説明

精米設備

【課題】本発明の課題は、投入ホッパに投入された穀粒量が少量の場合に通常の精白処理を行うと貯留ホッパ内の穀粒がなくなった後で搬送装置内の残留穀粒が精米装置に供給されて未精白米として排出されてしまう問題を解消する。
【解決手段】本発明は、穀粒を投入する投入ホッパ(1)と、投入された穀粒を所定量づつ繰り出す繰出手段(2)と、繰出手段で繰出された穀粒を搬送する搬送手段(3),(7)と、搬送手段で搬送された穀粒を精米する精米装置(10)と、精米装置の前工程に備える貯留ホッパ(8)と、投入ホッパ(1)に投入された穀粒量を検出する穀粒量検出手段(15),(16)と、投入ホッパに投入された穀粒量が設定量以下の場合に精米装置(10)の精米処理開始のタイミングを遅延する手段(17)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は精米設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
残米回収動作による石抜機内の残米が精米タンクに達する前に精米タンクにおける処理米が無くならないように、精米機を駆動開始させるタイミングを遅らせて制御する精米設備が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3748780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、上記引用文献の遅延制御の精度をさらに向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、穀粒を投入する投入ホッパ(1)と、投入された穀粒を所定量づつ繰り出す繰出手段(2)と、繰出手段で繰出された穀粒を搬送する搬送手段(3),(7)と、搬送手段で搬送された穀粒を精米する精米装置(10)と、精米装置の前工程に備える貯留ホッパ(8)と、投入ホッパ(1)に投入された穀粒量を検出する穀粒量検出手段(15),(16)と、投入ホッパに投入された穀粒量が設定量以下の場合に精米装置(10)の精米処理開始のタイミングを遅延する遅延時間設定手段(17)を設け、前記投入ホッパ(1)には、穀粒が投入されていることを検出する穀粒有無検出センサ(15),(16)を上段と下段に設け、上段と下段の穀粒有無検出センサ(15),(16)が共にONの場合には精米装置(10)の開始処理を通常の設定時間で制御し、下段の穀粒有無検出センサ(16)がONで上段の穀粒有無検出センサ(15)がOFFの場合、精米装置(10)の精米処理開始のタイミングを通常より遅延して処理制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
以上要するに、請求項1の本発明によれば、貯留ホッパ内に穀粒がある状態で残留穀粒が無い状態になるため、精白の不十分な穀粒の排出を防止することができる。
また、簡単な構成で精米装置の精米処理開始のタイミングを通常より遅延する制御を行うことができる。
【0006】
更に、請求項2の発明によれば、穀粒の投入量に応じて遅延時間を可変するため、精度の良い精白処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は精米設備の工程図を示すもので、投入ホッパ1内に投入される玄米は、第1ロータリバルブ2によって第1昇降機3に繰り出され、この第1昇降機3から石抜装置4に供給されて処理されるようになっている。そして、石抜装置4で石抜き処理されたものは、通常玄米通路5及び石抜残米工程通路6を経て第2昇降機7に供給され、第2昇降機7にて貯留ホッパ(玄米タンク)8に搬送される。貯留ホッパ8に貯留される玄米は、第2ロータリバルブ9によって順次精米装置10に繰出供給され精米装置の圧迫板11によって精白処理がなされて、白米タンク12に排出されるようになっている。
【0008】
前記投入ホッパ1には、投入された穀粒(玄米)量を検出する穀粒(玄米)量検出手段15,16が設けられ、投入ホッパ1に投入された玄米量が設定量以下になると、精米装置10の精米処理開始のタイミングを遅延する遅延時間設定手段17が制御部18に設けられている。
【0009】
前記玄米量検出手段は、投入ホッパ1内に玄米が投入されていることを検出する高(H)レベルの穀粒有無検出センサ15と低(L)レベルの穀粒有無検出センサ16とからなり、上段と下段の上下2段に配置して設けられ、上段と下段の穀粒有無検出センサ15,16が共にONの場合には精米装置10の開始処理を通常の設定時間で制御し、下段の穀粒有無検出センサ16がONで上段の穀粒有無検出センサ15がOFFの場合は、精米装置10の精米処理開始のタイミングを通常より遅延して処理制御するように構成されている。
【0010】
また、上記精米開始の遅延時間設定手段17には、下段の穀粒有無検出センサ16がONで上段の穀粒有無センサ15がOFFの場合、精米装置10の精米処理開始のタイミングを通常より遅延する時間を、第1ロータリバルブ2の繰り出し開始から下段の穀粒有無検出センサ16がOFFになるまでの時間に基づいて可変する可変手段17aが備えられている。
