説明

粘着式ネズミ捕獲器

【課題】どのような種類のネズミでも、またどのような季節や場所においても、常に良好にネズミの捕獲を行うことのでき、しかも、箱状のハウス形体にする組み立ての際の部材の破損等を無くすことで、長期にわたって使用することのできる粘着式ネズミ捕獲器を提供する。
【解決手段】縦横の側辺を有する略方形状の台紙1を備え、この台紙1の表面にネズミを捕獲するための粘着部15を設けると共に、その台紙1に横に向かう折り目を複数設けて、この複数の折り目にて折り曲げることにより横側に進入口25を形成した箱状のハウス形体に変化する粘着式ネズミ捕獲器において、留め部材20の雄型留め具20aを、台紙1の表面と裏面のうちの一方の面における縦方向の一側縁に設けると共に、この留め部材20の雄型留め具20aに着脱自在に掛合する留め部材20の雌型留め具20bを、台紙1の表面と裏面のうちの他方の面における縦方向の他側縁に設けた粘着式ネズミ捕獲器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外、一般の住宅や事務所あるいは店舗や倉庫等の屋内において、ネズミを捕獲するために用いられる粘着式ネズミ捕獲器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネズミを捕獲するために用いられる粘着式ネズミ捕獲器としては、いろいろなものが知られていたが、代表的なものとして、例えば、実用新案登録第3002148号公報に記載されたものが知られていた。
【0003】
これは、複数の、例えば二本の折り目を設けた長方形状の台紙を備え、この台紙の片方の表面に粘着剤を塗布する。粘着剤は台紙の表面の縁部を除いた略全面に塗布するようにする。また、この台紙の長手方向の一端には凹状の止め用切り込み穴を形成すると共に、台紙の長手方向の他端には止め用切り込み穴に嵌め込み可能となる凸状の止め用突出片を形成する。
【0004】
このようになる粘着式ネズミ捕獲器では、その実際の使用方法としては二通りある。まず、一つ目の使用方法としては、台紙の折り目を折り曲げることなく平らな状態で、要するに台紙を平板状のフラット形体にする。そして、この平板状のフラット形体となる台紙を、例えば住宅、事務所、店舗や倉庫等の屋内における床面や天井裏で、ネズミが通りやすいところに複数敷設する。そして、敷設したフラット形体の台紙上をネズミが歩くと、台紙の表面に塗布した粘着剤によってネズミが台紙にくっつき、ネズミを捕獲することができる。
【0005】
一方、二つ目の使用方法としては、台紙を二本の折り目に沿って折り曲げて、一端に形成した止め用切り込み穴に他端に形成した止め用突出片を嵌め込んで組み立てて、横側に進入口を形成する横向き三角筒状、要するに箱状のハウス形体にする。そして、箱状のハウス形体となる台紙を、例えば住宅、事務所、店舗や倉庫等の屋内における床面や天井裏、またその隅、さらには壁や家具との隙間等に設置する。そして、設置したハウス形体の台紙内にネズミが進入すると、台紙の表面に塗布した粘着剤によってネズミが台紙にくっつき、このときネズミは足のみならず体も粘着剤によって台紙にくっつくようになり、ネズミをしっかりと捕獲することができる。
【0006】
このように平板状のフラット形体と箱状のハウス形体との二つの形体において変化するようにした粘着式ネズミ捕獲器にあっては、使用方法が二通りとなることで、習性や生息領域の異なるいろいろな種類のネズミに対応することができるようにしている。
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3002148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の粘着式ネズミ捕獲器にあっては、二通りの使用方法はあるものの、捕獲しようとするネズミの種類は千差万別でその習性は異なり、しかも季節によってその生態も異なる場合がある。例えば、家住性ネズミの代表種であるドブネズミの場合は、運動能力は低いが、大型で力の強いネズミであり、建物の中でも下水道や厨房、床下等、比較的低い場所に生息する。また、ドブネズミとともに家住性ネズミの代表種であるクマネズミの場合は、その高い運動能力から、物をよじ登ったり電線を伝わったりすることを得意とし、都市部の立体構造物によく適応して、建物内でも天井裏や壁の中等、比較的高い場所に生息する。一方、小型のハツカネズミは、農村部に多く見られ、畑地やその周辺に住み、秋から冬にかけての寒い季節にはしばしば農家や納屋に侵入するところが観察されている。このように、大きさや活動性の異なるネズミに対して、その季節や場所によって、一つの捕獲器で常に良好な捕獲効果を得ることは、従来の粘着式ネズミ捕獲器では難しかった。
