説明

粒状ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法

【課題】反応後に固液分離して得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂から、平均粒子径を増大させたポリフェニレンエーテルを効率的かつ大量に造粒し製造する方法を提供する。
【解決手段】重合反応後に得られるポリフェニレンエーテル樹脂のスラリー溶液から固液分離して得られたポリフェニレンエーテルの良溶媒を含む湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を、乾燥状態でのポリフェニレンエーテル樹脂のガラス転移温度より40℃低い温度以上かつガラス転移温度以下に加熱したポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体と、混合攪拌し造粒させることを特徴とする粒状ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法における造粒方法に関する。詳しくは、ポリフェニレンエーテル樹脂とその良溶媒とからなる湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を、加熱したポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体と混合攪拌し造粒する方法に関する
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンエーテルは、一般に芳香族炭化水素溶媒を用いて、銅、マンガン、またはコバルトを含有する錯体触媒の存在下に1種あるいは2種以上のフェノール化合物を酸化重合して得られる。その後、ポリフェニレンエーテルの物性に悪影響する不純物である触媒および副生成物を除去するために、重合停止剤の水溶液、または重合停止剤および還元剤の水溶液とを接触させ反応液を洗浄する。その後、非溶媒もしくは非溶媒と良溶媒混合液中で固形化する。この固形分をスラリー溶液中から分離するには遠心分離、真空濾過等の方法が一般的に用いられ、固液分離後のポリフェニレンエーテルの洗浄方法は多量の非溶媒でリンスあるいは再スラリー化した後、固液分離するといった方法がとられる。
【0003】
また、ポリフェニレンエーテルは、一般に芳香族炭化水素溶媒およびアルコール等の混合溶媒を用いて、銅、マンガン、またはコバルトを含有する錯体触媒の存在下に1種あるいは2種以上のフェノール化合物を酸化重合すると、重合後期にポリフェニレンエーテル樹脂粒子が析出する沈殿析出重合法では、スラリー溶液が得られる。その後、ポリフェニレンエーテルの物性に悪影響する不純物である触媒および副生成物を除去するために、重合停止剤の水溶液、または重合停止剤および還元剤の水溶液とを接触させ反応液を洗浄する。その後、ポリフェニレンエーテル樹脂をスラリー溶液中から分離するには遠心分離、真空濾過等の方法が一般的に用いられ、固液分離後のポリフェニレンエーテルの洗浄方法は多量の非溶媒でリンスあるいは再スラリー化した後、固液分離するといった方法がとられる。
【0004】
前述したいずれの方法で得られたポリフェニレンエーテル樹脂は、微粒子を多量に含んでおり、結果として平均粒子径が10から300μm程度の粉体である。このことは、粒子の乾燥工程において乾燥装置が限定される問題、輸送工程における飛散等の問題、あるいは成形時においてホッパーから供給される粒子の食い込み不良等の問題のため、多くのトラブルの原因となっている。
これら問題を解決する為に、例えば特許文献1においては、有機溶媒を含むポリフェニレンエーテルの水分散系において熱処理を行うことでポリフェニレンエーテル樹脂粉体の粒子径を肥大化させる方法が記載されているが、取扱い性に優れるポリフェニレンエーテル粒子を効率的に生産する方法としては十分では無かった。
【0005】
さらに特許文献2においては、ポリフェニレンエーテルの良溶媒を含む湿潤状態のポリフェニレンエーテルを温水中で攪拌し造粒する方法が記載されているが、一般的な製法により得られる湿潤状態のポリフェニレンエーテル以上に良溶媒が必要であること、またそれにより造粒に要した多量の溶剤を回収する必要が生じる事から、ポリフェニレンエーテル樹脂を効率的に造粒し生産する方法としては十分では無かった。
また、特許文献3〜8には、乾燥したポリフェニレンエーテル樹脂を、加熱及びまたは圧縮により強制的に押し固めることによりポリフェニレンエーテル樹脂粉体を造粒する方法が記載されている。これら方法では形状の制御、また造粒品の破壊強度等に優れる造粒品が得られるが、湿潤状態でのポリフェニレンエーテル樹脂を造粒しようとする場合、機器内での融着等が発生しやすく、工業的に大量生産する生産工程への適応が困難となることが多かった。
【0006】
【特許文献1】特公昭55−17775号公報
【特許文献2】特開2001−310946号公報
【特許文献3】特開平11−254428号公報
【特許文献4】特開2000−167827号公報
【特許文献5】特開2000−302877号公報
【特許文献6】特開2001−26651号公報
【特許文献7】特開2001−72763号公報
【特許文献8】特開2001−302804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、反応後に固液分離して得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂から、平均粒子径を増大させたポリフェニレンエーテルを効率的かつ大量に造粒し製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明を見出すに至った。
