説明

粘弾性ポリウレタンフォーム

【課題】16〜480g/Lの密度を有する粘弾性ポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】本発明の粘弾性ポリウレタンフォームは、トルエンジイソシアナートを実質的に含まないイソシアナート成分と、イソシアナート反応性成分と、重量平均分子量が1000未満でありかつ骨格鎖に2〜8個の炭素原子を有している鎖伸長剤とを含む組成物から形成されている。鎖伸長剤はフォームの100質量部に対して5〜50質量部の量で使用されている。本発明の粘弾性ポリウレタンフォームは、5〜65℃のガラス転移温度と0.4〜1.75のタンデルタピークを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、16〜480g/L(1〜30lbs/ft3)の密度を有する粘弾性ポリウレタンフォームに関し、特に、フォームの粘弾性および物理特性を改良する鎖伸長剤を有する組成物から形成された粘弾性ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術分野における種々の粘弾性ポリウレタンフォームは、イソシアナート成分と該イソシアナート成分と反応するイソシアナート反応性混合物との反応生成物である組成物から形成される。これらの関連技術分野のフォームは、例えば、米国特許第6204300号明細書、欧州特許出願第1178061号明細書、およびPCT公開WO第01/32736号パンフレットに記載されている。
【0003】
粘弾性ポリウレタンフォームは、現在米国において特定分野に応用されている。このフォームは、自動車の用途のために多くの検討がなされてきたが、主として家庭用製品および事務用製品において使用されている。米国における家庭用製品における粘弾性フォームの市場は、現在のところ、年間約2500万ポンドと概算されている。現在の市場は比較的小さいものの、1年間に約20〜30%の伸び率が見込まれている。
【0004】
粘弾性フォームは、圧縮サイクルの間にゆっくりとした回復を示し、従って大きなヒステリシスを示す。これらはまた、典型的には、小さな反撥弾性値を示す。これらの特性は、上記回復がフォームへの空気の再導入速度によって制限されるから、低い通気度に起因しているか、あるいは、発泡されたポリマーの本来の特性に起因している。ポリマーの粘弾性は通常温度に敏感であり、ポリマーがガラス転移を経験する際に最大を示す。現在検討されている粘弾性フォームの場合には、このガラス転移はポリエーテル軟質セグメント相のガラス化に起因している。ガラス転移温度が物質の使用温度に一致するように軟質セグメント相の構造と組成とを制御することにより、物質の粘弾性能が最適化される。この材料をマットレス内でまたはシートクッションとして使用すると、使用者の体温が材料の一部を加温し、従ってその部分を柔らかくする。その結果、クッションがそれと接触している体の部分の形状に沿って変形し、より均一な圧力分布が達成され、快適性が増す。その上、材料の残りの部分が硬さを保ち、この部分が支持部となる。従って、温度に対する鋭敏性が材料の効果的な支持性能を向上させ、金属バネを必要としないマットレス構造にすることができるようになる。
【0005】
ガラス転移がフォームの使用温度で起こるように、イソシアナート成分の種類、イソシアナート反応性成分の官能性およびヒドロキシル価が選択されて調合される。粘弾性フォームの物理特性のほとんどは慣用のフォームの特性と同等であるが、粘弾性フォームのレジリェンスは顕著に小さく、一般に約15%未満である。粘弾性フォームの好適な用途は、その形状の順応性、エネルギー減衰性、および音響減衰性を利用している。これらの性能を得るための1方法として、低いレジリェンス、良好な軟質性、および適切な加工特性を得るために、米国特許第4367259号明細書に示されているようなイソシアナート反応性成分、イソシアナート成分、界面活性剤、触媒、充填剤の量および種類を調整する方法、または他の成分を調整する方法が挙げられる。しかしながら、得られた調合物の加工の許容幅は、一般に残念ながら狭い。これらの検討については、米国特許第6495611号明細書および米国特許第5420170号明細書に開示されている。他の関連特許のフォームは、米国特許第4334031号明細書、米国特許第4374935号明細書、米国特許第4568702号明細書、PCT公開WO第01/25305号パンフレット、欧州特許第0934962号明細書、欧州特許出願第1125958号明細書、欧州特許出願第0778301号明細書に記載されている。しかしながら、いずれの関連特許も、本発明の新規で独創的な粘弾性ポリウレタンフォームを開示も示唆もしていない。
【0006】
粘弾性フォームを製造するための他の検討は、ポリエーテルポリオールと他の成分との適切な混合物を見出すことにより行われている。例えば米国特許第4987156号明細書は、それぞれ少なくとも2のヒドロキシル官能性を有する低分子量ポリオールおよび高分子量ポリオールの混合物と−20℃未満の固化温度を有する可塑剤により軟質の低レジリェンスを示すフォームを得ている。しかしながら、この特許は粘弾性フォームを開示しておらず、ポリオールとイソシアナートとを可塑剤の存在下で反応させることを要している。米国特許第5420170号明細書は、ヒドロキシル官能性が2.3〜2.8のポリオールと官能価が2〜3のポリオールとを含む混合物の使用を教示している。米国特許第5919395号明細書は、官能価が2.5〜6の2500〜6500の重量平均分子量を有するポリオールと官能価が2.5〜6の300〜1000の分子量を有する剛直ポリオールとを含むポリオール混合物により、同様の検討を行っている。しかしながら、米国特許第5420170号明細書も米国特許第5919395号明細書も、フォームのガラス転移温度を調整するために組成物に鎖伸長剤を添加することを開示していない。
【0007】
関連技術分野の他の組成物が、LutterおよびMenteによる題名“Novel MDI−Based Slabstock Foam Technology”の論文に開示されている。開示された組成物は、イソシアナート末端を有するプレポリマー、柔軟性ポリオール、およびエチレンオキサイドリッチのポリオールから粘弾性フォームを製造する。しかしながら、この論文は、改良された性能を有する粘弾性フォームを製造するために、多大な量で鎖伸長剤を存在させることを開示していない。
【0008】
