説明

精密パターンの印刷方法

【課題】ガラス基材やプラスチックフィルムなどの可撓性基材上へ連続的に高精細パターンを形成し、異なるインキパターン同士の位置精度が確保できる印刷方法を提供する。
【解決手段】インキ剥離性フィルム基材201のインキ剥離層203上にインキ液膜205を塗工して予備乾燥する。画像パターンのネガパターンの凸パターンが形成された除去版211をインキ液膜205に押し当て、凸パターンに対応するインキ液膜205の部分を除去することでインキ剥離性フィルム基材201に画像パターンを形成する。インキ剥離性フィルム基材201と被印刷基材202との位置合わせを行い、インキ剥離性フィルム基材201上の画像パターンを被印刷基材202に転写する。被印刷基材202には予め画像パターンの土台となる基礎パターン204が設けられている。インキ液膜205の被印刷基材202への転写は選択された基礎パターン204になされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基材やプラスチックフィルム、特に生産効率の良い長尺状のプラスチックフィルムなどの可撓性基材上へ、位置合わせされた高精細パターンを連続的に形成する印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイは、省エネルギー、省スペース、可搬性などの点から据え置き型、壁掛け型、携帯型の様々な用途の画像表示装置として利用されている。
【0003】
特に携帯型においては、携帯時に落下させても破損しないような耐衝撃性や、軽量化、薄型化などの点からプラスチック化への要求がある。また、壁掛け型においても円柱状の柱へのディスプレイの設置という点から可撓性のディスプレイへの要求がある。また、表示方式についても、従来用いられてきた液晶ディスプレイ方式だけでなく、EPD(Electrophoretic Display)などの電子ペーパー方式を用いた読書用端末も広く普及しはじめており、端末の薄型化が競われている。
【0004】
しかし、現在流通している電子ペーパーを用いたデバイスは、いまだモノクロ表示を行うものが一般的であり、今後、教育やビジネス分野での使用、広告表示などの使用に耐えるカラー化が望まれている。
【0005】
電子ペーパーを用いたデバイスとして、広く用いられているEPD方式のデバイスにカラー表示をさせる場合、使用されている粉体そのものをカラー化する方式や、液晶ディスプレイと同様にカラーフィルター(CF)を使用する方式が検討されている。
【0006】
EPD方式に使用されている粉体をカラー化した場合、それら粉体もしくは粉体を有するマイクロカプセル自体を画素単位で塗りわけを行うことは非常に困難が伴う為、一部の研究機関において検討されているのみである。
【0007】
一方、CFを用いる方式の場合、これまでのモノクロ表示のデバイスにCFを貼りあわせるだけでカラー化を行うことができることから、現実的な方法として実用化が期待されている。
【0008】
液晶ディスプレイに用いられてきたCFは、その構造上バックライトからの光を透過させて発色するため、CFに用いられる色も透過を想定した色を一定のパターンで塗りわけしたものを使用していた。また、液晶ディスプレイ用のCFでは、光漏れを防ぎ黒表示の際のコントラストを向上させるため、色パターンと色パターンの間にブラックマトリクス(BM)と呼ばれる遮光インキによる仕切りパターンが設けられている。通常、このBMパターン上に画素パターンをオーバーラップさせて画素パターンを設ける為、画素自体の形状や画素間の位置精度はBMパターンによって決定されている事が多い。
【0009】
対して、反射型のEPD方式で用いるCFでは、パネル全体が暗くなってしまうことから、BMパターンを用いることができない為、画素パターン自体の形状や、画素パターン同士の位置精度を確保することが非常に困難となる。
【0010】
さらに、従来のフラットパネルディスプレイに用いられてきたCFは、何れもガラス基板上に製造された物であり、プラスチック基板上に製造することは難しかった。その理由は、これまでCFの作製には高温での加熱工程を用いたフォトリソグラフィー工程が含まれていた為である。
【0011】
例えば、液晶ディスプレイ用のCFの製造にあたっては、感光性樹脂のパターニングにあたって、現像、洗浄、ベーキングなどの工程があり、汎用のフィルム基材を用いた場合、熱や水洗によるフィルム基材の損傷や伸縮が生じてしまう。さらにフォトリソグラフィー工程は、製膜・露光・現像・剥離をインク種類毎に行う為、製造設備も大掛かりとなり製造のコストが高い。
【0012】
以上のことから、電子ペーパーを用いたデバイスのカラー化では、安価なフィルム基材上へ精密なパターニングをおこなう方法が求められていた。
【0013】
プラスチック基材やフィルム基材上へのパターニング方法として、インクジェット方式が検討されている。インクジェット方式は、所定の部分にのみ所定の材料をパターニングできることから材料の利用効率が高く、マスクや版も使用しないことから最も簡便でオンデマンド性に優れたパターニング方法として期待されている。
【0014】
しかしながら、現状のインクジェットのインキ液滴の直径は数十μm程度あり、通常では着弾精度も数十μm程度を考慮する必要がある。よって、100μm以下の大きさのパターンや、モバイル用ディスプレイとして要求される解像度の再現が困難である場合が多い。また、インクジェット方式を用いて精密なパターニングをするためには、あらかじめ基板上にインクを受容するための処理が必要とされる。ひとつは、インクの流動や混色を防ぐための隔壁と呼ばれるパターンを設ける処理方法が用いられる。しかし、この方式の場合、フォトリソグラフィー工程により隔壁パターンや選択的にインキが定着するような特殊な表面処理によるパターンを形成しなければならない。
【0015】
一方、着弾したインキの拡散を制限する為に、受像層と呼ばれる表面コーティングを行う事も検討されている。この場合、隔壁パターンや選択的にインキを定着させる基材側の処理を行う必要がないが、例えばインキ滴の形状を画素に応じて四角状にするといった事が困難となる。
【0016】
インクジェット方式以外の方法としては、電子部品における配線や抵抗体、誘電体の印刷などで実用化されているスクリーン印刷方式が挙げられる。しかしながら、スクリーン印刷方式孔版印刷であることからインキはペースト状の高粘度のものに限られ、また、スクリーンメッシュの精細度から数十μm程度の厚膜の印刷法としては採用できても、やはりCFを作製する場合100μm以下のパターンを形成する方法としては、採用できない。
【0017】
インクジェット法およびスクリーン印刷法以外の方法として、フィルム基材へ乾燥インキ膜をあらかじめ設けたいわゆるドライフィルムを、熱圧によりパターン除去した後、残ったパターンを目的の基材に転写する転写方法が考案された。(特許文献1参照)
【0018】
しかし、この方式ではフィルム基材からインキ層を転写する際に熱圧を用いるために、フィルム基材の膨張・収縮や版の膨張、インキ層の溶融・軟化を伴うことから、数十μm程度の微小なパターンの再現性を得る事が困難である。また、熱圧を均一に与える為の装置も複雑になり、大画面への対応も困難となってしまう。
【0019】
そこで近年、版胴に巻き付けたブランケット上にインキを塗工・予備乾燥してインキ膜を形成し、その後、非画像部パターンが形成された凸版をインキ膜に押圧することによりブランケット上に画像パターンを形成し、次にブランケット上の画像パターンを被印刷基材上に転写し、被印刷基材上に画像パターンを形成する印刷方法が試みられている。(特許文献2参照)
【0020】
この、いわゆる反転印刷と呼ばれる印刷方法は、インキ膜厚を調整することが容易であり、インキ剥離性のブランケット上に画像パターンを形成することから、ガラス基材だけでなくフィルム基材などの被印刷基材へのインキ転写性が良好である。また、インキ膜をブランケット上で予備乾燥することで、インキの流動性を抑える事が可能となり、スクリーン印刷や凸版印刷、凹版印刷などの既存の印刷方法に比べて薄膜での微細パターン形成が可能である。
【0021】
ところが、特許文献2の方法は、シリコーンゴムまたはシリコーン樹脂からなるブランケット上でインキの予備乾燥を行う時に、ブランケット表面のインキ濡れ性や転写性が不安定になるという問題点を有していた。
【0022】
これはブランケットが版胴に固定されたまま乾燥を行うために均一な予備乾燥が困難であり、塗工されたインキ中の溶剤がブランケット内に吸収され膨潤していき、部分的な転写性や精度のバラツキができてしまうことが原因である。また印刷する毎に、ブランケットのクリーニングや乾燥による溶剤膨潤量の調整を行う必要があるため、連続加工に不向きである。さらに本印刷方式では、ブランケットが版胴に固定されているため、あるパターンが形成された基材上に転写する場合に、ブランケット上のパターンと基材上のマークとの位置合わせが困難であった。
【0023】
そこで、我々はブランケットとして透明なインキ剥離性フィルム基材をロール状に巻き取っておき、必要な長さを間欠に繰り出しながら、インキ塗工や乾燥、転写を行う印刷方法を開発した。(特許文献3参照)
【0024】
