説明

納豆菌の培養方法

【目的】 納豆菌の培養方法を、粘性物質のみを選択的に効率よく培養することができる方法とし、また、納豆菌産生の粘性物質の製造方法を、プロテアーゼ活性の高い粘性物質を効率よく抽出できる方法とする。
【構成】 シュクロースを炭素源とし、大豆ペプトン又は大豆粉砕物を窒素源とし、PH値6〜8の緩衝液を添加した液体培地に、納豆菌(Bacillus Natto)を接種し、30〜40℃の温度で培養した後、これを遠心分離して液相部分を分取し、この液体をアセトン中に混合して粘性物質を分離沈澱させ、これに緩衝液と水を加えた粘性物質水溶液をエチルアルコールに混合し、沈澱した粘性物質にさらにエチルアルコールを加えて粉砕し静置した後、沈殿した粘性物質を分取する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、納豆菌の培養方法、および食品や化粧料として用いられる納豆菌産生の粘性物質の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、食用納豆は、大豆を水に浸漬して吸水させ蒸煮するか水煮にするかした後、稲わらに包み、40〜43℃の温度で12〜16時間放置して、豆粒の表面が灰白色の菌膜で覆われた状態で得られるものである。
【0003】また、純粋培養の納豆菌 Bacillus natto を使用し、キョウギ(経木)に包装して作られたものもある。このようにして作られる納豆から生産される粘性物質は、非常に栄養価が高く健康にも良い食品であるといわれている。
【0004】しかしながら、これら納豆より生産される粘性物質を効率よく得る培養方法は全く研究されておらず、また納豆より生産される粘性物質は、糸引感や臭いの問題があるので、汎用されるには至っていない。
【0005】最近ではこのような問題点を改善するために粘性物質だけを得る手段が考えられてきている、たとえば特公昭61−30541号には、蒸煮した大豆に納豆菌を繁殖させ、熟成して得られる食用納豆から粘性物質を選択的に抽出する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来技術によると、蒸煮大豆に納豆菌を繁殖させて熟成させた一般の食用納豆を出発原料として用いたものであるから、糸引感や臭いの問題のない粘性物質のみを選択的に効率よく培養することができないという問題点がある。
【0007】また、上記した従来技術では、納豆菌の培養生成物中の栄養価が高く、特にプロテアーゼ活性の高い粘性物質を効率よく抽出するための技術を充分に開示するものではない。
【0008】そこで、この発明は、上記した問題点を解決し、納豆菌の培養方法を、粘性物質のみを選択的に効率よく培養することができる方法とし、また、納豆菌産生の粘性物質の製造方法を、プロテアーゼ活性の高い粘性物質を効率よく抽出できる方法とすることを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明における納豆菌の培養方法では、シュクロースを炭素源とし、大豆ペプトン又は大豆粉砕物を窒素源とし、PH6〜8の緩衝液を添加した液体培地に、納豆菌(Bacillus Natto)を接種し、30〜40℃の温度で培養したのである。
【0010】また、この発明の納豆菌産生の粘性物質の製造方法においては、シュクロースを炭素源とし、大豆ペプトン又は大豆粉砕物を窒素源とし、PH値6〜8の緩衝液を添加した液体培地に、納豆菌(Bacillus Natto)を接種し、30〜40℃の温度で培養した後、これを遠心分離して液相部分を分取し、この液体をアセトン中に混合して粘性物質を分離沈澱させ、これに緩衝液と水を加えた粘性物質水溶液をエチルアルコールに混合し、これ粉砕し冷暗所に静置した後、沈殿した粘性物質を分取する手段を採用したのである。
【0011】
【実施例】この発明における液体培地の炭素源は、二糖類であるシュクロースを用いる。液体培地の炭素源としてのシュクロースの最適性、およびその好適な配合量を調べるため、「炭素源としての糖質の比較試験」、「シュクロースの使用量比較試験」を行ない、結果をそれぞれ表1、表2に示した。
【0012】なお、以下に述べる比較試験例で採用した培養条件および粘性物質生産量測定方法は下記(a)、(b)の通りである。
(a)培養条件培養液を三角フラスコに入れ、納豆菌を接種後、30℃にて14日間静置培養を行なった。
【0013】(b)粘性物質生産量測定方法上記培養条件にて培養終了後、粘性物質を含んだ培地を遠心分離した。遠心分離して得たその上澄み液16ミリリットルを遠沈管にとり、冷アセトン32ミリリットルを混合した後、3000rpm 10分遠心分離し上澄み液を除去し、遠沈管に残った沈澱物を乾燥しその重量を測定した。
【0014】
【表1】


