説明

粒子連結型シリカゾルおよびその製造方法

【解決手段】画像解析法により測定される平均粒子径が5〜300nmの範囲にあるシリカ1次粒子が2個以上結合した構造を含む粒子連結型シリカ微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型シリカゾルであって、該粒子連結型シリカ微粒子が、シリカ1次粒子として、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子を含むことを特徴とする粒子連結型シリカゾルおよびその製造方法。
【効果】本発明の粒子連結型シリカ微粒子は、通常の粒子連結型シリカ微粒子または非球状シリカ微粒子とは異なる特異な構造を有することから、充填性、吸油性、電気特性、光学特性あるいは物理特性に優れる。このため本発明に係る非球状シリカゾルは、たとえば研磨材および研磨用組成物として有用であり、特に高研磨速度の効果において優れるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像解析法により測定される平均粒子径が5〜300nmの範囲にある球状の1次粒子が2個以上結合してなる粒子連結型シリカ微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型シリカゾルであって、該粒子連結型シリカ微粒子がその表面に複数の疣状突起を有するものであることを特徴とする粒子連結型シリカゾルおよびその製造方法に関するものである。また、本発明は、該粒子連結型シリカゾルを含む研磨用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子連結型シリカゾルが溶媒に分散してなる粒子連結型シリカゾルのうち、粒子連結型シリカゾルが球状以外の形状からなる粒子連結型シリカゾルとしては、鎖状、数珠状または長球状のものが知られている。この様な粒子連結型シリカゾルは、例えば、各種研磨剤として使用されている。
【0003】
異形粒子を含む粒子連結型シリカゾルの製造方法としては、特開平1−317115号公報(特許文献1)に、画像解析法による測定粒子径(D1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2)の比D1/D2が5以上であり、D1は40〜500ミリミクロン、そして電子顕微鏡観察による5〜40ミリミクロンの範囲内の一様な太さで一平面内のみの伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなる粒子連結型シリカゾルの製造方法として、(a)所定の活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩またはマグネシウム塩などを含有する水溶液を、所定量添加し、混合する工程、(b) 更に、アルカリ金属酸化物、水溶性有機塩基又はそれらの水溶性珪酸塩をSiO2/M2O(但し、Mは上記アルカリ金属原子又は有機塩基の分子を表わす。)モル比として20〜200となるように加えて混合する工程、(c)前工程によって得られた混合物を60〜150℃で0.5〜40時間加熱する工程からなる製造方法が開示されている。
【0004】
特開平4−65314号公報(特許文献2)には、画像解析法による測定粒子径(D1ミリミクロン)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2ミリミクロン)の比D1/D2が3以上5未満であって、このD1は40〜500ミリミクロンであり、そして電子顕微鏡観察による5ミリミクロンより大きいが100ミリミクロン以下の範囲内の一様な太さで一平面内のみの伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなるSiO2濃度50重量%以下の安定な粒子連結型シリカゾルの製造方法として、細長い形状の粒子連結型シリカゾルに活性珪酸の水溶液の添加を始めると、原料ゾルのコロイダルシリカ粒子の崩壊が起らずに、元の細長い形状の粒子表面上に、加えられた活性珪酸がシロキサン結合を介して沈積することによって太さの増大した細長い形状のコロイダルシリカが得られることについて開示されている。
【0005】
特開平4−187512号公報(特許文献3)には、SiO2として0.05〜5.0wt%のアルカリ金属珪酸塩水溶液に、珪酸液を添加して混合液のSiO2/M2O(モル比、Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウム)を30〜60とした後に、Ca,Mg,Al,In,Ti,Zr,Sn,Si,Sb,Fe,Cuおよび希土類金属からなる群から選ばれた1種または2種以上の金属の化合物を添加し(添加時期は、前記珪酸液添加の前または添加中でも良い)、 この混合液を60℃以上の任意の温度で一定時間維持し、更に珪酸液を添加して反応液中のSiO2/M2O(モル比)を60〜100としてなる実質的に鎖状形状の粒子連結型シリカゾルが分散したゾルの製造方法が開示されている。
【0006】
特許第3441142号公報(特許文献4)には、電子顕微鏡写真の画像解析により求められる7〜1000nmの長径と 0.3〜0.8 の短径/長径比を有するコロイダルシリカ粒子の数が全粒子中50%以上を占めるシリカの安定なゾルからなる半導体ウェーハーの研磨剤が提案されている。
【0007】
特開平7−118008号公報(特許文献5)には、活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩、マグネシウム塩又はこれらの混合物の水溶液を添加し、得られた水溶液にアルカリ性物質を加え、得られた混合物の一部を60℃以上に加熱してヒール液とし、残部をフィード液として、当該ヒール液に当該フィード液を添加し、当該添加の間に、水を蒸発させる事によりSiO2濃度6〜30重量%まで濃縮することよりなる細長い形状の粒子連結型シリカゾルの製造法が開示されている。
【0008】
特開平8−279480号公報(特許文献6)には、(1)珪酸アルカリ水溶液を鉱酸で中和しアルカリ性物を添加して加熱熟成する方法、(2)珪酸アルカリ水溶液を陽イオン交換処理して得られる活性珪酸にアルカリ性物質を添加して加熱熟成する方法、(3)エチルシリケート等のアルコキシシランを加水分解して得られる活性珪酸を加熱熟成する方法、または、(4)シリカ微粉末を水性媒体中で直接に分散する方法等によって製造されるコロイダルシリカ水溶液は、通常、4〜1,000nm(ナノメートル)、好ましくは7〜500nmの粒子径を有するコロイド状シリカ粒子が水性媒体に分散したものであり、SiO2 として0.5〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%の濃度を有する。上記シリカ粒子の粒子形状は、球状、いびつ状、偏平状、板状、細長い形状、繊維状等が挙げられることが記載されている。
【0009】
特開平11−214338号公報(特許文献7)には、コロイダルシリカ粒子を主材とした研磨材を用いるシリコンウェハーの研磨方法であって、蒸留により精製した珪酸メチルを、メタノール溶媒中でアンモニア又はアンモニアとアンモニウム塩を触媒として水と反応させることにより得られるコロイダルシリカ粒子を用い、且つ該コロイダルシリカ粒子の長径/短径比が、1.4以上であることを特徴とするシリコンウェハーの研磨方法が提案されている。
【0010】
国際公開番号WO00/15552(特許文献8)には、平均粒子径10〜80nmの球状コロイダルシリカ粒子とこの球状コロイダルシリカ粒子を接合する金属酸化物含有シリカからなり、画像解析法による測定粒子径(D1)と球状コロイダルシリカ粒子の平均粒子径(窒素吸着法による測定粒子径/D2)の比D1/D2が3以上であって、このD1は50〜500nmであり、球状コロイダルシリカ粒子が一平面内のみにつながった数珠状コロイダルシリカ粒子が分散されてなる粒子連結型シリカゾルが記載されている。
【0011】