【0009】
しかも、従来の粘着式ネズミ捕獲器において、箱状のハウス形体にする際、台紙を折り曲げた後、台紙の止め用切り込み穴に止め用突出片を嵌め込んで組み立てるため、この嵌め込んで組み立てる作業が面倒であるといったことがあると共に、さらには組み立て時における台紙の止め用切り込み穴への止め用突出片の嵌め込みを繰り返し何度も行うと、止め用切り込み穴及び止め用突出片が破損してしまい、箱状のハウス形体に組み立てることができなくなるといった問題が生じるおそれがあった。
【0010】
本発明は、これらのことを鑑み、どのような種類のネズミでも、またどのような季節や場所においても、常に良好にネズミの捕獲を行うことのでき、しかも、箱状のハウス形体にする際の組み立て作業を容易なものにすると共に、組み立ての際の止め用切り込み穴及び止め用突出片の破損等を無くすことで、長期にわたって使用することのできる粘着式ネズミ捕獲器を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の発明は、縦横の側辺を有する略方形状の台紙を備え、この台紙の表面にネズミを捕獲するための粘着部を設けると共に、その台紙に横に向かう折り目を複数設けて、この複数の折り目にて折り曲げることにより横側に進入口を形成した箱状のハウス形体に変化する粘着式ネズミ捕獲器において、留め部材の雄型留め具を、台紙の表面と裏面のうちの一方の面における縦方向の一側縁に設けると共に、この留め部材の雄型留め具に着脱自在に掛合する留め部材の雌型留め具を、台紙の表面と裏面のうちの他方の面における縦方向の他側縁に設けて、この留め部材にあっては、複数の折り目を折り曲げて雄型留め部材と雌型留め部材とを掛合することによって、箱状のハウス形体に組み立て可能にすると共に、複数の台紙を用意して留め部材の雄型留め部材と隣接する台紙の留め部材の雌型留め部材とを掛合することによって、縦方向に隣接する台紙同士を連結可能にした粘着式ネズミ捕獲器である。
【0012】
第二の発明は、第一の発明において、横連結用留め部材の雄型留め具を、台紙の表面と裏面のうちの一方の面における横方向の一側縁に設けると共に、この横連結用留め部材の雄型留め具に着脱自在に掛合する留め部材の雌型留め具を、台紙の表面と裏面のうちの他方の面における横方向の他側縁に設けて、この横連結用留め部材にあっては、複数の台紙を用意して横連結用留め部材の雄型留め部材と隣接する台紙の横連結用留め部材の雌型留め部材とを掛合することによって、横方向に隣接する台紙同士を連結可能にした粘着式ネズミ捕獲器である。
【0013】
第三の発明は、第一又は第二の発明において、台紙に開閉自在となる開放片を設け、連結用留め部材の雄型留め具を、開放片の先端側に設けると共に、この連結用留め部材の雄型留め具に着脱自在に掛合する連結用留め部材の雌型留め具を、台紙の開放片を設けた箇所の側方部に設けて、この連結用留め部材にあっては、複数の台紙を用意しかつ台紙に設けた開放片を開いて連結用留め部材の雄型留め部材と隣接する台紙の連結用留め部材の雌型留め部材とを掛合することによって、縦方向又は横方向に隣接する台紙同士を連結可能にした粘着式ネズミ捕獲器である。
【0014】
第四の発明は、第一乃至第三の発明において、前記台紙に設けた開放片を開くことによって、ここにネズミが進入可能となる窓を形成した粘着式ネズミ捕獲器である。
【0015】
第五の発明は、第四の発明において、前記窓は、台紙を箱状のハウス形体に変化させたとき、その上面となる位置に形成した粘着式ネズミ捕獲器である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、台紙に複数設けた折り目にて折り曲げることにより、台紙を平板状のフラット形体から箱状のハウス形体へと変化させることができると共に、複数の台紙を用意して台紙をフラット形体にした状態で隣接する台紙同士を連結できるようにしたことで、台紙をいろいろな形体にすることができる。これにより、使用方法も多様にすることができ、習性や生息領域の異なるいろいろな種類のネズミでも、またどのような季節や場所においても、常に良好にネズミの捕獲を行うことのできる。要するに、一つの粘着式ネズミ捕獲器において、いろいろな形体に、かつ使用方法を多様にすることができ、極めて高い捕獲効果を得ることができる。
