説明

粒状相互侵入網目ポリマー

ポリオレフィンポリマー、および(メタ)アクリル酸の残基を含むビニル芳香族ポリマーからなる粒状相互侵入網目ポリマー。このIPNポリマーは、実質的にポリオレフィンポリマー中にビニル芳香族モノマー組成物を重合することによって形成される。ビニル芳香族モノマー組成物は、ビニル芳香族モノマー、および少なくとも部分的に(メタ)アクリル酸からなるコモノマーを含む。コモノマーに存在する(メタ)アクリル酸の量は、発泡粒状IPNポリマーから調製された成形品が、100℃24時間で体積収縮値5%以下を有するように選択される。さらに、発泡性粒状相互侵入網目ポリマーは、粒状相互侵入網目ポリマー、およびこれに含浸された発泡剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体積収縮が低減された成形品を提供する粒状相互侵入網目ポリマーに関する。粒状相互侵入網目ポリマーは、ポリオレフィンポリマーおよびビニル芳香族ポリマーを含む。ビニル芳香族ポリマーは、ビニル芳香族モノマーを含むビニル芳香族ポリマーモノマー組成物、および(メタ)アクリル酸を含むコモノマーから調製される。ポリオレフィンポリマーおよびビニル芳香族ポリマーは一緒に粒状相互侵入網目ポリマーを形成する。(メタ)アクリル酸コモノマーは、発泡粒状相互侵入網目ポリマーから調製された成形品が、温度100℃に24時間供されたとき、体積収縮値5パーセント以下を有するような量で、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物に存在する。
【背景技術】
【0002】
粒状相互侵入網目ポリマーは一般に知られている。相互侵入網目ポリマーは典型的に、粒状ポリマー(例えば、ポリエチレンなどの粒状ポリオレフィン材料)中にモノマー組成物(例えば、スチレンを含むビニル芳香族モノマー組成物)を重合することによって形成される。少なくとも部分的に粒状ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)中にビニル芳香族ポリマー(例えば、ポリスチレン)を重合することによって、粒状相互侵入網目ポリマーが形成される。粒状相互侵入網目ポリマーは典型的に、同じポリマー(または、モノマー)比を有する比較材料、例えば個別のポリマーの物理的混合物もしくはブレンド、またはこれらのポリマーのモノマーから形成されたコポリマーと比較して、耐衝撃性など改善された物理的特性を提供する。
【0003】
相互侵入網目ポリマーによって提供される改善された物理的特性は、より具体的には発泡粒状相互侵入網目ポリマーから調製される成形品が証拠となる。典型的に、粒状相互侵入網目ポリマー材料は、イソペンタンなどの発泡剤を含浸させることによって、発泡性を付与される。含浸された発泡剤を有する発泡性粒状相互侵入網目ポリマー材料は、典型的に発泡装置(expander)に導入される。発泡装置内で高温に暴露されると、発泡剤は発泡し(例えば、少なくとも部分的に揮発性となる。)、それにより発泡性粒状相互侵入網目ポリマー材料を発泡(expandまたはfoam)させる。揮発性発泡剤は通常、発泡工程中に発泡装置から排気される。
【0004】
周囲条件での任意の貯蔵(または老化)期間後、発泡粒状相互侵入網目ポリマーは、次いで金型に充填され、そこで高温および高圧に暴露される。発泡相互侵入網目ポリマー粒子の隣接する表面は互いに融合し、成形品が形成される。発泡粒子に存在する可能性のある残留揮発性発泡剤は典型的に、成形工程中に金型から排気される。
【0005】
発泡粒状相互侵入網目ポリマーから調製された成形品は、ある状況では、長時間、高温(例えば、32℃または38℃を超える温度)に供される可能性がある。成形品が高温に暴露される可能性のある適用例には、例えば、自動車、トラック、船舶(例えば、ボートおよびジェットスキー)、ならびに航空機などの乗り物が含まれる。高温に暴露されたとき、クッションおよびバンパーなど、発泡粒状相互侵入網目ポリマーから調製された成形品は体積収縮する可能性がある。発泡粒状相互侵入網目ポリマーから調製された成形品の体積収縮は典型的に、成形品の物理的特性(例えば、耐衝撃性)および/または美的特性(例えば、外部上張りシートもしくはフィルム材料の変形)の低下をもたらす。
【0006】
収縮の低減された、粒状相互侵入網目ポリマー材料から調製された成形品を提供する、新しい粒状相互侵入網目ポリマー材料を開発することが望ましい。さらに、このような新しく開発された粒状相互侵入網目ポリマーはまた、物理的特性および/または美的特性が低下しない成形品を提供することが望ましい。
【0007】
United States Patent No.6,355,341B1は、アルケニル芳香族ポリマー(例えば、スチレンおよび少量のアクリル酸またはメタクリル酸から調製されたポリマー)、実質的にランダムなインターポリマー(例えば、エチレンおよびビニル芳香族モノマーから形成)、ならびに発泡剤のブレンドを含む組成物を開示している。第341号特許の組成物は、拡大されたセルサイズを有する発泡体を調製するために用いることができる。第341号特許は、用語「インターポリマー」を、「コポリマー、ターポリマーなどを含む、少なくとも2種の異なるモノマーを重合して、インターポリマーが製造されるポリマー」と定義している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,355,341B1号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、粒状相互侵入網目ポリマーであって、
(a)前記粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、10重量パーセントから80重量パーセントの量で存在するポリオレフィンポリマー、および
(b)前記粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、20重量パーセントから90重量パーセントの量で存在するビニル芳香族ポリマーを含み、前記ビニル芳香族ポリマーは、
(i)ビニル芳香族モノマー組成物の総重量に対して、70重量パーセントから98.5重量パーセントの量で存在するビニル芳香族モノマー、および
(ii)ビニル芳香族モノマー組成物の総重量に対して、1.5重量パーセントから30重量パーセントの量で存在するコモノマーであって、前記コモノマーが(メタ)アクリル酸を含むコモノマーを含むビニル芳香族モノマー組成物から調製され、
前記ポリオレフィンポリマーおよび前記ビニル芳香族ポリマーは一緒に、前記粒状相互侵入網目ポリマーを形成し、前記ビニル芳香族モノマー組成物は、実質的に前記ポリオレフィンポリマー中に重合され、
さらに前記コモノマーは(および、従ってビニル芳香族モノマー組成物およびビニル芳香族ポリマー)、発泡粒状相互侵入網目ポリマーから調製された成形品が、温度100℃に24時間供されたとき、体積収縮値5パーセント以下(加熱老化前の成形品の原体積に対して)を有するような量で(メタ)アクリル酸を含み、
前記発泡粒状相互侵入網目ポリマーは、典型的に16から96Kg/m(1から6ポンド/ft)、より典型的には32から80Kg/m(2から5ポンド/ft)、さらに典型的には48から64Kg/m(3から4ポンド/ft)の成形前密度を有し、発泡性粒状相互侵入網目ポリマーの発泡によって調製され、前記発泡性粒状相互侵入網目ポリマーは、前記粒状相互侵入網目ポリマーおよび発泡剤を含む、粒状相互侵入網目ポリマーが提供される。
【0010】
本明細書および特許請求の範囲では、用語「(メタ)アクリル酸」および類似の用語は、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの組み合わせを意味する。本明細書および特許請求の範囲では、用語「(メタ)アクリル酸のエステル」、および「(メタ)アクリラート」などの類似の用語は、アクリル酸のエステル(またはアクリラート)、メタクリル酸のエステル(またはメタクリラート)、およびこれらの組み合わせを意味する。
【0011】
作業実施例または別段の指示のある場合を除いて、本明細書および特許請求の範囲で用いられる、成分の量、反応条件などに関するすべての数字または表現は、すべての場合において用語「約」で修飾されているものとして理解される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によれば、ポリオレフィンポリマーを含む、上に要約したある種の粒状相互侵入網目ポリマーが提供される。本明細書および特許請求の範囲では、用語「ポリオレフィン」、ならびに「ポリアルキレン」および「熱可塑性ポリオレフィン」などの類似の用語は、ポリオレフィンホモポリマー、ポリオレフィンコポリマー、均一ポリオレフィン、不均一ポリオレフィン、およびこれらの2種以上のブレンドを意味する。例示のために、ポリオレフィンコポリマーの例には、これに限定されるものではないが、エチレンならびに1つ以上のC−C12α−オレフィン、例えば1−ブテン、1−ヘキセン、および/または1−オクテンなど;酢酸ビニル;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸;および(メタ)アクリル酸のエステル、例えばC−C−(メタ)アクリラートなどの少なくとも1つから調製されたものが含まれる。