また、その製造方法として、(a)所定の活性珪酸のコロイド水溶液又は酸性粒子連結型シリカゾルに、水溶性金属塩の水溶液を、前記コロイド水溶液又は酸性粒子連結型シリカゾルのSiO2に対して、金属酸化物として1〜10重量%となる量を加えて混合液1を調製する工程、(b)前記混合液1に、平均粒子径10〜80nm、pH2〜6の酸性球状粒子連結型シリカゾルを、この酸性球状粒子連結型シリカゾルに由来するシリカ含量(A)とこの混合液1に由来するシリカ含量(B)の比A/B(重量比)が5〜100、かつ、この酸性球状粒子連結型シリカゾルとこの混合液1との混合により得られる混合液2の全シリカ含量(A+B)が混合液2においてSiO2濃度5〜40重量%となる量加えて混合する工程、および、(c)得られた混合液2にアルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基又は水溶性珪酸塩をpHが7〜11となるように加えて混合し、加熱する工程からなる前記粒子連結型シリカゾルの製造方法が記載されている。
【0012】
特開2001−11433号公報(特許文献9)には、SiO2として0.5〜10重量%を含有し、かつ、pHが2〜6である、活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のII価又はIII価の金属の塩を単独又は混合して含有する水溶液を、同活性珪酸のコロイド水溶液のSiO2に対して、金属酸化物(II価の金属の塩の場合はMOとし、III価の金属の塩の場合はM23とする。但し、MはII価又はIII価の金属原子を表し、Oは酸素原子を表す。)として1〜10重量%となる量を加えて混合し、得られた混合液(1)に、平均粒子径10〜120nm、pH2〜6の酸性球状粒子連結型シリカゾルを、この酸性球状粒子連結型シリカゾルに由来するシリカ含量(A)とこの混合液(1)に由来するシリカ含量(B)の比A/B(重量比)が5〜100、かつ、この酸性球状粒子連結型シリカゾルとこの混合液(1)との混合により得られる混合液(2)の全シリカ含量(A+B)が混合液(2)においてSiO2濃度5〜40重量%となるように加えて混合し混合液(2)にアルカリ金属水酸化物等をpHが7〜11となるように加えて混合し、得られた混合液(3)を100〜200℃で0.5〜50時間加熱する数珠状の粒子連結型シリカゾルの製造方法が記載されている。
【0013】
特開2001−48520号公報(特許文献10)には、シリカ濃度1〜8モル/リットル、酸濃度0.0018〜18モル/リットルで水濃度2〜30モル/リットルの範囲の組成で、溶剤を使用しないでアルキルシリケートを酸触媒で加水分解した後、シリカ濃度が0.2〜1.5モル/リットルの範囲となるように水で希釈し、次いでpHが7以上となるようにアルカリ触媒を加え加熱して珪酸の重合を進行させて、電子顕微鏡観察による太さ方向の平均直径が5〜100nmであり、長さがその1.5〜50倍の長さの細長い形状の非晶質シリカ粒子が液状分散体中に分散されている粒子連結型シリカゾルの製造方法が記載されている。
【0014】
特開2001−150334号公報(特許文献11)には、水ガラスなどのアルカリ金属珪酸塩の水溶液を脱陽イオン処理することにより得られるSiO2濃度2〜6重量%程度の活性珪酸の酸性水溶液に、アルカリ土類金属、例えば、Ca、Mg、Baなどの塩をその酸化物換算で上記活性珪酸のSiO2に対し 100〜1500ppmの重量比で添加し、更にこの液中SiO2/M2O(M は、アルカリ金属原子、NH4 又は第4級アンモニウム基を表す。) モル比が20〜150となる量の同アルカリ物質を添加することにより得られる液を当初ヒール液とし、同様にして得られる2〜6重量%のSiO2濃度と20〜150 のSiO2/M2O (M は、上記に同じ。) モル比を有する活性珪酸水溶液をチャージ液として、60〜150℃で前記当初ヒール液に前記チャージ液を、1時間当たり、チャージ液SiO2/当初ヒール液SiO2の重量比として0.05〜1.0 の速度で、液から水を蒸発除去しながら(又はせずに)、添加してなる歪な形状を有する粒子連結型シリカゾルの製造方法が記載されている。
【0015】
特開2003−133267号公報(特許文献12)には、ディッシング(過研磨)を抑制し、基板表面を平坦に研磨することができる研磨用粒子として、平均粒子径が5〜300nmの範囲にある1次粒子が2個以上結合した異形粒子群を含むことを特徴とする研磨用粒子、特には研磨用粒子中の全1次粒子の粒子数に占める、前記異形粒子群を構成する1次粒子の粒子数が5〜100%の範囲にある研磨用粒子が有効でることについて記載がある。
【0016】
特開2004−288732号公報(特許文献13)には、非真球状コロイダルシリカ、酸化剤および有機酸を含有し、残部が水であることを特徴とする半導体研磨用スラリーについて開示されており、その中で、非真球状コロイダルシリカの(長径/短径)が1.2〜5.0のものが提案されており、特開2004−311652号公報(特許文献14)にも同様な非真球状コロイダルシリカが開示されている。
【0017】
また、シリカ−アルミナ被覆された鎖状粒子連結型シリカゾルについて、特開2002−3212号公報(特許文献15)には、(a)SiO2 として0.05〜5.0重量%のアルカリ金属ケイ酸塩水溶液に、ケイ酸液を添加して混合液のSiO2 /M2 O(モル比、Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウム)を30〜60とする工程、(b)前記ケイ酸液添加工程の前、添加工程中または添加工程後に、原子価が2価〜4価の金属の1種または2種以上の金属化合物を添加する工程、(c)該混合液を60℃以上の任意の温度で一定時間維持する工程、(d)次いで該反応液に再びケイ酸液を添加して反応液中のSiO2/M2O(モル比)を60〜200とする工程、(e)さらに該反応液にアルカリ側でアルカリケイ酸塩水溶液とアルカリアルミン酸塩水溶液とを同時に添加する工程、からなるシリカ−アルミナ被覆鎖状粒子連結型シリカゾルの製造方法が開示されている。
【0018】
シリカ系微粒子の表面に突起状構造を有する例として、特開平3−257010号公報(特許文献16)には、シリカ粒子表面に電子顕微鏡で観察して、0.2〜5μmのサイズの連続的な凹凸状の突起を有し、平均粒子径が5〜100μm、BET法比表面積が20m2/g以下、且つ、細孔容積が、0.1mL/g以下であるシリカ粒子に関する記載がある。
【0019】
また、特開2002−38049号公報(特許文献17)には、母体粒子全面に、実質上球状および/または半球状の突起物を有するシリカ系微粒子であって、該突起物が化学結合により母体粒子に結着していることを特徴とするシリカ系微粒子および母体粒子全面に、実質上球状および/または半球状の突起物を有するシリカ系微粒子であって、該突起物が化学結合により母体粒子に結着してなるシリカ系微粒子について記載がある。更に、(A)特定のアルコキシシラン化合物を加水分解、縮合させてポリオルガノシロキサン粒子を生成させる工程、(B)該ポリオルガノシロキサン粒子を、表面吸着剤により表面処理する工程、および(C)上記(B)工程で表面処理されたポリオルガノシロキサン粒子全面に、該アルコキシシラン化合物を用いて突起を形成させる工程、を含むシリカ系微粒子の製造方法について記載がある。
【0020】
また、特開2004−35293号公報(特許文献18)には、母体粒子全面に、実質上球状および/または半球状の突起物を有するシリカ系粒子であって、該突起物が化学結合により母体粒子に結着しており、かつ母体粒子と突起物における10%圧縮時の圧縮弾性率が、それぞれ異なることを特徴とするシリカ系粒子が開示されている。
【0021】
しかしながら、特開平3−257010号公報(特許文献16)に記載の粒子は平均粒子径が5〜100μmのシリカのみからなるものであり、特開2002−38049号公報(特許文献17)で開示されるシリカ系粒子は、その平均粒子径が実質的には0.5〜30μmのみが開示されており、特開2004−35293号公報(特許文献18)についても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開平1−317115号公報
【特許文献2】特開平4−65314号公報
【特許文献3】特開平4−187512号公報
【特許文献4】特許第3441142号公報
【特許文献5】特開平7−118008号公報
