説明

糸の層から糸を分離するための装置、装置を動作するための方法、及び、装置の使用

移動可能な分離手段(10)を用いて糸層(5)から部分量の糸(5.1)を分離するための装置(1)が使用され、糸層(5)は、隣接して配置される複数の糸から形成される。装置は、分離手段(10)を糸層(5)に対して移動するための移動装置(15,4)と、移動装置(15,4)を制御するための制御装置(20)と、糸を検出するための検出装置(25)とを含み、検出装置(25)は、糸層(5)に対する基準位置(R)の検出を可能にし、移動装置(15,4)は、分離手段(10)が糸層(5)に対する作業位置(A)にもたらされ得るよう、並びに、分離手段(10)が2つの隣接する糸の間に少なくとも部分的に挿入される分離移動(18)を実行し得るよう制御され得る。基準位置(R)に対する作業位置(A)の少なくとも1つの相対的座標(Δ)は、制御装置(20)の可変パラメータであり、この相対的座標(Δ)のための少なくとも1つの値が、制御装置(20)に利用可能とされ得る。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動可能な分離手段で糸の層から部分量の糸を分離するための装置、その装置を動作するための方法、及び、その装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
糸の処理に基づく多くの工業的プロセス(例えば、織物、繊維等を製造するための方法)において、隣接して、例えば、平行に配置される複数の糸から成る糸層の取扱いは、中心的な役割を演じる。
【0003】
例えば、織布機上で処理されるような経糸は、一般的には、多かれ少なかれ互いに近隣接して配置され、よって、主として平坦な(経)糸層を形成する。この場合には、多かれ少なかれ大きな間隙が、普通、糸層の隣接する糸の間に形成され、これらの間隙のサイズは、一方では、使用される糸の番手(直径)、例えば、ヘアリネスのようなそれらの状態に関連し、他方では、精細度の程度、糸層から製造されるべき織物が有すべき重量又は密度に関連する。
【0004】
糸層を取り扱う初歩的なプロセスステップは、糸層からの糸の分離である。このプロセスステップにおいて、単一の糸又は所定数の糸を有する部分量が把持され、(糸層内の残余の糸と独立して)それぞれ分離される糸の個別のさらなる処置を可能にするために、糸層の残余の糸から分けられ或いは分離される。そのプロセスステップを反復的に適用することによって、糸層の糸の全てが連続的に分離され、それぞれさらなる個別の処置に晒される。
【0005】
糸層から糸を分離するためのプロセスのための前述の着想は、工業生産において多数の用途を見い出した。
【0006】
典型的な用途は、例えば、織物の製造のための織布機の準備に関し、普通、複数の(経)糸が、織布機ハーネス内に提供される様々な開口(例えば、ヘルド内の糸道のための開口)を通じて引き込まれなければならない。この目的のために、それぞれの場合において、糸層の所定の側の上に縁部を瞬間的に形成する糸は、普通、準備された糸層から分離され、次に、織布機ハーネス内のこの糸に割り当てられる開口を通じて通され、このプロセスは、糸層の糸の全てが処理されるまで反復される。
【0007】
他の典型的な用途は、例えば、第一糸層を第二糸層に結合するために、(例えば、結糸を用いて)第一糸層の糸を第二糸層の糸に結び付ける仕事を有する結束機に関する。この目的のために、結束機は、普通、第一糸層の縁部にある1つの糸及び第二糸層の縁部にある1つの糸をそれぞれ分離し、一方の分離される糸の一端部を他方の分離される糸の一端部に結び付け、第一糸層の各糸が第二糸層の各糸に結合されるまで、このプロセスを反復する。
【0008】
糸層から糸を分離するための装置において、重要な要件は、単一の作業ステップにおいて分離される糸の数が、正確に監視されるべきことである。即ち、1つの作業ステップにおける糸の数が、所定の所望数と異なるならば、不制御の不規則性が、後続の作業ステップにおいて起こり、それは製造されるべき製品の品質の低減、及び、場合によっては、使用不能な製品をもたらし得る。
【0009】
EP0206196号は、移動可能な分離手段を用いて糸層から単一の糸を分離するための装置を開示している。この装置の分離手段は、針先端部と、針先端部の側部フランク上に配置されるノッチとを含む、所謂分離針として構成される。糸を縁部で分離するために、針先端部は、分離されるべき糸と接触させられ、分離されるべき糸がノッチによって把持されるまで、その長手方向に移動され、その場合には、ノッチの地域内の分離針は、少なくとも部分的に、分離されるべき糸と隣接する糸との間に挿入される。分離針のさらなる移動の間、ノッチによって把持される糸は、糸層の残余の糸から分離される。分離針が1つの糸を常に精密に把持し且つ分離するために、ノッチの形状は、狭い公差内で、分離されるべき糸の断面形状に適合されなければならない。さもなければ、糸がそれぞれのノッチによって把持されないこと、或いは、複数の糸が把持され且つ分離されることのいずれかの危険性がある。従って、装置は、異なる厚さの糸を処理し得るために、様々な分離針を備えなければならず、異なる直径の糸が処理されるべきときには、それは選択的に交換されなければならない。分離針を交換することは、普通、時間がかかる。加えて、装置が特定範囲の番手をカバーする複数の分離針を備えることは費用がかかる。もしそれぞれの分離針のノッチが高い精度で加工される必要があるならば、単一の分離針の製造さえも高い費用と関連付けられ得るという点で、他の不利点が見られ得る。後者は、比較的薄い糸を分離するために設けられる分離針に特に当て嵌まる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記不利点を回避し、且つ、異なる番手を有する糸の取扱いを単純化する移動可能な分離手段を備える、糸層から部分量の糸を分離するための装置を提供することが、本発明の目的である。さらに、その装置を動作するための方法、及び、その装置の使用が規定されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の機能を有する装置、請求項12の機能を有する方法、請求項18に従った使用によって達成される。