【0013】
本発明の粒状相互侵入網目ポリマーのポリオレフィンは、不均一ポリオレフィン、均一ポリオレフィン、またはこれらの組み合わせから選択することができる。用語「不均一ポリオレフィン」および類似の用語は、(i)個々のポリマー鎖間の分子量(即ち、多分散性指数3以上)、および(ii)個々のポリマー鎖間のモノマー残基分布(コポリマーの場合)に比較的広範な変動を有するポリオレフィンを意味する。用語「多分散性指数」(PDI)は、M/M比を意味し、ここでMは重量平均分子量を意味し、Mは数平均分子量を意味し、それぞれポリエチレン標準物質などの適切な標準物質を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって求められる。不均一ポリオレフィンは典型的に、不均一相でチーグラー・ナッタ触媒によって調製される。
【0014】
用語「均一ポリオレフィン」および類似の用語は、(i)個々のポリマー鎖間の分子量(即ち、多分散性指数3未満)、および(ii)個々のポリマー鎖間のモノマー残基分布(コポリマーの場合)に比較的狭い範囲の変動を有するポリオレフィンを意味する。従って、不均一ポリオレフィンとは対照的に、均一ポリオレフィンは、個々のポリマー鎖間の類似した鎖長、ポリマー鎖主鎖に沿って比較的均一なモノマー残基分布、および個々のポリマー鎖主鎖間の比較的類似したモノマー残基分布を有する。均一ポリオレフィンは典型的に、シングルサイト、メタロセン、または幾何拘束型触媒によって調製される。均一ポリオレフィンコポリマーのモノマー残基分布は、総モルコモノマー含量中央値の50パーセント以内のコモノマー残基含量を有するポリマー分子の重量パーセントとして定義される、組成分布幅指数(CDBI)値によって特徴を明らかにすることができる。従って、ポリオレフィンホモポリマーは、CDBI値100パーセントを有する。例えば、均一ポリエチレン/α−オレフィンコポリマーは典型的に、60パーセント超または70パーセント超のCDBI値を有する。組成分布幅指数値は、Wild等、Journal of Polymer Science,Poly.Phys.Ed.、Vol.20、p.441(1982)、またはUnited States Patent No.4,798,081、もしくはUnited States Patent No.5,089,321に記載されているとおり、当分野で認められている方法、例えば昇温溶離分別(TREF)によって求めることができる。
【0015】
本発明のある実施形態において、ポリオレフィンはポリエチレンである。用語「ポリオレフィン」に関して本明細書に示される説明によれば、用語「ポリエチレン」は、ポリエチレンホモポリマー、ポリエチレンコポリマー、均一ポリエチレン、不均一ポリエチレン、2種以上のこのようなポリエチレンのブレンド、及びポリエチレンと他のポリマー(例えば、ポリプロピレン)のブレンドを意味する。
【0016】
本発明に用いることのできるポリエチレンコポリマーは典型的に、少なくとも50重量パーセント、より典型的には少なくとも70重量パーセントのエチレンモノマー残基、および50重量パーセント以下、より典型的には30重量パーセント以下の非エチレンコモノマー残基(例えば、酢酸ビニルモノマー残基)を含む。いずれの場合も重量パーセントはモノマー残基の総重量に基づく。ポリエチレンコポリマーは、エチレン、およびエチレンと共重合可能な任意のモノマーから調製することができる。エチレンと共重合可能なモノマーの例には、これに限定されるものではないが、C−C12α−オレフィン、例えば1−ブテン、1−ヘキセン、および/または1−オクテンなど;酢酸ビニル;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸;および(メタ)アクリル酸のエステルが含まれる。
【0017】
本発明に用いることのできるポリエチレンブレンドは典型的に、少なくとも50重量パーセント、より典型的には少なくとも60重量パーセントのポリエチレンポリマー(例えば、ポリエチレンホモポリマーおよび/またはコポリマー)、および50重量パーセント以下、より典型的には40重量パーセント以下のポリエチレンポリマーとは異なる別のポリマー(例えば、ポリプロピレン)を含む。いずれの場合も重量パーセントはポリマーブレンドの総重量に基づく。ポリエチレンブレンドは、ポリエチレン、およびポリエチレンと適合性である他の任意のポリマーから調製することができる。ポリエチレンとブレンドすることのできるポリマーの例には、これに限定されるものではないが、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、塩化ポリビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、酢酸ビニル−エチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0018】
本発明のある実施形態において、ポリエチレンポリマーは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと酢酸ビニルのコポリマー、エチレンとアクリル酸ブチルのコポリマー、エチレンとメタクリル酸メチルのコポリマー、ポリエチレンとポリプロピレンのブレンド、ポリエチレンとエチレンおよび酢酸ビニルのコポリマーとのブレンド、ならびにポリエチレンとエチレンおよびプロピレンのコポリマーとのブレンドから選択される。
【0019】
特定の実施形態において、ポリオレフィンポリマーは、エチレンモノマー、ならびに場合によりエチレン以外のα−オレフィンモノマー、例えばC−C−α−オレフィンモノマー(例えば、プロピレンおよび/またはブチレン)、酢酸ビニル、C−C20−(メタ)アクリラート、例えばC−C−(メタ)アクリラート、およびこれらの組み合わせから選択されたコモノマーを含むオレフィンモノマー組成物から調製される。典型的に、エチレンモノマーは、オレフィンモノマー組成物の総重量に対して、少なくとも50重量パーセントの量でオレフィンモノマー組成物に存在する。
【0020】
本発明のさらなる実施形態において、ポリオレフィンポリマーは、エチレンモノマー(例えば、オレフィンモノマー組成物の総重量に対して、少なくとも50重量パーセントのエチレンモノマー)、および酢酸ビニルを含むオレフィンモノマー組成物から調製される。より具体的には、ポリオレフィンポリマーはポリエチレンポリマーであり、これは75重量パーセントから99重量パーセントの量のエチレンモノマー残基および1重量パーセントから25重量パーセントの量の酢酸ビニルモノマー残基を含有するエチレンと酢酸ビニルのコポリマーである。いずれの場合も重量パーセントはモノマー残基の総重量に基づく。特定の実施形態において、ポリオレフィンポリマーはポリエチレンポリマーであり、これは95重量パーセントのエチレンモノマー残基、および5重量パーセントの酢酸ビニルモノマー残基を含有するエチレンと酢酸ビニルのコポリマーであり、いずれの場合もモノマー残基の総重量に基づく。本明細書および特許請求の範囲では、モノマー残基重量パーセントの値は、ポリオレフィンポリマーが調製されるオレフィンモノマー組成物に存在する対応するモノマーの重量パーセントと実質的に等価である。
【0021】
ポリオレフィンポリマーは典型的に、粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、80重量パーセント以下、より典型的には65重量パーセント以下、さらに典型的には50重量パーセント以下の量で粒状相互侵入網目ポリマーに存在する。ポリオレフィンポリマーは典型的に、粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、10重量パーセント以上、より典型的には15重量パーセント以上、さらに典型的には20重量パーセント以上の量で粒状相互侵入網目ポリマーに存在する。本発明の粒状相互侵入網目ポリマーに存在するポリオレフィンポリマーの量は、列挙した値を含めて、これらの上限値および下限値の任意の組み合わせの間の範囲であることができる。例えば、ポリオレフィンポリマーは、粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、10から80重量パーセント、より典型的には15から65重量パーセント、さらに典型的には20から50重量パーセントの量で粒状相互侵入網目ポリマーに存在することができる。
