説明

粘弾性ポリウレタンフォーム

【課題】40g/Lより大きい密度を有し、難燃剤を実質的に含まず、イソシアナート成分とイソシアナート反応性混合物と鎖伸長剤との反応生成物を含む粘弾性ポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】イソシアナート反応性混合物は、第1のイソシアナート反応性成分と第2のイソシアナート反応性成分とを含み、第1のイソシアナート反応性成分は該イソシアナート反応性成分の100質量部に対して60質量部以上のエチレンオキシドを含み、第2のイソシアナート反応性成分は該イソシアナート反応性成分の100質量部に対して30質量部以下のエチレンオキシドを含んでいる。鎖伸長剤はイソシアナート成分と反応し、骨格鎖に2〜8個の炭素原子を有しており、フォームの100質量部に対して5〜50質量部の量で使用されている。本発明はまた、上記粘弾性ポリウレタンフォームの製造に有用な組成物も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密度が40g/L(2.5lbs/ft3)より大きい粘弾性ポリウレタンフォームに関し、特に、難燃剤を実質的に含まない組成物から形成されているにもかかわらず難燃性である粘弾性ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術における種々の粘弾性ポリウレタンフォームは、イソシアナート成分とイソシアナート反応性混合物との反応生成物である。イソシアナート反応性混合物は、典型的には、第1のイソシアナート反応性成分と第2のイソシアナート反応性成分とを含んでいる。これらの関連技術におけるフォームの例は、米国特許第6204300号明細書、欧州特許出願第1178061号明細書、およびPCT公開WO第01/32736号パンフレットに記載されている。
【0003】
粘弾性ポリウレタンフォームは、現在米国において特定分野に応用されている。このフォームは、自動車の用途のために多くの検討がなされてきたが、主として家庭用製品および事務用製品において使用されている。米国における家庭用製品における粘弾性フォームの市場は、現在のところ、年間約2500万ポンドと概算されている。現在の市場は比較的小さいものの、1年間に約20〜30%の伸び率が見込まれている。
【0004】
粘弾性フォームは、圧縮サイクルの間にゆっくりとした回復を示し、従って大きなヒステリシスを示す。これらはまた、典型的には低い反撥弾性値を示す。これらの特性は、上記回復がフォームへの空気の再導入速度によって制限されるから、低い通気度に起因しているか、あるいは、発泡されたポリマーの本来の特性に起因している。ポリマーの粘弾性は通常温度に敏感であり、ポリマーがガラス転移を経験する際に最大を示す。現在検討されている粘弾性フォームの場合には、このガラス転移はポリエーテル軟質セグメント相のガラス化に起因している。ガラス転移温度が物質の使用温度に一致するように軟質セグメント相の構造と組成とを制御することにより、物質の粘弾性能が最適化される。この材料をマットレス内でまたはシートクッションとして使用すると、使用者の体温が材料の一部を加温し、従ってその部分を柔らかくする。その結果、クッションがそれと接触している体の部分の形状に沿って変形し、より均一な圧力分布が達成され、快適性が増す。その上、材料の残りの部分が硬さを保ち、この部分が支持部となる。従って、温度に対する鋭敏性が材料の効果的な支持性能を向上させ、金属バネを必要としないマットレス構造にすることができるようになる。
【0005】
ガラス転移がフォームの使用温度で起こるように、イソシアナート成分の種類、イソシアナート反応性成分の官能性およびヒドロキシル価を選択して調合することができる。粘弾性フォームはまた、低い通気度あるいは気孔率に起因している。粘弾性フォームの物理特性のほとんどは慣用のフォームの特性と同等であるが、粘弾性フォームのレジリェンスは顕著に小さく、一般に約15%未満である。粘弾性フォームの好適な用途は、その形状の順応性、エネルギー減衰性、および音響減衰性を利用している。これらの性能を得るための1方法として、低いレジリェンス、良好な軟質性、および適切な加工特性を得るために、米国特許第4367259号明細書に示されているようなイソシアナート反応性成分、イソシアナート成分、界面活性剤、触媒、充填剤の量および種類を調整する方法、または他の成分を調整する方法が挙げられる。しかしながら、得られた調合物の加工の許容幅は、一般に残念ながら狭い。
【0006】
この技術分野の関連特許においてさらに、難燃性の柔軟フォームを製造することが関心事となっている。典型的には、この点は、米国特許第5420170号明細書に示されているように組成物に難燃剤を添加することによって達成される。この特許は、イソシアナート反応性混合物から形成された粘弾性フォームを開示している。しかしながら、この特許は、得られたフォームに難燃性を付与するために難燃剤を添加することを開示している。しかしながら、難燃剤は粘弾性の完全度を犠牲にしてしまう恐れがあり、燃焼した場合には毒性の化学物質を発生し、製品のコストを上げる。また、組成物に難燃剤を添加しないで難燃性のフォームを製造する検討も行われている。このような検討として、米国特許第6495611号明細書に示されているように、イソシアナート反応性混合物の量を調整することが行われている。この特許は、疎水性化合物と親水性化合物から形成されたイソシアナート反応性混合物を開示している。この特許はまた、難燃性を向上させるために難燃剤を使用することを開示しているが、イソシアナート反応性混合物から形成されたフォームが粘弾性を有しているか否かは開示していない。他の関連特許のフォームは、米国特許第4334031号明細書、米国特許第4374935号明細書、米国特許第4568702号明細書、PCT公開WO第01/25305号パンフレット、欧州特許第0934962号明細書、欧州特許出願第1125958号明細書、欧州特許出願第0778301号明細書に記載されている。しかしながら、いずれの関連特許も、本発明の新規で独創的な粘弾性ポリウレタンフォームを開示も示唆もしていない。
【0007】
粘弾性フォームを製造するための他の検討は、ポリエーテルポリオールと他の成分との適切な混合物を見出すことにより行われている。例えば米国特許第4987156号明細書は、それぞれ少なくとも2のヒドロキシル官能性を有する低分子量ポリオールおよび高分子量ポリオールの混合物と−20℃未満の固化温度を有する可塑剤により軟質の低レジリェンスを示すフォームを得ている。しかしながら、この特許は粘弾性フォームを開示していない。米国特許第5420170号明細書は、ヒドロキシル官能性が2.3〜2.8のポリオールと官能価が2〜3の別のポリオールとを含む混合物の使用を教示している。米国特許第5919395号明細書は、官能価が2.5〜6の2500〜6500の分子量を有するポリオールと官能価が2.5〜6の300〜1000の分子量を有する剛直ポリオールとを含むポリオール混合物により、同様の検討を行っている。しかしながら、米国特許第5420170号明細書も米国特許第5919395号明細書も、フォームのガラス転移温度を調整するために組成物に鎖伸長剤を添加することを開示していない。
【0008】
関連技術分野の他の組成物が、LutterおよびMenteによる題名“Novel MDI−Based Slabstock Foam Technology”の論文に開示されている。開示された組成物は、イソシアナートプレポリマー、柔軟性ポリオール、およびエチレンオキシドリッチのポリオールから粘弾性フォームを製造する。しかしながら、この論文は、改良された性能を有する粘弾性フォームを製造するために、多大な量で鎖伸長剤を存在させることを開示していない。
