説明

粒度分布測定装置の洗浄方法及びその洗浄方法が用いられる粒度分布測定装置

【課題】 エジェクタや吸引パイプやエアロゾル移送パイプ等の吸入管を取り外すことなく、容易に洗浄できる粒度分布測定装置の洗浄方法及びその洗浄方法が用いられる粒度分布測定装置を提供する。
【解決手段】 被測定物Sが収容されるサンプル供給装置30と、光強度分布取得部41と、光強度分布取得部41で取得された光強度分布を用いて、被測定物Sに含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出する粒度分布算出部43とを備え、測定空間の一端部は、吸入管24a、24b、24fを介してサンプル供給装置30と連結されるとともに、測定空間の他端部は、排出管91と連結されている粒度分布測定装置1の洗浄方法であって、サンプル供給装置30に洗浄用粒子群を含む被測定物Sを収容する収容工程と、洗浄用粒子群を含む被測定物Sを、吸入管24a、24b、24fと測定空間と排出管91とを通過させる通過工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒度分布測定装置の洗浄方法及びその洗浄方法が用いられる粒度分布測定装置に関し、特に光学的手法(例えば、レーザ回折・散乱式等)を用いて被測定物に含まれる被測定粒子群の粒度分布を測定する粒度分布測定装置の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置においては、媒体(例えば、水や空気等)中に分散状態の被測定粒子群(例えば、乾燥粉体等)にレーザ光(測定光)を照射することにより、被測定粒子群で回折・散乱されたレーザ光の空間的な光強度分布を複数個の光検出素子で検出して、その光強度分布からフラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づく演算を行うことによって、被測定粒子群の粒度分布を算出する。
【0003】
図7は、従来の粒度分布測定装置の概略構成の一例を示す図である。なお、図7中で、光学系の構成を表す模式図と、データサンプリング回路やコンピュータからなる信号処理系の構成を表すブロック図とを併記して示している。
粒度分布測定装置401は、測定空間を配置するための測定空間配置部83と、測定空間に対してレーザ光を照射する照射光学系82と、光強度分布を検出する検出光学系84と、測定空間にエアロゾル(被測定物)Sを供給するサンプル供給装置30及び移送機構24と、データサンプリング回路85と、通信制御回路86と、粒度分布測定装置401全体を制御するコンピュータ(制御部)450とを備える(例えば、特許文献1参照)。
ここでは、乾燥粉体(被測定粒子群)Pを空気(媒体)L中に分散させたエアロゾルSを測定することにより、乾燥粉体Pの粒度分布を算出するものとする。
【0004】
測定空間配置部83は、下端部に下側接続口を、上端部に上側接続口を有する。そして、測定空間配置部83の下側接続口は、エアロゾル移送パイプ(吸入管の一つに該当)24fを介してサンプル供給装置30と接続されている。また、上側接続口は、吸引パイプ(排出管)91を介してポンプ92及びサンプル回収機構(図示せず)と接続されている。
このような構成において、ポンプ92が駆動することによって、サンプル供給装置30内のエアロゾルSが、下側接続口から測定空間に流入し、そして、測定空間を下方から上方へ通過し、その後、上側接続口から流出するようになっている。
【0005】
サンプル供給装置30は、鉛直方向となる回転軸31aを有する土台34と、円板状のターンテーブル31と、ターンテーブル31の上方に配置されたホッパ32及び充填器33とによって構成される。
ターンテーブル31は、土台34の回転軸31aを中心として図中矢印で示す向きに回転可能となっている。ターンテーブル31の上面には、回転軸31aを中心とする円環状の溝35が形成されている。
【0006】
ホッパ32は、内部に充填された乾燥粉体Pをターンテーブル31の溝35の内部に向けて落下させて供給するものである。
充填器33は、溝35の内部に供給された乾燥粉体Pに対して振動等を与えることによって、溝35の内部に乾燥粉体Pを均一に充填するものである。
【0007】
移送機構24は、エジェクタ(吸入管の一つに該当)24aと、一端が下向きに開口するとともに他端がエジェクタ24aに接続された吸引パイプ(吸入管の一つに該当)24bと、エジェクタ24aにボンベ24cから高圧の空気を供給する空気供給パイプ24dと、一端がエジェクタ24aに接続されるとともに他端が測定空間に向かって開口する噴出ノズル24eが装着されたエアロゾル移送パイプ(吸入管の一つに該当)24fとによって構成される。
このような移送機構24によれば、吸引パイプ24bにより吸引された乾燥粉体Pは、エジェクタ24a内で高圧空気中に混入され、エアロゾル移送パイプ24fを通って移送され、エアロゾル移送パイプ24fの先端に装着された噴出ノズル24eからエアロゾルSとなって測定空間に噴出されるようになっている。
なお、上記移送機構は、例えば、金属で形成されている。
【0008】
粒度分布測定装置401の左側部には、照射光学系82が設置され、具体的にはレーザ光源81と集光レンズ82aと空間フィルタ82bとコリメータ82cとが左からこの順に配置されている。
このような照射光学系82の構成において、レーザ光源81で発生されたレーザ光は、集光レンズ82a、空間フィルタ82b、コリメータ82cを通過して平行光とされ、前方向(図の左から右へ)に向かうように測定空間に照射される。
これにより、測定空間をエアロゾルSが通過していれば、レーザ光は、測定空間の乾燥粉体Pで回折・散乱して、空間的に回折・散乱光の光強度分布パターンが生ずることになる。
【0009】
粒度分布測定装置301の右側部には、検出光学系84が設置され、具体的には集光レンズ84aとリングディテクタ84bとが左からこの順に配置されている。
リングディテクタ84bは、互いに異なる半径を持つリング状ないしは半リング状の受光面を持つ64個の光検出素子を、集光レンズ84aの光軸を中心とするように同心円状に配置してあり、各光検出素子には、それぞれの位置に応じた回折・散乱角度を持つ光が入射するようにしてある。したがって、各光検出素子の出力信号は、各回折・散乱角度ごとの光の強度を表すことになる。
