説明

粘着クリーナ用カバー

【課題】不必要に大きなスペースを占有することなく収納でき、粘着クリーナの取り出しあるいは挿入が容易で、液体などを吸着除去する拭き取り機能も併有する、利便性のある、ロール式粘着クリーナ用カバーを提供する。
【解決手段】変形可能な材料により構成された袋状の基部材11と、基部材11の内面に設けられ、剥離剤が塗布された非粘着シート15と、を有し、内部に粘着クリーナ20を収容することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープの接着剤塗布面にゴミなどを付着させ、ゴミ過多になると、粘着テープを1枚ずつ剥離するようにした粘着クリーナのカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、粘着クリーナは、表面側に接着剤、裏面に剥離剤が塗布された片面粘着テープを、接着剤塗布面が表面側になるように巻芯上に層状に卷回した粘着ロール部にハンドル部を設けたもので、粘着ロール部の片面粘着テープには、略一周長毎にミシン目が入れられている。
【0003】
使用に当っては、最外面に設けられた剥離紙を除去した後、ハンドル部を持って、衣服やカーペット等、ゴミや屑が付着した面に沿って粘着ロール部を転動させ、接着剤塗布面にゴミや屑を付着させる。そして、粘着ロール部の接着剤塗布面がゴミ過多になると、粘着テープを一周分剥離し、下面の新たな接着剤塗布面を露呈させる。
【0004】
したがって、不使用時には、通常、外表面が接着剤塗布面となり、この面が露呈していることになるので、従来から粘着ロール部をケースあるいはカバーにより覆い、不必要に付着したり、ゴミ付着した面が外部から目視されないようにしている。
【0005】
このようなカバーとしては、例えば、下記特許文献1及び2に開示されているような、プラスチックケースを最中合わせするもの、特許文献3に開示されているような、粘着ロール部が挿入される筒状のもの、特許文献4に開示されているような、棚状部分に収納するものなど、種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3132858号公報
【特許文献2】実開昭62−83369号公報
【特許文献3】実開昭62−18065号公報
【特許文献4】特開2009−56127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このようなカバーやケースは、プラスチックなどのような、比較的剛性のあるものにより構成されているので、これらを変形させることができず、大きな収納スペースが必要になる。粘着クリーナには、種々の大きさのものがあるが、大型のものは、例えば、軸方向長が30cm〜50cm程度、外径が15cm〜20cm程度のものもあり、大きな収納スペースが必要となる。
【0008】
また、カバーやケース内に、外表面が接着剤塗布面となっている粘着ロール部を収容すると、接着剤塗布面がカバーやケースの内面に付着することになり、粘着クリーナを取り出す場合には取り出しにくく、一方、挿入するときにはカバーやケースを完全に開いた状態にしなければ、接着剤塗布面がカバーやケースの内面に付着し挿入しにくい、という不具合がある。
【0009】
さらに、粘着クリーナは、水などの液体を吸着する機能はないため、フロアに水などがこぼれていると、別途雑巾などを準備し、これを拭き取るか、あるいはこの水などを避けて粘着クリーナを転動させなければならず、清掃作業に手間が掛かるという不具合もある。特に、これらカバーやケースは、ロール表面の接着剤塗布面が露呈しないようにするのみであり、他の使用目的に供し得るものではなく、その改良が望まれている。
【0010】
