説明

精算処理装置及びその動作制御方法

【課題】 キーロック中の消費電力を抑制することにより、省電力機能に優れる精算処理装置を提供すること。
【解決手段】 ロックキー24のロック操作に基づくキーロック時(ロックモード時)に、ロック制御部26は、データ入力を禁止するとともに、ロック信号を電力管理手段47に出力する。電力管理手段47は、ロック信号に基づいて、CPUの動作クロックを低速に変更するとともに、周辺装置12、13、16,14等に対して不要な電力の供給を停止する。ロック制御部26からロック解除信号を受信すると、電力管理手段47は各部に通常の電力を供給するとともにCPUの動作クロックを通常の動作クロックに戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等において購入商品の精算処理を行うPOS端末装置、スタンドアロンのPOS装置、または金銭登録機等の精算処理装置及び精算処理装置の動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金銭登録機又はPOS端末装置等の精算処理装置は、顧客との金銭の授受を行うために金銭を収納するキャッシュボックスを備えている。そのため、キャッシュボックス内の金銭管理の観点から、従来から精算処理を行うオペレータが精算処理装置を離れるときにはロックキーを用いて精算処理装置の操作をロックし、キャッシュボックスを開閉することができないようにしている。また、操作権限のない者がキーボード等の入力装置の操作を行うことにより、精算処理装置に誤ったデータが登録されてしまい、混乱を生じるおそれもある。これらの問題をなくすため、所定のパスワードの入力により、入力操作を禁止するように構成した精算処理装置が存在する。さらに、パスワードの入力だけではセキュリティ上不完全であるとして、特許文献1に記載の発明では、物理的なロック機構(ロック部)を設けている。この装置では、ロックキーをロック部に挿入してロック位置に移動させると、ロックフラグONとなる。ロックフラグONとなっている間は、ロック部がデータの入力を禁止して、データの入力ができないようになっている(以下、この状態を「ロックモード」と称する)。
【特許文献1】特開平11−24790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のようなパスワードやロック機構を設けることにより、不正入力や権限のない者による精算処理装置の誤操作を防止することは可能となる。しかし、ロックモードは、オペレータが精算処理装置を離れる等の理由により精算処理装置が使用されないことを前提とした動作モードであるにもかかわらず、精算処理装置に電力が供給されている。これは、本来的に不要な電力を無駄に消費するものであることは明らかであり、エネルギー資源の無駄遣いである。
【0004】
この発明は、上述の問題に鑑みなされたもので、ロックモード時における無駄な電力の消費を抑制し、環境に優しい精算処理装置及び精算処理装置の動作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、精算処理装置がロックモードに移行するときに、精算処理装置の消費電力を抑制する省電力モードに移行させるよう構成して、上記課題を解決する。
【0006】
本発明の第1の態様にかかる精算処理装置は、入力装置、プリンタ、表示装置を含む周辺装置と、周辺装置が接続されており、該周辺装置の制御及び購入商品の精算処理を行うホスト装置とを備える精算処理装置において、ロックキーによるロック操作またはロック解除操作に応じて、ロック信号またはロック解除信号を出力するロック部と、ロック信号を受信したときに、入力装置からのデータ入力を無能化するロック制御部と、ロック信号を受信したときに、精算処理装置の消費電力を抑制する省電力モードに移行させる電力管理手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この態様によると、ロックモード移行時に、省電力モードへ移行するため、精算処理装置の消費電力を大幅に抑制することが可能となる。
【0008】
本発明の他の態様にかかる精算処理装置は、電力管理手段が、さらに、ロック信号を受信したときに、少なくとも一つの周辺装置への電力の供給を停止又は制限することを特徴とする。
【0009】