【0012】
本発明に従った糸層から部分量の糸を分離するための装置は、移動可能な分離手段と、糸層に対して分離手段を移動するための移動装置と、移動装置を制御するための制御装置と、糸を検出するための検出装置とを含む。
【0013】
この場合には、糸層は、隣接して配置される複数の糸から形成され、部分量は、糸層の1つの縁部に配置される糸層の1つ又はそれよりも多くの糸から構成されること、検出装置は、糸層に対する基準位置の決定を可能にすること、並びに、移動装置は、(分離手段及び/又は糸層を移動することによって)分離手段が糸層に対する作業位置にもらされることができ且つ分離手段が2つの隣接する糸の間に少なくとも部分的に挿入される分離移動を実行することができるような方法で制御され得ることが想定される。
【0014】
本発明によれば、基準位置に対する前記作業位置の少なくとも1つの相対座標が、制御装置の可変パラメータであり、この相対座標(の少なくとも1つが制御装置に利用可能とされ得る。
【0015】
本発明によれば、糸を分離するために単一の分離手段が相応して使用される。所定の(任意に大きい)糸直径を有する1つの糸を分離するために、分離手段の1つの作業位置だけが、所定の基準位置に対して適切に選択されなければならず、分離手段は、選択的に、この位置にもたらされ、次に、分離手段の分離移動が実行される。基準位置に対するそれぞれの作業位置の相対的な空間的位置は、所定の枠組みなしに、各場合において異なり得るし、分離されるべき糸の直径に依存して、分離前に適切に選択され得る。
【0016】
この目的のために、例えば、作業位置の相対座標のために値が提供され得る。それぞれ提供される値は、移動装置を制御するために制御装置に利用可能とされ得るし、移動装置は、分離手段が提供される値に対応する作業位置に選択的に移動され且つ分離移動を実行するような方法で制御され得る。
【0017】
作業位置の相対座標は、制御装置の可変パラメータであるので、所定の基準位置に対する様々な作業位置が、それぞれの相対座標を適切に予め定めることによって到達され得るし、それによって、様々な糸厚さを備える糸が、各場合に同一の分離手段を使用して分離され得る。よって、分離手段を交換することは省略され得る。
【0018】
糸層の空間的位置、或いは、糸層の縁部、或いは、分離されるべきそれぞれの糸を定める如何なる空間的座標も、基準位置として適切である。例えば、糸層の1つの縁部上の、或いは、糸層の1つの特定の糸の上の、或いは、糸層から或いは糸層の特定の糸から所定位置にある特定の場所が、基準位置としてもたらされ得る。分離前、それぞれの基準位置は、各場合において、所定の基準に従って決定され、次に、基準位置に対する分離手段の作業位置を定める相対座標が決定される。
【0019】
この関係で、「相対座標」(relative coordinate)は、基準位置に対する作業位置の位置を特徴付けるあらゆる情報として理解される。分離手段の移動が有し得る自由度の数に依存して、複数の相対座標によってそれぞれの作業位置を特定することも適切であり得る。
【0020】
本発明によれば、検出装置は、所定の公差内で測定技術手段を使用して糸層に対して基準位置を位置合わせする必要があるだけである。それぞれの作業位置は、各場合において、基準位置に対する1つ又はそれよりも多くの相対座標を定めることによって固定されるので、糸に損傷を与えずに、所定数の糸を確実に分離するために、分離手段が糸層上に衝突しなければならない糸層の位置を検出装置が特定し得る必要はない(即ち、検出装置は、それぞれの作業位置を直接的に特定するよう設計される必要はない)。
【0021】
後者は、検出装置が満足しなければならない要件に関して特に有利である。例えば、検出は、例えば、糸層内の隣接する糸を区別し得る必要はない。従って、後者は、糸が間隙又は短い距離なしに互いに隣接する糸層の取扱い、及び/又は、他の理由(例えば、同一の色、極めて毛深い、及び/又は、小さい直径の糸、及び/又は、粗糸)で区別するのが困難である隣接する糸の取扱いを単純化する。
【0022】
1つの実施態様において、相対座標は、作業位置と基準位置との間の距離である。作業位置を特定するこの方法は、簡単な手段を使用して実施され得るし、例えば、もし移動装置が専ら直線(線形)移動でそれぞれの作業位置へ分離手段を移動するならば、特に良く適する。
【0023】
他の実施態様において、制御装置は、相対座標のための値が、少なくとも1つの糸の番手(yarn count)の関数として、及び/又は、複数の糸の番手の平均の関数として、及び/又は、分離されるべき所定数の糸の関数として、制御装置によって決定され得る。この場合には、それぞれの番手のための或いは分離されるべき糸の数のための値は、制御装置のために予め定められる。制御装置のそのような設計は、異なる直径を有する糸の分離を簡単にし、分離移動の実行後に分離されるべき糸の数を変更することを可能にする。
【0024】
他の実施態様は、それぞれの番手及び/又はそれぞれの番手の平均を決定するための測定装置を含む。結果的に、本発明に従った装置は、処理されるべき各糸層のためのそれぞれの作業位置の相対座標を自動的に決定し得る。この手段は、自動化の程度を上昇し、装置の動作を単純化する。
【0025】
他の実施態様は、追加的に、分離移動を実行後に糸層から分離される糸の数を監視するための監視装置を含む。監視装置は、少なくとも1つの糸が分離されたか否か、もしそうであるならば、選択的に、複数の位置、例えば、二重糸(即ち、2つの隣接する糸)が分離されたか否かを決定することを可能にする。