【0009】
1価アルコールのようなモノオールも、様々な理由から柔軟性ポリウレタンフォームに含まれている。しかしながら、これらは米国特許第6391935号明細書に示されているような粘弾性フォームではあまり使用されて来なかった。この特許はTDIを基礎とした粘弾性フォームを開示しているが、TDIを実質的に含まないフォームを開示していない。この特許はまた、フォームのガラス転移温度を調整するために鎖伸長剤を使用することも開示していない。米国特許第4981880号明細書、米国特許第3875086号明細書、および米国特許第3405077号明細書におけるように、モノオールを含む多くの参考文献が高いレジリェンスを有するフォームを形成する組成物を教示している。しかしながら、これらの参考文献のいずれも、難燃剤を実質的に含まず粘弾性フォームを製造するために鎖伸長剤を含む組成物の使用を開示していない。低分子量の1官能性物質の使用を教示している他の参考文献も存在する。例えば、米国特許第5631319号明細書は、非粘弾性フォームにおけるC1−C25−モノアルコールとヒドロキシルケトンとの組み合わせの使用を教示している。米国特許第4209593号明細書は、エネルギー吸収性フォームを製造するためのナフトールまたは他の“嵩高い”モノヒドロキシ化合物を開示している。米国特許第5631319号明細書も米国特許第4209593号明細書も、本発明の粘弾性フォームを開示していない。粘弾性フォームに低分子量(<1000)、高ヒドロキシル価(>60mgKOH/g)のモノオールを含有させると、重要なフォームの特性、特に圧縮永久歪に悪影響を及ぼすことがある。さらに、特に低いインデックスを有する調合物において、モノオールの多くが未反応のまま残留することがあり、油っぽい感触を示し、肌触りが悪いフォームが得られる。
【0010】
欧州特許出願第0913414号明細書は、ポリエーテルモノオールを含むことができる粘弾性ポリウレタンフォームを開示している。分子量が1500未満であるモノオールが、分子量が1800より大きいポリオールと共に使用されている。全ての実施例において、90未満の低いイソシアナートインデックスの条件で形成されたフォームが製造されている。米国特許第4950695号明細書は、柔軟性ポリウレタンフォームを軟質化させるための1価アルコールまたはポリエーテルの使用を教示している。この調合物はまた、2000〜6500の分子量のトリオールを含んでいる。この特許は、他の難燃剤を添加しなくても難燃性を示す粘弾性フォームを開示していない。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6204300号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第1178061号明細書
【特許文献3】WO第01/32736号パンフレット
【特許文献4】米国特許第4367259号明細書
【特許文献5】米国特許第5420170号明細書
【特許文献6】米国特許第6495611号明細書
【特許文献7】米国特許第4334031号明細書
【特許文献8】米国特許第4374935号明細書
【特許文献9】米国特許第4568702号明細書
【特許文献10】WO第01/25305号パンフレット
【特許文献11】欧州特許第0934962号明細書
【特許文献12】欧州特許出願第1125958号明細書
【特許文献13】欧州特許出願第0778301号明細書
【特許文献14】米国特許第4987156号明細書
【特許文献15】米国特許第5919395号明細書
【特許文献16】米国特許第6391935号明細書
【特許文献17】米国特許第4981880号明細書
【特許文献18】米国特許第3875086号明細書
【特許文献19】米国特許第3405077号明細書
【特許文献20】米国特許第5631319号明細書
【特許文献21】米国特許第4209593号明細書
【特許文献22】欧州特許出願第0913414号明細書
【特許文献23】米国特許第4950695号明細書
【非特許文献1】Lutter、Mente著、“Novel MDI−Based Slabstock Foam Technology”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらのフォームは、ある問題点または複数の問題点を有している。従って、本発明の目的は、これらの問題点を解消する粘弾性ポリウレタンフォームを提供することである。また、他の目的は、密度が2.5lbs/ft3より大きく、難燃剤を実質的に含まずかつイソシアナート成分とイソシアナート反応性混合物との反応生成物である組成物から形成されており、フォームが難燃性を示す粘弾性フォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する本発明は、密度が2.5lbs/ft3より大きい粘弾性ポリウレタンフォームを提供する。このフォームは、難燃剤を実質的に含まず、トルエンジイソシアナートを実質的に含まないイソシアナート成分とイソシアナート反応性混合物と鎖伸長剤との反応生成物を含む。イソシアナート反応性混合物は、第1のイソシアナート反応性成分と第2のイソシアナート反応性成分とを含み、第1のイソシアナート反応性成分は、2500〜4500の重量平均分子量を有し、30〜50のヒドロキシル価を有し、第1のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して60質量部以上のエチレンオキシドを含んでおり、第2のイソシアナート反応性成分は、1000〜6000の重量平均分子量を有し、20〜500のヒドロキシル価を有し、第2のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して30質量部以下のエチレンオキシドを含んでいる。第1のイソシアナート反応性成分は、イソシアナート反応性混合物の100質量部に対して40〜75質量部の量で存在し、第2のイソシアナート反応性成分は、イソシアナート反応性混合物の100質量部に対して25〜60質量部の量で存在している。鎖伸長剤は、重量平均分子量が1000未満であり、骨格鎖に2〜8個の炭素原子を有している。鎖伸長剤は、フォームの100質量部に対して5〜50質量部の量で存在する。本発明はさらに、上記フォームを形成するための組成物に関する。この組成物は、トルエンジイソシアナートを実質的に含まないイソシアナート成分とイソシアナート反応性混合物と鎖伸長剤との反応生成物である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により形成された粘弾性ポリウレタンフォームは、フォームが難燃性成分を実質的に含まないにもかかわらず、難燃性を示す。本発明はまた、粘弾性を有しているが、副次的な悪影響が低減されたフォームを与える。従って、本発明により、上述の関連技術における問題点が解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、密度が2.5lbs/ft3より大きい粘弾性ポリウレタンフォームを提供する。本発明のフォームは、難燃剤を実質的に含まない組成物から形成される。「難燃剤を実質的に含まない」とは、難燃剤が組成物の100質量部に対して8質量部未満、好ましくは5質量部未満の量であることを意味する。より好ましくは、組成物は難燃剤を全く含まず、すなわち、難燃剤が組成物の100質量部に対して0質量部の量である。
