説明

粒度分布測定装置

【課題】 超音波照射時間に対する被測定粒子群の粒度分布に関する数値の変化量を算出できる粒度分布測定装置を提供する。
【解決手段】 光源241からの測定光が被測定物に照射されて発生する光強度分布を検出器252で検出して取得する光強度分布取得部71aと、被測定物の粒度分布を算出する粒度分布算出部71bとを備える粒度分布測定装置1であって、測定空間230に接続され、測定空間230に供給する被測定物が貯蔵されるサンプル供給装置210を備え、サンプル供給装置210には、被測定物に超音波を照射する超音波発生装置213が設置されており、粒度分布算出部71bは、超音波発生装置213を駆動制御しながら被測定物を測定空間230に供給させることにより、所定の時間間隔で被測定粒子群の粒度分布を算出し、被測定物に超音波を照射した照射時間に対する被測定粒子群の粒度分布に関する数値の変化量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的手法(例えば、レーザ回折・散乱式等)を用いて被測定物に含まれる被測定粒子群の粒度分布を測定する粒度分布測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置では、媒体(例えば、水や空気等)中に分散状態の被測定粒子群(例えば、粉体等)にレーザ光(測定光)を照射することにより、被測定粒子群で回折・散乱されたレーザ光の空間的な光強度分布を複数個の光検出素子で検出して、その光強度分布からフラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づく演算を行うことによって、被測定粒子群の粒度分布を算出する。
このような粒度分布測定装置において、被測定粒子群を分散させるために媒液(例えば、水等)を使用する場合には、フローセルが使用されることがある。フローセルを使用した測定では、媒液中に被測定粒子群が均一に分散された被測定液がフローセル内を流れるようにして、フローセル内の被測定液にレーザ光を照射することになる。
【0003】
ここで、フローセルを使用した粒度分布測定装置の一例について説明する。図6は、フローセルを使用した従来の粒度分布測定装置の概略構成の一例を示す図である。なお、図6中で、光学系の構成を表す模式図と、データサンプリング回路やコンピュータからなる信号処理系の構成を表すブロック図とを併記して示している。
粒度分布測定装置201は、フローセル(測定空間)230を配置するための測定空間配置部(図示せず)と、フローセル230に対してレーザ光を照射する照射光学系240と、光強度分布を検出する検出光学系250と、フローセル230に被測定液Sを供給するサンプル供給装置210と、データサンプリング回路260と、粒度分布測定装置201全体を制御するコンピュータ(制御部)270とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
まず、媒液Lが、攪拌羽根等を有する攪拌機212と超音波振動子(超音波発生装置)213とを備える分散槽214内に媒液供給ポンプ211から供給されるともに、被測定粒子群Pも分散槽214内に投入される。そして、攪拌機212と超音波振動子213とを所定の時間t、駆動させることによって、分散槽214内で媒液L中に被測定粒子群Pが均一に分散してなる被測定液Sを生成させる。
また、分散槽214は、循環用配管221を介してフローセル230の下側接続口230aと接続されるとともに、循環用配管(サンプル回収機構)220を介してフローセル230の上側接続口230bと接続されることにより、循環ポンプ222を駆動させることによって、被測定液Sが分散槽214内とフローセル230内との間を循環することになる。このとき、被測定液Sはフローセル230内を下方から上方に流れることになる。
【0005】
次に、被測定液Sが分散槽214内とフローセル230内との間を循環した状態、つまりフローセル230内を被測定液Sが流れている状態で、レーザ光源241からのレーザ光を、集光レンズ242、空間フィルタ243、コリメータ244を介してフローセル230に前方向(左から右)に向かうように照射する。これにより、レーザ光は、フローセル230内の被測定粒子群Pで回折・散乱して、空間的に回折・散乱光の強度分布パターンが生ずることになる。この回折・散乱光のうち、フローセル230から略前方向への回折・散乱光は、集光レンズ251を介して前方散乱光センサ(光検出素子)252の受光面上に集光されて、リング状の回折・散乱像を結ぶ。また、フローセル230から側方(後上方向)への散乱光は、側方散乱光センサ(光検出素子)253によって検出され、フローセル230から後方(後下方向)への散乱光は、複数の後方散乱光センサ(光検出素子)254によって検出される。
【0006】
このようにして各光センサ252、253、254で検出される光の強度分布は、各光センサ252、253、254の出力信号を増幅するアンプ及びその増幅信号をデジタル化するA−D変換器を備えるデータサンプリング回路260を介してコンピュータ270に送信される。