すなわち本発明は、重合反応後に得られるポリフェニレンエーテル樹脂のスラリー溶液から、固液分離して得られたポリフェニレンエーテルの良溶媒を含む湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を、乾燥状態でのポリフェニレンエーテル樹脂のガラス転移温度より40℃低い温度以上、かつガラス転移温度以下に加熱したポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体と混合攪拌し造粒させることを特徴とする粒状ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により各機器、設備等における取扱い性が向上する平均粒子径の増大した粒状ポリフェニレンエーテル樹脂を効率的かつ大量に生産可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明におけるポリフェニレンエーテルは、一般式(1)の繰り返し単位で表されるものである。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立に水素、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン基、フェニル基又は置換フェニル基である。)
【0013】
代表的なポリフェニレンエーテルは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。また、2,6−ジメチルフェノールに共重合体成分として2,3,6−トリメチルフェノールおよびo−クレゾールの1種あるいは両方を組み合わせたポリフェニレンエーテル共重合体等が挙げられる。
【0014】
また、本発明のポリフェニレンエーテルには、本発明の主旨に反さない限り、従来ポリフェニレンエーテルに存在させてもよいことが提案されている他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいてもよい。例えば、特開平1−297428号公報及び特開昭63−301222号公報に記載の2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等や、ポリフェニレンエーテル樹脂の主鎖中にジフェノキノン、さらに下記一般式(2)で表される二価フェノール化合物に由来する構造を含有していても構わない。
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、R、Rは各々同一または異なる置換基を表し、水素、アルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基,置換アルコキシ基,ハロゲンを表し、Xは脂肪族炭化水素残基及びそれらの置換誘導体、酸素、イオウ、スルホニル基を表し、R,Xの結合位置はフェノール水酸基に対してオルソ位またはパラ位を表す)
【0017】
一般式(2)で表されるような二価フェノール性化合物は該当する一価フェノール性化合物とケトン類またはジハロゲン化脂肪族炭化水素との反応等により工業的に有利に製造できる。例えばホルムアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等の汎用のケトン化合物と、一価フェノール性化合物の反応により得られる化合物群がある。例えば、下記一般式(2−a)、(2−b)、(2−c)の各々の構造に挙げる化合物群がある。
【0018】
【化3】

【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
(一般式(2−a)、(2−b)、(2−c)の式中、R、Rは各々同一または異なる置換基を表し、水素、アルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基,置換アルコキシ基,ハロゲンを表し、Xは脂肪族炭化水素残基及びそれらの置換誘導体、酸素、イオウ、スルホニル基を表す)
【0022】
上記一般式の構造を持つもので代表的なものは、RとRがメチル基でXがイソプロピリデンである化合物、RとRがメチル基でXがメチレンである化合物、RとRがメチル基でXがチオである化合物、RとRがメチル基でXがシクロヘキシリデンである化合物等であるがこれらの例に限定されないことはいうまでもない。
これらの二価フェノール性化合物は一種類でも用いられるし、いくつか組み合わせて用いても良い。
さらに、炭素−炭素二重構造を持つ化合物により変性されたポリフェニレンエーテル(例えば特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−59724号公報)も含むことができる。
本発明に用いるポリフェニレンエーテル樹脂の分子量は30℃クロロホルム中の還元粘度(ηsp/C)が0.04〜0.7dl/gであるのが好ましい。更に好ましくは0.05〜0.3dl/gの範囲にあるポリフェニレンエーテルが本発明の効果が著しく現れる。
【0023】
本発明のポリフェニレンエーテルは、例えば、特公昭42−3195号公報、特公昭45−23555号公報、特開昭64−33131号公報等に例示されるように、フェノール化合物を金属の塩と各種アミンとの組み合わせからなる触媒を用いて酸化重合される。重合溶媒は、例えばポリフェニレンエーテルの良溶媒であるベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼン等のニトロ化合物等が挙げられる。また、本良溶媒に、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を重合時にポリフェニレンエーテルが析出しない範囲で混合し重合溶媒として用いることもできる。
【0024】
本発明におけるポリフェニレンエーテル重合反応液中の、ポリフェニレンエーテルの濃度は重量で5〜70%、好ましくは10〜50%の範囲である。また、溶液中にはポリフェニレンエーテルのほかに重合触媒や、触媒除去のための薬品、副生成物除去のための薬品等が含まれていてもかまわない。