【0017】
しかも、留め部材にあっては、従来のような台紙の端部に形成する凹状の止め用切り込み穴や凸状の止め用突出片とは全く異なり、台紙とは別部材となる留め部材を台紙の表面及び裏面にそれぞれ設けるようにしたことで、台紙のハウス形体への組み立て作業あるいはフラット形体の台紙1を連結する作業では、留め部材において、雄型留め部と雌型留め部とを掛合するだけの極めて簡単かつ単純な作業となり、作業を極めて容易なものにすることができ、しかも、留め部材20は、繰り返し着脱を行っても、留め部材が破損するといったことがほとんど無く、長期にわたって当該粘着式ネズミ捕獲器を使用することができる。
【0018】
また、本発明によれば、箱状のハウス形体にした状態で横方向に隣接する台紙を、横連結用留め部材あるいは連結用留め部材により横方向にわたって連結することで、当該粘着式ネズミ捕獲器を先が真っ暗となるトンネル状にすることができ、トンネル状のものを好むネズミの習性を利用して、ネズミを良好に内部に誘き寄せることができる。しかも、たとえ力の強いネズミであっても、横方向にわたって連結した複数の箱状のハウス形体にした台紙の内のどこかで必ず台紙の粘着部にくっつくため、ネズミを確実に捕獲することができる。
【0019】
また、本発明によれば、台紙を箱状のハウス形体にした際、ネズミが進入可能な窓を形成することで、横側に形成される進入口のみならず窓からもネズミの進入を可能とすることができ、ネズミの進入を容易にして捕獲率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明による粘着式ネズミ捕獲器の第一の実施形態について説明する。
図1の平面図や図2の底面図に示すように、縦横の側辺を有する略方形状、具体的には縦長の長方形状の厚地の台紙1を備える。なお、この縦長の長方形状の台紙1については、説明上、縦長としているだけで、縦横どちらでも良い。また、その形状も長方形状に限定されるものではなく、正方形や他の形状でも良い。
【0021】
そして、台紙1に横に向かう折り目を複数設ける。これは、まず、この台紙1の略中央に谷折りとなる二本の折り目2,3を横全長にわたって設け、この二本の折り目2,3すなわち上側の折り目2と下側の折り目3とは数ミリ(6mm〜10mm程度)の間隔にしている。
【0022】
次に、台紙1の略中央に設けた二本の折り目2,3の上方であり、台紙1の上半分を略二等分する位置に谷折りとなる折り目4を横全長にわたって設ける。さらに、台紙1の上端に谷折りとなる折り目5を横全長にわたって設ける。一方、台紙1の略中央に設けた二本の折り目2,3の下方であり、台紙1の下半分を略二等分する位置に谷折りとなる折り目6を横全長にわたって設ける。
【0023】
このように横に向かう折り目を複数設けることにより、台紙1の略中央に設けた二本の折り目2,3と折り目6との間の面を底面部10とし、この底面部10の下方である折り目6より下側の面を一方の側面部11とする。また、台紙1の略中央に形成した二本の折り目2,3と折り目4との間の面をもう一方の側面部12とし、この側面部12の上方である折り目4と折り目5との間の面を上面部13とし、さらに、この上面部13の上方である折り目5より上側の面を貼着面部14とする。
【0024】
そして、この台紙1の表面にネズミを捕獲するための粘着部15を設ける。これは、台紙1の表面の縁部を除いた略全面に粘着剤を塗布することにより、粘着部15を形成するようにしている。なお、台紙1の略中央に設けた二本の折り目2,3の上方側と下方側とに薄型円柱体状のストッパー16をそれぞれ設けており、これにより、当該粘着式ネズミ捕獲器を使用する前の流通及び販売時あるいは保管時において、図3の斜視図に示すように、台紙1の略中央に形成した二本の折り目2,3に沿って折り曲げて折り畳んだ状態にするが、このとき、互いのストッパー16が突き当たることにより台紙1の表面に設けた粘着部15が互いにくっつきあうのを防止するようにしている。
【0025】