最後に、コンピュータ270では、この回折・散乱光の空間強度分布の測定データ(デジタル化された増幅信号)と、予め記憶させた被測定粒子及び媒液Lの屈折率とを用いて、ミーの散乱理論やフラウンホーファの回折理論に基づいた公知の演算が行われることにより、被測定粒子群Pの粒度分布が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−116134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したような粒度分布測定装置201では、被測定粒子群Pの粒度分布の結果が測定者によって異なることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件発明者は、上記課題を解決するために、被測定粒子群Pの粒度分布の結果が測定者によって異なる原因について検討を行った。
上述したような粒度分布測定装置201では、攪拌機212と超音波振動子213とを駆動させることによって、分散槽214内で媒液L中に被測定粒子群Pが均一に分散してなる被測定液Sを作製することになる。このとき、例えば、粒度分布測定装置201では、媒液L中に被測定粒子群Pが均一に分散してなる被測定液Sを作製するために必要と思われる超音波照射時間tを、ある測定者は10分と入力し、他の測定者は5分と入力していた。つまり、測定者によって超音波照射時間tが異なることがあった。その結果、超音波照射時間tが短いと、被測定粒子群Pが凝集したままの状態で、被測定粒子群Pの粒度分布を測定していることがあった。
本件発明者が見出したところによると、超音波照射時間tに対する平均粒子径の関係は図3のようになる。したがって、超音波照射時間tに対する被測定粒子群Pの粒度分布に関する数値(例えば、平均粒子径)の変化量を算出することで、被測定粒子群Pがどの程度分散されたかを判定でき、その変化量が少なくなったところで粒度分布を計算することで安定した粒度分布の測定結果を得ることができる。
【0010】
すなわち、本発明の粒度分布測定装置は、測定光を出射する光源と、光強度を検出する複数個の光検出素子を有し、複数個の光検出素子によって光強度分布を検出する検出器と、媒体と被測定粒子群とを含む被測定物を通過させる測定空間を光源と検出器との間に配置するための測定空間配置部と、前記光源からの測定光を被測定物に照射することにより発生する光強度分布を検出器で検出して取得する光強度分布取得部と、前記光強度分布取得部で取得された光強度分布を用いて、前記被測定物に含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出する粒度分布算出部とを備える粒度分布測定装置であって、前記測定空間に接続され、前記測定空間に供給する被測定物が貯蔵されるサンプル供給装置を備え、前記サンプル供給装置には、前記被測定物に超音波を照射する超音波発生装置が設置されており、前記粒度分布算出部は、前記超音波発生装置を駆動制御しながら被測定物を測定空間に供給させることにより、所定の時間間隔で被測定粒子群の粒度分布を算出していき、前記被測定物に超音波を照射した照射時間に対する前記被測定粒子群の粒度分布に関する数値の変化量を算出するようにしている。
【0011】
ここで、「測定光」としては、レーザ光が好ましいが、これに限らず、LEDによる光、分光器で分光された光、干渉フィルタやバンドパスフィルタ等で波長範囲が制限された光を用いてもよい。
また、「媒体」としては、内部で被測定粒子群が分散できるものであればよく、例えば、水や油等の液体や、ゲルや、固体や、空気等の気体等が挙げられる。
また、「光強度」とは、光検出素子で検出される数値そのものではなくてもよく、被測定物を測定する前に既に検出されている初期余剰光の光強度が存在する場合もあるので、光検出素子で検出される数値と初期余剰光の数値との差分であることが好ましい。
さらに、「所定の時間間隔」とは、測定者等によって予め決められた任意の時間間隔である。
【0012】
本発明の粒度分布測定装置によれば、超音波発生装置を駆動制御しながら被測定物を測定空間に供給させる。そして、所定の時間間隔で被測定粒子群の粒度分布を算出していく。このとき、初めの時間帯には、超音波照射時間が短いため被測定粒子群Pが凝集しているので、被測定粒子群Pの粒度分布は大きくなる。その後、超音波照射時間が長くなるに伴って、凝集していた被測定粒子群Pが徐々に分散していくため、被測定粒子群Pの粒度分布は小さい方にシフトしていく。そこで、粒度分布算出部は、超音波照射時間に対する被測定粒子群Pの粒度分布に関する数値の変化量を算出する。これにより、例えば、超音波照射時間に対する被測定粒子群Pの平均粒子径(粒度分布に関する数値)の変化量が設定値以下になったときに、測定を終了すれば、完全に分散された被測定粒子群Pの粒度分布を確実に測定することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の粒度分布測定装置によれば、分散された測定粒子群Pの粒度分布の結果を確実に得ることができるため、測定者によって測定粒子群Pの粒度分布の結果が異なることをなくすことができる。