【0010】
このような検出光学系84の構成において、前方向に対して60°以内の回折・散乱光は、集光レンズ84aを介してリングディテクタ84bの受光面上に集光されて、リング状の回折・散乱像を結ぶようになる。
リングディテクタ84bの64個の各光検出素子の出力信号は、アンプ、マルチプレクサ及びA−D変換器からなるデータサンプリング回路85によって順次デジタル化され、回折・散乱光の光強度分布データとして汎用のコンピュータ450に送信される。
【0011】
コンピュータ450は、CPU440とメモリ460とを備え、モニタ画面を有する表示装置52と、キーボード51aやマウス51bを有する入力装置51とが連結されている。
CPU440が処理する機能をブロック化して説明すると、光強度分布データを取得する光強度分布取得部41と、乾燥粉体Pの粒度分布を算出する粒度分布算出部43と、サンプル供給装置30を制御するサンプル供給制御部42とを有する。
また、メモリ460は、光強度分布データを記憶するための光強度分布記憶領域61と、粉体粒子P及び空気(媒体)Lの屈折率や、フラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づいた公知の演算式等を記憶するデータ記憶領域462とを有する。
【0012】
サンプル供給制御部42は、測定者によって、エアロゾルSを測定するように入力装置51で入力されると、サンプル供給装置30から測定空間にエアロゾルSを供給する制御を行う。
具体的には、乾燥粉体Pを測定空間に供給するために、ホッパ32は、乾燥粉体Pをターンテーブル31の溝35の内部に向けて落下させ、充填器33は、溝35の内部に供給された乾燥粉体Pに対して振動等を与えることによって、溝35の内部に乾燥粉体Pを均一に充填する。そして、吸引パイプ24bに対し真空が加えられたとき、乾燥粉体Pを吸引パイプ24bの内部にフィードする。吸引パイプ24bにより吸引された乾燥粉体Pは、エジェクタ24a内で高圧空気中に混入され、エアロゾル移送パイプ24fを通って移送され、エアロゾル移送パイプ24fの先端に装着された噴出ノズル24eからエアロゾルSとなって測定空間に噴出されるようになっている。
【0013】
光強度分布取得部41は、エアロゾルSが測定空間を通過していると判定すると、測定空間に照射光学系82からのレーザ光を照射するとともに、リングディテクタ84bの64個の各光検出素子で検出される光強度をそれぞれ積算するように検出していき、エアロゾルSが測定空間を通過していないと判定すると、64個の各光検出素子で検出される各光強度の積算を終了することで、光強度分布データを取得して光強度分布記憶領域61に記憶させる制御を行う。
粒度分布算出部43は、光強度分布取得部41で得られた光強度分布データと、粉体粒子P及び空気Lの屈折率とを用いて、フラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づいた公知の演算を行うことによって、エアロゾルSに含まれる乾燥粉体Pの粒度分布を算出する制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−157631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、一の乾燥粉体Pの粒度分布の測定が終了すると、乾燥粉体Pの種類によっては、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの内面に付着して残留するものがある。よって、次の乾燥粉体Pの粒度分布を測定する際に、残留した乾燥粉体Pが剥離して、次の乾燥粉体Pと一緒に測定空間に噴出(コンタミネーション)されてしまうことがある。
【0016】
そのため、上述したような粒度分布測定装置401では、一の乾燥粉体Pの粒度分布の測定が終了すると、次の乾燥粉体Pの粒度分布を正確に算出するために、エジェクタ24aと吸引パイプ24bとエアロゾル移送パイプ24fとを洗浄する必要がある。このとき、エジェクタ24aと吸引パイプ24bとエアロゾル移送パイプ24fとを、粒度分布測定装置401から取り外して水等で洗浄しなければならず、非常に手間がかかっていた。
そこで、本発明は、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24f等の吸入管を取り外すことなく、容易に洗浄することができる粒度分布測定装置の洗浄方法及びその洗浄方法が用いられる粒度分布測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するためになされた本発明の粒度分布測定装置の洗浄方法は、測定光を出射する光源と、光強度分布を検出する検出器と、被測定粒子群を含む被測定物を通過させる測定空間を光源と検出器との間に配置する測定空間配置部と、前記被測定物が収容されるサンプル供給装置と、前記光源からの測定光を被測定物に照射することにより発生する光強度分布を検出器で検出して取得する光強度分布取得部と、前記光強度分布取得部で取得された光強度分布を用いて、前記被測定物に含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出する粒度分布算出部とを備え、前記測定空間の一端部は、吸入管を介してサンプル供給装置と連結されるとともに、前記測定空間の他端部は、排出管と連結されている粒度分布測定装置の洗浄方法であって、前記サンプル供給装置に洗浄用粒子群を含む被測定物を収容する収容工程と、前記洗浄用粒子群を含む被測定物を、吸入管と測定空間と排出管とを通過させる通過工程とを含むようにしている。
【0018】
ここで、「測定光」としては、レーザ光が好ましいが、これに限らず、LEDによる光、分光器で分光された光、干渉フィルタやバンドパスフィルタ等で波長範囲が制限された光を用いてもよい。