【0026】
前述の実施態様のさらなる発展において、移動装置及び前述の監視装置を使用して分離前の糸層の糸のそれぞれの番手を実験的に決定することが提供される。この目的のために、例えば、プロービングによって、例えば、分離手段がこの作業位置にもたらされ、次に、分離移動が実行されるときに、1つ又は複数の糸が分離されるような方法で、それぞれ異なる相対座標を用いて異なる作業位置で分離移動を実行することによって、作業位置の相対座標が選択される。分離移動を実行した後、分離される糸の数が決定され、それぞれ分離される糸のそれぞれの番手又は番手の平均が、作業位置の選択される相対座標、及び、分離される糸の決定された数から決定される。
【0027】
さらなる実施態様において、検出装置は、糸の非接触検出のための装置を含む。それによって、糸の機械的押圧は低く維持され、機械的押圧の望ましくない付随的効果(例えば、糸の摩耗又は摩減)は減少される。
【0028】
糸の非接触検出は、例えば、光学手段を使用して実施され得る。
【0029】
検出装置の1つの実施態様は、例えば、糸の第一画像を生成するための第一光学系と、第一画像を位置合わせするための第一光感応検出器と、画像処理システムとを含む。画像処理システムは、第一光感応検出器からの信号を評価し、且つ/或いは、第一画像を処理するために使用され得る。画像処理システムは、例えば、それぞれの基準位置を決定するために使用される。画像処理システムは、分離移動を実行した後で実際に分離される糸の数を決定し或いは推定するためにも使用され得る。この目的のために、糸の画像は、各場合において、分離移動を実行する前並びに分離移動を実行した後で、第一光学系によって記録され得る。画像を比較することによって、分離移動を実行した後で少なくとも1つの糸が分離されたか否かが確認され得る。もし画像の評価が、少なくとも1つの糸が分離されたことを明らかにするならば、画像のより正確な評価によって、複数の糸が場合によっては分離されたか否かが調査され得る。従って、この評価は、前述の監視装置の機能も実施することも可能にする。しかしながら、もし複数の分離された糸が(光学系の光学画像の方向に)互いに重なり合って位置するならば、この評価は限定的であり得るので、画像処理システムを使用して画像を評価するとき、それらは区別され得ない。この場合には、単一の糸が分離されたか或いは幾つかの糸(例えば、二重糸)が分離されたか否かは場合によっては区別され得ない。
【0030】
前述の検出装置と比較して改良された設計変更は、前記第一光学系及び前記第一光感応検出器に加えて、糸の第二画像を生成するための第二光学系と、第二画像を位置合わせするための第二光感応検出器とを含み、第一画像及び第二画像は、異なる視野からのそれぞれの糸を示し、2つの画像を評価するために画像処理システムが提供される。第一画像及び第二画像の比較は、(2つの画像が同時に糸を示すならば)3つの空間的寸法における糸の瞬間的な配置に関する情報をもたらす。この糸の(擬似)三次元表示は、二重糸を検出するのがより容易であるという利点を有する。このようにして、分離移動を実行するときに実際に分離される糸の数は、増大された信頼性を伴って決定され得る。従って、この設計変更は、前述の監視装置の機能の実現も示す。
【0031】
本発明に従った装置は、繊維機、具体的には、結束機又は引込み機又はあや取機において糸を分離するために使用され得る。
【0032】
本発明のさらなる詳細、具体的には、本発明に従った装置及び本発明に従った方法の例示的な実施態様が、付属の概略的な図面を参照して、以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は、糸層(thread layer)から部分量の糸(thread)を分離するための装置1を(概略的に)示している。
【0034】
本場合において、装置1は糸層5を処理する準備が出来ている。糸層5は(糸が従来的な手段を使用して選択的に保持され得る)平面内で互いに平行に配置される複数の糸から成ると想定される。糸の長手延長方向は図1の図面の平面に対して垂直である。糸は1つの断面でそれぞれ示されている。
【0035】
装置1は、ベース部分2と、ベース部分2の上に配置される上方部分3とを含む。本場合では、ベース部分2は固定位置に配置されている。上方部分3が糸層5に対して位置付けられ得るよう、上方部分3はベース部分2に対して移動可能である。
【0036】
装置1は、さらに、上方部分3をベース部分2又は糸層5に対して位置付けるための駆動装置4を含む。上方部分3は、具体的には、図1中に4’によって設計される二重矢印によって表示されるように、糸層5と平行に且つ糸層5のそれぞれの糸に対して垂直に、前後に移動され得る。
【0037】
本発明の範囲内で、糸層5を上方部分3に対して移動可能に配置することの均等な代替も、当然のこととして可能である。
【0038】
上方部分3は、上方部分3を移動することによって糸層5に対して位置付けられ得る複数の構成部品のための支持体として構成されている。これらの構成部品は、以下を含む。
【0039】
− 分離手段(separating means)10、
− (上方部分3に対して)分離手段10を移動するための移動装置15、及び、
− 糸層5の糸を検出するための検出装置25。
【0040】
移動装置15及び/又は装置4は、(それぞれそれ自体で或いは互いに共に考えられる)分離手段10を糸層5に対して移動するための移動装置を実施する。
【0041】
加えて、制御装置20が、上方部分3内に収容されている。制御装置20は、とりわけ、駆動装置4、移動装置15、及び、検出装置25を制御するために提供され、且つ、この目的のために、接続20.1を介して駆動装置4と、接続20.2を介して移動装置15と、接続20.3を介して検出装置25と連絡するよう構成される。
