説明

糸継装置

【課題】液体が付加された圧縮空気を噴出することにより2本の糸の糸端どうしを撚掛けする撚掛け装置を備える糸継装置において、圧縮空気が液体流路内に流れ込んで、液体流路内に気泡ができることを防ぎ、以って撚掛け動作時に供給される液体量を安定化して、糸品質の向上を図る。
【解決手段】液体配管54と第1配管44aとの連結部に方向制御弁56を設置する。これにて、方向制御弁56を液体配管54と第1配管44aとが非連通となる閉栓状態とするだけで、圧縮空気の液体配管54への流入を確実に阻止することができるので、液体配管54内に圧縮空気が流入して気泡が生じ、給水バルブ55の一回の開栓操作において第1配管44aに与えられる水の供給量にばらつきが生じる不具合を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が付加された圧縮空気を噴出することにより、2本の糸の糸端どうしを撚掛けする撚掛け装置を含む糸継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の糸継装置に関して、本発明者等は特開2005−113314号公報(特許文献1)をもって提案した。かかる特許文献1に係る糸継装置では、圧縮空気供給装置から撚掛け装置に至る空気流路の中途部に液体流路が直結されており、液体タンクから液体流路を介して空気流路内に送り込まれた液体は、該空気流路を流れる圧縮空気と共に撚掛け装置に送り込まれ、この液体が付加された圧縮空気によって2本の糸の糸端どうしが撚掛けされる。液体流路の中途部には、液体の供給量を調整するための調整弁が配置されている。同様の形態(空気流路の中途部に液体流路が直結された形態)を有する糸継装置は、特許文献2にも見受けられる。
【特許文献1】特開2005−113314号公報(図2参照)
【特許文献2】特開2004−43184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記形態の糸継装置では、空気流路を流れる圧縮空気の空気圧が調整弁の耐圧力を超えると、圧縮空気が液体流路内に流れ込んで、液体流路内に気泡ができるおそれがある。調整弁を開いたときに、圧縮空気が液体流路内に流れ込んで、気泡ができるおそれもある。このように液体流路内に気泡ができると、撚掛け動作に際して撚掛け装置に供給される液体量が不均一となるため、撚掛け動作が不安定となり、糸品質が低下する。
【0004】
本発明の目的は、液体が付加された圧縮空気を噴出することにより2本の糸の糸端どうしを撚掛けする撚掛け装置を備える糸継装置において、圧縮空気が液体流路内に流れ込んで、液体流路内に気泡ができることを防ぎ、以って撚掛け動作時に供給される液体量を安定化して、糸品質の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明に係る糸継装置は、液体が付加された圧縮空気を噴出することにより2本の糸の糸端どうしを撚掛けする撚掛け装置と、撚掛け装置に圧縮空気を供給する空気流路と、空気流路の中途部に連結されて、該空気流路内に液体を供給する液体流路とを含み、これら液体流路と空気流路との連結部に、圧縮空気の液体流路内への流入を防ぐための方向制御弁が設けられていることを特徴とする。
本発明にける方向制御弁の具体例としては、例えば、一方向にだけ流体の流れを許し、反対方向には流れを阻止する逆止弁や、二つの流路のうち、どちらか一方の入口から流入する流体のみを出口に導くシャトル弁などを挙げることができ、要は圧縮空気の液体流路内への流入を防ぐことができるものであればよい。
【0006】
請求項2記載の本発明においては、液体流路の中途部に設けられた給水バルブと、空気流路の中途部に設けられた撚掛けバルブとを含み、これら給水バルブ、撚掛けバルブおよび方向性制御弁に対して開栓および閉栓制御を行うことにより、圧縮空気、或いは液体が付加された圧縮空気のいずれか一方を撚掛け装置に供給できるようにする。
【0007】
請求項3記載の本発明のように、前記方向制御弁は、電磁操作方向切換弁とすることができる。