【特許文献6】特開平8−279480号公報
【特許文献7】特開平11−214338号公報
【特許文献8】国際公開WO00/15552公報
【特許文献9】特開2001−11433号公報
【特許文献10】特開2001−48520号公報
【特許文献11】特開2001−150334号公報
【特許文献12】特開2003−133267号公報
【特許文献13】特開2004−288732号公報
【特許文献14】特開2004−311652号公報
【特許文献15】特開2002−3212号公報
【特許文献16】特開平3−257010号公報
【特許文献17】特開2002−38049号公報
【特許文献18】特開2004−35293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、研磨性等の優れた特性を有する、粒子連結型シリカ微粒子が分散媒に分散してなるシリカゾルおよびその製造方法を提供することを課題とする。また、該非球状シリカゾルを含む研磨用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本出願に係る第1の発明は、画像解析法により測定される平均粒子径が5〜300nmの範囲にあるシリカ1次粒子が2個以上結合した構造を含む粒子連結型シリカ微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型シリカゾルであって、該粒子連結型シリカ微粒子が、シリカ1次粒子として、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子を含むことを特徴とする粒子連結型シリカゾルである。
【0025】
本出願に係る第2の発明は、前記シリカ1次粒子の半径の変動係数が3〜30%の範囲にあることを特徴とする粒子連結型シリカゾルである。
本出願に係る第3の発明は、前記粒子連結型シリカゾルからなる研磨材である。
【0026】
本出願に係る第4の発明は、前記粒子連結型シリカゾルと、研磨促進剤、界面活性剤、複素環化合物、pH調整剤又はpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上とを含むことを特徴とする研磨用組成物である。
【0027】
本出願に係る第5の発明は、シード液に珪酸液を添加してなるビルトアップ工程を含むシリカゾルの製造方法であって、該シード液は、シリカ濃度が1.5〜10質量%、SiO2/Na2O(モル比)が1.0〜6.5の範囲にある水硝子又はシリカゾルであり、該珪酸液を添加してなるビルトアップ工程が前期ビルトアップ工程とそれに続く後期ビルトアップ工程からなり、更に前期添加工程の単位時間当りの珪酸液添加量(シリカ換算)[g](S)、後期添加工程の単位時間当りの珪酸液添加量(シリカ換算)[g](T)およびシード液中に存在するシリカ質量[g](A)が、次の(1)、(2)及び(3)の関係を満たすことを特徴とする粒子連結型シリカゾルの製造方法である。
(1)0.1≦[S/A]≦2
(2)0.2≦[T/A]≦16
(3)2S≦T
【0028】
本出願に係る第6の発明は、前記珪酸液が、シリカ濃度0.1〜10質量%、SiO2/Na2O(モル比)100〜10000の範囲のものであることを特徴とする前記粒子連結型シリカゾルの製造方法である。
【0029】
本出願に係る第7の発明は、前記の前期添加工程におけるシード液の温度が、50〜200℃の範囲にあることを特徴とする前記粒子連結型シリカゾルの製造方法である。
本出願に係る第8の発明は、前記の後期添加工程におけるシード液の温度が、50〜200℃の範囲にあることを特徴とする前記粒子連結型シリカゾルの製造方法である。
【0030】
本出願に係る第9の発明は、前記の後期ビルトアップ工程につづいて50〜200℃での熟成工程を行うことを特徴とする前記粒子連結型シリカゾルの製造方法である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の粒子連結型シリカ微粒子は、通常の粒子連結型シリカ微粒子または非球状シリカ微粒子とは異なる特異な構造を有することから、充填性、吸油性、電気特性、光学特性あるいは物理特性に優れる。このため本発明に係る非球状シリカゾルは、たとえば研磨材および研磨用組成物として有用であり、特に高研磨速度の効果において優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】粒子連結型シリカ微粒子の一次粒子の半径の変動係数の求め方に関する概略図
【図2】実施例1で調製された粒子連結型シリカゾルの透過型電子顕微鏡写真(倍率:250,000倍)
【発明を実施するための形態】
【0033】
[粒子連結型シリカゾル]
本発明に係る粒子連結型シリカゾルは、平均粒子径が5〜300nmの範囲にあるシリカ1次粒子が2個以上結合した構造を含む粒子連結型シリカ微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型シリカゾルであって、該粒子連結型シリカ微粒子が、シリカ1次粒子として、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子を含むことを特徴とするものである。
【0034】
前記粒子連結型シリカゾルの分散質である粒子連結型シリカ微粒子は、1次粒子として、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子、いわば金平糖状球状粒子を含む点で、従来の粒子連結型のシリカ系ゾルと構造上、相違するものである。前記粒子連結型シリカ微粒子は、その粒子連結型の構造に加えて、疣状突起の存在により、各種用途、例えば、研磨用途、樹脂または被膜形成用成分の充填材、インク受容層の充填材などの用途において、特異な効果を示すことが可能となる。疣状突起については、例えば、非球状シリカゾルの電子顕微鏡写真にて確認できるものであり、粒子表面に周辺部位より突出した構造または膨らんだ構造をとるものである。
【0035】
本発明における粒子連結型シリカゾルの分散質である粒子連結型シリカ微粒子は、1次粒子が集合して球状化した形態または凝集して塊状となった形態の粒子群ではなく、2個以上の1次粒子が結合して鎖状、繊維状、その他、異形の形態にある粒子群である。この異形粒子群における1次粒子の結合態様として、1次粒子が2個接合したもの、3個以上鎖状に接合したもの、3個が3点で接合したもの、4個が平面的にあるいはテトラポット型に接合したもの、同様に5個以上の粒子が接合したものなどの他、さらにこれら異形粒子群同士が結合した異形粒子群を挙げることができる。前記粒子連結型シリカ微粒子を構成する1次粒子は2個以上、好ましくは2〜200個、特に好ましくは3〜180個の範囲で互いに結合してなるものである。1次粒子の数が1個の場合は、例えば、研磨材として適用した場合に、ディッシングを惹起し易い。
【0036】
他方、1次粒子が200個を越えて結合していると、結合形態にもよるが、異形粒子群が壊されることがあり、スクラッチ(線状痕)が発生することがある。また、鎖状の長い異形粒子群の場合は研磨速度が低下することがある。なお、1次粒子が塊状に凝集している場合は後述するチキソトロピー性が発現しないことがあり、単に大きい球状粒子と異なるところが無く、ディッシングを抑制する効果が充分得られない。更にこの場合も、スクラッチが発生することがある。1次粒子が2〜200個の範囲で結合した異形粒子群は、凹凸を有する被研磨面の凹部底面において異形粒子群と底面とが多点接触し、異形粒子群がチキソトロピー性を有しているので研磨時に凹部に堆積した異形粒子群が凹部から容易に移動することがないので凹部の底面は研磨されることがなく、このためディッシングを抑制することができる。
【0037】
粒子連結型シリカ微粒子を構成する1次粒子については、球状粒子から構成されることが好ましいが、その他に卵状、立方体状または棒状の粒子を含有しても構わない。また、1次粒子の粒子径は互いに異なっていても構わない。ここで球状については、目視により、棒状、勾玉状、細長い形状、数珠状、卵状などの異形粒子であると認められない程度であれば構わない。
【0038】