この新規な印刷方式では、被印刷基材上の既存パターンに対する印刷の位置合わせは、インキ剥離性フィルム基材にパターニングされたパターンと被印刷基材上のパターンを同時に確認しながら位置あわせが可能であり、精度良い印刷を行うことができる。また、印刷毎にインキ剥離性フィルム基材の一定量を送りだして印刷に用いる事で、印刷工程が終わる毎のブランケットのクリーニングも必要なく、徐々にインキ中の溶剤がインキ剥離性フィルム基材に吸収されて印刷条件が変化していく事も無いため、常に均一な条件での連続印刷が可能となった。
【0025】
しかし、この方式を用いたとしても、被印刷基材として安価な汎用フィルムを用いた場合、主に環境温度や水分の吸収による基材の収縮の為、パターンが100μm以下の微細パターンになると、隣り合う異なるインキパターン同士の位置精度を保つことが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開平9−90117号公報
【特許文献2】特開2001−56405号公報
【特許文献3】特開2008−105400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、ガラス基材やプラスチックフィルム、特に生産効率の良い長尺状のプラスチックフィルムなどの可撓性基材上へ、連続的に高精細パターンを形成し、異なるインキパターン同士の位置精度が確保できる印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明者らは、鋭意研究を行なった結果、以下の構成で示される発明により、上記課題が解決できることを見出した。
【0029】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
(a)透明な材料で構成され、厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層を有するインキ剥離性フィルム基材の前記インキ剥離層上に、インキ液膜を塗工する第1の工程と、
(b)前記インキ液膜を予備乾燥する第2の工程と、
(c)予め定められた画像パターンのネガパターンの凸パターンが形成された除去版を、前記予備乾燥させたインキ液膜に押し当て、前記凸パターンに対応する前記インキ液膜の部分を除去することで前記インキ剥離性フィルム基材に残存する前記インキ液膜により前記画像パターンを形成する前記第3の工程と、
(d)前記インキ剥離性フィルム基材に残存する前記インキ液膜により形成された前記画像パターンと、被印刷基材の表面にあらかじめ設けられたパターンを重ねて観察し、前記インキ剥離性フィルム基材と前記被印刷基材との位置合わせを行う第4の工程と、
(e)前記インキ剥離性フィルム基材に残存する前記インキ液膜により形成された前記画像パターンを、前記被印刷基材表面上へ転写し、前記被印刷基材に前記画像パターンを印刷する第5の工程とを含む精密パターンの印刷方法であって、
前記被印刷基材に予め前記画像パターンの土台となる基礎パターンが設けられ、
前記第5の工程による前記インキ液膜の転写は、前記基礎パターンのうち、選択された前記基礎パターン上に前記画像パターンが転写されることでなされる、
ことを特徴とする。
【0030】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の精密パターンの印刷方法において、
前記基礎パターンが、
(a’)厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層を有する基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材の前記インキ剥離層上に、基礎パターン形成用のインキ液膜を塗工する工程と、
(b’)前記インキ液膜を予備乾燥する工程と、
(c’)前記基礎パターンと凹凸形状が反対に形成されたネガパターンの凸パターンが形成された基礎パターン形成用の除去版を、前記予備乾燥させたインキ液膜に押し当て、前記凸パターンに対応する前記インキ液膜の部分を除去することで前記基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材に前記インキ液膜のパターンを形成する工程と、
(d’)前記インキ液膜のパターンを、前記被印刷基材表面上へ転写し、前記被印刷基材に前記基礎パターンを転写する工程とにより設けられたことを特徴とする。
【0031】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の精密パターンの印刷方法において、
前記基礎パターンが、
(a’’)厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層を有する基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材の前記インキ剥離層上に、基礎パターン形成用の遮光インキ液膜を塗工する工程と、
(b’’)前記遮光インキ液膜を予備乾燥する工程と、
(c’’)前記基礎パターンと凹凸形状が同じ凸パターンが形成された基礎パターン形成用の除去版を、前記予備乾燥させた遮光インキ液膜に押し当て、前記凸パターンに対応する前記遮光インキ液膜の部分を除去することで前記基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材に前記遮光インキ液膜のパターンを形成する工程と、
(d’’)紫外線硬化性樹脂をコーティングした前記被印刷基材上に、前記遮光インキ液膜のパターンを転写する工程と、
(e’’)前記遮光インキ液膜のパターンを転写した前記被印刷基材表面に、紫外線照射を行い前記紫外線硬化性樹脂のうち前記遮光インキ液膜のパターンが転写された部分を除く部分を硬化させる工程と、
(f’’)前記遮光インキ液膜及び、紫外線硬化していない前記紫外線硬化性樹脂を可溶性溶剤により除去することにより残存する紫外線硬化した紫外線硬化性樹脂で前記基礎パターンを形成する工程とにより設けられたことを特徴とする。
【0032】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3に何れか1項記載の精密パターンの印刷方法において、前記インキ剥離性フィルム基材として、透明なフィルム基材上にシリコーン樹脂層を積層して設けたことを特徴とする。
【0033】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4に何れか1項記載の精密パターンの印刷方法において、前記基礎パターンが透明な材料で構成され、前記基礎パターンは、位置あわせ用に設けられた位置合わせ用パターンを含み、前記位置合わせ用パターン上に目視または機械認識できるインキを転写し、前記インキが転写された前記位置合わせ用パターンを、前記第4の工程における前記被印刷基材表面にあらかじめ設けられたパターンとして用いることを特徴とする。
【0034】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5に何れか1項記載の精密パターンの印刷方法により、着色層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、(a)透明な材料で構成され、厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層を有するインキ剥離性フィルム基材の前記インキ剥離層上に、インキ液膜を塗工する第1の工程と、(b)前記インキ液膜を予備乾燥する第2の工程と、(c)予め定められた画像パターンのネガパターンの凸パターンが形成された除去版を、前記予備乾燥させたインキ液膜に押し当て、前記凸パターンに対応する前記インキ液膜の部分を除去することで前記インキ剥離性フィルム基材に残存する前記インキ液膜により前記画像パターンを形成する前記第3の工程と、(d)前記インキ剥離性フィルム基材に残存する前記インキ液膜により形成された前記画像パターンと、被印刷基材の表面にあらかじめ設けられたパターンを重ねて観察し、前記インキ剥離性フィルム基材と前記被印刷基材との位置合わせを行う第4の工程と、(e)前記インキ剥離性フィルム基材に残存する前記インキ液膜により形成された前記画像パターンを、前記被印刷基材表面上へ転写し、前記被印刷基材に前記画像パターンを印刷する第5の工程とを含み、前記被印刷基材に予め前記画像パターンの土台となる基礎パターンが設けられ、前記第5の工程による前記インキ液膜の転写は、前記基礎パターンのうち、選択された前記基礎パターン上に前記画像パターンが転写されることでなされるので、とくに150μm以下の微細なパターニングを行った際のパターン形状の再現や、既存の印刷方式よりも高い位置あわせ精度を確保することができる。
これは、とくに(a)〜(b)の工程乾燥が進んだインキ膜をパターニングに用いる事でインキのにじみやつぶれを最小限に抑えることが可能となり、インキの予備乾燥を終えてから(c)の除去版によるパターニングまでの間に熱を加える工程を有しないことで、被印刷基材の寸法変形がほとんど無いために、印刷位置精度やピッチ精度、(d)の位置あわせ工程に有利となる。(d)の位置あわせ工程は、他の印刷方式と異なりすでにインキ剥離性フィルム基材状にパターニングされたパターンと、すでに設けられた被印刷基材上パターンとを重ね合わせ、直接観察しながら位置あわせを行うことができる。