ここで電磁操作方向切換弁とは、弁の操作を電磁石のエネルギーで行う制御弁を意味する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の本発明に係る糸継装置では、撚掛け装置に圧縮空気を供給する空気流路と、空気流路の中途部に連結されて、該空気流路内に液体を供給する液体流路との連結部に方向制御弁を設けたので、該方向制御弁を液体流路と空気流路とが非連通となる閉栓状態とするだけで、圧縮空気の液体流路への流入を確実に阻止することができる。すなわち、この糸継装置によれば、特許文献1および2のように、空気流路に液体流路が直結されていた従来形態においては不可避であった、空気流路を流れる圧縮空気の空気圧が調整弁の耐圧力を超えたときに、液体流路内に圧縮空気が流入して気泡が生じ、調整弁の一回の開栓操作において空気流路に与えられる液体の供給量にばらつきが生じる不具合を確実に解消することができる。したがって、本発明によれば、撚掛け動作時に圧縮空気に付加される液量の均一化を図り、安定的に撚掛け動作を行うことができるので、撚掛け性能に優れた糸継装置を得ることができる。これにより、当該糸継装置を備えるワインダー装置等により製造される糸の品質向上を図ることができる。
【0009】
液体流路への水量の調整を行う給水バルブだけで、空気流路を流れる圧縮空気の空気圧に耐える場合には、耐圧力に優れた大型の給水バルブを採用せざるを得ず、結果として糸継装置の設計の自由度の低下を招く。これに対して、空気流路と液体流路との連結部に、圧縮空気の液体流路への流入を防ぐ方向制御弁を設けてあると、給水バルブには高い耐圧力は要求されず、耐圧力の小さな比較的小型の給水バルブを採用すれば足りるので、糸継装置の設計の自由度を良好に確保できる。
【0010】
請求項2記載の本発明のように、給水バルブや方向性制御弁を制御することにより、圧縮空気或いは液体が付加された圧縮空気を撚掛け装置に供給できるようにしていると、糸継装置に圧縮空気により撚掛け処理を行うエアースプライサーとしての機能と、液体が付加された圧縮空気により撚掛け処理を行うウォータースプライサーとしての機能とを兼ね備えた、実用利便性に優れた糸継装置を提供することができる。
【0011】
請求項3記載の本発明のように、方向制御弁を電気制御が可能な電磁操作方向切換弁としていると、機械式の弁に比べて、開栓操作や閉栓操作のタイミング制御や液量制御などが正確且つ容易に行うことができる。また、機械式の弁において給液量を調整するためには、弁を開閉するための専用の操作部材を交換する必要があるのに対し、電磁操作方向切換弁の場合には、部材の変更は一切不要であり、制御信号を変更するだけで給液量の変更調整を行うことができる。したがって、本発明によれば、機械式の弁のように操作部材を数種類用意する必要がなく、液量調整機能を備えた高性能の糸継装置を低コストに提供できる点で優れている。
また、電磁操作方向切換弁によれば、糸継動作の途中で給水を停止させることも容易であり、したがって、例えば上糸や下糸が糸継孔内に導入できない場合に、即時に給水を停止させることができる点でも、機械式の弁に比べて優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下に、本発明に係る糸継装置について、図面を参照して説明する。図1は本発明に係る糸継装置の空気流路および液体流路を示す図、図2は本発明に係る糸継装置が適用される巻取ユニットの概略構成図、図3は多数台の巻取ユニットからなる自動ワインダー装置の正面図、図4(a)乃至(c)は糸継装置による糸継動作を示す図である。
【0013】
まず、図2および図3を使って、自動ワインダー装置、および自動ワインダー装置を構成する巻取ユニットについて説明する。図3に示すように、自動ワインダー装置1は、機台5の長手方向に並列配置された数十台の巻取ユニット2と、これら巻取ユニット2の並び方向に沿って形成された走行路3に案内支持される玉揚機4・4などで構成される。機台5の左右方向の一端側には、自動ワインダー装置1の全体の制御を担う中央制御装置などを内蔵する原動ボックス7が設けられており、左右方向の他端側には、精紡ボビンB(図2参照)の供給を担うボビン準備ステーション(不図示)が設けられている。
【0014】
図2に示すように、各巻取ユニット2は、精紡ボビンBを供給して精紡ボビンBに巻かれた糸Yの糸欠点を取り除きつつ、糸継ぎを繰り返し、複数のボビンBから一つの大きなパッケージPに糸Yを巻き返す装置である。各巻取ユニット2には、ボビンBから解舒された糸Yのバルーンを抑制し、急激な糸張力の変化を抑えるバルーンブレーカー10、糸Yを巻き取る際の張力を付与するためのテンサー11、2本の糸Y1・Y2の糸端をそれぞれ空気流により解撚して、解撚した糸端を空気流により交絡させて継ぐ糸継装置14、糸Yの欠陥部を検出して糸切断し、上糸Y1と下糸Y2を生じせしめるヤーンクリアラー13、およびパッケージPを作成する巻取装置15などが、糸Yの経路に沿って上流側から下流側に順に配置されている。
【0015】