【0022】
本発明の発泡性粒状相互侵入網目ポリマーはまた、ビニル芳香族ポリマーを含む。本明細書および特許請求の範囲では、用語「ビニル芳香族ポリマー」は、ビニル芳香族ホモポリマー、ビニル芳香族コポリマー、およびこれらのブレンドを意味する。
【0023】
ビニル芳香族ポリマーは、(i)ビニル芳香族モノマー、および(ii)少なくとも部分的に(メタ)アクリル酸(即ち、アクリル酸、メタクリル酸、またはアクリル酸とメタクリル酸の組み合わせ)を含むコモノマーを含むビニル芳香族モノマー組成物から調製される。ビニル芳香族モノマー(i)は典型的に、ビニル芳香族モノマー組成物の総重量に対して、70から98.5重量パーセント、より典型的には90から98重量パーセント、さらに典型的には92から97重量パーセントの量で存在する。コモノマー(ii)は典型的に、ビニル芳香族モノマー組成物の総重量に対して、1.5から30重量パーセント、より典型的には2から10重量パーセント、さらに典型的には2.5から7.5重量パーセントの量で存在する。ある実施形態において、ビニル芳香族モノマー(i)は、89重量パーセントから98.5重量パーセントの量で存在し、コモノマー(ii)は、1.5重量パーセントから11重量パーセントの量で存在し、いずれの場合も重量パーセントはビニル芳香族モノマー組成物の総重量に基づく。
【0024】
本発明のビニル芳香族ポリマーの調製に用いることのできるビニル芳香族モノマーには、当業者に知られているものが含まれる。ある実施形態において、ビニル芳香族モノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンゼン、イソプロピルキシレン、およびこれらの組み合わせから選択される。
【0025】
ビニル芳香族モノマー組成物のコモノマー(ii)は、少なくとも部分的に(メタ)アクリル酸を含む(例えば、コモノマーの50から100重量パーセントが(メタ)アクリル酸を含む。)。ビニル芳香族モノマー組成物のコモノマー(および、従ってビニル芳香族ポリマー)に存在する(メタ)アクリル酸の量は、発泡粒状相互侵入網目ポリマーから調製された成形品が、温度100℃に24時間供されたとき、体積収縮値5パーセント以下(例えば、2パーセント以下)を有するように選択される。
【0026】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる「体積収縮値」は、下記の説明に従って求められる。本発明の粒状相互侵入網目ポリマーは、本明細書においてさらに詳しく論じるとおり、典型的にイソペンタンである適切な発泡剤を含浸させることによって、発泡性を付与される。発泡剤(例えば、イソペンタン)は典型的に、発泡性粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して(発泡剤の重量を含む。)、1から20重量パーセント(例えば、10から11重量パーセント)の量で存在する。発泡性粒状相互侵入網目ポリマーは、典型的に16から96Kg/m(1から6ポンド/ft)、より典型的には32から80Kg/m(2から5ポンド/ft)、さらに典型的には48から64Kg/m(3から4ポンド/ft)の密度(即ち、成形前密度)を有する発泡粒状相互侵入網目ポリマーが形成されるように、発泡装置内で熱に暴露することによって発泡される。発泡性粒状相互侵入網目ポリマーの形成および発泡(および、従って発泡粒状相互侵入網目ポリマーの形成)、ならびに成形前密度値の決定に関するさらなる詳細は、含浸および発泡の項目名で本明細書の実施例に提供される。
【0027】
次いで発泡粒状相互侵入網目ポリマーを、約24時間(即ち1日)の期間、開放容器において周囲条件下、貯蔵(または老化)する。周囲条件で老化した発泡粒状相互侵入網目ポリマー材料は、実質的に発泡剤を含まない(存在する場合、発泡粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、典型的に0.5重量パーセント未満の量で残留発泡剤を含有する。)。その後、老化した発泡粒状相互侵入網目ポリマーを、金型に導入し、熱および圧力に供し、61cm×61cm×5.1cm(24インチ×24インチ×2インチ)成形ブロックを形成する。帯のこまたは加熱金属線を用いて、大きい61cm×61cm×5.1cm成形ブロックから、寸法10.2cm×10.2cm×5.1cm(4インチ×4インチ×2インチ)を有する試験サンプルを切断する。この試験サンプルを電気オーブンで温度100℃に24時間暴露し、その後、試験サンプルの寸法を測定し、下記の等式を用いて、加熱/老化前寸法と比較して体積収縮率値を求める。
【0028】
100×{(初期体積)−(加熱老化体積)}/(初期体積)
具体的には、試験サンプルの幅、長さ、および高さの寸法を、加熱老化前後に手で測定し、これらの値を用いて、各試験サンプルの体積値を算出する。従って、体積収縮値は、温度100℃に24時間暴露する前(即ち、加熱老化前)の成形試験サンプルの原体積または初期体積に基づく体積収縮率値である。発泡粒状相互侵入網目ポリマーの成形、ならびに試験サンプルの調製および試験に関するさらなる詳細は、成形の項目名で本明細書の実施例に提供される。より小さい体積収縮値(即ち、5パーセント以下)が望ましく、より大きい体積収縮値(即ち、5パーセント超)は望ましくない。
【0029】
より具体的には、(メタ)アクリル酸モノマーは典型的に、コモノマーの総重量に対して、100重量パーセント以下、より典型的には95重量パーセント以下、さらに典型的には90重量パーセント以下、さらに典型的には80重量パーセント以下の量でビニル芳香族ポリマーモノマー組成物のコモノマーに存在する。(メタ)アクリル酸モノマーはまた典型的に、コモノマーの総重量に対して、少なくとも50重量パーセント、より典型的には少なくとも60重量パーセント、さらに典型的には少なくとも65重量パーセント、さらに典型的には少なくとも70重量パーセントの量でビニル芳香族ポリマーモノマー組成物のコモノマーに存在する。ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物のコモノマーに存在する(メタ)アクリル酸モノマーの量は、列挙した値を含めて、これらの上限値および下限値の任意の組み合わせの間の範囲であることができる。例えば、(メタ)アクリル酸モノマーは、コモノマーの総重量に対して、50から100重量パーセント、または60から95重量パーセント、または65から90重量パーセント、または70から80重量パーセントの量でビニル芳香族ポリマーモノマー組成物のコモノマーに存在することができる。
【0030】
ある実施形態において、ビニル芳香族モノマー組成物のコモノマーは、(メタ)アクリル酸および追加のコモノマーを含む。コモノマーが(メタ)アクリル酸および追加のコモノマーの両方を含むとき、(メタ)アクリル酸モノマーは典型的に、コモノマーの重量に対して、100重量パーセント未満の量で存在し、従ってこの残部は追加のコモノマーからなる。例えば、追加のコモノマーは、1から50重量パーセント、または5から40重量パーセント、または10から35重量パーセント、または20から30重量パーセントの量で存在することができ、(メタ)アクリル酸は、50から99重量パーセント、または60から95重量パーセント、または65から90重量パーセント、または70から80重量パーセントの量で存在し、いずれの場合も重量パーセントはコモノマーおよび追加のコモノマーの総重量に基づく。
【0031】
(メタ)アクリル酸およびビニル芳香族モノマーと共に重合して、本発明のビニル芳香族ポリマーを形成することのできる追加のコモノマーには、当業者に知られているものが含まれる。追加のコモノマーの例には、これに限定されるものではないが、(メタ)アクリラート、例えばC−C20−またはC−C−(メタ)アクリラート(例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、およびメタクリル酸2−エチルヘキシル)など;アクリロニトリル;酢酸ビニル;マレイン酸ジアルキル(例えば、マレイン酸ジメチル、およびマレイン酸ジエチル);ならびに無水マレイン酸が含まれる。追加のコモノマーはまた、多エチレン性不飽和モノマー、例えばジエン(例えば、1,3−ブタジエン);1つ以上のアルキレングリコール繰り返し単位を有するアルキレングリコールのジ−(メタ)アクリラート(例えば、エチレングリコールジ−(メタ)アクリラート、ジエチレングリコールジ−(メタ)アクリラート、および3から100繰り返し単位など3以上のエチレングリコール繰り返し単位を有するポリ(エチレングリコール)ジ−(メタ)アクリラート);トリメチロールプロパンジ−およびトリ−(メタ)アクリラート;ペンタエリトリトールジ−、トリ−、およびテトラ−(メタ)アクリラート;ならびにジビニルベンゼンから選択することもできる。多エチレン性不飽和モノマーは典型的に、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の総重量に対して、5重量パーセント以下、より典型的には3重量パーセント以下(例えば、0.5から1.5または2重量パーセント)の量でビニル芳香族ポリマーモノマー組成物に存在する。