また、被印刷基材上に印刷パターンの土台となる基礎パターンをあらかじめ設けておくことで、基礎パターン上にインキ膜を転写する際に、基礎パターンの段差があるところでのみインキ膜の転写が可能となり、基礎パターンと基礎パターンの凹んだ部分にはインキ膜が転写されない現象を利用することで、(d)のアライメント工程をインキ種類毎に複数回繰り返すで得られる精度よりも、高精度なパターン位置精度を再現する事ができる。
【0036】
さらに本発明において、前記基礎パターンが、(a’)厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層を有する基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材の前記インキ剥離層上に、基礎パターン形成用のインキ液膜を塗工する工程と、(b’)前記インキ液膜を予備乾燥する工程と、(c’)前記基礎パターンと凹凸形状が反対に形成されたネガパターンの凸パターンが形成された基礎パターン形成用の除去版を、前記予備乾燥させたインキ液膜に押し当て、前記凸パターンに対応する前記インキ液膜の部分を除去することで前記基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材に前記インキ液膜のパターンを形成する工程と、(d’)前記インキ液膜のパターンを、前記被印刷基材表面上へ転写し、前記被印刷基材に前記基礎パターンを転写する工程とにより設けることで、被印刷基材を加熱することなく微細なパターンを形成することが可能となる。
【0037】
さらに前記基礎パターンが、(a’’)厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層を有する基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材の前記インキ剥離層上に、基礎パターン形成用の遮光インキ液膜を塗工する工程と、(b’’)前記遮光インキ液膜を予備乾燥する工程と、(c’’)前記基礎パターンと凹凸形状が同じ凸パターンが形成された基礎パターン形成用の除去版を、前記予備乾燥させた遮光インキ液膜に押し当て、前記凸パターンに対応する前記遮光インキ液膜の部分を除去することで前記基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材に前記遮光インキ液膜のパターンを形成する工程と、(d’’)紫外線硬化性樹脂をコーティングした前記被印刷基材上に、前記遮光インキ液膜のパターンを転写する工程と、(e’’)前記遮光インキ液膜のパターンを転写した前記被印刷基材表面に、紫外線照射を行い前記紫外線硬化性樹脂のうち前記遮光インキ液膜のパターンが転写された部分を除く部分を硬化させる工程と、(f’’)前記遮光インキ液膜及び、紫外線硬化していない前記紫外線硬化性樹脂を可溶性溶剤により除去することにより残存する紫外線硬化した紫外線硬化性樹脂で前記基礎パターンを形成する工程とにより設けることで、基礎パターンのパターン形成に顔料を十分含有した遮光インキを使用することで、基礎パターンに直接透明なインキを用いて形成するよりも、パターンエッジの再現や基礎パターンの膜厚の変更がし易く、さらに高精細な印刷物を得ることができる。
【0038】
本発明において、前記インキ剥離性フィルム基材として、透明なフィルム基材上にシリコーン樹脂層を積層して設けることで、印刷物の位置あわせの際にインク剥離性フィルム基材上に形成されたパターンと被印刷基材上に設けられたパターンとを重ね合わせて直接観察が可能となる。
【0039】
本発明において、前記基礎パターンが透明な材料で構成され、前記基礎パターンは、位置あわせ用に設けられた位置合わせ用パターンを含み、前記位置合わせ用パターン上に目視または機械認識できるインキを転写し、前記インキが転写された前記位置合わせ用パターンを、前記第4の工程における前記被印刷基材表面にあらかじめ設けられたパターンとして用いることでインク剥離性フィルム基材上に形成されたパターンと被印刷基材上に設けられたパターンとを重ね合わせて観察する場合に、マークの確認や機械認識がしやすくなり、結果位置あわせ精度を高める事ができる。
【0040】
本発明の印刷方法により、着色層を形成しカラーフィルタ(CF)を製造することにより、フィルム基材を用いたカラーフィルタを製造する場合においても、画素間の位置精度の高いカラーフィルタ(CF)を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第一の実施形態の印刷物の製造方法および印刷装置の一例を説明するための断面図であり、(a)は本発明の実施形態の印刷装置の一例を説明する図、(b)は本発明の実施形態の印刷装置を用いて除去版を用いたパターニングを説明する図、(c)は本発明の実施形態の印刷装置を用いて被印刷基材への転写を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態の印刷物の製造方法の一例を説明するための断面図であり、(a)はインキ剥離性フィルム基材の層構成と剥離層へのインキ塗工を模した図、(b)は除去版へインキ液膜を転写する前段階を模した図、(c)は除去版へインキ液膜を転写した様子を示す図、(d)は被印刷基材と向かい合わせて転写を行なう前段階を模した図、(e)は被印刷基材へのインキパターンの転写を示した図、(f)は基礎パターンを設けた被印刷基材の断面図である。
【図3】本発明の実施形態の印刷物の製造方法の一例を説明するための断面図であり、(a)は遮光インキの液膜を除去版にてパターニングする様子を示す図、(b)は紫外線硬化膜を設けた被印刷基材上に遮光パターンを印刷する様子を示す図、(c)は遮光パターンを印刷した被印刷基材表面を紫外線硬化する様子を示す図、(d)は未硬化の紫外線硬化膜と遮光インキを除去し被印刷基材上に基礎パターンを得た様子を示す図である。
【図4】本発明の実施形態の印刷物の製造方法の一例を説明するための断面図であり、(a)は基礎パターンのアライメントマークへ選択的に遮光パターンを印刷する前段階を示す図、(b)は基礎パターンのアライメントマークへの遮光パターンの積層を示した図、(c)はアライメントマークを用いてインキ剥離性フィルム基材上のパターンと位置あわせを行う様子を示す図、(d)は基礎パターンの一部に選択的にインキ膜を設けた様子を示す図、(e)は基礎パターンの一部に選択的にすでに設けられているインキと別のインキ膜を設けた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1(a)に示すように、本発明のインキ剥離性フィルム基材201に用いるフィルム基材は、プラスチック等の可撓性基材を用いることが可能である。
【0043】
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ナイロン、アラミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースなどのフィルム、シートを用いることができる。
【0044】
図1(c)に示すように、インキ剥離性フィルム基材201に用いるフィルム基材として、さらに光透過性の基材を用いることにより、インキ剥離性フィルム基材201越しに被印刷基材202を観察することが可能となり、パターンの重ね合わせ時に位置あわせ(アライメント)を容易とすることができる。
【0045】
これら可撓性基材は長尺の巻き取りロールで供給され、インキ剥離層203(図2(a))を塗工し、場合によってはポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンの保護フィルムをラミネート加工した後機械に設置される。
【0046】
本発明に用いるインキ剥離性フィルム基材201に設けられるインキ剥離層203は、フィルム基材へシリコーンオイル、シリコーンワニスで代表される離型剤を塗っても良いし、あるいはシリコーンゴムの薄膜層を形成してもよい。また同じ目的でフッ素系樹脂、フッ素系ゴムも利用されうるし、フッ素樹脂微粉末をシリコーンゴムあるいは、普通のゴムに混ぜて剥離性を出すなどの使い方をしてもよい。
【0047】
これらシリコーン系の塗膜は通常フィルム基材との密着が低いが、熱硬化または紫外線硬化性のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、最表面に設けるシリコーン層に対して、より基材との接着性の高い樹脂層を、アンカー層としてあらかじめフィルム基材上に設け、その上層に設けることもできる。
【0048】
いずれもインキ剥離層203上では適度のインキ受容性を有すると同時に、一度受容したインキの完全なインキ剥離性を有することが望ましい。
【0049】
シリコーンとしては、付加硬化型、UV硬化型などの硬化反応タイプの剥離フィルム用シリコーンコート剤を用いることができ、ジメチルポリシロキサンの各種分子量のもの、その他メチルハイドロジエンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーンオイル、メチル塩素化フェニルシリコーンオイル、あるいはこれらポリシロキサンと有機化合物との共重合体など、変成したものを用いることができる。