また、「光強度」とは、光検出素子で検出される数値そのものでなくてもよく、被測定物を測定する前に既に検出されている初期余剰光の光強度が存在する場合もあるので、光検出素子で検出される数値と初期余剰光の数値との差分であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の粒度分布測定装置の洗浄方法によれば、吸入管の内面に洗浄用粒子群が衝突することで吸入管内面の付着物を取り除くことができ、その結果、吸入管等を取り外すことなく、容易に洗浄することができる。
【0020】
(その他の課題を解決するための手段及び効果)
また、本発明の粒度分布測定装置の洗浄方法では、前記洗浄用粒子群の平均粒子径は、1μm以上2000μm以下であり、前記洗浄用粒子の材質はガラスであるようにしてもよい。
また、本発明の粒度分布測定装置の洗浄方法は、前記粒度分布算出部が、前記洗浄用粒子群を含む被測定物の粒度分布を算出する算出工程と、前記サンプル供給装置に収容された洗浄用粒子群の粒度分布の基準データと、前記算出工程で算出された前記洗浄用粒子群を含む被測定物の測定結果との差分から、洗浄の度合いを評価する判定工程とを含むようにしてもよい。
本発明の粒度分布測定装置の洗浄方法によれば、洗浄の度合いを評価することができる。
【0021】
また、本発明の粒度分布測定装置の洗浄方法では、前記基準データは、前記吸入管の内面に付着物がない状態で予め測定した洗浄用粒子群の粒度分布の測定結果であるようにしてもよい。
また、本発明の粒度分布測定装置の洗浄方法では、前記排出管の排出口は、前記サンプル供給装置と連結され、前記基準データは、前回に測定した前記洗浄用粒子群を含む被測定物の測定結果であるようにしてもよい。
【0022】
そして、本発明の粒度分布測定装置は、測定光を出射する光源と、光強度分布を検出する検出器と、被測定粒子群を含む被測定物を通過させる測定空間を光源と検出器との間に配置する測定空間配置部と、前記被測定物が収容されるサンプル供給装置と、前記光源からの測定光を被測定物に照射することにより発生する光強度分布を検出器で検出して取得する光強度分布取得部と、前記光強度分布取得部で取得された光強度分布を用いて、前記被測定物に含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出する粒度分布算出部とを備え、前記測定空間の一端部は、吸入管を介してサンプル供給装置と連結されるとともに、前記測定空間の他端部は、排出管と連結されている粒度分布測定装置であって、平均粒子径が1μm以上2000μm以下であり、かつ、材質がガラスである洗浄用粒子群を備えるようにしている。
【0023】
さらに、本発明の粒度分布測定装置は、前記サンプル供給装置に収容された洗浄用粒子群の粒度分布の基準データと、前記粒度分布算出部で算出された前記洗浄用粒子群を含む被測定物の測定結果との差分から、洗浄の度合いを評価する判定部を備えるようにしてもよい。
本発明の粒度分布測定装置によれば、洗浄の度合いを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一実施形態である粒度分布測定装置の全体構成を示す概略構成ブロック図。
【図2】図1に示す粒度分布測定装置による測定方法を説明するフローチャート。
【図3】本発明の第二実施形態の全体構成を示す概略構成ブロック図。
【図4】図3に示す乾燥粉体分散供給装置の断面図。
【図5】本発明の第三実施形態の全体構成を示す概略構成ブロック図。
【図6】図5に示す粒度分布測定装置による測定方法を説明するフローチャート。
【図7】従来の粒度分布測定装置の概略構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれる。
【0026】
<第一実施形態>
図1は、本発明に係る第一実施形態の粒度分布測定装置の全体構成を示す概略構成ブロック図である。なお、粒度分布測定装置401と同様のものについては、同じ符号を付している。
粒度分布測定装置1は、測定空間を配置するための測定空間配置部83と、測定空間に対してレーザ光を照射する照射光学系82と、光強度分布を検出する検出光学系84と、測定空間にエアロゾル(被測定物)Sを供給するサンプル供給装置30及び移送機構24と、データサンプリング回路85と、通信制御回路86と、粒度分布測定装置1全体を制御するコンピュータ(制御部)50と、洗浄用粒子群WPとを備える。
本実施形態は、測定時には乾燥粉体(被測定粒子群)Pを空気(媒体)L中に分散させたエアロゾルSを測定することにより、乾燥粉体Pの粒度分布を算出するものである。また、洗浄時には洗浄用粒子群WPを空気(媒体)L中に分散させたエアロゾルSを測定することにより、洗浄用粒子群WPを含む全体(噴射経路24a、24b、24fに残った先の被測定物と洗浄用粒子群WPとの混合したもの)の粒度分布を算出することで、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの内面に残った先の被測定物が存在するかを判定して、洗浄の度合いを評価するものである。
【0027】
上記洗浄用粒子群の平均粒子径は、1μm以上2000μm以下であることが好ましい。1μm未満であれば、洗浄用粒子群自体がエジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの内面に付着し、付着物となる可能性があり、一方、2000μmを超えると、洗浄用粒子の重量が重くなり、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fや測定空間を通過させることができなくなる可能性がある。
【0028】
上記洗浄用粒子の材質は、帯電しない点からセラミック(アルミナ)、ガラス等であることが好ましい。
上記洗浄用粒子の硬度は、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの硬度より低く、かつ、可能な限り硬いものであることが好ましい。
また、上記洗浄用粒子の形状は、球状であることが好ましい。
【0029】
コンピュータ50は、CPU40とメモリ60とを備え、モニタ画面を有する表示装置52と、キーボード51aやマウス51bを有する入力装置51とが連結されている。
CPU40が処理する機能をブロック化して説明すると、光強度分布データを取得する光強度分布取得部41と、乾燥粉体Pの粒度分布を算出する粒度分布算出部43と、サンプル供給装置30を制御するサンプル供給制御部42と、洗浄の度合いを評価する判定部44とを有する。
