説明

粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機

【課題】1台のバースクリーン式除塵機を処理槽内に設置することで、目幅の狭く、かつ板厚薄いバースクリーンでも粗大ごみの衝突力等にて損なわれることなく、しかも粗大ごみから細塵まで、同時に捕捉除去できるようにした粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機を提供すること。
【解決手段】流水路に配設したバースクリーンBに沿って昇降し、このバースクリーンBにて捕捉されたごみを掻き揚げ排出するようレーキCを配設して構成したバースクリーン式除塵機Aにおいて、バースクリーンBを、平鋼製のスクリーンバーの幅と板厚との異なるものを、所要の目幅になるよう組み合わせて粗目用バースクリーンB1と細塵用バースクリーンB2とを一体に形成し、かつバースクリーンB1、B2の目幅に噛合するようにしてレーキをC形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理及び河川排水処理において処理場などに設置される粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機に関し、特に、幅と厚みの異なる平鋼を組み合わせて隣接配設してバースクリーンを構成することで、汚水又は排水に含まれる粗ごみと細塵とを1台の除塵機にて同時に除塵可能とするようにした粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場や河川排水処理場における下水或いは排水処理においては、処理する下水或いは排水中に含まれるごみを除去するために、処理槽内の流水路を遮断するように配設して該流水中のごみを捕捉除去するためのバースクリーンと、該バースクリーンと噛合し、かつバースクリーンに沿って移動し、捕捉ごみを掻き揚げ排出するためのレーキとより構成するバースクリーン式除塵機を設置している。
このバースクリーン式除塵機のバースクリーンは、細帯状で同サイズの平鋼(フラットバーFB)の複数本を等間隔に固定するためのディスタントピースを介して隣接配設し、この隣接配設する平鋼間に貫通ボルトを貫通して一体となるよう組み合わせ、かつスクリーン前面を同一面になるように構成している。
【0003】
ところで、下水処理場や河川排水処理場に1台のバースクリーン式除塵機を設置する場合、捕捉除去するごみの大きさに合わせてバースクリーンの目幅を定めるようにしているので、細塵を除去する目的のバースクリーンにおいては目幅の狭い(目開きの小さい)バースクリーンを採用するため、バースクリーンの開口率が小さくなり通過損失が大きくなるとともに、バースクリーンにて捕捉せんとする流入ごみは粗ごみと細塵とが混合した状態となっているので、この粗ごみが目開きの小さいバースクリーンに衝突することでバースクリーンを構成する平鋼(フラットバーFB)を変形又は歪ませたり、破損したりしてレーキの運行を不能にすることがある。
このため、バースクリーンを損なうことなく流入するごみが粗ごみと細塵との混合状態となっていても捕捉除去できるよう、まずこの下水或いは排水中の粗ごみを除去するための目幅の広いバースクリーンを用いた粗ごみ除去用の除塵機と、次に細塵を除去するための比較的目幅の狭いバースクリーンを用いた細塵除塵機との少なくとも2種の除塵機を、流水路の上下流位置に設置して2段階で処理するようにしている。
このように処理する下水或いは排水中の粗ごみを除去した後、細塵を除去するようにすることで、特に細塵除塵機に掛かる粗ごみによる過負荷を防止し、粗ごみと細塵とを除去することができる。
【0004】
しかしながら、小さな下水処理場や河川排水処理場における処理槽は小さく、1つの処理槽内に2台の除塵機を設置するスペースがないので、該処理槽内に2台の除塵機を設置するスペースを新たに設定する必要があり、このための設備費が高くなるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来のバースクリーン式除塵機の有する問題点に鑑み、1台のバースクリーン式除塵機を処理槽内に設置することで、目幅の狭く、かつ板厚薄いバースクリーンでも粗大ごみの衝突力等にて損なわれることなく、しかも粗大ごみから細塵まで、同時に捕捉除去できるようにした粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機は、流水路に配設したバースクリーンに沿って昇降し、該バースクリーンにて捕捉されたごみを掻き揚げ排出するようレーキを配設して構成したバースクリーン式除塵機において、バースクリーンを、平鋼製のスクリーンバーの幅と板厚との異なるものを、所要の目幅になるよう組み合わせて粗目用バースクリーンと細塵用バースクリーンとを一体に形成し、かつ該バースクリーンの目幅に噛合するようにしてレーキを形成したことを特徴とする。