この態様は、キーボード、スキャナ、オペレータ用ディスプレイ、カストマディスプレイ、プリンタ等の周辺装置への、不必要な電力の供給を停止しまたは、制限するものであり、周辺装置の無駄な消費電力を抑制可能となる。電力の供給を停止するとは、電源をすべて遮断するものであり、制限するとは、一部の電力だけを供給することである。
【0010】
本発明の他の態様にかかる精算処理装置は、電力管理手段が、ロック信号を受信してから所定の時間を経過した後に周辺装置の一部または全部の電力の供給を停止または制限することを特徴とする。
【0011】
この態様では、例えば、インクジェットプリンタ、レーザプリンタのように、電力を供給してから通常動作するまでに時間を要する周辺装置については、所定時間経過後に電力の供給を停止または制限する。ロックモード期間が短い場合には電力を制限して供給することにより、立ち上げにかかる無駄な時間をセーブできる。また、電力の供給を停止または制限するまでの期間は、周辺装置に応じて異なる期間を設定することが可能である。
【0012】
本発明の他の態様にかかる精算処理装置は、ロック解除信号を受信したときに、電力管理手段が、省電力モードからホスト装置及び周辺装置に通常の電力を供給する通常動作モードに復帰させ、ロック制御部が入力装置からのデータ入力を可能にすることを特徴とする。
【0013】
この態様では、ロック解除信号を受信したときに、ロックモードを解除する。
【0014】
本発明の他の態様にかかる精算処理装置は、表示装置の少なくとも一つがタッチパネルを備えており、該タッチパネルからロックモードを解除するための所定のパスワードを受信したときに、電力管理手段は、省電力モードから通常動作モードに復帰させ、ロック制御部は、入力装置からの入力を可能にすることを特徴とする。
【0015】
この態様では、ロックキーの操作によるロック解除信号以外により、ロックモードを解除することができる構成を備えている。タッチパネルから所定のパスワードを受信することにより、ロックモードを解除する。パスワードは、タッチパネルの所定のキー入力の組み合わせにより指定可能である他、押下時間の長さの違い、キーの種類、押下回数及び押下時間の組み合わせにより指定する構成も可能である。
【0016】
本発明の他の態様にかかる精算処理装置は、さらに、電力管理手段が、省電力モード中はタッチパネルへの電力の供給を停止し、省電力モード中に所定のスイッチが押下されたときに、タッチパネルに電力を供給することを特徴とする。
【0017】
この態様では、省電力モード中には、タッチパネルの電力の供給を停止しており、所定のスイッチが押下されたときに、タッチパネルに電力を供給する。タッチパネルに電力を供給するための所定のスイッチは、ホスト装置のメイン電源スイッチ、いずれかの周辺装置の電源スイッチ、または操作用の機能スイッチ等である。
【0018】
本発明の第1の態様にかかる精算処理装置の動作制御方法は、ホスト装置、及び該ホスト装置に接続される入力装置、表示装置、プリンタを含む周辺装置を備えており購入商品の精算処理を行う精算処理装置の動作制御方法であって、(a)ロックキーの操作により、ロック信号を出力する工程と、(b)ロック信号を受信したときに、入力装置からのデータ入力を無能化する工程と、(c)ロック信号を受信したときに、精算処理装置の消費電力を抑制する省電力モードに移行する工程と、を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の他の態様にかかる精算処理装置の動作制御方法は、工程(c)が、ロック信号を受信したときに、CPUの動作クロックを低速にすることを特徴とする。
【0020】
本発明の他の態様にかかる精算処理装置の動作制御方法は、さらに、工程(c)が、ロック信号を受信したときに、周辺装置の一部または全部に対して電力の供給を停止することを特徴とする。
【0021】