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたもので、不必要に大きなスペースを占有することなく収納でき、粘着クリーナの取り出しあるいは挿入が容易で、液体などを吸着除去する拭き取り機能も併有する、利便性のある、ロール式粘着クリーナ用カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る粘着クリーナ用カバーは、表面側に接着剤、裏面に剥離剤が塗布された片面粘着テープを、前記接着剤塗布面が表面側になるように巻芯上に層状に卷回した粘着ロール部と、当該粘着ロール部の軸方向端部に設けられたハンドル部と、を有する粘着クリーナを内部に収容するカバーであって、端部に前記粘着ロール部を挿入−取り出し可能な開口部が開設され、変形可能な材料により構成された袋状の基部材と、当該基部材の内面に設けられ、前記粘着ロール部の表面側接着剤と接着しない構成とされた非粘着シートと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、カバーを、開口部を有する変形可能な袋状の基部材の内面に非粘着シートを有する構成としたので、内部に粘着ロール部を収容しても、袋状の基部材を変形させれば、粘着ロール部よりやや大きなスペースで収納でき、不必要に大きな収納スペースをとることがなく収納できる。また、前記基部材の内面に非粘着シートを有するので、開口部から粘着クリーナの取り出しあるいは挿入する場合も、前記粘着ロール部の表面側接着剤がカバーに接触しても円滑に取り出しあるいは挿入できる。
【0013】
請求項2の発明では、前記基部材の外表面に拭き取り部材を有するので、フロアなどに水がこぼれていても、別途雑巾などを準備することなくカバー自体を用いてこれを吸着除去することができ、利便性が向上する。
【0014】
請求項3の発明では、前記拭き取り部材をモップ状としたので、ハンドル部を持ってカバー自体によりフロアの清掃を行なうことができ、その後、粘着クリーナで仕上げ清掃を行なうこともできる。
【0015】
請求項4の発明では、前記基部材を雑巾により構成し、これを前記拭き取り部材としたので、カバー自体を用いて空拭きあるいは水拭きを行なうことができる。
【0016】
請求項5の発明では、前記開口部に閉鎖部材を設けたので、前記非粘着シートに接着剤塗布面が密着し、カバーと粘着クリーナを略一体化した状態で清掃作業を行うことができ、この作業性が向上する。
【0017】
請求項6の発明では、前記閉鎖部材を、いわゆるチャックあるいはベルクロファスナーなどのようなファスナー部材により構成したので、粘着クリーナとカバーの脱着をきわめて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るロール式粘着クリーナ用カバーを示す概略分解斜視図である。
【図2】ロール式粘着クリーナ収納時の概略断面図である。
【図3】粘着テープの積層状態を示す要部概略断面図である。
【図4】カバーの要部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
本実施形態のロール式粘着クリーナ用カバー10は、図1,2に示すように、内部に粘着クリーナ20を収容する袋状をしたもので、基部材11の表面に拭き取り部材16が設けられている。
【0021】
さらに詳述する。基部材11は、例えば、布材、合成樹脂あるいはゴム材などのような変形可能な材料により構成され、上端部あるいは上端部から側部にかけて開口部12が開設され、開口部12には閉鎖部材13が設けられ、粘着クリーナ20をカバー10内に収容した状態では、側部の開口部12から粘着クリーナ20のハンドル部22が突出するようになっている。
【0022】
閉鎖部材13は、いわゆるチャックあるいはベルクロファスナーなどのようなファスナー部材により構成されているが、これのみでなく、釦、係合フックあるいはパッチン止めのフックなどを使用してもよい。閉鎖部材13による閉鎖を解くと、粘着ロール部21をカバー10内に挿入したり、カバー10から取り出したりできるように開口部12が側部まで大きく開放され、粘着ロール部21の挿脱を容易に行うことができるようになっている。
【0023】
基部材11の内面には、粘着ロール部21の表面側接着剤24と接着しない構成とされた非粘着シート15(図4参照)が全面に渡り設けられ、開口部12からハンドル部22を持って粘着クリーナ20の粘着ロール部21を挿入する場合あるいは粘着クリーナ20を取り出す場合に、接着剤塗布面(図3参照)がカバー10の内面に接触しても、その粘着力により取り出しあるいは挿入が阻害されないように構成されている。
【0024】