上記1次粒子の平均粒子径は5〜300nm、好ましくは20〜80nmの範囲にある。また、更に好適には25〜60nmの範囲が推奨される。
平均粒子径が5nm未満の場合は、1次粒子が凝集して得られる粒子群が塊状になる傾向がある。また、研磨用途においては、チキソトロピー性が発現せずディッシングを抑制する効果が得難くなり、好ましくない。平均粒子径が300nmを越える場合は、例えば研磨用途においては、粒子が過大であるため研磨速度の低下を招く場合があり、研磨面にスクラッチ(線状痕)が発生することがある。
【0039】
前記粒子連結型シリカ微粒子については、好適には、前記粒子連結型シリカ微粒子を構成する球状粒子の半径の変動係数(CV値)が3〜30%の範囲にあることが好ましい。3%未満の場合は、粒子表面が平滑に近いものとなる。30%を超える場合については、本発明に係る製造方法では調製が容易ではない。粒子径の変動係数(CV値)については、好適には3.5〜20%の範囲が推奨される。また、更に好適には4〜15%の範囲が推奨される。
【0040】
本発明における粒子径の変動係数については、粒子連結型シリカ微粒子を構成する粒子のうち球状の粒子部分について、該粒子の中心点から粒子外縁に向けて0〜30℃の範囲における半径の変動係数を意味する。
【0041】
これについては、より具体的には、粒子連結型シリカゾルの電子顕微鏡写真(25万倍ないし50万倍)の画像にて、粒子連結型シリカ微粒子に含まれる各球状粒子について、その外縁上の2点を結ぶ線分のうち最長の線分を描き、該線分を2等分する点を中心点Oとする。この中心点Oから、前記外縁の末端(隣接する球状粒子の外縁との交点等)を通る半直線Sを引き、該半直線Sから5度間隔で、中心点Oを始点とし、前記外縁を通る6本の半直線を描く。半直線Sを含めた計7本の前記半直線と粒子の外縁との各交点から中心点Oまでの長さをそれぞれ測定し、その結果からその粒子の半径の変動係数を算定する。この操作を1個の粒子連結型シリカ微粒子に含まれる全ての粒子について行い、得られる変動係数のうち最大のものを当該粒子連結型シリカ微粒子の半径の変動係数とする。そしてこの操作を粒子連結型シリカ微粒子50個について行い、得られた半径の変動係数の平均値を、粒子連結型シリカ微粒子の一次粒子の半径の変動係数とする。粒子連結型シリカ微粒子の一次粒子の半径の変動係数の求め方に関する概略を図1に示した。ここで、「粒子の外縁」とは、電子顕微鏡写真上に現れ、その粒子固有の輪郭を形成する、その粒子と粒子が存在しない部分との境界線を意味する。つまり、その粒子が他の粒子と結合している部分の境界線、およびその粒子が他の粒子と結合することにより生じた境界線は、前記「粒子の外縁」には含まれない。なお、電子顕微鏡写真としては、例えば、走査型電子顕微鏡写真又は透過型電子顕微鏡写真などが使用できる。
【0042】
なお、前記最長の直線が複数存在する場合であって、中心点Oが複数個存在することになる場合は、最も距離が離れた位置にある2つの中心点(O1およびO2)を結ぶ直線を定め、その中心点を改めて中心点Oとする。また、中心点Oから、前記外縁の末端を通る半直線を複数本引ける場合には、中心点Oと外縁との距離が最も長い半直線を、半直線Sとする。
【0043】
半径の変動係数が上記範囲にある場合には、その粒子連結型シリカ微粒子は、好適な疣状突起を有するものであり、特に研磨特性等に優れる。つまり、本発明の粒子連結型シリカ微粒子は、これを構成する1次粒子のすべてが、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子である必要はなく、前記変動係数が上記範囲にあれば、好適な効果をもたらす。
【0044】
前記粒子連結型シリカゾルが分散する溶媒については、水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒のいずれであっても良い。この様な例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類など水溶性の有機溶媒を挙げることができる。
【0045】
本発明に係る粒子連結型シリカゾルは、粒子連結型構造を有するシリカ微粒子が分散媒に分散したものであるが、その他に単粒子(粒子連結構造を有さない球状粒子又は異形粒子)を含んでも構わない。通常は、分散媒に分散しているシリカ微粒子の10%以上(個数換算)が、粒子連結型シリカ微粒子であるものが望ましい。
【0046】
[粒子連結型シリカゾルの製造方法]
本発明に係る粒子連結型シリカゾルの製造方法について以下に説明する。
本発明に係る粒子連結型シリカゾルの製造方法は、シード液に珪酸液を添加して行うビルトアップ工程を、珪酸液の添加速度の異なる2段階に分けて行うことを特徴とするものである。
【0047】
シード液としては、シリカ濃度が1.5〜10質量%、SiO2/Na2O(モル比)が1.0〜6.5の範囲にある水硝子又はシリカゾルを使用する。シリカ濃度が1.5質量%未満の場合は、シード粒子生成時とシード粒子成長時のシリカ濃度が薄いことが影響してシリカ粒子の連結構造が生じ難くなる。また、シリカ濃度が10質量%を超える場合は、シリカ粒子の連結が無秩序に生じるため、粒子の構造が制御できなくなる傾向がつよくなる。シード液のシリカ濃度は、好適には4〜9質量%の範囲が推奨される。シード液のSiO2/Na2O(モル比)が1.0未満の場合は、シリカの溶解度が高すぎるためにシード粒子生成には適さない。また、シード液のSiO2/Na2O(モル比)が6.5を超える場合は、シード粒子が大量に生成するため、所望する粒子成長が生じ難くなる。
【0048】
シード液は、公知の方法で調製することができる。通常は水硝子に珪酸液を加え、50〜200℃で、0.1〜5時間熟成することにより得ることができる。
シード液に珪酸液を添加して粒子成長(ビルトアップ)を行う。ビルトアップ工程におけるシード液の温度範囲としては、50〜200℃の範囲が好ましい。50℃未満では、実用的に粒子連結型シリカゾルを調製することが容易ではない。ビルトアップ工程を200℃以上で行うことは可能であるが、実用上は50〜200℃の範囲の温度で十分である。
【0049】
ビルトアップ工程で使用する珪酸液としては、シリカ濃度0.1〜10質量%、シード液のSiO2/Na2O(モル比)が100〜10000の珪酸液が好適に使用される。珪酸液は、例えば、珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより調製することができる。
【0050】
前記製造方法においては、シード液に珪酸液を添加してなるビルトアップ工程が前期ビルトアップ工程とそれに続く後期ビルトアップ工程からなり、前期ビルトアップ工程での珪酸液添加は比較例速く、後期ビルトアップ工程での珪酸液添加は比較的遅く行う必要がある。具体的には、前期添加工程の単位時間当りの珪酸液添加量(シリカ換算)[g]、後期添加工程の単位時間当りの珪酸液添加量(シリカ換算)[g]およびシード液中に存在するシリカ質量[g]について、次の(1)、(2)及び(3)の関係を満たすことが必要である。
(1)0.1≦[S/A]≦2
(2)0.2≦[T/A]≦16
(3)2S≦T
【0051】
ただし、Sは前期添加工程の単位時間当りの珪酸液添加量(シリカ換算)[g]を表し、Tは後期添加工程の単位時間当りの珪酸液添加量(シリカ換算)[g]を表し、Aはシード液中に存在するシリカ質量[g]を表す。
【0052】
[S/A]の値が0.1未満の場合は、実用的な時間で連結型シリカ微粒子を調整することが容易ではない。[S/A]の値が2を超える場合は、粒子どうしが結合する時間を十分に得られないまま粒子成長が進行するために連結型シリカ微粒子が生成し難くなる。[S/A]の好適な範囲としては、0.3〜1.5の範囲が推奨される。[T/A]の値が0.2未満の場合は、実用的な時間で連結型シリカ微粒子を調整することが容易ではない。[T/A]の値が16を超える場合は、新たなシード粒子が多量に発生するために十分な粒子の成長が見込めない。[T/A]の好適な範囲としては、0.5〜10の範囲が推奨される。また、T値は、S値の2倍以上であることが望ましい。T値がS値の2倍未満の場合は、粒子どうしの結合が連続的に生じ連結型シリカ粒子の構造制御が出来なくなるおそれがある。
【0053】