1価アルコールのようなモノオールも、様々な理由から柔軟性ポリウレタンフォームに含まれている。しかしながら、これらは米国特許第6391935号明細書に示されているような粘弾性フォームではあまり使用されていない。この特許はTDIを基礎とした粘弾性フォームを開示しているが、TDIを実質的に含まないフォームを開示していない。この特許はまた、フォームのガラス転移温度を調整するために鎖伸長剤を使用することも開示していない。米国特許第4981880号明細書、米国特許第3875086号明細書、および米国特許第3405077号明細書におけるように、モノオールを含む多くの参考文献が高いレジリェンスを有するフォームを形成する組成物を教示している。しかしながら、これらの参考文献のいずれも、難燃剤を実質的に含まず粘弾性フォームを製造するための鎖伸長剤を含む組成物の使用を開示していない。
【0009】
低分子量の1官能価物質の使用を教示している他の参考文献も存在する。例えば、米国特許第5631319号明細書は、非粘弾性フォームにおけるC1−C25−モノアルコールとヒドロキシルケトンとの組み合わせの使用を教示している。米国特許第4209593号明細書は、エネルギー吸収性フォームを製造するためのナフトールまたは他の“嵩高い”モノヒドロキシ化合物の使用を開示している。米国特許第5631319号明細書も米国特許第4209593号明細書も、本発明の粘弾性フォームを開示していない。粘弾性フォームに低分子量(<1000)、高ヒドロキシル価(>60mgKOH/g)のモノオールを含有させると、重要なフォームの特性、特に圧縮永久歪に悪影響を及ぼすことがある。さらに、特に低インデックスの調合物において、モノオールの多くが未反応のまま残留することがあり、油っぽい感触を示し、肌触りが悪いフォームが得られる。
【0010】
欧州特許出願第0913414号明細書は、ポリエーテルモノオールを含むことができる粘弾性ポリウレタンフォームを開示している。分子量が1500未満であるモノオールが、分子量が1800より大きいポリオールと共に使用されている。全ての実施例において、90未満の低いイソシアナートインデックスの条件で形成されたフォームが製造されている。米国特許第4950695号明細書は、柔軟性ポリウレタンフォームを軟質化させるための1価アルコールまたはポリエーテルの使用を教示している。この調合物はまた、2000〜6500の分子量のトリオールを含んでいる。この明細書は、他の難燃剤を添加しなくても難燃性を示す粘弾性フォームを開示していない。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6495611号明細書
【特許文献2】米国特許第5420170号明細書
【特許文献3】米国特許第4334031号明細書
【特許文献4】米国特許第4374935号明細書
【特許文献5】米国特許第4568702号明細書
【特許文献6】WO第01/25305号パンフレット
【特許文献7】欧州特許第0934962号明細書
【特許文献8】欧州特許出願第1125958号明細書
【特許文献9】欧州特許出願第0778301号明細書
【特許文献10】米国特許第4987156号明細書
【特許文献11】米国特許第5919395号明細書
【特許文献12】米国特許第6391935号明細書
【特許文献13】米国特許第4981880号明細書
【特許文献14】米国特許第3875086号明細書
【特許文献15】米国特許第3405077号明細書
【特許文献16】米国特許第5631319号明細書
【特許文献17】米国特許第4209593号明細書
【特許文献18】欧州特許出願第0913414号明細書
【特許文献19】米国特許第4950695号明細書
【非特許文献1】Lutter、Mente著、“Novel MDI−Based Slabstock Foam Technology”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらのフォームは、ある問題点または複数の問題点を有している。従って、本発明の目的は、これらの問題点を解消する粘弾性ポリウレタンフォームを提供することである。また、他の目的は、イソシアナート成分とイソシアナート反応性混合物と鎖伸長剤との反応生成物である組成物であって、フォームの粘弾性と物理特性を改良するために鎖伸長剤を含む組成物から形成されている粘弾性フォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する本発明は、16〜480g/L(1〜30lbs/ft3)の密度を有する粘弾性ポリウレタンフォームを提供する。このフォームは、トルエンジイソシアナートを実質的に含まないイソシアナート成分と、イソシアナート反応性成分と、骨格鎖に2〜8個の炭素原子を有している鎖伸長剤との反応生成物である。鎖伸長剤はまた重量平均分子量が1000未満であるように選択され、組成物の100質量部に対して5〜50質量部の量で使用される。上記組成物は、5〜65℃のガラス転移温度と0.40〜1.75のタンデルタピークを有するフォームを与える。
【0014】
従って、本発明はイソシアナート成分、イソシアナート反応性成分、および鎖伸長剤の反応生成物としての粘弾性ポリウレタンフォームを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明において、鎖伸長剤は、フォームの使用温度に近い望ましいガラス転移温度を有するフォームを製造するために自由度を拡大する。また、鎖伸長剤を有する組成物から形成された粘弾性ポリウレタンフォームは、フォームの粘弾性が維持されたまま、改良された物理特性を示す。従って、本発明により、上述の関連技術における問題点が解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、16〜480g/L(1〜30lbs/ft3)の密度を有する粘弾性ポリウレタンフォームを提供する。粘弾性ポリウレタンフォームは、好ましくは2.5〜25lbs/ft3、特に好ましくは3〜18lbs/ft3の密度を有する。フォームが粘弾性であるか否かを決定するために、様々な特性が測定される。そのひとつとして、フォームのガラス転移温度が挙げられる。ガラス転移温度は、動的機械熱分析(DMTA)によって測定される。ガラス転移温度は、典型的には約5〜50℃であり、好ましくは10〜40℃であり、特に好ましくは15〜35℃である。DMTAによりまた、フォームが圧縮サイクルの間にエネルギーを放散する能力を示し、フォームの回復時間に関係しているタンデルタ(tan δ)ピークが得られる。タンデルタピークは、約0.3〜1.8、好ましくは0.4〜1.75、特に好ましくは0.9〜1.5である。ガラス転移温度とタンデルタピークは、フォームの軟質セグメント相のガラス化の結果である。ガラス転移温度がフォームの使用温度にほぼ一致し、それによってフォームの粘弾性が最適化されるように、軟質セグメント相の構造および組成が調整されてガラス化が調整される。
