説明

粒状塩加の製造方法

【課題】塩加の吸湿性を大幅に改善した粒状塩加の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、リン酸アンモニウム及び硫酸を結合剤として使用することを特徴とする塩加をK2Oとして45質量%以上含有する粒状塩加の製造方法である。
更に本発明は、リン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上と鉱酸鉄及び硫酸を結合剤として使用することを特徴とする塩加をK2Oとして45質量%以上含有する粒状塩加の製造方法である。このように、塩加造粒時の結合剤として、リン酸アンモニウム及び硫酸又は過リン酸石灰、鉱酸鉄及び硫酸、更にはリン酸アンモニウム、鉱酸鉄及び硫酸を用いて造粒する方法により、夏場の湿度が高い条件下でも吸湿のない塩加を45質量%(K2Oとして)以上含有する粒状塩加を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状塩加の製造方法に関し、リン酸アンモニウムと硫酸を結合剤として使用することを特徴とする吸湿特性を改善した粒状塩加の製造方法に関する。更にはリン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上と鉱酸鉄及び硫酸を結合剤として使用することにより殊に吸湿特性を改善した粒状塩加の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省力化を目的とした肥料、即ち1回の施肥で作物の成長段階に対応して栄養素を補給することができる被覆肥料の需要が急増している。
現在、使用されている被覆肥料の大半は、被覆尿素肥料である。この被覆尿素肥料が急速に普及した理由は、窒素成分を含む肥料、例えば塩安、硫安、硝安、尿素等は、溶解度が大きいため流亡が激しく、そのため作物の成長段階に対応して適宜、窒素肥料を補給する必要があるが、被覆尿素肥料にあっては、元肥として1回の施肥で良いこと、とりわけ水稲にあっては、その省力効果が大きいこと等である。
【0003】
一方、被覆尿素肥料の普及を製造面からみると、被覆肥料に使用する原料は、適度の硬度を有し、且つ可及的球状に近い粒状であることが必須である。被覆尿素肥料原料の粒状尿素は、この条件を満たしている。
このような被覆尿素肥料は、これ単独で使用されるか、他の粒状肥料と配合(バルクブレンド)して使用される。この被覆尿素肥料に配合される粒状肥料は、リン酸成分のみ含む粒状の過リン酸石灰やカリ成分とリン酸成分とを含有する二成分肥料、窒素成分の低い三成分肥料、或いは粒状有機質肥料等である。
しかしながら、このような粒状肥料を被覆尿素肥料と配合する場合、農家の要求する、また各作物に対応した厳密に三成分を調整した配合肥料を製造することが困難であることから、カリ成分のみを含有する粒状肥料が強く要求されている。
【0004】
ところで、肥料を造粒する方法としては、パン造粒機などを使用する転動造粒法、ブランジャー(2軸パドル式混合機)等を使用するスラリー式造粒法、押出成形機、ブリケット機等を使用する成形造粒法等がある。これらは主に肥料原料により使い分けされる。しかし、いずれの造粒方法においても原料に適当な粘着性を付与することが必要である。
一般にリン酸質肥料、例えば過リン酸石灰、リン安、リン酸カリ等を原料として使用するときは、少量の水分の存在で、上記造粒法により、ある程度硬度のある粒状肥料を製造することができるが、塩加の場合、少量の水分のみで粒状肥料を製造することはできない。
そこで、本出願人は、塩加の造粒に於いて過リン酸石灰、酸化マグネシウム及び硫酸を結合剤として使用することにより、更には上記系に尿素を用いることにより高い硬度を有し、且つ製品収率の良い、塩加を45質量%(K2Oとして)以上含有する粒状塩加が製造可能なることを見出し、先に出願した(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の方法で得られた粒状塩加肥料は、夏場の湿度が高いとき、吸湿する傾向にあり、年間を通じて安定的に生産できる粒状塩加の製造方法が強く要望されている。
【0005】