【0032】
ある実施形態において、ビニル芳香族モノマー組成物のコモノマーは、コモノマーの総重量に対して、少なくとも50重量パーセントの(メタ)アクリル酸、および場合により少なくとも1つのC−C−(メタ)アクリラート(例えば、(メタ)アクリル酸ブチル)から選択された追加のコモノマーを含む。(メタ)アクリル酸およびC−C−(メタ)アクリラート(追加のコモノマーとして)は合わせて、本明細書において以前に列挙された重量パーセントの範囲および値から選択された量で存在することができる。特定の実施形態において、ビニル芳香族モノマー組成物のコモノマーは、単独および任意の追加のコモノマーの不在下、(メタ)アクリル酸、特にメタクリル酸からなる。
【0033】
ビニル芳香族モノマー組成物(および、従ってビニル芳香族ポリマー)に基づいて、(メタ)アクリル酸モノマーは、ビニル芳香族モノマー組成物の総重量に対して、30重量パーセント以下、または15重量パーセント以下、または10重量パーセント以下、または7.5重量パーセント以下、または5重量パーセント以下、または3.75重量パーセント以下の量で存在することができる。(メタ)アクリル酸モノマーはまた典型的に、ビニル芳香族モノマー組成物の総重量に対して、少なくとも1.5重量パーセント、より典型的には少なくとも2重量パーセント、さらに典型的には少なくとも2.5重量パーセントの量でビニル芳香族モノマー組成物に存在する。ビニル芳香族モノマー組成物に存在する(メタ)アクリル酸モノマーの量は、列挙した値を含めて、これらの上限値および下限値の任意の組み合わせの間の範囲であることができる。例えば、(メタ)アクリル酸モノマーは、ビニル芳香族モノマー組成物の総重量(および、従ってビニル芳香族ポリマーの総重量)に対して、1.5から30重量パーセント、または1.5から15重量パーセント、または2から10重量パーセント、または2から7.5重量パーセント、または2.5から5重量パーセント、または2.5から3.75重量パーセントの量でビニル芳香族モノマー組成物に存在することができる。ビニル芳香族モノマー組成物のコモノマーは、(メタ)アクリル酸および追加のコモノマー(例えば、メタクリル酸ブチル)の両方を含むことができるが、(メタ)アクリル酸は典型的に、ビニル芳香族モノマー組成物の総重量に対して、少なくとも1.5重量パーセント(即ち、以上)の量で存在する。
【0034】
ある実施形態において、ビニル芳香族ポリマーは、(i)ビニル芳香族モノマーとしてスチレン、および(ii)(メタ)アクリル酸および少なくとも1つのC−C20−(メタ)アクリラート、例えば少なくとも1つのC−C−(メタ)アクリラート(例えば、(メタ)アクリル酸ブチル)を含むコモノマーを含むビニル芳香族モノマー組成物から調製される。特定の実施形態において、ビニル芳香族ポリマーは、(i)ビニル芳香族モノマーとしてスチレン、および(ii)(メタ)アクリル酸からなるコモノマー(例えば、ビニル芳香族モノマー組成物の総重量に対して、96重量パーセントのスチレン、および4重量パーセントのメタクリル酸)を含むビニル芳香族モノマー組成物から調製される。
【0035】
ビニル芳香族ポリマーは典型的に、粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、90重量パーセント以下、より典型的には85重量パーセント以下、さらに典型的には80重量パーセント以下の量で粒状相互侵入網目ポリマーに存在する。ビニル芳香族ポリマーは典型的に、粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、20重量パーセント以上、より典型的には35重量パーセント以上、さらに典型的には50重量パーセント以上の量で粒状相互侵入網目ポリマーに存在する。本発明の粒状相互侵入網目ポリマーに存在するビニル芳香族ポリマーの量は、列挙した値を含めて、これらの上限値および下限値の任意の組み合わせの間の範囲であることができる。例えば、ビニル芳香族ポリマーは、粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、20から90重量パーセント、より典型的には35から85重量パーセント、さらに典型的には50から80重量パーセントの量で粒状相互侵入網目ポリマーに存在することができる。
【0036】
ポリオレフィンポリマー(例えば、エチレンと酢酸ビニルのコポリマー)、ならびにビニル芳香族ポリマー(例えば、スチレン、(メタ)アクリル酸、および場合により(メタ)アクリル酸ブチルのコポリマー)は一緒に、本発明の発泡性粒状相互侵入網目ポリマーの粒状相互侵入網目ポリマーを形成する。典型的に、相互侵入網目ポリマーは、実質的に予め形成/重合したポリオレフィン粒子内にビニル芳香族ポリマーモノマー組成物を重合することによって調製される。一般に、ポリオレフィン粒子に、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物、および過酸化物開始剤などの1種以上の開始剤を注入または含浸する。その後、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物を重合する。手元の証拠に基づいて、いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合は実質的にポリオレフィン粒子中で起こると考えられる。
【0037】
本発明のある実施形態において、発泡性粒状相互侵入網目ポリマーは、(a)粒状ポリオレフィンポリマーの形態でポリオレフィンポリマーを提供するステップ、および(b)実質的に粒状ポリオレフィンポリマー中にビニル芳香族ポリマーモノマー組成物を重合するステップを含む方法によって調製される。
【0038】
粒状相互侵入網目ポリマーの形成は、水性または非水性条件下(例えば、有機媒質の存在下)で行うことができる。典型的に、粒状相互侵入網目ポリマーの形成は、水性条件下で行われる。
【0039】
水性条件下で行うとき、典型的にはポリオレフィン粒子を、最初に水(例えば、脱イオン水)および懸濁剤の組み合わせに懸濁する。当業者に知られている多数の懸濁剤を用いることができる。本発明の相互侵入網目ポリマーを形成するために用いることのできる懸濁剤の種類には、これに限定されるものではないが、水溶性高分子量材料(例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、およびポリビニルピロリドン);わずかまたはかろうじて水溶性の無機材料(例えば、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、および炭酸カルシウム);ならびにスルホン酸塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが含まれる。ある実施形態において、リン酸三カルシウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの組み合わせが、粒状相互侵入網目ポリマーの調製に懸濁剤として一緒に用いられる。
【0040】
懸濁剤は、水性媒質中でポリオレフィン粒子の懸濁に作用するような量で存在することができる。典型的に、懸濁剤は、水および懸濁剤の総重量に対して、0.01から5重量パーセント、より典型的には1から3重量パーセントの量で存在する。
【0041】
ポリオレフィン粒子は一般に、予め形成した水と懸濁剤の組成物に攪拌しながら添加される。別法として、ポリオレフィン粒子、水、および懸濁剤を同時に合わせて混合することもできる。ポリオレフィン粒子の量に対して、存在する水の量は広い範囲で異なることができる。ポリオレフィン粒子を有効に懸濁し、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の添加、注入、および重合を可能にする十分な水が存在する。典型的に、水とポリオレフィン粒子の重量比は、0.7:1から5:1、より典型的には3:1から5:1である。
【0042】
水と粒状ポリマー材料の重量比は、粒状相互侵入網目ポリマーを形成する工程中に変化する可能性がある。例えば、水とポリオレフィン粒子の重量比は、初期には5:1であることができ、経時的にビニル芳香族ポリマーモノマー組成物が導入および重合されるにつれて、水と形成される/形成された粒状相互侵入網目ポリマーとの重量比は、有効および相応に低下してよい(例えば、1:1に)。
【0043】