【0011】
玄米を投入ホッパ1に投入し、料金を料金投入口に投入すると共に、精白度を選択する選択ボタンスイッチ(上白スイッチ13a、標準スイッチ13b、8分スイッチc)13のうち、例えば「上白」を選択して上白スイッチ3aを押すと、前記料金投入による料金投入検出手段14の検出結果に基づき、第1ロータリバルブ2、第1昇降機3、石抜装置4及び第2昇降機7が駆動を開始する。そして、投入ホッパ1内における上段と下段の穀粒有無検出センサ15,16が共にONの場合には、通常の設定時間で第2ロータリバルブ9及び精米装置10が駆動を開始し、下段の穀粒有無検出センサ16がONで上段の穀粒有無検出センサ15がOFFの場合は、設定された所定の遅延時間経過後に第2ロータリバルブ9及び精米装置10が駆動を開始する。ここで、精白初期は、精米装置10の圧迫板11を閉じて精白処理を行い、そして、所定時間経過後、圧迫板11が開いて白米タンク12に精白米を排出する。
【0012】
次に下段の穀粒有無センサ16がOFFで穀粒無しを検出すると、所定時間経過後、第1ロータリバルブ2が停止し、更に所定時間が経過すると第2ロータリバルブ9及び精米装置10が停止する。なお、第1ロータリバルブ2が停止してから第2ロータリバルブが停止する間に、石抜残米排出シャッタ19が開いて残米処理を行い、第1昇降機3、石抜装置4、第2昇降機7が停止する。
【0013】
従来、精米装置の起動は、精米装置上部の貯留ホッパに玄米があることを条件に起動させているが、無人精米装置のように利用する玄米の量が一定でない場合、投入と精米の能力差から持ち込み量によって貯留ホッパに溜まる量が変化する。このため、少量精米時には残米処理時間が足りず精米装置が空運転し性能に悪影響を及ぼすことになる。従って、コイン精米機における精米装置の起動にあたっては、まず、利用客の投入量を把握する必要があるが、例えば、投入コイン枚数で量を把握するが、通常より少ない量では、上記のように、精米装置の起動タイミングを遅延させることによって解消することができるものである。
【0014】
例えば、基本30kg300円として、通常では20秒の遅延で精米装置を起動するが、少量利用では、−100円で+10秒の遅延を行う。
例:200円利用時は20秒+10秒の30秒遅延する。
例:100円利用時は20秒+10秒×2の40秒遅延する。
【0015】
図4、図5に示すように、投入ホッパへの玄米投入時(精米初期)、上段の穀粒有無検出センサ15(H)及び下段の穀粒有無センサ16(L)が共にOFFで、投入量3kg未満の場合(図4イ参照)には、最小量として扱い精米不可となる。
【0016】
上段のセンサ15がOFFで、下段のセンサ16がONの場合(図4ロ参照)は、3kg以上で5.5kg未満の条件付運転とする。そして、かかる条件をもとにロータリバルブが起動し、標準的にはロータリバルブ起動後25秒の遅延で精米装置を起動するが、これに加えて、遅延25秒後に下段のセンサ16のON/OFF状況を確認し、下段のセンサ16がONであれば、精米装置の起動遅延時間をロータリバルブの起動後30秒(最低20秒)とする。また、ロータリバルブ起動後25秒で下段のセンサ16がOFFである場合は、精米装置の起動遅延時間を下段センサ16のOFF後、最大ロス時間(最大ロス:石抜装置の残米排出時間+昇降機の残米清掃時間)経過40秒後に精米装置を起動する。
【0017】
上段のセンサ15及び下段のセンサ16が共にONの場合(図4ハ参照)は、6kg以上の条件付運転とする。ロータリバルブ起動後25秒の遅延でセンサ15がONの時は正常運転とし、ロータリバルブ起動後25秒でセンサ15がOFFでセンサ16がONの場合では、遅延時間をロータリバルブの起動後30秒(最低29秒)とする。また、ロータリバルブ起動後25秒でセンサ15がOFFでセンサ16がOFFの場合では、センサ16のOFF後40秒で精米装置を起動する。
【0018】
上段のセンサ15がOFF、下段のセンサ16がONの場合で、2kg以上測定値kg未満の場合(図5ニ参照)は条件付運転とする。ロータリバルブ起動後25秒でセンサ16がONの場合は存在せず、ロータリバルブ起動後25秒でセンサ16がOFFの場合では、センサ16のOFF後40秒で精米装置を起動する。
【0019】
上段のセンサ15及び下段のセンサ16が共にONの場合で測定値kg以上の場合(図5ホ参照)も条件付運転とする。ロータリバルブ起動後25秒でセンサ15がONの場合は正常運転とし、ロータリバルブ起動後25秒でセンサ15がOFFでセンサ16がONの場合では、遅延時間をロータリバルブの起動後30秒(最低29秒)とする。また、ロータリバルブ起動後25秒でセンサ15がOFFでセンサ16がOFFの場合では、センサ16のOFF後40秒で精米装置を起動する。
【0020】
下段の穀粒有無検出センサ16は、感度の低いセンサを用いて籾玄米を検出できる構成とし、上段の穀粒有無検出センサ15は感度の高いセンサを用いることによって、籾と玄米の識別を可能にすることができる。