【0017】
粘弾性に特に関係はないが、有効利用される他の特性には、密度、硬度、および回復性能が含まれる。回復性能に乏しいフォームには、指紋が残存するだろう。すなわち、指紋が長期間、例えばフォームを手で触ってから1分以上もの間、フォーム中に残るだろう。また、本発明により形成されたフォームは、べとつかず、触ると油っぽい残渣を有していない表面を有しているのが望ましい。
【0018】
本発明のフォームは、トルエンジイソシアナートを実質的に含まないイソシアナート成分とイソシアナート反応性成分と鎖伸長剤との反応生成物である。イソシアナート成分とイソシアナート反応性成分と鎖伸長剤とを含む組成物からフォームが形成されることは当業者に知られている。以下に示す各成分の量は、フォームまたは組成物のいずれに当てはめてもよい。というのは、当業者に理解されるように、反応を通して質量収支が保たれていなければならないからである。
【0019】
「トルエンジイソシアナートを実質的に含まない」とは、トルエンジイソシアナートがイソシアナート成分の100質量部に対して8質量部未満、好ましくは5質量部未満の量であることを意味する。より好ましくは、イソシアナート成分はトルエンジイソシアナートを完全に含まず、すなわち、トルエンジイソシアナートがイソシアナート成分の100質量部に対して0質量部の量である。
【0020】
しかしながら、フォームはポリウレタンフォームの粘弾性能に影響を与えないような最小量のトルエンジイソシアナートを含むことができると理解されるべきである。当業者に公知のイソシアナートインデックスとは、イソシアナート成分のNCO基のイソシアナート反応性成分のOH基に対する比を意味する。イソシアナートインデックスは、好ましくは75〜110であり、特に好ましくは80〜105である。イソシアナートインデックスと存在するイソシアナート反応性成分の量との組み合わせによりイソシアナート成分の量が決定できることは、当業者に理解されるであろう。
【0021】
イソシアナート成分は、純ジフェニルメタンジイソシアナートおよびポリマー状ジフェニルメタンジイソシアナートの少なくとも1種から選択されるのが好ましい。純ジフェニルメタンジイソシアナートには、ジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアナートおよびジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアナートが含まれることは、当業者に理解されている。ポリマー状ジフェニルメタンジイソシアナートには、3環化合物、4環化合物、5環化合物、およびより高次の類似体を有する多環ポリイソシアナートが含まれることは、当業者に理解されている。一形態において、純ジフェニルメタンジイソシアナートはイソシアナート成分の100質量部に対して50〜99質量%の量で存在し、ポリマー状ジフェニルメタンジイソシアナートはイソシアナート成分の100質量部に対して1〜50質量部の量で存在する。純ジフェニルメタンジイソシアナートには、該純ジフェニルメタンジイソシアナートの100質量部に対して1〜45質量部の量で存在するジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアナートおよび55〜99質量部の量で存在するジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアナートが含まれる。好適なイソシアナートの例としては、限定的ではないが、BASF Corporationから市販されているLUPRANATE(登録商標)MS、LUPRANATE(登録商標)M20S、LUPRANATE(登録商標)MI、LUPRANATE(登録商標)M10、LUPRANATE(登録商標)M70、およびLUPRANATE(登録商標)M200のイソシアナートおよびNo.236イソシアナート、No.233イソシアナート、およびNo.278イソシアナートが含まれる。
【0022】
他の形態において、イソシアナート成分は、イソシアナートとポリオールの反応生成物であるイソシアナート末端を有するプレポリマーとして添加されていてもよい。ポリオールは、1000より大きな重量平均分子量を有し、イソシアナート成分の100質量部に対して1〜20質量部の量で存在する。ポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、およびソルビトールの少なくとも1種から選択されうる。ポリオールはまた、限定的ではないが、エチレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、およびポリメチレンポリフェニレンポリアミン、およびアミノアルコールから選択されるポリアミンであってもよい。アミノアルコールの例には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびこれらの混合物が含まれる。好適なポリオールの例には、限定的ではないが、BASF Corporationから市販されているPLURACOL(登録商標)2100、PLURACOL(登録商標)2115、PLURACOL(登録商標)2120、PLURACOL(登録商標)2130、PLURACOL(登録商標)2145、PLURACOL(登録商標)593、PLURACOL(登録商標)945、PLURACOL(登録商標)1509、PLURACOL(登録商標)1051、PLURACOL(登録商標)1385、PLURACOL(登録商標)381、PLURACOL(登録商標)726、PLURACOL(登録商標)220、PLURACOL(登録商標)718、PLURACOL(登録商標)1718、PLURACOL(登録商標)1442、PLURACOL(登録商標)1117のポリオールが含まれる。
【0023】
