説明

精製魚肉の製造法

【課題】冷凍すり身の製造法において、歩留まりを高めた冷凍すり身を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、すり身の製造行程において、生あるいは冷凍の魚そのまま、あるいは調理して魚の頭部と内臓を除去した表皮付きドレスを幅0.6cm以上3cm以下の輪切りにして水晒しを行い、脱水と採肉と精製をして魚肉を得ることを特徴とする精製魚肉の製造方法に関する。本発明精製魚肉は、冷凍変性抑止剤を添加混合して冷凍することにより、長期の保存が可能である。本発明方法により、すり身の製造行程において歩留まりが高く、魚本来の味に富んだ食品の素材として良好な精製魚肉を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精製魚肉の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍すり身は、特公昭37−9257号によると細断した多水性魚肉を2回以上水洗及び水晒を行い、脱水後約0.1%以上の重合燐酸塩類及び約1%以上の糖類と充分混合し、次いでそれを凍結することを特徴とする多水性魚肉の蛋白質変性防止法である。
【0003】
現在の製造方法は、スケトウダラなどの原料魚より魚肉を採取し、落し身としたものを数回清水により水晒しを行い、次に必要に応じてリファイナーにより黒皮などを除き、スクリュープレスによって脱水し、得られた魚肉に糖または糖アルコールを5〜10重量%および重合燐酸塩を0.2〜0.3重量%添加混合し、すり身として包装、凍結し、−20℃〜−30℃に保存して製品としたものである。
【0004】
しかしながら、落し身を水晒しするため、製品の歩留まりが悪く、改良が望まれている。
【0005】
また、魚類資源を有効に使用するために、歩留まり向上の要望も多い。
【特許文献1】 特公昭37−9257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、冷凍すり身の製造法において、歩留まりを高めた冷凍すり身を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、すり身の製造行程において、生あるいは冷凍の魚そのまま、あるいは調理して魚の頭部と内臓を除去した表皮付きドレスを幅0.6cm以上3cm以下の輪切りにして水晒しを行い、脱水と採肉と精製をして魚肉を得ることを特徴とする精製魚肉の製造方法に関する。
【0008】
輪切りにして水晒し後の脱水と採肉と精製の順番は、脱水、採肉、精製あるいは採肉、精製、脱水または採肉、脱水、精製の3通りの方法がある。
【0009】
本発明精製魚肉は、冷凍変性抑止剤を添加混合して冷凍することにより、長期の保存が可能である。
【0010】
本発明はすべての魚種の生魚および冷凍魚に適用し得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明方法により、すり身の製造行程において歩留まりが高く、魚本来の味に富んだ食品の素材として良好な精製魚肉を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に実施例をあげ、本発明方法を具体的に説明する。
【実施例1】
【0013】
ホッケの頭部と内臓を除去後、表皮の付いたドレスを1cmから2cmの輪切りにし、2倍量の水を加えて水晒しと水切りを3回行い、加圧して脱水後、採肉、精製して魚肉を得た。
【0014】
このときの精製魚肉の歩留まりは、水分80%で原料魚から45%であり、これまでの製法では、20〜30%であった。
【0015】
この精製魚肉に糖類を添加混合して冷凍し、冷凍すり身を得た。
【0016】
このホッケ冷凍すり身から作成した茹で魚肉団子は、魚の旨味に富んでいた。
【実施例2】
【0017】
サンマの頭部と内臓を除去後、表皮の付いたドレスを1cmから2cmの輪切りにし、2倍量の水を加えて水晒しと水切りを3回行い、加圧して脱水後、採肉、精製して魚肉を得た。
【0018】
このときの精製魚肉の歩留まりは、水分74%、脂質9%で原料魚から42%であり、これまでの製法では、20〜25%であった。
【0019】
この精製魚肉に糖類を添加混合して冷凍し、冷凍すり身を得た。
【0020】
このサンマ冷凍すり身から作成した茹で魚肉団子は、魚の旨味に富んでいた。
【実施例3】
【0021】
サバの頭部と内臓を除去後、表皮の付いたドレスを1cmから2cmの輪切りにし、2倍量の水を加えて水晒しと水切りを3回行い、加圧して脱水後、採肉、精製して魚肉を得た。
【0022】
このときの精製魚肉の歩留まりは、水分69%、脂質12%で原料魚から46%であり、これまでの製法では、20〜25%であった。
【0023】
この精製魚肉に糖類を添加混合して冷凍し、冷凍すり身を得た。
【0024】
このサバ冷凍すり身から作成した茹で魚肉団子は、魚の旨味に富んでいた。
【実施例4】
【0025】
スケトウダラの頭部と内臓を除去後、表皮の付いたドレスを1cmから2cmの輪切りにし、2倍量の水を加えて水晒しと水切りを3回行い、加圧して脱水後、採肉、精製して魚肉を得た。
【0026】
このときの精製魚肉の歩留まりは、水分84%で原料魚から45%であり、これまでの製法では、20〜28%であった。
【0027】
この精製魚肉に糖類を添加混合して冷凍し、冷凍すり身を得た。
【0028】
このスケトウダラ冷凍すり身から作成した茹で魚肉団子は、魚の旨味に富んでいた。
【実施例5】
【0029】
ホッケをそのままの形で、1cmから2cmの輪切りにし、3倍量の水を加えて水晒しと内蔵が通る大きさの網で水切りを3回行い、加圧して脱水後、採肉、精製して魚肉を得た。
【0030】
このときの精製魚肉の歩留まりは、水分80%で原料魚から45%であり、これまでの製法では、20〜30%であった。
【0031】
この精製魚肉に糖類を添加混合して冷凍し、冷凍すり身を得た。
【0032】
このホッケ冷凍すり身から作成した茹で魚肉団子は、魚の旨味に富んでいた。
【実施例6】
【0033】
冷凍サンマの頭部と内臓を除去後、表皮の付いたドレスを1cmから2cmの輪切りにし、2倍量の水を加えて水晒しと水切りを3回行い、加圧して脱水後、採肉、精製して魚肉を得た。
【0034】
このときの精製魚肉の歩留まりは、水分75%、脂質8%で原料魚から42%であり、これまでの製法では、20〜25%であった。
【0035】
この精製魚肉に糖類を添加混合して冷凍し、冷凍すり身を得た。
【0036】
このサンマ冷凍すり身から作成した茹で魚肉団子は、魚の旨味に富んでいた。
【実施例7】
【0037】
冷凍ホッケの頭部と内臓を除去後、表皮の付いたドレスを1cmから2cmの輪切りにし、2倍量の水を加えて水晒しと水切りを3回行い、採肉後、精製、加圧脱水して精製魚肉を得た。
【0038】
このときの精製魚肉の歩留まりは、水分81%で原料魚から43%であり、これまでの製法では、20〜30%であった。
【0039】
この精製魚肉に糖類を添加混合して冷凍し、冷凍すり身を得た。
【0040】
このホッケ冷凍すり身から作成した茹で魚肉団子は、魚の旨味に富んでいた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生あるいは冷凍の魚の頭部と内蔵を除去した後、表皮の付いた魚体を幅0.6cm以上3cm以下の輪切りにして水晒しを行い、脱水と採肉と精製をした魚肉の製造法。
【請求項2】
生あるいは冷凍の魚、そのままを幅0.6cm以上3cm以下の輪切りにして水晒しを行い、脱水と採肉と精製をした魚肉の製造法。

【公開番号】特開2009−131235(P2009−131235A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337858(P2007−337858)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(507422781)
【Fターム(参考)】