【0050】
シリコーンゴムとしては、二液型のジオルガノポリシロキサンと架橋剤としての三官能性以上のシラン、またはシロキサン及び硬化触媒を組み合わせたもの、あるいは一液型ではジオルガノポリシロキサンとアセトンオキシム、各種メトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等の組み合わせなどが用いられ、その他ゴム硬度を調節するためのポリシロキサンが適宜用いられる。
【0051】
具体的なシリコーン系材料としては、東レ・ダウコーニング(株)製「SRX211」、「LTC750A」、「LTC760A」、「BY24−510」、信越化学(株)製「KS774」、「KS847」、「KS5508」、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製「TPR6700」、「TPR6702」、「TPR6710」、「TPR6721」、「TPR6500」、荒川化学工業(株)製「UV−POLY200」,「UV−POLY201」などを用いることができるが、これらは限定されるものではない。
【0052】
また硬化タイプにあわせて、各種硬化触媒や光開始剤が用いられ、適宜添加される。例えば、剥離層形成材料として用シリコーンコート材を用いる場合には、東レ・ダウコーニング(株)製「SRX212」,「NC−25」,「BY24−835」など、信越化学(株)製 「PL−50T」など、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「CM670」、「UV9380」など、荒川化学工業(株)製「UV−CATA211」などを硬化触媒、光開始剤として用いることができる。
【0053】
これらシリコーン材料は、主にトルエンなどの溶剤で希釈し、公知の塗工方法であるグラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター等を用いて基材表面に塗工、次いで乾燥させ本発明の印刷方式に用いる事ができる。また、本発明に用いるインキ剥離性フィルム基材201のインキ剥離層203として、上記フィルム基材に無機膜を設けた後、シランカップリング剤による表面処理を施したものを用いることもできる。
【0054】
シランカップリング剤としては、トリメトキシシラン類、トリエトキシシラン類などを用いることができる。このシランカップリング剤の一部位は、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基などの有機化合物との反応性基を持つものから選ぶことができ、あるいはアルキル基やその一部にフッ素原子が置換されたものやシロキサンが結合して、表面自由エネルギーの小さな表面を形成できる置換基が結合したものを用いることができる。
【0055】
前者の反応性基を有するシランカップリング剤を用いる場合には、シランカップリング剤で基材表面を処理した後、所定の表面自由エネルギーになるような他のモノマー成分を塗工して、結合させることができる。
【0056】
反応性基を有するシランカップリング剤としては、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを用いることができ、モノマーとして、スチレン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチルプロパントリグリシジルエーテル、ラウリルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを用いることができる。また、反応性基を有さないシランカップリング剤としてはメチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシランなどを用いることができる。但し、アルキル基に限定されるものではない。
【0057】
上記シランカップリング剤を上記基材に固定化する方法としては、シランカップリング剤を使用した公知の表面処理方法を用いることができる。例えば、シランカップリング剤を水、酢酸水溶液、水−アルコール混合液、あるいはアルコール溶液に希釈させた溶液を調製する。
【0058】
前記溶液を公知の塗工方法であるグラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター等を用いて基材表面に塗工し、次いで乾燥させることでシランカップリング剤を固定化できる。また、反応性基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、次いで他のモノマー成分を同様に塗工して結合させることができる。
【0059】
上記シランカップリング剤を基材上に固定化するためには、あらかじめ基材上にSiO2やTiO2、ZrO2もしくはこれらの複合膜が設けられていることが好ましい。これら無機酸化膜は既知の蒸着法やスパッタ法を用いて設けたものを用いることができる。また、上記無機酸化膜を設ける方法として、一般式M(OR)で表される金属アルコキシド(MはSi,Ti,Al,Zrなどの金属、RはCH3,C25などのアルキル基)を水、アルコールの共存下で加水分解反応および縮重合反応させて得られたゲル溶液を表面にコーティング後、加熱することで無機酸化物膜を設ける、いわゆるゾル−ゲル法を用いることができる。
【0060】
さらに、上記ゾル−ゲル法で用いる金属アルコキシド溶液中にあらかじめ上記シランカップリング剤を添加しておくこともできる。この場合、表面性改質に特に効果が得られる。また、インキ剥離層203に対するインキ剥離性は、処理面へインキを滴下した際の接触角が、10°以上90°以下となるのが好ましく、より好ましくは20°以上70°以下である。この接触角が小さいと後工程でのインキ剥離性が低下してパターンの欠陥(再現性不良等)が発生しやすくなり、接触角が大きいとインキ膜205を形成する際にハジキが生じて、均一なインキ膜205を形成することが困難になる。
【0061】
上記に示したインキ剥離性フィルム基材201のインキ剥離層203上へインキ膜205(図2(a))を形成する方法としては、インキの粘度や溶媒の乾燥性によって公知の塗工方法を用いることができる。すなわち、例えばディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等が挙げられる。中でも、ダイコート、キャップコート、ロールコート、アプリケータは、広い範囲の粘度のインキについて均一なインキ液膜を形成することができ、さらにその中でも可動するインキ剥離性フィルム基材201上へ連続的に形成する場合は、ダイコートが最も効率的で好適な形成方法である。
【0062】
インキ剥離性フィルム基材201上へ前記方法によりインキ膜205を形成した後に、前記インキ膜205を予備乾燥する。この予備乾燥には自然乾燥、冷風・温風乾燥、マイクロ波、減圧乾燥などを用いることができ、また、紫外線、電子線などの放射線を用いることもできる。この予備乾燥では、前記インキ膜205の粘度またはチキソトロピー性、脆性を上げることを目的とする。
【0063】
予備乾燥による乾燥が不十分な場合は、後工程の除去版211(図2(b),(c))の凸部を押し当て剥離する際に、インキ膜205が断裂し不良が発生してしまう。逆に乾燥が行き過ぎた場合は、インキ膜205表面のタック性が無くなり、除去版211にインキが転写されない。そのため、使用するインキの組成によって乾燥状態を乾燥時間や雰囲気温度により調節するが、乾燥したインキ膜205に対して0.5%から4%の溶剤の残留が認められる状態が好ましい。
【0064】
いわゆるドライフィルムといわれるppmオーダーの溶剤残留量では乾燥が行き過ぎであり、インキが転写されない不具合や、除去版211の押し付けによりインキ膜205が部分的に剥離してゴミの原因になる不具合があるため、予備乾燥したインキ膜205の条件として適さない。
【0065】
本特許の印刷方式で用いる除去版211としては、無アルカリガラス等の低膨張ガラス表面に感光性樹脂を用いてマスクパターンを形成した後、既存のドライエッチング処理やウエットエッチング処理、もしくはサンドブラスト処理を用いて、2μmから30μmの版深を設けたものを用いることができる。
【0066】
例えば、5μm〜200μm程度の微細パターニングを行う場合は、エッチング処理の際に版深方向への加工に応じて幅方向へのエッチングも進んでしまう事から2μm〜10μm程度の版深とし、200μm〜数mm幅のプロセス制御用マークなどの周辺は、版深が浅いと、インキ剥離層203上のインキ膜205が凹部パターンの中央付近に接触してしまうことから、10μm〜30μm程度の版深とするのが良い。また、異なる版深のパターンを同一版中に混在させる為には、それぞれの版深に応じたマスクを用意し、あらかじめ深い版深のエッチング処理を行ってから、浅い版深のエッチング処理を行うのが好ましい。
【0067】
