説明

粒状農薬組成物

【課題】水と混合した際の水中崩壊性に優れた、式(1)で示されるピラゾリノン化合物を有効成分として含有する粒状農薬組成物を提供すること。
【解決手段】式(1)


(式中、R1は塩素原子等を表し、R2は、塩素原子等を表し、R3は、1−メチルエチル基等を表し、R4は、C1−C4アルコキシ基等を表す。)
で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩を含有する粒状農薬組成物であって、粒状農薬組成物に対するリグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%である粒状農薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状農薬組成物、詳しくは水と混合した際の水中崩壊性に優れる粒状農薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
式(1)

(式中、R1は水素原子、塩素原子又はメチル基を表し、
2は、塩素原子又はメチル基を表し、
3は、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、1−エチルプロピル基又は1−メチルブチル基を表し、
4は、C1−C4アルコキシ基、C3−C4アルケニルオキシ基、C3−C4アルキニルオキシ基、C1−C4アルキルチオ基、C3−C4アルケニルチオ基又はC3−C4アルキニルチオ基を表す。)
で示されるピラゾリノン化合物が植物病害防除剤の有効成分として有用であることが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
そして、式(1)で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩を含有する農薬粒剤も知られている(特許文献1製剤例4、特許文献2製剤例7〜10)
【0003】
【特許文献1】特開2000−226374
【特許文献2】特開2002−316902
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1又は特許文献2に記載された農薬粒剤は、そのまま土壌等に散粒して使用する場合はともかく、粒剤の水中崩壊性が劣ることから水と混合しても迅速に水希釈液を得ることができず、水と混合して得られる希釈液を散布して使用することが困難であった。
本発明は、式(1)で示されるピラゾリノン化合物を有効成分とする粒状農薬組成物であって、水と混合した場合に粒状組成物が容易に水中で崩壊し迅速に水希釈液を調製することができる、即ち水中崩壊性に優れる粒状農薬組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、式(1)で示されるピラゾリノン化合物を有効成分とする粒状農薬組成物であって、水中崩壊性に優れる粒状農薬組成物を提供するべく鋭意検討した結果、粒状農薬組成物中のリグニンスルホン酸塩の含有量を調整することにより、水中崩壊性に優れる粒状農薬組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は以下のものである。
1.式(1)

(式中、R1は水素原子、塩素原子又はメチル基を表し、
2は、塩素原子又はメチル基を表し、
3は、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、1−エチルプロピル基又は1−メチルブチル基を表し、
4は、C1−C4アルコキシ基、C3−C4アルケニルオキシ基、C3−C4アルキニルオキシ基、C1−C4アルキルチオ基、C3−C4アルケニルチオ基又はC3−C4アルキニルチオ基を表す。)
で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩を含有する粒状農薬組成物であって、粒状農薬組成物に対するリグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%である粒状農薬組成物。
2.粒状農薬組成物に対するリグニンスルホン酸塩量が20〜50重量%である1.記載の粒状農薬組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粒状農薬組成物は、水と混合した際の水中崩壊性に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の粒状農薬組成物は、式(1)で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩を含有し、かつ粒状農薬組成物に対するリグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の粒状農薬組成物に含有される式(1)で示されるピラゾリノン化合物は、特許文献1及び/又は特許文献2において公知の化合物であり、該文献に記載された方法で製造することができる。
式(1)で示されるピラゾリノン化合物において、R4で示されるC1−C4アルコキシ基としては例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基が挙げられ、C3−C4アルケニルオキシ基としては例えば2−プロペニルオキシ基及び3−ブテニルオキシ基が挙げられ、C3−C4アルキニルオキシ基としては例えば2−プロピニルオキシ基、2−ブチニルオキシ基及び3−ブチニルオキシ基が挙げられ、C1−C4アルキルチオ基としては例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基及びブチルチオ基が挙げられ、C3−C4アルケニルチオ基としては例えば2−プロペニルチオ基及び3−ブテニルチオ基が挙げられ、C3−C4アルキニルチオ基としては例えば2−プロピニルチオ基、2−ブチニルチオ基及び3−ブチニルチオ基が挙げられる。
【0010】
式(1)で示されるピラゾリノン化合物としては、具体的には例えば以下の化合物が挙げられる。