そして、このようになる台紙1において、図1の平面図に示すように、留め部材20の雄型留め具20aを、台紙1の表面と裏面のうちの一方の面における縦方向の一側縁、具体的には台紙1の表面における縦方向の一側縁である貼着面部14の左右に設け、さらに、図2の底面図に示すように、台紙1の表面における貼着面部14に設けた留め部材20の雄型留め具20aに着脱自在に掛合する留め部材20の雌型留め具20bを、台紙1の表面と裏面のうちの他方の面における縦方向の他側縁、具体的には台紙の裏面における縦方向の他側縁である側面部11の下部の左右に設ける。この雄型留め部20aと雌型留め部20bとからなる留め部材20は、繰り返しの着脱を可能にする面ファスナーテープ、要するにマジックテープ(登録商標)である。ただし、この留め部材20にあっては、面ファスナーテープに限定されるものではなく、スナップやホック等の繰り返しの着脱を可能にするものであれば良い。
【0026】
この留め部材20において、台紙1における略中央に設けた二本の折り目2,3、及び折り目4、折り目5、折り目6の各折り目を折り曲げて、留め部材20の雄型留め部材20aと雌型留め部材20bとを掛合することによって、図4の斜視図に示すように、横側に進入口25を形成した箱状のハウス形体に組み立てると共に、台紙1を各折り目で折り曲げることなく平らな状態、要するに台紙1を平板状のフラット形体にし、これらを複数用意して、図5の平面図に示すように、留め部材20の雄型留め部材20aと縦方向に隣接する台紙1の留め部材20の雌型留め部材20bとを掛合することによって、台紙1をフラット形体にした状態で縦方向に隣接する台紙1同士を連結して、縦方向にわたって台紙1を複数連結する。
【0027】
このように留め部材20にあっては、台紙1を横側に進入口25を形成した箱状のハウス形体に組み立てる際に用いることができると共に、台紙1を複数用意して台紙1をフラット形体にした状態で縦方向に隣接する台紙1同士を連結する、すなわち台紙1を縦方向にわたって複数連結する際にも用いることができる。
【0028】
なお、前述した例では、台紙1を横側に進入口25を形成した箱状のハウス形体に組み立てる際、台紙1をフラット形体にした状態で台紙1を縦方向にわたって複数連結する際の両方において、一つの部材である留め部材20(雄型留め部20a及び雌型留め部20b)を用いる、要するに、兼用するようにしていたが、このように兼用するのではなく、箱状のハウス形体に組み立てるための留め部材(雄型留め部及び雌型留め部)と、台紙1をフラット形体にした状態で台紙1を複数連結するための留め部材(雄型留め部及び雌型留め部)とを、それぞれ別々に台紙1に設けるようにしても良い。ただし、留め部材を別々に設けた場合は、留め部材20を兼用した場合と比べて留め部材を多く設ける(数が2倍になる)必要があり、部品点数の増加による工数の増加あるいは価格が高くなるといったことが起きるおそれがある。
【0029】
次に、このようになる粘着式ネズミ捕獲器における実際の使用例について説明する。
台紙1の各折り目を折り曲げることなく平らな状態で、すなわち台紙1を平板状のフラット形体で使用する場合、1個の台紙1を単独で使用してネズミの捕獲を行うこともできるが、この台紙1を複数用意することにより、図5の平面図に示すように、これらの台紙1の留め部材20である雄型留め部20aと縦方向に隣接する台紙1の留め部材20である雌型留め部20bとを掛合して、フラット形体の台紙1を縦方向にわたって複数連結する。そして、このように縦方向にわたって複数連結した台紙1を、例えば店舗や倉庫等の屋内における床面や屋根裏の略全面にわたって敷設する。これにより、敷設したフラット形体の台紙1上をネズミが歩くと、台紙1の表面の粘着部15における粘着剤によってネズミが台紙1にくっつき、ネズミを捕獲することができる。
【0030】
このようにフラット形体の台紙1を複数連結して床面等に敷設して使用した場合、ネズミを捕獲した後は、ネズミを捕獲した台紙1のみを取り外して、これを廃棄し、取り外した箇所に新しい台紙1を連結することにより、再びネズミの捕獲を行うことができ、長期にわたるネズミの捕獲を可能にする。
【0031】
また、台紙1を各折り目で折り曲げて、貼着面部14の表面に設けた留め部材20である雄型留め部20aと、側面部11の裏面に設けた留め部材20である雌型留め部20bとを掛合することにより、図4の斜視図に示すように、箱状のハウス形体に組み立てる。これによって、底面部10と側面部11,12と上面部13とから左右に向かう略台形筒状として、その横側が開口してネズミが内部に進入可能な進入口25を形成する。このように箱状のハウス形体にした台紙1を、例えば住宅、事務所、店舗や倉庫等の屋内の隅あるいは壁や家具との隙間等に設置する。これにより、設置したハウス形体の台紙1内にネズミが進入すると、台紙1の表面の粘着部15における粘着剤によってネズミが台紙1にくっつき、このときネズミは足のみならず体にも粘着剤がくっつくようになり、ネズミを捕獲することができる。
【0032】
このように台紙1を箱状のハウス形体にして屋内の隅あるいは壁や家具との隙間等に設置して使用した場合、ネズミを捕獲した後は、この箱状のハウス形体のままで廃棄すればよく、捕獲したネズミを見ることなく廃棄できることから、使用者が不快感を受けるのを大幅に低減することができる。
【0033】
以上のように、台紙1に複数設けた折り目にて折り曲げることにより、台紙1を平板状のフラット形体から箱状のハウス形体へと変化させることができると共に、さらに、複数の台紙1を用意して台紙1をフラット形体にした状態で縦方向に隣接する台紙1同士を連結できるようにしたことで、台紙1をいろいろな形体にすることができ、使用方法も多様にすることにより、習性や生息領域の異なるいろいろな種類のネズミでも、またどのような季節や場所においても、常に良好にネズミの捕獲を行うことのできる。
【0034】
また、面ファスナーテープである留め部材20にあっては、従来のような台紙の端部に形成する凹状の止め用切り込み穴や凸状の止め用突出片とは全く異なり、台紙とは別部材となる留め部材20を台紙1の表面及び裏面にそれぞれ設けるようにしたことで、台紙1のハウス形体への組み立て作業あるいはフラット形体の台紙1を連結する作業では、留め部材20において、雄型留め部20aと雌型留め部20bとを掛合するだけの極めて簡単かつ単純な作業となり、作業を極めて容易なものにすることができ、しかも、面ファスナーテープである留め部材20は、繰り返し着脱を行っても、留め部材20が破損するといったことがほとんど無く、長期にわたって使用することができる。
【0035】
次に、本発明による粘着式ネズミ捕獲器の第二の実施形態について説明すると、基本的には、前述した第一の実施形態と略同様であるが、図6の平面図に示すように、横連結用留め部材27の雄型留め具27aを、台紙1の表面と裏面のうちの一方の面における横方向の一側縁、具体的には台紙1の表面における底面部10と上面部13との横(左右)方向の一端側に折り畳み自在に設けた突出片26に設ける。一方、この横連結用留め部材27の雄型留め具27aに着脱自在に掛合する横連結用留め部材27の雌型留め具27bを、台紙1の表面と裏面のうちの他方の面における横方向の他側縁、具体的には台紙1の裏面における底面部10と上面部13との横(左右)方向の他端側(突出片26を設けていない側)に設ける。なお、この雄型留め部27aと雌型留め部27bとからなる横連結用留め部材27も、前記留め部材20と同様、繰り返しの着脱を可能にする面ファスナーテープ、要するにマジックテープ(登録商標)である。ただし、この横連結用留め部材27にあっても、面ファスナーテープに限定されるものではなく、スナップやホック等の繰り返しの着脱を可能にするものであれば良い。また、突出片26にあっては、不要時はこれを折り畳むことにより、突出片26が突き出るのを防止するようにしている。
【0036】
このように構成することにより、複数の台紙1を用意して台紙1を各折り目で折り曲げることなくフラット形体にした状態で、図7の平面図に示すように、留め部材20である雄型留め部20aと雌型留め部20bとによって、縦方向に隣接する台紙1同士を連結できるようにし、さらに、横連結用留め部材27である雄型留め部27aと雌型留め部27bとによって、横方向に隣接する台紙1同士を連結できるようにする。これにより、複数の台紙1にあっては、縦方向及び横方向の両方向において複数連結することができ、例えば店舗や倉庫等の屋内における床面や屋根裏の略全面にわたって敷設した際、極めて強固に連結した状態で複数の台紙1を敷設することができ、力の強い大型のネズミでも確実に捕獲することができる。
【0037】
また、複数の台紙1を用意して台紙1を各折り目で折り曲げて留め部材20によって箱状のハウス形体に組み立てた後、図8の斜視図に示すように、箱状のハウス形体にした台紙1を横方向に複数配置して、これら横方向に隣接する台紙1を底面部10と上面部13とに設けた横連結用留め部材27である雄型留め部27aと雌型留め部27bとにより横方向にわたって複数連結する。これにより、当該粘着式ネズミ捕獲器を先が真っ暗になるトンネル状にすることができ、トンネル状のものを好むネズミの習性を利用して、ネズミを内部に良好に誘き寄せることができ、ネズミを捕獲することができる。しかも、例え力の強い大型のネズミであっても、横方向にわたって連結した複数個の台紙1の内のどこかで必ず台紙1の粘着部15にくっつくため、ネズミを取り逃がすことなく確実に捕獲することができる。
【0038】
次に、本発明による粘着式ネズミ捕獲器の第三の実施形態について説明する。これは、基本的には、前述した第一の実施形態や第二の実施形態と略同様であるが、複数の台紙1を用意して台紙1を各折り目で折り曲げてハウス形体にした状態で縦方向又は横方向に隣接する台紙1同士を連結できるようにしつつ、さらに、台紙1をハウス形体にした際にネズミが進入可能となる窓30を形成できるようにした点で、前述した第一の実施形態や第二の実施形態と相違する。
【0039】
そこで、この相違する点を詳細に説明する。図9の平面図や図10の底面図に示すように、まず、台紙1における折り目4と折り目5との間の面である上面部13に、コ字形となる三本の切れ目31と一本の折れ目32とから長方形状になる開閉自在となる開放片33を左右にそれぞれ設ける。この左右の開放片33は、三本の切れ目31を切り離して折れ目32に沿って折り曲げることにより横方向に開くようになり、台紙1の上面部13より横側にその先端が突き出るようにしている。
【0040】
そして、連結用留め部材40の雄型留め具40aを、左右の開放片33の裏面における先端側(横方向)に設けると共に、この連結用留め部材40の雄型留め具40aに着脱自在に掛合する連結用留め部材40の雌型留め具40bを、台紙1の開放片33を設けた箇所の側方部、具体的には台紙1の上面部13の裏面における横側(左右)の端部に設ける。なお、この雄型留め部40aと雌型留め部40bとからなる連結用留め部材40も、前記留め部材20や横連結用留め部材27と同様、繰り返しの着脱を可能にする面ファスナーテープ、要するにマジックテープ(登録商標)である。ただし、この連結用留め部材40にあっても、面ファスナーテープに限定されるものではなく、スナップやホック等の繰り返しの着脱を可能にするものであれば良い。
【0041】
このように構成することにより、台紙1を箱状のハウス形体にした際、図11の斜視図に示すように、上面部13における三本の切れ目31を切り離して、開放片33を折れ目32に沿って折り曲げて開くことによって、上面部13にネズミが進入可能となる大きな窓30を形成することができ、箱状のハウス形体において、その横側に形成される進入口25のみならず上面部13に形成した窓30からもネズミの進入を可能にする。
【0042】
また、複数の台紙1を用意して台紙1を各折り目で折り曲げて箱状のハウス形体にした状態で開放片33を開いて、この開いた開放片33の先端に設けた連結用留め部材40である雌型留め部40bと横方向に隣接する箱状のハウス形体にした台紙1の上面部13の左右端部に設けた連結用留め部材40である雄型留め部40aとを掛合することにより、図12の斜視図に示すように、台紙1を箱状のハウス形体にした状態で横方向にわたって複数連結することができ、当該粘着式ネズミ捕獲器を先が真っ暗になるトンネル状にすることができる。
【0043】
なお、前記開放片33及び開放片33により形成される窓30にあっては、前述の例では台紙1の上面側である上面部13に設けるようにしていたが、これに限定されるものではなく、他の部分、例えば側面部11,12等に設けるようにしても良い。
【0044】
また、台紙1における上面部13の左右に設ける開放片33にあっては、前述したような横方向に開いて上面部13より横側に突き出るように折り曲げるようにするのではなく、図13の斜視図に示すように、縦方向に開いて上面部13より縦側に突き出るように折り曲げるようにしても良く、この場合、連結用留め部材40の雄型留め具40aを、左右の開放片33の裏面における先端側(縦方向)に設けると共に、この連結用留め部材40の雄型留め具40aに着脱自在に掛合する連結用留め部材40の雌型留め具40bを、台紙1の開放片33を設けた箇所の側方部、具体的には台紙1の上面部13の裏面(図13では表側にあらわれて見える)における縦側(前後)の一端部に設ける。このようになる台紙1を複数用意することによって、図14の斜視図に示すように、横側に進入口25を形成した箱状のハウス形体にした台紙1を縦方向にわたって並列状態で複数連結することができる。
【0045】
このようなる粘着式ネズミ捕獲器における実際の使用例にあっても、前述した第一の実施形態や第二の実施形態と同様、台紙1の各折り目を折り曲げることなく台紙1を平板状のフラット形体で使用する場合は、1個の台紙1を単独で使用してネズミの捕獲を行うことができると共に、この台紙1を複数用意することにより、フラット形体の台紙1を縦方向にわたって複数連結して、このように縦方向にわたって複数連結した台紙1を床面等に敷設して使用することもできる。また、台紙1を各折り目で折り曲げて箱状のハウス形体に組み立てて使用する場合も、1個の箱状のハウス形体となる台紙1を単独で用いることもできるし、これを複数用意してこれらを連結した状態で用いることもでき、屋内の隅あるいは壁や家具との隙間等に設置して使用することができる。
【0046】
さらに、第三の実施形態にあっては、台紙1を各折り目で折り曲げて箱状のハウス形体にした際に横側の進入口25と共にネズミが進入可能な窓30を形成することにより、この窓30からもネズミが進入して、台紙1の表面の粘着部15にネズミがくっつくことにより、ネズミを捕獲することができる。また、台紙1を各折り目で折り曲げて箱状のハウス形体にし、これを複数用意してハウス形体にした台紙1を横方向にわたって複数連結すると、図12の斜視図に示すように、当該粘着式ネズミ捕獲器を先が真っ暗になるトンネル状にすることができ、トンネル状のものを好むネズミの習性を利用して、ネズミを内部に良好に誘き寄せることができる。
【0047】
以上のように、台紙1を各折り目で折り曲げて箱状のハウス形体にした際、ネズミが進入可能な大きな窓30を形成することにより、横側に形成される進入口25のみならず窓30からもネズミの進入を可能とすることで、ネズミの進入を容易にして捕獲率を高めることができる。
【0048】
また、複数の台紙1を用意して、この台紙1を各折り目で折り曲げて箱状のハウス形体にし、この箱状のハウス形体にした台紙1を横方向にわたって複数連結して、当該粘着式ネズミ捕獲器を先が真っ暗になるトンネル状にすることで、ネズミを良好に内部に誘き寄せることができ、しかも、例え力の強い大型のネズミであっても、横方向にわたって連結した複数個の台紙1の内のどこかで必ず台紙1の粘着部15にくっつくため、ネズミを取り逃がすことなく確実に捕獲することができる。
【0049】
なお、台紙1の上面部13の開放片33において、縦方向に開いて上面部13より縦側に突き出るように折り曲げるようにしたものにあっては、台紙1を各折り目で折り曲げて箱状のハウス形体にして、このハウス形体にした台紙1を縦方向にわたって並列状態で複数連結すると、図14の斜視図に示すように、複数の進入口25が並んで出現するようになり、これにより、設置した当該粘着式ネズミ捕獲器をネズミが避けて通るといったことを極力なくすことができ、複数の進入口25の内のどれかよりネズミが内部に侵入することによって、ネズミの捕獲率を大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】粘着式ネズミ捕獲器の第一の実施形態を説明する平面図である。
【図2】粘着式ネズミ捕獲器の第一の実施形態を説明する底面図である。
【図3】第一の実施形態における折り畳んだ状態を説明する斜視図である。
【図4】第一の実施形態におけるハウス形体にした状態を説明する斜視図である。
【図5】第一の実施形態におけるフラット形体で複数連結した状態を説明する平面図である。
【図6】粘着式ネズミ捕獲器の第二の実施形態を説明する平面図である。
【図7】第二の実施形態におけるフラット形体で複数連結した状態を説明する平面図である。
【図8】第二の実施形態におけるハウス形体で複数連結した状態を説明する斜視図である。
【図9】粘着式ネズミ捕獲器の第三の実施形態を説明する平面図である。
【図10】粘着式ネズミ捕獲器の第三の実施形態を説明する底面図である。
【図11】第三の実施形態におけるハウス形体にした状態を説明する斜視図である。