このポリフェニレンエーテル重合反応液からポリフェニレンエーテルを固形化させる方法としては、溶液にメタノール等のポリフェニレンエーテルに対する非溶媒を添加してポリフェニレンエーテルの粒子を固形化させる方法が知られている。また、非溶媒として水とアルコール類の混合物を使用する方法(特公昭60−23696号公報)等がある。本発明におけるポリフェニレンエーテル重合反応液からの、ポリフェニレンエーテルの固形化は、ポリフェニレンエーテルに対して非溶媒であるアルコール類等とポリフェニレンエーテル反応液を連続的に接触させて固形化させる方法、または非溶媒と水との混合物とポリフェニレンエーテル反応液を連続的に接触させて固形化させる方法のどちらでもかまわない。また、その際、非溶媒重量/良溶媒重量比が0.5〜3.0とすることが好ましい。更に、重合反応液を供給する際には往復動式攪拌機またはドラフトチューブ型攪拌機を備えた攪拌槽1段もしくは2段以上の槽中に、連続的にポリフェニレンエーテルを固形化させる方法も好ましい。また系内は不活性ガス雰囲気で行うのが好ましいが、酸素存在下で処理することも可能である。不活性ガスは一般に、窒素、アルゴン、ヘリウム等が使用される。一般に固形化槽内のポリフェニレンエーテル滞留時間は0.1〜120分必要である。
【0025】
更に、前述のポリフェニレンエーテルの良溶媒と非溶媒との混合溶媒を用いて、重合後期にポリフェニレンエーテルを析出させる製造方法によって得られるポリフェニレンエーテル固形物を含むスラリー溶液にも適用することができる。
また更には、ポリフェニレンエーテルの非溶媒のみを用いて重合を行い、洗浄精製または本発明の造粒操作前に良溶媒を加え得られる、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂にも適用することが出来る。
本発明を適用するのに好適な湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒子径としては、10〜300μmである。
【0026】
本発明において、固液分離した湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂には、乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂1g当たり0.05〜0.5g、好ましくは0.07〜0.2gの良溶媒を含有するものである。通常、良溶媒のみを用い重合し、非溶媒と接触固化させたポリフェニレンエーテルを析出させる製造方法または、良溶媒と非溶媒との混合溶媒を用いて、重合後期にポリフェニレンエーテルを析出させる製造方法のいずれも、ポリフェニレンエーテルが析出したスラリー溶液を、非溶媒または良溶媒と非溶媒の混合溶媒で1から5回程度洗浄することで、上記良溶媒の範囲とすることが出来るが、この範囲を外れる場合、洗浄精製に用いる非溶媒または良溶媒と非溶媒の混合溶媒の量または回数、良溶媒の濃度を調整することにより、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂中の良溶媒量を調整することが出来る。この良溶媒とは、上述したポリフェニレンエーテル樹脂の重合の溶媒と同種であって、特にベンゼン、トルエン及びキシレンが好ましい。
【0027】
本発明においてキシレンとは、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、エチルベンゼンの少なくとも1種以上の組合せからなる混合キシレンであり、その混合組成は任意の組成で構わない。
本発明において、固液分離した湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂には、乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂1g当たり0.5〜3.0gの非溶媒を含有するものが好ましい。この非溶媒とは、上述したポリフェニレンエーテル樹脂の固形化溶媒と同じであって、特にメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール及びn−ヘプタンが好ましい。
【0028】
本発明においては、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂と混合する該ポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体は、乾燥状態でのポリフェニレンエーテル樹脂のガラス転移温度より40℃低い温度以上、かつガラス転移温度以下に加熱させたものである。また、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂と該ポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体の混合割合は、夫々乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂の状態として2:1〜1:2重量比である。
混合割合が上記範囲以外では原則として、造粒されるポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒子径が十分大きくならず好ましくない。
さらに、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を加熱する手段として、加熱したポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体以外、例えば湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を直接乾燥機、造粒機などにより加熱した場合、それら機器内での融着が発生しやすく、効率的に本発明の粒状ポリフェニレンエーテル樹脂を製造する手段として好ましくない。
【0029】
本願発明のポリフェニレンエーテル樹脂は、粉体粒子の凝集による造粒であっても構わないが、粒子の一部が溶融している状態が好ましい。