1−(メトキシカルボニル)−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(2−プロペニルオキシ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−(エトキシカルボニル)−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(2−プロピニルオキシ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(3−ブテニルオキシ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(2−ブチニルオキシ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(3−ブチニルオキシ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(エチルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(2−プロペニルオキシ)カルボニル〕−2−(1−メチルプロピル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(エチルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルプロピル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルプロピル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(2−プロピニルオキシ)カルボニル〕−2−(1−メチルプロピル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(3−ブテニルオキシ)カルボニル〕−2−(1−メチルプロピル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(エチルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(メチルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(エチルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルプロピル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−(エトキシカルボニル)−2−(1−メチルプロピル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(メチルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(メチルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルプロピル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、
1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルプロピル)−4−(2−クロロフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン、及び
1−〔(メチルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルプロピル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン。
【0011】
本発明の粒状農薬組成物には、式(1)で示されるピラゾリノン化合物が通常2〜60重量%、好ましくは20〜60重量%、より好ましくは40〜60重量%含有される。
【0012】
本発明の粒状農薬組成物に含有されるリグニンスルホン酸塩としては、例えばリグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カルシム及びリグニンスルホン酸アンモニウムが挙げられる。本発明には、市販のリグニンスルホン酸塩[例えば、Reax85A(リグニンスルホン酸ナトリウム、Westvaco社商品名)、Reax83A(リグニンスルホン酸ナトリウム、Westvaco社商品名)、Reax81A(リグニンスルホン酸ナトリウム、Westvaco社商品名)、Ployfon H(リグニンスルホン酸ナトリウム、Westvaco社商品名)、Ployfon O(リグニンスルホン酸ナトリウム、Westvaco社商品名)、Ployfon T(リグニンスルホン酸ナトリウム、Westvaco社商品名)、Ployfon F(リグニンスルホン酸ナトリウム、Westvaco社商品名)、PC−876A(リグニンスルホン酸アンモニウム、Westvaco社商品名)、サンエキスP201(リグニンスルホン酸カルシウム、日本製紙株式会社商品名)、サンエキスP200(リグニンスルホン酸カルシウム、日本製紙株式会社商品名)、サンエキスP252(リグニンスルホン酸ナトリウム、日本製紙株式会社商品名)、Kraftsperse EDF−350(クラフトリグニンスルフォン酸ナトリウム、Westvaco社商品名)、及びKraftsperse EDF−450(クラフトリグニンスルフォン酸ナトリウム、Westvaco社商品名)]をそのまま使用することができる。
【0013】
本発明の粒状農薬組成物には、リグニンスルホン酸塩が粒状農薬組成物に対して10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%含有される。
【0014】
本発明の粒状農薬組成物は、式(1)で示されるピラゾリノン化合物とリグニンスルホン酸塩とのみからなるものであってもよいが、必要に応じてさらに分散剤、担体等が含有されていてもよい。
【0015】
この場合に用いられる分散剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、及び硫酸エステル塩が挙げられる。
【0016】
アルキルベンゼンスルホン酸塩のアルキル基としては、例えば炭素数が8−20のアルキル基が挙げられ、アルキルベンゼンスルホン酸塩の塩としては、例えばナトリウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