ビルトアップ工程に続いて、50〜200℃で0.5〜2時間の熟成を行うことが好ましい。熟成を行うことにより、未反応の状態で系中に存在している珪酸液の、シリカ粒子表面への析出を終結させることができるので、粒子連結型シリカゾルの経時での安定性が向上する。
【0054】
(3)研磨剤組成物
本発明に係る粒子連結型シリカゾルは、それ自体で研摩剤として使用可能なものであるが、所望により、添加剤として、研磨促進剤、界面活性剤、複素環化合物、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上を添加して、研磨用組成物として使用することができる。前記粒子連結型シリカゾルにこれらの成分を添加して得られる混合物を本発明においては、「研磨用組成物」と呼称する。
【0055】
研磨促進剤
本発明に係る研磨用組成物には、被研磨材の種類によっても異なるが、必要に応じて従来公知の研磨促進剤を使用することができる。この様な例としては、過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素などおよびこれらの混合物を挙げることができる。このような過酸化水素等の研磨促進剤を含む研磨剤組成物を用いると、被研磨材が金属の場合には効果的に研磨速度を向上させることができる。
【0056】
研磨促進剤の別の例としては、硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、フッ酸等の酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびこれらの混合物などを挙げることができる。これらの研磨促進剤を含む研磨用組成物の場合、複合成分からなる被研磨材を研磨する際に、被研磨材の特定の成分についての研磨速度を促進することにより、最終的に平坦な研磨面を得ることができる。
【0057】
本発明に係る研磨用組成物が研磨促進剤を含有する場合、その含有量としては、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。界面活性剤及び/又は親水性化合物研磨用組成物の分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤または親水性化合物を添加することができる。
【0058】
界面活性剤と親水性化合物は、いずれも被研磨面への接触角を低下させる作用を有し、均一な研磨を促す作用を有する。界面活性剤及び/又は親水性化合物としては、例えば、以下の群から選ばれるものを使用することができる。
【0059】
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アル
キルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
【0060】
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩;両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
【0061】
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。その他に、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
【0062】
界面活性剤としては陰イオン界面活性剤もしくはノ非イオン系界面活性剤が好ましく、また、塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、特にアンモニウム塩およびカリウム塩が好ましい。
【0063】
さらに、その他の界面活性剤、親水性化合物等としては、グリセリンエステル、ソルビタンエステルおよびアラニンエチルエステル等のエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;グリシンアンモニウム塩及びグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマ;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩等のスルホン酸及びその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド等を挙げることができる。
【0064】
なお、適用する被研磨基材がガラス基板等である場合は何れの界面活性剤であっても好適に使用できるが、半導体集積回路用シリコン基板などの場合であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはハロゲン化物等による汚染の影響を嫌う場合にあっては、酸もしくはそのアンモニウム塩系の界面活性剤を使用することが望ましい。
【0065】
本発明に係る研磨用組成物が界面活性剤及び/又は親水性化合物を含有する場合、その含有量は、総量として、研磨用組成物の1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく0.1〜3gとすることが特に好ましい。
【0066】
界面活性剤及び/又は親水性化合物の含有量は、充分な効果を得る上で、研磨用組成物の1L中、0.001g以上が好ましく、研磨速度低下防止の点から10g以下が好ましい。
【0067】
界面活性剤または親水性化合物は1種のみでもよいし、2種以上を使用してもよく、異なる種類のものを併用することもできる。
【0068】
複素環化合物
本発明の研磨用組成物については、被研磨基材に金属が含まれる場合に、金属に不動態層または溶解抑制層を形成させて、被研磨基材の侵食を抑制する目的で、複素環化合物を含有させても構わない。ここで、「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。複素環化合物の例として、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾールなどを用いることができる。より具体的には、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
本発明に係る研磨用組成物に複素環化合物を配合する場合の含有量については、0.001〜1.0質量%であることが好ましく、0.001〜0.7質量%であることがより好ましく、0.002〜0.4質量%であることがさらに好ましい。
【0070】
pH調整剤
上記各添加剤の効果を高めるためなどに必要に応じて酸または塩基を添加して研磨用組成物のpHを調節することができる。
【0071】
研磨用組成物をpH7以上に調整するときは、pH調整剤として、アルカリ性のものを使用する。望ましくは、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、エチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアミンなどのアミンが使用される。
【0072】
研磨用組成物をpH7未満に調整するときは、pH調整剤として、酸性のものが使用される。例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリセリン酸などのヒドロキシ酸類が使用される。
【0073】
pH緩衝剤
研磨用組成物のpH値を一定に保持するために、pH緩衝剤を使用しても構わない。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、4ホウ酸アンモ四水和水などのリン酸塩及びホウ酸塩または有機酸などを使用することができる。
【0074】
溶媒
本発明に係る研磨用組成物については、必要に応じて溶媒を用いることができる。溶媒としては通常、水を用いるが、必要に応じてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いることができ、他にエーテル類、エステル類、ケトン類など水溶性の有機溶媒を用いることができる。また、水と有機溶媒からなる混合溶媒であっても構わない。
【0075】
研磨用粒子の濃度