本発明の印刷方式において使用する除去版211にはナイロン、アクリル、シリコーン樹脂、スチレン−ジエン共重合体などからなるものを用いることもできる。またエチレン−プロピレン系、ブチル系、ウレタン系ゴムなどのゴム製の版を用いることもできる。このような樹脂製の除去版211は、すでに凸版印刷やフレキソ印刷用に用いられており、予め作製した型に所定の樹脂を流し込んで版とする、あるいは彫刻によっても作製することができるが、感光性樹脂を用いる方法がより高精度のものを作製できる。
【0068】
本発明の印刷方式において使用する除去版211は、さらに前記ガラス基材の一部に各種方式により凹凸を設けた版上に、膜厚0.5μm〜2μmにフォトリソグラフィーを用いて感光性樹脂をパターニングし、十分に硬化させた表面上に、保護層として硬化性樹脂や無機膜をコーティングしたものを用いることができる。
【0069】
本発明の印刷方法は、被印刷基材202としてガラスやプラスチック板などを用いる事ができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ナイロン、アラミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースなどのフィルム、シートを用いることもできる。
【0070】
被印刷基材202は印刷に適用するインキの乾燥条件に合わせて選定すればよく、耐熱性が必要な場合ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミドなどが好適である。また、無機フィラーを樹脂に添加して耐熱性を向上させた材料からなる基材でもよい。これら被印刷基材202としてのフィルムおよびシートは、延伸フィルムでもよく、未延伸フィルムでもよい。また、可撓性基材には必要に応じてガスバリア層や平滑化層、インキ受像層が印刷面または他の面に積層されていても良い。
【0071】
インキ膜205を構成するインキ材料としては、画像パターン形成材料に溶媒を溶解又は分散させたものを用いることができる。例えば、カラーフィルターにおいて赤色、緑色、青色からなるカラーパターン(着色層)やブラックマトリックス等を本発明の製造方法により形成する場合、顔料成分と樹脂成分を溶媒中に溶解、分散させることによりインキとなる。
【0072】
赤色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等を用いることができる。
【0073】
青色顔料としては、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等を用いることができ、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0074】
緑色顔料としては、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を用いる事ができ、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等の黄色顔料を併用することができる。
【0075】
これら赤、青及び緑顔料の色調整及びインキの流動性を改善するために、次に挙げる顔料を必要量添加することができる。
【0076】
遮光インキ、あるいは着色インキとして用いるインキには、顔料分散体に加え、さらに多官能モノマー、感光性樹脂ないし非感光性樹脂、重合開始剤、溶剤等から成る。
【0077】
樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、必要によって感光性樹脂が含まれる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド系樹脂、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂として、例えばエポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0078】
溶剤には、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤及び炭化水素系溶剤などが使用される。エステル系溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、アルコール系溶剤として、1−ブタノール、3メトキシ−3メチル−1ブタノール、1−ヘキサノール、1,3ブタンジオール、1−ペンタノール、2−メチル1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、エーテル系溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、炭化水素系溶剤として、ソルベッソ100、ソルベッソ150(製品名エクソン化学社製)などが挙げられる。
【0079】
また、本発明の特徴である着色インキの土台となる基礎パターンを印刷により形成する場合、とくにカラーフィルター作製用の基礎パターン形成の為に用いるにいるインキとしては、前記の透明樹脂を主成分としパターンの切れを向上させる無機の透明微粒子、感光性樹脂または非感光性樹脂、重合開始剤、溶剤等を含む。透明樹脂及び透明微粒子は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂及び微粒子である。
【0080】
透明微粒子としては、LiF、MgF、3NaF・AlFまたはAlF、またはNa3AlF6、ZrO2、シリカ等の粒子を用いることができる。なお、平均粒径にあっては、1nm以上100nm以下であることが好ましい。粒径が100nmを超える場合、レイリー散乱によって光が著しく反射され、透明性が低下する傾向にある。一方、粒径が1nm未満の場合、粒子の凝集の問題が生じる。平均粒径とは、溶液中の粒子を動的光散乱方法で測定し、粒径分布を累積分布で表したときの50%粒径(d50 メジアン径)を意味する。
【0081】
また、これら遮光インキ、着色インキ及び基礎パターン用インキには必要に応じて、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、密着向上剤、紫外線吸収剤、レベリング剤等が添加されてもよい。なお、本発明に用いる遮光インキ、着色インキ、基礎パターン用インキはこれらに限定されるものではない。
【0082】
本発明の特徴である着色インキの土台となる基礎パターンを、紫外線硬化樹脂と遮光パターンを用いて印刷及び未硬化パターンの除去により形成する場合、紫外線硬化性樹脂組成物として、不飽和ポリエステル系、アクリル系、ビニルエーテル系、マレイミド系、エポキシ系など各種の紫外線硬化型オリゴマー・モノマーを主成分とし、反応性希釈剤、重合開始剤、重合促進剤、有機溶剤などを、必要に応じ混合して用いることができる。
なかでも、フィルム基材上に塗工・乾燥した際に、表面の粘着性が無くなる性質を持つモノマー(例えば高分子量アクリル樹脂のプレポリマー)を用いた場合、紫外線硬化前の状態で巻き取り加工が可能となるため好ましい。
このような紫外線硬化樹脂やインキとしてはDIC社製「ユニディック RC29−117」や「ユニディック RC29−120」、大成ファインケミカル社製「8KX018C」等が挙げられる。
【0083】
紫外線硬化に用いる紫外線(UV)ランプは、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプが適用でき、紫外線の波長は200〜400nm程度で、樹脂や開始剤に応じて波長を選択すれば良い。その照射量や照射時間は、組成物の材質や膜厚、UVランプの出力と、加工速度に応じて選択できる。
【0084】
エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル アセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロパノール等の汎用の有機溶剤を使用することができる。
【0085】
本実施形態に係る印刷方法は、巻き取りロール状で供給されたインキ剥離性フィルム基材201へインキ膜205を塗工し、該インキ膜205を予備乾燥した後、除去版211を押し当て、インキ膜205の不要なパターンを除去版211の凸部に転写除去し、残った画像パターンを被印刷基材202へ転写することを特徴とする。
【0086】
被印刷基材202への位置あわせ印刷が必要な場合、パターニングされた位置あわせマークとあらかじめ被印刷基材202上に設けられたパターンとを重ね合わせ、マークを観察しながら位置調整を行い転写位置を決めることを特徴とする。
【0087】
すなわち、本実施形態に係る印刷方法は、以下の第1乃至第5の工程を含む。
(a)透明な材料で構成され、厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層203を有するインキ剥離性フィルム基材201のインキ剥離層203上に、インキ液膜205を塗工する第1の工程。
(b)インキ液膜205を予備乾燥する第2の工程。
(c)予め定められた画像パターンのネガパターンの凸パターンが形成された除去版211を、予備乾燥させたインキ液膜205に押し当て、凸パターンに対応するインキ液膜205の部分を除去することでインキ剥離性フィルム基材201に残存するインキ液膜205により画像パターンを形成する第3の工程。