【0042】
制御装置は、好ましくは、電子手段を使用して実施される。接続20.1、20.2、20.3は、普通の種類の通信線であり、従って、様々な技法を使用して(例えば、接続線を介して或いは無線モードにおいて)実施され得る。
【0043】
移動装置15は、一端に固定される分離手段10を有する移動可能な直線アーム16を含む。移動装置は、分離手段10を少なくとも2つの自由度(以下「移動の自由度」という)で移動することを可能にする。即ち、移動装置は、制御装置20によって制御されて、アーム16が、一方では、(図1乃至6中に矢印又は二重矢印17によって表示される第一の移動の自由度の範囲内で)その長手方向に前後に移動され、他方では、(図1乃至6中に矢印又は二重矢印18によって表示される第二の移動の自由度の範囲内で)その長手方向について回転され得るよう設計される。
【0044】
移動装置15は、第一の移動の自由度を実施するために並びに第二の移動の自由度を実施するために、アーム16又は分離手段10のための線形ガイド(図示せず)と、回転取付け(図示せず)とを有し、回転取付けは、アーム16又は分離手段10が、回転取付けの回転の軸について回転するのを可能にする。
【0045】
前記移動の自由度が糸層5から糸を分離するために使用され得る方法が、とりわけ、図2乃至6と関連して、以下にさらに説明される。
【0046】
検出装置25は、糸層5の糸を検出するよう構成され、この目的のために、以下を含む。
【0047】
− 糸層5の糸の第一画像を生成するための第一光学系30.1を備える第一カメラ30と、第一画像を位置合わせするための第一光感応検出器30.4。この第一画像は、第一光学系30.1の光軸30.2に沿う第一視野から糸層5又は糸層5の一部を示す。
【0048】
− 糸層5の糸の第二画像を生成するための第二光学系35.1と、第二画像を位置合わせするための第二光感応検出器35.4とを備える第二カメラ35。この第二画像は、第二光学系35.1の光軸35.2に沿う第二視野から糸層5又は糸層5の一部を示す。
【0049】
− 第一画像及び第二画像を処理することが意図される画像処理システム40。
【0050】
画像処理システム40は、制御装置20によって制御され、この目的のために、接続20.3を介して対応する制御信号を制御装置と交換するよう構成される。
【0051】
第一カメラ30は、電子的に制御され、制御信号及び第一光感知検出器30.4又は第一画像を示すデータを画像処理システム40と交換するために、接続40.1を介して画像処理システム40に接続される。
【0052】
従って、第二カメラ35は、電子的に制御され、制御信号及び第二光感応検出器35.4からの信号又は第二画像を示すデータを画像処理システム40と交換するために、接続40.2を介して接続される。
【0053】
第一光学系30.1は、光軸30.2の周囲内の立体角30.3(図2乃至6を参照)内で糸層5又は糸層5の周囲の目視検査を許容するのに対し、第二光学系35.1は、光軸35.2の周囲内の立体角35.3(図2乃至6を参照)内で糸層5又は糸層5の周囲の目視検査を確実にする。
【0054】
図1に示されるように、光軸30.2及び35.2は平行ではなく、むしろ、それらは原理的には0°と180°との間の角度範囲内で任意的に選択され得る角度で交差し、本実施例では、約45°である。従って、第一画像及び第二画像がそれぞれ糸層5を示すそれぞれの視野は異なる。
【0055】
異なる条件の下でカメラ30又はカメラ35で糸層5の目視検査を可能にするために、カメラ30及び35から離れて面する側を照明する(即ち、透過光を使用する検査のための)光源23と、カメラ30及び35に面する側の糸層5を照明する(即ち、入射光を使用する検査のための)光源24とを用いて、糸層5の照明が提供される(光源24から放射される光は、図1中に矢印24で表示されている)。光源23及び24は、上方部分3にそれぞれ固定され、糸層5上に整列される。光源23は、二重糸又は糸層5の縁部にある基準位置を検出するために主として使用され、光源24は、色を検出するために使用される。
【0056】
本場合には、第一光学系30.1の光軸30.2は、糸層5をかける平面に対して垂直に整列されている。この光軸30.2の整列は任意的であるが、この関係では適切である。何故ならば、上方部分3は、糸層5と平行に移動可能であり、本条件の下で、糸層5に対する上方部分3の位置付け、及び、糸の分離の順序は、第一カメラ30又は第一光学系30.1を使用して比較的簡単に(即ち、比較的に安価に)監視され得るからである。
【0057】
装置1は、分離手段10を使用して糸層5の1つの縁部5’(図1乃至4を参照)糸層5から所定数の糸を分離するために設けられる。
【0058】
本発明によれば、初めに、分離の前に、糸層5に対する1つの基準位置が定められ、分離手段10の1つの作業位置が、それぞれの基準位置に対して決定される。
【0059】
図1に従った実施例において、分離の前に、上方部分3は、(制御装置20を用いて駆動装置4を適切に制御することによって)光軸30.2が、縁部5を形成する糸5.1で糸層5に対して接線方向となるよう、糸層5に対して位置付けられる(図1において、糸層5の縁部5’は、5’によって示される矢印によって印されている)。糸層5に対する上方部分3の相対的な位置決めは、第一カメラ30を用いて監視され得る。即ち、第一光学系30.1によって生成される糸層5のそれぞれの第一画像は、画像処理システム40によって分析されると同時に、光軸30.2が縁部5を形成する糸5.1で糸層5に対して接線方向にあるよう、上方部分が既に所望に位置付けられたか決定するために、制御装置20によって監視される。さもなければ、制御装置20は、上方部分3が所望位置にもたらされるよう、駆動装置4を制御する。よって、上方部分3は、糸層5に対して反復可能に位置付けられ得る。
【0060】