本発明の他の態様にかかる精算処理装置の動作制御方法は、さらに、(d)ロック解除操作により、ロック解除信号を出力する工程と、(e)ロック解除信号を受信したときに、データ入力の無能化を解除する工程と、(f)省電力モード中にロック解除信号を受信したときに、省電力モードを解除する工程と、を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の態様にかかる精算処理装置の動作制御方法は、さらに、(g)省電力モード中に、電源スイッチ投入信号を受信したときに、タッチパネル入力を可能にし、タッチパネルから所定のパスワードを受信したときに、工程(e)及び(f)を実行する工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、ロックモードによりデータ入力を禁止するときに、ロックモードと連動して精算処理装置を省電力モードに移行させるよう構成し、ロックモード時の無駄な電力の消費を確実に抑制できる。ロックモード中に精算処理装置は使用されることはないので、短い期間であっても、無駄なエネルギーの消費を確実に防止し、環境に優しい精算処理装置の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図面を用いて本発明の最良の実施形態を説明する。図1乃至図3は、本発明の一実施形態にかかる精算処理装置10の構成を示す図である。図1は、本発明の精算処理装置10の基本的な構成要素の一例を示す図であり、図2はその接続形態を示す図である。図3は、図1、図2に示す精算処理装置10の機能ブロック図である。
【0025】
本発明は、図1に示すように、POS端末装置等の精算処理装置の本体部分であるホスト装置11に、キーボード等の入力装置12、オペレータディスプレイ、カストマディスプレイ等の表示装置13、レシート等を印刷するプリンタ14、キャッシュドロア15等を備えている。POS端末装置には、通常、さらにバーコード情報を読み取るバーコードスキャナ、磁気カードを読み取るカードリーダ等の各種装置が接続されるが、本発明の特徴を簡明に示すために、図1乃至図3では図示していない。また、図1乃至図3においては、入力装置としてキーボードを使用した例を示しているが、タッチパネル等、キーボード以外の入力装置を備える構成としても良い。
【0026】
キーボード等の入力装置12(以下、特に必要がない限り、単に「入力装置12」と称する)は、ロック部23を備えている。ロック部23は、ロックキー24をキー穴25に挿入し、所定の位置に回転させることによりロックモードの設定及び解除を行う。また、ホスト装置11は、電源ユニット37を備えており、この電源ユニット37から入力装置12、表示装置13その他の装置に電力を供給する。
【0027】
精算処理装置10は、図示しないバーコードスキャナによる読取入力や入力装置12からの入力に基づいて、購入商品の精算処理を行う。キーボード、スキャナ等からの入力情報はホスト装置11に送信され、ホスト装置11において購入金額、精算金額等が計算される。購入情報及び精算情報はホスト装置11から、カストマディスプレイを含む各種の表示装置13送信される。また、これらのデータはホスト装置11からプリンタ14にも送信され、購入商品の明細、精算金額等を印刷したレシートが発行される。精算金額が確定し、オペレータが金銭を受け取ると、キャッシュドロア15が開閉可能となり、顧客との間で現金の授受が行われる。また、誤操作や防犯の観点から、オペレータが精算処理装置10から離れるときには、ロックキー24を用いて、精算処理装置の入力を受け付ないようにしている。
【0028】
図2に、入力装置12及び他の各周辺装置13乃至15と、ホスト装置11の接続形態を示す。ホスト装置11は、中央制御装置であるCPU30、制御プログラム及び制御データ等を記憶するメモリ35と、ホスト装置11及び外部の各装置に電力を供給する電源ユニット37、電源スイッチ36、及び外部装置とのインタフェースを構成する第1ブリッジ31、第2ブリッジ32、I/O制御IC33とを備えている。第1ブリッジ31、第2ブリッジ32、I/O制御IC33は、それぞれ、ノースブリッジ、サウスブリッジ、スーパーI/Oとも称される。CPU30及び第1ブリッジ31、第2ブリッジ32、I/O制御IC33、及びメモリ35の間は、内部バスで接続されている。CPU30は、図示しない発振回路から出力される動作クロックに基づいて一定の速度で動作する。なお、以上の接続形態は一例であり、1つのCPUチップ内に第1ブリッジ、第2ブリッジ、I/O制御IC等を有する接続形態も本発明に含まれる。
【0029】
図2の例では、ホスト装置11に、第1ブリッジ31を介して、タッチパネル16を備える表示装置13が接続されている。また、第2ブリッジ32を介して、入力装置12が接続され、I/O制御IC33を介して、プリンタ14及びキャッシュドロア15が接続されている。