粒子の一部を溶融させる方法としては、本発明の範囲内において、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂中に含まれる良溶媒の量を多くするか、造粒時に接触させる加熱したポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体の温度を高くする事で達成できる。
本発明で得られる粒状のポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒子径は400から3000μmであり、更に好ましくは500から2500μmである。平均粒子径が本発明の範囲外となる場合においては、各機器、設備等における取り扱い性の向上度が十分ではなく好ましくない。
【0030】
本発明において、造粒されたポリフェニレンエーテル樹脂は造粒後に必要に応じ、乾燥操作を行っても良く、乾燥操作時に平均粒子径が増大または縮小される場合も含み、乾燥操作後において平均粒子径が400から3000μmの範囲内にある必要がある。
ポリフェニレンエーテル樹脂のガラス転移温度は、30℃クロロホルム中で測定される還元粘度が約0.25dl/g以下の場合、分子量の低下に伴い低下する。ガラス転移温度は、例えば示差熱走査熱量分析計(DSC)等により求めることが出来る。
湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂と該ポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体との混合時間は、通常0.5分から5時間、好ましくは1分〜4時間である。また、本発明はバッチ式で行うこともできるが、工業的には、連続的に行い、混合による造粒操作に続け乾燥操作を行い得られる乾燥体の一部を本発明の造粒に用いる方法が好ましい。
【0031】
本発明の造粒操作は、攪拌式または転動式の混合機で行うことが好ましい。これら機器の例としては、ブレンダー型混合造粒機、ピン型混合造粒機、ドラム型転動造粒機などが挙げられ、造粒機以外にも、スクリューフィーダーの様に混合可能な機器が挙げられ、中でも、スクリューフィーダーを用いた場合には、本願の課題である効率的かつ大量にポリフェニレンエーテル樹脂の造粒品を製造可能であり、特に好ましい。
通常、ポリフェニレンエーテル樹脂の製造プロセスにおいては、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を得た後、乾燥機での乾燥操作を行う為に湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂をスクリューフィーダー等によって乾燥機へ供給する。
【0032】
本発明では、上記乾燥機への供給用スクリューフィーダーをも用いる事が出来る。
本発明では、加熱したポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体を得るために、粉体混合機の上流に乾燥機等を設置しても良いし、造粒操作後に乾燥機を設置し、乾燥機から排出される乾燥体の一部を粉体混合機の上流に戻す方法でも良い。
本発明の造粒に用いる、ポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体は、ポリフェニレンエーテル樹脂の良溶媒及びまたは非溶媒が、乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂1g当たり0.1g以下である事が好ましく、更に0.07g以下である事が好ましい。
【実施例】
【0033】
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるべきではない。
なお、測定は以下の方法に従って行った。
(1)ηsp/Cの測定方法
各々の例で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を60℃で30分常圧乾燥し更に、120℃で60分真空乾燥した後、0.5g/dlのクロロホルム溶液として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/C)を求めた。単位はdl/gである。
(2)ガラス転移温度の測定方法
各々の例で得られたポリフェニレンエーテルを示差熱走査熱量分析計(DSC)、製品名:Pyris−1(Perkin−Elmer社製)を用い、窒素雰囲気下、40℃/Min.の昇温速度で50℃から250℃まで加熱し降温した後、同様の温度条件で加熱し測定した。
【0034】
(3)ポリフェニレンエーテル樹脂の粒子径測定方法
各々の例で得られた湿潤状態にあるポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置:製品名SALD−2000(島津製作所製)を用い、メタノール溶媒中に分散させて測定した。
造粒乾燥後のポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒子径は、上記装置の測定範囲を超えるため、金網ふるいを用いた篩い分けを行い重量累積粒度分布の50%径を平均粒子径とした。
(4)ポリフェニレンエーテル樹脂中溶媒量の測定方法
各々の例で得られた湿潤状態にあるポリフェニレンエーテル樹脂中に含まれる溶媒量の測定は、キャピラリーカラム:製品名HR−1(信和化工社製)を取付けた、ガスクロマトグラフィー:製品名GC−2010(島津製作所製)、検出器:FIDを用い、メシチレンを内部標準物質とした内部標準検量線法により定量した。
【0035】
[参考例1]