典型的には次いでビニル芳香族ポリマーモノマー組成物および開始剤は粒状ポリオレフィンの水性懸濁液に添加される。開始剤は、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物と予め混合して、これと同時に、および/またはこれに次いで添加することができる。ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物と別に添加する場合、開始剤は、当業者に知られているように、単独で、またはトルエンもしくは1,2−ジクロロプロパンなどの有機溶媒に溶解して添加することができる。典型的には、開始剤をビニル芳香族ポリマーモノマー組成物と予め混合し(例えば、溶解し)、この混合物をポリオレフィン粒子の水性懸濁液に添加する。
【0044】
ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合に適した1種以上の開始剤を用いることができる。適切な開始剤の例には、これに限定されるものではないが、有機過酸化物、例えばベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル、およびペルオキシピバル酸t−ブチルなど;アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、およびアゾビスジメチルバレロニトリルなどが含まれる。
【0045】
ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合は、得られるビニル芳香族ポリマーの分子量を制御する役割を果たす連鎖移動剤の存在下で行うこともできる。用いることのできる連鎖移動剤の例には、これに限定されるものではないが、C2−15アルキルメルカプタン、例えばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、およびn−ブチルメルカプタンなど;ならびにαメチルスチレンダイマーが含まれる。
【0046】
開始剤は一般に、実質的にビニル芳香族ポリマーモノマー組成物のすべてのモノマーを重合するのに少なくとも十分な量で存在する。典型的に、開始剤は、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物および開始剤の総重量に対して、0.05から2重量パーセント、より典型的には0.1から1重量パーセントの量で存在する。
【0047】
ポリオレフィン粒子中のビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合は一般に、反応混合物に熱を導入することを含む。例えば、反応器の内容物を、当分野で認められている手順に従って、不活性雰囲気下(例えば、窒素スイープ)、密閉容器(または反応器)において、少なくとも1時間(例えば、8から20時間)温度60℃から120℃に加熱することができる。重合が完了した後、後処理手順には、当分野で認められている方法に従って、1種以上の洗浄剤(例えば、無機酸)を導入すること、および水性反応媒質から粒状相互侵入網目ポリマーを分離すること(例えば、遠心分離による。)を含むことができる。
【0048】
本発明のある実施形態では、粒状ポリオレフィンを架橋することができる。粒状ポリオレフィンポリマーの架橋は、ポリオレフィン粒子の重合および形成中、および/またはポリオレフィン粒子中のビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合中に達成することができる。粒状ポリオレフィンポリマーの形成中のこの架橋は、当分野で認められている方法および材料によって、多官能開始剤および/または多エチレン性不飽和モノマーを使用することにより達成することができる。
【0049】
ある実施形態において、粒状ポリオレフィンポリマーは、ポリオレフィン粒子中のビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合と同時に架橋される。典型的に、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合と同時に行うとき、ポリオレフィン粒子の架橋は、ある種の有機過酸化物材料から選択された架橋剤によって達成される。適切な架橋剤の例には、これに限定されるものではないが、ジ−t−ブチル−ペルオキシド、t−ブチル−クミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルペルオキシ)−ヘキサン、t−ブチル−ペルオキシイソプロピル−カルボナート;多官能有機過酸化物材料、例えば商品名LUPEROX JWEB50で市販され入手可能である、ポリエーテルポリ(t−ブチルペルオキシカルボナート)など;ならびにこれらの組み合わせが含まれる。
【0050】
架橋剤は、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の一部として、および/またはビニル芳香族ポリマーモノマー組成物とは別に(例えば、この前、これと同時、および/またはこれに次いで)導入することができる。典型的には、架橋剤をビニル芳香族ポリマーモノマー組成物と混合する(例えば、これに溶解/共に溶解する。)。架橋剤は一般に、ポリオレフィン粒子の重量に対して、0.1から2重量パーセント、典型的には0.5から1重量パーセントの量で存在する。
【0051】
本発明の粒状相互侵入網目ポリマーは、広範囲の粒径および形状を有することができる。典型的に、粒状相互侵入網目ポリマーは、平均粒径(最長粒子寸法に沿って求める。)0.2から2.00mm、より典型的には0.8から1.5mm、さらに典型的には1.0から1.2mmを有する。粒状相互侵入網目ポリマーは、球形状、楕円形状、棒様形状、不規則形状、およびこれらの組み合わせから選択された形状を有することができる。より典型的には、粒状相互侵入網目ポリマーは、球形状および/または楕円形状から選択された形状を有する。粒状相互侵入網目ポリマーは、アスペクト比1:1から4:1(例えば、1:1から2:1)を有することができる。
【0052】
本発明の粒状相互侵入網目ポリマーに発泡剤を含浸させ、それによって発泡性粒状相互侵入網目ポリマーを形成することができる。発泡性粒状相互侵入網目ポリマーは、本発明の粒状相互侵入網目ポリマー、およびこれに含浸された発泡剤を含む。熱に暴露されると(例えば、発泡装置内)、発泡性粒状相互侵入網目ポリマーは発泡し、発泡粒状相互侵入網目ポリマーを形成する。次いでこの発泡粒状相互侵入網目ポリマーを金型に導入することができ、そこで高温および高圧に暴露され、それによって成形品が形成される。
【0053】
粒状相互侵入網目ポリマーの形成を通じて1以上の時点で、発泡性粒状相互侵入網目ポリマーが形成されるように、発泡剤を導入することができる。例えば、発泡剤は、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合と同時に;ポリエチレン粒子の架橋が行われる前に;重合および架橋ステップの完了後、後処理ステップの前に;および/または後処理ステップ後に、粒状相互侵入網目ポリマーに導入することができる。含浸工程は、ビニル芳香族モノマーの重合を行うのと同じ容器、および/または別の容器で行うことができる。
【0054】
典型的には、粒状相互侵入網目ポリマーの後処理(例えば、洗浄剤の添加、および水性反応媒質からの分離による。)の後、発泡性粒状相互侵入網目ポリマーが形成されるように、発泡剤を粒状相互侵入網目ポリマーに導入する。発泡剤は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびこれらの組み合わせから選択することができる。この中から発泡剤を選択することのできるハロゲン化炭化水素には、これに限定されるものではないが、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、および/またはジクロロテトラフルオロエタンが含まれる。
【0055】
ハロゲン化炭化水素発泡剤はまた、1種以上のヒドロフルオロカーボン(HFC)から選択されるか、または含むことができる。この中から発泡剤を選択することのできるヒドロフルオロカーボンの例には、これに限定されるものではないが、フッ化メチル、ジフルオロメタン、ペルフルオロメタン、フッ化エチル、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ペルフルオロエタン、2,2−ジフルオロプロパン、1,1,1−トリフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−フルオロブタン、ナナ(nana)フルオロシクロペンタン、ペルフルオロ−2−ジメチルブタン、1−フルオロヘキサン、ペルフルオロ−2,3−ジメチルブタン、ペンタフルオロ−1,2−ジメチルシクロブタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロイソヘキサン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロエチルシクロヘキサン、ペルフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロオクタン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,3,5−トリフルオロベンゼン、1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン、1,2,3,5−テトラフルオロベンゼン、1,2,3,4−テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、および1−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン、ならびにこれらの2種以上の組み合わせが含まれる。
