説明

粒状体を用いた自動沈下補正装置および自動沈下補正まくらぎ

【課題】粒状体の逆流を防止する粒状体を用いた自動沈下補正装置及び自動沈下補正まくらぎを提供する。
【解決手段】走行レール(R1、R2)を横切るように長く延びるまくらぎ本体(11)に取り付けられると共に塑性変形可能な粒状体(123)を排出可能に収容する内筒(121)と、内筒(121)が相対移動可能に挿入され且つ内筒(121)から排出された粒状体(123)を収容する外筒(122)とを有し、外筒(122)に収容された粒状体(123)は内筒(121)によって塑性変形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まくらぎ本体に水準変位を補正する機能を付加した粒状体を用いた自動沈下補正装置および自動沈下補正まくらぎに関する。
【背景技術】
【0002】
関連の自動沈下補正まくらぎは、レールが締結されるまくらぎ本体と、まくらぎ本体を支持する複数の自動沈下補正装置を有する。自動沈下補正装置は、粒状体を有する内筒と、内筒を収容した外筒を有する。そして、バラスト軌道やスラブ軌道等の軌道構造において不同沈下が発生した場合に、内筒及び外筒が互いに離れ、粒状体は内筒から外筒の中へ移動し、その不同沈下分を補正することができる(特許文献1、2参照)。
【0003】
一方、関連のレール支持はレール支持具に粒状材料を収容し、粒状材料の一部が支持具の下側表面の孔を経て、トレーに入る(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−162293号公報
【特許文献2】特開2006−274720号公報
【特許文献3】特表2003−517523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2の粒状体が内筒から外筒へ移動した後、列車による繰返し荷重が内筒に加わる。このとき、内筒は外筒内の粒状体に荷重を加え、この粒状体を外筒から内筒へ逆流させる。この現象は、まくらぎ本体に水準変位を起こさせる。この現象は、特許文献3でも同様である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、粒状体の逆流を防止する粒状体を自動沈下補正装置及び自動沈下補正まくらぎを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、符号を付して本発明の特徴を説明する。なお、符号は参照のためであり、本発明を実施形態に限定するものでない。
【0008】
本発明の第1の特徴に係わる自動沈下補正装置(12A、12B)は、走行レール(R1、R2)を横切るように長く延びるまくらぎ本体(11)に取り付けられると共に塑性変形可能な粒状体(123)を排出可能に収容する内筒(121)と、内筒(121)が相対移動可能に挿入され且つ内筒(121)から排出された粒状体(123)を収容する外筒(122)とを有し、外筒(122)に収容された粒状体(123)は内筒(121)によって塑性変形される。
【0009】
本発明の第2の特徴に係わる自動沈下補正まくらぎ(10)は、走行レール(R1、R2)に締結されたまくらぎ本体(11)と、まくらぎ本体(11)に取り付けられると共に塑性変形可能な粒状体(123)を排出可能に収容する内筒(121)と、内筒(121)が相対移動可能に挿入され且つ内筒(121)から排出された粒状体(123)を収容する外筒(122)とを有し、外筒(122)に収容された粒状体(123)は内筒(121)によって塑性変形される。
【0010】
これらの特徴にあって、粒状体(123)は金属、樹脂及びセラミックの何れかから構成される。この金属は鉛でもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の特徴によれば、外筒に収容された粒状体は塑性変形されて移動性が低下するので、外筒から内筒へ移動することができなくなり、外筒から内筒への粒状体の逆流を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係わる自動沈下補正まくらぎの側面図であり、V1は上下方向、L1は水平方向を示す。
【図2】図1に示す自動沈下補正まくらぎの動作後の側面図である。
【図3】(A)は図1に示すIIIA−IIIAに沿った自動沈下補正装置の断面図であり、(B)は図2に示すIIIB−IIIBに沿った自動沈下補正装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、自動沈下補正まくらぎ10は、道床B1の上に配置されると共に走行レールR1、R2を横切るまくらぎ本体11と、まくらぎ本体11に取り付けられた自動沈下補正装置12A、12Bを有する。
【0015】
まくらぎ本体11は、走行レールR1、R2を横切る方向L1に長く延びる。まくらぎ本体11は、底面に幅方向に延びる凹部11a、11bを有する。まくらぎ本体11は、プレストレストコンクリートを含む鉄筋コンクリート、鉄、又は、FRPその他の合成樹脂、木材等から製作される。