本発明にはアルキルベンゼンスルホン酸塩として、市販のアルキルベンゼンスルホン酸塩をそのまま用いることでき、かかる市販のナフタレンスルホン酸塩又はアルキルナフタレンスルホン酸塩としては例えばWitconate 90Flakes(C10−13アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、Witoco社商品名)が挙げられる。
【0017】
本発明にはポリカルボン酸として、市販のポリカルボン酸塩をそのまま用いることができ、かかる市販のポリカルボン酸塩としては例えばGeroponSC/213(カルボキシリックコポリマーカリウム塩:Rhodia社商品名)が挙げられる。
【0018】
硫酸エステル塩としては、例えば高級(炭素数10−20)アルコールの硫酸エステルのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩が挙げられ、具体的には例えばラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
本発明には硫酸エステル塩として、市販の硫酸エステル塩をそのまま使用することができ、かかる市販の硫酸エステル塩としては例えばエマール10パウダー(ラウリル硫酸ナトリウム、花王株式会社商品名)が挙げられる。
【0019】
本発明の粒状農薬組成物が分散剤を含有する場合、分散剤が通常2〜20重量%、好ましくは4〜10重量%含有される。
本発明の粒状農薬組成物は分散剤が含有されることで、本発明の粒状農薬組成物と水とを混合して得られる水希釈液中での式(1)で示されるピラゾリノン化合物の均一性がより優れたものとなるので、分散剤を含有させることが好ましい。
【0020】
本発明の粒状農薬組成物に含有され得る担体としては、例えばカオリンクレー、珪藻土、蝋石、珪石、ベントナイト、酸性白土、活性白土、アタパルジャイトクレー、パイロフィライト、セリサイト、ゼオライト、ジークライト、ワラストナイト、珪酸カルシウム、タルク、軽石、ホワイトカーボン等の鉱物質担体;及び硫酸アンモニウム、塩酸アンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸水素二カリウム等のリン酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、デキストリン等の糖類、尿素、食塩、硫酸ナトリウム、常温で固体のポリエチレングリコール等の水溶性担体が挙げられる。本発明の粒状農薬組成物に担体が含有される場合、本発明の粒状農薬組成物の水希釈液を作物に散布した後に作物の葉面上に担体が残ることによる汚れを防止する点から、好ましくは水溶性担体が用いられる。
本発明の粒状農薬組成物が担体を含有する場合、担体が通常0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%含有される。本発明の粒状農薬組成物の担体は通常5〜30重量%である。
【0021】
本発明の粒状農薬組成物としては、例えば以下の態様のものが挙げられる。
(1)式(1)

(式中、R1は水素原子、塩素原子又はメチル基を表し、
2は、塩素原子又はメチル基を表し、
3は、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、1−エチルプロピル基又は1−メチルブチル基を表し、
4は、C1−C4アルコキシ基、C3−C4アルケニルオキシ基、C3−C4アルキニルオキシ基、C1−C4アルキルチオ基、C3−C4アルケニルチオ基又はC3−C4アルキニルチオ基を表す。)
で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩を含有する粒状農薬組成物であって、粒状農薬組成物に対するリグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%である粒状農薬組成物。
(2)式(1)で示されるピラゾリノン化合物が1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オンである(1)の粒状農薬組成物。
(3)式(1)で示されるピラゾリノン化合物、リグニンスルホン酸塩及び分散剤からなり、粒状農薬組成物に対するリグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%である(1)或いは(2)の粒状農薬組成物。
(4)式(1)で示されるピラゾリノン化合物が20〜60重量%、好ましくは40〜60重量%、リグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、分散剤が2〜20重量%、好ましくは4〜10重量%である(3)の粒状農薬組成物。
(5)分散剤がアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩或いは硫酸エステル塩である(4)の粒状農薬組成物。
(6)分散剤がラウリル硫酸ナトリウムである(4)の粒状農薬組成物。
(7)式(1)で示されるピラゾリノン化合物、リグニンスルホン酸塩、分散剤及び担体からなり、粒状農薬組成物に対するリグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%である(1)或いは(2)の粒状農薬組成物。
(8)式(1)で示されるピラゾリノン化合物が20〜60重量%、好ましくは40〜60重量%、リグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、分散剤が2〜20重量%、好ましくは4〜10重量%、担体が5〜30重量%である(1)或いは(2)の粒状農薬組成物。
(9)担体が水溶性担体である(8)の粒状農薬組成物。
(10)式(1)で示されるピラゾリノン化合物が20〜60重量%、好ましくは40〜60重量%、リグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、分散剤が2〜20重量%、好ましくは4〜10重量%、担体が5〜30重量%で実質的に構成される(1)或いは(2)の粒状農薬組成物。
【0022】
本発明の粒状農薬組成物は、例えば以下のI.〜V.の方法で製造することができる。
I.式(1)で示されるピラゾリノン化合物、リグニンスルホン酸塩、及び水、更に必要に応じて分散剤及び担体等を含有する水性懸濁液を噴霧乾燥する方法。
この方法において、噴霧乾燥される水性懸濁液は、例えば、以下の1)または2)の方法により調製することができる。