ここに、非粘着シート15としては、例えば、ポリエステル系、ポリアクリル系、ナイロン系などの化学繊維、木綿などの天然繊維、前記化学繊維や天然繊維の混合繊維、ビニール、ウレタン、ポリオレフィン、ゴムなどの合成樹脂シート、あるいは前述した化学繊維、天然繊維、合成樹脂シートを貼り合わせたものなどのシート材の表面に、剥離剤として、シリコン系と非シリコン系(ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素樹脂等)の樹脂を塗布されたものが好ましい。ただし、これらのみに限定されるものではなく、場合によっては、いわゆる剥離紙などを使用することもできる。
【0025】
このような非粘着シート15を用いると、粘着クリーナ20を使用する場合に、更なる有利な点が生じる。つまり、閉鎖部材13により開口部12を閉鎖すれば、内部に粘着ロール部21が収容された状態になるが、このとき、粘着ロール部21の表面に接着剤塗布面が露呈していると、接着剤塗布面が非粘着シート15に密着することになる。接着剤塗布面は、非粘着シート15から剥がれ易いものの、押し付けて密着させると、接着剤塗布面と非粘着シート15相互間に大きな摩擦抵抗が生じ、カバー10と内部の粘着クリーナ20との間でズレが生じることがない。
【0026】
この結果、カバー10をフロアに押し付けて清掃を行なうときには、粘着ロール部21の接着剤塗布面と非粘着シート15相互間に密着し、カバー10と粘着クリーナ20を略一体化した状態で円滑に清掃作業を行うことができ、清掃作業の利便性が向上する。
【0027】
基部材11の外表面に設けられている拭き取り部材16は、フロアにこぼれた水などを拭き取ることができる、液体吸着機能を有するものであれば、どのようなものであってもよいが、例えば、図4に示すような、基部材11に比較的大径の糸材17が植設されたモップ状に構成することが好ましい。モップ状であれば、ハンドル部を持ってカバー10自体によりフロアを掃いたり、フロアの空拭きを行なうことができ、その後、粘着クリーナ20で細かな埃などを吸着除去する仕上げ清掃を行なうことができる。
【0028】
モップ状の拭き取り部材16は、例えば、図4に示ように、基部材11の一面からU字状のパイル糸を他面側に向かって突出させることにより形成する。パイル糸としては、長期間の使用にわたって吸水時における水分の染み出しを防止し、保持することができるものを使用することが好ましいが、掃き掃除行う場合の箒に相当するように基部材11からの突出長が比較的長尺なものが好ましい。
【0029】
拭き取り部材16は、これのみでなく、図示はしないが基部材11自体を雑巾などにより構成してもよい。このようにすれば、カバー10自体を用いて空拭きあるいは水拭きを行なうことができる。
【0030】
粘着クリーナ20は、図1に示すように、粘着ロール部21とハンドル部22とを有している。粘着ロール部21は、図3に示すように、クラフト紙などのシート部材23の表面側に接着剤24が塗布され、裏面に前述の剥離剤(不図示)が塗布された片面粘着テープを、接着剤塗布面が表面側になるように巻芯25上に層状に卷回することにより構成されている。
【0031】
ハンドル部22は、把持して操作できるものであれば、どのようなものであってもよいが、例えば、巻芯25内に挿入された芯棒26に金属あるいは樹脂などからなるロッド27の一端を連結し、他端に把持部28を取付けたものである。
【0032】
次に作用を説明する。
【0033】
まず、フロアにごみや埃などが存在すれば、粘着クリーナ20が収容されたカバー10から突出されたハンドル部22の把持部28を持って、掃き掃除乃至拭き掃除を行う。カバー10にはモップ状の拭き取り部材16が設けられ、袋状の基部材11から長尺で大径の糸材17が突出されており、これが垂下した状態になっているので、恰も箒のように使用でき、掃き掃除を行うことができる。
【0034】
把持部28を持ってカバー10をフロアに押し付けて拭き掃除を行うこともできる。フロアなどに水がこぼれていても、別途雑巾などを準備することなくカバー10自体を用いて水を吸着除去することができる。なお、水を吸着してもモップ状の拭き取り部材16の内面には、非粘着シート15が設けられているので、この水がカバー10内の粘着クリーナ20に悪影響を及ぼすことはない。
【0035】
