別に含む部分画像を粒子画像から切り出すとともに、画像処理結果データを作成する。画像処理プロセッサ54には、上記したように、結果データ作成回路が設けられており、結果データ作成回路により結果データ作成処理が実行される。この結果データ作成処理により作成される部分画像は、粒子画像から、1つの粒子と、予め設定されている余白値によって決定される粒子の周囲の領域とを含む矩形領域を切り出した画像である。なお、本実施形態による矩形領域は、図13に示す粒子像の上端の座標(YMIN)、下端の座標(YMAX)、左端の座標(XMIN)および右端の座標(XMAX)により決定される領域R1よりも上下左右方向に各々3画素分ずつ広い領域R2のことをいう。
【0049】
ここで、画像処理結果データは、図14に示すように、上記したステップS10における画像処理によって認識された全ての粒子像についての部分画像データ、粒子像の面積値(画素数)、直行カウント数、斜行カウント数およびコーナカウント数などのデータに加えて、粒子像を含む部分画像の位置のデータ(XMIN、XMAX、YMINおよびYMAX)や、画像データの格納位置のデータを含んでいる。この画像処理結果データは、1フレーム毎に生成される。なお、1フレームの画像処理結果データ(1フレームデータ)の大きさは、64キロバイトの固定長である。このため、1粒子データの大きさによって、1フレームデータの大きさが変化することはない。また、1フレームデータは、前フレームデータに上書きされて生成される。図14に示した1フレームデータでは、各々の1粒子データが非常に大きいため、4つの粒子データのみが埋め込まれている。1粒子データ長が小さい場合や、1粒子データの数が少ない場合には、1フレームデータの先頭からデータが埋め込まれていくので、1フレームデータの末尾に前フレームデータが残ることがある。しかしながら、転送先の画像データ処理部では、1粒子データ内に記憶されている1フレーム内の粒子総数によって、1フレームデータ内の1粒子データを認識するため、末尾に残った前フレームデータが認識されることはない。画像処理プロセッサ54は、結果データ作成処理によって作成した画像処理結果データを結果データ格納用メモリ60に格納する。このようにして、画像処理プロセッサ54による画像処理が終了する。なお、画像処理プロセッサ54は、以上のような一連の画像処理をパイプライン処理によって繰り返し実行し、1フレーム毎の部分画像を3600フレーム分について生成する。なお、1フレーム内に粒子画像が存在しない場合は、図14に示した1フレーム内の1粒子データの先頭データを上書きするとともに、ヘッダーとフッターとの間の粒子情報を「0」で埋める。
【0050】
ここで、結果データ格納用メモリ60に格納された画像処理結果データは、図6に示すように、1フレーム毎に順次、電気信号線(USB2.0ケーブル)3を介して画像データ分析装置2の画像データ処理部2bへ送信される。そして、画像データ処理部2bでは、受信した1フレーム分の画像処理結果データ毎に画像データ処理部2bのメモリ(図示せず)に保存する。この画像データ処理部2bのメモリに保存された画像処理結果データは、画像データ処理部2bの解析処理後にメモリから取り出して、画像表示部2aに表示することが可能である。
【0051】
また、図6に示すように、画像データ分析装置2の画像データ処理部2bは、上記した画像処理結果データの保存動作に並行して、粒子画像処理装置1から順次受信した1フレーム分の画像処理結果データ毎に含まれる部分画像をリアルタイムで画像表示部2aに表示する。
【0052】
また、画像データ分析装置2の画像データ処理部2bのハードディスクには、粒子画像処理装置1での画像処理結果データに基づいて部分画像の解析処理(画像処理)および統計処理を行うためのアプリケーションプログラムがインストールされている。つまり、画像処理部2bは、解析処理および統計処理を実行可能なソフトウェアを備えている。これにより、図6に示したように、画像データ処理部2bでは、上記した画像処理結果データの保存動作と、模擬全体画像(1フレーム分の部分画像)の画像表示部2aへのリアルタイム表示動作とに並行して、受信した部分画像に対して上記した画像処理基板1bの画像処理プロセッサ54と同様の画像処理を実行することにより、各粒子像の粒径(円相当径)や円形度などを算出する。この画像処理を行う際には、予め粒子画像処理装置1から送信されて画像データ処理部2bのメモリに記憶されているバックグラウンド補正データが使用される。なお、画像データ分析装置2の画像データ処理部2bでは、受信した部分画像に対して上記した画像処理基板1bの画像処理プロセッサ54とは異なる画像処理を実行することにより、各粒子像の粒径(円相当径)や円形度などを算出することも可能である。そして、解析処理の終了後に、部分画像を画像データ処理部2bのメモリから取り出して、画像表示部2aに、マトリックス状に並べて表示するとともに、選択されている部分画像の粒子の粒径および円形度を表示する。また、画像データ処理部2bのハードディスクには、粒子の粒径や円形度を校正するための校正プログラムがインストールされており、粒子分析システムから得られる粒子の粒径や円形度を校正することが可能である。