(d)インキ剥離性フィルム基材201に残存するインキ液膜205により形成された画像パターンと、被印刷基材202の表面にあらかじめ設けられたパターンを重ねて観察し、インキ剥離性フィルム基材201と被印刷基材202との位置合わせを行う第4の工程。
(e)インキ剥離性フィルム基材201に残存するインキ液膜205により形成された画像パターンを、被印刷基材202の表面上へ転写し、被印刷基材202に画像パターンを印刷する第5の工程。
この場合、被印刷基材202に予め画像パターンの土台となる基礎パターン204が設けられており、第5の工程によるインキ液膜205の転写は、基礎パターン204のうち、選択された基礎パターン204上に画像パターンが転写されることでなされる。
【0088】
また、基礎パターン204は以下の工程によって設けることができる。
(a’)厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層203を有する基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材201のインキ剥離層203上に、基礎パターン形成用のインキ液膜205を塗工する工程(図2(a))。
(b’)インキ液膜を予備乾燥する工程。
(c’)基礎パターン204と凹凸形状が反対に形成されたネガパターンの凸パターンが形成された基礎パターン形成用の除去版211を、予備乾燥させたインキ液膜205に押し当て、凸パターンに対応するインキ液膜205の部分を除去することで基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材201にインキ液膜205のパターンを形成する工程(図2(b),(c))。
(d’)インキ液膜205のパターンを、被印刷基材202の表面上へ転写し、被印刷基材202に基礎パターン204を転写する工程(図2(d),(e),(f))。
【0089】
また、基礎パターン204は以下の工程によって設けることができる。
(a’’)厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層203を有する基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材201のインキ剥離層203上に、基礎パターン形成用の遮光インキ液膜206を塗工する工程。
(b’’)遮光インキ液膜206を予備乾燥する工程。
(c’’)基礎パターン204と凹凸形状が同じ凸パターンが形成された基礎パターン形成用の除去版211を、予備乾燥させた遮光インキ液膜206に押し当て、凸パターンに対応する遮光インキ液膜206の部分を除去することで基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材201に遮光インキ液膜206のパターンを形成する工程(図3(a))。
(d’’)紫外線硬化性樹脂205をコーティングした被印刷基材202上に、遮光インキ液膜206のパターンを転写する工程(図3(b))。
(e’’)遮光インキ液膜206のパターンを転写した被印刷基材202の表面に、紫外線照射を行い紫外線硬化性樹脂205のうち遮光インキ液膜206のパターンが転写された部分を除く部分を硬化させる工程(図3(c))。
(f’’)遮光インキ液膜206及び、紫外線硬化していない紫外線硬化性樹脂206を可溶性溶剤により除去することにより残存する紫外線硬化した紫外線硬化性樹脂206で基礎パターン204を形成する工程(図3(d))。
【0090】
次に、本発明による印刷方法を具体化する印刷装置の一例を、被印刷基材202を可撓性基材とした場合として図1に示し、実際の印刷工程に従って説明する。
【0091】
印刷装置は、図1(a)〜(c)に示すように、インキ剥離性フィルム基材巻き出し部101、インキ剥離性フィルム基材巻き取り部107、被印刷基材巻き出し部108、被印刷基材巻き取り部110等のインキ剥離性フィルム基材201または、被印刷基材202の搬送に関わる装置部と、塗工部102、乾燥部103、パターン除去部104、アライメント部105、貼りあわせ部106、被印刷基材乾燥部109によって構成される。
【0092】
インキ剥離性フィルム基材巻き出し部101、インキ剥離性フィルム基材巻き取り部107、被印刷基材巻き出し部108、被印刷基材巻き取り部110等の搬送部は、それぞれ巻き取りロールで供給される原反を設置または、巻き取るため直径3インチから30インチの芯を装着できるマウンターを備えたシリンダーと、回転やテンションを制御してフィルム基材を搬送するためのモーターを備える。
【0093】
装着される被印刷基材202としてのフィルム原反幅は100mm〜1000mmが選択できるが、パターンの実用性と転写位置精度を考慮し300mm幅が選択される。
【0094】
また、インキ剥離性フィルム基材201や被印刷基材202等のフィルム基材のテンションの制御は、これら装置以外に搬送系にニップ部を設置して基材を保持することでも調節を行うことができる。
【0095】
ニップ部は、金属ロールまたは、金属ロールとゴム皮膜した金属ロールとでの挟みや、搬送ロールに備わったエアー吸着孔による吸着ニップが用いられ、インキ膜205の塗工領域を搬送する場合などは、ニップを解除して搬送ロールとインキ膜205が接触しないような機構を有する。
【0096】
搬送は、各工程で必要な時間差を緩和し、フィルムの連続搬送を行うためのバッファを備えた場合、5m/sec〜10m/secの連続搬送を行うことができるが、インキ剥離性フィルム基材201や被印刷基材202を、工程毎に必要な長さ繰り出す方式を用いるのが好ましい。
【0097】
塗工部102は、可動ステージと、可動ステージ上に設けられたインキ剥離性フィルム基材201に対しインキ膜205(図2(a))を塗布する塗工装置が設置されている。
【0098】
可動ステージは、ボールねじやリニアモーター等で駆動するものを用いることができ、金属製、石製などのものを用いることができるが少なくとも水平方向に水平を保ったまま往復運動することができ、インキ剥離性フィルム基材201を吸着することができる。
【0099】
吸着による表面の凹凸を防ぐためにフィルムのエッジ付近のみ吸着孔を設ける方法や、多孔質性材料を用いた吸着表面を用いる方法を選択することができる。
【0100】
塗工装置は、連続加工や膜厚の均一性が優れるダイ方式のものについて説明するが、これに限定するものではない。塗工ヘッド209として用いるダイヘッドには、別に用意されたインキ供給用のポンプから所定量のインキを供給することができる。
【0101】
この塗工ヘッド209とインキ剥離性フィルム基材201とのギャップは印刷開始前に設定してもよく、また可動式ステージの搬送に合わせて塗工ヘッド209を上下動させて調整してもよい。膜厚はインキ供給量やヘッドのギャップ、ヘッドと基材とのギャップ、塗工速度などを組み合わせて設定し、乾燥膜厚0.3μm〜4μmの間で設定することが好ましい。膜厚が薄いと均一な塗工面を得ることが困難となり、膜厚が厚い場合除去版によるパターニング形状の再現性が悪くなり、被印刷基材上への転写時のつぶれも見られるようになる。
【0102】
乾燥部103は、図1(a)に示すように、上記塗工部102でインキ剥離性フィルム基材201へ塗工したインキ膜205を乾燥させるために設置されるもので、ホットプレート、オーブン、温風、減圧乾燥、紫外線照射などの乾燥装置を設けてもよい。
【0103】
パターン除去部104は、図1(a)に示すように、可動ステージに樹脂製またはガラス製の除去版211が吸着により装着されており、図2(b)、(c)に示すように、インキ剥離性フィルム基材201上のインキ膜205面を該除去版211に近づけた後、可動ステージの移動とともに圧胴による加重をかけ、除去版211の凸部と接したインキ膜205を除去版211の凸部表面に転移させる。
【0104】
アライメント部105は、図1(c)に示すように、可動性ステージと複数の顕微鏡カメラ210(図4(c))から構成されており、可動性ステージ上に吸着した被印刷基材202上に、インキ剥離性フィルム基材201上のインキ膜205を100〜250μmに近づけた後、インキ剥離性フィルム基材201が透明なことを利用して、インキ剥離性フィルム基材201上に得られたパターンの一部やアライメント用のマークパターンと、被印刷基材202上のパターンを透過画像で認識し、それぞれの基材パターンを認識した画像を基に可動性ステージを動作させ転写位置の補正を行うことができる。
【0105】
また、インキ剥離性フィルム基材201と被印刷基材202の間に顕微鏡カメラ210を挿入し、それぞれの基材上のパターンを認識した画像を基に位置の補正を行う方法も選択できる。
【0106】
上記顕微鏡カメラ210は光学顕微鏡、CCD(Charge Coupled Device)顕微鏡のどちらであっても良いが、オートフォーカス、電気的に制御可能な手動焦点制御機構のいずれか、もしくはその両方の機能を必要とし、観察の為に外部に設置したモニターや位置補正の為の画像処理装置へのインターフェースを持つものとすることができる。