【特許文献1】特願2004−260482号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる現状に鑑み、本発明者らは、吸湿性を改善した粒状塩加の製造方法について鋭意検討を重ねた。その結果、塩加の造粒において、リン酸アンモニウム及び硫酸を結合剤として使用することにより、本発明の目的である吸湿性を防止することが可能となることを見出した。また、上記結合剤に加えて鉱酸鉄を用いることにより、更に吸湿性を改善できることを見出し、係る知見に基づき本発明を完成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、リン酸アンモニウム及び硫酸を結合剤として使用することを特徴とする塩加をK2Oとして45質量%以上含有する粒状塩加の製造方法に関する。
更に本発明は、リン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上と鉱酸鉄及び硫酸を結合剤として使用することを特徴とする塩加をK2Oとして45質量%以上含有する粒状塩加の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果は、リン酸アンモニウムと硫酸又は過リン酸石灰、鉱酸鉄及び硫酸、更にはリン酸アンモニウム、鉱酸鉄及び硫酸を結合剤として塩加を造粒することにより、吸湿性を大幅に改善した粒状塩加を製造できることである。この吸湿防止メカニズムについては定かではないが、本発明の製造方法によれば、夏場の湿度が高い条件下でも吸湿性のない塩加を45質量%(K2Oとして)以上含有する粒状塩加を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の粒状塩加の製造方法について更に詳細に説明する。先ず第一の発明であるリン酸アンモニウムと硫酸を結合剤として使用することを特徴とする塩加をK2Oとして45質量%以上含有する粒状塩加の製造方法について説明する。
本発明の塩加原料としては、通常の肥料原料として使用されている赤塩加、白塩加をはじめ工業用白塩加を用いることができる。
また、本発明のリン酸アンモニウム原料としては、通常の肥料原料として使用されているリン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム等を用いることができる。
上記原料は、それぞれ単独で粉砕した後、混合して用いても良いが、混合した後粉砕して用いても良い。いずれにしても均一混合が充分行なわれておれば良い。粉砕方法については、通常肥料原料の粉砕に用いられている奈良式粉砕機、ターボミル、JET粉砕機等を例示することができる。これら原料の粒径に関しては、1〜200μmが良い。これ以上になると粒状肥料の硬度が低下する。
【0010】
本発明の粒状塩加の製造においては、塩加とリン酸アンモニウムを後述する量比で均一に混合した後硫酸を添加して造粒する。本発明に用いる硫酸としては、通常肥料製造に用いられている濃硫酸をはじめ、70質量%硫酸等を用いることができ、使用時適宜水で希釈して用いればよく、その濃度に関しては概ね10〜40質量%で使用すればよい。
本発明の粒状肥料の造粒方法に関しては、パン造粒機、ドラム造粒機などを使用する転動造粒法、ブランジャー(2軸パドル式混合機)等を使用するスラリー式造粒法、ブリケット機等を使用する成形造粒法、押出機を使用する押出造粒法等を用いることができるが、転動造粒法によれば、球状に近いものが得られるので特に好ましい。特に被覆肥料原料にあっては真球に近い程好ましい。また、配合肥料の一原料あるいは単肥として使用する場合にあっても配合の容易性、品質均一性の点から、更にまた機械施肥における散布機内での流動性、散布均一性の点から球状に近いことが好ましい。
【0011】
次いで、得られた粒状肥料の乾燥に関しては、通常転動熱風乾燥機等の乾燥機を用いて連続的に乾燥される。その温度に関しては、90〜120℃で乾燥すればよい。乾燥した粒状肥料は、振動スクリーンに通して所望するサイズの製品(本発明の塩加の場合は粒径2〜4mm)を取り出し、粒径2mm以下の細粒品はそのまま、4mm以上の粗粒品は粉砕し戻り紛として供給原料に添加・混合し再使用する。
【0012】
次に結合剤の使用割合について詳しく説明する。
その結合剤であるリン酸アンモニウム及び硫酸の使用割合について云えば、使用する塩加をはじめリン酸アンモニウムの種類、粉砕度、造粒方法等により異なるが、結合剤の使用割合が塩加に対してリン酸アンモニウム1〜15質量%(Pとして)及び硫酸0.8〜8質量%(SOとして)の範囲が好ましい。この範囲を逸脱すると結合剤としての効果、即ち粒硬度及び製品収率の低下のみならず、吸湿性の改善ができない。