【0014】
(その他の課題を解決するための手段および効果)
また、本発明の粒度分布測定装置においては、前記粒度分布算出部は、前記被測定粒子群の粒度分布に関する数値が設定値以下になったときに、前記被測定物の測定を停止して、前記被測定粒子群の粒度分布に関する数値が設定値以下になったときの照射時間における粒度分布を表示するようにしてもよい。
ここで、「設定値」とは、設計者等によって予め決められた任意の数値である。
【0015】
また、本発明の粒度分布測定装置においては、前記被測定粒子群の粒度分布に関する数値は、平均粒子径、メディアン径、モード径、最大粒子径、最小粒子径及び所定の相対粒子量における平均粒子径のうちから選択される少なくとも一つの数値であるようにしてもよい。
また、本発明の粒度分布測定装置においては、前記粒度分布算出部は、前記照射時間と前記被測定粒子群の粒度分布に関する数値との関係を表示するようにしてもよい。
【0016】
そして、本発明の粒度分布測定装置においては、前記粒度分布算出部は、各照射時間における粒度分布のグラフを重畳して表示するようにしてもよい。
さらに、本発明の粒度分布測定装置においては、前記測定空間を通過した被測定物を回収するサンプル回収機構を備え、前記サンプル回収機構により回収した被測定物をサンプル供給装置に戻して、再び被測定物を測定空間に供給するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態である粒度分布測定装置の全体構成を示す概略構成ブロック図。
【図2】ある照射時間における粒度分布のグラフ。
【図3】各照射時間における粒度分布のグラフ。
【図4】超音波照射時間と被測定粒子群の平均粒子径との関係の一例を示すグラフ。
【図5】算出方法について説明するためのフローチャート。
【図6】フローセルを使用した従来の粒度分布測定装置の概略構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれる。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態である粒度分布測定装置の全体構成を示す概略構成ブロック図である。なお、粒度分布測定装置201と同様のものについては、同じ符号を付している。
粒度分布測定装置1は、フローセル(測定空間)230を配置するための測定空間配置部(図示せず)と、フローセル230に対してレーザ光を照射する照射光学系240と、光強度分布を検出する検出光学系250と、フローセル230に被測定液Sを供給するサンプル供給装置210と、データサンプリング回路260と、粒度分布測定装置1全体を制御するコンピュータ(制御部)70とを備える。
【0020】
コンピュータ70は、CPU71とメモリ74とを備え、モニタ画面を有する表示装置72と、キーボード73aやマウス73bを有する入力装置73とが連結されている。
CPU71が処理する機能をブロック化して説明すると、光強度分布データを取得する光強度分布取得部71aと、被測定粒子群Pの粒度分布を算出する粒度分布算出部71bとを有する。
【0021】
また、メモリ74には、光強度分布データを記憶するための光強度分布記憶領域74aと、粒子及び媒液Lの屈折率や、フラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づいた公知の演算式等を記憶するデータ記憶領域74bと、設定値Aを記憶する設定値記憶領域74cとを有する。粒度分布測定装置1で用いられる設定値Aは、平均粒子径rの大きさに関する数値であり、これ以上、超音波を照射しても平均粒子径rの大きさが変化しない、つまり被測定粒子群Pが分散しないと判定するためのものである。
【0022】
光強度分布取得部71aは、被測定液Sを測定するように入力装置73で入力されると、フローセル230にレーザ光を照射するとともに、各光センサ252、253、254で検出される光強度をそれぞれ積算するように検出していき、所定の時間Δt(例えば、5秒等)が経過すると、各光センサ252、253、254で検出されるそれぞれの光強度の積算を終了して光強度分布記憶領域74aに記憶させ、各光センサ252、253、254で検出される光強度を「0」にリセットした後、再び各光センサ252、253、254で検出される光強度をそれぞれ積算するように検出して、粒度分布算出部71bから終了信号を受信するまで、所定の時間間隔Δtで光強度分布データを取得して光強度分布記憶領域74aに記憶させる制御を行う。
【0023】