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた500リットルのジャケット付き反応器に、予め作成した25.1gの酸化第一銅、189.6gの47%臭化水素の混合物と、293.9gのジ−n−ブチルアミン、60.5gのN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、840gのジメチル−n−ブチルアミン、及び129090gのトルエン、19500gの2,6−ジメチルフェノールを入れた。次いで激しく攪拌しながら反応器へ205NL/min(2,6−ジメチルフェノール1.0Kgに対して10.5NL)の速度で空気をスパージャーより導入を始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。空気を導入し始めてから65分後、空気の通気をやめ、この重合溶液に318gのエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩4水和物(同仁化学研究所製試薬)を15000gの水溶液として添加し70℃に温めた。70℃にて2時間保温し触媒抽出と副生したジフェノキノン処理行った後、混合液をシャープレス社製遠心分離機に送り、ポリフェニレンエーテル溶液と触媒金属を移した水性相に分離した。
【0036】
得られたポリフェニレンエーテル溶液をジャケット付き濃縮槽に移し、130℃のオイルをジャケットに通じて加熱した。約80kgのトルエンを溜去してポリフェニレンエーテル溶液を濃縮した。次いで、15リットルのジャケット付き析出槽にトルエンとメタノールを87.4対12.6の重量比で12リットル仕込み30℃に調整した。上記ポリフェニレンエーテルの濃縮液とメタノールを1.0対5.0重量比で滞留時間3分の速度で連続的に供給し、ポリフェニレンエーテル樹脂の粒子を析出させた。得られた、ポリフェニレンエーテル樹脂の粒子を含むスラリーを、バスケット型遠心分離機(タナベウィルテック社製)に投入し固液分離を行い、さらに得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂に対して乾燥状態基準で3倍重量のメタノールで再スラリー化し、再びバスケット型遠心分離機により固液分離した。以上重合から固液分離までの操作を5回繰り返し、実施例に用いた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂は、乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂1g当たり0.185gのトルエンと0.765gのメタノールを含有していた。
また、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒子径、乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂のηsp/C、およびガラス転移温度は夫々、28μm、0.115dl/g、173℃であった。
【0037】
[参考例2]
重合時の空気導入時間を75分とした以外は参考例1と同様にして、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂は、乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂1g当たり0.195gのトルエンと0.805gのメタノールを含有していた。
また、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒子径、乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂のηsp/C、およびガラス転移温度は夫々、65μm、0.225dl/g、197℃であった。
【0038】
[参考例3]
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた15リットルのジャケット付き反応器(第1反応器)、次いで同様の45リットルのジャケット付き反応器(第2反応器)、さらに同様の15リットルのジャケット付き反応器(第3反応器)をスラリーポンプにより直列に配した連続重合設備を準備した。
60リットルの貯槽に、10.5gの塩化第二銅2水和物、44.8gの35%塩酸、399.6gのN,N,N‘,N’−テトラメチルプロパンジアミン、2636gのキシレン、13182gのn−ブタノール、21090gのメタノールおよび、15000gの2,6−ジメチルフェノールからなるモノマー液を入れた。
なお、連続重合にモノマー液を共し、貯槽中の残量が少なくなったら、その都度上記組成にてモノマー液を作成し貯槽に供給した。
【0039】
モノマー液13500gを第1反応器に移し、激しく攪拌しながら反応器へ2.0NL/分の速度で酸素をスパージャーより導入を始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。酸素導入から82分間後、第1反応器へモノマー液を7000g/Hrの速度で導入し始め、連続重合に切り替えた。第2および第3反応器には予め、キシレン、n−ブタノール、メタノールを夫々、5、25、70重量%の比率で37L、12Lを仕込んだ。連続重合の切替と同時に、別途準備したメタノールを2110g/Hrの速度で第2反応器に導入すると共に、第2および第3反応器共に2.5NL/分の速度で酸素をスパージャーより導入し激しく攪拌した。
ここで、第1反応器でのモノマー液中の、キシレン、n−ブタノール、メタノールの重量比は、夫々5、25、40重量比であり、第2反応器へメタノールを追加導入した後のキシレン、n−ブタノール、メタノールの重量比は、夫々5、25、70重量比である。
連続重合切替から20時間までの重合液は廃棄し、それ以降300時間重合を継続してスラリー状の重合液を得た。
【0040】
重合液を90kgずつ取り分け、1バッチあたり73gのエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩4水和物(同仁化学研究所製試薬)を730gのメタノール溶液として添加し攪拌しながら65℃に温めた。4時間攪拌を行った後、2250gのキシレンと42750gのメタノールの混合液を加え50℃に調整し30分間攪拌した。このスラリーを、バスケット型遠心分離機(タナベウィルテック社製)に投入し固液分離を行い、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を得た。さらにこの湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂に2250gのキシレンと42750gのメタノールの混合液を加え50℃で30分間攪拌し固液分離する操作を2回行い最終製品としての湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂は、乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂1g当たり0.076gのキシレンと0.734gのメタノールを含有し、n−ブタノールは含有していなかった。