イソシアナート反応性成分には、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールの少なくとも1種から選択されたポリオールが含まれる。好ましくは、ポリオールは、該ポリオール1g当たり20〜200mgKOHのヒドロキシル価を有する。ポリオールは、当業者に知られているように開始剤により形成され、これはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、およびソルビトールの少なくとも1種から選択することができる。ポリオールはまた、限定的ではないが、エチレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、およびポリメチレンポリフェニレンポリアミン、およびアミノアルコールから選択されたポリアミンであることができる。アミノアルコールの例には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびこれらの混合物が含まれる。
【0024】
ポリエステルポリオールは、適当な割合のグリコールおよびさらに高い官能価を有するポリオールとポリカルボン酸の縮合による得ることができる。好適なポリオールにはさらに、水酸基末端を有するポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカルボナート、ポリアセタール、ポリオレフィンおよびポリシロキサンが含まれる。好ましいポリオールは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド基を含むポリエーテルポリオールである。使用することができる他のポリオールには、上述の種類のポリオールに付加重合体または縮合重合体が分散または溶解したものが含まれる。このような変性ポリオールは、しばしば“ポリマー”ポリオールと言われるが、先行技術に十分に記載されており、この変性ポリオールには、ポリマー状ポリオール、例えばポリエーテルポリオール中で1種以上のビニルモノマー、例えばスチレンおよびアクリロニトリルをin−situで重合させることによって、または、ポリマー状ポリオール中でポリイソシアナートとアミノ−またはヒドロキシ−官能基を有する化合物、例えばトリエタノールアミンをin−situで反応させることによって、得られる生成物が含まれる。
【0025】
イソシアナート反応性成分は、エチレンオキシドリッチのポリオールと柔軟性ポリオールを含むのが好ましい。エチレンオキシドリッチのポリオールは、当業者に理解されているように、40〜95%、好ましくは50〜90%、特に好ましくは65〜85%のエチレンオキシド基を含有する。柔軟なポリオールは、110未満のヒドロキシル価を有する。好適なエチレンオキシドリッチのポリオールの例には、限定的ではないが、BASF Corporationから市販されているPLURACOL(登録商標)593、PLURACOL(登録商標)1123のポリオールが含まれる。好適な柔軟性ポリオールの例には、限定的ではないが、BASF Corporationから市販されているPLURACOL(登録商標)2100、PLURACOL(登録商標)380、PLURACOL(登録商標)2115、PLURACOL(登録商標)2120、PLURACOL(登録商標)2130、PLURACOL(登録商標)2145、PLURACOL(登録商標)945、PLURACOL(登録商標)1509、PLURACOL(登録商標)1051、PLURACOL(登録商標)1385、PLURACOL(登録商標)1538、PLURACOL(登録商標)381、PLURACOL(登録商標)726、PLURACOL(登録商標)220、PLURACOL(登録商標)718、PLURACOL(登録商標)1718、PLURACOL(登録商標)1442、PLURACOL(登録商標)1117、PLURACOL(登録商標)1135のポリオールが含まれる。
【0026】
本発明の組成物はさらに、2〜8個の炭素原子を有する骨格鎖を有する鎖伸長剤を含む。骨格鎖は、2〜6個の炭素原子を有するのが好ましい。鎖伸長剤はまた、1000未満の重量平均分子量を有する。好ましくは、鎖伸長剤は25〜250の範囲、より好ましくは100未満の重量平均分子量を有する。鎖伸長剤は、組成物の100質量部に対して5〜50質量部、好ましくは5〜30質量部、特に好ましくは5〜15質量部の量で存在することができる。
【0027】
鎖伸長剤は2個のイソシアナート反応性の基を有する。好ましくは、鎖伸長剤はイソシアナート反応性の基として水酸基を有するジオールである。より好ましくは、鎖伸長剤は、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−プロピレンジオール、および1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、および重量平均分子量が200までのポリエチレングリコールの少なくとも1種から選択することができる。市販の鎖伸長剤の好適な一例としては、Crompton OSIから市販されているNIAX(登録商標)DP−1022が挙げられる。
【0028】
鎖伸長剤は、フォームのガラス転移温度Tgを上昇させる。鎖伸長剤とイソシアナート成分が反応してフォームにおけるウレタン硬質セグメントが形成され、このセグメントが軟質セグメント内に組み込まれて軟質セグメントのTgを上昇させる。このことにより、従来は不可能であったが、フォームの密度とは独立に広い温度範囲にわたってTgを調整することができる。本発明は、鎖伸長剤の含有量を調整することによって広範囲のTgを有するフォームを製造する自由度を提供する。しかしながら、鎖伸長剤の含有量を調整することに加えて、イソシアナートインデックスを増加させることによってもTgを上昇させることができる。イソシアナートインデックスも同時に調整することによって、Tgと硬度の両方を独立に変化させることができる。
【0029】
本発明の組成物はさらに、架橋剤を含むことができる。架橋剤は、含まれる場合には、組成物の100質量部に対して2〜18質量部、好ましくは4〜16質量部、特に好ましくは4〜15質量部の量で存在する。好ましくは、架橋剤はアミンを基礎とした架橋剤であり、より好ましくは、アミンを基礎とした架橋剤がトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、および250より大きいヒドロキシル価を有するこれらのアルコキシル化物の少なくとも1種から選択される。しかしながら、アミンを基礎とした架橋剤以外の種類の架橋剤も本発明において使用することができる。250より大きなヒドロキシル価と2より大きな官能価を有するポリオールは、本発明において架橋剤として使用することができる。好適な架橋剤は、限定的ではないが、BASF Corporationから市販されているPLURACOL(登録商標)355である。