研磨用組成物中の(C)研磨用粒子の濃度は2〜50重量%、さらには5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が2重量%未満の場合は、基材や絶縁膜の種類によっては濃度が低すぎて研磨速度が遅く生産性が問題となることがある。シリカ粒子の濃度が50重量%を越えると研磨材の安定性が不充分となり、研磨速度や研磨効率がさらに向上することもなく、また研磨処理のために分散液を供給する工程で乾燥物が生成して付着することがあり傷(スクラッチ)発生の原因となることがある。
【0076】
[実施例および比較例で用いた分析方法]
以下に本発明の好適な実施例を述べる。実施例および比較例における各種特性の測定方法については、特に断りの無い限り、以下に記す方法にて実施した。
【0077】
[1]画像解析法による粒子連結型シリカ微粒子の一次粒子の平均径測定及び一次粒子の平均連結個数の測定
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、粒子連結型シリカ微粒子を倍率25万倍(ないしは50万倍)で写真撮影して得られる写真投影図において、一つの連結した粒子の両端の2個について、直径の最大値をとり、その平均値を当該連結粒子における、一次粒子の平均粒子径とし、同様の測定を任意の50個の連結型シリカ微粒子について行い、その平均粒子値を、粒子連結型シリカ微粒子の一次粒子の平均径とした。また、任意の粒子連結型シリカ微粒子50個について、その一次粒子連結個数を測定し、その平均値を一次粒子の平均連結個数とした。
【0078】
[2]粒子連結型シリカ微粒子の一次粒子径の測定
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、粒子連結型シリカ微粒子を倍率25万倍(ないしは50万倍)で写真撮影して得られる写真投影図において、任意の50個の一つの連結した粒子の両端の2個について、直径の最大値をとり、その平均値を当該連結粒子における、一次粒子の平均粒子径とし、同様の測定を50個の連結型粒子について行い、その平均粒子径を、粒子連結型シリカ一次粒子の平均粒子径とした。
【0079】
[3]粒子連結型シリカ微粒子の割合の測定
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、粒子連結型シリカ微粒子を倍率25万倍(ないしは50万倍)で写真撮影して得られる写真投影図において、任意の2000nm四方に相当する範囲に存在する100個以上の粒子について、粒子連結型シリカ微粒子の個数(m)、単粒子の個数(n)を記録し、粒子連結型シリカ微粒子の割合=m/(m+n)×100(%)を算定した。
【0080】
なお、2000nm四方に存在する粒子が、100個未満の場合は、粒子の個数が100個を超えるまで別の1箇所又は1箇所以上の2000nm四方について、そこに存在する粒子について、前記操作を行って、前記m及びnの値を合算したうえで、粒子連結型シリカ微粒子の割合を算定した。
【0081】
[4]動的光散乱法による粒子連結型シリカ微粒子の平均粒子径測定
試料(粒子連結型シリカゾル)を0.58%アンモニア水にて希釈して、固形分濃度1質量%に調整し、下記粒径測定装置を用いて平均粒子径を測定した。
【0082】
〔粒径測定装置〕
レーザーパーティクルアナライザー(大塚電子株式会社製、レーザー粒径解析システム:LP−510モデルPAR−III、測定原理:動的光散乱法、測定角度:90°、受光素子:光電子倍増管2インチ、光源:He−Neレーザー、5mW、632.8nm、温度調整範囲:5〜90℃、温度調整方式:ペルチェ素子(冷却)、セラミックヒーター(加熱)、セル:10mm角のプラスチックセル、測定対象:コロイド粒子)
【0083】
[5]一次粒子の半径変動係数の測定方法
粒子連結型シリカゾルの電子顕微鏡写真(25万倍ないし50万倍)の画像にて、粒子連結型シリカ微粒子に含まれる各球状粒子について、その外縁上の2点を結ぶ線分のうち最長の線分lを描き、該線分lを2等分する点を中心点Oとする。この中心点Oから、前記外縁の末端P(隣接する球状粒子の外縁との交点等)を通る半直線Sを引き、該半直線Sから5度間隔で、中心点Oを始点とし、前記外縁を通る6本の半直線を描く。半直線Sを含めた計7本の前記半直線と粒子の外縁との各交点から中心点Oまでの長さをそれぞれ測定し、その結果からその粒子の半径の変動係数を算定する。この操作を1個の粒子連結型シリカ微粒子に含まれる全ての粒子について行い、得られる変動係数のうち最大のものを当該粒子連結型シリカ微粒子の半径の変動係数とする。そしてこの操作を粒子連結型シリカ微粒子50個について行い、得られた半径の変動係数の平均値を、粒子連結型シリカ微粒子の一次粒子の半径の変動係数とする。粒子連結型シリカ微粒子の一次粒子の半径の変動係数の求め方に関する概略を図1に示した。ここで、「粒子の外縁」とは、電子顕微鏡写真上に現れ、その粒子固有の輪郭を形成する、その粒子と粒子が存在しない部分との境界線を意味する。つまり、その粒子が他の粒子と結合している部分の境界線、およびその粒子が他の粒子と結合することにより生じた境界線は、前記「粒子の外縁」には含まれない。
【0084】
なお、前記最長の直線が複数存在する場合であって、中心点Oが複数個存在することになる場合は、最も距離が離れた位置にある2つの中心点(O1およびO2)を結ぶ直線を求め、その中心点を改めて中心点Oとする。また、中心点Oから、前記外縁の末端を通る半直線を複数本引ける場合には、中心点Oと外縁との距離が最も長い半直線を、半直線Sとする。
【0085】
[6]Naタイトレーション法による比表面積測定および平均粒子径測定
1)SiO2として1.5gに相当する試料をビーカーに採取してから、恒温反応槽(25℃)に移し、純水を加えて液量を90mlにする。(以下の操作は、25℃に保持した恒温反応槽中にて行った。)
2)pH3.6になるように0.1モル/L塩酸水溶液を加える。
3)塩化ナトリウムを30g加え、純水で150mlに希釈し、10分間攪拌する。
4)pH電極をセットし、攪拌しながら0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液を滴下して、pH4.0に調整する。
5)pH4.0に調整した試料を0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH8.7〜9.3の範囲での滴定量とpH値を4点以上記録して、0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量をX、その時のpH値をYとして、検量線を作る。
6)次の式(2)からSiO21.5g当たりのpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の消費量V(ml)を求め、後記式(3)に従って比表面積SA[m2/g]を求める。
【0086】
また、平均粒子径D1(nm)は、式(4)から求める。
【0087】
【数1】

【0088】
【数2】

【0089】
【数3】

(ここで、ρは粒子の密度(g/cm3)を表す。シリカの場合は2.2を代入する。)
但し、上記式(2)における記号の意味は次の通りである。
A:SiO21.5g当たりpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量(ml)
f :0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の力価
C :試料のSiO2濃度(%)
W :試料採取量(g)
【0090】
[7]BET法(窒素吸着法)による比表面積測定および平均粒子径測定
粒子連結型シリカゾル50mlをHNO3でpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を算出した。
【0091】
具体的には、試料0.5gを測定セルに取り、窒素30v%/ヘリウム70v%混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、粒子連結型シリカゾルの比表面積を算出した。また、得られた比表面積(SA)を前記式(4)に代入して平均粒子径D1を求めた。
【0092】