【0007】
この場合において、粗目用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚を、細塵用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚とよりも大とし、かつ該粗目用バースクリーンの広い目幅のスクリーンバー間に、細塵用スクリーンバーの1乃至複数枚を配設することができる。
【0008】
また、粗目用スクリーンバーの前端面を、細塵用スクリーンバーの前端面より前方位置に突出するように配設することができる。
【0009】
また、バースクリーンの目幅に噛合して移動するようにしたレーキを、目幅の大なる粗目用スクリーンバーと噛合する粗目用レーキと、目幅の小なる細塵用スクリーンバーと噛合する細塵用レーキとを一体に組み合わせて構成することができる。
【0010】
また、細塵用レーキの先端を、粗目用レーキの先端よりも突出して配設するようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機によれば、平鋼製のスクリーンバーの幅と板厚との異なるものを、所要の目幅になるよう組み合わせて粗目用バースクリーンと細塵用バースクリーンとを一体に形成し、かつ該バースクリーンの目幅に噛合するようにしてレーキを形成することにより、1台の除塵機で対応することができ、流入物の粗ごみから細塵までを捕捉除去し、かつ2台の除塵機を設置するスペースのない小さな処理槽内にも簡易に配設できるとともに、既設の処理槽のバースクリーン式除塵機とも簡易に互換することもできる。
【0012】
また、粗目用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚を、細塵用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚とよりも大とし、かつ該粗目用バースクリーンの広い目幅のスクリーンバー間に、細塵用スクリーンバーの1乃至複数枚を配設するようにすることにより、流入物中の粗ごみに対する粗目用バースクリーンの強度を大とすることができるとともに、細塵用バースクリーンの板厚を薄く設定できるので、細塵用バースクリーンの開口率の向上を図ることができる。
【0013】
また、粗目用スクリーンバーの前端面を、細塵用スクリーンバーの前端面より前方位置に突出するように配設することにより、流入物の粗ごみが最初に粗目用スクリーンバーの前端面にて捕捉されるので、細塵用スクリーンバーに流入物の粗ごみが衝突するのを防ぐことができ、このため細塵用スクリーンバーの厚さを最小限に薄くしてもスクリーンバーの変形を防止することが可能となり、これによりスクリーンの通過面積を広く取れるようにすることができる。
【0014】
また、バースクリーンの目幅に噛合して移動するようにしたレーキを、目幅の大なる粗目用スクリーンバーと噛合する粗目用レーキと、目幅の小なる細塵用スクリーンバーと噛合する細塵用レーキとを一体に組み合わせて構成することにより、細塵用レーキに掛かる荷重を軽減させることができる。
【0015】
また、細塵用レーキの先端を、粗目用レーキの先端よりも突出して配設することにより、レーキの移動により粗目用バースクリーンにて捕捉された粗ごみと、細塵用バースクリーンにて捕捉された細塵とを同時に掻き揚げ、排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1〜図3に、本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機の一実施例を示す。
【0018】