1)所定濃度のリグニンスルホン酸塩の水溶液に、式(1)で示されるピラゾリノン化合物、更に必要に応じて分散剤及び/又は担体を加え、ダイノミル等の湿式ビースミル又はサンドグラインダー等の湿式粉砕機で湿式粉砕する。
2)リグニンスルホン酸塩、及び式(1)で示されるピラゾリノン化合物、必要に応じて分散剤及び/又は担体を、リボンミキサー、ジュースミキサー、ナウタミキサー等の混合器で均一に混合した後、ハンマーミル、ピンミル、エアーミル、遠心粉砕機等の粉砕機により乾式粉砕する。場合により再度混合器で混合した後に、該粉砕混合物を所定量の水(分散剤を含有していてもよい)に加え、ディスパーサー等の攪拌機で均一に懸濁させる。
上記の水性懸濁液を調製する際の湿式粉砕又は乾式粉砕において、水性懸濁液中の式(1)で示されるピラゾリノン化合物結晶の粒子径が1〜15μm、好ましくは3〜10μmとなるように粉砕を行う。
噴霧乾燥は、例えば圧力噴霧ノズル又はロータリーアトマイザーから噴霧される水性懸濁液と熱風とを接触させることにより行う。噴霧乾燥において、圧力噴霧ノズル又はロータリーアトマーザーからの水性懸濁液の吐出量(吐出速度)、噴霧乾燥温度、熱風供給量、熱風の向き等の条件を適宜調節することで、得られる粒状農薬組成物の粒子径を制御することができる。通常、出口温度が80℃以下、乾燥直後の粒状組成物温度が70℃以下となるように上記条件が調節される。本発明では、得られる粒状農薬組成物は通常、粒子径0.1〜1mmとなるように噴霧乾燥の条件が調節される。
【0023】
また本方法には、噴霧してある程度乾燥した一次粒子を、更に流動層内で造粒する方法、即ち、式(1)で示されるピラゾリノン化合物、リグニンスルホン酸塩、及び水、更に必要に応じて分散剤及び担体等を含有する水性懸濁液を流動層装置内に噴霧し、噴霧造粒に続いて流動層造粒を連続的に行う方法(Fluidized Spray Dry:FSD法)も含まれる。
該方法において、流動層内で噴霧乾燥される水性懸濁液は、例えば、上記の1)または2)の方法により調製することができる。
上記の水性懸濁液を調製する際の湿式粉砕又は乾式粉砕において、水性懸濁液中の式(1)で示されるピラゾリノン化合物結晶の粒子径が1〜15μm、好ましくは3〜10μmとなるように粉砕を行う。
得られた水性懸濁液は、例えば圧力噴霧ノズル又はロータリーアトマイザーを用いて流動層内に噴霧され、噴霧ミストが流動層内で熱風とを接触し乾燥する際に接触凝集を起こし、噴霧直後の一次粒子よりも大きな粒状組成物を形成する。圧力噴霧ノズル又はロータリーアトマーザーからの水性懸濁液の吐出量(吐出速度)、流動層での乾燥温度、熱風供給量、熱風の向き等の条件により得られる粒状組成物の一次および凝集後の2次粒子径を制御することができる。通常、乾燥直後の粒状組成物温度が30〜70℃になるように各条件が調節される。本発明では、得られる粒状農薬組成物は通常、粒子径(2次粒子径)が0.5〜3mmとなるように各条件が調節される。
【0024】
II.式(1)で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩、更に必要に応じて分散剤及び担体等を含有する混合物に水を加えて混練し、得られた混練物を押出造粒する方法。
この方法においては、式(1)で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩、必要に応じて分散剤及び/又は担体を含有する混合物は通常、該混合物を粉砕されたものが用いられる。この場合の粉砕は、例えばジェットマイザー、ピンミル、ハンマーミル等の乾式粉砕機により乾式粉砕により行うことができる。通常粉砕後の式(1)で示されるピラゾリノン化合物結晶の粒子径が、1〜15μm、好ましくは3〜10μmとなるように粉砕が行われる。
該混合物に、所定量の水を加えて、混練して得られる混練物を押出造粒する。押出造粒は、通常孔が0.5〜2.0mmφ、好ましくは0.6〜1.0mmφのスクリーンを用いて行われ、押出造粒された後は、通常30〜70℃、好ましくは30〜60℃で乾燥し、本発明の粒状農薬組成物が得られる。
【0025】
III.式(1)で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩、更に必要に応じて分散剤及び担体等を含有する粉状混合物を流動層造粒する方法。
式(1)で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩、必要に応じて分散剤及び/又は担体を含有する粉状混合物は、例えば式(1)で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩、必要に応じて分散剤及び/又は担体を含有する混合物を、ジェットマイザー、ピンミル、ハンマーミル等の乾式粉砕機により乾式粉砕することにより得る。通常、粉砕後の式(1)で示されるピラゾリノン化合物結晶の粒子径が1〜15μm、好ましくは3〜10μmとなるように粉砕が行われる。
流動層造粒は、該粉状混合物を、噴流流動層型、噴流層型等の流動層装置内で流動状態としたところに、水(必要に応じてリグニンスルホン酸塩及び/又は分散剤が含有されていてもよい)を噴霧することにより行われる。
流動層造粒は、造粒時の流動状態、噴霧液滴径等の条件を適宜調節することで、得られる粒状組成物の粒子径を制御することができる。通常、流動層造粒中の造粒物の温度は30〜70℃の範囲である。本発明では、得られる粒状農薬組成物は通常、粒子径0.5〜5.0mmとなるように流動層造粒の条件が調節される。
【0026】
IV.式(1)で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩、更に必要に応じて分散剤及び担体等を含有する粉状混合物を転動造粒する方法。
式(1)で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩、必要に応じて分散剤及び/又は担体を含有する粉状混合物は、例えば式(1)で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩、必要に応じて分散剤及び/又は担体を含有する混合物を、ジェットマイザー、ピンミル、ハンマーミル等の乾式粉砕機により乾式粉砕することにより得る。通常、粉砕後の式(1)で示されるピラゾリノン化合物結晶の粒子径が1〜15μm、好ましくは3〜10μmとなるように粉砕が行われる。