更に、本発明において、驚くべきことに結合剤として鉱酸鉄を用いると大幅に吸湿性が改善できることを見出した。即ち、本第二の発明であるリン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上と鉱酸鉄及び硫酸を結合剤として使用することを特徴とする塩加をK2Oとして45質量%以上含有する粒状塩加の製造方法について説明する。
本発明の過リン酸石灰原料としては、通常の過リン酸石灰をはじめ重過リン酸石灰を用いることができる。
【0013】
更に、本発明の鉱酸鉄原料としては、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄及び塩化第二鉄等を用いることができ、より具体的には硫酸第一鉄一水塩、硫酸第一鉄七水塩等の粉体及びこれらの水溶液並びに市販の硫酸第二鉄液、塩化第二鉄液等を例示することができる。
上記鉱酸鉄液以外の原料は、それぞれ単独で粉砕した後、混合して用いても良いが、混合した後粉砕して用いても良い。いずれにしても均一混合が充分行なわれておれば良い。粉砕方法については、本第一の発明で詳述した方法で行なうことができ、これら原料の粒径に関しては、1〜200μmが良い。これ以上になると粒状肥料の硬度が低下する。
【0014】
本発明の粒状塩加の製造においては、リン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上と粉体の鉱酸鉄及び塩加を後述する量比で均一に混合した後硫酸を添加して造粒する。別態様として、鉱酸鉄液を用いる場合は、リン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上と塩加を後述する量比で加え、均一に混合した後鉱酸鉄液及び硫酸を添加して造粒する。本発明に用いる硫酸としては、通常肥料製造に用いられている濃硫酸をはじめ、70質量%硫酸等を用いることができ、使用時適宜水で希釈して用いればよく、その濃度に関しては概ね10〜40質量%で使用すればよい。また、本発明に用いる鉱酸鉄液の濃度に関しては、市販の溶液をそのまま用いればよいが、造粒時に使用する水量の範囲内で適宜希釈して用いてもよい。
【0015】
本第二の発明の粒状肥料の造粒方法、乾燥方法及び篩い分けに関しては、本第一の発明に準じて行なうことができる。
次に結合剤の使用割合について詳しく説明する。
その結合剤であるリン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上と鉱酸鉄及び硫酸の使用割合について云えば、使用する塩加をはじめリン酸アンモニウム、過リン酸石灰の種類、粉砕度、造粒方法等により異なるが、結合剤の使用割合が塩加に対してリン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上1〜15質量%(Pとして)と鉱酸鉄0.1〜5質量%(Feとして)及び硫酸0.8〜8質量%(SOとして)の範囲で用いることにより、吸湿性が更に改善できることを見出した。この範囲を逸脱するとその目的を達成することは困難となる。
【0016】
本発明の塩加を45質量%(K2Oとして)以上含有する粒状肥料の製造は、リン酸アンモニウム単味かリン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上と硫酸鉄の混合物を塩加に均一に混合して硫酸を添加しながら造粒することで、その効果を最もよく発揮するが、必要に応じて更に蛇紋岩粉末、酸化マグネシウム、ベントナイト、廃糖蜜、コンスティープリカー、CMC等の結合剤も使用することができる。
[実施例]
【0017】
以下に実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、特に断らない限り、%は質量%を示す。尚、平均粒硬度及び吸湿度の測定は、以下の方法で行った。
【0018】
「平均粒硬度測定方法」
製品(粒径2.0〜4.0mm)を105℃の通風静置乾燥機で恒量になるまで乾燥する。次いで製品20個を木屋式硬度計にて測定し、その平均値を平均粒硬度とした。
【0019】
「吸湿度測定方法」
相対湿度60%、温度15℃のデシケータ中に、105℃の通風静置乾燥機で恒量乾燥した粒状塩加を10g入れ、1日後、2日後の吸湿量を測定し、乾燥粒状塩加に対する吸湿水分量の割合、即ち吸湿度(%)を求めた。