【0030】
入力装置12は、各文字、数字等に対応する入力キー21と、押下された入力キー21に対応するデータをホスト装置に送信するコントローラ22を備えている。入力装置12はさらに、ロック部23を備えており、コントローラ22にロック制御部26が設けられている。ロック部23は、ロックキー24をキー穴25に挿入して、ロック位置まで回転することにより、コントローラ22のロック制御部26にロック信号を出力する。ロック制御部26は、ロック信号を受信すると、コントローラからホスト装置11に入力データの送信を禁止するとともに、ロック信号をホスト装置11に送信する。これにより、その後のキー入力が禁止される。
【0031】
図3は、図1及び図2に示すホスト装置11の機能の一部を例示する機能ブロック図である。インタフェース41は、図2の第1ブリッジ31、第2ブリッジ32、及びI/O制御IC33により構成され、主制御部42、精算処理手段43、入力制御手段44、表示制御手段45、印刷制御手段46、電力管理手段47、図2のCPU30、メモリ35、及びメモリ等に記憶される制御プログラム、制御データ等により構成される。
【0032】
ホスト装置11の各機能を図3に示す機能ブロックに沿って説明する。精算処理手段43は、入力データに基づいて、顧客の購入した商品の値段、個数等のデータを取得し、精算処理を実行する。入力制御手段44は、入力装置12、タッチパネル16、図示しないバーコードスキャナ等の入力装置の入力動作を制御する。表示制御手段45は、オペレータ表示部及びカストマディスプレイ等の表示装置13を制御して、精算過程における精算情報、及び精算結果等を表示部に表示させる。印刷制御手段46は、プリンタ14を制御して、レシート印刷、スリップ印刷等を実行させる。電力管理手段47は、電源ユニット37を通じて供給される電力を管理し、ロックモード時に不要な消費電力を抑制する(本明細書では、このようなロックモード時の省電力状態を「省電力モード」と称する)。また、電力管理手段はロックモードと無関係に、例えば、精算処理装置が所定時間使用されない場合に、CPUの動作クロックの周波数を落として消費電力を抑制するよう構成することもできる(このようなロックモード時以外の省電力状態を「スリープモード」と称する)。
【0033】
尚、以上の実施形態では、入力装置12内にロック部23及びロック制御部26を設けた例を示したが、ホスト装置11または表示装置13、プリンタ14などの周辺装置内に設ける構成も可能である。さらに、入力装置12内にロック部23のみを設けて、ホスト装置11で入力データを受付けないよう構成することも可能である。すなわち、この構成においては、入力装置12がコントローラ22を介してホスト装置11に入力データを送信しても、ホスト装置11の入力制御手段41が、その入力データを受付けないように動作する。
【0034】
電源スイッチ36は、精算処理装置10の電源を投入し、または切断するために物理的に操作可能なスイッチである。このスイッチを投入することにより、電源ユニット37を起動させる。ホスト装置11、入力装置12、表示装置13等は、電源ユニット37から電力を供給される構成であってもよいし、各装置が、独自に電源ユニットを有する構成であってもよい。
【0035】
入力装置12、表示装置13、タッチパネル16、プリンタ14は、インタフェース41を介して、ホスト装置11に接続されている。図3では、機能を分かり易く示すために、タッチパネル16を表示装置13から分離している。本発明におけるタッチパネル16の特別の機能については、後述する。
【0036】
<精算処理装置の機能及び動作>
精算処理装置10の基本機能である精算処理について説明する。オペレータにより、購入商品データがホスト装置11に入力されると、精算処理手段43により、購入商品の精算処理が実行される。同時に、表示制御手段45の制御の下、購入商品の価格、購入商品の累計金額等が順次表示装置13に表示される。すべての購入商品のデータ入力が終了すると、印刷制御手段46の制御に基づいて、プリンタ14から、購入商品の商品名、単価、購入個数、合計金額等を印刷したレシートが発行される。
【0037】
精算処理装置10は、その主要部として、上述のような精算処理動作を実行する。しかし、オペレータの交代時など、オペレータが精算処理装置を離れるときには、オペレータはロックキー24を操作して、精算処理装置10をロックモードに設定する。