転動造粒は、該粉状混合物を、パン型、ドラム型、振動型などの容器のなかで攪拌羽根の作用により転動状態としたところに、水(必要に応じてリグニンスルホン酸塩及び/又は分散剤が含有されていてもよい)をスプレーにより噴霧し、粒の成長を促進することにより行われる。
転動造粒は、造粒時の加水量、加水速度、加水位置、容器の回転速度、粉状混合物の添加速度等の条件を適宜調節することで、得られる粒状組成物の粒子径を制御することができる。通常、転動造粒中の造粒物の温度は30〜70℃の範囲である。本発明では、得られる粒状農薬組成物は通常、粒子径0.3〜3mmとなるように転動造粒の条件が調節される。
本発明において、粒状農薬組成物の各成分の量の基準となる粒状組成物の量は、造粒後の乾燥時に残留する水分、又は保存時の吸湿により増加する水分を含まない。
【0027】
本発明の粒状農薬組成物は、通常水に希釈して、水希釈液を作物に散布することにより使用される。
本発明の粒状農薬組成物は、通常、直径0.1〜5mmである。顆粒剤として使用してもよいが、通常、水分散性顆粒剤として、水に溶解し、作物に散布する。
本発明の粒状農薬組成物を水に希釈する際には、本発明の粒状農薬組成物1重量部に対して、通常水25〜5000重量部が用いられる。
本発明の粒状農薬組成物の水希釈液を作物に散布する場合の散布量は、1アール(100m2)あたりの式(1)で示されるピラゾリン化合物量として、通常0.01〜50g、好ましくは0.05〜10gである。
【0028】
本発明の粒状農薬組成物は、例えばイネのいもち病(Pyricularia oryzae)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、麦類のうどんこ病(Erysiphe graminis, f. sp.hordei, f. sp.tritici)、赤かび病(Gibberella zeae)、さび病(Puccinia striiformis, P.graminis, P.recondita, P.hordei)、雪腐病(Typhula sp. Micronectriella nivalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici, U.nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、株腐病(Rhizoctonia cerealis)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、柑橘の黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, p.itanicum)、リンゴのモニリア病(Sclerotinia mali)、腐らん病(Valsa mali)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria mali)、黒星病(Venturia inaequalis )、ナシの黒星病(Venturia nasshicola)、黒斑病(Alternaria kikuchiana)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum)、モモの灰星病(Sclerotinia cinerea)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)、ブドウのべと病(Plasmopara viticola)、黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopora ampelopsidis)、カキの炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki, Mycospharerella nawae)、キュウリのべと病(Pseudoperonospora cubensis)、ウリ類の炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、トマトの輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans)、ナスの褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、アブラナ科野菜の黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、ネギのさび病(Puccinia allii)、ダイズの紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var.sajae)、インゲンの炭そ病(Colletotrichum lindemthianum)、ラッカセイの黒渋病(Mycosphaerella personatum)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、エンドウのうどんこ病(Erysiphe pisi)、べと病(Peronospora pisi)、ソラマメのべと病(Peronospora viciae)、疫病(Phytophthora nicotianae)、ジャガイモの夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、イチゴのうどんこ病(Sphaerotheca humuli)、疫病(Phytophthora nicotianae)、チャの網もち病(Exobasidium recticulatum)、白星病(Erysiphe leucospila)、タバコの赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、疫病(Phytophthora parasitica)、テンサイの褐斑病(Cercospora beticola)、バラの黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa)、疫病(Phytophthora megasperma)、キクの褐斑病(Septoria chrysanthemiindici)、白さび病(Puccinia horiana)、種々の作物の灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、ピシウム菌(Pythium sp.)による病害等の各種の植物病害の防除に用いることが可能であるが、特に灰色かび病菌、菌核病菌、灰星病菌による植物病害の防除に優れた効果を有するものである。
