説明

粒状物収納容器

【課題】 容器を片手に把持し、両側から収納容器を押圧することによって蓋体の頂壁が上昇して取出口を開くようにし、押圧量を調整することによって、粒状物の大きさに応じて、1つずつ取出せるようにした粒状物収納容器を提供すること。
【解決手段】 柔軟性のある合成樹脂によって成形された容器本体と、容器本体に取着された蓋体とからなる収納容器であって、容器本体は、上端に係止部を備えた係止筒を設けた蓋係止部材を立設した底壁を具備しており、蓋体は、前記係止筒の係止部に係合する取出口を穿孔した頂壁を具備していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物収納容器,とくに収納した粒状物を1粒ずつ取出せるようにした粒状物収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粒状物を収納するカード状ケース(C)として、二つ折りとしたケース本体の表板(4)に粒状物を取出す透孔(7)を設け、裏板(5)側に係止突起(10)を立設した扁平カード状ケースであって、ケース周縁に設けられた紡錘形状部(15)を、扁平状の方向に押圧して紡錘形状のヒンジ線(13)が表板、裏板を外方向に膨出させ、係止突起(10)を透孔(7)から外して取出口を形成するようにしたケースは、従来より知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平7−2510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のカード状ケースは、丸薬など小粒の粒状物の携帯用容器として便利であるが、大粒の粒状物の収納容器として利用できなかった。
【0004】
また、粒状物の取出しにあたって、紡錘形状部(15)を扁平状の方向に押圧して透孔(7)を開口するようにしているが、紡錘形状部をワンタッチで押圧するようにしているので、紡錘形状部の両側のヒンジ線が常時一定位置まで開き、透孔と係止突起の上端との間が常に一定間隔開くことになっていた。
そのため、使用始めで、丸薬がいっぱい入っていると、多量の丸薬が出てしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題として、容器を片手に把持し、両側から収納容器を押圧することによって蓋体の頂壁が上昇して取出口を開くようにし、押圧量を調整することによって、粒状物の大きさに応じて、1つずつ取出せるようにした粒状物収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、粒状物収納容器として、柔軟性のある合成樹脂によって成形された容器本体と、容器本体に取着された蓋体とからなる収納容器であって、容器本体は、上端に係止部を備えた係止筒を設けた蓋係止部材を立設した底壁を具備しており、蓋体は、前記係止筒の係止部に係合する取出口を穿孔した頂壁を具備していることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0007】
収納容器の両側を押圧することによって、容器を変形させるようにしたから、手指による操作によって押圧量の調節が容易となった。
そのため、取出口から1つまたは複数の粒状物を、所望量取出せるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の粒状物の収納容器について、図面を参照して説明する。
図1、2において、Aは容器本体、Bは容器本体Aに取着された蓋体であり、それぞれPE、その他柔軟性を有する合成樹脂によって成形されている。
【0009】
容器本体Aは、底壁1と側周壁2、および底壁1の中央部に立設された蓋係止部材3とからなっている。
側周壁2上端部は嵌合部4となっており、その上端には、外方に広がるフランジ5が設けられている。
【0010】
蓋係止部材3は、側周壁6と頂壁7とを具えており、頂壁7には、中央に突出頭部8と、その外側に係止筒9が立設され、係止筒9の所定の位置には、外方に突出した係止環10が設けられている。
図3に示すように、蓋係止部材3内部には、十字形のリブ11が架設されており、容器本体Aの底壁1には、係止筒9の開口を塞ぐようにシール12が貼着されている。
これにより、使用時における蓋係止部材3の保形性が高まり、また、外観も良好となる。
【0011】
蓋体Bは、下端の嵌合部15と、嵌合部15の外周に設けられたフランジ16と、嵌合部15の上端から隆起するドーム状の頂壁17とからなっている。
頂壁17の中央部は、下方に湾曲した凹部18となっており、該凹部18の中心部は、平坦な環状面19となっている。
環状面19の中心には、係止筒9の直径とほぼ等しい直径を有し、係止環10と係合する取出口20が穿孔されている。
係止筒9の径と、取出口20の径は、粒状物の大きさに応じて適宜に設定される。
【0012】
次に、本発明粒状物収納容器の使用態様と作用効果について説明する。
容器本体Aには、内容物として、玉状の飴、その他の菓子類、錠剤などの粒状物aが収納され、収納後に、容器本体Aの係止筒9の係止環10に、蓋体Bの取出口20周縁を係合させて閉鎖するとともに、容器本体Aの嵌合部4とフランジ5に、蓋体Bの嵌合部15とフランジ16を接合させ、フランジ5とフランジ16を溶着させる。
【0013】
収納容器の使用時において、内容物の取出しにあたっては、図4に示すように、収納容器を倒立状態として片手で持って、親指と他の指の間で容器本体Aと蓋体Bの接合部を押圧すると、容器本体Aと蓋体Bは柔軟な樹脂で成形されているので、容易に変形し、蓋体Bの凹部18が上昇し、取出口20の周縁が係止環10から離れ、取出口20が開口される。
【0014】
その際、手指による押圧量を容易に調節できるので、粒状物aの大きさに応じて、係止筒9先端と、取出口20との間の距離を調節することが容易となり、粒状物aを1粒ずつ取出すことができる。
【0015】
また、取出口20の径に対して、粒状物aの径が小さいときにも、押圧量を調節することによって、係止筒9と凹部18との間隔を容易に調節できるので、大量の粒状物aが一度に出ることを防ぐことができる。
【0016】
上記実施形態では、収納容器の横断面を円形としているが、断面が楕円形、または角形であってもよく、実施例に限定されない。
また、係止筒9と取出口20の形状についても、両者が係合離脱して取出口20が開閉できればよく、円形に限定されない。
【0017】
前記実施形態では、係止筒9に係止環10を設けたが、係止環10に変え、等間隔をおいて、複数の突起を設けてもよく、また、取出口20内周に複数の凸部を設け、係止筒9に係止凹部を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
押圧変形可能な柔軟な合成樹脂によって容器を成形し、両側から、押圧することによって取出口を開口できるようにしたから、押圧力を容易に調整することができ、一度に多くの粒状物が出ないようにできた。
そのため、飴、その他の菓子類、薬品などの粒状物収納容器として広く利用できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】粒状物収納容器の一部断面立面図である。
【図2】収納容器の斜視図である。
【図3】収納容器の底面図である。
【図4】粒状物取出し時を説明する断面立面図である。
【符号の説明】
【0020】
A 容器本体
B 蓋体
a 粒状物
1 底壁
2、6 側周壁
3 蓋係止部材
4、15 嵌合部
5、16 フランジ
7 頂壁
8 突出頭部
9 係止筒
10 係止環
11 リブ
12 シール
17 頂壁
18 凹部
19 環状面
20 取出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性のある合成樹脂によって成形された容器本体と、容器本体に取着された蓋体とからなる収納容器であって、
容器本体は、上端に係止部を備えた係止筒を設けた蓋係止部材を立設した底壁を具備しており、
蓋体は、前記係止筒の係止部に係合する取出口を穿孔した頂壁を具備していることを特徴とする粒状物収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−16012(P2006−16012A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193126(P2004−193126)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】