【0038】
ロックモードになると、前述したとおり、精算処理装置10へのデータ入力ができなくなる。さらに、電力管理手段47は、ロック信号を受信することにより省電力モードに移行する。本発明にかかる省電力モードは、前述したスリープモードと同じ状態であってもよいが、スリープモードとは異なる特殊な省電力の構成とすることもできる。例えば、CPU30の動作クロックを低速にするとともに、表示装置13、入力装置12、タッチパネル16、及びプリンタ14等の電源を落とす等、精算処理装置10の設置環境、動作環境に応じた省電力モードの構成が可能である。
【0039】
ロックモードは、ロックモードが解除されるまでは、精算処理装置10が使用されないことを前提に設定される。従って、ロックモード期間中においては、緊急事態でも発生しない限り、精算処理装置10は動作停止状態にある。従って、この期間中に精算処理装置で消費される電力は無駄になる。この状況を回避するため、精算処理装置10全体の電源をOFFにすることが考えられる。しかし、電源をOFFにすると、初期設定データ等の所定のデータもクリアされてしまい、1日に何回も電源のON−OFFを繰り返すことは、精算処理装置の履歴管理上好ましくない。また、電源を投入する度に自己診断プログラムが始動し、立ち上げに時間がかかるという問題もある。従って、オペレータが一時的に精算処理装置を離れるとき等、一定時間精算処理装置10を動作させないことが確実な場合は、精算処理装置10の入力を禁止してロックモードにする機能は有用である。
【0040】
そこで、本発明は、ロックモードへの移行時には、入力をロックする機能とともに、省電力機能を付与することにより、無駄な電力の消費を抑制するよう構成した。すなわち、ロックモード移行時には、必要最小限の電力のみ供給するよう構成して無用の電力の消費を抑制する。必要最小限の電力とは、例えば、ロック信号及びロック解除信号を監視するための電力、ロック解除信号を受信したときに通常の動作ができる状態に復帰するための電力等である。
【0041】
図4に、本発明の一実施形態にかかる電力管理手段47の機能ブロック図を例示する。電力管理手段47に、スリープモードへ移行する機能を設けることも可能であるが、図4では、本発明の特徴を明瞭にするために、本発明の特徴部分であるロックモードへの移行に伴う省電力モードの機能のみを示している。
【0042】
電力管理手段47には、信号監視部51、省電力移行制御部52、電力復帰処理部53、非常復帰処理部54、省電力処理部55、電力復帰処理部56及びタッチパネル電力供給部57を備えている。信号監視部51は、ロックキー24がロック位置にあるときにロック部23から出力されるロック信号と、ロック位置以外に移動したときに出力されるロック解除信号とを監視している。ロック信号が出力されなくなったときをロック解除信号と認識するように構成することも可能である。
【0043】
<省電力モードへの移行及びロックモードの解除動作>
信号監視部51がロック信号の出力を検知すると、省電力移行制御部52を起動する。省電力移行制御部52は、省電力処理部55の処理動作を制御する。省電力処理部55は、例えば、CPU30の動作クロックを、通常の動作クロックよりも低い周波数の動作クロックに切り替える。また、ホスト装置11、入力装置12、表示装置13、プリンタ14等のうち、ロックモード時に使用しない装置の不必要な電力の供給を停止または制限する。これにより、電力管理手段の監視機能と復帰機能を維持し、所定のデータ保持のための電力を供給し、それ以外の他の電力を停止することが可能である。
【0044】
この際、一定の装置については、ロックモードへの移行時に直ちに電源を停止しない方が望ましい。例えば、インクジェットプリンタ等のように立ち上げ時にクリーニングが必要になる等、電源投入後に所定の時間を要する装置については、ロックモードに移行しても電源を落とさないか、または、ロック信号を受信した後所定時間経過してから電源を落とすように構成することが望ましい。省電力移行制御部52は、このような省電力モードへの移行の処理動作を制御する。
【0045】