【実施例1】
【0020】
奈良式粉砕機で200μm以下に粉砕した白塩加7.8Kg、リン酸二アンモニウム1.2Kg(Pとして0.55Kg)、軽焼マグネシア0.3Kg(MgOとして0.26Kg)をニーダで均一混合した後、これをパン造粒機に投入し、70%硫酸と水を混合した34.4%硫酸1.18Kg(SOとして0.40Kg)を噴霧機にて添加しつつ併せて蒸気を噴霧しながら8.5分間転動造粒を行なった。次いで造粒物を100〜110℃の転動熱風乾燥機にて30分間乾燥した。冷却後、3段振動スクリーン(目篩4.0mm、2.0mmおよび1.5mm:近畿工業製)で篩分けし、製品(粒径2.0〜4.0mm)の製品収率43.2%で塩加粒状肥料を製造した。この塩加粒状肥料は塩加を47.5%(K2Oとして)含有し、平均粒硬度は1.56Kgf、吸湿度は1日後1.64%、2日後2.04%であった。
【実施例2】
【0021】
奈良式粉砕機で200μm以下に粉砕した白塩加7.9Kg、過リン酸石灰1.2Kg(Pとして0.21Kg)、軽焼マグネシア0.3Kg(MgOとして0.26Kg)、硫酸第一鉄七水塩0.5kg(Feとして0.09kg)をニーダで均一混合した後、これをパン造粒機に投入し、70%硫酸と水を混合した28.2%硫酸1.34Kg(SOとして0.37Kg)を噴霧機にて添加しつつ併せて蒸気を噴霧しながら9分間転動造粒を行なった。次いで造粒物を100〜110℃の転動熱風乾燥機にて30分間乾燥した。冷却後、3段振動スクリーン(目篩4.0mm、2.0mmおよび1.5mm:近畿工業製)で篩分けし、製品(粒径2.0〜4.0mm)の製品収率62.4%で塩加粒状肥料を製造した。この塩加粒状肥料は塩加を47.4%(K2Oとして)含有し、平均粒硬度は1.96Kgf、吸湿度は1日後1.51%、2日後2.13%であった。
[比較例1]
実施例2に於いて、硫酸第一鉄七水塩を添加することなく同様に塩加粒状肥料を製造した。この塩加粒状肥料は塩加を48.9%(K2Oとして)含有し、平均粒硬度は1.76Kgf、吸湿度は1日後2.35%、2日後3.07%であった。
【実施例3】
【0022】
奈良式粉砕機で200μm以下に粉砕した白塩加7.7Kg、リン酸二アンモニウム1.38kg(Pとして0.63Kg)、軽焼マグネシア0.3Kg(MgOとして0.26Kg)及び硫酸第一鉄一水塩0.18kg(Feとして0.06kg)をニーダで均一混合した後、これをパン造粒機に投入し、70%硫酸と水を混合した27.3%硫酸1.64Kg(SOとして0.44Kg)を噴霧機にて添加しつつ併せて蒸気を噴霧しながら7分間転動造粒を行なった。次いで造粒物を100〜110℃の転動熱風乾燥機にて30分間乾燥した。冷却後、3段振動スクリーン(目篩4.0mm、2.0mmおよび1.5mm)で篩分けし、製品(粒径2.0〜4.0mm)の製品収率40.5%で塩加造粒肥料を製造した。この塩加粒状肥料の平均粒硬度は3.35Kgf、吸湿度は1日後0.49%、2日後0.60%であった。
【実施例4】
【0023】
奈良式粉砕機で200μm以下に粉砕した肥料用白塩加7.7Kg、リン酸二アンモニウム1.48Kg(Pとして0.67Kg)、軽焼マグネシア0.3Kg(MgOとして0.26Kg)をニーダで均一混合した後、これをパン造粒機に投入し、硫酸第一鉄液1Kg(Feとして0.06Kg)及び70%硫酸0.5Kg(SOとして0.35Kg)を混合して噴霧機にて添加しつつ併せて蒸気を噴霧しながら9分間転動造粒を行なった。次いで造粒物を100〜110℃の転動熱風乾燥機にて30分間乾燥した。冷却後、3段振動スクリーン(目篩4.0mm、2.0mmおよび1.5mm)で篩分けし、製品(粒径2.0〜4.0mm)の製品収率46.9%で粒状塩加肥料を製造した。この塩加粒状肥料は塩加を47.1%(K2Oとして)含有し、平均粒硬度は2.3Kgf、吸湿度は1日後0.53%、2日後0.75%であった。
【実施例5】
【0024】