【0030】
モノオールも本発明の組成物に含むことができ、モノオールが存在する場合には、フォームのタンデルタピークを増加させるために、組成物の100質量部に対して1〜15質量部の量で存在する。好ましくは、モノオールはベンジルアルコール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、およびアルコールエトキシラートの少なくとも1種から選択される。モノオールを増量すると、フォームのタンデルタピークが増加する一方、フォームが軟質化し、回復が遅延する。他の樹脂副成分と比較してより多くのウレタンを形成するモノオールの量が増加すると、モノオールが高い水酸基含有量を有しているため、Tgもまた増加する。モノオールはまた他の典型的な界面活性剤を含んでいてもよい。好適なモノオールの例としては、限定的ではないが、Chemische Werke Hommel GmbHから市販されているSolketal、BASF Corporationから市販されているICONOL(商標)DA−4、ICONOL(商標)DA−6、MACOL(登録商標)LA4、PLURAFAC(登録商標)RA−40、PLURAFAC(登録商標)LF4030およびINDUSTROL(登録商標)TFA−8が挙げられる。
【0031】
本発明の組成物は、パラフィン性炭化水素鎖、環式炭化水素鎖、および芳香族炭化水素鎖の少なくとも1種を有する気泡開口剤を含むことができ、含まれる場合には、組成物の100質量部に対して1〜15質量部、好ましくは1〜12質量部、特に好ましくは3〜12質量部の量で存在する。好ましくは、気泡開口剤は鉱油である。しかしながら、他の気泡開口剤を使用してもよく、他の気泡開口剤としては、限定的ではないが、シリコーン油、コーン油、パーム油、亜麻仁油、大豆油、および、シリカのような粒子を基礎とした泡制止剤が挙げられる。気泡開口剤を使用して形成されたフォームは、気泡開口剤を使用しないで形成されたフォームに比較して、べとつきが極めて小さく、これらのフォームは油性の残渣を有さなかった。組成物の100質量部に対して2.5質量部未満の気泡開口剤を含むフォームでは、フォームを手で触った後の指紋残存傾向が抑制されることがわかっている。しかしながら、組成物の他の成分の調整によっても、指紋残存性に影響を与えることができる。気泡開口剤はフォームの通気度を増加させ、フォームの回復時間を短縮する。圧縮永久歪もまた低下する。好適な気泡開口剤の一例としては、Mallinckrodt Chemicalsから市販されている白軽質鉱油が挙げられる。
【0032】
本発明の組成物はまた、当業者に公知の安定化剤または触媒のような他の添加物を含むことができる。好適な安定化剤の例には、Goldschmidt Chemical Corporationから市販されているTEGOSTAB(登録商標)B−8409およびTEGOSTAB(登録商標)B−8418が含まれる。好適な触媒の例には、限定的ではないが、Air Producta and Chemicals Inc.から市販されているDABCO(登録商標)33LVおよびDABCO(登録商標)BL−11が挙げられる。
【0033】
本発明の組成物から形成されるフォームは、以下により詳細に説明するように、5〜65℃のガラス転移温度と、0.40〜1.75のタンデルタピークとを有している。上述のように、組成物中に存在する鎖伸長剤の量が、フォームのガラス転移温度に影響を与え、またフォームのタンデルタピークに影響を与える。鎖伸長剤が上述の好適な量で存在すると、ガラス転移温度が15〜35℃、タンデルタピークが0.9〜1.5のフォームが得られる。鎖伸長剤およびモノオールの量を、フォームがその使用温度でガラス転移を示すように選択し、調合し、調整するのが好ましい。特に、フォームが様々な温度領域で使用されることを考慮するとこの点が重要であり、フォームが特定の温度にさらに適合するように組成物を調整するのが好ましい。フォームの使用温度は、体温、季節、設置場所、またはこれらの全てに基礎を置いて考慮することができる。
【0034】
本発明は、さらに、粘弾性ポリウレタンフォームを形成する方法であって、トルエンジイソシアナートを実質的に含まないイソシアナート成分を導入する段階、イソシアナート反応性成分を導入する段階、上述の鎖伸長剤を導入する段階を含む方法を提供する。本発明はさらに、イソシアナート成分、イソシアナート反応性成分、および鎖伸長剤を反応させ、5〜65℃のガラス転移温度と0.40〜1.75タンデルタピークを有するフォームを形成する段階を含む。
【実施例】
【0035】
本発明に従って、粘弾性ポリウレタンフォームを形成した。組成物を形成する各成分の量は、特に示さない限り、質量部で示している。上述したように、イソシアナートインデックスとは、イソシアナート成分のNCO基のイソシアナート反応性成分のOH基に対する比を表している。
【0036】
表1は、以下の例においてさらに示されている一般的な調合を示している。基本的な調合は、以下の例に示すように、ポリオールC、鎖伸長剤、架橋剤、モノオール、水の量を調整することによって、またイソシアナートインデックスを変更することによって、変更される。以下の表で特に示さない限り、使用された水の量は、1.4質量部であり、使用された触媒2の量は0.2質量部である。
【0037】
【表1】

【0038】