【0016】
自動沈下補正装置12A、12Bは、それぞれ、まくらぎ本体11の凹部11a、11b内に配置される。図3(A)に示すように、自動沈下補正装置12A、12Bは、まくらぎ本体11に固定された内筒121と、内筒121が相対移動可能に挿入された外筒122と、内筒121に収容された粒状体123を有する。
【0017】
内筒121は、上下方向に延びる環状の内側壁121aと、内側壁121aの下端から延びて開口を覆う内底壁121bを有する。内底壁121bは排出孔121cを有する。内側壁121aおよび内底壁121bは空間S1を画成する。
【0018】
外筒122は有底の筒形状を有する。外筒122は、内筒121の内側壁121aの外側を囲む外側壁122aと、外側壁122aの下端から延びると共に内筒121の内底壁121bと向き合う外底壁122bを有する。外筒122は、内筒121に対して上下方向V1に移動可能であり、内筒121から排出された粒状体123を収容する。
【0019】
なお、内筒121および外筒122の水平断面形状は、円形、楕円形、矩形、三角形、四角形、多角形、その他の形状を含む。
【0020】
粒状体123は内筒121の空間S1に充填される。粒状体123は、例えば、金属球である。粒状体123の形状は、流動性を保てるならば、球体に限られず、楕円球体、立方体、直方体でもよい。また、粒状体123の材質は、変形可能な金属、セラミック、樹脂の何れでもよい。金属は、例えば、鉛である。
【0021】
次に、図2、3を参照して、自動沈下補正まくらぎ10の使用方法を説明する。
【0022】
図2に示すように、例えば、鉄道車両が走行レールR1、R2上を通過すると、道床B1が塑性沈下する。このとき、自動沈下補正装置12Aは伸長して沈下した道床B1に追従する。
【0023】
詳細には、図3(B)に示すように、外筒122は道床B1に追従して下降し、外筒122内に空間が形成される。内筒121内の粒状体123は、自重で排出孔121cから外筒122内に排出される。粒状体123Aは外筒122に充填され、内筒121を支持する。以上より、まくらぎ本体11および走行レールR1、R2は水平に保たれる。
【0024】
ここで、鉄道車両が走行レールR1、R2上を通過して、まくらぎ本体11に繰返し荷重を加える。このとき、内筒121は外筒122内の粒状体123Aに荷重を加え、粒状体123Aを塑性変形させて球体から扁平体にする。これにより、粒状体123Aの移動性は低下する。さらに、内筒121の荷重が粒状体123Aに加わると、扁平体の粒状体123A同士が圧着する。これにより、粒状体123Aの移動性がさらに低下する。よって、粒状体123Aは内筒121の排出孔121cを通過することができなくなる。
【0025】
以上の実施形態によれば、外筒122内の粒状体123Aは塑性変形されて移動性が低下するので、外筒122から内筒121へ移動することができなくなり、粒状体123Aの外筒122から内筒121への逆流を確実に防止することができる。
【0026】
なお、本発明は本実施形態に限定されず、また、各実施形態は発明の趣旨を変更しない範囲で変更、修正可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 自動沈下補正まくらぎ
11 まくらぎ本体
12A、12B 自動沈下補正装置
121 内筒
121c 排出孔
122 外筒
123、123A 粒状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行レールを横切るように長く延びるまくらぎ本体に取り付けられると共に塑性変形可能な粒状体を排出可能に収容する内筒と、
前記内筒が相対移動可能に挿入され且つ内筒から排出された粒状体を収容する外筒とを有し、
前記外筒に収容された粒状体は前記内筒によって塑性変形される、
自動沈下補正装置。
【請求項2】
前記粒状体は金属、樹脂及びセラミックの何れかから構成される、
請求項1に記載の自動沈下補正装置。
【請求項3】
前記金属は鉛である、
請求項2に記載の自動沈下補正装置。
【請求項4】
走行レールに締結されたまくらぎ本体と、
まくらぎ本体に取り付けられると共に塑性変形可能な粒状体を排出可能に収容する内筒と、
前記内筒が相対移動可能に挿入され且つ内筒から排出された粒状体を収容する外筒とを有し、
前記外筒に収容された粒状体は前記内筒によって塑性変形される、
自動沈下補正まくらぎ。
【請求項5】
前記粒状体は金属、樹脂及びセラミックの何れかから構成される、
請求項4に記載の自動沈下補正まくらぎ。
【請求項6】
前記金属は鉛である、
請求項5に記載の自動沈下補正まくらぎ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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