【0030】
そして、メモリ60のデータ記憶領域62には、洗浄用粒子WPの屈折率や、洗浄用粒子群WPの粒度分布の基準データDWPや、洗浄の度合いを評価するための判定閾値ΔDthが予め記憶されている。基準データDWPは、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの内面に付着物がない状態で予め測定した洗浄用粒子群WPの粒度分布の測定結果や、洗浄用粒子群WPのスペック等に記載された数値であり、測定者等によってデータ記憶領域62に予め記憶されることになる。
【0031】
判定部44は、データ記憶領域62に記憶された洗浄用粒子群WPの粒度分布の基準データDWPと、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの内面に残った先の被測定物と洗浄用粒子群WPとの混合したものの粒度分布の測定結果との差分ΔDから、洗浄の度合いを評価する制御を行う。具体的には、粒度分布算出部43で算出された洗浄用粒子群WPを含む被測定物の粒度分布の測定結果から、洗浄用粒子群WPの粒度分布の基準データDWPを減算した差分ΔD(例えば、少なくとも1個の光検出素子における差分ΔD)が、判定閾値ΔDth以上であれば、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの内面に付着物が存在していると判定する。一方、粒度分布算出部43で算出された洗浄用粒子群WPを含む被測定物の粒度分布の測定結果から、洗浄用粒子群WPの粒度分布の基準データDWPを減算した差分ΔD(例えば、全ての光検出素子における差分ΔD)が、判定閾値ΔDth未満であれば、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの内面に付着物が充分に少なくなったと判定する。これにより、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの内面を充分に洗浄できたことを示す画像やメッセージを表示する。
【0032】
次に、粒度分布測定装置1による測定方法について説明する。図2は、上述した粒度分布測定装置1による測定方法について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS101の処理において、ホッパ32の内部に洗浄用粒子群WPを収容する。そして、ホッパ32は、洗浄用粒子群WPをターンテーブル31の溝35の内部に向けて落下させ、充填器33は、溝35の内部に供給された洗浄用粒子群WPに対して振動等を与えることによって、溝35の内部に洗浄用粒子群WPを均一に充填する。
【0033】
次に、ステップS102の処理において、吸引パイプ24bに対し真空が加えられたとき、洗浄用粒子群WPを吸引パイプ24bの内部にフィードする。吸引パイプ24bにより吸引された洗浄用粒子群WPは、エジェクタ24a内で高圧空気中に混入され、エアロゾル移送パイプ24fを通って移送され、エアロゾル移送パイプ24fの先端に装着された噴出ノズル24eからエアロゾルSとなって測定空間に噴出される。
【0034】
次に、ステップS103の処理において、光強度分布取得部41は、エアロゾルSが測定空間を通過していると判定すると、測定空間に照射光学系82からのレーザ光を照射するとともに、リングディテクタ84bの64個の各光検出素子で検出される光強度をそれぞれ積算するように検出していき、エアロゾルSが測定空間を通過していないと判定すると、64個の各光検出素子で検出される各光強度の積算を終了することで、光強度分布データを取得して光強度分布記憶領域61に記憶させる。
次に、ステップS104の処理において、粒度分布算出部43は、光強度分布取得部41で得られた光強度分布データと、洗浄用粒子WP及び空気Lの屈折率とを用いて、フラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づいた公知の演算を行うことによって、エアロゾルSに含まれる洗浄用粒子群WPの粒度分布を算出してデータ記憶領域62に基準データDWPとして記憶させる。
【0035】
次に、ステップS105の処理において、ホッパ32の内部に、測定対象となる乾燥粉体Pを収容する。そして、ホッパ32は、乾燥粉体Pをターンテーブル31の溝35の内部に向けて落下させ、充填器33は、溝35の内部に供給された乾燥粉体Pに対して振動等を与えることによって、溝35の内部に乾燥粉体Pを均一に充填する。
次に、ステップS106の処理において、吸引パイプ24bに対し真空が加えられたとき、乾燥粉体Pを吸引パイプ24bの内部にフィードする。吸引パイプ24bにより吸引された乾燥粉体Pは、エジェクタ24a内で高圧空気中に混入され、エアロゾル移送パイプ24fを通って移送され、エアロゾル移送パイプ24fの先端に装着された噴出ノズル24eからエアロゾルSとなって測定空間に噴出される。
【0036】
次に、ステップS107の処理において、光強度分布取得部41は、エアロゾルSが測定空間を通過していると判定すると、測定空間に照射光学系82からのレーザ光を照射するとともに、リングディテクタ84bの64個の各光検出素子で検出される光強度をそれぞれ積算するように検出していき、エアロゾルSが測定空間を通過していないと判定すると、64個の各光検出素子で検出される各光強度の積算を終了することで、光強度分布データを取得して光強度分布記憶領域61に記憶させる。
次に、ステップS108の処理において、粒度分布算出部43は、光強度分布取得部41で得られた光強度分布データと、粉体粒子P及び空気Lの屈折率とを用いて、フラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づいた公知の演算を行うことによって、エアロゾルSに含まれる乾燥粉体Pの粒度分布を算出して表示装置52に表示させる。
【0037】