また、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒子径、乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂のηsp/C、およびガラス転移温度は夫々、35μm、0.108dl/g、169℃であった。
【0041】
[参考例4]
参考例3と同様の反応装置において、第1反応槽でのキシレン、n−ブタノール、メタノールの重量比を55、15、15とし、またモノマー液中に2,6−ジメチルフェノール1500gに対し15.07gのジ−n−ブチルアミンを追加した。さらに、第2反応器へメタノールを追加添加した後の、キシレン、n−ブタノール、メタノールの重量比は55、15、30重量比に変更し95時間重合を行った。
重合液を90kgずつ取り分け、73gのエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩4水和物(同仁化学研究所製試薬)を730gのメタノール溶液として添加し攪拌しながら55℃に温めた。1時間攪拌を行った後、2250gのキシレンと42750gのメタノールの混合液を加え50℃に調整し30分間攪拌した。このスラリーを、バスケット型遠心分離機(タナベウィルテック社製)に投入し固液分離を行い、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
【0042】
さらにこの湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂に2250gのキシレンと42750gのメタノールの混合液および270gのヒドロキノンを加え50℃で30分間攪拌し固液分離した。その後、ヒドロキノンを除いた同量のキシレンおよびメタノールで同様の操作を2回行い最終製品としての湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂は、乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂1g当たり0.212gのキシレンと0.983gのメタノールを含有し、n−ブタノールは含有していなかった。
また、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒子径、乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂のηsp/C、およびガラス転移温度は夫々、120μm、0.538dl/g、209℃であった。
【0043】
[実施例1]
操作容量が1リットルの2軸スクリューを具備した粉体混合機の上流に粉体供給機1と加熱保温可能なホッパーを備えた粉体供給機2を設置し、粉体混合機の下流には、40リットルパドル型乾燥機を設置した。
参考例1で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を粉体供給機1より4.875kg/Hrの速度で粉体混合機へ導入し、同速度で前段を80℃、後段を140℃に設定したパドル型乾燥機へ導入した。乾燥機への導入から8時間後、パドル型乾燥機よりポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体がオーバーフローにより排出されたら、それを粉体供給機2の加熱保温可能なホッパーへ受入、140℃に保温した。
粉体供給機2を起動し2.6kg/Hrの速度で粉体混合機へ、ポリフェニレンエーテルの乾燥体を導入した。粉体混合機にて湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体が混合造粒されパドル型乾燥機へ導入され始めると、パドル型乾燥機からの排出量が約5.2kg/Hrとなったので、その半分の2.6kg/Hrを粉体供給機2のホッパーへ戻し、残り半分の2.6kg/Hrを最終製品として得た。
乾燥の開始から20時間経過後の粉体混合機から排出されたポリフェニレンエーテル樹脂の造粒品は平均粒子径が860μm、乾燥機から排出された乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂造粒品の平均粒子径は820μmであった。また、いずれの造粒品も粒子の一部が溶融していた。
【0044】
[実施例2]
参考例2で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を用い、パドル型乾燥機および粉体混合機2の加熱保温可能なホッパーの温度を170℃とした以外は、実施例1と同様に造粒操作を行った。
乾燥の開始から20時間経過後の粉体混合機から排出されたポリフェニレンエーテル樹脂の造粒品は平均粒子径が1040μm、乾燥機から排出された乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂造粒品の平均粒子径は980μmであった。また、いずれの造粒品も粒子の一部が溶融していた。
【0045】
[実施例3]
参考例3で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を用いる以外は、実施例1と同様に造粒操作を行った。
乾燥の開始から20時間経過後の粉体混合機から排出されたポリフェニレンエーテル樹脂の造粒品は平均粒子径が910μm、乾燥機から排出された乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂造粒品の平均粒子径は900μmであった。また、いずれの造粒品も粒子の一部が溶融していた。