【0056】
この中から発泡剤を選択することのできる脂肪族炭化水素には、例えば、C−C10−直鎖または分岐アルカン、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、およびデカンなどが含まれる。典型的に、この中から発泡剤を選択することのできる脂肪族炭化水素、特にアルカンは、3から6個の炭素原子を有する(例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、および/またはヘキサン)。
【0057】
ある実施形態において、発泡剤は、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロペンタン、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、およびこれらの組み合わせから選択される。さらなる実施形態において、発泡剤は、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、およびこれらの組み合わせから選択される。
【0058】
発泡剤は典型的に、高温に暴露されたとき、この十分な発泡を提供するような量で発泡性粒状相互侵入網目ポリマーに存在する。例えば、発泡剤は、発泡性粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して(発泡剤の重量を含み、列挙する値を含む。)、1または1.5重量パーセントから20重量パーセント、典型的には1.5重量パーセントから15重量パーセント、より典型的には3重量パーセントから12重量パーセントの量で発泡性粒状相互侵入網目ポリマーに存在することができる。
【0059】
発泡剤は典型的に、高圧および高温条件下、粒状相互侵入網目ポリマーに導入される。発泡剤は、液体懸濁媒質(例えば、水および/または有機溶媒)の存在下または不在下、粒状相互侵入網目ポリマーに導入することができる。例えば、粒状相互侵入網目ポリマーを、別の液体懸濁媒質の不在下(例えば、水の不在下)、単独の発泡剤に分散し、高温および高圧に暴露することができる。
【0060】
液体懸濁媒質の不在下、粒状相互侵入網目ポリマーに発泡剤を含浸するとき、乾燥(または無水)含浸工程を用いることができる。例えば、高温条件下(例えば、25℃から70℃超、または50℃から60℃超)、粒状相互侵入網目ポリマーの流動床(場合により容器内で形成)に発泡剤を導入することができる。
【0061】
典型的には、発泡剤は、液体媒質の存在下、特に水性条件下で水の存在下、粒状相互侵入網目ポリマーに含浸させる。具体的には、水および懸濁剤中の粒状相互侵入網目ポリマー材料の懸濁液が、密閉容器内に形成される。懸濁剤は、粒状相互侵入網目ポリマーの形成に関して本明細書において以前に列挙した種類および例から選択することができる。次いで不活性雰囲気下(例えば、窒素スイープ)、攪拌しながら発泡剤を容器に導入する。容器の内容物の温度を上げ(例えば、40℃から120℃)、発泡剤が粒状相互侵入網目ポリマーに注入(または、含浸)されるのに十分な時間保持する(例えば、4から8時間)。発泡剤を含浸した粒状相互侵入網目ポリマー(即ち、発泡性粒状相互侵入網目ポリマー)をその後、水性含浸媒質から分離する(例えば、遠心分離による。)。
【0062】
発泡性粒状相互侵入網目ポリマーは、場合によりさらに可塑剤、例えばトルエン、エチルベンゼン、および/またはリモネンなどを含むことができる。特に好ましい可塑剤はリモネンである。いかなる理論にも拘束されることを意図しないが、現在手元にある証拠に基づいて、リモネン材料は、可塑剤として少なくともある程度作用することに加えてまたはその代わりに、発泡性粒状相互侵入網目ポリマー中で発泡剤として作用する可能性もあると考えられる。リモネン材料は、d−リモネン、l−リモネン、d/l−リモネン、またはこれらの組み合わせから選択することができる。ある実施形態において、リモネン材料はd−リモネンから選択される。リモネン材料は典型的に、発泡性粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して(リモネンの重量を含む。)、0.1から5重量パーセント、より典型的には0.1から1重量パーセントの量で存在する。
【0063】
リモネン材料は、発泡剤を導入/含浸する前、これと同時、またはこれに続いて、粒状相互侵入網目ポリマーに導入することができる。リモネン材料は通常、発泡剤と同時に粒状相互侵入網目ポリマーに導入される。例えば、リモネンおよび発泡剤(例えば、イソペンタン)を予め混合し、本明細書に前に記載したとおり、含浸工程中に一緒に粒状相互侵入網目ポリマーに導入することができる。
【0064】
本発明の粒状相互侵入網目ポリマーは、場合により添加剤を含むことができる。添加剤の例には、これに限定されるものではないが、着色剤(例えば、染料および/または顔料);紫外線吸収剤;抗酸化剤;静電気防止剤;難燃剤;増量剤(例えば、粘土);ならびに典型的にはワックスの形態である核形成剤(例えば、ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンワックス)が含まれる。添加剤は、機能的に十分な量、例えば発泡性粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、独立して0.1重量パーセントから10重量パーセントの量で粒状相互侵入網目ポリマーに存在することができる。添加剤は、粒状相互侵入網目ポリマーまたはこの任意の成分の形成中、任意の時点で導入することができる。例えば、添加剤の少なくとも一部を、この重合中および/または重合後に溶融混合(例えば、押出し)によってポリオレフィンポリマーに導入することができる。別法として、添加剤の少なくとも一部を、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合中に導入することができる。さらに別法として、添加剤の少なくとも一部を、粒状相互侵入網目ポリマーの形成後、および発泡剤の含浸前、および/または含浸工程と同時に導入することができる。
【0065】
本発明の粒状相互侵入網目ポリマーから調製された発泡性粒状相互侵入網目ポリマーは、発泡粒状相互侵入網目ポリマーを含む成形品を調製するために用いることができる。一般に、発泡性粒状相互侵入網目ポリマー材料は発泡装置に導入され、高温に暴露される(例えば、発泡装置に蒸気を通すことによる。)。高温に暴露されると、発泡剤が粒状相互侵入網目ポリマー材料を発泡させる。任意の貯蔵または老化期間後、発泡した相互侵入網目ポリマー材料を金型に導入し、そこで高温および高圧に暴露される。発泡した相互侵入網目ポリマー材料の表面の隣接部分は互いに融合し、存在する場合、残留する発泡剤は金型から排気される。発泡剤を発泡装置および金型から捕捉し、単離し、再利用もしくは熱分解することができ、または大気に排気することができる。次いで、成形品を金型から取り除き、このまま用いることができ、または切断、研磨、および形状化(shaping)などの成形後の作業に供することができる。
【0066】
発泡粒状相互侵入網目ポリマーから調製することのできる成形品の例には、これに限定されるものではないが、コンテナ、例えば輸送用コンテナおよび食品用コンテナなど;包装アセンブリに用いられるクッションまたは衝撃成分;浮遊装置;ならびに建築用パネルの芯材(例えば、ドア、壁、仕切り、および隔壁(bulkhead))、ならびにレクリエーション用物品、例えばサーフボードなどが含まれる。例示のために、包装アセンブリには、この中に保持された、本発明の発泡性粒状相互侵入網目ポリマーから作製されたクッション成分を有する、段ボール箱などの箱を含むことができる。クッション成分は、この中に製品(ware)(例えば、薄型テレビ)の一部を受け入れるように寸法設定し、これによって他の状況では製品に損傷をもたらす輸送中の衝撃から製品を保護することができる。
【0067】