粒度分布算出部71bは、被測定液Sを測定するように入力装置73で入力されると、超音波振動子213を駆動制御しながら、被測定液Sをサンプル供給装置210からフローセル230に供給して、その後、所定の時間間隔Δtで得られる光強度分布データと、粒子及び媒液Lの屈折率とを用いて、フラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づいた公知の演算を行うことによって、各時間間隔Δtにおける被測定粒子群Pの粒度分布を算出していく制御を行う。さらに、粒度分布算出部71bは、N回目の時間間隔Δtにおける粒度分布の平均粒子径rと(N−1)回目の時間間隔ΔtN−1における粒度分布の平均粒子径rN−1との変化量Δrを算出するとともに、変化量Δrが設定値A以下になったときには、超音波振動子213の駆動を停止して、被測定液Sをサンプル供給装置210からフローセル230に供給するのを停止する制御を行う。そして、粒度分布算出部71bは、変化量Δrが設定値A以下になったときの照射時間(Δt×N)における粒度分布を表示装置72に表示する制御を行う。
【0024】
ここで、図2は、ある照射時間(Δt×N)における粒度分布のグラフである。縦軸は粒子量であり、横軸は粒子径である。図中の棒グラフは粒子径ごとの相対粒子量を表しており、丸印をつないだ曲線グラフはそれを粒子径方向に積算した積算粒子量を表している。積算粒子量の最大値が100%となるように規格化して示している。
また、図3は、各照射時間Δt、ΔtN+1、・・・における粒度分布のグラフである。縦軸は粒子径ごとの相対粒子量であり、横軸は粒子径である。超音波振動の照射時間を長くすると相対粒子量の分布が粒子径の小さい方向にシフトしていくことを説明している。さらに、図4は、超音波照射時間tと被測定粒子群Pの平均粒子径rとの関係の一例を示すグラフである。縦軸は平均粒子径rであり、横軸は超音波照射時間tである。
粒度分布測定装置1では、超音波照射時間tが長くなるに伴って、凝集していた被測定粒子群Pが徐々に分散していくが、N回目の時間間隔Δtにおける粒度分布の平均粒子径rと(N−1)回目の時間間隔ΔtN−1における粒度分布の平均粒子径rN−1との変化量Δrを算出して、変化量Δrが設定値A以下になったときに、被測定粒子群Pが完全に分散したとして測定を終了することになる。
【0025】
次に、被測定粒子群Pの粒度分布を算出する算出方法について説明する。図5は、算出方法について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS101の処理において、測定者は、媒液Lを分散槽214内に媒液供給ポンプ211から供給するともに、被測定粒子群Pも分散槽214内に投入する。そして、攪拌機212を駆動させることによって、分散槽214内で媒液L中に被測定粒子群Pが仮分散してなる被測定液Sを作製する。
次に、ステップS102の処理において、測定者は、被測定液Sを測定するように入力装置73で入力する。このとき、所定時間パラメータΔt=Δtとする。
【0026】
次に、ステップS103の処理において、粒度分布算出部71bは、超音波振動子213を駆動制御しながら、被測定液Sをサンプル供給装置210からフローセル230に供給する。
次に、ステップS104の処理において、光強度分布取得部71aは、フローセル230にレーザ光を照射するとともに、各光センサ252、253、254で検出される光強度をそれぞれ積算するように検出していく。
【0027】
次に、ステップS105の処理において、光強度分布取得部71aは、所定時間Δtが経過したか否かを判定する。所定時間Δtが経過していないと判定したときには、ステップS104の処理に戻る。
一方、所定時間Δtが経過したと判定したときには、ステップS106の処理において、粒度分布算出部71bは、N回目の時間間隔Δtで得られた光強度分布データと、粒子及び媒液Lの屈折率とを用いて、フラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づいた公知の演算を行うことによって、N回目の時間間隔Δtにおける被測定粒子群Pの粒度分布を算出して記憶させる。このとき、光強度分布取得部71aは、光強度分布データを光強度分布記憶領域74aに記憶させた後、各光センサ252、253、254で検出された光強度を「0」にリセットする。
【0028】
次に、ステップS107の処理において、粒度分布算出部71bは、N回目の時間間隔Δtにおける粒度分布の平均粒子径rと(N−1)回目の時間間隔ΔtN−1における粒度分布の平均粒子径rN−1との変化量Δrが設定値A以下になったか否かを判定する。変化量Δrが設定値Aを超えていると判定したときには、ステップS108の処理において、Δt=ΔtN+1として、ステップS104の処理に戻る。つまり、被測定粒子群Pがまだ凝集していると判定する。
一方、変化量Δrが設定値A以下になったと判定すると、ステップS109の処理において、粒度分布算出部71bは、超音波振動子213の駆動を停止し、被測定液Sをフローセル230に供給することを停止するとともに、光強度分布取得部71aは、光強度の検出を停止する。
【0029】
次に、ステップS110の処理において、粒度分布算出部71bは、被測定粒子群Pの平均粒子径rの変化量Δrが設定値A以下になった照射時間(Δt×N)における被測定粒子群Pの粒度分布を表示装置72に表示する。つまり、凝集していない被測定粒子群Pの粒度分布を表示する。
そして、ステップS110の処理が終了したときには、本フローチャートを終了させる。