下水処理場や河川排水処理場における下水或いは排水処理において、処理する下水或いは排水中に含まれるごみを除去するために、特に限定されるものではないが、例えば、図3に示すように、バースクリーン式除塵機Aが採用されている。
このバースクリーン式除塵機Aは、バースクリーンBとレーキCとより構成し、かつ該バースクリーンBを処理槽内の一部に配設した流水路Dを遮断するようにして配設して該流水中のごみを捕捉除去するようにし、該バースクリーンBにて捕捉されたごみ(し渣)を掻き揚げ排出するためのレーキCを、前記バースクリーンBの目幅内に噛合され、かつ上方向に移動するようにして配設されている。
【0019】
また、このバースクリーン式除塵機AのバースクリーンBは、粗目用バースクリーンB1と細塵用バースクリーンB2とを組み合わせて一体に構成するものである。
この粗目用バースクリーンB1は、主として流下するごみの内、粗ごみを捕捉するもので、この粗ごみを捕捉するに必要な強度を有するようにして定めた所要の幅と板厚及び長さを有する細帯状の平鋼(以下、「スクリーンバー」という。)の複数本を等間隔に配設して構成する。
細塵用バースクリーンB2は、この粗目用バースクリーンB1を構成するスクリーンバー1の目幅W1内に、粗目用スクリーンバー1の板厚よりも薄く、かつ幅も小となるように細塵用スクリーンバー2を形成し、この細塵用スクリーンバー2の1枚乃至は複数枚を等間隔に固定するためのディスタントピース(図示省略)をそれぞれ介して隣接配設して構成するとともに、この粗目用バースクリーンB1と細塵用バースクリーンB2のスクリーンバー1、2間に貫通ボルト3を貫通することで一体となるよう組み合わせるようにする。
【0020】
なお、粗目用バースクリーンB1のスクリーンバー1は、予め定めた大きさの流下ごみ(粗ごみ)を捕捉できる間隔に配設するが、この粗目用スクリーンバー1の間隔(目幅)W1は比較的大きく設定し、また細塵用スクリーンバーB2の板厚は、予め設定された細塵を捕捉できるように、かつ可及的にスクリーンの通過面積を広く取れるようにするために最小限に薄くするように設定する。これにより、細塵用バースクリーンB2の開口率の向上を図ることができる。
【0021】
また、図1に示すように、所要間隔に配設される粗目用スクリーンバー1の間に、細塵用スクリーンバー2の1枚乃至は複数枚、特に限定されるものではないが、例えば、図示の実施例では4枚を、等間隔にて配設するが、この場合、隣接する細塵用スクリーンバー2、2との間隔W2は勿論のこと、粗目用スクリーンバー1、1と、粗目用スクリーンバー1と細塵用スクリーンバー2との間隔W2も細塵用バースクリーンB2の目幅W2となるように設定する。
【0022】
このように、粗目用バースクリーンB1のスクリーンバー1、1間に、細塵用スクリーンバー2、2、2、2を配設して一体とする場合、例えば、図1に示すように、粗目用バースクリーンB1の前端面、より詳しくは粗目用スクリーンバー1の前端面を、細塵用スクリーンバー2の前端面より上流側に突出するよう構成する。
これにより、流下するごみが粗ごみと細塵との混合状態となっていても、最初に上流側に突出している粗目用バースクリーンB1にて粗ごみが捕捉され、この粗ごみの流下抵抗を粗目用バースクリーンB1にて支持するので、細塵用スクリーンバー2には粗ごみが衝突するのを防ぐことができ、かつ板厚の薄い細塵用スクリーンバー2の変形を未然に防止することができる。
【0023】
また、この粗目・細塵兼用バースクリーンの目幅W1、W2に噛合して移動するように配設するレーキCは、特に限定されるものではないが、例えば、図2に示すように、目幅の大なる粗目用スクリーンバー1、1と噛合する粗目用レーキC1と、目幅の小なる細塵用スクリーンバー2、2と噛合する細塵用レーキC2とを組み合わせて一体に構成するようにする。
【0024】
この粗目用レーキC1は、特に限定されるものではないが、例えば、図2に示すように、所要幅を有する1枚の鋼板をレーキCのフレームC3の横幅方向に掛け渡すように配設し、その一側縁側で粗目用バースクリーンB1の前端面と対向する側に、該粗目用バースクリーンB1の粗目用スクリーンバー1、1と噛合する部分に切欠1A、1Aを定間隔で形成して粗目用バースクリーンB1と噛合するようにする。
なお、この場合、粗目用レーキC1の先端面は、細塵用バースクリーンB2の前端面と接触或いは近接位置になるようにする。