【0046】
[実施例4]
参考例4で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を用い、パドル型乾燥機および粉体混合機2の加熱保温可能なホッパーの温度を185℃とした以外は、実施例1と同様に造粒操作を行った。
乾燥の開始から20時間経過後の粉体混合機から排出されたポリフェニレンエーテル樹脂の造粒品は平均粒子径が1300μm、乾燥機から排出された乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂造粒品の平均粒子径は1150μmであった。また、いずれの造粒品も粒子の一部が溶融していた。
【0047】
[実施例5]
参考例3で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を用い、粉体供給機1および粉体供給機2から粉体混合機へ供給するポリフェニレンエーテル樹脂の比率を乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂基準で2:1重量比(乾燥機処理速度は5kg/Hr実施例1と同じ)に変え、実施例1と同じ温度条件で造粒操作を行った。
乾燥の開始から20時間経過後の粉体混合機から排出されたポリフェニレンエーテル樹脂の造粒品は平均粒子径が680μm、乾燥機から排出された乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂造粒品の平均粒子径は660μmであった。また、いずれの造粒品も粒子の一部が溶融していた。
【0048】
[実施例6]
参考例3で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を用い、粉体供給機1および粉体供給機2から粉体混合機へ供給するポリフェニレンエーテル樹脂の比率を乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂基準で1:2重量比(乾燥機処理速度は5kg/Hr実施例1と同じ)に変え、実施例1と同じ温度条件で造粒操作を行った。
乾燥の開始から20時間経過後の粉体混合機から排出されたポリフェニレンエーテル樹脂の造粒品は平均粒子径が620μm、乾燥機から排出された乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂造粒品の平均粒子径は610μmであった。また、いずれの造粒品も粒子の一部が溶融していた。
【0049】
[実施例7]
参考例3で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を用い、パドル型乾燥機の後段および粉体混合機2の加熱保温可能なホッパーの温度を160℃とした以外は、実施例1と同様に造粒操作を行った。
乾燥の開始から20時間経過後の粉体混合機から排出されたポリフェニレンエーテル樹脂の造粒品は平均粒子径が1800μm、乾燥機から排出された乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂造粒品の平均粒子径は1700μmであった。
また、いずれの造粒品も粒子の一部が溶融していた。
【0050】
[実施例8]
参考例3で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテルル樹脂を粉体供給機1より4.875kg/Hrの速度で、別途予め造粒させずに乾燥した参考例3より得られたポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体(平均粒子径38μm、キシレン含有量0.03wt%/乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂、メタノールおよびn−ブタノールは検出されない。)を粉体供給機2の加熱保温可能なホッパーへ受入、140℃に加温し粉体供給機2から2.575kg/Hrの速度で粉体混合機へ導入した。粉体混合機にて湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体が混合造粒されパドル型乾燥機へ導入された。乾燥機への導入開始から4時間後、約5.2kg/Hrの速度でポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体が排出されそれを最終製品として得た。乾燥の開始から20時間経過後の粉体混合機から排出されたポリフェニレンエーテル樹脂の造粒品は平均粒子径が780μm、乾燥機から排出された乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂造粒品の平均粒子径は790μmであった。また、いずれの造粒品も粒子の一部が溶融していた。
【0051】
[比較例1]
参考例3で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を用い、パドル型乾燥機の後段および粉体混合機2の加熱保温可能なホッパーの温度を175℃とした以外は、実施例1と同様に造粒操作を行った。
乾燥の開始から8時間経過後に乾燥機内で融着を確認し運転の継続が不可能であった。
【0052】
[比較例2]
参考例4で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を用い、パドル型乾燥機の後段および粉体混合機2の加熱保温可能なホッパーの温度を160℃とした以外は、実施例1と同様に造粒操作を行った。
乾燥の開始から20時間経過後の粉体混合機から排出されたポリフェニレンエーテル樹脂の造粒品は平均粒子径が130μm、乾燥機から排出された乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂造粒品の平均粒子径は100μmであり造粒は認められなかった。
【0053】
[比較例3]