【0016】
フォームが粘弾性であるか否かを決定するために、様々な特性が測定される。そのうちの1つの特性がフォームのガラス転移温度である。ガラス転移温度は、動力学的熱分析(DMTA)により測定される。ガラス転移温度は、典型的には約5〜50℃、好ましくは10〜40℃、特に好ましくは15〜35℃である。DMTA分析により、フォームが圧縮サイクルの間にエネルギーを放散する能力を示し、かつフォームの回復時間に関係するタンデルタ(tan δ)ピークも測定される。タンデルタピークは、約0.3〜1.8、好ましくは0.4〜1.75、特に好ましくは0.9〜1.5である。ガラス転移温度およびタンデルタピークは、フォームの軟質セグメントのガラス化に起因する。ガラス転移温度が材料の使用温度に略一致するように、またそれによってフォームの粘弾性が最適化されるように、軟質セグメント相の構造および組成が調整されてガラス化が調整される。
【0017】
粘弾性とは特に関係はないが、有効利用される他の特性には、密度、硬度、および回復性能が含まれる。回復性能に乏しいフォームには、指紋が残存するだろう。すなわち、指紋が長期間、例えばフォームを手で触ってから1分以上もの間、フォーム中に残るだろう。また、本発明により形成されたフォームは、べとつかず、触ると油っぽい残渣を有していない表面を有しているのが望ましい。
【0018】
本発明のフォームは、トルエンジイソシアナートを実質的に含まないイソシアナート成分とイソシアナート反応性成分と鎖伸長剤との反応生成物である。イソシアナート成分とイソシアナート反応性成分と鎖伸長剤とを含む組成物からフォームが形成されることは当業者に知られている。以下に示す各成分の量は、フォームまたは組成物のいずれに当てはめてもよい。というのは、当業者に理解されるように、反応を通して質量収支が保たれていなければならないからである。
【0019】
「トルエンジイソシアナートを実質的に含まない」とは、トルエンジイソシアナートがイソシアナート成分の100質量部に対して8質量部未満、好ましくは5質量部未満の量であることを意味する。より好ましくは、イソシアナート成分はトルエンジイソシアナートを完全に含まず、すなわち、トルエンジイソシアナートがイソシアナート成分の100質量部に対して0質量部の量である。しかしながら、フォームはポリウレタンフォームの粘弾性能に影響を与えないような最小量のトルエンジイソシアナートを含むことができると理解されるべきである。当業者に公知のイソシアナートインデックスとは、イソシアナート成分のNCO基のイソシアナート反応性成分のOH基に対する比を意味する。イソシアナートインデックスは、好ましくは75〜110であり、特に好ましくは80〜105である。イソシアナートインデックスと存在するイソシアナート反応性成分の量との組み合わせによりイソシアナート成分の量が決定できることは、当業者に理解されるだろう。
【0020】
イソシアナート成分は、純ジフェニルメタンジイソシアナートおよびポリマー状ジフェニルメタンジイソシアナートの少なくとも1種から選択されるのが好ましい。純ジフェニルメタンジイソシアナートにジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアナートおよびジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアナートが含まれることは、当業者に理解されている。ポリマー状ジフェニルメタンジイソシアナートには、3環化合物、4環化合物、5環化合物、およびより高次の類似体を有する多環式ポリイソシアナートが含まれることは、当業者に理解されている。一形態において、純ジフェニルメタンジイソシアナートは、イソシアナート成分の100質量部に対して50〜99質量部の量で存在し、ポリマー状ジフェニルメタンジイソシアナートは、イソシアナート成分の100質量部に対して1〜50質量部の量で存在する。純ジフェニルメタンジイソシアナートには、該純ジフェニルメタンジイソシアナートの100質量部に対して1〜45質量部の量で存在するジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアナートおよび55〜99質量部の量で存在するジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアナートが含まれる。好適なイソシアナートの例としては、限定的ではないが、BASF Corporationから市販されているLUPRANATE(登録商標)MS、LUPRANATE(登録商標)M20S、LUPRANATE(登録商標)MI、LUPRANATE(登録商標)M10、LUPRANATE(登録商標)M70、およびLUPRANATE(登録商標)M200のイソシアナートおよびNo.236イソシアナート、No.233イソシアナート、およびNo.278イソシアナートが含まれる。
【0021】
他の形態において、イソシアナート成分には、イソシアナートとポリオールの反応生成物であるイソシアナート末端を有するプレポリマーが含まれうる。ポリオールは、1000より大きな重量平均分子量を有し、イソシアナート成分の100質量部に対して1〜20質量部の量で存在する。ポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、およびソルビトールの少なくとも1種から選択された開始剤から形成することができる。ポリオールはまた、限定的ではないが、エチレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、およびポリメチレンポリフェニレンポリアミン、およびアミノアルコールを含むポリアミンから選択することもできる。アミノアルコールの例には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびこれらの混合物が含まれる。好適なポリオールの例には、限定的ではないが、BASF Corporationから市販されているPLURACOL(登録商標)2100、PLURACOL(登録商標)2115、PLURACOL(登録商標)2120、PLURACOL(登録商標)2130、PLURACOL(登録商標)2145、PLURACOL(登録商標)593、PLURACOL(登録商標)945、PLURACOL(登録商標)1509、PLURACOL(登録商標)1051、PLURACOL(登録商標)1385、PLURACOL(登録商標)1538、PLURACOL(登録商標)381、PLURACOL(登録商標)726、PLURACOL(登録商標)220、PLURACOL(登録商標)718、PLURACOL(登録商標)1718、PLURACOL(登録商標)1441、PLURACOL(登録商標)1442、PLURACOL(登録商標)973、PLURACOL(登録商標)1117、PLURACOL(登録商標)1543、PLURACOL(登録商標)1365のポリオールが含まれる。
【0022】