本発明の粒状農薬組成物において、式(1)で示されるピラゾリノン化合物と、リグニンスルホン酸塩との重量比は、好ましくは1:0.4〜1:4の範囲である。本発明の粒状農薬組成物を上記の植物病害の防除に使用する際、効力が増強されることが期待される。
【実施例】
【0029】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0030】
製造例1
1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン 42重量部、リグニンスルホン酸ナトリウム(Reax85A、Westvaco社製)20重量部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Witconate 90Flakes、Witoco社製)5重量部、ポリカルボン酸カリウム(GeroponSC/213、Rhodia社製)5重量部、硫酸アンモニウム10重量部、及びカオリンクレー(勝光山Aクレー、勝光山鉱業所製)18重量部を混合し、得られた混合物をエアーミルを用いて乾式粉砕した。
(粉砕後の1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン結晶の粒子径:5.2μm)
得られた粉砕物に水20重量部を加えて混練し、混練物を0.7mmφの孔を有するスクリーンから押出造粒し、乾燥(60℃の熱風で10分間)して、本発明の粒状農薬組成物を得た。
【0031】
製造例2
ステンレスビーカーに脱イオン水 114重量部と、1.0〜1.5mmφのガラスビーズ 278重量部とを入れ、攪拌した。ここにリグニンスルホン酸ナトリウム(Reax85A、Westvaco社製)34重量部、ポリカルボン酸カリウム(GeroponSC/213、Rhodia社製)5重量部、リン酸水素二カリウム 10重量部を加え、さらに1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン 51重量部を加え、40分間攪拌を継続して、湿式粉砕した。使用したガラスビースをナイロン網を用いて濾し取り、スラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライ機(形式SD−1、東京理化器械)を用いて噴霧乾燥して、本発明の粒状農薬組成物(平均粒子径:約50μm)を得た。
吐出量:9mlスラリー毎分;噴霧乾燥温度:入口温度110℃、出口(品温)65-70℃;熱風方向:スプレータワー上から下へ
【0032】
製造例3
1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン 21重量部、リグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201、日本製紙株式会社製)10重量部、ラウリル硫酸ナトリウム(エマール10パウダー、花王株式会社製)4重量部、及びカオリンクレー(勝光山Aクレー、勝光山鉱業所製)63重量部を混合し、得られた混合物を遠心粉砕機を用いて乾式粉砕した。(粉砕後の1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン結晶の粒子径:6.4μm)
この粉砕物に水20重量部を加えて混練し、混練物を0.7mmφの孔を有するスクリーンから押出造粒し、乾燥(60℃の熱風で15分間)して、本発明の粒状農薬組成物を得た。
【0033】
製造例4
ステンレスビーカーに脱イオン水 114重量部と、1.0〜1.5mmφのガラスビーズ 278重量部とを入れ、攪拌した。ここにリグニンスルホン酸ナトリウム(Reax85A、Westvaco社製)43重量部、ポリカルボン酸カリウム(GeroponSC/213、Rhodia社製)5重量部、硫酸アンモニウム 10重量部を加え、さらに1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン 42重量部を加え、40分間攪拌を継続して、湿式粉砕した。使用したガラスビースをナイロン網を用いて濾し取り、スラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライ機(形式SD−1、東京理化器械)を用いて噴霧乾燥して、本発明の粒状農薬組成物(平均粒子径:約50μm)を得た。
吐出量:9mlスラリー毎分;噴霧乾燥温度:入口温度110℃、出口(品温)65-70℃;熱風方向:スプレータワー上から下へ
【0034】
製造例5
ステンレスビーカーに脱イオン水 114重量部と、1.0〜1.5mmφのガラスビーズ 278重量部とを入れ、攪拌した。ここにリグニンスルホン酸ナトリウム(Reax85A、Westvaco社製)32重量部、ポリカルボン酸カリウム(GeroponSC/213、Rhodia社製)5重量部、硫酸アンモニウム 10重量部を加え、さらに1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン 53重量部を加え、40分間攪拌を継続して、湿式粉砕した。使用したガラスビーズをナイロン網を用いて濾し取り、スラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライ機(形式SD−1、東京理化器械)を用いて噴霧乾燥して、本発明の粒状農薬組成物(平均粒子径:約50μm)を得た。
吐出量:9mlスラリー毎分;噴霧乾燥温度:入口温度110℃、出口(品温)65-70℃;熱風方向:スプレータワー上から下へ
【0035】
製造例6
ステンレスビーカーに脱イオン水114重量部と、1.0〜1.5mmφのガラスビーズ278重量部とを入れ、攪拌した。ここにリグニンスルホン酸ナトリウム(Reax85A、Westvaco社製)34重量部、ポリカルボン酸カリウム(GeroponSC/213、Rhodia社製)5重量部、リン酸二水素カリウム10重量部を加え、さらに1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン51重量部を加え、40分間攪拌を継続して、湿式粉砕した。使用したガラスビーズをナイロン網を用いて濾し取り、スラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライ機(形式SD−1、東京理化器械)を用いて噴霧乾燥して、本発明の粒状農薬組成物(平均粒子径:約50μm)を得た。