上表において、ポリオールAは、BASF Corporation製のPLURACOL(登録商標)593ポリオールであり、このポリオールの官能価は2.96、重量平均分子量は3606、ヒドロキシル価は460であり、75%エチレンオキシド−25%プロピレンオキシドの不均質性を有している。ポリオールBは、BASF Corporation製のPLURACOL(登録商標)220ポリオールであり、このポリオールの官能価は3、重量平均分子量は6000、ヒドロキシル価は25であり、5%エチレンオキシド−95%プロピレンオキシドの不均質性を有している。架橋剤は、BASF Corporation製のPLURACOL(登録商標)335ポリオールであり、このポリオールの官能価は3.96、重量平均分子量は491、ヒドロキシル価は453であり、10%エチレンオキシド−77.9%プロピレンオキシドである。イソシアナート成分は、それぞれBASFCorporation製の、イソシアナートNo.233が48.7質量部、LUPRANATE(登録商標)MIイソシアナートが31.6質量部、LUPRANATE(登録商標)M20Sイソシアナートが19.7質量部の混合物である。鎖伸長剤は1,4−ブタンジオールである。添加剤はGoldschmidt Chemical Corporation製の安定剤TEGOSTAB(登録商標)B−8418である。触媒1はCrompton OSI製のNIAX(登録商標)A−1である。触媒2はAir Products and Chemicals Inc.製のDABCO(登録商標)33LVである。モノオールはベンジルアルコールである。
【0039】
以下の例に示すように、フォームは標準的な手練法を用いて手練により製造された。手練において、イソシアナート以外の全ての成分を64オンスの紙パックに導入し、3−インチの直径の円形混合羽根を使用して2200rpmの回転速度で48秒間予備混合した。次いで、イソシアナート成分を添加し、混合物を8秒間混合した。次いで、混合物を5ガロンのバケットに注ぎいれ、室温で少なくとも30分間硬化させた。次いで、フォームをオーブン中に置き、250°Fで16時間放置した。以下の表に示すように、いくつかのフォームは実験室規模のスラブ材用機器M−30を使用して製造された。これらのスラブ材用機器で製造されたフォームは、20分後にコンベヤーから取り出され、切断前に終夜硬化させられた。これらの例において記載されたフォームに対しては、圧潰は行われなかった。物理特性の試験は、以下に示すASTMの基準に従って行った。
【0040】
種々の物理特性を、本発明に従って製造されたフォームに関して測定した。密度は、ASTM D1622に従って測定した。窪み力によるたわみ(IFD)は、ASTM D3574に従って25%、50%、65%、および25%戻りの条件で測定した。ブロック引裂強さは、ASTM D1938に従って測定した。引張強さ試験は、ASTM D3574に従って行った。落球レジリェンスは、ASTM D3574に従って測定された。フラジール型通気度試験は、ASTM D737に従って行った。圧縮永久歪はASTM D395に従って測定し、加熱エージングはD3574に従って行った。DMTAは、D4065に従って測定した。DMTAは、Rheometrics RSAIIを使用して行った。2cmの幅で1/2インチの厚みの円盤型サンプルを、測定のためにダイス切断した。加熱速度5℃/分および周波数1Hz、0.5%の歪を使用した。
【0041】
表2は、組成物の100質量部に対して0〜7.5質量部の量で存在する鎖伸長剤、2.42または2.80の量で存在する水、および90または95のイソシアナートインデックスを有する、表1に示した基本調合物を示している。各例に対して測定された物理特性の結果が以下に示されている。
【0042】
【表2】

【0043】
図1、2、および3に、表2の結果が図示されている。一般的に、鎖伸長剤の量が増加するにつれて、フォームのTgが増加する。また、イソシアナートインデックスが増加するにつれ、フォームのTgが増加する。フォームのピークタンデルタは一般にイソシアナートインデックスが増加するにつれて減少するが、鎖伸長剤の量はピークタンデルタにあまり影響しない。フォームの硬度は、イソシアナートインデックスが100未満では、鎖伸長剤の量の増加によって実質的に影響を受けない。イソシアナートインデックスが105の場合は、鎖伸長剤の量が増えるにつれて硬度が増加する。水の量は、フォームの密度を調整するために変化させられる。
【0044】
表3は、フォームの収縮に関する鎖伸長剤とイソシアナートインデックスの影響を示している。
【0045】
【表3】

【0046】
表3から、イソシアナートインデックスの増加がフォームの収縮傾向を増すことことがわかる。しかしながら、鎖伸長剤の量を増加させることにより、高イソシアナートインデックスにおける収縮を減少させることができる。
【0047】
表4は、フォームの粘弾性および物理特性に関するポリオールCの量の変化の影響を示している。表4において、触媒2は0.1質量部の量で存在する。
【0048】
【表4】

【0049】
ポリオールCの量の増加により、フォームの密度が増加する傾向を示し、また引張強さおよび伸びが改良される。しかしながら、ポリオールCの量が増加すると、フラジール型通気度が減少する。フォームの粘弾性は、ポリオールCの量の増加によって影響を受けないようである。
【0050】
表5は、組成物の100質量部に対して12質量部の量で存在する鎖伸長剤および95のイソシアナートインデックスを有する表1に示した基本調合物から製造されたフォームの物理特性を示している。例19には他の難燃剤が含まれておらず、例20には組成物の100質量部に対して6質量部の量で存在する難燃剤を有している。例19および20のフォームは、上述のスラブ材用機器を使用して製造された。
【0051】
表5:12質量部の鎖伸長剤を有するフォームの特性
【0052】
【表5】

【0053】
【表6】

【0054】
例19も例20も垂直開放火炎試験に合格しなかったが、タバコくすぶり試験には合格した。これらの試験は、両方とも当業者に公知である。例20は垂直火炎試験には合格しなかったものの、例19に比較して炭化長と残炎時間の特性が改良されていた。
【0055】
表6は、組成物に存在するモノオールの量を変更させた影響を示している。以下の例は、組成物の100質量部に対して7質量部の量で存在する鎖伸長剤および100のイソシアナートインデックスを有する表1に示した基本調合物により製造された。表6において、触媒2は0.1質量部の量で存在している。
【0056】
【表7】

【0057】
図4に、上述の結果が図示されている。一般に、モノオールの量が増加すると、フォームのTgとピークタンデルタの両方が改良され、改良された粘弾性が得られる。しかしながら、増量されたモノオールはフォームの硬度を減少させ、フォームの柔軟性が増し、また、フォームの引張強さ、伸び、および引裂強さが減少する。
【0058】