イソシアナート反応性混合物は、第1のイソシアナート反応性成分と第2のイソシアナート反応性成分とを含む。イソシアナート反応性混合物は、イソシアナート成分と反応することができる。第1のイソシアナート反応性成分は、2500〜4500、好ましくは2500〜4000の重量平均分子量を有する。第1のイソシアナート反応性成分はまた、30〜50のヒドロキシル価を有する。第1のイソシアナート反応性成分は、第1のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して少なくとも60質量部の、好ましくは少なくとも68質量部の、特に好ましくは少なくとも75質量部のエチレンオキシドを含む。換言すると、当業者は第1のイソシアナート反応性成分がエチレンオキシドリッチの成分であると考えることができる。ただし、イソシアナート反応性成分内に存在するエチレンオキシド基の量を決定する際にはこの基は開始剤分子に結合した基を意味し、存在する開始剤が含まれないことは当業者に理解されるだろう。開始剤分子は必要であり、イソシアナート反応成分を形成するために存在しなければならないことは公知である。
【0023】
第2のイソシアナート反応性成分は、1000〜6000の重量平均分子量を有し、20〜500のヒドロキシル価を有する。第2のイソシアナート反応性成分は、第2のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して30質量部以下のエチレンオキシドを含む。言い換えると、第2のイソシアナート反応性成分がエチレンオキシド基を有しているかどうかは任意である。一形態では、第2のイソシアナート反応性成分は、実質的にエチレンオキシドを含まない。すなわち、第2のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して0.5質量部未満のエチレンオキシドを含む。より好ましくは、第2のイソシアナート反応性成分は、第2のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して100質量部のプロピレンオキシドを含む。すなわち、エチレンオキシド基を含まない。イソシアナート反応性成分に存在するプロピレンオキシド基の量を決定する際は、エチレンオキシド基に対して上述したのと同様に、この基は開始剤から伸びた基を意味することは当業者に理解されるだろう。従って、この柔軟性イソシアナート反応性成分は100部のプロピレンオキシドを含んでいてもよいが、またこの柔軟性イソシアナート反応性成分の製造のために必要な開始剤分子を依然として含んでいてもよい。この柔軟性イソシアナート反応性成分は、少なくとも3個のイソシアナート反応性の基を有していてもよい。
【0024】
組成物はまた、特に第2のイソシアナート反応性成分がエチレンオキシド基を実質的に含んでいない場合には、第3のイソシアナート反応性成分を含んでいてもよい。第3のイソシアナート反応性成分は、300〜3000の重量平均分子量を有し、40〜500のヒドロキシル価を有している。第3のイソシアナート反応性成分は、第3のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して30質量部以下のエチレンオキシドを含む。換言すると、第3のイソシアナート反応性成分がエチレンオキシド基を有しているか否かは任意である。一形態では、第3のイソシアナート反応性成分は、第3のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して100質量部のプロピレンオキシドを含む。他の形態では、第3のイソシアナート反応性成分は、第3のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して75質量部以上のプロピレンオキシドと25質量部未満のエチレンオキシドを含む。一形態では、第3のイソシアナート反応性成分は少なくとも3個のイソシアナート反応性の基を有する。
【0025】
上記第1、第2、第3のイソシアナート反応性成分は、ポリオール、ポリアミン、およびポリエステルの少なくとも1種から選択することができる。特に、ポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、およびソルビトールの少なくとも1種から選択することができる。ポリアミンには、限定的ではないが、エチレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、およびポリメチレンポリフェニレンポリアミン、およびアミノアルコールが含まれる。アミノアルコールの例には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびこれらの混合物が含まれる。
【0026】
ポリエステルは、適当な割合のグリコールおよびさらに高い官能価を有するポリオールとポリカルボン酸の縮合による得ることができる。好適なポリオールにはさらに、水酸基末端を有するポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカルボナート、ポリアセタール、ポリオレフィンおよびポリシロキサンが含まれる。好ましいポリオールは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位を含むポリエーテルポリオールである。使用することができる他のポリオールには、上述の種類のポリオールに付加重合体または縮合重合体が分散または溶解したものが含まれる。このような変性ポリオールは、しばしば“ポリマー”ポリオールと言われるが、先行技術に十分に記載されており、この変性ポリオールには、ポリマー状ポリオール、例えばポリエーテルポリオール中で1種以上のビニルモノマー、例えばスチレンおよびアクリロニトリルをin−situで重合させることによって、または、ポリマー状ポリオール中でポリイソシアナートとアミノ−またはヒドロキシ−官能基を有する化合物、例えばトリエタノールアミンをin−situで反応させることによって、得られる生成物が含まれる。好適なポリオールの例には、限定的ではないが、BASF Corporationから市販されているPLURACOL(登録商標)2100、PLURACOL(登録商標)380、PLURACOL(登録商標)2115、PLURACOL(登録商標)2120、PLURACOL(登録商標)2130、PLURACOL(登録商標)2145、PLURACOL(登録商標)593、PLURACOL(登録商標)945、PLURACOL(登録商標)1509、PLURACOL(登録商標)1051、PLURACOL(登録商標)1385、PLURACOL(登録商標)1538、PLURACOL(登録商標)381、PLURACOL(登録商標)726、PLURACOL(登録商標)220、PLURACOL(登録商標)718、PLURACOL(登録商標)1718、PLURACOL(登録商標)1441、PLURACOL(登録商標)1442、PLURACOL(登録商標)973、PLURACOL(登録商標)1117、PLURACOL(登録商標)1543、PLURACOL(登録商標)1135、PLURACOL(登録商標)1365のポリオールが含まれる。
【0027】
第1のイソシアナート反応性成分は、イソシアナート反応性混合物の100質量部に対して40〜75質量部、好ましくは45〜70質量部、特に好ましくは50〜70質量部の量で存在することができる。第2のイソシアナート反応成分は、イソシアナート反応性混合物の100質量部に対して25〜60質量部、好ましくは25〜55質量部、特に好ましくは25〜50質量部の量で存在する。
【0028】