吐出量:9mlスラリー毎分;噴霧乾燥温度:入口温度110℃、出口(品温)65−70℃;熱方向:スプレータワー上から下へ
【0036】
製造例7
ステンレスビーカーに脱イオン水114重量部と、1.0〜1.5mmφのガラスビーズ278重量部とを入れ、攪拌した。ここにリグニンスルホン酸ナトリウム(Reax85A、Westvaco社製)45重量部、ポリカルボン酸カリウム(GeroponSC/213、Rhodia社製)5重量部を加え、さらに1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン50重量部を加え、40分間攪拌を継続して、湿式粉砕した。使用したガラスビーズをナイロン網を用いて濾し取り、スラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライ機(形式SD−1、東京理化器械)を用いて噴霧乾燥して、本発明の粒状農薬組成物(平均粒子径:約50μm)を得た。
吐出量:9mlスラリー毎分;噴霧乾燥温度:入口温度110℃、出口(品温)65−70℃;熱方向:スプレータワー上から下へ
【0037】
製造例8
ステンレスビーカーに脱イオン水114重量部と、1.0〜1.5mmφのガラスビーズ278重量部とを入れ、攪拌した。ここにリグニンスルホン酸ナトリウム(Reax85A、Westvaco社製)34.9重量部、ポリカルボン酸カリウム(GeroponSC/213、Rhodia社製)5重量部、リン酸二水素カリウム10重量部、シリコン系消泡剤(アンチフォームC、ダウコーニングアジア社製)0.1重量部を加え、さらに1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン34.9重量部を加え、40分間攪拌を継続して、湿式粉砕した。使用したガラスビーズをナイロン網を用いて濾し取り、スラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライ機(形式SD−1、東京理化器械)を用いて噴霧乾燥して、本発明の粒状農薬組成物(平均粒子径:約50μm)を得た。
吐出量:9mlスラリー毎分;噴霧乾燥温度:入口温度110℃、出口(品温)65−70℃;熱方向:スプレータワー上から下へ
【0038】
製造例9
ステンレスビーカーに脱イオン水114重量部と、1.0〜1.5mmφのガラスビーズ278重量部とを入れ、攪拌した。ここにリグニンスルホン酸ナトリウム(Reax85A、Westvaco社製)34.9重量部、ポリカルボン酸カリウム(GeroponSC/213、Rhodia社製)5重量部、リン酸水素二カリウム10重量部、シリコン系消泡剤(アンチフォームC、ダウコーニングアジア社製)0.1重量部を加え、さらに1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン34.9重量部を加え、40分間攪拌を継続して、湿式粉砕した。使用したガラスビーズをナイロン網を用いて濾し取り、スラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライ機(形式SD−1、東京理化器械)を用いて噴霧乾燥して、本発明の粒状農薬組成物(平均粒子径:約50μm)を得た。
吐出量:9mlスラリー毎分;噴霧乾燥温度:入口温度110℃、出口(品温)65−70℃;熱方向:スプレータワー上から下へ
【0039】
製造例10
1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン 2重量部、合成含水酸化珪素(トクシールGU−N、株式会社トクヤマ製)1重量部、リグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201H、日本製紙株式会社製)10重量部、ベントナイト(ベントナイト富士印、株式会社ホージュン製)30重量部、及びカオリンクレー(勝光山Aクレー、勝光山鉱業所製)57重量部を、ポリエチレン袋中で混合し、得られた混合物を遠心粉砕機を用いて乾式粉砕した。
得られた粉砕物に水 約24重量部を加えて混練し、混練物を0.7mmφの孔を有するスクリーンから押出造粒し、乾燥(60℃の熱風で10分間)して、本発明の粒状農薬組成物を得た。
【0040】
製造例11
1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン 2重量部、合成含水酸化珪素(トクシールGU−N、株式会社トクヤマ製)1重量部、リグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201H、日本製紙株式会社製)10重量部、ベントナイト(ベントナイト富士印、株式会社ホージュン製)22重量部、及びカオリンクレー(勝光山Aクレー、勝光山鉱業所製)65重量部を、ポリエチレン袋中で混合し、得られた混合物を遠心粉砕機を用いて乾式粉砕した。
得られた粉砕物に水 約24重量部を加えて混練し、混練物を0.7mmφの孔を有するスクリーンから押出造粒し、乾燥(60℃の熱風で10分間)して、粒状組成物Cを得た。
【0041】
比較製造例1
1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン 2重量部、合成含水酸化珪素(トクシールGU−N、株式会社トクヤマ製)1重量部、リグニンスルホン酸ナトリウム(Reax85A、Westvaco社製)2重量部、及びカオリンクレー(勝光山Aクレー、勝光山鉱業所製)65重量部を混合し、得られた混合物を遠心粉砕機を用いて乾式粉砕した。得られた粉砕物に水20重量部を加えて混練し、混練物を0.7mmφの孔を有するスクリーンから押出造粒し、乾燥(60℃の熱風で10分間)して、比較用の粒状農薬組成物を得た。
【0042】
比較製造例2