カバー10をフロアに押し付ける拭き掃除を行う場合、開口部12は閉鎖部材13により閉鎖しておく。これにより、カバー10内面の非粘着シート15が粘着クリーナ20の接着剤塗布面を全周に渡り覆うことになるので、フロア面に対向する非粘着シート15が粘着クリーナ20の接着剤塗布面に密着し、カバー10と粘着クリーナ20を略一体化し、カバー10をフロアに押し付けても粘着クリーナ20との間でズレが生じることなく、円滑に清掃作業を行うことができる。この場合、芯棒26の周囲を粘着ロール部21が回転するが、カバー10はこれに追随して回転するか、あるいは一定の固定した位置でフロア面上を移動する。
【0036】
このようにしてごみなどが処理された後に、細かな埃などを除去する場合には、カバー10から粘着クリーナ20を取り出し、フロア表面に沿って粘着ロール部21を転動させる。この結果、フロア表面に残っている細かな埃などが粘着ロール部21表面に付着し、除去される。
【0037】
清掃が完了すると、カバー10の開口部12から粘着クリーナ20を内部に収容するが、カバー10の内面には、非粘着シート15が設けられているので、粘着クリーナ20の接着剤塗布面がカバー10の内面に接触しても、その粘着力により挿入が阻害されることがなく、円滑に挿入できる。
【0038】
そして、粘着クリーナ20が内部に収容されたカバー10は、閉鎖部材13により開口部12が閉鎖されると、外部からごみなどが付着したものは覆い隠されることになる。また、これを収納する場合には、内部の粘着クリーナ20に沿うようにカバー10を変形させることができるので、不必要に大きな収納スペースを要することなく、収納できる。
【0039】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、上述した実施形態は、開口部12の口縁部分を閉鎖部材13により近接させて閉鎖するものであるため、全面がモップ状部材により覆われていないことになるが、これのみでなく開口部12の一方の口縁部分を延長し、この延長部分で開口部12を覆い、全面をモップ状にしてもよい。このようにすれば、開口部12より突出されたハンドル部22を持って、芯棒26を中心としてカバー10全体を転動させつつ掃除を行うとき、比較的円滑に転動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、粘着クリーナのカバーとして利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10…カバー、
11…基部材、
12…開口部、
13…閉鎖部材、
15…非粘着シート、
16…拭き取り部材、
17…糸材、
20…粘着クリーナ、
21…粘着ロール部、
22…ハンドル部、
24…接着剤、
26…巻芯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に接着剤、裏面に剥離剤が塗布された片面粘着テープを、前記接着剤塗布面が表面側になるように巻芯上に層状に卷回した粘着ロール部と、当該粘着ロール部の軸方向端部に設けられたハンドル部と、を有する粘着クリーナを内部に収容するカバーであって、
端部に前記粘着ロール部を挿入−取り出し可能な開口部が開設され、変形可能な材料により構成された袋状の基部材と、当該基部材の内面に設けられ、前記粘着ロール部の表面側接着剤と接着しない構成とされた非粘着シートと、を有する粘着クリーナ用カバー。
【請求項2】
前記基部材は、当該基部材の外表面に設けられ、液体を吸着する拭き取り部材を有することを特徴とする請求項1に記載の粘着クリーナ用カバー。
【請求項3】
前記拭き取り部材は、前記基部材に大径の糸材が植設されたモップ状に構成したことを特徴とする請求項2に記載の粘着クリーナ用カバー。
【請求項4】
前記拭き取り部材は、前記基部材を雑巾により構成したことを特徴とする請求項2に記載の粘着クリーナ用カバー。
【請求項5】
前記開口部は、当該開口部を閉鎖する閉鎖部材を有することを特徴とする請求項1に記載の粘着クリーナ用カバー。
【請求項6】
前記閉鎖部材は、ファスナー部材により構成したことを特徴とする請求項5に記載の粘着クリーナ用カバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate