説明

粘着シート

【課題】貼付位置に正確かつ容易に貼り付けることが可能であり、加えて、小さなサイズで包装構造に収容可能で包装材料の大幅なコスト削減を実現し得る粘着シートを提供すること。
【解決手段】本発明の1つの実施形態による粘着シートは、支持体と、支持体上に設けられた粘着剤層と、粘着剤層の表面を覆って剥離可能に積層されたセパレーターとを有する。この粘着シートは、長手方向または短手方向の所定の位置でセパレーターを外側として2つ折りとされ、セパレーターは、2つ折りの折り目部分で分割されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関する。より詳細には、本発明は、貼付位置に正確かつ容易に貼り付けることが可能であり、加えて、小さなサイズで包装構造に収容可能で包装材料の大幅なコスト削減を実現し得る粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚、創傷または創傷を被覆する一次ドレッシングの保護や汚染防止を目的として、これらの上からフィルムドレッシング等の粘着シートを被覆することが一般的に行われている。さらに、このような粘着シートは、経皮吸収剤を保護する用途にも用いられている。このような粘着シートは、支持体の一方の面に保護フィルムまたはキャリアが積層され、他方の面に粘着剤およびセパレーターが順次積層されている。粘着シートには貼付けの容易さ(操作性)が強く求められており、操作性を高めるために種々の改良が試みられている。例えば、セパレーターを複数(例えば、2つ)に分割した粘着シートが知られている。当該粘着シートは、一方のセパレーターを剥がし、被着部位の位置を確認しながら貼り付け、次いで残りのセパレーターを剥がして全体が貼り付けられる。また例えば、保護フィルムまたはキャリアにフレームを設けて、セパレーター剥離後の自己支持性を向上させることにより、操作性を改善した粘着シートが知られている。
【0003】
しかし、上記のような粘着シートは、未だ操作性が十分ではない。すなわち、セパレーター剥離後の(すなわち、キャリア、支持体および粘着剤の)透明性が十分でない場合には、被着部位の位置を確認しながら貼り付けることが困難であり、その結果、被着部位に所望の状態で貼り付けることが困難である場合が多い。被着部位が周囲の色と同系色である場合、あるいは、被着部位の面積が大きく粘着シートのサイズに近接する場合には、貼り付けがさらに困難となる場合が多い。その結果、被着部位を粘着シートの中央に配置して貼り付けることができない、被着部位が粘着シートからはみ出す、シワやめくれが発生する等の問題があり、粘着シート本来の保護機能および汚染防止機能が十分に働かない場合が多い。
【0004】
ところで、粘着シートは、多くの場合、包装構造に収容されて提供される。粘着シートを収容した包装構造においては、そのコストのかなりの部分が包装材料に関するものである。したがって、粘着シートのコストを削減するための1つの方策として、包装材料のコスト削減が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−191834号公報
【特許文献2】実開平1−104123号公報
【特許文献3】実開昭61−180024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、貼付位置に正確かつ容易に貼り付けることが可能であり、加えて、小さなサイズで包装構造に収容可能で包装材料の大幅なコスト削減を実現し得る粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態による粘着シートは、支持体と、該支持体上に設けられた粘着剤層と、該粘着剤層の表面を覆って剥離可能に積層されたセパレーターとを有し、長手方向または短手方向の所定の位置で該セパレーターを外側として2つ折りとされ、該セパレーターが、該2つ折りの折り目部分で分割されている。
本発明の別の実施形態による粘着シートは、支持体と、該支持体上に設けられた粘着剤層と、該粘着剤層の表面を覆って剥離可能に積層されたセパレーターとを有し、長手方向または短手方向の所定の2ヶ所で該セパレーターを外側として折り曲げられて3つ折りとされ、該セパレーターが、該2ヶ所の折り目部分の一方で分割されている。
好ましい実施形態においては、上記セパレーターは、上記分割部分の上記粘着剤層端部から外側に延びる延出部を有する。
好ましい実施形態においては、上記分割されたセパレーターの少なくとも一方は、その分割部分側の端部に折り返し部を有する。
好ましい実施形態においては、上記粘着シートは、上記支持体の上記粘着剤層が設けられていない側の面に、該支持体と剥離可能に積層されたキャリアをさらに有する。
好ましい実施形態においては、上記キャリアの上記折り目に対応する部分は引き裂き可能とされている。
好ましい実施形態においては、上記支持体および上記粘着剤層の少なくとも1つは、半透明または不透明である。
好ましい実施形態においては、上記粘着剤層は薬物を含有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粘着シートを2つ折りまたは3つ折りとすることにより、貼付位置に正確かつ容易に貼り付けることが可能であり、加えて、小さなサイズで包装構造に収容可能で包装材料の大幅なコスト削減を実現し得る粘着シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明の1つの実施形態による粘着シートを広げた状態を説明する概略平面図である。
【図1B】図1Aの粘着シートのB−B線による概略断面図である。
【図1C】本発明の1つの実施形態による粘着シートの提供形態を説明する概略断面図である。
【図2】本発明の粘着シートの貼り付け手順を説明するための概略図である。
【図3】本発明の別の実施形態による粘着シートの提供形態を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの具体的な実施形態には限定されない。
【0011】
図1Aは、本発明の1つの実施形態による粘着シートを広げた状態を説明する概略平面図であり;図1Bは、図1Aの粘着シートのB−B線による概略断面図であり;図1Cは、本発明の1つの実施形態による粘着シートの提供形態を説明する概略断面図である。なお、見やすくするために、図示例の縦、横および厚みの比率は実際とは異なっており、さらに、図1Aおよび図1Bと図1Cとでは縦、横および厚みの比率が異なっている。図1Aおよび図1Bに示すように、粘着シート100は、広げた状態においては、支持体10と、支持体10上に設けられた粘着剤層20と、粘着剤層20の表面を覆って剥離可能に積層されたセパレーター30とを有する。好ましくは、図示例のように、粘着シート100は、支持体10の粘着剤層20が設けられていない側の面に、支持体10と剥離可能に積層されたキャリア40をさらに有する。本発明においては、図1Cに示すように、粘着シート100は、粘着シートの長手方向または短手方向の所定の位置でセパレーター30を外側として2つ折りとされている。したがって、図示例においては、最内側で折り曲げられたキャリア40の折り曲げられた部分同士が対向している。粘着シートを2つ折りとすることにより、粘着シートの提供形態における面積をほぼ半分にすることができる。その結果、例えば粘着シートが経皮吸収剤である場合のように密封した包装構造に収容して提供される際に、包装構造のサイズ(包装材料の使用量)をほぼ半分にすることができる。したがって、本発明によれば、包装された粘着シートを格段に低コストで提供することができる。
【0012】
図1Bおよび図1Cに示すように、セパレーター30は、上記2つ折りの折り目部分で第1の分割片30aと第2の分割片30bとに分割されている。上記2つ折りの折り目部分の位置は、目的や被着部位の状態等に応じて適切に設定され得る。好ましくは、図示例のように、上記折り目部分の位置は、粘着シートの長手方向または短手方向の略中央部である。粘着シートの略中央部分で2つ折りとすることにより、粘着シートの被着部位に対する位置決めおよび貼付操作が容易となる。さらに、粘着シートの提供形態における面積を最も小さくすることができるので、最も優れたコスト削減効果が実現され得る。
【0013】
好ましくは、図示例のように、第1の分割片30aの分割部分側の端部には、セパレーターの剥離方向と略垂直な方向(すなわち、図1Aの紙面の上下方向、図1Cの紙面に垂直な方向)に沿って延びる折り返し部30cが設けられている。折り返し部を設けることにより、セパレーターの剥離操作が容易となり、粘着シートを2つ折りとすることによる位置決めおよび貼付の容易性とあいまって、操作性にきわめて優れた粘着シートが得られ得る。折り返し部は、図示例のように第1の分割片30aのみに設けてもよく、第2の分割片30bのみに設けてもよく、第1の分割片30aおよび第2の分割片30bの両方に設けてもよい。
【0014】
好ましくは、セパレーター30の第1の分割片30aおよび第2の分割片30bのそれぞれについて、分割部分の粘着剤層20端部(粘着剤層の折り目部分)から外側に延びる延出部30d、30dが設けられている。延出部を設けることにより、セパレーターの剥離操作がさらに容易となる。さらに、粘着剤層の折り目部分の露出を防ぐことができるので、粘着剤層(特に、折り目部分の粘着剤層)表面の汚染を防ぐことができる。さらに、粘着シートの貼付における操作性が顕著に向上し得る。このような延出部は、例えば図1Bに示すような構成の粘着シートを2つ折りにすることにより設けられ得る。すなわち、粘着シートを広げた状態において、第1の分割片30aは、その内側端部が第2の分割片30bの内側端部に重なるようにして配置されている。折り目部分50は、第1の分割片30aおよび第2の分割片30bの重なった部分に位置するように、さらに好ましくは当該重なった部分のほぼ中央部に位置するように構成され得る。このような構成とすることにより、折り目部分50で2つ折りにした場合に、延出部30d、30dの端部を同一平面に位置させることができる。その結果、上記のように粘着剤層の折り目部分の露出を防ぐことができ、かつ、粘着シートの貼付における操作性が顕著に向上し得る。
【0015】
支持体10としては、粘着シートに使用可能である限りにおいて、任意の適切なフィルムが採用され得る。代表的には、可撓性を有し、皮膚などの生体表面に障害を与えないフィルムが採用され得る。そのようなフィルムの材料の具体例としては、アクリル重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリエーテルポリエステルおよびポリアミド誘導体が挙げられる。支持体10の厚みとしては、目的や用途に応じて任意の適切な厚みが採用され得る。支持体の厚みは、好ましくは5μm〜150μmであり、さらに好ましくは10μm〜75μmである。このような厚みであれば、生体表面(例えば、皮膚)の凹凸への追従性に優れ、粘着シートの基材として良好に機能し得る。
【0016】
粘着剤層20を構成する粘着剤としては、経皮吸収剤の外側表面および/または生体表面に貼り付けて使用可能である限りにおいて任意の適切な粘着剤が採用され得る。このような粘着剤の具体例としては、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系、シリコーン系等の粘着剤が挙げられる。アクリル系粘着剤が好ましい。皮膚に与える刺激をより抑えることができるからである。アクリル系粘着剤の中でも、油性ゲル状のアクリル粘着剤が特に好ましい。瘢痕部や縫合創、ならびに光過敏症や光アレルギーの皮膚に対しても低刺激だからである。油性ゲル状のアクリル粘着剤の詳細は、特開平6-319793号公報に記載されており、その記載は本明細書に参考として援用される。粘着剤層20の厚みとしては、目的や用途に応じて任意の適切な厚みが採用され得る。粘着剤層の厚みは、好ましくは5μm〜60μmであり、さらに好ましくは10μm〜50μmである。このような厚みであれば、生体表面への密着性に優れるので、貼り付けられた粘着シートの浮きや剥がれが良好に防止され得る。
【0017】
粘着剤層20を支持体10の表面に設ける方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、粘着剤組成物を支持体フィルム上に塗布し乾燥させる方法、粘着剤組成物を所定の形状に成形した粘着剤層を支持体フィルム上に積層する方法が挙げられる。
【0018】
1つの実施形態においては、上記粘着剤層は薬物を含有する。すなわち、本発明の粘着シートは、経皮吸収剤または薬物含有粘着シートであり得る。粘着剤層に含有される薬物としては、経皮吸収が可能であれば、目的に応じて任意の適切な薬物が選択され得る。薬物の具体例としては、全身性麻酔薬、催眠・鎮静薬、抗癲癇薬、解熱鎮痛消炎薬、鎮暈薬、精神神経用薬、局所麻酔薬、骨格筋弛緩薬、自律神経用薬、鎮痙薬、抗パーキンソン薬、抗ヒスタミン薬、強心薬、不整脈用薬、利尿薬、血圧降下薬、血管収縮薬、冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬、動脈硬化用薬、循環器用薬、呼吸促進薬、鎮咳去痰薬、ホルモン薬、化膿性疾患用外用薬、鎮痛・鎮痒・収斂・消炎用薬、寄生性皮膚疾患用薬、止血用薬、痛風治療用薬、糖尿病用薬、抗悪性腫瘍用薬、抗生物質、化学療法薬、麻薬が挙げられる。粘着剤層中の薬物の含有量は、薬物の種類、投与目的等に応じて適切に設定され得る。例えば、薬物は、粘着剤層中に好ましくは0.5重量%〜60重量%の範囲で含有され得る。
【0019】
セパレーター30としては、粘着剤層20と良好に剥離し得る限りにおいて任意の適切なセパレーターが採用され得る。代表的には、セパレーターは、基体と、当該基体表面に形成された剥離処理層とを有する。基体の具体例としては、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、またはこれらの積層複合体)、紙(例えば、上質紙、クラフト紙等)が挙げられる。剥離処理層は、基体表面にシリコーン系樹脂処理やフッ素系樹脂処理等を施すことによって形成され得る。セパレーターの厚みは、目的に応じて適切に設定され得る。セパレーターの厚みは、好ましくは50μm〜250μmであり、さらに好ましくは75μm〜200μmである。