1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オン 2重量部、合成含水酸化珪素(トクシールGU−N、株式会社トクヤマ製)1重量部、リグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201H、日本製紙株式会社製)2重量部、ベントナイト(ベントナイト富士印、株式会社ホージュン製)30重量部、及びカオリンクレー(勝光山Aクレー、勝光山鉱業所製)65重量部を、ポリエチレン袋中で混合し、得られた混合物を遠心粉砕機を用いて乾式粉砕した。
得られた粉砕物に水 約24重量部を加えて混練し、混練物を0.7mmφの孔を有するスクリーンから押出造粒し、乾燥(60℃の熱風で10分間)して、比較用の粒状農薬組成物を得た。
【0043】
次に、本発明の粒状農薬組成物の水中崩壊性について、試験例を示す。
試験例1
50mlの栓付きメスシリンダーに試験用の硬水(CIPAC標準水D、硬度342ppm)50mlを入れ、20℃の恒温水槽にしばらく放置し、水温を20℃に調節した。次いで、試験用の粒状農薬組成物500mgを前記メスシリンダーに入れて栓をして、2秒間に1回の割合で転倒を繰り返した。そして供試した粒状農薬組成物が完全に崩壊するまでに要した転倒回数を測定した。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
試験例2
試験用の粒状農薬組成物250mgを、温度20℃の硬水(CIPAC標準水D)250mlを満たした栓付きメスシリンダー(容量250ml)に加え、超音波処理装置付き水槽中で2分間超音波処理を行った後、30回転倒を繰り返した。該メスシリンダーを15分間静置した後に、シリンダーの中央部から懸濁液25mlを抜き出し、該懸濁液中に含有されている1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オンの量(A)を、液体クロマトグラフィーによる定量分析により求めた。
別途、粒状組成物250mg中に含まれていた1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オンの量(B)を、粒状組成物中の仕込み比率より求め、下記の計算式により分散の程度(%)を算出した。
分散の程度(%)=1000×(A/B)
結果を表2に示す。
【0046】
【表2】

上記の分散の程度が100%の場合、上記の条件にて粒状組成物が崩壊し、希釈液中に均一に分散したことを示す。製造例6および7の本発明の粒状農薬組成物は、水中における崩壊性が良好であり、式(1)で示されるピラゾリノン化合物の分散性も良好であった。比較製造例2の粒状組成物は水中崩壊性が不良であり、希釈液中での式(1)で示されるピラゾリノン化合物の濃度が低くなった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の粒状農薬組成物は、水中崩壊性に優れることから、水溶性の農薬製剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、R1は水素原子、塩素原子又はメチル基を表し、
2は、塩素原子又はメチル基を表し、
3は、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、1−エチルプロピル基又は1−メチルブチル基を表し、
4は、C1−C4アルコキシ基、C3−C4アルケニルオキシ基、C3−C4アルキニルオキシ基、C1−C4アルキルチオ基、C3−C4アルケニルチオ基又はC3−C4アルキニルチオ基を表す。)
で示されるピラゾリノン化合物及びリグニンスルホン酸塩を含有する粒状農薬組成物であって、粒状農薬組成物に対するリグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%である粒状農薬組成物。
【請求項2】
粒状農薬組成物に対するリグニンスルホン酸塩量が20〜50重量%である請求項1記載の粒状農薬組成物。
【請求項3】
式(1)で示されるピラゾリノン化合物が1−〔(2−プロペニルチオ)カルボニル〕−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−5−アミノ−1H−ピラゾール−3−オンである請求項1記載の粒状農薬組成物。
【請求項4】
式(1)で示されるピラゾリノン化合物、リグニンスルホン酸塩及び分散剤からなり、粒状農薬組成物に対するリグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%である請求項1記載の粒状農薬組成物。
【請求項5】
式(1)で示されるピラゾリノン化合物が40〜60重量%、リグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%、分散剤が2〜20重量%である請求項4記載の粒状農薬組成物。
【請求項6】
分散剤がアルキルベンゼンスルホン酸塩である請求項5記載の粒状農薬組成物。
【請求項7】
分散剤がポリカルボン酸塩である請求項5記載の粒状農薬組成物。
【請求項8】
分散剤が硫酸エステル塩である請求項5記載の粒状農薬組成物。
【請求項9】
硫酸エステル塩がラウリル硫酸ナトリウムである請求項8記載の粒状農薬組成物。
【請求項10】
式(1)で示されるピラゾリノン化合物、リグニンスルホン酸塩、分散剤及び担体からなり、粒状農薬組成物に対するリグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%である請求項1記載の粒状農薬組成物。
【請求項11】
式(1)で示されるピラゾリノン化合物が40〜60重量%、リグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%、分散剤が2〜20重量%、担体が5〜30重量%である請求項1記載の粒状農薬組成物。
【請求項12】
担体が水溶性担体である請求項11記載の粒状農薬組成物。
【請求項13】
式(1)で示されるピラゾリノン化合物が40〜60重量%、リグニンスルホン酸塩量が10〜60重量%、分散剤が2〜20重量%、担体が5〜30重量%で実質的に構成される請求項1記載の粒状農薬組成物。






【公開番号】特開2006−249067(P2006−249067A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302686(P2005−302686)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】