信号監視部51がロック解除信号を受信すると、電力復帰制御部53が起動される。電力復帰制御部53は、電力復帰処理部56を制御して、CPU30の動作クロックを通常の動作クロックに戻し、供給を停止していた各部に電力を供給する。これにより、精算処理装置10は、省電力モードから通常電力が供給される通常動作モードに復帰する。
【0046】
非常復帰制御部54は、ロックキー以外の方法でロックを解除するための手段である。例えば、担当のオペレータがロックキーを持ったまま所在不明であるにもかかわらず別のオペレータが精算処理措置10を使用する必要がある場合、ロックキー24を紛失した場合等には、ロックキー24を用いない復帰方法が必要となる。また、保守又は修理等の理由により、ロックモードのままロック部23が設けられている装置(本実施例では入力装置12)がホスト装置から取り外された場合にも、ロックキー24を用いないでロックモードを解除する方法が必要である。
【0047】
このような事態に備えて、図4に示す電力管理手段47では、非常復帰制御部54を設けて、ロックキー24を用いずにロックモードを解除することができるようにしている。非常復帰制御部54は、ロックモード状態において電源スイッチ36が押下されて電源投入信号(電源スイッチON信号)を検知すると、タッチパネル電力供給部57を制御して、まずタッチパネル16に電力を供給する。
【0048】
図5に、ロックモード状態において、タッチパネル16の電源が投入された場合の一例を示す。図5に示すように表示装置13上のタッチパネル部分に、所定のタッチキー17が表示される。図5では、A,B,C,Dの4個のタッチキー17が表示されているが、数字その他の記号であっても良く、表示されるタッチキー17の数も任意に設定できる。オペレータは、これらのタッチキー17を用いて、ロックモードを解除するためのパスワードを入力する。パスワードは所定のタッチキー17の組み合わせから構成され、あらかじめ決められている。例えば、Aを2回、Dを1回、Bを5回、さらにAを1回入力する(AADBBBBBA)等の複雑な組み合わせをパスワードとして設定しておくことが可能である。
【0049】
尚、操作をより簡単にするため、例えば、一つタッチキー17を表示し、その表示されたタッチキー17を、所定の時間間隔で連続5回押下することによりロックモードを解除するような構成としても良い。また、タッチパネル16の右下や中央など所定の位置を所定回数タッチする動作を、パスワードとして用いる構成も可能である。省電力モードにおいては、表示装置13の表示を行わないことがあるので、この構成をとることが好ましい。
【0050】
パスワードが正確に入力され、非常復帰制御部54がこれを検証すると、非常復帰制御部54は電力復帰制御部53にロック解除信号と同じ信号を出力する。これにより電力復帰制御部53はロックモード状態および省電力モードを解除して、精算処理装置10を通常動作モードに復帰させる。
【0051】
<ロックモードへの移行処理手順>
ロックモードへの移行処理手順の一例について、図6のフローチャートを用いて説明する。ロックモードへの移行処理は、ロックキー24がロック位置に移動されることにより出力されるロック信号に基づいて開始される。そのため、ロック制御部26はロック信号を監視している(S101)。ロックキー24がロック位置に移動されると、ロック信号が出力される。ロック信号を受信すると(S101;Yes)、ロック制御部26は入力キー21によるデータ入力を禁止する(S102)。データ入力の禁止は、ロック制御部26からの制御信号に基づいて、入力装置12のコントローラ22からホスト装置11に入力データを送信させないようにすること、又はホスト装置11の入出力制御手段44が入力データを受付けないようにすること等により実現可能である。
【0052】
次に、ロック信号に基づいて電力管理手段47が、省電力モードに移行し(S103)、不要な電力の供給を停止又は制限する。例えば、ホスト装置11に接続されている各装置12,13,14等、又はホスト装置内の各部への不要な電力の供給を停止し、CPU30を低速の動作クロックに切り替える。また、接続されている所定の周辺装置等について、一定の時間経過後に電力の供給を停止又は制限するような構成も可能である。
【0053】
<ロック解除処理手順>