本発明を以下の実施例においてより具体的に説明するが、多くの修正および変更が当業者には明らかとなるため、これらの実施例は例示のみを意図するものである。別段の指定のないかぎり、すべての部およびすべてのパーセントは重量による。
【実施例】
【0068】
(実施例A)
下記の説明に従って、比較粒状相互侵入網目ポリマーを調製した。
【0069】
【表1】

温度制御可能ジャケット、モータ駆動インペラ、窒素スイープ、および少なくとも1つの供給口を有する空の454.6リットル(100ガロン)ステンレススチール製反応器に供給物1を添加した。窒素スイープ下、1分当たり86旋回で回転するインペラによって定常的に攪拌しながら、反応器の内容物を温度85℃に上昇させた。
【0070】
次いで定常的に攪拌しながら、供給物2を反応器の内容物に加えた。
【0071】
窒素スイープ下、反応器の内容物を温度85℃に維持し、定常的に攪拌しながら(1分当たり86旋回で回転するインペラによって)、供給物3を4.4時間かけて反応器に滴加した。供給物3の添加が完了した時点で、153分間かけて反応器の内容物の温度を143℃に上昇させ、その後、定常的に攪拌し、窒素スイープしながら、143℃で2.5時間保持した。
【0072】
143℃で2.5時間の保持を完了した後、反応器の内容物を周囲温度(約25℃)に冷却し、反応器の内容物がpH値1.8を有するまで、供給物4を添加した。典型的に、pH値1.8を得るために、供給物4を約9から11キログラム(20から25ポンド)添加する。
【0073】
次いで、反応器の内容物を遠心分離機に移し、回転させて脱水した。遠心分離乾燥した粒状相互侵入網目ポリマー材料(水分含量1重量パーセント未満を有する。)(3)を遠心分離機から回収し、次いでスクリーニングして、平均径0.869mm未満および平均粒径2.449mm超を有する粒子を取り除いた。乾燥しスクリーニングした比較相互侵入網目ポリマー粒子を用いて、本明細書にさらに記載するとおり、比較発泡性粒状相互侵入網目ポリマーを調製した。
【0074】
(3)水分含量は、遠心分離乾燥した粒状相互侵入網目ポリマー材料を温度120℃に20分間供し、遠心分離乾燥した粒状相互侵入網目ポリマー材料の初期重量と加熱処理重量を比較することによって求めた。
【0075】
(実施例B)
本発明による粒状相互侵入網目ポリマーを、下記の相違点を除いて、実施例Aに示した説明に従って調製した。実施例Aの供給物3のアクリル酸ブチルを、本実施例Bではメタクリル酸4.1Kgに代えた。供給物4の添加を完了した後、反応器の内容物を遠心分離機に移し、回転させて脱水した。遠心分離乾燥した実施例Bの粒状相互侵入網目材料を遠心分離機から回収し、水分含量2.2重量パーセントを有することが見出され(3)、従ってさらなる乾燥が必要とされた。温度80℃を有する空気を垂直上方に向けて連続流動装置および粒状ポリマー材料に通しながら(この中の粒状ポリマー材料を流動化するのに十分な速度)、遠心分離乾燥した粒状相互侵入網目材料を25Kg/時(55ポンド/時)の速度で連続流動装置に導入した。遠心分離乾燥した粒状相互侵入網目材料は、連続流動床において滞留時間約15分を有した。流動床乾燥粒状相互侵入網目ポリマー材料は、水分含量1重量パーセント未満を有することが見出された。
【0076】
次いで、遠心分離および流動床乾燥粒状相互侵入網目材料をスクリーニングして、平均径0.869mm未満および平均粒径2.449mm超を有する粒子を取り除いた。乾燥しスクリーニングした本発明による相互侵入網目ポリマー材料を用いて、本明細書にさらに記載するとおり、本発明による発泡性粒状相互侵入網目ポリマーを調製した。
【0077】
実施例AおよびBの粒状相互侵入網目ポリマー材料に、下記の説明に従って、それぞれ別に発泡剤を含浸させた。
【0078】
含浸
CALSOFT F90ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Pilot Chemical Corporationから市販のものを入手)5グラムを、脱イオン水42.4キログラムを含有し、温度制御可能ジャケット、モータ駆動インペラ、窒素ブランケット、および少なくとも1つの供給口を有する94.6リットルのステンレススチール製容器に添加した。周囲温度で定常的に攪拌しながら、粒状相互侵入網目ポリマー(実施例AまたはB)38.6キログラムを容器に添加した。d−リモネン(Florida Chemical Companyから市販のものを入手、純度95%を有する。)0.14キログラム、およびイソペンタン5.0キログラムを連続して密閉容器に導入した。定常的に攪拌しながら(200rpm)、窒素ブランケット下、60分間かけて容器の内容物の温度を70℃に上昇させ、その後、70℃で1.5時間保持した。含浸粒状相互侵入網目ポリマー材料を容器から取り出し、遠心分離機で脱水した。含浸粒状相互侵入網目ポリマー材料の物理的特性を本明細書においてさらに表1に要約する。
【0079】
【表2】

【0080】
発泡
実施例Aの含浸粒状相互侵入網目ポリマー材料を、TRI 502連続蒸気発泡装置において、以下の条件で発泡させた。94.2℃、蒸気供給圧0.28Kg/cm、ビーズ供給速度204Kg/時(201.5°F、蒸気供給圧4psi、ビーズ供給速度450ポンド/時)。実施例Aの発泡相互侵入網目ポリマー材料は、密度56Kg/m(3.5ポンド/ft)を有した。
【0081】
実施例Bの含浸粒状相互侵入網目ポリマー材料を、TRI 502連続蒸気発泡装置において、以下の条件で発泡させた。100℃、蒸気供給圧0.28Kg/cm、ビーズ供給速度204Kg/時(212.5°F、蒸気供給圧4psi、ビーズ供給速度450ポンド/時)。実施例Aの発泡相互侵入網目ポリマー材料は、密度60.8Kg/m(3.8ポンド/ft)を有した。
【0082】
発泡相互侵入網目ポリマー材料の密度は、発泡粒状相互侵入網目ポリマー材料の既知の体積(約250ml)に伴う重量を測定することによって求めた。発泡粒状相互侵入網目ポリマー材料を目盛付き容器に添加し、これを手で振盪して発泡粒状材料を沈降させ、体積を記録し、さらに発泡粒状材料の重量を測定した。変換および参考のために、1ポンド/ft(pcf)は16.0Kg/mに等しい。
【0083】
成形
成形に先立って、実施例AおよびBの発泡粒状相互侵入網目ポリマー材料を、それぞれ成形作業の実行前に1日間、開放容器において周囲条件(例えば、25℃から27℃および大気圧)で貯蔵(または老化)した。
【0084】
実施例Aの発泡粒状相互侵入網目ポリマー材料を、Kohler General KG606蒸気成形プレスにおいて、以下の条件で61cm×61cm×5.1cm(24インチ×24インチ×2インチ)ブロックに成形した。クロス蒸気1:10秒、可動プレート:3秒、オートクレーブ:1.5秒、冷却:45秒;蒸気圧:1.8Kg/cm(25psi)。
【0085】
実施例Bの発泡粒状相互侵入網目ポリマー材料を、Kohler General KG606蒸気成形プレスにおいて、以下の条件で61cm×61cm×5.1cm(24インチ×24インチ×2インチ)ブロックに成形した。クロス蒸気1:60秒、可動プレート:15秒、オートクレーブ:15秒、冷却:180秒;蒸気圧:1.8Kg/cm(25psi)。成形したブロックを周囲室内条件に24時間暴露し、その後、以下の段落に記載のとおり、試験サンプルに切断した。
【0086】
帯ノコを用いて、大きい61cm×61cm×5.1cm成形ブロックから、寸法10.2cm×10.2cm×5.1cm(4インチ×4インチ×2インチ)を有する試験サンプルを切断した。試験サンプルは、この側面(即ち、高さ5.1cmを有する。)がKohler General KG606蒸気成形プレスの内面に接触しておらず、上面および下面(即ち、寸法10.2×10.2cmを有する。)が内面と接触しているように切断した。
【0087】
試験サンプルの体積収縮値を求めたが、これを下記の表2に要約する。
【0088】
【表3】

さらなる評価において、実施例AおよびBに対応する試験サンプルは、圧縮強度(ASTM D3763)、破断点曲げ歪み(ASTM C203)、引裂強度(ASTM D3575)、および引張強度(ASTM D3575)などの実質的に類似した物理的特性を有することが見出された。しかしながら、実施例Bに対応する試験サンプルは、実施例Aに対応する試験サンプルと比較して、低い穿刺強度(ASTM D3763に従って求めた)を有することが見出された。用語「ASTM」はAmerican Society for Testing and Materialsを意味し、後ろの英数字と合わせて、列挙した物理的特性を求めるために用いた試験方法を指す。
【0089】