第3のイソシアナート反応性成分が含まれる形態では、第2のイソシアナート反応性成分は、イソシアナート反応性混合物の100質量部に対して20〜45質量部の量で存在し、第3のイソシアナート反応性成分は、イソシアナート反応性混合物の100質量部に対して5〜30質量部の量で存在する。より好ましくは、第1のイソシアナート反応性成分はイソシアナート反応性混合物の100質量部に対して50〜70質量部の量で存在し、第2のイソシアナート反応性成分はイソシアナート反応性混合物の100質量部に対して15〜30質量部の量で存在し、第3のイソシアナート反応性成分はイソシアナート反応性混合物の100質量部に対して15〜30質量部の量で存在する。第2のイソシアナート反応性成分と第3のイソシアナート反応性成分の両方を含む形態では、これらは合計で25質量部以上の量で存在する。
【0029】
第1、第2、および第3のイソシアナート反応性成分の量を調整することによって、得られたフォームを難燃剤を添加することなく難燃性にすることができる。“難燃性”とは、フォームがカリフォルニア技術告示117試験(Cal−117)に合格することを意味する。Cal−117に合格するのはカリフォル二ア州における要求の一つであり、または、住宅用製品に使用されているフォームに対する規格である。第1のイソシアナート反応性成分は親水性であり、一方第2および第3のイソシアナート反応性成分は第1のイソシアナート反応性成分より親水性に劣る。実際には、第2および第3のイソシアナート反応性成分は疎水性であると考えることができる。親水性の程度は、イソシアナート反応性成分に存在するエチレンオキシド基の量によって決定される。エチレンオキシド基はプロピレンオキシド基より極性に富み、エチレンオキシド基はプロピレンオキシド基に比較して反応性が高い。そのため、本発明では、難燃剤を含まなくても難燃性を示すフォームへと導くエチレンオキシドとプロピレンオキシドの量を決定している。
【0030】
本発明の組成物はさらに、2〜8個の炭素原子を有する骨格鎖を有する鎖伸長剤を含む。骨格鎖は、2〜6個の炭素原子を有するのが好ましい。鎖伸長剤はまた、1000未満の重量平均分子量を有する。好ましくは、鎖伸長剤は25〜250の範囲、より好ましくは100未満の重量平均分子量を有する。鎖伸長剤は、組成物の100質量部に対して5〜50質量部、好ましくは5〜30質量部、特に好ましくは5〜15質量部の量で存在することができる。
【0031】
好ましくは、鎖伸長剤は2個のイソシアナート反応性の基を有し、イソシアナート反応性の基として水酸基を有するジオールである。より好ましくは、鎖伸長剤は、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−プロピレンジオール、および1,5−ペンタンジオールの少なくとも1種から選択される。鎖伸長剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、および重量平均分子量が200までのポリエチレングリコールから選択することもできる。市販の鎖伸長剤の好適な一例としては、Crompton OSIから市販されているNIAX(登録商標)DP−1022が挙げられる。
【0032】
鎖伸長剤は、フォームのガラス転移温度Tgを上昇させる。鎖伸長剤とイソシアナート成分が反応してフォームにおけるウレタン硬質セグメントが形成され、このセグメントが軟質セグメント内に組み込まれて軟質セグメントのTgを上昇させる。このことにより、従来は不可能であったが、フォームの密度とは独立に、広い温度範囲にわたってTgを調整することができる。
【0033】
本発明は、鎖伸長剤の含有量を調整することによって広範囲のTgを有するフォームを製造する自由度を提供する。しかしながら、鎖伸長剤の含有量を調整することに加えて、イソシアナートインデックスを増加させることによってもTgを上昇させることができる。イソシアナートインデックスも同時に調整することによって、Tgと硬度の両方を独立に変化させることができる。
【0034】
本発明の組成物はさらに、架橋剤を含むことができる。架橋剤が含まれる場合には、組成物の100質量部に対して2〜18質量部、好ましくは4〜16質量部、特に好ましくは4〜15質量部の量で存在する。好ましくは、架橋剤はアミンを基礎とした架橋剤であり、より好ましくは、アミンを基礎とした架橋剤がトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、およびエチレンジアミンの少なくとも1種から選択される。第3のイソシアナート反応性成分のようなポリオールが架橋剤として使用することができることは、当業者に理解されるであろう。好適な架橋剤の一例は、BASF Corporationから市販されているPLURACOL(登録商標)GP730ポリオールである。
【0035】
モノオールも本発明の組成物に含むことができ、モノオールが存在する場合には、組成物の100質量部に対して1〜15質量部の量で存在する。好ましくは、モノオールはベンジルアルコール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、およびアルコールエトキシラートの少なくとも1種から選択される。モノオールを増量すると、フォームのタンデルタピークが増加する一方、フォームが軟質化し、回復が遅延する。当業者に知られているように他の樹脂副成分と比較してより多くのウレタンを形成するモノオールの量が増加すると、モノオールが高い水酸基含有量を有しているため、Tgもまた増加する。好適なモノオールの例としては、限定的ではないが、Chemische Werke Hommel GmbHから市販されているSolketal、BASF Corporationから市販されているICONOL(商標)DA−4、ICONOL(商標)DA−6、MACOL(登録商標)LA4、PLURAFAC(登録商標)RA−40、PLURAFAC(登録商標)LF4030およびINDUSTROL(登録商標)TFA−8が挙げられる。
【0036】
本発明の組成物は、パラフィン性炭化水素鎖、環式炭化水素鎖、および芳香族炭化水素鎖の少なくとも1種を有する気泡開口剤を含むことができ、含まれる場合には、組成物の100質量部に対して1〜15質量部、好ましくは1〜12質量部、特に好ましくは1〜10質量部の量で存在する。好ましくは、気泡開口剤は鉱油である。しかしながら、他の気泡開口剤を使用してもよく、他の気泡開口剤としては、限定的ではないが、シリコーン油、コーン油、パーム油、亜麻仁油、大豆油、および、シリカのような粒子を基礎とした泡制止剤が挙げられる。気泡開口剤を使用して形成されたフォームは、気泡開口剤を使用しないで形成されたフォームに比較して、べとつきが極めて小さく、これらのフォームは油性の残渣を有さなかった。気泡開口剤の量を調整することにより、フォームの指紋残存傾向に影響を与えることができる。組成物の100質量部に対して2.5質量部未満の気泡開口剤を含むフォームでは、フォームを手で触った後の指紋残存傾向が抑制されることがわかっている。しかしながら、組成物の他の成分を調整することによっても、指紋残存性に影響を与えることができる。気泡開口剤はフォームの通気量を増加させ、フォームの回復時間を短縮する。圧縮永久歪もまた低下する。好適な気泡開口剤の例としては、限定的ではないが、Mallinckrodt Chemicalsから市販されている白軽質鉱油が挙げられる。
【0037】