ロックモードの解除処理手順の一例を、図7のフローチャートを用いて説明する。ロックモードの解除処理は、原則としてロック解除信号を受信することにより実行される。図7のフローチャートでは、さらに、非常時においてタッチパネルを用いてロック解除を行うことができるようにした処理手順を例示している。ロック解除処理、すなわちロックモードを解除して通常動作モードへ復帰する処理は、電力を復帰させる工程と、データ入力の禁止を解除する工程が主となる。
【0054】
ロックモード状態においては、ロック解除信号を受信したか否かを監視しており(S201)、ロック解除信号を受信すると(S201;Yes),まず停止していた電力を各部に供給して通常動作モードの状態に復帰させる(S205)。次に、データ入力の禁止を解除して、データ入力を受付け可能にする(S206)。
【0055】
ロック解除信号を受信してない場合には(S201;No)、さらに電源スイッチON信号を受信したか否かが確認される(S202)。電源スイッチON信号を受信していなければ(S202;No)、ロック解除信号及び電源スイッチON信号の監視処理が繰り返される(S201、202)。ロックモード時に電源スイッチON信号を受信すると(S202;Yes)、タッチパネル16に電力を供給するとともにタッチキー17の入力を受付ける(S203)。タッチキー17の操作によりパスワードが入力されると、正しいパスワードであるかどうかが検証される(S204)。パスワードが異なる場合には(S204;No)確認処理が繰り返される。パスワードが検証されると(S204;Yes)、ロック解除信号を受信した場合と同じように、電力を復帰させて(S205)、データの入力を受付ける(S206)。
【0056】
処理工程S203及びS204において、入力されたパスワードが所定の回数に一致しない場合には、タッチパネルによる解除処理を中止して音声その他の警報を発生するように構成してもよい(図示せず)。
【0057】
以上の実施形態においては、キーボード(入力装置12)上にロック部24及びロック制御部26を設けた例を示したが、ロック部24及びロック制御部26をホスト装置11、プリンタ14、表示装置13、その他の装置に設けることも可能である。その場合には、キーボード等の入力装置12からの入力の禁止は、ホスト装置11の入力制御手段により制御する構成とすることが望ましい。
【0058】
また、上記説明においては、メカニカルキー(鍵)方式のロックキー24を、物理的に回転させてロック信号及びロック解除信号を出力する例を示したが、ロックキー24として磁気カード、ICカードを用いることも可能である。磁気カード、ICカードから所定のデータを読み取らせることにより、ロックモードに移行し、またはロックモードを解除するような構成としてもよい。さらに、ロックキー24を用いることなく、所定のパスワードを入力してロックモードに移行するように構成することも可能である。さらに、ロックモード時においても一部のタッチキー17を使用可能にしておき、非常時に即座にパスワードの入力ができるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明にかかる精算処理装置の基本的な構成要素の一例を示す図である。
【図2】図1に示す精算処理装置の接続形態を示す図である。
【図3】図1に示す精算処理装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる電力管理手段の機能ブロック図である。
【図5】ロックモード状態において、タッチパネルに電力が供給された場合の一例を示す外観図である。
【図6】ロックモードへの移行処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】ロックモードの解除処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
10 精算処理装置 11 ホスト装置
12 入力装置 13 表示装置
14 プリンタ 15 キャッシュドロア
16 タッチパネル 17 タッチキー
21 入力キー 22 コントローラ
23 ロック部 24 ロックキー
25 キー穴 26 ロック制御部
30 CPU 31 第1ブリッジ
32 第2ブリッジ 33 I/O制御IC
35 メモリ 36 電源スイッチ
37 電源ユニット 38 発振回路
41 インタフェース 42 主制御部
43 精算処理手段43 44 入力制御手段
45 表示制御手段 46 印刷制御手段
47 電力管理手段 51 信号監視部
52 省電力移行制御部 53 電力復帰制御部