本実施例において、光軸30.2が縁部5’で或いは糸5.1で糸層5に対して接線方向である地点は、分離手段10のそれぞれの空間的位置が決定され得る位置に対する糸層5上の基準位置Rを定める。
【0061】
従って、基準位置Rは、(画像処理システム40を使用する第一画像の評価によって以下に記載されるように)検出装置25によって検出される。
【0062】
基準位置Rを決定するための代替において、上方部分3は、光軸30.2が縁部5’で糸層5に対して接線方向であるよう位置付けられる必要はない。単に、光軸30.1又は光軸30.2に対する糸層5の空間的な配置が、測定技法によって位置合わせされる。基準位置Rは、例えば、光軸30.2から最短距離を有する糸層5上の地点であり得る。この基準地点Rは、画像処理システムを使用して(好ましくは、透過光を使用する)第一光学系30.1を使用して生成される糸層5の第一画像を評価することによって決定され得る。これは、画像処理システム、第一光感応検出器30.4、及び、第一光学系30.1の空間解像度によって決定される正確性で達成され得る。基準位置Rは、例えば、光軸30.2からのその距離を特定することによって、或いは、対応する空間座標を特定することによって特徴付けられ得る。この場合には、上方部分を糸層5に対して高度に正確に位置付けたり、各分離移動が実行される前に、光軸30.2を糸層5に対して精密に配置し或いは整列したりする必要はない(第一光学系30.1又は画像処理システム40を用いて基準位置R又は基準位置Rの周囲を位置合わせし、所望の正確性で基準位置を決定すれば十分である)。
【0063】
分離手段10の作業位置Aは、基準位置Rに対する相対座標を特定することによって特定される。即ち、相対座標は、適切には、縁部5’と作業位置Aとの間の距離Δである。それぞれの距離Δは、各場合において、アーム16を適切に位置付けることによって、選択的に、アーム16の長手方向(即ち、図1乃至6中の矢印又は二重矢印17の方向)におけるアーム16の移動によって達成される。
【0064】
それぞれ作業位置Aは、その長手方向(矢印又は二重矢印18の方向)についてのアーム16の回転中に、分離手段10が、各場合において分離されるべき糸と隣接する糸との間に挿入されるように決定される。図1は、単一の糸、即ち、糸5.1を分離するための開始位置として適切な作業位置Aにある分離手段10及びアーム16を示している(分離手段10及びアーム16は、破線で示される対応する位置に示されている)。
【0065】
糸層5に対する分離手段10の確実な位置決めを保証するために、上方部分3に対する或いは制御装置20の光軸30.2に対する分離手段10の位置は、知られていなければならず、或いは、知らされなければならない。分離手段10の位置を決定するのに必要とされるデータは、システム初期化又はシステム構成の間に(例えば、装置1の試運転の間に)制御装置20に利用可能とされなければならない。
【0066】
糸層5から部分量の糸を分離するために装置1を動作するための方法が、図2乃至6を参照して、以下に説明される。本方法は、糸層5の縁部5’にある糸5.1だけが糸層5の残余の糸から分離されるべき場合のための一例として議論される。
【0067】
図2は、縁部5’で糸を分離するための方法を遂行するための開始地点として働き得る状態にある装置1を示している。上方部分3は、制御装置20の制御の下で、光軸30.2が縁部5’に対して概ね接線方向にあるよう位置付けられ、縁部5’と光軸30.2との間の距離は、所定値未満である。糸層5に対する上方部分3の配置は、(上述されたような)検出装置25を用いて検証される。光軸30.2から最短距離を有する糸層5の縁部5にある位置は、以下において、基準位置Rであると考えられる。よって、基準位置Rは、検出装置25によって検出され、よって、方法の後続の過程のために固定される。
【0068】
本実施例において、図2乃至6から推論され得るように、分離手段10は、尖った楔の形態を有し、分離手段10の尖頭端部がアーム16の周辺で径方向に突出するよう、アーム16の一端部に取り付けられている。
【0069】
方法の過程において(図2乃至6を参照)、アーム16の位置、従って、分離手段10の位置は変更され、その場合には、アーム16の移動装置15の前述の両方の移動の自由度が利用される。即ち、(i)アーム16の長手方向(即ち、矢印17の方向)における分離手段10の位置を変更する)第一の移動の自由度、(ii)アーム16の長手方向(即ち、矢印18の方向)についてアーム16又は分離手段10を回転し、それによって、回転の軸に対する分離手段10の角度位置を変更する第二の移動の自由度。
【0070】
図2に従った状況(開始地点)において、分離手段10は、糸層5の縁部5’から遠く離れた並びに基準位置Rから離れた所定の開始位置に配置される。(上方部分3に対する)分離手段10の相対的な位置の座標は、接続20.2を介して移動装置15から制御装置20に伝達される。
【0071】
図3は、作業位置Aにある分離手段10を示している。分離手段10は、(図2に従った状況と比べ)矢印17の方向に移動され(第一の移動の自由度)、分離手段10の尖頭端部が、糸層5より上に配置される位置にもたらされ、そこから、分離手段10の尖頭端部は、糸5.1と隣接する糸との間(分離移動)でその長手方向についてアーム16を回転することによって移動され得る(第二の移動の自由度)。
【0072】
分離手段10を作業位置Aにもたらすために、相対的な座標Δ(作業位置Aと基準位置R又は縁部5’との間の距離)のための対応する値が提供され、移動装置15を制御するために制御装置20に供給される。従って、制御装置20は、分離手段10を図2に従った開始位置から作業位置Aに移動する命令を移動装置15に与える。
【0073】