本発明の組成物はまた、当業者に公知の安定化剤のような他の添加物を含むことができる。好適な安定化剤の例には、Goldschmidt Chemical Corporationから市販されているTEGOSTAB(登録商標)B−8409およびTEGOSTAB(登録商標)B−8418が含まれる。さらに、触媒が使用されてもよい。好適な触媒の例には、限定的ではないが、Air Producta and Chemicals Inc.から市販されているDABCO(登録商標)33LVおよびDABCO(登録商標)BL−11が挙げられる。本発明において、水のような発泡剤もフォームの密度を調整して制御するために使用することができる。
【0038】
本発明の組成物から形成されるフォームは、5〜65℃のガラス転移温度と、0.75〜1.75のタンデルタピークとを有している。上述のように、組成物中に存在する鎖伸長剤の量が、フォームのガラス転移温度に影響を与え、またタンデルタピークに影響を与える。鎖伸長剤が上述の好適な量で存在すると、ガラス転移温度が15〜35℃、タンデルタピークが0.9〜1.5のフォームが得られる。鎖伸長剤およびモノオールの量を、フォームの使用温度でガラス転移を示すように選択し、調合し、調整するのが好ましい。特に、フォームが様々な温度領域で使用されうることを考慮するとこの点が重要であり、フォームが特定の温度にさらに適合するように組成物を調整するのが好ましい。フォームの使用温度は、体温、季節、設置場所、またはこれらの全てに基礎を置いて考慮することができる。
【実施例】
【0039】
本発明に従って、粘弾性ポリウレタンフォームを形成した。組成物を形成する各成分の量は、特に示さない限り、質量部で示している。上述したように、イソシアナートインデックスとは、イソシアナート成分のNCO基のイソシアナート反応性混合物のOH基に対する比を表している。
【0040】
表1:粘弾性ポリウレタンフォームの調合
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
上表において、第1のイソシアナート反応性成分は、BASF Corporation製のPLURACOL(登録商標)593ポリオールであり、このポリオールの官能価は2.96、重量平均分子量は3606、ヒドロキシル価は460であり、75%エチレンオキシド−25%プロピレンオキシドの不均質性を有している。第2のイソシアナート反応性成分Aは、BASF Corporation製のPLURACOL(登録商標)726ポリオールであり、このポリオールの官能価は2.71、重量平均分子量は2637、ヒドロキシル価は57.6であり、100%プロピレンオキシドを有している。第2のイソシアナート反応性成分Bは、BASF Corporation製のPLURACOL(登録商標)1538ポリオールであり、このポリオールの官能価は2.8、重量平均分子量は3000、ヒドロキシル価は56であり、6%エチレンオキシド−94%プロピレンオキシドの不均質性を有している。第2のイソシアナート反応性成分Cは、BASF Corporation製のPLURACOL(登録商標)355ポリオールであり、このポリオールの官能価は3.96、重量平均分子量は491、ヒドロキシル価は453であり、10%エチレンオキシド−77.9%プロピレンオキシドを有している。第3のイソシアナート反応性成分Aは、BASF Corporation製のPLURACOL(登録商標)GP730ポリオールであり、このポリオールの官能価は2.99、重量平均分子量は730、ヒドロキシル価は56.3であり、100%プロピレンオキシドを有している。第3のイソシアナート反応性成分Bは、官能価が約2.8、重量平均分子量が約3000、ヒドロキシル価は56.3のポリオールであり、約12%のエチレンオキシドのキャッピング率を有している。このポリオールはグリセリン開始剤から形成される。第3のイソシアナート反応性成分Cは、BASF Corporation製のPLURACOL(登録商標)220ポリオールであり、このポリオールの官能価は3、重量平均分子量は6000、ヒドロキシル価は25であり、5%エチレンオキシド−95%プロピレンオキシドの不均質性を有している。鎖伸長剤はCrompton OSI製のNIAX(登録商標)DP−1022である。添加剤はGoldschmidt Chemical Corporation製のTEGOSTAB(登録商標)B−8409である。触媒AはAir Products and Chemicals Inc.製のDABCO(登録商標)33LVであり、触媒BはAir Products and Chemicals Inc.製のDABCO(登録商標)BL−11であり、触媒CはCrompton OSI製のNIAX(登録商標)A−1である。モノオールAはBASF Corporation製のICONAL(商標)DA−4であり、モノオールBはBASF Corporation製のINDUSTROL(登録商標)TFA−8であり、モノオールCはBASF Corporation製のPLURAFLAC(登録商標)RA40であり、モノオールDはBASF Corporation製のSOLKETAL(登録商標)であり、モノオールEはBASF Corporation製のMACOL(登録商標)LA−4であり、モノオールFはベンジルアルコールである。イソシアナート成分AはBASF Corporation製のNo.278イソシアナートである。イソシアナート成分BはそれぞれBASFCorporation製のイソシアナートNo.233を48.7質量部、LUPRANATE(登録商標)MIイソシアナートを31.6質量部、LUPRANATE(登録商標)M20Sイソシアナートを19.7質量部含むものである。
【0044】
フォームは、当業者に公知のフォームのための標準的な手練法を用いて手練により製造された。手練において、イソシアナート以外の全ての成分を64オンスの紙パックに導入し、3−インチの直径の円形混合羽根を使用して2200rpmの回転速度で48秒間予備混合した。次いで、イソシアナート成分を添加し、混合物を8秒間混合した。次いで、混合物を5ガロンのバケットに注ぎいれ、室温で少なくとも30分間硬化させた。次いで、フォームをオーブン中に置き、250°Fで16時間放置した。物理特性の試験は、以下に示すASTMの基準に従って行った。
【0045】
種々の物理特性を、本発明に従って製造されたフォームに関して測定した。密度は、ASTM D1622に従って測定した。窪み力によるたわみ(IFD)は、ASTM D3574に従って25%、50%、65%、および25%戻りの条件で測定した。ブロック引裂強さは、ASTM D1938に従って測定した。引張強さ試験は、ASTM D3574に従って行った。落球レジリェンス試験は、ASTM D3574に従って行った。フラジール型通気度試験は、ASTM D737に従って行った。圧縮永久歪はASTM D395に従って測定し、加熱エージングはD3574に従って行った。DMTAは、D4065に従って測定した。DMTAは、Rheometrics RSAIIを使用して行った。2cmの幅で1/2インチの厚みの円盤型サンプルを、測定のためにダイス切断した。加熱速度5℃/分および周波数1Hz、0.5%の歪を使用した。
【0046】
表2は、表1に示した例1〜6と比較例に関する物理特性を示している。さらに、65%でのIFDを25%でのIFDで割った値である垂み因子(SAG factor)を測定した。フォームの回復性は、25%IFDを与えた後のフォームの高さを25%IFDを与えている間のフォームの高さで割って100を掛けることにより求めた。加湿エージングの後の圧縮力によるたわみ(CFD)保持率は、[100−((初期の50%でのCFD−加湿エージング後の50%でのCFD)/初期の50%でのCFD)×100]の値として求めた。
【0047】