次に、ステップS109の処理において、ホッパ32の内部に洗浄用粒子群WPを収容する。そして、ホッパ32は、洗浄用粒子群WPをターンテーブル31の溝35の内部に向けて落下させ、充填器33は、溝35の内部に供給された洗浄用粒子群WPに対して振動等を与えることによって、溝35の内部に洗浄用粒子群WPを均一に充填する(収容工程)。
【0038】
次に、ステップS110の処理において、吸引パイプ24bに対し真空が加えられたとき、洗浄用粒子群WPを吸引パイプ24bの内部にフィードする。吸引パイプ24bにより吸引された洗浄用粒子群WPは、エジェクタ24a内で高圧空気中に混入され、エアロゾル移送パイプ24fを通って移送され、エアロゾル移送パイプ24fの先端に装着された噴出ノズル24eからエアロゾルSとなって測定空間に噴出される(通過工程)。このとき、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの内面に先の被測定物が残っていれば、洗浄用粒子群WPとともに、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの内面に残った先の被測定物が測定空間に噴出されることになる。
【0039】
次に、ステップS111の処理において、光強度分布取得部41は、エアロゾルSが測定空間を通過していると判定すると、測定空間に照射光学系82からのレーザ光を照射するとともに、リングディテクタ84bの64個の各光検出素子で検出される光強度をそれぞれ積算するように検出していき、エアロゾルSが測定空間を通過していないと判定すると、64個の各光検出素子で検出される各光強度の積算を終了することで、光強度分布データを取得して光強度分布記憶領域61に記憶させる。
次に、ステップS112の処理において、粒度分布算出部43は、光強度分布取得部41で得られた光強度分布データと、洗浄用粒子WP及び空気Lの屈折率とを用いて、フラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づいた公知の演算を行うことによって、洗浄用粒子群WPを含むエアロゾルSの粒度分布を算出する(算出工程)。
【0040】
次に、ステップS113の処理において、データ記憶領域62に記憶された洗浄用粒子群WPの粒度分布の基準データDWPと、粒度分布算出部43で算出された洗浄用粒子群WPを含むエアロゾルSの粒度分布の測定結果との差分ΔDが、判定閾値ΔDth以上であるか否かを判定する(判定工程)。差分ΔDが判定閾値ΔDth以上であると判定したときには、ステップS109の処理に戻る。つまり、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fの内面を再度洗浄する。
【0041】
一方、差分ΔDが判定閾値ΔDth未満であると判定したときには、ステップS114の処理において、次の乾燥粉体Pを測定するか否かを判断する。次の乾燥粉体Pを測定すると判断したときには、ステップS105の処理に戻る。
一方、乾燥粉体Pを測定しないと判断したときには、本フローチャートを終了させる。
【0042】
以上のように、粒度分布測定装置1によれば、洗浄用粒子群WPがエジェクタ24aと吸引パイプ24bとエアロゾル移送パイプ24fとの内面に衝突することで、エジェクタ24aと吸引パイプ24bとエアロゾル移送パイプ24fとの内面の付着物を取り除くことができ、その結果、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24f等を取り外すことなく、容易に洗浄することができると共に、洗浄の度合いを評価することができる。
【0043】
<第二実施形態>
図3は、本発明に係る第二実施形態の粒度分布測定装置の全体構成を示す概略構成ブロック図である。なお、上述した粒度分布測定装置1と同様のものについては、同じ符号を付している。
粒度分布測定装置101は、測定空間を配置するための測定空間配置部83と、測定空間に対してレーザ光を照射する照射光学系82と、光強度分布を検出する検出光学系84と、測定空間にエアロゾル(被測定物)Sを供給する乾燥粉体分散供給装置130及び移送機構24と、データサンプリング回路85と、通信制御回路86と、粒度分布測定装置101全体を制御するコンピュータ(制御部)150と、洗浄用粒子群WPとを備える。
【0044】
図4(a)は、図3に示す乾燥粉体分散供給装置の一例を示す垂直方向の断面図であり、図4(b)は、図3に示す乾燥粉体分散供給装置の一例を示す水平方向の断面図(図4(a)に示すA−A線断面図)である。
乾燥粉体分散供給装置130は、吸引プローブ10と試料容器20とを備える。
吸引プローブ10は、略円柱状の金属製のプローブ本体11と、プローブ本体11の上面の中央部から下面の中央部まで貫通するように配置される円管状の吸引管(吸入管の一つに該当)12と、プローブ本体11の上面の周縁部から下面の周縁部まで貫通するように形成された4個の円管状の気流発生口13と、円環状のOリング14とを有する。
【0045】
吸引管12は、プローブ本体11の上面を通って上方に延びている。また、プローブ本体11の下部の外周面には、凹部が形成されており、Oリング14がはめ込まれている。
4個の気流発生口13は、プローブ本体11の先端部を軸方向から視ると、図4(b)に示す通り、プローブ本体11の周縁部に等間隔をあけて円形状に並ぶように配置されている。
【0046】
試料容器20は、円筒状のガラス製又は金属製の側壁21と、側壁21の下部に形成された円板状のガラス製又は金属製の底面22とを有する。そして、試料容器20の内部には、乾燥粉体Pが収容されるようになっている。このとき、乾燥粉体Pは、底面22から高さ5cm程度で収容される。
そして、プローブ本体11の水平方向における断面は円形状であり、試料容器20の側壁21の水平方向における断面は円環形状であり、プローブ本体11の水平方向における断面の直径Lは、試料容器20の側壁21の水平方向における断面の内径Lよりも小さくなっている。また、Oリング14の水平方向における断面は円環形状であり、試料容器20の側壁21の内周面とプローブ本体11の外周面との間に配置されている。これにより、空気が試料容器20の側壁21の内周面とプローブ本体11の外周面との間を通過することがなくなる。
【0047】