54 非常復帰処理部 55 省電力処理部
56 電力復帰処理部 57 タッチパネル電力供給部






【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置、プリンタ、表示装置を含む周辺装置と、前記周辺装置が接続されており、該周辺装置の制御及び購入商品の精算処理を行うホスト装置とを備える精算処理装置において、
ロックキーによるロック操作またはロック解除操作に応じて、ロック信号またはロック解除信号を出力するロック部と、
前記ロック信号を受信したときに、前記入力装置からのデータ入力を無能化するロック制御部と、
前記ロック信号を受信したときに、前記精算処理装置の消費電力を抑制する省電力モードに移行させる電力管理手段と、
を備えることを特徴とする精算処理装置。
【請求項2】
前記電力管理手段は、さらに、前記ロック信号を受信したときに、少なくとも1つの前記周辺装置への電力の供給を停止又は制限することを特徴とする請求項1に記載の精算処理装置。
【請求項3】
前記電力管理手段は、前記ロック信号を受信してから所定の時間を経過した後に前記周辺装置の一部または全部への電力の供給を停止、または制限することを特徴とする請求項1に記載の精算処理装置。
【請求項4】
前記ロック解除信号を受信したときに、
前記電力管理手段は、前記省電力モードから前記ホスト装置及び前記周辺装置に通常の電力を供給する通常動作モードに復帰させ、
前記ロック制御部は前記入力装置からのデータ入力を可能にする、
ことを特徴とする請求項3に記載の精算処理装置。
【請求項5】
前記表示装置の少なくとも一つはタッチパネルを備えており、該タッチパネルからロックモードを解除するための所定のパスワードを受信したときに、
前記電力管理手段は、前記省電力モードから前記通常動作モードに復帰させ、
前記ロック制御部は、前記入力装置からの入力を可能にする、
ことを特徴とする請求項4に記載の精算処理装置。
【請求項6】
さらに、前記電力管理手段は、前記省電力モード中は前記タッチパネルへの電力の供給を停止し、前記省電力モード中に所定のスイッチが押下されたときに、前記タッチパネルに電力を供給することを特徴とする請求項5に記載の精算処理装置。
【請求項7】
ホスト装置、及び該ホスト装置に接続される入力装置、表示装置、プリンタを含む周辺装置を備えており購入商品の精算処理を行う精算処理装置の動作制御方法であって、
(a) ロックキーの操作により、ロック信号を出力する工程と、
(b) 前記ロック信号を受信したときに、前記入力装置からのデータ入力を無能化する工程と、
(c) 前記ロック信号を受信したときに、前記精算処理装置の消費電力を抑制する省電力モードに移行する工程と、
を備えることを特徴とする精算処理装置の動作制御方法。
【請求項8】
前記工程(c)は、前記ロック信号を受信したときに、CPUの動作クロックを低速にすることを特徴とする請求項6に記載の精算処理装置の動作制御方法。
【請求項9】
さらに、前記工程(c)は、前記ロック信号を受信したときに、前記周辺装置の一部または全部に対して電力の供給を停止することを特徴とする請求項7、または8に記載の精算処理装置の動作制御方法。
【請求項10】
さらに、
(d) ロック解除操作により、ロック解除信号を出力する工程と、
(e) 前記ロック解除信号を受信したときに、前記データ入力の無能化を解除する工程と、
(f) 前記省電力モード中に前記ロック解除信号を受信したときに、前記省電力モードを解除する工程と、
を備えることを特徴とする請求項6,7、8、9のいずれか1項に記載の精算処理装置の動作制御方法。
【請求項11】
さらに、
(g) 前記省電力モード中に、電源スイッチ投入信号を受信したときに、タッチパネル入力を可能にし、前記タッチパネルから所定のパスワードを受信したときに、前記工程(e)及び(f)を実行する工程を備えることを特徴とする請求項10に記載の精算処理装置の動作制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−190017(P2006−190017A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−435(P2005−435)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】