参考例3で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を用い、パドル型乾燥機の前段の温度を140℃とし、粉体混合機で加熱したポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体を用いず湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂のみを造粒する状況を想定した。
粉体供給機1から粉体混合機を通じて湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂をパドル型乾燥機へ導入し、開始から8時間経過後に乾燥機より造粒されたポリフェニレンエーテル樹脂が排出されたが、開始から15時間後、パドル型乾燥機の攪拌モータートルクが上昇し内部を点検したところ、攪拌羽根および機内にポリフェニレンエーテル樹脂の融着が認められ運転継続は出来なかった。
【0054】
[比較例4]
参考例3で得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂をさらに乾燥ポリフェニレンエーテ樹脂1gに対し3gのメタノールで5回洗浄し乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂1g当たり0.755gのメタノールを含有しキシレンが検出されない湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を得た。これを用い実施例1と同様に造粒操作を行った。
乾燥の開始から20時間経過後の粉体混合機から排出されたポリフェニレンエーテル樹脂の造粒品は平均粒子径が40μm、乾燥機から排出された乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂造粒品の平均粒子径は35μmであり造粒は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明により各機器、設備等における取扱い性が向上する平均粒子径の増大した粒状ポリフェニレンエーテル樹脂を効率的かつ大量に生産可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合反応後に得られるポリフェニレンエーテル樹脂のスラリー溶液から固液分離して得られたポリフェニレンエーテルの良溶媒を含む湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂を、乾燥状態でのポリフェニレンエーテル樹脂のガラス転移温度より40℃低い温度以上かつガラス転移温度以下に加熱したポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体と、混合攪拌し造粒させることを特徴とする粒状ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
【請求項2】
湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂が、乾燥状態のポリフェニレンエーテル樹脂1gに対し0.05〜0.5gの良溶媒含んでなる請求項1に記載の粒状ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
【請求項3】
湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂と加熱したポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体の混合比率が、夫々乾燥ポリフェニレンエーテル樹脂の状態として2:1〜1:2重量比である事を特徴とする、請求項1または2に記載の粒状ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
【請求項4】
混合攪拌によりポリフェニレンエーテル樹脂の一部が、溶融し造粒させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
【請求項5】
湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂が、乾燥状態のポリフェニレンエーテル樹脂1g当たり0.5〜3.0gの非溶媒を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の粒状ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
【請求項6】
ポリフェニレンエーテルの良溶媒が、ベンゼン、トルエン及びキシレンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の粒状ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
【請求項7】
ポリフェニレンエーテルの非溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびn−ヘプタンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の粒状ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
【請求項8】
混合攪拌による造粒を、攪拌式または転動式の混合機により行う事を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の粒状ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2006−241258(P2006−241258A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56865(P2005−56865)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】