サンプル供給制御部142は、測定者によって、エアロゾルSを測定するように入力装置51で入力されると、乾燥粉体分散供給装置130から測定空間にエアロゾルSを供給する制御を行う。
具体的には、乾燥粉体Pを測定空間に供給するために、吸引プローブ10が、試料容器20の内部で乾燥粉体Pの表面より少し上に配置される。そして、吸引管12に対し真空が加えられたとき、空気が予め決まった直径を有する4個の気流発生口13に入り、試料容器20の気流発生口13に沿って高速下向き空気流を形成し、下向き空気流が吸引プローブ10の下端部において方向を変え、乾燥粉体Pの表面より上で高せん断力を生成し、高せん断力が乾燥粉体Pを分散させ、分散された乾燥粉体Pを吸引管12の内部にフィードする。
【0048】
以上のように、粒度分布測定装置101によれば、洗浄用粒子群WPがエジェクタ24aと吸引パイプ24bとエアロゾル移送パイプ24fと吸引管12との内面に衝突することで、エジェクタ24aと吸引パイプ24bとエアロゾル移送パイプ24fと吸引管12との内面の付着物を取り除くことができ、その結果、エジェクタ24aや吸引パイプ24bやエアロゾル移送パイプ24fや吸引管12等を取り外すことなく、容易に洗浄することができると共に、洗浄の度合いを評価することができる。
【0049】
<第三実施形態>
図5は、第三実施形態の粒度分布測定装置の全体構成を示す概略構成ブロック図である。なお、上述した粒度分布測定装置1と同様のものについては、同じ符号を付している。
粒度分布測定装置201は、フローセル(測定空間)230を配置するための測定空間配置部(図示せず)と、フローセル230に対してレーザ光を照射する照射光学系82と、光強度分布を検出する検出光学系250と、フローセル230に被測定液Sを供給するサンプル供給装置210と、データサンプリング回路85と、通信制御回路86と、粒度分布測定装置201全体を制御するコンピュータ(制御部)350と、洗浄用粒子群WPとを備える。
本実施形態は、測定時には被測定粒子群Pを水(媒体)L中に分散させた被測定液Sを測定することにより、被測定粒子群Pの粒度分布を算出するものである。また、洗浄時には洗浄用粒子群WPを水(媒体)L中に分散させた被測定液Sを測定することにより、洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液S(吸入管221と排出管220と分散槽214とに残った先の被測定物と洗浄用粒子群WPとの混合したもの)の粒度分布を算出することで、吸入管221や排出管220や分散槽214の内面に残った先の被測定物の量が増加するかを判定して、洗浄の度合いを評価するものである。
【0050】
粒度分布測定装置201の右側部には、検出光学系250が設置され、具体的には集光レンズ84aとリングディテクタ84bとが左からこの順に配置されている。
また、側方散乱光センサ(光検出素子)253が、フローセル230から側方(後上方向)への散乱光を検出するように配置され、複数の後方散乱光センサ(光検出素子)254が、フローセル230から後方(後下方向)への散乱光を検出するように配置されている。
側方散乱光センサ253と複数の後方散乱光センサ254との出力信号は、アンプ、マルチプレクサ及びA−D変換器からなるデータサンプリング回路85によって順次デジタル化され、回折・散乱光の光強度分布データとして汎用のコンピュータ350に送信される。
【0051】
分散槽214は、攪拌羽根等を有する攪拌機212と超音波振動子213とを備える。そして、媒体Lが、分散槽214内に媒体供給ポンプ211から供給されるともに、被測定粒子群Pも分散槽214内に投入されるようになっている。これにより、攪拌機212と超音波振動子213とを所定の時間、駆動させることによって、分散槽214内で媒体L中に被測定粒子群Pが均一に分散してなる被測定液Sを生成させる。
【0052】
フローセル230は、下端部に下側接続口を、上端部に上側接続口を有する。そして、フローセル230の下側接続口は、吸入管221と循環ポンプ222とを介して分散槽214と接続されている。また、上側接続口は、排出管220を介して分散槽214と接続されている。
このような構成において、循環ポンプ222を駆動させることによって、被測定液Sが分散槽214内とフローセル230内との間を循環することになる。このとき、被測定液Sはフローセル230内を下方から上方に流れることになる。
なお、上記フローセルは、例えば、石英ガラスで形成されている。
【0053】
コンピュータ350は、CPU340とメモリ360とを備え、モニタ画面を有する表示装置52と、キーボード51aやマウス51bを有する入力装置51とが連結されている。CPU340が処理する機能をブロック化して説明すると、光強度分布データを取得する光強度分布取得部341と、被測定粒子群Pの粒度分布を算出する粒度分布算出部43と、サンプル供給装置210を制御するサンプル供給制御部342と、洗浄の度合いを評価する判定部344とを有する。また、メモリ360のデータ記憶領域362には、洗浄用粒子WPの屈折率や、洗浄の度合いを評価するための変化閾値ΔDthが予め記憶されている。
【0054】
サンプル供給制御部342は、測定者によって、被測定液Sを測定するように入力装置51で入力されると、サンプル供給装置210からフローセル230に被測定液Sを供給する制御を行う。具体的には、循環ポンプ222を駆動させることによって、被測定液Sを分散槽214内とフローセル230内との間に循環させる。
【0055】
光強度分布取得部341は、フローセル230に照射光学系82からのレーザ光を照射するとともに、光センサ84b、253、254の各光検出素子で検出される光強度をそれぞれ積算するように検出していき、所定の回数(例えば128回)積算すると、光センサ84b、253、254の各光検出素子で検出される各光強度の積算を終了することで、光強度分布データを取得して光強度分布記憶領域361に記憶させる制御を行う。
【0056】