これにより粗目用バースクリーンB1にて捕捉された粗ごみを粗目用レーキC1にて掻き揚げるようにする。
【0025】
また、細塵用レーキC2は、細塵用バースクリーンB2を構成する細塵用スクリーンバー2と同様に、細塵用バースクリーンB2の目幅W2内に挿入噛合できるよう、所要の幅と板厚及び長さを有する細帯状のフラットバー3の複数本を等間隔に配設し、かつレーキフレームC3と溶着その他の方法で固定して櫛歯形に形成する。
これにより、細塵用レーキC2にて細塵用バースクリーンB2に捕捉される細塵を掻き揚げるとともに、細塵用レーキC2に掛かる荷重を軽減させることができる。
【0026】
また、細塵用レーキC2の先端を、図2に示すように、粗目用レーキC1の先端よりも突出して配設する。この突出量はレーキCがバースクリーンBと噛合し、かつバースクリーンBに沿って上方向に掻揚移動する際、粗目用レーキC1にて捕捉された粗ごみが確実に掻き揚げられるように、かつ捕捉細塵も同時に細塵用レーキC2にて掻き揚げられるようにして定める。
なお、本実施例においては、細塵用レーキC2の上面に粗目用レーキC1を載置するようにして一体構成したが、粗目用レーキC1と細塵用レーキC2の上面が面一となるようにすることもできる。
これにより、レーキCの移動により粗目用バースクリーンB1にて捕捉された粗ごみと、細塵用バースクリーンB2にて捕捉された細塵とを同時に掻き揚げ、排出することができる。
【0027】
以上、本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機は、処理槽内に1台のバースクリーン式除塵機を設置することで、粗大ごみから細塵までも目幅の狭いバースクリーンも粗大ごみの衝突力等にて損なわれることなく、同時に捕捉除去できることから、下水処理及び上水処理の除塵設備の用途に好適に用いることができるほか、例えば、河川用の除塵設備、産業・食品関連の除塵設備の用途にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機の一実施例を示す外観斜視図である。
【図2】レーキの外観斜視図である。
【図3】バースクリーン式除塵機の全体を示す側面図である。
【符号の説明】
【0030】
A バースクリーン式除塵機
B バースクリーン
C レーキ
C1 粗目用レーキ
C2 細塵用レーキ
D 処理槽内の一部に配設した流水路
B1 粗目用バースクリーン
1 粗目用スクリーンバー
W1 粗目用スクリーンバーの目幅
B2 細塵用バースクリーン
2 細塵用スクリーンバー
W2 細塵用スクリーンバーの目幅

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理及び河川排水処理において処理場などに設置される粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機に関し、特に、幅と厚みの異なる平鋼を組み合わせて隣接配設してバースクリーンを構成することで、汚水又は排水に含まれる粗ごみと細塵とを1台の除塵機にて同時に除塵可能とするようにした粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場や河川排水処理場における下水或いは排水処理においては、処理する下水或いは排水中に含まれるごみを除去するために、処理槽内の流水路を遮断するように配設して該流水中のごみを捕捉除去するためのバースクリーンと、該バースクリーンと噛合し、かつバースクリーンに沿って移動し、捕捉ごみを掻き揚げ排出するためのレーキとより構成するバースクリーン式除塵機を設置している。
このバースクリーン式除塵機のバースクリーンは、細帯状で同サイズの平鋼(フラットバーFB)の複数本を等間隔に固定するためのディスタントピースを介して隣接配設し、この隣接配設する平鋼間に貫通ボルトを貫通して一体となるよう組み合わせ、かつスクリーン前面を同一面になるように構成している。
【0003】
ところで、下水処理場や河川排水処理場に1台のバースクリーン式除塵機を設置する場合、捕捉除去するごみの大きさに合わせてバースクリーンの目幅を定めるようにしているので、細塵を除去する目的のバースクリーンにおいては目幅の狭い(目開きの小さい)バースクリーンを採用するため、バースクリーンの開口率が小さくなり通過損失が大きくなるとともに、バースクリーンにて捕捉せんとする流入ごみは粗ごみと細塵とが混合した状態となっているので、この粗ごみが目開きの小さいバースクリーンに衝突することでバースクリーンを構成する平鋼(フラットバーFB)を変形又は歪ませたり、破損したりしてレーキの運行を不能にすることがある。