糸継装置14は、空気の旋回流の作用により、上糸Y1および下糸Y2の糸端の撚り戻しを行う上下一対の解撚ノズル20b・20aと、解撚された糸端同士を内部に設けられた糸継孔22で空気の旋回流の作用により交絡させて糸端どうしを撚掛けする撚掛け装置21とを備える。撚掛け装置21は、圧縮空気のみ、或いは水が付加された圧縮空気を噴射することにより、上糸Y1と下糸Y2の糸端の重ね合わせ部分に撚掛けを行うものである。つまり、この撚掛け装置21は、圧縮空気により撚掛けを行うエアスプライサーとしての機能と、水が付加された圧縮空気により撚掛けを行うウォータースプライサーとしての機能とを兼ね備えている。糸継孔22は、その糸道が鉛直方向となるように配置されており、糸継孔22に対して上下の対称位置に、上糸Y1の糸端用の解撚ノズル20a(下側)と下糸Y2の糸端用の解撚ノズル20b(上側)とが配置されている。
【0016】
図2において符号23は、糸継孔22に導入された糸Y1・Y2を押えるコ字型の糸押えレバーを、符号24および25は、上糸Y1と下糸Y2とを分離するためのガイド溝24a・24b・25a・25bを有する糸ガイドを示す。糸ガイド24・25の上下の内側には、ガイド溝内に糸を押し込むための糸寄せレバー26が設けられている。
【0017】
解撚ノズル20a・20bの上下には、両糸Y1・Y2の糸端の先端部分を切断するカッター27・27が設けられ、さらにカッター27・27の左右位置には、上糸Y1および下糸Y2の糸端をそれぞれ把持するクランプ装置28・28が設けられている。糸継装置14は、これら撚掛け装置21、解撚ノズル20a・20b、糸押えレバー23、糸寄せレバー26、クランプ装置28、およびカッター27などを含んでユニット部品化されている(図4参照)。
【0018】
糸継装置14の上方には、パッケージPからの糸(上糸Y1)を吸引補足して糸継装置14内に旋回動作により移動して案内するサクションパイプ30が設けられ、糸継装置14の下方には、ボビンBからの糸(下糸Y2)を吸引補足して糸継装置内に旋回動作により移動して案内する中継ぎパイプ31が設けられている。なお、図2には、両パイプ30・31は旋回した状態を示しており、この状態においては、サクションパイプ30は糸継装置14の下方位置に、中継ぎパイプ31は糸継装置14の上方位置にある。
【0019】
次に、糸継装置14への圧縮空気および水の供給機構について、図1を参照して説明する。図1において、符号40は圧縮空気を生成するコンプレッサ、符号50は水が充填された水タンクを示している。コンプレッサ40から送出された圧縮空気は、減圧弁42により所定圧に減圧されたのち、共通配管43を通って巻取ユニット2毎に設置された空気配管44に送られ、この空気配管44を通って糸継装置14に送られる。
【0020】
空気配管44は、その中途部において、撚掛け処理用の第1配管44a(空気流路)と解撚処理用の第2配管44bとに分岐されている。撚掛け装置21に至る第1配管44aの中途部には、撚掛けバルブ45が配置されており、解撚ノズル20a・20bに至る第2配管44bの中途部には、解撚バルブ46が配置されている。両バルブ45・46は、巻取ユニット2の制御装置が送出する制御信号に基づいて開閉操作される電磁弁であり、解撚バルブ46の閉栓中に、撚掛けバルブ45が開栓されると、第1配管44aおよび撚掛けバルブ45を介して、撚掛け装置21の糸継孔22内に圧縮空気が送出される。一方、撚掛けバルブ45の閉栓中に、解撚バルブ46が開栓されると、第2配管44bおよび解撚バルブ46を介して、解撚ノズル20a・20b内に圧縮空気が送出される。
【0021】
水タンク50には所定の圧力が印加されており、この水タンク41から送出された水は、減圧弁52により所定圧に減圧されたのち、共通配管53を通って巻取ユニット2毎に設定された液体配管54(液体流路)に送られる。液体配管54の下流端は第1配管44aに連結されており、この液体配管54の中途部に設けられた給水バルブ55が開栓操作されたときに、液体配管54内の水は第1配管44a内に所定量ずつ送り込まれ、該第1配管44aに送り込まれた水は、圧縮空気とともに撚掛け装置21に導かれる。つまり、水が付加された圧縮空気が撚掛け装置21に供給される。
【0022】