【図12】第三の実施形態におけるハウス形体で複数連結した状態を説明する斜視図である。
【図13】第三の実施形態の別の例におけるハウス形体にした状態を説明する斜視図である。
【図14】第三の実施形態の別の例におけるハウス形体で複数連結した状態を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1…台紙、2…折り目、3…折り目、4…折り目、5…折り目、6…折り目、10…底面部、11…側面部、12…側面部、13…上面部、14…貼着面部、15…粘着部、16…ストッパー、20…留め部材、20a…雄型留め部、20b…雌型留め部、25…進入口、26…突出片、27…横連結用留め部材、27a…雄型留め部、27b…雌型留め部、30…窓、31…切れ目、32…折れ目、33…開放片、40…連結用留め部材、40a…雄型留め部、40b…雌型留め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横の側辺を有する略方形状の台紙1を備え、この台紙1の表面にネズミを捕獲するための粘着部15を設けると共に、その台紙1に横に向かう折り目を複数設けて、この複数の折り目にて折り曲げることにより横側に進入口25を形成した箱状のハウス形体に変化する粘着式ネズミ捕獲器において、
留め部材20の雄型留め具20aを、台紙1の表面と裏面のうちの一方の面における縦方向の一側縁に設けると共に、この留め部材20の雄型留め具20aに着脱自在に掛合する留め部材20の雌型留め具20bを、台紙1の表面と裏面のうちの他方の面における縦方向の他側縁に設けて、この留め部材20にあっては、複数の折り目を折り曲げて雄型留め部材20aと雌型留め部材20bとを掛合することによって、箱状のハウス形体に組み立て可能にすると共に、複数の台紙1を用意して留め部材20の雄型留め部材20aと隣接する台紙1の留め部材20の雌型留め部材20bとを掛合することによって、縦方向に隣接する台紙1同士を連結可能にしたことを特徴とする粘着式ネズミ捕獲器。
【請求項2】
横連結用留め部材27の雄型留め具27aを、台紙1の表面と裏面のうちの一方の面における横方向の一側縁に設けると共に、この横連結用留め部材27の雄型留め具27aに着脱自在に掛合する留め部材27の雌型留め具27bを、台紙1の表面と裏面のうちの他方の面における横方向の他側縁に設けて、この横連結用留め部材27にあっては、複数の台紙1を用意して横連結用留め部材27の雄型留め部材27aと隣接する台紙1の横連結用留め部材27の雌型留め部材27bとを掛合することによって、横方向に隣接する台紙1同士を連結可能にしたことを特徴とする請求項1記載の粘着式ネズミ捕獲器。
【請求項3】
台紙1に開閉自在となる開放片33を設け、連結用留め部材40の雄型留め具40aを、開放片33の先端側に設けると共に、この連結用留め部材40の雄型留め具40aに着脱自在に掛合する連結用留め部材40の雌型留め具40bを、台紙1の開放片33を設けた箇所の側方部に設けて、この連結用留め部材40にあっては、複数の台紙1を用意しかつ台紙1に設けた開放片33を開いて連結用留め部材40の雄型留め部材40aと隣接する台紙1の連結用留め部材40の雌型留め部材40bとを掛合することによって、縦方向又は横方向に隣接する台紙1同士を連結可能にしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の粘着式ネズミ捕獲器。
【請求項4】
前記台紙1に設けた開放片33を開くことによって、ここにネズミが進入可能となる窓30を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の粘着式ネズミ捕獲器。
【請求項5】
前記窓30は、台紙1を箱状のハウス形体に変化させたとき、その上面となる位置に形成したことを特徴とする請求項4記載の粘着式ネズミ捕獲器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−237071(P2008−237071A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80499(P2007−80499)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】