【0107】
貼りあわせ部106には、図1(a),(b)に示すように、前記アライメント部105に設置された可動性ステージ上に金属ローラーまたはゴムローラーが設けられる。
【0108】
可動性ステージに固定された被印刷基材202と、わずかな隙間をあけて設置されたインキ剥離性フィルム基材201の上からローラーを押し当て、可動性ステージの移動と共にローラーを回転させながら印圧をかけ、つぎにインキ剥離性フィルム基材201を被印刷基材202から剥がすことにより画像部パターンを被印刷基材202上へ転写することができる。
【0109】
フィルム基材乾燥部109は、図1(c)に示すように、被印刷基材202上に転写された画像パターンを乾燥させるために設置されるもので、ホットプレート、オーブン、温風、減圧乾燥、紫外線照射などの乾燥装置を設けることが可能であるが、被印刷基材の巻き取り時のブロッキングを防止する為に必要な乾燥が可能であればよく、使用するインクにもよるが、紫外線硬化インキを用いた場合1から10秒程度、熱硬化性インキを用いた場合には80℃〜100℃にて30秒〜2分程度の熱乾燥を行うのが良い。
【0110】
本発明による印刷方法を構成する、基礎パターンの印刷や遮光パターンの印刷、基礎パターン上への印刷など各工程の印刷は上記説明と同様の印刷を行う。
【実施例1】
【0111】
カラーフィルター用赤色インキを次の要領で調製した。下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用い、サンドミルで5時間分散し、さらに5μmのフィルタでろ過して赤色顔料の分散体を得た。
[カラーフィルター用赤色顔料分散体の組成]
・赤色顔料:
C.I.Pigment Red 254 (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッドB−CF」)
18重量部
C.I.Pigment Red 177 (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッドA2B」)
2重量部
・アクリルワニス(固形分20%) 108重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色着色インキを得た。
(赤色着色インキの組成)
・上記分散体 100重量部
・メチル化メチロールメラミン: MW−30(三洋化成社製) 20重量部
・レベリング剤:メガファックF−483SF(DIC社製) 3重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 85重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45重量部
【0112】
また、カラーフィルター用青色インキを次の要領で調製した。下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用い、サンドミルで5時間分散し、さらに5μmのフィルタでろ過して青色顔料の分散体を得た。
[カラーフィルター用青色顔料分散体の組成]
・青色顔料:
C.I.Pigment Blue 15:6(大日精化工業製「Chromofine Blue 5201A」)
25重量部
・アクリルワニス(固形分20%)
108重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して青色着色インキを得た。
(青色着色インキの組成)
・上記分散体 100重量部
・メチル化メチロールメラミン: MW−30(三洋化成社製) 20重量部
・レベリング剤:メガファックF−483SF(DIC社製) 2重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 85重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45重量部
【0113】
また、基礎パターン形成用の透明インキを次の要領で調製した。下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用い、サンドミルで5時間分散し、さらに5μmのフィルタでろ過して分散体を得た。
[基礎パターン用透明粒子分散体の組成]
・シリカ微粒子 20重量部
・アクリルワニス(固形分20%) 108重量部
(基礎パターン用透明インキの組成)
・上記分散体 100重量部
・メチル化メチロールメラミン(三洋化成社製「MW−30」) 20重量部
・レベリング剤 (DIC社製「メガファックF−483SF」) 2重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 85重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45重量部
【0114】
また、遮光インキを次の要領で調製した。
(遮光インキの組成)
・ポリイミド前駆体(東レ(株)製「セミコファインSP−510」) 15重量部
・カーボンブラック 10重量部
・N-メチルピロリドン 130重量部
・分散剤(銅フタロシアニン誘導体) 5重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 15重量部
上記材料をビーズミル分散機で冷却しながら3時間分散し、さらに5μmのフィルタでろ過して隔壁用インクを調製した。
【0115】
インキ剥離性フィルム基材としては、基材厚約100μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂株式会社製 ダイヤホイルT600)500mm幅、300m上の中央300mm幅にダイコーターを用い、乾燥後膜厚が10μm程度になるように剥離性シリコーン樹脂(信越化学株式会社製) KS847及び硬化剤を固形分重量比2%とともに塗工したものを使用した。
【0116】
パターンを設けるための除去版としては、300mmx300mm×0.7mmのCr付き無アルカリガラス上に、フォトマスクを用いて、位置あわせ用マークおよび表示パネル用マスクパターンをエッチングにより設けた。位置あわせ用マーク250mm□の4つ角に設け、表示パネル用パターンは版の中心部180mm□の範囲内に、凸部20μm幅、凹部80μm幅の連続したタイルパターンを版深2μmで設けた。
【0117】
さらに、被印刷基材としてフィルム厚125μmの光透過性ポリエチレンナフタレート(PEN)基材(帝人デュポンフィルム社製「テオネックスQ65F」)を300mm幅、20mのロール状で用意した。
【0118】
上記の部材を用い、図1の装置を用いて加工を行った。
【0119】
(基材上への基礎パターンの印刷)
まず、塗工部102のステージ上に新しいインキ剥離層203の表面が来るようにインキ剥離性フィルム基材201を繰り出し、塗工部102のステージにバキューム固定した後、300mm幅のヘッドを用いたダイコーターにより、塗工長さ350mm、膜厚0.8μmで基礎パターン用透明インキをコーティングした(図2(a))。
【0120】
その後、設置された40℃IR炉中で30秒乾燥を行い、塗工部102がパターン除去部104のステージ上に設置されるまで搬送を行った後、さらに室温で120秒待機した。インキ剥離性フィルム基材201上のインキ塗工部分を、電子ペーパー用CFパターン及びアライメントマークを含む各種マークがエッチングされた除去版211を設置した転写ステージ上にくるように搬送した(図2(b))。転写用のゴムローラーをインキ剥離性フィルム基材201の裏側(インキが塗工された面の反対面)から圧力をかけ、非画像部を除去版211の凸部へ転移させた。さらに金属ローラーの移動と共にインキ剥離性フィルム基材201を除去版211より剥離した(図2(c))。除去版211を支持しているステージを横方向にスライドさせ、被印刷基材202の搬送系とアライメントステージが一体となった転写ユニットを上昇させた。
【0121】
つぎに、インキ剥離性フィルム基材201上に残ったパターンを、あらかじめ位置あわせマークが印刷された被印刷基材202が吸着固定されたアライメント部ステージ上まで搬送した(図2(d))。ゴムローラーでインキ剥離性フィルム基材201と被印刷基材202を貼り合わせ、つぎにステージから動かしながらインキ剥離性フィルム基材を被印刷基材から剥がすことによって、被印刷基材へ基礎パターン204の転写を行った(図2(e))。転写した基礎パターン204を80℃環境で2分間乾燥した。
【0122】
次に、カラーフィルターの画素パターン周辺に設けたアライメントマーク付近にのみ、前記の方法と同様に遮光インキを被印刷基材202へ転写した。結果、基礎パターン204が設けられ凸形状になったアライメントマークに遮光インキが積層され、アライメントマークの認識が容易となった。
【0123】
(選択した基礎パターン上への印刷)
さらに上記印刷工程と同様に、インキ剥離性フィルム基材201上に塗工長さ350mm、膜厚0.8μmとなるように赤色インキ205を塗工し、約7分間の室温放置のみで乾燥した。基礎パターン204によって設けられたパネルパターンに対して、4分の1のサブピクセルに対応した除去版211を用い、インキ剥離性フィルム基材201上に赤のサブピクセルパターンを形成した。