[8]粒子連結型シリカゾルのSiO2分の定量、Na2O分の定量及びSiO2/Na2O(モル比)の算定
1.SiO2分の定量
試料(粒子連結型シリカゾル)2gをルツボにて蒸発乾固し、得られた固形物を1000℃にて1時間焼成後、デシケーターに入れ冷却して秤量する。これらの重量差より粒子連結型シリカゾルにおけるシリカ含有量を求めた。
【0093】
2.Na2O分の定量
1)試料シリカゾル約10gを白金皿に採取し、0.1mgまで秤量した。
2)硝酸5mlと弗化水素酸20mlを加えて、サンドバス上で加熱し、蒸発乾固した。
3)液量が少なくなったら、更に弗化水素酸20mlを加えてサンドバス上で加熱し、蒸発
乾固した。
4)室温まで冷却後、硝酸2mlと水を約50ml加えて、サンドバス上で加熱溶解した。
5)室温まで冷却後、フラスコ(100ml)に入れ、水で100mlに希釈して試料溶液とした。
6)原子吸光分光光度計(株式会社日立製作所製、Z-5300、測定モード:原子吸光、測定波長:190〜900nm、シリカ試料の場合におけるNaの検出波長は589.0nm)にて、試料溶液中に存在するNa含有量を測定した。そして、Na2O換算含有量を算定した。
【0094】
3.1及び2で得られたシリカ含有量とNa2O含有量からSiO2/Na2O(モル比)を算定した。
【0095】
[9]ガラス基板に対する研磨特性の評価方法
研磨用スラリーの調製
各実施例および各比較例で得たシリカ濃度20質量%の粒子連結型シリカ複合ゾルに、H22、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジスルホン酸)および超純水を加えて、シリカ9重量%、H220.5重量%、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジスルホン酸0.5重量%の研磨用スラリーを調製し、さらに必要に応じてHNO3を加えて、pH2の研磨用スラリーを調製した。
【0096】
被研磨基板
被研磨基板として、65nmΦの強化ガラス製のハードディスク用ガラス基板を使用した。このハードディスク用ガラス基板は、一次研磨済みであり、表面粗さは最大で0.21μmである。
【0097】
研磨試験
上記被研磨基板を、研磨装置(ナノファクター(株)製:NF300)にセットし、研磨パッド(ロデール社製「アポロン」)を使用し、基板荷重0.18MPa、テーブル回転速度30rpmで研磨用スラリーを20g/分の速度で5分間供給して研磨を行った。研磨前後の被研磨基材の重量変化を求めて研磨速度を計算した。
【0098】
[珪酸液A]
珪酸ナトリウム水溶液(シリカ濃度5質量%)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより調製し、珪酸液(シリカ濃度4.5質量%、pH2.3、のケイ酸液(pH2.3、SiO2/Na2O[モル比]=1200)を調製した。この珪酸液と同じ組成の珪酸液を以下、「珪酸液A」と称する。
【0099】
[実施例1]
攪拌機つき調合層に水10710gを入れ、さらに珪酸ナトリム水溶液(シリカ濃度24質量%、SiO2/Na2O[モル比]=3.0)5190gを添加して、希釈珪酸ナトリウム水溶液15900gを調製した。
【0100】
次に、この希釈珪酸ナトリウム水溶液に、珪酸液(シリカ濃度4.5質量%、pH2.3、SiO2/Na2O=1200[モル比])を358g添加して、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2O=3.2[モル比])を得た。 得られた混合液を加熱し、温度98℃で30分間熟成しシード液とした。
【0101】
そして、98℃に保持した状態で、このシード液(16260g)に珪酸液Aの82000gを6時間かけて一定の添加速度で添加した。
さらに、98℃に保持した状態で、珪酸液Aの82000gを3時間かけて一定に添加速度で添加した。添加終了後、98℃で1時間熟成して、粒子連結型シリカゾル(pH11.3、SiO2/Na2O(モル比)=21、シリカ濃度5質量%)を得た。限外濾過装置にて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を12%に調整し、ロータリーエバポレータにて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を40質量%に調整し、各種測定を行った結果と研磨試験の結果を表1に記す。また、この粒子連結型シリカゾルの製造工程に係る条件を表2に記す。
【0102】
[実施例2]
攪拌機つき調合層に水900gを入れ、さらに珪酸ナトリム水溶液(シリカ濃度24質量%、SiO2/Na2O[モル比]=3.0)233gを添加して、希釈珪酸ナトリウム水溶液1100gを調製した。
【0103】
次に、この希釈珪酸ナトリウム水溶液に、珪酸液(シリカ濃度4.5質量%、pH2.3、SiO2/Na2O=1200[モル比])を16g添加して、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2O=3.2[モル比])を得た。 得られた混合液を加熱し、温度98℃で30分間熟成しシード液とした。
【0104】
そして、98℃に保持した状態で、このシード液(1150g)に珪酸液Aの3060gを5時間かけて一定の添加速度で添加した。
さらに、98℃に保持した状態で、珪酸液Aの4280gを3.5時間かけて一定に添加速度で添加した。添加終了後、98℃で1時間熟成して、粒子連結型シリカゾル(pH11.0、SiO2/Na2O(モル比)=21、シリカ濃度5質量%)を得た。限外濾過装置にて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を12%に調整し、ロータリーエバポレータにて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を40質量%に調整し、各種測定を行った結果と研磨試験の結果を表1に記す。また、この粒子連結型シリカゾルの製造工程に係る条件を表2に記す。
【0105】
[実施例3]
攪拌機つき調合層に水900gを入れ、さらに珪酸ナトリム水溶液(シリカ濃度24質量%、SiO2/Na2O[モル比]=3.0)233gを添加して、希釈珪酸ナトリウム水溶液1100gを調製した。
【0106】
次に、この希釈珪酸ナトリウム水溶液に、珪酸液(シリカ濃度4.5質量%、pH2.3、SiO2/Na2O=1200[モル比])を16g添加して、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2O=3.2[モル比])を得た。 得られた混合液を加熱し、温度98℃で30分間熟成しシード液とした。
【0107】
そして、98℃に保持した状態で、このシード液(1150g)に珪酸液Aの1200gを3時間かけて一定の添加速度で添加した。
さらに、98℃に保持した状態で、珪酸液Aの6000gを5時間かけて一定に添加速度で添加した。添加終了後、98℃で1時間熟成して、粒子連結型シリカゾル(pH10.9、SiO2/Na2O(モル比)=21、シリカ濃度5質量%)を得た。限外濾過装置にて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を12%に調整し、ロータリーエバポレータにて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を40質量%に調整し、各種測定を行った結果と研磨試験の結果を表1に記す。また、この粒子連結型シリカゾルの製造工程に係る条件を表2に記す。
【0108】
[実施例4]
攪拌機つき調合層に水10700gを入れ、さらに珪酸ナトリム水溶液(シリカ濃度24質量%、SiO2/Na2O[モル比]=3.0)5190gを添加して、希釈珪酸ナトリウム水溶液1100gを調製した。
【0109】
次に、この希釈珪酸ナトリウム水溶液に、珪酸液(シリカ濃度4.5質量%、pH2.3、SiO2/Na2O=1200[モル比])を358g添加して、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2O=3.2[モル比])を得た。 得られた混合液を加熱し、温度98℃で30分間熟成しシード液とした。