表7は、存在する架橋剤の影響および得られるTgに関する影響を示している。フォームは、ポリオールBを使用しなかった点を除いて、表1の調合により製造された。鎖伸長剤は、組成物の100質量部に対して7質量部の量で存在している。イソシアナートインデックスは100である。表7において、触媒2のDabco 33LVは0.1質量部の量で存在している。また、架橋剤は、Pluracol355の代わりにトリエタノールアミンを使用した。
【0059】
【表8】

【0060】
表7から、架橋剤の量を増加させることにより、Tgが上昇するが、ピークタンデルタが減少することがわかる。ピークタンデルタは、圧縮サイクルの間にフォームがエネルギーを放散する能力を示し、回復時間に関係するから、高いピークタンデルタを維持するのが好ましい。フラジール型通気度はまた、架橋剤の量の増加につれて減少する。表6の例23と表7を考慮すると、6質量部のトリエタノールアミンを有する例27が、12質量部のPluracol355を有する例23と同等の特性を示すことがわかる。
【0061】
表8は、フォームに関する気泡開口剤の影響を示している。フォームは表1の調合により製造された。鎖伸長剤は組成物の100質量部に対して7質量部の量で存在しており、イソシアナートインデックスは100である。表8において、触媒2は0.1質量部の量で存在しており、イソシアナートは80.7質量部の量で存在している。
【0062】
【表9】

【0063】
気泡開口剤の量が増加しても、Tgとピークタンデルタに基づくフォームの粘弾性に影響が認められない。しかしながら、気泡開口剤の量の増加は、フォームの通気度を増加させ、このことは圧縮からの回復が改良されることを示す。従って、得られたフォームは改良された回復性を有しており、他の物理特性または粘弾性は犠牲になっていない。
【0064】
表9は、市販の高密度粘弾性フォームの比較例を示している。比較例は約5.3lbs/ft3の密度を有している。
【0065】
【表10】

【0066】
表9の比較例を表5の例20と比較すると、比較例も例20も同等の密度を有している。比較例は85g/Lの密度を有しており、例20は91g/Lの密度を有している。例20は、向上した引張強さ、加熱エージング後の引張強さ、および引裂抵抗特性を有している。例20は0%の高さ損失を示すが、比較例は1.5%の損失を示す。従って、例20は比較例より良好な疲れ特性を有している。比較例は28℃のTgを示し、例20は30.3℃のTgを有しており、両者が同等の粘弾性を示している。両者はタバコくすぶり試験に合格するが、例20は垂直開放火炎試験に合格しない。図5は、Tgが23.9℃、ピークタンデルタが1.56の他の比較例の粘弾性フォームのDMTAデータを示している。本発明に従った、Tgが23.5℃、ピークタンデルタが1.23のフォームの他の例のDMTAデータも、同様に図5に示している。
【0067】
本発明は、上述の例に限定されず、上述の教示に従って、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内での変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に従って形成された粘弾性ポリウレタンフォームのガラス転移温度に関する鎖伸長剤の量とイソシアナートインデックスの影響を示す図である。
【図2】本発明に従って形成された粘弾性ポリウレタンフォームのDMTA特性の調整に関する鎖伸長剤の増量とイソシアナートインデックスの増加の影響を示す図である。
【図3】鎖伸長剤の増量とイソシアナートインデックスの増加に基づく粘弾性ポリウレタンフォームの硬度の変化を示す図である。
【図4】粘弾性ポリウレタンフォームのガラス転移温度に関するモノオールの量の増加の影響を示す図である。
【図5】市販の粘弾性フォーム製品のDMTA特性と比較した本発明に従って製造された粘弾性ポリウレタンフォームのDMTA特性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
16〜480g/L(1〜30lbs/ft3)の密度を有する粘弾性ポリウレタンフォームであって、
イソシアナート成分と、
イソシアナート反応性成分と、
重量平均分子量が1000未満であり、骨格鎖に2〜8個の炭素原子を有している鎖伸長剤(ただし、鎖伸長剤はフォームの100質量部に対して5〜50質量部の量で使用されている。)と、
の反応生成物を含み、かつ、
5〜65℃のガラス転移温度と0.40〜1.75のタンデルタピークを有する粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
鎖伸長剤が、フォームの100質量部に対して5〜30質量部の量で使用されていることを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
鎖伸長剤が25〜250の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項2に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
鎖伸長剤が、フォームの100質量部に対して5〜15質量部の量で使用されていることを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
鎖伸長剤が100未満の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項4に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
鎖伸長剤が2個のイソシアナート反応性の基を有していることを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
鎖伸長剤がイソシアナート反応性の基として水酸基を有するジオールであることを特徴とする、請求項6に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項8】
鎖伸長剤が2〜6個の炭素原子を有していることを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項9】
鎖伸長剤が、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−プロピレングリコール、および1,5−ペンタンジオールの少なくとも1種から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項10】