【0124】
図4(a)、(b)に示すように、基礎パターン204を印刷し、さらにアライメントマーク208に遮光インキを積層した被印刷基材202をアライメントステージ上に固定する。そして、図4(c)に示すように、インキ剥離性フィルム基材201上に除去版211を利用してパターニングした赤色インキ205で形成されたアライメントマークと、被印刷基材202のアライメントマーク208との双方のアライメントマークを観察しながら、被印刷基材202を固定したアライメントステージを動かし位置あわせを行った。
【0125】
次に、被印刷基材202とインキ剥離性フィルム基材201を貼り合わせ、インキ剥離性フィルム基材201を剥離し、図4(d)に示すように、被印刷基材202上の基礎パターン204上に赤色インキ205で作成した画素パターンを積層した。
同様に、青色インキ205(図中、赤色インキ205とは別のハッチングで示されている)を別の基礎パターン204上に積層した。どちらの色インキも基礎パターン204が設けられ凸状となっている部分にのみ色インキが転写され、CFの設計どおりの画素パターン精度が得られた。
【実施例2】
【0126】
ダイ方式のコーターを用いて、紫外線硬化樹脂(DIC社製「ユニディック RC29−117」)をMEK溶剤を用いて被印刷基材上に約1μmの厚さでコーティングし、80℃環境で2分乾燥した。
【0127】
実施例1と同様の方法で、紫外線硬化樹脂205をコーティングした被印刷基材202上に、遮光インキ206を用いて画素パターンのネガパターンを印刷後、表面に高圧水銀ランプを用いて、紫外線照射を行った(図3(a)〜(c))。
【0128】
次に被印刷基材202上の画素パターン部分のみが露出するように、粘着フィルムでアライメントマーク部分を保護した後、MEK溶剤を浸したウエスで、画素パターン部分の未硬化の紫外線硬化樹脂205と遮光パターン(遮光インキ206)を除去することで、被印刷基材202上に基礎パターン204を得た(図3(d))。
【0129】
続いて、赤色インク及び青色インクを実施例1と同様に、基礎パターン204上の選択した画素パターンに積層して印刷した。結果、どちらの色インキも基礎パターン204が設けられ凸状となっている部分にのみ色インキが転写され、CFの設計どおりの画素パターン精度が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の印刷方法は、ガラス基材や、プラスチックフィルム等の可撓性基材、とりわけ長尺状の可撓性基材へ高精細パターンの薄膜印刷を連続に安定して行うことができるので、カラーパターン、ブラックマトリクス、ホワイトマトリクス、スペーサー等のカラーフィルター部材、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、ゲート絶縁膜、有機半導体材料等のトランジスタ部材、有機発光層等の有機EL素子の製造に利用できる。
【符号の説明】
【0131】
101 ・・・インキ剥離性フィルム基材巻き出し部
102 ・・・塗工部
103 ・・・乾燥部
104 ・・・凸版貼りあわせ/パターン除去部
105 ・・・アライメント部
106 ・・・吸着ステージ/貼りあわせ部
107 ・・・インキ剥離性フィルム基材巻き取り部
108 ・・・被印刷基材巻き出し部
109 ・・・被印刷基材乾燥部
110 ・・・被印刷基材巻き取り部
201 ・・・インキ剥離性フィルム基材
202 ・・・被印刷基材
203 ・・・インキ剥離層
204 ・・・基礎パターン
205 ・・・インキ膜
206 ・・・遮光インキ層
207 ・・・紫外線硬化樹脂層
208 ・・・アライメントマーク
209 ・・・塗工ヘッド
210 ・・・顕微鏡カメラ
211 ・・・除去版

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)透明な材料で構成され、厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層を有するインキ剥離性フィルム基材の前記インキ剥離層上に、インキ液膜を塗工する第1の工程と、
(b)前記インキ液膜を予備乾燥する第2の工程と、
(c)予め定められた画像パターンのネガパターンの凸パターンが形成された除去版を、前記予備乾燥させたインキ液膜に押し当て、前記凸パターンに対応する前記インキ液膜の部分を除去することで前記インキ剥離性フィルム基材に残存する前記インキ液膜により前記画像パターンを形成する前記第3の工程と、
(d)前記インキ剥離性フィルム基材に残存する前記インキ液膜により形成された前記画像パターンと、被印刷基材の表面にあらかじめ設けられたパターンを重ねて観察し、前記インキ剥離性フィルム基材と前記被印刷基材との位置合わせを行う第4の工程と、
(e)前記インキ剥離性フィルム基材に残存する前記インキ液膜により形成された前記画像パターンを、前記被印刷基材表面上へ転写し、前記被印刷基材に前記画像パターンを印刷する第5の工程とを含む精密パターンの印刷方法であって、
前記被印刷基材に予め前記画像パターンの土台となる基礎パターンが設けられ、
前記第5の工程による前記インキ液膜の転写は、前記基礎パターンのうち、選択された前記基礎パターン上に前記画像パターンが転写されることでなされる、
ことを特徴とする精密パターンの印刷方法。
【請求項2】
前記基礎パターンが、
(a’)厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層を有する基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材の前記インキ剥離層上に、基礎パターン形成用のインキ液膜を塗工する工程と、
(b’)前記インキ液膜を予備乾燥する工程と、
(c’)前記基礎パターンと凹凸形状が反対に形成されたネガパターンの凸パターンが形成された基礎パターン形成用の除去版を、前記予備乾燥させたインキ液膜に押し当て、前記凸パターンに対応する前記インキ液膜の部分を除去することで前記基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材に前記インキ液膜のパターンを形成する工程と、
(d’)前記インキ液膜のパターンを、前記被印刷基材表面上へ転写し、前記被印刷基材に前記基礎パターンを転写する工程とにより設けられたことを特徴とする、
請求項1記載の精密パターンの印刷方法。
【請求項3】
前記基礎パターンが、
(a’’)厚さ方向の一方の面である片面にインキ剥離層を有する基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材の前記インキ剥離層上に、基礎パターン形成用の遮光インキ液膜を塗工する工程と、
(b’’)前記遮光インキ液膜を予備乾燥する工程と、
(c’’)前記基礎パターンと凹凸形状が同じ凸パターンが形成された基礎パターン形成用の除去版を、前記予備乾燥させた遮光インキ液膜に押し当て、前記凸パターンに対応する前記遮光インキ液膜の部分を除去することで前記基礎パターン形成用のインキ剥離性フィルム基材に前記遮光インキ液膜のパターンを形成する工程と、
(d’’)紫外線硬化性樹脂をコーティングした前記被印刷基材上に、前記遮光インキ液膜のパターンを転写する工程と、
(e’’)前記遮光インキ液膜のパターンを転写した前記被印刷基材表面に、紫外線照射を行い前記紫外線硬化性樹脂のうち前記遮光インキ液膜のパターンが転写された部分を除く部分を硬化させる工程と、
(f’’)前記遮光インキ液膜及び、紫外線硬化していない前記紫外線硬化性樹脂を可溶性溶剤により除去することにより残存する紫外線硬化した紫外線硬化性樹脂で前記基礎パターンを形成する工程とにより設けられたことを特徴とする、
請求項1記載の精密パターンの印刷方法。
【請求項4】
前記インキ剥離性フィルム基材として、透明なフィルム基材上にシリコーン樹脂層を積層して設けたことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載の精密パターンの印刷方法。
【請求項5】
前記基礎パターンが透明な材料で構成され、
前記基礎パターンは、位置あわせ用に設けられた位置合わせ用パターンを含み、
前記位置合わせ用パターン上に目視または機械認識できるインキを転写し、
前記インキが転写された前記位置合わせ用パターンを、前記第4の工程における前記被印刷基材表面にあらかじめ設けられたパターンとして用いることを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載の精密パターンの印刷方法。
【請求項6】
請求項1乃至5に何れか1項記載の精密パターンの印刷方法により、着色層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−73212(P2013−73212A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214566(P2011−214566)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】