図4は、作業位置Aから開始して、(図3に従った状況と比べ)移動装置15の対応する制御によって分離移動を実行した後の分離手段10を示している。即ち、アーム16は、その長手方向について矢印18の方向に回転され(第二の移動の自由度)、それによって、分離手段10の尖頭端部は、糸層5の縁部5にある糸5.1と隣接する糸との間で案内される。この分離移動の後、糸5.1は、分離手段10によって隣接する糸から分離される。
【0074】
例えば、糸層5の糸が部分的に重なり合って位置する場合でさえ、分離中に高い確実性を達成するために、装置1は、緊張装置7を備え、緊張装置は、分離の前に及び/又は所定の条件の下で少なくとも分離の初期段階中に、縁部5の近傍で糸層5の糸を整列し或いは整列を保持する。緊張装置7は、2つの支持部材8を含み、各支持部材8は、糸層5より下に配置され、その上方側の糸層5のための平坦支承面8.1と、2つの移動可能なアーム9.1及び9.2とを有する。支持部材8は、糸層の糸が支持部材8のそれぞれの支承面8.1上に位置するよう、上方部材8に対して固定位置に並びに糸層5と平行に配置される。
【0075】
移動可能なアーム9.1及び9.2は、糸層5に対して並びに支承面8.1に対して、糸層5に対して垂直に並びに糸層5の糸に対して垂直に配置され、移動可能なアーム9.1は、糸層5より下に配置され、移動可能なアーム9.2は、糸層より上に配置される。分離の前に(図2及び図3)及び/又は分離の初期段階中に(図4)、2つのアーム9.1及び9.2は、糸層5の糸がアーム9.1及び9.2によって撓まされるよう、ほぼ水平に整列され且つ互いに近接して配置される。さらに、糸層5の糸は、アーム9.1及び9.2の適切な位置決めによって糸層5を下向きに押し下げることによって、増大された引張り応力の下に追加的に配置される。この結果、糸層5は、増大された加圧力で支承面8.1上に押し付けられる(図2乃至4を参照)。前記手段は、糸がアーム9.1及び9.2によって撓まされるとき、糸が単一層内で互いに隣接して位置し、互いに平行に整列されるという効果を有する。これは、分離が遂行されるときに、糸がそれらの長手方向において互いに捻れられず、或いは、水平平面に対して垂直に互いに層状に重なり合わないことを保証する。よって、分離は、所定の反復可能な条件の下で遂行され得る。
【0076】
図5は、本方法の次のステップを示している。即ち、制御装置20の制御の下で、移動可能なアーム9.1及び9.2は、(図5中に対応する矢印によって表示されるように)、アーム9.1又は9.2が糸層5ともはや接触しないまで、反対方向に互いに対して上向き或いは下向きに移動される。次に、移動装置15は、糸層5から離れて矢印17の方向にアーム16がその長手方向に移動されるよう(第一の移動の自由度)始動される。この場合には、図2乃至4に従った状況において糸層5の縁部5’を形成する糸5.1は、分離手段10によって保持され、同様に、矢印17の方向に移動される。結果的に、図5中に明らかに識別され得る間隙が、糸5.1と糸層5の残余の糸との間に形成される。糸5.1は、その全長に亘って糸層5の残余の糸から分離される。
【0077】
糸5.1は、今や、「試験位置」Pに配置される(図5)。糸5.1は、初期的に、所定の時間間隔に亘って、試験位置Pに留まる。この時間間隔の間、図4に従った状況における分離移動が、所望の結果をもたらしたか否か(即ち、この場合には、糸層5の縁部で単一の糸が分離されたか否か)が調査される。この調査は、画像処理システム40と共に第一カメラ30を使用して、選択的に、追加的に第二カメラ35を使用して遂行される。この目的のために、分離手段10の直ぐ周囲の画像が、第一カメラ30の第一光学系30.1を使用して生成され、画像処理システム40を使用して評価される。評価は、(上記に説明されたように)少なくとも1つの糸が分離されたか否かに関する情報を確実にもたらす。1つ又は幾つかの糸が分離されたか否かを決定するために、分離手段の直ぐ周囲の第二画像が、第二カメラ35の第二光学系35.1を使用して生成され、画像処理システム40を使用して評価され得る。第一及び第二の画像は、2つの異なる視野から分離手段10の周囲を示す。結果的に、画像処理システム40を使用して第一画像及び第二画像を比較することによって、(上記に説明されたように)図4に従った分離移動を実行するときに分離される糸の精密な数を決定することが可能である。
【0078】
もし上述の調査が、分離移動を実行したときに、所望よりも少ない糸が分離された(即ち、本例では、糸が分離されなかった)という結果をもたらすならば、これは作業位置Aと基準位置Rとの間の距離Δが、過剰に小さく選択されたことを示唆する。この場合には、図2乃至4に示されるプロセスステップが、適切な量だけ増大された距離Δのための値で反復され得る。
【0079】
もし上述の調査が、分離移動を実行したときに、所望よりも多くの糸が分離された(即ち、本例では、2つの糸又は2つよりも多くの糸が分離された)という結果をもたらすならば、これは、作業位置Aと基準位置Rとの間の距離Δが、過剰に大きく選択されたことを示唆する。この場合には、本方法の継続において、図2乃至4に示されるプロセスステップが、適切な量だけ減少された距離Δのための値で連続的に遂行されなければならない。
【0080】
もし上述の調査が、分離移動を実行したときに、所望数の糸が分離されたという結果をもたらすならば、これは作業位置Aと基準位置Rとの間の距離Δのための値が適切に選択されたことを示唆する。この場合には、それぞれ分離される糸のさらなる処理が、例えば、図6に従って継続され得る。即ち、図6において、アーム16は、矢印17の方向にその長手方向に移動され(第一の移動の自由度)、従って、分離された糸5.1と糸層5の残余の糸との間の距離は、分離手段10を使用してさらに拡大される。こと時点で、分離された糸は、さらなる処理のために、ここには図示されない他の手段によって収集され得る。次に、上述のプロセスステップは、全ての糸が成功裏に分離されるまで、糸層5の残余の糸に相応して適用される。この場合には、糸のあらゆる分離の後、基準位置Rの新しい座標が各場合において決定され、次の糸を分離するために分離手段10が採用すべき作業位置Aの新しい座標が決定される。