鎖伸長剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、および重量平均分子量が200までのポリエチレングリコールの少なくとも1種から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項11】
フォームが15〜35℃のガラス転移温度と、0.9〜1.5のタンデルタピークを有することを特徴とする、請求項9に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項12】
イソシアナート成分が、該イソシアナート成分の100質量部に対して50〜99質量部の量の純ジフェニルメタンジイソシアナートおよび1〜50質量部の量のポリマー状ジフェニルメタンジイソシアナートであることを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項13】
純ジフェニルメタンジイソシアナートが、該純ジフェニルメタンジイソシアナートの100質量部に対して1〜45質量部の量のジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアナートおよび55〜99質量部の量のジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアナートであることを特徴とする、請求項12に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項14】
イソシアナート成分がイソシアナート末端を有するプレポリマーであることを特徴とする、請求項13に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項15】
プレポリマーがイソシアナートと1000より大きな重量平均分子量を有するポリオールとの反応による生成物を含み、前記ポリオールがイソシアナート成分の100質量部に対して1〜20質量部の量で使用されていることを特徴とする、請求項14に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項16】
前記反応生成物がさらにフォームの100質量部に対して2〜18質量部の量の架橋剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項17】
架橋剤がアミンを基礎とした架橋剤であることを特徴とする、請求項16に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項18】
アミンを基礎とした架橋剤が、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、および250より大きいヒドロキシル価を有するこれらのアルコキシル化物の少なくとも1種から選択されることを特徴とする、請求項17に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項19】
イソシアナート反応性成分が、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールの少なくとも1種から選択されたポリオールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項20】
ポリオールが、ポリオール1g当たり20〜200mgKOHのヒドロキシル価を有することを特徴とする、請求項19に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項21】
前記反応生成物がさらにフォームの100質量部に対して1〜15質量部の量のモノオールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項22】
モノオールが、ベンジルアルコール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、およびアルコールエトキシラートの少なくとも1種から選択されることを特徴とする、請求項21に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項23】
前記反応生成物がさらにパラフィン性炭化水素鎖、環式炭化水素鎖、および芳香族炭化水素鎖の少なくとも1種を有する気泡開口剤を含み、該気泡開口剤がフォームの100質量部に対して1〜15質量部の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項24】
気泡開口剤が鉱油であることを特徴とする、請求項23に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項25】
16〜480g/L(1〜30lbs/ft3)の密度を有する粘弾性ポリウレタンフォームの形成において使用するための組成物であって、
トルエンジイソシアナートを実質的に含まないイソシアナート成分と、
イソシアナート反応性成分と、
重量平均分子量が1000未満であり、骨格鎖に2〜8個の炭素原子を有している鎖伸長剤(ただし、鎖伸長剤は組成物の100質量部に対して5〜50質量部の量で存在する。)と、
を含む組成物。
【請求項26】
粘弾性ポリウレタンフォームを形成する方法であって、
難燃剤を実質的に含まないイソシアナート成分を導入する段階、
イソシアナート反応性成分を導入する段階、
重量平均分子量が1000未満であり、骨格鎖に2〜8個の炭素原子を有している鎖伸長剤(ただし、鎖伸長剤はフォームの100質量部に対して5〜50質量部の量で使用される。)を導入する段階、および、
イソシアナート成分、イソシアナート反応性成分、および鎖伸長剤を反応させ、5〜65℃のガラス転移温度と0.40〜1.75のタンデルタピークを有するフォームを形成する段階、
を含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2007−508399(P2007−508399A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515784(P2006−515784)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005460
【国際公開番号】WO2005/003206
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】