表2に要約した体積収縮の結果に基づいて、本発明による粒状相互侵入網目ポリマー(例えば、実施例Bに代表される。)は、実質的におよび望ましく低減された体積収縮率値を提供する。加えて、本発明による粒状相互侵入網目ポリマー(例えば、実施例Bに代表される。)は、穿刺強度を除いて、比較粒状相互侵入網目ポリマー(例えば、実施例Aに代表される。)と比べて、実質的に類似した物理的特性を有することが見出された。
【0090】
本発明をこの特定の実施形態の特有の詳細に関して述べた。このような詳細は、添付の特許請求の範囲に含まれるかぎりを除いて、本発明の範囲を限定するものとみなされることを意図しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状相互侵入網目ポリマーであって、
(a)前記粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、10重量パーセントから80重量パーセントの量で存在するポリオレフィンポリマー、および
(b)前記粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、20重量パーセントから90重量パーセントの量で存在するビニル芳香族ポリマーを含み、前記ビニル芳香族ポリマーは、
(i)ビニル芳香族モノマー組成物の総重量に対して、70重量パーセントから98.5重量パーセントの量で存在するビニル芳香族モノマー、および
(ii)ビニル芳香族モノマー組成物の総重量に対して、1.5重量パーセントから30重量パーセントの量で存在するコモノマーであって、前記コモノマーが(メタ)アクリル酸を含むコモノマーを含むビニル芳香族モノマー組成物から調製され、
前記ポリオレフィンポリマーおよび前記ビニル芳香族ポリマーは一緒に、前記粒状相互侵入網目ポリマーを形成し、前記ビニル芳香族モノマー組成物は、実質的に前記ポリオレフィンポリマー中に重合され、
さらに前記コモノマーは、発泡粒状相互侵入網目ポリマーから調製された成形品が、温度100℃に24時間供されたとき、体積収縮値5パーセント以下を有するような量で(メタ)アクリル酸を含み、
前記発泡粒状相互侵入網目ポリマーは、成形前密度16から96Kg/mを有し、発泡性粒状相互侵入網目ポリマーの発泡によって調製され、前記発泡性粒状相互侵入網目ポリマーは、前記粒状相互侵入網目ポリマーおよび発泡剤を含む、粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項2】
前記ビニル芳香族モノマー組成物の前記コモノマーが、前記コモノマーの総重量に対して、少なくとも50重量パーセントの(メタ)アクリル酸を含む、請求項1に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項3】
前記ビニル芳香族モノマー組成物の前記コモノマーがさらに、少なくとも1つのC−C−(メタ)アクリラートからなる群から選択された追加のコモノマーを含む、請求項2に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項4】
前記ビニル芳香族モノマー組成物の前記コモノマーが、前記ビニル芳香族モノマー組成物の総重量に対して、1.5重量パーセントから11重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項5】
前記ビニル芳香族モノマー組成物の前記コモノマーが、
コモノマーの総重量に対して、少なくとも50重量パーセントの(メタ)アクリル酸、および
場合により、少なくとも1つのC−C−(メタ)アクリラートからなる群から選択された追加のコモノマーを含む、請求項4に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項6】
前記追加コモノマーが(メタ)アクリル酸ブチルである、請求項5に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項7】
前記ビニル芳香族モノマー組成物の前記コモノマーがメタクリル酸からなる、請求項4に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項8】
前記ビニル芳香族モノマーが、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンゼン、イソプロピルキシレン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項9】
前記ビニル芳香族モノマーがスチレンであり、前記コモノマーが(メタ)アクリル酸からなる、請求項1に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項10】
さらに前記発泡剤を含み、前記粒状相互侵入網目ポリマーが、前記発泡性粒状相互侵入網目ポリマーである、請求項1に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項11】
前記発泡剤が、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項12】
前記発泡剤が、プロパン、ブタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロペンタン、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項13】
前記発泡剤が、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項14】
前記ポリオレフィンポリマーが、エチレンモノマー、ならびに場合によりC−C−α−オレフィンモノマー、酢酸ビニル、C−C−(メタ)アクリラート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されたコモノマーを含むオレフィンモノマー組成物から調製される、請求項1に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項15】
エチレンモノマーが、前記オレフィンモノマー組成物の総重量に対して、少なくとも50重量パーセントの量で前記オレフィンモノマー組成物に存在する、請求項14に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項16】
前記オレフィンモノマー組成物が、エチレンモノマーおよび酢酸ビニルを含む、請求項14に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項17】
前記ポリオレフィンポリマーが架橋剤で架橋されている、請求項1に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項18】
前記架橋剤が、ジ−t−ブチル−ペルオキシド、t−ブチル−クミルペルオキシド、ジクミル−ペルオキシド、α,α−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルペルオキシ)−ヘキサン、t−ブチル−ペルオキシイソプロピル−カルボナート、ポリエーテルポリ(t−ブチルペルオキシカルボナート)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項19】
前記発泡性粒状相互侵入網目ポリマーがさらに、前記発泡性粒状相互侵入網目ポリマーの総重量に対して、0.1から5重量パーセントのリモネンを含む、請求項10に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項20】
前記体積収縮値が2パーセント以下である、請求項1に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項21】
前記発泡粒状相互侵入網目ポリマーの前記成形前密度が、48から64Kg/mである、請求項1に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。
【請求項22】
前記粒状相互侵入網目ポリマーが、
(a)粒状ポリオレフィンポリマーの形態で前記ポリオレフィンポリマーを提供すること、および
(b)実質的に前記粒状ポリオレフィンポリマー中に前記ビニル芳香族モノマー組成物を重合することを含む方法によって調製される、請求項1に記載の粒状相互侵入網目ポリマー。

【公表番号】特表2011−510134(P2011−510134A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543108(P2010−543108)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/085475
【国際公開番号】WO2009/091454
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(506022500)ノバ・ケミカルズ(インターナシヨナル)・エス・アー (2)
【Fターム(参考)】