【0110】
そして、98℃に保持した状態で、このシード液16000g)に珪酸液Aの17000gを5時間かけて一定の添加速度で添加した。
さらに、98℃に保持した状態で、珪酸液Aの147000gを12時間かけて一定に添加速度で添加した。添加終了後、98℃で1時間熟成して、粒子連結型シリカゾル(pH11.1、SiO2/Na2O(モル比)=21、シリカ濃度5質量%)を得た。限外濾過装置にて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を12%に調整し、ロータリーエバポレータにて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を40質量%に調整し、各種測定を行った結果と研磨試験の結果を表1に記す。また、この粒子連結型シリカゾルの製造工程に係る条件を表2に記す。
【0111】
[比較例1]
攪拌機つき調合層に水600gを入れ、さらに珪酸ナトリム水溶液(シリカ濃度24質量%、SiO2/Na2O[モル比]=3.0)69.1gを添加して、希釈珪酸ナトリウム水溶液700gを調製した。
【0112】
次に、この希釈珪酸ナトリウム水溶液に、珪酸液(シリカ濃度4.5質量%、pH2.3、SiO2/Na2O=1200[モル比])を18g添加して、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2O=3.2[モル比])を得た。得られた混合液を加熱し、温度98℃で30分間熟成しシード液とした。
【0113】
そして、98℃に保持した状態で、このシード液(965g)に珪酸液Aの417gを2.5時間かけて一定の添加速度で添加した。
さらに、98℃に保持した状態で、珪酸液Aの9680gを10時間かけて一定に添加速度で添加した。添加終了後、98℃で1時間熟成して、粒子連結型シリカゾル(pH10.5、シリカ濃度4.3質量%)を得た。限外濾過装置にて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を12%に調整し、ロータリーエバポレータにて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を40質量%に調整し、各種測定を行った結果と研磨試験の結果を表1に記す。また、この粒子連結型シリカゾルの製造工程に係る条件を表2に記す。
【0114】
[比較例2]
攪拌機つき調合層に水1100gを入れ、さらに珪酸ナトリム水溶液(シリカ濃度24質量%、SiO2/Na2O[モル比]=3.0)69.1gを添加して、希釈珪酸ナトリウム水溶液1200gを調製した。
【0115】
次に、この希釈珪酸ナトリウム水溶液に、珪酸液(シリカ濃度4.5質量%、pH2.3、SiO2/Na2O=1200[モル比])を18g添加して、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2O=3.2[モル比])を得た。得られた混合液を加熱し、温度98℃で30分間熟成しシード液とした。
【0116】
そして、98℃に保持した状態で、このシード液(1130g)に珪酸液Aの417gを2.5時間かけて一定の添加速度で添加した。
さらに、98℃に保持した状態で、珪酸液Aの9679000gを15時間かけて一定に添加速度で添加した。添加終了後、98℃で1時間熟成して、粒子連結型シリカゾル(pH10.5、シリカ濃度4.3質量%)を得た。限外濾過装置にて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を12%に調整し、ロータリーエバポレータにて、この粒子連結型シリカゾルを濃縮しシリカ濃度を40質量%に調整し、各種測定を行った結果と研磨試験の結果を表1に記す。また、この粒子連結型シリカゾルの製造工程に係る条件を表2に記す。
【0117】
【表1】

【0118】
【表2−1】

【0119】
【表2−2】

【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の粒子連結型シリカゾルは、研磨材および研磨用組成物として有用であり、アルミニウムディスク(アルミニウムまたはその基材上のメッキ層)や半導体多層配線基板のアルミニウム配線、光ディスクや磁気ディスク用ガラス基板、液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、ガラス質材料の鏡面加工などに利用が可能である。また、樹脂成型物やコーテイング被膜の充填剤、化粧料の成分、吸着剤、凝集促進剤、滓下げ剤、増粘剤、土壌硬化剤などとしても利用可能である。
【符号の説明】
【0121】
l・・線分
O・・中心点
P・・外縁の末端
S・・半直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像解析法により測定される平均粒子径が5〜300nmの範囲にあるシリカ1次粒子が2個以上結合した構造を含む粒子連結型シリカ微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型シリカゾルであって、該粒子連結型シリカ微粒子が、シリカ1次粒子として、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子を含むことを特徴とする粒子連結型シリカゾル。
【請求項2】
前記シリカ1次粒子の半径の変動係数が3〜30%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の粒子連結型シリカゾル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の何れかに記載の粒子連結型シリカゾルからなる研磨材。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の粒子連結型シリカゾルと、研磨促進剤、界面活性剤、複素環化合物、pH調整剤又はpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上とを含むことを特徴とする研磨用組成物。
【請求項5】
シード液に珪酸液を添加してなるビルトアップ工程を含むシリカゾルの製造方法であって、該シード液は、シリカ濃度が1.5〜10質量%、SiO2/Na2O(モル比)が1.0〜6.5の範囲にある水硝子又はシリカゾルであり、該珪酸液を添加してなるビルトアップ工程が前期ビルトアップ工程とそれに続く後期ビルトアップ工程からなり、更に前期添加工程の単位時間当りの珪酸液添加量(シリカ換算)[g](S)、後期添加工程の単位時間当りの珪酸液添加量(シリカ換算)[g](T)およびシード液中に存在するシリカ質量[g](A)が、次の(1)、(2)及び(3)の関係を満たすことを特徴とする粒子連結型シリカゾルの製造方法。
(1)0.1≦[S/A]≦2
(2)0.2≦[T/A]≦16
(3)2S≦T
【請求項6】
前記珪酸液が、シリカ濃度0.5〜10質量%、SiO2/Na2O(モル比)100〜10000の範囲のものであることを特徴とする請求項5記載の粒子連結型シリカゾルの製造方法。
【請求項7】
前記の前期添加工程におけるシード液の温度が、50〜200℃の範囲にあることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の粒子連結型シリカゾルの製造方法。
【請求項8】
前記の後期添加工程におけるシード液の温度が、50〜200℃の範囲にあることを特徴とする請求項5〜請求項7記載の粒子連結型シリカゾルの製造方法。
【請求項9】
前記の後期ビルトアップ工程につづいて50〜200℃での熟成工程を行うことを特徴とする請求項5〜請求項8記載の粒子連結型シリカゾルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−16702(P2011−16702A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163855(P2009−163855)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】