このため、バースクリーンを損なうことなく流入するごみが粗ごみと細塵との混合状態となっていても捕捉除去できるよう、まずこの下水或いは排水中の粗ごみを除去するための目幅の広いバースクリーンを用いた粗ごみ除去用の除塵機と、次に細塵を除去するための比較的目幅の狭いバースクリーンを用いた細塵除塵機との少なくとも2種の除塵機を、流水路の上下流位置に設置して2段階で処理するようにしている。
このように処理する下水或いは排水中の粗ごみを除去した後、細塵を除去するようにすることで、特に細塵除塵機に掛かる粗ごみによる過負荷を防止し、粗ごみと細塵とを除去することができる。
【0004】
しかしながら、小さな下水処理場や河川排水処理場における処理槽は小さく、1つの処理槽内に2台の除塵機を設置するスペースがないので、該処理槽内に2台の除塵機を設置するスペースを新たに設定する必要があり、このための設備費が高くなるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来のバースクリーン式除塵機の有する問題点に鑑み、1台のバースクリーン式除塵機を処理槽内に設置することで、目幅の狭く、かつ板厚薄いバースクリーンでも粗大ごみの衝突力等にて損なわれることなく、しかも粗大ごみから細塵まで、同時に捕捉除去できるようにした粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機は、流水路に配設した平鋼製のスクリーンバーを組み合わせて粗目用バースクリーンと細塵用バースクリーンとを一体に組み合わせて形成してなるバースクリーンに沿って昇降し、該バースクリーンにて捕捉されたごみを掻き揚げ排出するよう粗目用バースクリーン及び細塵用バースクリーンの目幅に噛合する粗目用レーキと細塵用レーキとを一体に組み合わせて形成してなるレーキを配設して構成したバースクリーン式除塵機において、前記バースクリーンを、粗目用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚を、細塵用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚よりも大とし、かつ粗目用バースクリーンの広い目幅のスクリーンバーの間に、細塵用バースクリーンの複数枚のスクリーンバーを配設し、粗目用バースクリーンの前端面を細塵用バースクリーンの前端面より前方位置に突出するように配設して構成するとともに、前記レーキを、1枚の鋼板をレーキのフレームの横幅方向に掛け渡すように配設して形成してなる粗目用レーキと、該粗目用レーキの下方で、細塵用バースクリーンの目幅内に挿入できる細帯状のフラットバーを細塵用バースクリーンと平行になるように等間隔に配設して形成してなる細塵用レーキとを、細塵用レーキの先端を粗目用レーキの先端よりも突出するように配設して構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機によれば、平鋼製のスクリーンバーの幅と板厚との異なるものを、所要の目幅になるよう組み合わせて粗目用バースクリーンと細塵用バースクリーンとを一体に形成し、かつ該バースクリーンの目幅に噛合するようにしてレーキを形成することにより、1台の除塵機で対応することができ、流入物の粗ごみから細塵までを捕捉除去し、かつ2台の除塵機を設置するスペースのない小さな処理槽内にも簡易に配設できるとともに、既設の処理槽のバースクリーン式除塵機とも簡易に互換することもできる。
【0008】
また、粗目用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚を、細塵用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚とよりも大とし、かつ該粗目用バースクリーンの広い目幅のスクリーンバー間に、細塵用スクリーンバーの1乃至複数枚を配設するようにすることにより、流入物中の粗ごみに対する粗目用バースクリーンの強度を大とすることができるとともに、細塵用バースクリーンの板厚を薄く設定できるので、細塵用バースクリーンの開口率の向上を図ることができる。