【0030】
以上のように、粒度分布測定装置1によれば、超音波照射時間tに対する被測定粒子群Pの平均粒子径rの変化量Δrを算出するので、これ以上、超音波を照射しても平均粒子径rの大きさが変化しない、すなわち凝集していない被測定粒子群Pの粒度分布を取得することができる。よって、測定者によって測定粒子群Pの粒度分布の結果が異なることをなくすことができる。
【0031】
<他の実施形態>
(1)上述した粒度分布測定装置1では、N回目の時間間隔Δtにおける粒度分布と(N−1)回目の時間間隔ΔtN−1における粒度分布との変化量として平均粒子径rを用いる構成としたが、メディアン径やモード径や最大粒子径や最小粒子径や所定の相対粒子量(例えば、25%、50%、75%)における平均粒子径等を単独で又は組み合わせて用いるような構成としてもよい。
【0032】
(2)上述した粒度分布測定装置1では、変化量Δrが設定値A以下になったときの照射時間(Δt×N)における粒度分布を表示装置32に表示する構成としたが、超音波照射時間tと被測定粒子群Pの平均粒子径rとの関係を示すグラフや、各照射時間Δt、ΔtN+1、・・・における粒度分布のグラフ等も表示装置に表示するような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、光学的手法を用いて被測定物に含まれる被測定粒子群の粒度分布を測定する粒度分布測定装置等に使用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 粒度分布測定装置
71a 光強度分布取得部
71b 粒度分布算出部
210 サンプル供給装置
213 超音波振動子(超音波発生装置)
230 フローセル(測定空間)
241 レーザ光源
252 前方散乱光センサ(検出器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定光を出射する光源と、
光強度を検出する複数個の光検出素子を有し、複数個の光検出素子によって光強度分布を検出する検出器と、
媒体と被測定粒子群とを含む被測定物を通過させる測定空間を光源と検出器との間に配置するための測定空間配置部と、
前記光源からの測定光を被測定物に照射することにより発生する光強度分布を検出器で検出して取得する光強度分布取得部と、
前記光強度分布取得部で取得された光強度分布を用いて、前記被測定物に含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出する粒度分布算出部とを備える粒度分布測定装置であって、
前記測定空間に接続され、前記測定空間に供給する被測定物が貯蔵されるサンプル供給装置を備え、
前記サンプル供給装置には、前記被測定物に超音波を照射する超音波発生装置が設置されており、
前記粒度分布算出部は、前記超音波発生装置を駆動制御しながら被測定物を測定空間に供給させることにより、所定の時間間隔で被測定粒子群の粒度分布を算出していき、前記被測定物に超音波を照射した照射時間に対する前記被測定粒子群の粒度分布に関する数値の変化量を算出することを特徴とする粒度分布測定装置。
【請求項2】
前記粒度分布算出部は、前記被測定粒子群の粒度分布に関する数値が設定値以下になったときに、前記被測定物の測定を停止して、前記被測定粒子群の粒度分布に関する数値が設定値以下になったときの照射時間における粒度分布を表示することを特徴とする請求項1に記載の粒度分布測定装置。
【請求項3】
前記被測定粒子群の粒度分布に関する数値は、平均粒子径、メディアン径、モード径、最大粒子径、最小粒子径及び所定の相対粒子量における平均粒子径のうちから選択される少なくとも一つの数値であることを特徴とする請求項2に記載の粒度分布測定装置。
【請求項4】
前記粒度分布算出部は、前記照射時間と前記被測定粒子群の粒度分布に関する数値との関係を表示することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の粒度分布測定装置。
【請求項5】
前記粒度分布算出部は、各照射時間における粒度分布のグラフを重畳して表示することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の粒度分布測定装置。
【請求項6】
前記測定空間を通過した被測定物を回収するサンプル回収機構を備え、
前記サンプル回収機構により回収した被測定物をサンプル供給装置に戻して、再び被測定物を測定空間に供給することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の粒度分布測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−24760(P2013−24760A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160638(P2011−160638)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)