判定部344は、粒度分布算出部43で算出された洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液Sの粒度分布の第(n+1)の測定結果と、粒度分布算出部43で算出された洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液Sの粒度分布の第nの測定結果との差分ΔDから、洗浄の度合いを評価する制御を行う。具体的には、粒度分布算出部43で算出された洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液Sの粒度分布の第(n+1)の測定結果から、粒度分布算出部43で算出された洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液Sの粒度分布の第nの測定結果を減算した差分ΔDが、変化閾値ΔDth以上であれば、吸入管221と排出管220と分散槽214との内面に付着物が、まだ存在していると判定する。一方、粒度分布算出部43で算出された洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液Sの粒度分布の第(n+1)の測定結果から、粒度分布算出部43で算出された洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液Sの粒度分布の第nの測定結果を減算した差分ΔDが、変化閾値ΔDth未満であれば、吸入管221と排出管220と分散槽214との内面から付着物が充分に除去されたと判定する。これにより、吸入管221と排出管220と分散槽214との内面を充分に洗浄できたことを示す画像を表示する。
【0057】
次に、粒度分布測定装置201による測定方法について説明する。図6は、粒度分布測定装置201による測定方法について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS201の処理において、分散槽214内に媒体Lを媒体供給ポンプ211から供給するともに、被測定粒子群Pも分散槽214内に投入する。そして、攪拌機212と超音波振動子213とを所定の時間、駆動させることによって、分散槽214内で媒体L中に被測定粒子群Pが均一に分散してなる被測定液Sを生成させる。
次に、ステップS202の処理において、循環ポンプ222を駆動させることによって、被測定液Sを分散槽214内とフローセル230内との間に循環させる。
【0058】
次に、ステップS203の処理において、フローセル230に照射光学系82からのレーザ光を照射するとともに、光センサ84b、253、254の各光検出素子で検出される光強度をそれぞれ積算するように検出していき、所定の回数(例えば128回)積算すると、光センサ84b、253、254の各光検出素子で検出される各光強度の積算を終了することで、光強度分布データを取得して光強度分布記憶領域361に記憶させる。
次に、ステップS204の処理において、粒度分布算出部43は、光強度分布取得部341で得られた光強度分布データと、被測定粒子P及び媒体Lの屈折率とを用いて、フラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づいた公知の演算を行うことによって、被測定液Sに含まれる被測定粒子群Pの粒度分布を算出して表示装置52に表示させる。
【0059】
次に、ステップS205の処理において、被測定粒子群Pを含んだ被測定液Sを粒度分布測定装置201から除去する。
【0060】
次に、ステップS206の処理において、洗浄回数に関する洗浄パラメータNを0とする。
次に、ステップS207の処理において、分散槽214内に媒体Lを媒体供給ポンプ211から供給するともに、洗浄用粒子群WPも分散槽214内に投入する。そして、攪拌機212と超音波振動子213とを所定の時間、駆動させることによって、分散槽214内で媒体L中に洗浄用粒子群WPが均一に分散してなる被測定液Sを生成させる(収容工程)。
【0061】
次に、ステップS208の処理において、循環ポンプ222を駆動させることによって、被測定液Sを分散槽214内とフローセル230内との間に循環させる(通過工程)。このとき、吸入管221や排出管220や分散槽214の内面に先の被測定物が残っていれば、洗浄用粒子群WPとともに、吸入管221と排出管220と分散槽214とに残った先の被測定物がフローセル230内を流通することになる。
【0062】
次に、ステップS209の処理において、フローセル230に照射光学系82からのレーザ光を照射するとともに、光センサ84b、253、254の各光検出素子で検出される光強度をそれぞれ積算するように検出していき、所定の回数積算すると、光センサ84b、253、254の各光検出素子で検出される各光強度の積算を終了することで、光強度分布データを取得して光強度分布記憶領域361に記憶させる。
次に、ステップS210の処理において、粒度分布算出部43は、光強度分布取得部341で得られた光強度分布データと、洗浄用粒子WP及び媒体Lの屈折率とを用いて、フラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づいた公知の演算を行うことによって、洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液Sの粒度分布を算出してデータ記憶領域362に記憶させる(算出工程)。
【0063】
次に、ステップS211の処理において、洗浄パラメータNをN+1とする。
次に、ステップS212の処理において、フローセル230に照射光学系82からのレーザ光を照射するとともに、光センサ84b、253、254の各光検出素子で検出される光強度をそれぞれ積算するように検出していき、所定の回数積算すると、光センサ84b、253、254の各光検出素子で検出される各光強度の積算を終了することで、光強度分布データを取得して光強度分布記憶領域361に記憶させる。
次に、ステップS213の処理において、粒度分布算出部43は、光強度分布取得部341で得られた光強度分布データと、洗浄用粒子WP及び媒体Lの屈折率とを用いて、フラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づいた公知の演算を行うことによって、洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液Sの粒度分布を算出してデータ記憶領域362に記憶させる(算出工程)。