表2:表1の調合物から形成されたフォームに関する特性
【0048】
【表3】

【0049】
【表4】

【0050】
【表5】

【0051】
表2より、本発明の例1〜6のフォームの全てが、他の難燃剤の添加無しで、カリフォルニア技術告示117の難燃性試験に合格していることがわかる。比較例1は、カリフォルニア技術告示117の難燃性試験に合格しなかった。例1〜6では、第2および第3のイソシアナート反応性成分が30質量部以上の量で存在しているが、比較例1では第2および第3のイソシアナート反応性成分が22質量部しか存在しておらず、この量はフォームを難燃性にするには不十分である。比較例1がCal−117に合格しなかった他の理由としては、比較例1では、異なる第2のイソシアナート反応性成分と共に第3イソシアナート反応成分としてPLURALCOL(登録商標)355とPLURACOL(登録商標)220が含まれているが、例1〜6ではPLURACOL(登録商標)355のみが使用されている点が挙げられる。
【0052】
表3は、比較例2としての市販の粘弾性フォームに関する特性を示している。
【0053】
【表6】

【0054】
表2における例1〜6の結果と比較例2の結果を比較すると、これらはそれぞれカリフォルニア技術告示117の難燃性試験に合格する。しかしながら、比較例2は他の難燃剤を含んでいるが、例1〜6は他の難燃剤を含んでいない。本発明のフォームはまた、他の難燃剤無しでも難燃性試験に合格するが、比較例2は難燃性試験に合格するためには他の難燃剤を必要とする。例1〜6と比較例2とはまた、同等のガラス転移温度によって立証されているように、同等の粘弾性を有している。他方、例1〜6は比較例2に比べて改良された引張強さ、引裂強さ、および圧縮永久歪特性を有している。従って、本発明に従って形成された粘弾性ポリウレタンフォームは、比較例2と同等の粘弾性と比較例2より改良された物理特性とを有している。
【0055】
本発明は、上述の例に限定されず、上述の教示に従って、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内での変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
40g/L(2.5lbs/ft3)より大きい密度を有し、難燃剤を実質的に含まない粘弾性ポリウレタンフォームであって、
トルエンジイソシアナートを実質的に含まないイソシアナート成分と、
第1のイソシアナート反応性成分(第1のイソシアナート反応性成分は、2500〜4500の重量平均分子量を有し、30〜50のヒドロキシル価を有し、第1のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して60質量部以上のエチレンオキシドを含んでいる。)と第2のイソシアナート反応性成分(第2のイソシアナート反応性成分は、1000〜6000の重量平均分子量を有し、20〜500のヒドロキシル価を有し、第2のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して30質量部以下のエチレンオキシドを含んでいる。)とを含むイソシアナート反応性混合物(ただし、第1のイソシアナート反応性成分はイソシアナート反応性混合物の100質量部に対して40〜75質量部の量で使用されており、第2のイソシアナート反応性成分はイソシアナート反応性混合物の100質量部に対して25〜60質量部の量で使用されている。)と、
1000未満の重量平均分子量を有し、骨格鎖に2〜8個の炭素原子を有している鎖伸長剤(ただし、鎖伸長剤はフォームの100質量部に対して5〜50質量部の量で使用されている。)と、
の反応生成物を含む粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
第2のイソシアナート反応性成分が、少なくとも3個のイソシアナート反応性の基を含むことを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
さらに、第3のイソシアナート反応性成分(第3のイソシアナート反応性成分は、300〜3000の重量平均分子量を有し、40〜500のヒドロキシル価を有し、第3のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して0.5〜20質量部のエチレンオキシドを含んでいる。)を含んでおり、第2のイソシアナート反応性成分はエチレンオキシドを実質的に含まないことを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
第2のイソシアナート反応性成分がイソシアナート反応性混合物の100質量部に対して20〜45質量部の量で使用されており、第3のイソシアナート反応性成分がイソシアナート反応性混合物の100質量部に対して5〜30質量部の量で使用されていることを特徴とする、請求項3に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
第3のイソシアナート反応性成分が少なくとも3個のイソシアナート反応性の基を含むことを特徴とする、請求項4に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
イソシアナート反応性混合物が、該混合物の100質量部に対して、50〜70質量部の第1のイソシアナート反応性成分と、15〜30質量部の第2のイソシアナート反応性成分と、15〜30質量部の第3のイソシアナート反応性成分とを含むことを特徴とする、請求項5に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
第1のイソシアナート反応性成分が、2500〜4000の重量平均分子量を有し、第1のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して75質量部以上のエチレンオキシドを有していることを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項8】
第2のイソシアナート反応性成分が、第2のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して100質量部のプロピレンオキシドを有していることを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項9】
第3のイソシアナート反応性成分が、第3のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して75質量部以上のプロピレンオキシドと25質量部未満のエチレンオキシドを含むことを特徴とする、請求項3に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項10】
イソシアナート反応性混合物が、該混合物の100質量部に対して、50〜70質量部の第1のイソシアナート反応性成分と、25〜50質量部の第2のイソシアナート反応性成分とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項11】
フォームが5〜65℃のガラス転移温度と、0.75〜1.75のタンデルタピークを有することを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項12】
鎖伸長剤がフォームの100質量部に対して5〜30質量部の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項13】