そのうえで、本実施形態では、液体配管54と第1配管44aとの連結部に、圧縮空気の液体配管54への流入を防ぐための方向制御弁56が設置されている点が着目される。この方向制御弁56は、電磁操作式の方向切換弁(シャトル弁)であり、その内部に、液体配管54が接続されて水が導入される一次側流路と、第1配管44aに連通された二次側流路とを備える。そして、巻取ユニット2の制御装置からの制御信号に基づいて、これら一次側流路と二次側流路との間に設けられた電磁弁が開栓操作されると、一次側流路と二次側流路とが連通状態となって、液体配管54から第1配管44a内に水が送り込まれる。また、電磁弁を閉栓操作すると、液体配管54と第1配管44aとは非連通状態となり、液体配管54から第1配管44aへの水の供給が停止され、同時に第1配管44aから液体配管54への圧縮空気の流入が完全に遮断される。つまり、電磁弁を閉栓としたとき、方向制御弁56は、液体配管54への圧縮空気の流入を防ぐ逆止弁として作用する。
【0023】
次に、糸継装置14の動作手順について説明する。かかる糸継装置14による糸継動作は、給糸ボビンBから解舒された糸YをトラバースさせながらパッケージPとしているときに糸切れが発生したとき、或いは、ヤーンクリアラー13によりスラブ等の糸欠点が除去されて、給糸ボビンB側の下糸Y2とパッケージP側の上糸Y1とに分離された際に、これら上下糸Y1・Y2を繋いで、再び一本の糸Yとすることを目的として実行される。
【0024】
かかる糸継動作に際しては、まず、解撚バルブ46を開栓して解撚ノズル20a・20b内に圧縮空気を噴出することにより、ノズル20a・20b内に付着の風綿等の塵埃を除去する。次に、方向制御弁56を第1配管44aと液体配管54とが非連通となる閉栓状態としたうえで、解撚バルブ46を閉栓し、撚掛けバルブ45を開栓することにより、糸継孔22内に圧縮空気を噴出して、糸継孔22内に付着の風綿等の塵埃を除去するとともに、第1配管44a内に残留している水を吹き飛ばして、第1配管44aの内部を乾燥させる。
【0025】
次に、上糸Y1と下糸Y2の糸端を繋ぐため、サクションパイプ30と中継パイプ31によって糸継装置14内に上下糸Y1・Y2の糸端をそれぞれ案内して、両糸端が撚掛け装置21の糸継孔22内に重なるように位置させる(図2、図4(a))。この状態から、図4(a)に示すように、糸寄せレバー26で、図中矢印A方向に上糸Y1の糸端および下糸Y2の糸端をそれぞれ押し込み、さらにクランプ装置28によって、両糸Y1・Y2の糸端を把持する。このとき糸寄せレバー26は、ストッパ29に当たる位置までは押し込まれない。そして、両糸端のそれぞれの先端部分をカッター27・27でカットする。このカットされた先端部分は、それぞれサクションパイプ30及び中継ぎパイプ31によって吸い込まれる。
【0026】
次に、第1配管44aへの給水動作を行う。具体的には、方向制御弁56を第1配管44aと液体配管54とが連通する開栓状態としたうえで、給水バルブ55を開栓状態に所定時間切り替える。これにより、水タンク50からの圧を受けて所定量の水が、液体配管54から第1配管44a内に供給される。所定量の給水が終了すると、給水バルブ55と方向制御弁56とを閉栓する。
【0027】
次に、解撚動作を行う。かかる解撚動作においては、撚掛けバルブ45を閉栓した状態で解撚バルブ46を開栓することにより、第2配管44bを介して圧縮空気を解撚ノズル20a・20bに送り込み、図4(b)に示すように、解撚ノズル20a・20b内に圧縮空気を噴射させて、該ノズル20a・20b内に旋回空気流を生じさせる。これにて、解撚ノズル20a・20bの開口部とは反対側に向かって圧縮空気が流動し、開口部付近が負圧になるため、カッター27・27によりカットされた後の両糸端の先端が解撚ノズル20a・20b内に吸い込まれる。そして、解撚ノズル20a・20b内に吸い込まれた両糸端は、旋回空気流によって撚り戻されて、ほぐされる。
【0028】
上下糸Y1・Y2の先端部分の解撚が終了するタイミングで、解撚バルブ46を閉栓操作して、解撚ノズル20a・20bに対する圧縮空気の噴射を停止する。そして、図4(C)に示すように、ストッパ29にあたる位置まで糸寄せレバー26・26を押し込み、解撚ノズル20a・20b内に吸い込まれていた糸端を所定の長さに引き出し、さらに、糸押えレバー23が図中矢印C方向に移動して糸Y1・Y2を押える。
【0029】