奈良式粉砕機で200μm以下に粉砕した肥料用白塩加7.7Kg、リン酸二アンモニウム1.48Kg(Pとして0.67Kg)をニーダで均一混合した後、これをパン造粒機に投入し、塩化第二鉄液0.43Kg(Feとして0.06Kg)及び70%硫酸と水を混合した21.9%硫酸1.6Kg(SOとして0.34Kg)を混合して噴霧機にて添加しつつ併せて蒸気を噴霧しながら9分間転動造粒を行なった。次いで造粒物を100〜110℃の転動熱風乾燥機にて30分間乾燥した。冷却後、3段振動スクリーン(目篩4.0mm、2.0mmおよび1.5mm)で篩分けし、製品(粒径2.0〜4.0mm)の製品収率42.4%で粒状塩加肥料を製造した。この塩加粒状肥料は塩加を48.9%(K2Oとして)含有し、平均粒硬度は1.79Kgf、吸湿度は1日後0.55%、2日後0.77%であった。
【実施例6】
【0025】
奈良式粉砕機で200μm以下に粉砕した白塩加7.7Kg、リン酸二アンモニウム1.48Kg(Pとして0.67Kg)、軽焼マグネシア0.3Kg(MgOとして0.26Kg)、硫酸第一鉄七水塩0.5kg(Feとして0.09kg)をニーダで均一混合した後、これをパン造粒機に投入し、70%硫酸と水を混合した14.7%硫酸1.52Kg(SOとして0.22Kg)を噴霧機にて添加しつつ併せて蒸気を噴霧しながら7分間転動造粒を行なった。次いで造粒物を100〜110℃の転動熱風乾燥機にて30分間乾燥した。冷却後、3段振動スクリーン(目篩4.0mm、2.0mmおよび1.5mm:近畿工業製)で篩分けし、製品(粒径2.0〜4.0mm)の製品収率63.4%で塩加粒状肥料を製造した。この塩加粒状肥料は塩加を47.0%(K2Oとして)含有し、平均粒硬度は2.27Kgf、吸湿度は1日後0.51%、2日後0.73%であった。
【実施例7】
【0026】
奈良式粉砕機で200μm以下に粉砕した肥料用白塩加7.7Kg、リン酸二アンモニウム1.48Kg(Pとして0.67Kg)、軽焼マグネシア0.3Kg(MgOとして0.26Kg)をニーダで均一混合した後、これをパン造粒機に投入し、硫酸第二鉄液0.5Kg(Feとして0.06Kg)及び70%硫酸と水を混合した31.8%硫酸1.1Kg(SOとして0.34Kg)を混合して噴霧機にて添加しつつ併せて蒸気を噴霧しながら9分間転動造粒を行なった。次いで造粒物を100〜110℃の転動熱風乾燥機にて30分間乾燥した。冷却後、3段振動スクリーン(目篩4.0mm、2.0mmおよび1.5mm)で篩分けし、製品(粒径2.0〜4.0mm)の製品収率35.8%で粒状塩加肥料を製造した。この塩加粒状肥料は塩加を47.0%(K2Oとして)含有し、平均粒硬度は1.72Kgf、吸湿度は1日後0.57%、2日後0.79%であった。
以下、表1に実施例、比較例の配合割合並びに物性をまとめて示す。この結果から、殊にりん酸アンモニウム、鉱酸鉄及び硫酸を結合剤として用いることにより、吸湿度を大幅に減少させることができることが判る。
【0027】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸アンモニウム及び硫酸を結合剤として使用することを特徴とする塩加をK2Oとして45質量%以上含有する粒状塩加の製造方法。
【請求項2】
塩加、リン酸アンモニウムの混合物に硫酸を添加する請求項1記載の粒状塩加の製造方法。
【請求項3】
結合剤の使用割合が塩加に対してリン酸アンモニウム1〜15質量%(Pとして)及び硫酸0.8〜8質量%(SOとして)である請求項1又は2記載の粒状塩加の製造方法。
【請求項4】
リン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上と鉱酸鉄及び硫酸を結合剤として使用することを特徴とする塩加をK2Oとして45質量%以上含有する粒状塩加の製造方法。
【請求項5】
リン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上と鉱酸鉄及び塩加の混合物に硫酸を添加する請求項4記載の粒状塩加の製造方法。
【請求項6】
結合剤の使用割合が塩加に対してリン酸アンモニウム又は過リン酸石灰のいずれか1種以上1〜15質量%(Pとして)と鉱酸鉄0.1〜5質量%(Feとして)及び硫酸0.8〜8質量%(SOとして)である請求項4又は5記載の粒状塩加の製造方法。

【公開番号】特開2006−225168(P2006−225168A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37020(P2005−37020)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000203656)多木化学株式会社 (58)
【Fターム(参考)】