【0053】
次に、本発明の粒子画像分析装置用標準液の一実施形態である円形度標準粒子懸濁液の製造方法について説明する。
【0054】
円形度標準粒子懸濁液には個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む懸濁液と個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む懸濁液の2種類がある。まず、個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の製造方法について、説明する。
【0055】
個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子は、Duke Scientific Corporation製、カタログナンバー:5200A(個数平均粒径:2.0±0.2μm、濃度:10%(wt/wt)、粒径分布:5%CV以下、容量:15mLのもの)を使用する。このポリスチレンラテックスを12.60mL容器にとり、1分間超音波分散させた後、セルシース液(シスメックス株式会社製)と攪拌混合する。20分間以上攪拌混合させた後、容器に15mLずつ分注することにより、個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液が調製される。
【0056】
個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子は、Duke Scientific Corporation製、カタログナンバー:7516A(個数平均粒径:16±3μm、濃度:10%(wt/wt)、粒径分布:15%CV以下、容量:15mLのもの)を使用する。このポリスチレンラテックスを321.4mL容器にとり、1分間超音波分散させた後、セルシース液(シスメックス株式会社製)と攪拌混合する。20分間以上攪拌混合させた後、容器に15mLずつ分注することにより、個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液が調製される。
【0057】
次に、前記円形度標準粒子懸濁液の平均円形度の表示値付けするための粒子画像分析装置の校正方法に説明する。
【0058】
まず、粒子画像分析装置の校正に用いる円形度標準レティクルについて説明する。
【0059】
円形度標準レティクルは、図15に示されるように、厚さ1.1mmの巾26mm×高さ30mmのガラス製の板である。その中心には、図16に示されるように、黒塗りされた図形が印刷されている。円の図形は真円であり、その直径が1.3μmから300μmの範囲内にある図形が複数印刷されている。円以外の図形として、正方形、長方形、三角形などの図形が印刷されている。
【0060】
円形度標準レティクルの表示値付けには、光学顕微鏡本体:Olympus BX60、対物レンズは:Olympus UMPlanFl20*/0.46BD、CCDカメラ:Sony XC-HR50から構成される光学顕微鏡を使用する。また、CCDカメラは画素寸法が予め校正されたものを使用する。前述した粒子画像分析装置1のCCDカメラ14からケーブル4をはずし、光学顕微鏡のCCDカメラに接続する。粒子画像処理装置1に接続された画像データ分析装置2に表示される輝度値が所定の値(160±5)になるように、光学顕微鏡の光源の出射光量を調整する。この輝度値は、光学顕微鏡の光源からCCDカメラに入射する光量を表している。
【0061】
次に、円形度標準レティクルの表示値付けについて説明する。
【0062】
光学顕微鏡のステージに円形度標準レティクルを設置し、視野中に対象画像が1つだけ表示されるように、ステージの位置を調整する。表示させる画像は形状が円で直径が2μmのものを表示する。
【0063】
前述した粒子画像処理装置1の自動焦点シーケンスを実行し、焦点を合わせる。粒子画像分析システムの自動焦点シーケンスを利用することにより、顕微鏡の焦点調整のばらつきがなくなる利点がある。
【0064】
顕微鏡の焦点調整後、顕微鏡のステージを移動させて形状が円で直径が40μmの画像を表示させる。粒子画像分析システム100によって、画像の円形度を測定する。連続10回測定し、10回測定の平均値を求め、平均円形度、標準偏差を算出し、表示値とする。
【0065】
次に、円形度標準レティクルを用いた粒子画像分析システム100(粒子画像分析装置)の校正手順について説明する。
【0066】