【0064】
次に、ステップS214の処理において、粒度分布算出部43で算出された洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液Sの粒度分布の第(n+1)の測定結果と、粒度分布算出部43で算出された洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液Sの粒度分布の第nの測定結果との差分ΔDが、変化閾値ΔDth以上であるか否かを判定する(判定工程)。差分ΔDが変化閾値ΔDth以上であると判定したときには、ステップS211の処理に戻る。つまり、吸入管221と排出管220と分散槽214との内面を再度洗浄する。
【0065】
一方、差分ΔDが変化閾値ΔDth未満であると判定したときには、ステップS215の処理において、洗浄用粒子群WPを含んだ被測定液Sを粒度分布測定装置201から除去する。
次に、ステップS216の処理において、次の被測定粒子群Pを測定するか否かを判断する。次の被測定粒子群Pを測定すると判断したときには、ステップS201の処理に戻る。一方、被測定粒子群Pを測定しないと判断したときには、本フローチャートを終了させる。
【0066】
以上のように、粒度分布測定装置201によれば、洗浄用粒子群WPが吸入管221と排出管220と分散槽214との内面に衝突することで、吸入管221と排出管220と分散槽214との内面の付着物を取り除くことができ、その結果、吸入管221や排出管220や分散槽214等を取り外すことなく、容易に洗浄することができる。また、洗浄の度合いを評価することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、光学的手法を用いて被測定物に含まれる被測定粒子群の粒度分布を測定する粒度分布測定装置等に使用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 粒度分布測定装置
24a、24b、24f 吸入管
30 サンプル供給装置
41 光強度分布取得部
43 粒度分布算出部
81 レーザ光源
83 測定空間配置部
84b リングディテクタ(検出器)
91 排出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定光を出射する光源と、
光強度分布を検出する検出器と、
被測定粒子群を含む被測定物を通過させる測定空間を光源と検出器との間に配置する測定空間配置部と、
前記被測定物が収容されるサンプル供給装置と、
前記光源からの測定光を被測定物に照射することにより発生する光強度分布を検出器で検出して取得する光強度分布取得部と、
前記光強度分布取得部で取得された光強度分布を用いて、前記被測定物に含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出する粒度分布算出部とを備え、
前記測定空間の一端部は、吸入管を介してサンプル供給装置と連結されるとともに、前記測定空間の他端部は、排出管と連結されている粒度分布測定装置の洗浄方法であって、
前記サンプル供給装置に洗浄用粒子群を含む被測定物を収容する収容工程と、
前記洗浄用粒子群を含む被測定物を、吸入管と測定空間と排出管とを通過させる通過工程とを含むことを特徴とする粒度分布測定装置の洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄用粒子群の平均粒子径は1μm以上2000μm以下であり、前記洗浄用粒子の材質はガラスであることを特徴とする請求項1に記載の粒度分布測定装置の洗浄方法。
【請求項3】
前記粒度分布算出部が、前記洗浄用粒子群を含む被測定物の粒度分布を算出する算出工程と、
前記サンプル供給装置に収容された洗浄用粒子群の粒度分布の基準データと、前記算出工程で算出された前記洗浄用粒子群を含む被測定物の測定結果との差分から、洗浄の度合いを評価する判定工程とを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粒度分布測定装置の洗浄方法。
【請求項4】
前記基準データは、前記吸入管の内面に付着物がない状態で予め測定した洗浄用粒子群の粒度分布の測定結果であることを特徴とする請求項3に記載の粒度分布測定装置の洗浄方法。
【請求項5】
前記排出管の排出口は、前記サンプル供給装置と連結され、
前記基準データは、前回に測定した前記洗浄用粒子群を含む被測定物の測定結果であることを特徴とする請求項3に記載の粒度分布測定装置の洗浄方法。
【請求項6】
測定光を出射する光源と、
光強度分布を検出する検出器と、
被測定粒子群を含む被測定物を通過させる測定空間を光源と検出器との間に配置する測定空間配置部と、
前記被測定物が収容されるサンプル供給装置と、
前記光源からの測定光を被測定物に照射することにより発生する光強度分布を検出器で検出して取得する光強度分布取得部と、
前記光強度分布取得部で取得された光強度分布を用いて、前記被測定物に含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出する粒度分布算出部とを備え、
前記測定空間の一端部は、吸入管を介してサンプル供給装置と連結されるとともに、前記測定空間の他端部は、排出管と連結されている粒度分布測定装置であって、
平均粒子径が1μm以上2000μm以下であり、かつ、材質がガラスである洗浄用粒子群を備えることを特徴とする粒度分布測定装置。
【請求項7】
前記サンプル供給装置に収容された洗浄用粒子群の粒度分布の基準データと、前記粒度分布算出部で算出された前記洗浄用粒子群を含む被測定物の測定結果との差分から、洗浄の度合いを評価する判定部を備えることを特徴とする請求項6に記載の粒度分布測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−96962(P2013−96962A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242978(P2011−242978)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)