【0009】
また、粗目用スクリーンバーの前端面を、細塵用スクリーンバーの前端面より前方位置に突出するように配設することにより、流入物の粗ごみが最初に粗目用スクリーンバーの前端面にて捕捉されるので、細塵用スクリーンバーに流入物の粗ごみが衝突するのを防ぐことができ、このため細塵用スクリーンバーの厚さを最小限に薄くしてもスクリーンバーの変形を防止することが可能となり、これによりスクリーンの通過面積を広く取れるようにすることができる。
【0010】
また、バースクリーンの目幅に噛合して移動するようにしたレーキを、1枚の鋼板をレーキのフレームの横幅方向に掛け渡すように配設して形成してなる粗目用レーキと、該粗目用レーキの下方で、細塵用バースクリーンの目幅内に挿入できる細帯状のフラットバーを細塵用バースクリーンと平行になるように等間隔に配設して形成してなる細塵用レーキとを、細塵用レーキの先端を粗目用レーキの先端よりも突出するように配設して構成することにより、細塵用レーキに掛かる荷重を軽減させることができる。
【0011】
また、細塵用レーキの先端を、粗目用レーキの先端よりも突出して配設することにより、レーキの移動により粗目用バースクリーンにて捕捉された粗ごみと、細塵用バースクリーンにて捕捉された細塵とを同時に掻き揚げ、排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1〜図3に、本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機の一実施例を示す。
【0014】
下水処理場や河川排水処理場における下水或いは排水処理において、処理する下水或いは排水中に含まれるごみを除去するために、特に限定されるものではないが、例えば、図3に示すように、バースクリーン式除塵機Aが採用されている。
このバースクリーン式除塵機Aは、バースクリーンBとレーキCとより構成し、かつ該バースクリーンBを処理槽内の一部に配設した流水路Dを遮断するようにして配設して該流水中のごみを捕捉除去するようにし、該バースクリーンBにて捕捉されたごみ(し渣)を掻き揚げ排出するためのレーキCを、前記バースクリーンBの目幅内に噛合され、かつ上方向に移動するようにして配設されている。
【0015】
また、このバースクリーン式除塵機AのバースクリーンBは、粗目用バースクリーンB1と細塵用バースクリーンB2とを組み合わせて一体に構成するものである。
この粗目用バースクリーンB1は、主として流下するごみの内、粗ごみを捕捉するもので、この粗ごみを捕捉するに必要な強度を有するようにして定めた所要の幅と板厚及び長さを有する細帯状の平鋼(以下、「スクリーンバー」という。)の複数本を等間隔に配設して構成する。
細塵用バースクリーンB2は、この粗目用バースクリーンB1を構成するスクリーンバー1の目幅W1内に、粗目用スクリーンバー1の板厚よりも薄く、かつ幅も小となるように細塵用スクリーンバー2を形成し、この細塵用スクリーンバー2の1枚乃至は複数枚を等間隔に固定するためのディスタントピース(図示省略)をそれぞれ介して隣接配設して構成するとともに、この粗目用バースクリーンB1と細塵用バースクリーンB2のスクリーンバー1、2間に貫通ボルト3を貫通することで一体となるよう組み合わせるようにする。
【0016】
なお、粗目用バースクリーンB1のスクリーンバー1は、予め定めた大きさの流下ごみ(粗ごみ)を捕捉できる間隔に配設するが、この粗目用スクリーンバー1の間隔(目幅)W1は比較的大きく設定し、また細塵用スクリーンバーB2の板厚は、予め設定された細塵を捕捉できるように、かつ可及的にスクリーンの通過面積を広く取れるようにするために最小限に薄くするように設定する。これにより、細塵用バースクリーンB2の開口率の向上を図ることができる。
【0017】
また、図1に示すように、所要間隔に配設される粗目用スクリーンバー1の間に、細塵用スクリーンバー2の1枚乃至は複数枚、特に限定されるものではないが、例えば、図示の実施例では4枚を、等間隔にて配設するが、この場合、隣接する細塵用スクリーンバー2、2との間隔W2は勿論のこと、粗目用スクリーンバー1、1と、粗目用スクリーンバー1と細塵用スクリーンバー2との間隔W2も細塵用バースクリーンB2の目幅W2となるように設定する。