この状態から、撚掛けバルブ45を開栓状態に所定時間切り替えて、圧縮空気を第1配管44a内に供給する。なお、このとき方向制御弁56は、第1配管44aと液体配管54とが非連通となる閉栓状態とされている。これにて、上述の給水動作で第1配管44a内に供給されていた所定量の水が圧縮空気で霧化され、圧縮空気とともに糸継孔22内に噴射される。この圧縮空気の噴射により、霧状の水が上糸Y1および下糸Y2の糸端を湿らせるとともに、糸継孔22内に旋回空気流が発生し、この旋回空気流によって、ほぐされていた上糸Y1および下糸Y2の糸端の重ね合わせ部分が互いに絡み撚り合わされる。これにて、上糸Y1と下糸Y2とが一本の糸とされ、各レバー23・26、クランプ装置28が元位置へ復帰して巻取装置15によるパッケージPの作成作業が再開される。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る糸継装置14においては、液体配管54と第1配管44aとの連結部に方向制御弁56を設置したので、該方向制御弁56を液体配管54と第1配管44aとが非連通となる閉栓状態とするだけで、圧縮空気の液体配管54への流入を確実に阻止することができる。すなわち、この糸継装置14によれば、特許文献1および2のように、空気配管に液体配管が直結されていた従来形態においては不可避であった、液体配管内に圧縮空気が流入して気泡が生じ、調整弁の一回の開栓操作において空気配管に与えられる水の供給量にばらつきが生じる問題を確実に解消することができる。これにて、本実施形態に係る糸継装置14によれば、撚掛け動作時に圧縮空気に付加される水量の均一化を図ることができるので、安定期に撚掛け動作をおこなって、撚掛け品質の向上を図ることができる。
【0031】
給水バルブ55だけで、空気流路を流れる圧縮空気の空気圧に耐え得るようにした場合には、大型の給水バルブ55を採用せざるを得ず、結果として巻取ユニット2の設計自由度の低下を招く。これに対して、第1配管44aと液体配管54との連結部に、圧縮空気の液体配管54への流入を防ぐ方向制御弁56が設けられていると、給水バルブ55には高い耐圧力は要求されず、比較的小型の給水バルブ55を採用すれば足りるので、巻取ユニット2の設計の自由度を良好に確保することができる。
【0032】
方向制御弁56を、電気制御が可能な電磁操作方向切換弁としていると、機械式の弁に比べて、開栓操作や閉栓操作のタイミング制御や水量制御などが正確且つ容易に行うことができる。これにより、信頼性に優れた糸継装置14を得ることができる。
加えて、機械式の弁によれば、給水量を調整するためには、弁を開閉するための操作部材を交換する必要がある。これに対して方向制御弁56を電磁操作方向切換弁としていると、電気制御によって開栓時間を変更調整するだけで、給水量をコントロールすることができるので、給水量の調整を容易且つ迅速に行うことができる。したがって、給水量の変更調整機能を備える糸継装置14を低コストに提供できる点でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る糸継装置の空気流路および液体流路を示す図である。
【図2】本発明に係る糸継装置が適用される巻取ユニットの概略構成図である。
【図3】自動ワインダー装置の正面図である。
【図4】(a)乃至(c)は糸継装置による糸継動作を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
14 糸継装置
21 撚掛け装置
40 コンプレッサ
44a 空気流路(第1配管)
45 撚掛けバルブ
50 タンク(水タンク)
54 液体流路(液体配管)
55 給水バルブ
56 方向制御弁
Y、Y1、Y2 糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が付加された圧縮空気を噴出することにより2本の糸の糸端どうしを撚掛けする撚掛け装置と、撚掛け装置に圧縮空気を供給する空気流路と、空気流路の中途部に連結されて、該空気流路内に液体を供給する液体流路とを含み、
これら液体流路と空気流路との連結部に、圧縮空気の液体流路内への流入を防ぐための方向制御弁が設けられていることを特徴とする糸継装置。
【請求項2】
液体流路の中途部に設けられた給水バルブと、空気流路の中途部に設けられた撚掛けバルブとを含み、
これら給水バルブ、撚掛けバルブおよび方向性制御弁に対して開栓および閉栓制御を行うことにより、圧縮空気、或いは液体が付加された圧縮空気のいずれか一方を撚掛け装置に供給することができるようになっている請求項1記載の糸継装置。
【請求項3】
前記方向制御弁が、電磁操作方向切換弁である請求項1又は2記載の糸継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−50157(P2008−50157A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231138(P2006−231138)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】