【0020】
キャリア40は、粘着シートに剛性および形状保持性を与え、取り扱い性を改善するための層(またはフィルム)である。キャリアを用いることにより、貼り付け操作の際の粘着シートの浮きを抑制することができる。さらに、キャリア40は、使用前に粘着シートに傷がついたり破損したりすることを防ぎ、当該粘着シートが滅菌処理された場合には、表面を無菌状態に長く保つ保護層としても機能する。キャリア40は、目的に応じて任意の適切な材料で構成され得る。そのような材料の具体例としては、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、またはこれらの積層複合体)、紙(例えば、上質紙、クラフト紙等)が挙げられる。キャリア40の厚みは、用途や構成材料に応じて変化し得る。キャリアの厚みは、好ましくは15μm〜200μmであり、さらに好ましくは20μm〜100μmである。
【0021】
キャリア40を支持体10の表面に剥離可能に積層する方法としては、任意の適切な方法を用いることができる。そのような方法の具体例としては、インフレーション成型、押出ラミネート成型、積層成型、キャスティングが挙げられる。
【0022】
キャリア40は、好ましくは引き裂き可能とされており、さらに好ましくは上記折り目に対応する部分で引き裂き可能とされている。キャリアを引き裂き可能とすることにより、粘着シート貼付後のキャリアの剥離が格段に容易となる。引き裂き可能とする構成としては、任意の適切な構成が採用され得る。具体例としては、ミシン目、穿孔、切れ込み、折り目が挙げられる。
【0023】
好ましくは、支持体10および粘着剤層20(ならびに、キャリア40が設けられている場合にはキャリア)の少なくとも1つは、半透明または不透明である。粘着シートの用途によっては、支持体10および/または粘着剤層20を着色するのが好ましい場合がある(例えば、ヒトの皮膚と同系色とすることにより、貼り付けた際に目立たなくさせる場合)。この場合、従来の粘着シートでは、セパレーター剥離後の(すなわち、支持体および粘着剤層の)透明性が不十分であることにより、被着部位の位置を確認しながら貼り付けることが困難であることが多く、その結果、被着部位に所望の状態で貼り付けることが困難である場合が多い。一方、本発明によれば、粘着シートを2つ折りとして構成することにより、被着部位に対する位置決めを容易に行うことができるので、このような問題点を解消することができる。したがって、支持体10および/または粘着剤層20が着色されている場合であっても、粘着シートを被着部位に所望の状態でかつ正確に貼り付けることができる。より具体的には、図2(a)に示すように、被着部位60の中央部分に2つ折りの折り目部分50を位置合わせする。次いで、セパレーター30の第1の分割片30aの折り返し部分30cをつかんで当該第1の分割片30aを剥離し、図2(b)に示すように、粘着シートの半分を被着部位60に貼り付ける。次いで、第2の分割片30bを剥離しながら粘着シートを被着部位の残りの部分に貼り付けることにより、図2(c)に示すように、粘着シートの貼り付けが完了する。このように、支持体10および/または粘着剤層20が着色されている場合であっても、粘着シートを被着部位に所望の状態でかつ正確に貼り付けることができるようにしたことが、本発明の成果の1つである。なお、第2の分割片30bにも折り返し部を設けることにより、第2の分割片30bの剥離操作がさらに容易となり、被着部位に触れる可能性を格段に小さくすることができる。
【0024】
図3は、本発明の別の実施形態による粘着シートの提供形態を説明する概略断面図である。この粘着シート100´は、広げた状態においては、図1Aおよび図1Bに示した形態と実質的に同様の形態を有する。図3の実施形態においては、粘着シート100´は、長手方向または短手方向の所定の2ヶ所でセパレーター30を外側として折り曲げられて3つ折りとされている。粘着シートを3つ折りとすることにより、粘着シートの提供形態における面積をほぼ1/3にすることができる。その結果、包装構造のサイズ(包装材料の使用量)をほぼ1/3にすることができるので、本実施形態によれば、包装された粘着シートをさらに低コストで提供することができる。
【0025】
上記3つ折りの2ヶ所の折り目部分の位置は、目的や被着部位の状態等に応じて適切に設定され得る。好ましくは、2ヶ所の折り目部分の位置は、粘着シートをほぼ3等分するように設定され得る。このような構成とすることにより、粘着シートの提供形態における面積を最も小さくすることができるので、最も優れたコスト削減効果が実現され得る。本実施形態においては、図3に示すように、セパレーター30は、上記3つ折りの2ヶ所の折り目部分の一方で第1の分割片30aと第2の分割片30bとに分割されている。2ヶ所の折り目部分の両方でセパレーター30を3つに分割してもよいが、貼付の操作性を考慮すると、上記のようにセパレーターを2分割するのが好ましい。好ましくは、セパレーター30の第1の分割片30aおよび第2の分割片30bのそれぞれについて、分割部分の粘着剤層20端部(粘着剤層の折り目部分)から外側に延びる延出部30d、30dが設けられている。さらに、好ましくは、図示例のように、第1の分割片30aおよび第2の分割片30bのそれぞれの分割部分側の端部には、セパレーターの剥離方向と略垂直な方向(すなわち、図1Aの紙面の上下方向、図1Cの紙面に垂直な方向)に沿って延びる折り返し部30c、30cが設けられている。折り返し部を設けることにより、セパレーターの剥離操作が容易となり、粘着シートを折りたたむことによる位置決めおよび貼付の容易性とあいまって、操作性にきわめて優れた粘着シートが得られ得る。折り返し部は、図示例のように第1の分割片30aおよび第2の分割片30bの両方に設けてもよく、第1の分割片30aのみに設けてもよく、第2の分割片30bのみに設けてもよい。好ましくは、折り返し部は、図示例のように第1の分割片30aおよび第2の分割片30bの両方に設けられる。両方に折り返し部を設けることにより、さらに優れた操作性を有する粘着シートが得られ得る。
【実施例】
【0026】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0027】
[実施例1]
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる厚さ40μmのキャリアに、半透明なポリエチレンテレフィタレートフィルムからなる厚さ30μmの支持体を押出ラミネートした。この積層体の支持体表面に、透明アクリル系粘着剤よりなる粘着剤層を厚さ30μmとなるように設けた。一方、厚さ100μmの紙の片面にシリコーン樹脂処理を施し、セパレーターを得た。得られたセパレーターを第1の分割片と第2の分割片とに分割した。このとき、第2の分割片の外側端部を粘着剤層の外側端部と合わせたときに、第2の分割片の内側端部が粘着剤層の長手方向のほぼ中央部分に位置するようなサイズとなるように第2の分割片を形成した。当該第2の分割片を、その外側端部と粘着剤層の外側端部とが一致するようにして上記粘着剤層の粘着面に貼り合わせた。次に、上記第1の分割片の内側端部に折り返し部を設け、第1の分割片の内側端部が第2の分割片の内側端部に7mm程度重なるようにして、上記粘着剤層の粘着面の残りの部分に第1の分割片を貼り合わせ、図1Aおよび図1Bに示すような粘着シートを得た。この粘着シートを、ゼンマイ刃により90mm×90mmに打ち抜いた。打ち抜いた粘着シートを、第1の分割片と第2の分割片との重なり部分でキャリアが内側となるように2つ折りにして、図1Cに示すような粘着シートを得た。ここで、第1の分割片および第2の分割片の上記重なり部分側の端部は、2つ折りにした状態において粘着剤層の折り目部分の端部から外側に延出する延出部となり、粘着剤層の露出を防止した。
【0028】
[実施例2]
第2の分割片の内側端部に折り返し部を設けたこと以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0029】
[実施例3]
実施例1と同様にして、キャリア/支持体/粘着剤層の積層体およびセパレーターを得た。得られたセパレーターを第1の分割片と第2の分割片とに分割した。このとき、第2の分割片の外側端部を粘着剤層の外側端部と合わせたときに、第2の分割片の内側端部が粘着剤層の長手方向のほぼ2/3に位置するようなサイズとなるように第2の分割片を形成した。さらに、第2の分割片の内側端部には折り返し部を設けた。当該第2の分割片を、その外側端部と粘着剤層の外側端部とが一致するようにして上記粘着剤層の粘着面に貼り合わせた。次に、上記第1の分割片の内側端部に折り返し部を設け、第1の分割片の内側端部が第2の分割片の内側端部に7mm程度重なるようにして、上記粘着剤層の粘着面の残りの部分に第1の分割片を貼り合わせ、粘着シートを得た。この粘着シートを、ゼンマイ刃により90mm×90mmに打ち抜いた。打ち抜いた粘着シートを、第2の分割片のほぼ中央部分でキャリアが内側となるようにして折り返し、さらに、第1の分割片と第2の分割片との重なり部分でキャリアが内側となるように、かつ、当該折り返した部分が先ほど折り返した部分に重なるようにして折り返した。以上のようにして、図3に示すような粘着シートを得た。ここで、第1の分割片および第2の分割片の上記重なり部分側の端部は、3つ折りにした状態において、セパレーターが分割された側の粘着剤層の折り目部分の端部から外側に延出する延出部となり、粘着剤層の露出を防止した。
【0030】
[比較例1]
2つ折りにしなかったこと以外は実施例2と同様にして粘着シートを作製した。
【0031】
<評価方法>
評価用サンプルとして、肌色の平板(30cm×20cm)の中央部分に被着部位としての半透明な粘着シート(6.5cm×6.5cm)を貼り付けたものを用いた。このサンプルの被着部位に実施例および比較例で得られた粘着シートを貼り付ける操作を行い、(1)位置合わせのしやすさ、(2)貼付後の被着部位の位置ズレ、および、(3)貼付操作性を評価した。貼り付け操作は5人が行い、それぞれの項目について貼り付け操作者が下記の基準で評価した。
(1)位置合わせのしやすさ
3点:位置合わせが容易
2点:どちらかといえば容易
1点:位置合わせが困難
(2)貼付後の被着部位の位置ズレ
3点:被着部位中央からのズレが10%以下
2点:被着部位中央からのズレが10%より大きい
1点:被着部位が粘着テープからはみ出した
(3)貼付操作性
3点:容易
2点:やや困難
1点:困難
貼り付け操作者全員による平均点を評価の指標とした。各評価項目の合計点を総合評価の指標とした。結果を下記表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表1から明らかなように、2つ折りまたは3つ折りにした実施例の粘着シートはいずれも、折り畳まない比較例の粘着シートに比べて総合評価が有意に高く、特に位置合わせのしやすさが格段に高いことがわかる。さらに、実施例の粘着シートは、折り畳むことにより提供形態における面積が非常に小さくなるので、包装材料の使用量を大幅に削減でき、コスト削減効果が非常に大きい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の粘着シートは、医療用途に好適に用いられ、経皮吸収剤、フィルムドレッシングおよび医療用カバーシートとして特に好適に用いられ得る。
【符号の説明】
【0035】
100、100´ 粘着シート
10 支持体
20 粘着剤層
30 セパレーター
30a 第1の分割片
30b 第2の分割片
30c 折り返し部
30d 延出部
40 キャリア
50 折り目部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体上に設けられた粘着剤層と、該粘着剤層の表面を覆って剥離可能に積層されたセパレーターとを有し、
長手方向または短手方向の所定の位置で該セパレーターを外側として2つ折りとされ、
該セパレーターが、該2つ折りの折り目部分で分割されている
粘着シート。
【請求項2】
支持体と、該支持体上に設けられた粘着剤層と、該粘着剤層の表面を覆って剥離可能に積層されたセパレーターとを有し、
長手方向または短手方向の所定の2ヶ所で該セパレーターを外側として折り曲げられて3つ折りとされ、
該セパレーターが、該2ヶ所の折り目部分の一方で分割されている
粘着シート。
【請求項3】
前記セパレーターが、前記分割部分の前記粘着剤層端部から外側に延びる延出部を有する、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記分割されたセパレーターの少なくとも一方が、その分割部分側の端部に折り返し部を有する、請求項1から3のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項5】
前記支持体の前記粘着剤層が設けられていない側の面に、該支持体と剥離可能に積層されたキャリアをさらに有する、請求項1から4のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項6】
前記キャリアの前記折り目に対応する部分が引き裂き可能とされている、請求項1から5のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項7】
前記支持体および前記粘着剤層の少なくとも1つが、半透明または不透明である、請求項1から6のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項8】
前記粘着剤層が薬物を含有する、請求項1から7のいずれかに記載の粘着シート。





【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−284402(P2010−284402A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142106(P2009−142106)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】