【0018】
このように、粗目用バースクリーンB1のスクリーンバー1、1間に、細塵用スクリーンバー2、2、2、2を配設して一体とする場合、例えば、図1に示すように、粗目用バースクリーンB1の前端面、より詳しくは粗目用スクリーンバー1の前端面を、細塵用スクリーンバー2の前端面より上流側に突出するよう構成する。
これにより、流下するごみが粗ごみと細塵との混合状態となっていても、最初に上流側に突出している粗目用バースクリーンB1にて粗ごみが捕捉され、この粗ごみの流下抵抗を粗目用バースクリーンB1にて支持するので、細塵用スクリーンバー2には粗ごみが衝突するのを防ぐことができ、かつ板厚の薄い細塵用スクリーンバー2の変形を未然に防止することができる。
【0019】
また、この粗目・細塵兼用バースクリーンの目幅W1、W2に噛合して移動するように配設するレーキCは、特に限定されるものではないが、例えば、図2に示すように、目幅の大なる粗目用スクリーンバー1、1と噛合する粗目用レーキC1と、目幅の小なる細塵用スクリーンバー2、2と噛合する細塵用レーキC2とを組み合わせて一体に構成するようにする。
【0020】
この粗目用レーキC1は、特に限定されるものではないが、例えば、図2に示すように、所要幅を有する1枚の鋼板をレーキCのフレームC3の横幅方向に掛け渡すように配設し、その一側縁側で粗目用バースクリーンB1の前端面と対向する側に、該粗目用バースクリーンB1の粗目用スクリーンバー1、1と噛合する部分に切欠1A、1Aを定間隔で形成して粗目用バースクリーンB1と噛合するようにする。
なお、この場合、粗目用レーキC1の先端面は、細塵用バースクリーンB2の前端面と接触或いは近接位置になるようにする。
これにより粗目用バースクリーンB1にて捕捉された粗ごみを粗目用レーキC1にて掻き揚げるようにする。
【0021】
また、細塵用レーキC2は、細塵用バースクリーンB2を構成する細塵用スクリーンバー2と同様に、細塵用バースクリーンB2の目幅W2内に挿入噛合できるよう、所要の幅と板厚及び長さを有する細帯状のフラットバー3の複数本を等間隔に配設し、かつレーキフレームC3と溶着その他の方法で固定して櫛歯形に形成する。
これにより、細塵用レーキC2にて細塵用バースクリーンB2に捕捉される細塵を掻き揚げるとともに、細塵用レーキC2に掛かる荷重を軽減させることができる。
【0022】
また、細塵用レーキC2の先端を、図2に示すように、粗目用レーキC1の先端よりも突出して配設する。この突出量はレーキCがバースクリーンBと噛合し、かつバースクリーンBに沿って上方向に掻揚移動する際、粗目用レーキC1にて捕捉された粗ごみが確実に掻き揚げられるように、かつ捕捉細塵も同時に細塵用レーキC2にて掻き揚げられるようにして定める。
なお、本実施例においては、細塵用レーキC2の上面に粗目用レーキC1を載置するようにして一体構成したが、粗目用レーキC1と細塵用レーキC2の上面が面一となるようにすることもできる。
これにより、レーキCの移動により粗目用バースクリーンB1にて捕捉された粗ごみと、細塵用バースクリーンB2にて捕捉された細塵とを同時に掻き揚げ、排出することができる。
【0023】
以上、本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機は、処理槽内に1台のバースクリーン式除塵機を設置することで、粗大ごみから細塵までも目幅の狭いバースクリーンも粗大ごみの衝突力等にて損なわれることなく、同時に捕捉除去できることから、下水処理及び上水処理の除塵設備の用途に好適に用いることができるほか、例えば、河川用の除塵設備、産業・食品関連の除塵設備の用途にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機の一実施例を示す外観斜視図である。
【図2】レーキの外観斜視図である。
【図3】バースクリーン式除塵機の全体を示す側面図である。
【符号の説明】
【0026】
A バースクリーン式除塵機
B バースクリーン
C レーキ
C1 粗目用レーキ
C2 細塵用レーキ
D 処理槽内の一部に配設した流水路
B1 粗目用バースクリーン
1 粗目用スクリーンバー
W1 粗目用スクリーンバーの目幅
B2 細塵用バースクリーン
2 細塵用スクリーンバー
W2 細塵用スクリーンバーの目幅


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流水路に配設したバースクリーンに沿って昇降し、該バースクリーンにて捕捉されたごみを掻き揚げ排出するようレーキを配設して構成したバースクリーン式除塵機において、バースクリーンを、平鋼製のスクリーンバーの幅と板厚との異なるものを、所要の目幅になるよう組み合わせて粗目用バースクリーンと細塵用バースクリーンとを一体に形成し、かつ該バースクリーンの目幅に噛合するようにしてレーキを形成したことを特徴とする粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機。
【請求項2】
粗目用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚を、細塵用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚とよりも大とし、かつ該粗目用バースクリーンの広い目幅のスクリーンバー間に、細塵用スクリーンバーの1乃至複数枚を配設するようにしたことを特徴とする請求項1記載の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機。
【請求項3】
粗目用スクリーンバーの前端面を、細塵用スクリーンバーの前端面より前方位置に突出するように配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機。
【請求項4】
バースクリーンの目幅に噛合して移動するようにしたレーキを、目幅の大なる粗目用スクリーンバーと噛合する粗目用レーキと、目幅の小なる細塵用スクリーンバーと噛合する細塵用レーキとを一体に組み合わせて構成したことを特徴とする請求項1記載の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機。
【請求項5】
細塵用レーキの先端を、粗目用レーキの先端よりも突出して配設するようにしたことを特徴とする請求項4記載の粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流水路に配設した平鋼製のスクリーンバーを組み合わせて粗目用バースクリーンと細塵用バースクリーンとを一体に組み合わせて形成してなるバースクリーンに沿って昇降し、該バースクリーンにて捕捉されたごみを掻き揚げ排出するよう粗目用バースクリーン及び細塵用バースクリーンの目幅に噛合する粗目用レーキと細塵用レーキとを一体に組み合わせて形成してなるレーキを配設して構成したバースクリーン式除塵機において、前記バースクリーンを、粗目用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚を、細塵用バースクリーンを形成するスクリーンバーの幅と板厚よりも大とし、かつ粗目用バースクリーンの広い目幅のスクリーンバーの間に、細塵用バースクリーンの複数枚のスクリーンバーを配設し、粗目用バースクリーンの前端面を細塵用バースクリーンの前端面より前方位置に突出するように配設して構成するとともに、前記レーキを、1枚の鋼板をレーキのフレームの横幅方向に掛け渡すように配設して形成してなる粗目用レーキと、該粗目用レーキの下方で、細塵用バースクリーンの目幅内に挿入できる細帯状のフラットバーを細塵用バースクリーンと平行になるように等間隔に配設して形成してなる細塵用レーキとを、細塵用レーキの先端を粗目用レーキの先端よりも突出するように配設して構成したことを特徴とする粗目・細塵兼用バースクリーン式除塵機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−241788(P2006−241788A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57628(P2005−57628)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【特許番号】特許第3768518号(P3768518)
【特許公報発行日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000233206)日立機電工業株式会社 (64)
【Fターム(参考)】