粒子画像分析システム100の画像処理装置1のフローセル12を取り外し、フローセル12の代わりに円形度の表示値付けされた円形度標準レティクルを設置する。粒子画像分析システム100の輝度値が所定の値(160±5)になるように画像データ分析装置2で設定する。この輝度値は、粒子画像処理装置1のストロボランプ13からCCDカメラ14に入射する輝度値を表している。画像データ分析装置2で所定の値に調整することにより、ストロボランプ13から出射光量が調整される。
【0067】
画像データ分析装置2の画像表示部2aに表示される対象画像が1つだけ表示されるように、円形度標準レティクルの位置を調整する。表示させる画像は形状が円で直径が2μmのものを表示する。
【0068】
前述した粒子画像処理装置1の自動焦点シーケンスを実行する。この処理によって、円形度標準レティクルの画像に焦点が合うように調整される。
【0069】
焦点調整後、円形度標準レティクルを移動させて形状が円で直径が40μmの画像を表示させる。粒子画像分析システム100によって、画像の円形度を測定する。連続10回測定し、10回測定の平均値を求め、平均円形度、標準偏差を算出し、円形度標準レティクルの表示値の許容範囲内にあることを確認する。粒子画像分析システム100によって算出された円形度が円形度標準レティクルの表示値の許容範囲内にある場合、この粒子画像分析システム100を用いて、個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液と個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の表示値を作成する。この円形度標準レティクルを用いて校正された粒子画像分析システム100は標準器として、円形度標準粒子懸濁液の表示値を作成するために使用され、定期的に円形度標準レティクルで校正される。
【0070】
次に、個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液と個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の表示値作成方法について説明する。
【0071】
円形度標準レティクルで円形度の校正処理が行われた粒子画像分析システム100(粒子画像分析装置)において、円形度標準レティクルを取りはずし、フローセル12を装着する。試料容器11に円形度標準粒子懸濁液を2mL入れ、画像データ分析装置2から測定指示を入力し、測定を開始する。連続10回測定し、10回測定された平均値を平均円形度の表示値とする。また、10回測定された円形度の値から標準偏差を算出し、表示値とする。個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液と個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の測定結果を表1に示した。
【0072】
【表1】
表1に示されたように、個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の粒子の平均円形度は0.985、平均円形度の標準偏差SDは0.001、平均円形度の変動係数は0.05%であった。個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液の粒子の平均円形度は0.995、平均円形度の標準偏差SDは0.001、平均円形度の変動係数は0.05%であった。これらの値に基づいて、表示値を付ける。この表示値付けされた個数平均粒径2μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液と個数平均粒径16μmのポリスチレンラテックス粒子を含む円形度標準粒子懸濁液を用いて、製造直後の粒子分析システムや各施設に設置されている粒子分析システムで得られる粒子の円形度が表示値の許容範囲内にあることを確認する。このようにして、粒子分析システム(粒子画像分析装置)から得られる粒子の円形度が保証される。
【0073】
本実施形態では、上記のように、円形度標準粒子の平均円形度は0.985および0.995であったが、円形度標準粒子として平均円形度が0.9〜1の範囲内の粒子が使用可能である。円形度標準粒子の平均円形度は0.95〜1であることが好ましく、0.98〜1であることがより好ましい。
【0074】
また、本実施形態では、円形度標準粒子の平均円形度の標準偏差は0.001であったが、円形度標準粒子として平均円形度の標準偏差が0.05以下の粒子が使用可能である。円形度標準粒子の平均円形の標準偏差は0.01以下であることが好ましく、0.005以下であることがより好ましい。
【0075】
また、本実施形態では、円形度標準粒子の平均円形度の変動係数は0.05%であったが、円形度標準粒子としての平均円形度の変動係数が0.3%以下の粒子が使用可能である。円形度標準粒子の平均円形の変動係数は0.01%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態による粒子画像分析システムの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による粒子画像分析システムの全体構成を示した概略図である。
【図3】図2に示した一実施形態による粒子画像分析システムの粒子画像処理装置における撮像部の構成を示した概略図である。
【図4】図3に示した一実施形態による撮像部のシースフローセル内における粒子懸濁液およびシース液の流れを説明するための断面図である。
【図5】図1に示した一実施形態による粒子画像分析システムの粒子画像処理装置の構成を示したブロック図である。
【図6】図1に示した一実施形態による粒子画像分析システムの画像処理動作を説明するための概略図である。
【図7】図5に示した一実施形態による粒子画像処理装置の画像処理プロセッサの処理手順を示したフローチャートである。
【図8】図5に示した一実施形態による画像処理プロセッサのラプラシアンフィルタ処理回路によるラプラシアンフィルタ処理の際に使用する係数の設定値を説明するための模式図である。
【図9】図5に示した一実施形態による画像処理プロセッサの2値化処理回路によるプライムコード・多重点情報取得処理の際に使用するプライムコードデータ格納用メモリの内容を示した模式図である。
【図10】図5に示した一実施形態による画像処理プロセッサの2値化処理回路によるプライムコード・多重点情報取得処理の際に使用するプライムコードの定義を説明するための模式図である。
【図11】図5に示した一実施形態による画像処理プロセッサの2値化処理回路によるプライムコード・多重点情報取得処理の際に使用する多重点の概念を説明するための模式図である。
【図12】図5に示した一実施形態による画像処理プロセッサの重なりチェック回路による重なりチェック処理の際に用いる内側粒子像が存在するか否かの判別原理を説明するための模式図である。
【図13】図6に示した一実施形態による画像処理基板から画像データ処理部に送信される1フレームデータ中の1粒子データの構成を示した模式図である。
【図14】図6に示した一実施形態による画像処理基板により粒子の全体画像から部分画像を切り出す際の法則を説明するための図である。
【図15】円形度標準レティクルを表した図である。
【図16】図15に示した円形度標準レティクルの印刷部分の図である。
【符号の説明】
【0077】
1 粒子画像処理装置
1b 画像処理基板(画像処理部)
2 画像データ分析装置
2a 画像表示部(表示画面)
2b 画像データ処理部
12 シースフローセル(フローセル)
14 CCDカメラ(撮像部)
62 USBインタフェース(送信手段)
100 粒子画像分析システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を撮像し、撮像した粒子像から円形度を算出する粒子画像分析装置用標準液であって、平均円形度が0.9〜1の範囲内であり、且つ、平均円形度の標準偏差が0.05以下である粒子を含有することを特徴とする粒子画像分析装置用標準液。
【請求項2】
前記粒子の平均円形度の変動係数が0.3%以内にあることを特徴とする請求項1記載の粒子画像分析装置用標準液。
【請求項3】
前記粒子がラテックス粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子画像分析装置用標準液。
【請求項4】
前記ラテックス粒子がポリスチレンラテックス粒子であることを特徴とする請求項4記載の粒子画像分析装置用標準液。
【請求項1】
粒子を撮像し、撮像した粒子像から円形度を算出する粒子画像分析装置用標準液であって、平均円形度が0.9〜1の範囲内であり、且つ、平均円形度の標準偏差が0.05以下である粒子を含有することを特徴とする粒子画像分析装置用標準液。
【請求項2】
前記粒子の平均円形度の変動係数が0.3%以内にあることを特徴とする請求項1記載の粒子画像分析装置用標準液。
【請求項3】
前記粒子がラテックス粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子画像分析装置用標準液。
【請求項4】
前記ラテックス粒子がポリスチレンラテックス粒子であることを特徴とする請求項4記載の粒子画像分析装置用標準液。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−162524(P2006−162524A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357468(P2004−357468)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
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