【0081】
プロセスを遂行する間、制御装置20は、糸層5の空間的位置又は光軸30.2に対するそれぞれの基準位置Rを継続的に監視する。もし光軸30.2からの糸層5の縁部又は基準位置の距離が所定の上限を超えるならば、駆動装置4によって実行されるべき対応する制御命令を用いて、制御装置は、第一画像上の糸層5の縁部5が光軸30.2の近傍の所定領域内に位置するような方法で、上方部分3を糸層5の縁部5に対して位置決めさせる。前記領域は、上方部分3が糸層5に対して再び移動することなしに、所定の最低数の糸がカメラ30で監視され得るよう選択される。
【0082】
図4に従った単一の分離移動を実行することによって(第二の移動の自由度)、分離手段10が糸層の糸の所定数nを分離する図1乃至6に従った実施例における状況を達成するために、作業位置Aと基準位置Rとの間の距離Δは、ほぼΔ≒nDであるよう選択されなければならず、ここで、Dは、それぞれの糸の直径である(糸層の全ての糸は同一の直径Dを有すると想定する)。Δのための上記の値は、約±D/2の正確性で維持されなければならない。
【0083】
維持されるべき距離Δを精密に特定し得るために、距離Dは、可能な限り精密に知られなければならない。装置1は、(制御装置20の制御の下で)糸層5の糸の直径Dを自動的に決定するための幾つかの可能性を提供する。
【0084】
− 糸層5の画像は、第一カメラ30又は第二カメラ35を用いて生成され、画像処理システムを用いて評価される。もし糸層の個々の糸が前記画像内で区別され得るならば、それぞれの糸の厚さは、画像の対応する評価によって決定され得る。もし糸が異なる色を有し、色情報が画像処理において考慮されるならば、この方法の正確性は改良され得る。即ち、追加的な色情報は、異なる色の異なる糸を互いに区別することをより容易にする。それによって、方法の空間解像度も改良される。
【0085】
− 分離手段10は、選択的に、基準位置Rから様々な距離Δにある様々な作業位置Aにもたらされ得る。各作業位置Aで、分離手段10の分離移動が引き起こされ、各場合において、それぞれの分離移動において分離される糸の数nは、(上述されたような)検出装置25を使用して決定される。それぞれの糸の平均直径Dは、指数Δ/n(ここで、n>0)として決定され得る。
【0086】
それぞれの基準位置を特定し、分離手段で分離移動を実行した後に分離される糸の数を決定するために、検出装置25は、代替的に(カメラ30又は35の代わりに)糸の非接触検出のための他の装置を備え得る。即ち、そのような装置は、例えば、超音波送信機又は超音波受信機を使用して実施され得る。その場合には、糸層5及び分離された糸は、超音波を使用して検出される。代替的に、糸は、接触感応センサ(例えば、圧電センサ又は他の力センサ)を使用しても検出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】移動可能な分離手段と、糸層に対して分離手段を移動するための移動装置と、移動装置を制御するための制御装置と、糸を検出するための検出装置とを使用して糸層から糸を分離するための本発明に従った装置を示す概略図である。
【図2】糸を分離するときに分離手段が連続的に取る様々な位置において示される図1に従った装置の一部を示す概略図である。
【図3】糸を分離するときに分離手段が連続的に取る様々な位置において示される図1に従った装置の一部を示す概略図である。
【図4】糸を分離するときに分離手段が連続的に取る様々な位置において示される図1に従った装置の一部を示す概略図である。
【図5】糸を分離するときに分離手段が連続的に取る様々な位置において示される図1に従った装置の一部を示す概略図である。
【図6】糸を分離するときに分離手段が連続的に取る様々な位置において示される図1に従った装置の一部を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な分離手段を用いて糸層から部分量の糸を分離するための装置であり、
前記糸層は、隣接して配置される複数の糸から形成され、前記部分量は、前記糸層の1つの縁部に配置される前記糸層の1つ又はそれよりも多くの糸によって構成され、
前記分離手段を前記糸層に対して移動するための移動装置を含み、
該移動装置を制御するための制御装置を含み、
糸を検出するための検出装置を含み、
該検出装置は、前記糸層に対する基準位置の検出を可能にし、前記移動装置は、前記分離手段が糸層に対する作業位置にもたらされることができ且つ前記分離手段が2つの隣接する糸の間に少なくとも部分的に挿入される分離移動を実行し得るような方法で制御されることができる装置であって、
前記基準位置に対する前記作業位置の少なくとも1つの相対座標が、前記制御装置の可変パラメータであり、この相対座標の少なくとも1つが前記制御装置に利用可能とされ得ることを特徴とする、
装置。
【請求項2】
前記糸層の1つの縁部の上の、或いは、前記糸層の1つの糸の上の、或いは、前記糸層から所定距離にある場所が、基準位置としてもたらされることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記相対座標は、前記作業位置と前記基準位置との間の距離であることを特徴とする、請求項1又は2のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記相対座標のための前記値は、前記糸の少なくとも1つの番手の関数として、及び/又は、前記糸層の複数の糸の番手の平均の関数として、及び/又は、分離されるべき所定数の糸の関数として予め定められ得ることを特徴とする、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記分離移動を実行した後に前記糸層から分離される前記糸の数を監視するために監視装置が設けられることを特徴とする、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記検出装置は、糸の非接触検出のための装置を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記糸の第一画像を生成するための第一光学系と、前記第一画像を位置合わせするための第一光感応検出器と、該第一光感応検出器からの信号から基準位置を決定するための画像処理システムとを含むことを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記糸の第二画像を生成するための第二光学系と、前記第二画像を位置合わせするための第二光感応検出器とを含み、前記2つの画像は、それぞれの画像を異なる視野から示し、それぞれの光感応検出器の信号から分離される糸の数を決定するために、画像処理システムが設けられることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記移動装置は、前記作業位置への前記糸層に対する前記分離手段の移動を可能にする第一の移動の自由度と、前記分離移動の実行を可能にする第二の移動の自由度とを含むことを特徴とする、請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記移動装置は、前記第一の移動の自由度を実施するための前記分離手段のための線形ガイドと、回転取付けとを含み、該回転取付けは、前記第二の移動の自由度を実施するために、前記分離手段が前記回転取付けの回転の軸について回転することを可能にすることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記それぞれの番手及び/又は前記それぞれの番手の平均を決定するために測定装置が設けられることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のうちのいずれか1項に記載の移動可能な分離手段を用いて糸層から部分量の糸を分離するための装置を動作するための方法であって、
前記糸層は、隣接して配置される複数の糸から形成され、前記部分量は、前記糸層の1つの縁部に配置される1つ又はそれよりも多くの糸によって構成され、
前記装置は、
前記分離手段を前記糸層に対して移動するための移動装置と、
該移動装置を制御するための制御装置と、
糸を検出するための検出装置とを含み、
該検出装置は、前記糸層に対する基準位置の検出を可能にし、
前記移動装置は、前記分離手段が前記糸層に対する作業位置にもたらされることができ且つ前記分離手段が2つの隣接する糸の間に少なくとも部分的に挿入される分離移動を実行することができるよう制御されることができ、前記基準位置に対する前記作業位置の少なくとも1つの相対座標が、前記制御装置の可変パラメータであり、
当該方法は、
前記糸層に対する基準位置を決定するステップを含み、
前記作業位置の前記相対座標のための値を提供するステップを含み、各場合において提供される前記値は、前記移動装置を制御するために前記制御装置に利用可能とされ、
前記分離手段が前記提供される値に対応して前記作業位置を占め、且つ、前記分離移動を実行するような方法で、前記移動装置を制御するステップと含む、
方法。
【請求項13】
前記作業位置と前記基準位置との間の距離が、前記相対座標として選択され、この距離のための値が、前記移動装置を制御するために前記制御装置に利用可能とされる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記提供される値は、前記糸の少なくとも1つの番手の関数として、及び/又は、前記糸層の複数の位置の番手の平均の関数として、及び/又は、分離されるべき糸の所定の数の関数として決定される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記それぞれの番手又は前記平均は、前記部分量の糸を分離する前に予め定められ或いは測定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
1つ又はそれよりも多くの糸の画像が、光学系を使用して生成され、前記平均の前記それぞれの番手は、前記画像を処理することによって決定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記相対座標は、1つ又はそれよりも多くの糸が、前記分離移動を実行することによって分離されるような方法で選択され、分離される糸の数は、前記分離運動を実行した後に決定され、前記それぞれの番手或いは前記平均は、選択的な相対座標及び分離される糸の決定された数から決定される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
繊維機械、特に、結束機又は引込み機又はあや取機における、請求項1乃至11のうちのいずれか1項に記載の装置の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−541601(P2009−541601A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515686(P2009−515686)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000309
【国際公開番号】WO2007/147282
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508375479)スタウブリー アーゲー パフィコン (3)
【Fターム(参考)】