【0021】
投入ホッパの玄米を持ち帰ることのできるコイン精米機において、投入ホッパ1には、図7に示すように、空(空検出)センサAと精米可能(最低容量検出)センサBを装備し、この二つのセンサA,Bを用いて以下のような検出制御を行う構成とすることもできる。すなわち
(1) 精米初期:空センサAがONで精米必要最低量の確保を検出する。
(2) 料金切れ時:精米可能センサBがONで精米必要最低量の確保を検出する。
(3) 終了時:空センサAがOFFで精米終了条件が成立する。
【0022】
上記の3要件をもって毎回(ホッパに玄米が残っていても)残米排出を行って終了する構成である。
なお、図7の1は、通常の張り込み時を示し、図7の2は、排出時、一番角度の緩い斜面に残りながら排出され、BセンサONで精米最低量3kg確保される。
【0023】
図7の3は、少量投入時、AセンサONで精米最低量3kg確保される。また、図7の4は、料金切れでAセンサはONするも最低量確保されない。
また、料金切れ時において、空センサAがONで精米可能センサBがOFF、つまり、精米必要最低量の確保ができない場合は、コインメックを受け入れ禁止にし、空センサAがOFFになるとコインメックを受付可能にしておく。これによれば、精米必要最低量の確保ができない時はコインを受け付けないから誤動作がなくなる。
【0024】
更に、料金切れ時、空センサAがONで精米可能センサBもONの時は精米可能とし、ロータリバルブ起動後、精米装置起動までの間に精米可能センサBがOFFになると、精米装置の起動を遅らせ、石抜装置の残米を排出後に精米装置を起動する。最低量を確保できても少量なら石抜装置の排出時間中、精米装置の空転が続きその間の精白度が利用客の希望とは著しい違いが発生するが、上記構成により解消することができた。
【0025】
4種コインメックが使用できるコイン精米機において、コインメックにコインを入れることにより、価格設定ができるように構成することもできる。従来はコインメックを制御しているデータプリンタのキー操作にて設定コストからキーの数を制限しているため複雑で面倒である。本例ではコインを入れて設定読込するだけであるため簡単である。
【0026】
領収書又はコイン又はカードを発行できるコイン精米機を具現することも可能である。即ち、このコイン精米機の1単価利用ごとに1枚のコイン又はカードを発行できるように構成する。これによれば、利用した証拠を残し、次回の割引を実施可能にすることができて便利である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】精米設備の工程図
【図2】制御ブロック回路図
【図3】フローチャート
【図4】穀粒有無検出センサ作動状態を示す投入ホッパ側面図((イ)〜(ハ))
【図5】同上側面図((ニ)〜(ホ))
【図6】供給と精米能力の比較図
【図7】空センサと精米可能センサの作動状態を示す投入ホッパ側面図
【符号の説明】
【0028】
1 投入ホッパ
2 第1ロータリバルブ(繰出手段)
3 第1昇降機(搬送手段)
7 第2昇降機(搬送手段)
8 貯留ホッパ
9 第2ロータリバルブ(繰出手段)
10 精米装置
15 穀粒有無検出センサ(穀粒量検出手段)
16 穀粒有無検出センサ(穀粒量検出手段)
17 精米遅延時間設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒を投入する投入ホッパ(1)と、投入された穀粒を所定量づつ繰り出す繰出手段(2)と、繰出手段で繰出された穀粒を搬送する搬送手段(3),(7)と、搬送手段で搬送された穀粒を精米する精米装置(10)と、精米装置の前工程に備える貯留ホッパ(8)と、投入ホッパ(1)に投入された穀粒量を検出する穀粒量検出手段(15),(16)と、投入ホッパに投入された穀粒量が設定量以下の場合に精米装置(10)の精米処理開始のタイミングを遅延する遅延時間設定手段(17)を設け、
前記投入ホッパ(1)には、穀粒が投入されていることを検出する穀粒有無検出センサ(15),(16)を上段と下段に設け、上段と下段の穀粒有無検出センサ(15),(16)が共にONの場合には精米装置(10)の開始処理を通常の設定時間で制御し、下段の穀粒有無検出センサ(16)がONで上段の穀粒有無検出センサ(15)がOFFの場合、精米装置(10)の精米処理開始のタイミングを通常より遅延して処理制御することを特徴とする精米設備。
【請求項2】
下段の穀粒有無検出センサ(16)がONで上段の穀粒有無センサ(15)がOFFの場合、精米装置の精米処理開始のタイミングを通常より遅延する時間を、繰出手段(2)の繰り出し開始から下段の穀粒有無検出センサ(16)がOFFになるまでの時間によって可変する可変手段(17a)を設けてあることを特徴とする請求項1記載の精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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