鎖伸長剤が25〜250の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項14】
鎖伸長剤が100未満の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項15】
鎖伸長剤が2個のイソシアナート反応性の基を有することを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項16】
鎖伸長剤がイソシアナート反応性の基として水酸基を有するジオールであることを特徴とする、請求項15に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項17】
鎖伸長剤が2〜6個の炭素原子を有することを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項18】
鎖伸長剤が、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−プロピレングリコール、および1,5−ペンタンジオールの少なくとも1種から選択されることを特徴とする、請求項17に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項19】
鎖伸長剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、および重量平均分子量が200までのポリエチレングリコールの少なくとも1種から選択されることを特徴とする、請求項17に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項20】
フォームが15〜35℃のガラス転移温度と、0.9〜1.5のタンデルタピークを有することを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項21】
イソシアナート成分が、イソシアナート成分の100質量部に対して50〜99質量部の量の純ジフェニルメタンジイソシアナートおよびイソシアナート成分の100質量部に対して1〜50質量部の量のポリマー状ジフェニルメタンジイソシアナートであることを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項22】
純ジフェニルメタンジイソシアナートが、純ジフェニルメタンジイソシアナートの100質量部に対して1〜45質量部の量のジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアナートおよび純ジフェニルメタンジイソシアナートの100質量部に対して55〜99質量部の量のジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアナートであることを特徴とする、請求項21に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項23】
イソシアナート成分がイソシアナート末端を有するプレポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項24】
プレポリマーがイソシアナートと1000より大きな重量平均分子量を有するポリオールとの反応による生成物を含み、前記ポリオールがイソシアナート成分の100質量部に対して1〜20質量部の量で使用されていることを特徴とする、請求項23に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項25】
前記反応生成物がさらにフォームの100質量部に対して2〜18質量部の量の架橋剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項26】
架橋剤がアミンを基礎とした架橋剤であることを特徴とする、請求項25に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項27】
アミンを基礎とした架橋剤が、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、およびエチレンジアミンの少なくとも1種から選択されることを特徴とする、請求項26に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項28】
前記反応生成物がさらにフォームの100質量部に対して1〜15質量部の量のモノオールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項29】
モノオールが、ベンジルアルコール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、およびアルコールエトキシラートの少なくとも1種から選択されることを特徴とする、請求項28に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項30】
前記反応生成物がさらにフォームの100質量部に対して1〜15質量部の量のパラフィン性炭化水素鎖、環式炭化水素鎖、および芳香族炭化水素鎖の少なくとも1種を有する気泡開口剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項31】
気泡開口剤が鉱油であることを特徴とする、請求項30に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項32】
40g/L(2.5lbs/ft3)より大きい密度を有し、難燃剤を実質的に含まない粘弾性ポリウレタンフォームの製造に使用するための組成物であって、
トルエンジイソシアナートを実質的に含まないイソシアナート成分と、
第1のイソシアナート反応性成分(第1のイソシアナート反応性成分は、2500〜4500の重量平均分子量を有し、30〜50のヒドロキシル価を有し、第1のイソシアナート反応性成分の100質量部に対して60質量部以上のエチレンオキシドを含んでいる。)と第2のイソシアナート反応性成分(第2のイソシアナート反応性成分は、1000〜6000の重量平均分子量を有し、20〜500のヒドロキシル価を有し、この柔軟性イソシアナート反応性成分の100質量部に対して30質量部以下のエチレンオキシドを含んでいる。)とを含むイソシアナート反応性混合物(ただし、第1のイソシアナート反応性成分はイソシアナート反応性混合物の100質量部に対して40〜75質量部の量で使用されており、第2のイソシアナート反応性成分はイソシアナート反応性混合物の100質量部に対して25〜60質量部の量で使用されている。)と、
1000未満の重量平均分子量を有し、骨格鎖に2〜8個の炭素原子を有している鎖伸長剤(ただし、鎖伸長剤は組成物の100質量部に対して5〜50質量部の量で存在している。)と、
を含む組成物。

【公表番号】特表2007−508398(P2007−508398A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515781(P2006−515781)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005457
【国際公開番号】WO2005/003205
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】