【0015】表1の結果からも明らかなように、液体培地の炭素源はシュクロースが適当であることがわかる。単糖類のグルコースやフラクトースを炭素源として用いた培地(試験例2、3)では、粘性物質を所期した程度に効率よく生産させることができなかった。
【0016】
【表2】


【0017】また、表2の結果からは、液体培地におけるシュクロースの配合量は、培地に添加する水1000重量部に対して、20〜40重量部とすることが好ましく、より好ましくは約30重量部(試験例6)であることがわかる。すなわち、20重量部未満の割合でシュクロースを添加した液体培地(試験例4)では、粘性物質を所期した程度にまで効率よく生産させることができず、また40重量部を越えて多量に添加した液体培地では、経済的効率性からみても実用性がないと考えられるからである。
【0018】この発明に用いる大豆ペプトンは、大豆すなわちGlycine max Merrillの種実のアルカリ、酸、酵素による部分分解物であり、プロテオースよりも分解度の進んだものである。また、この発明に用いる大豆粉砕物は、大豆を機械的に粉粒状に細かく砕いて大豆タンパクを水に浸出し易くしたものである。
【0019】液体培地の窒素源としての大豆ペプトンの最適性、およびその好適な配合量を調べるため、「窒素源の比較試験」、「大豆ペプトンの使用量比較試験」を行ない、結果をそれぞれ表3、表4に示した。
【0020】
【表3】


【0021】表3の結果からも明らかなように、窒素源として純粋なアミノ酸またはその塩を用いた培地組成では、粘性物質生産量は低率であり、大豆ペプトンを用いた培地組成とすることが粘性物質生産量を効率に維持するために好ましいことがわかる。
【0022】
【表4】


【0023】表4の結果からは、大豆ペプトンの配合量を40重量部とした実験例15において、粘性物質生産量は最も高率であり、また、大豆ペプトンの好適な配合量は、培地に添加する水1000重量部に対して30〜50重量部とすることが好ましいことがわかる。
【0024】次に、液体培地の好適な培養温度を調べるため、「培養温度による粘性物質生産量の比較試験」を行ない、結果を表5に示した。なお、用いた液体培地の組成は、以下の通りである。
【0025】培地組成 : シュクロース 30g大豆ペプトン 40gリン酸一カリウム 2.5g塩化ナトリウム 5.0g緩衝液pH6.0 100ml水 900ml
【0026】
【表5】


【0027】表5の結果からも明らかなように、培養温度は35℃が最適であり、粘性物質を高率に生産するためには、30〜40℃に設定することが好ましいことがわかる。
【0028】ここまでの比較試験の結果をまとめると、納豆菌粘性物質を多量に生産させる培地に関して、炭素源としての糖質としてはシュクロースを用い、窒素源としては大豆ペプトンを用い、殺菌した培地に納豆菌を接種し30〜40℃で静置培養を行うことが好ましいといえる。
【0029】〔実施例1〜3〕液体培地を表6に示した組成とし、すなわち同表に示すPH値のマックルベン緩衝液を添加した所定組成の培養液を三角フラスコに入れ、これに納豆菌(Bacillus Natto)を接種後、30℃にて14日間静置培養を行なった。
【0030】そして、前記した粘性物質生産量測定方法と全く同様にして粘性物質の生産量を測定し、結果を表6中に併記した。
【0031】
【表6】


【0032】〔比較例1〕表6に示すように、PH5.0のマックルベン緩衝液を添加した液体培地を用いたこと以外は、実施例1〜3と全く同様にして培養を行なった。そして、前記した粘性物質生産量測定方法と全く同様にして粘性物質の生産量を測定し、結果を表6中に併記した。
【0033】表6の結果からも明らかなように、緩衝液のPHを6〜8とし、その他の所定の条件を全て満足する実施例1〜3では、粘性物質を1.63〜1.81wt%と高率に生産した。しかし、所定のPH値を満足しない緩衝液を用いた比較例1では、粘性物質の生産量が1.38wt%と低率であり、好ましい培養方法とはいえなかった。
【0034】次に、納豆菌を効率よく培養し、さらに効率良く分離抽出する粘性物質の製造方法について説明する。
【0035】〔実施例4〕下記組成の培地を2000ml容フラスコにて殺菌後、市販の納豆菌を接種し、35℃の恒温器にて20日間の静置培養を行なった。
【0036】
納豆菌培養培地組成 :シュクロース 30.0g 大豆ペプトン 40.0g リン酸一カリウム 2.5g 塩化ナトリウム 5.0g ビオチン 100 μg PH7.0マックルベン緩衝液100 ml 水 900 ml次に、前記培養した液状培地を、3500rpm、20分の遠心分離条件で固形分を分離し、固形分を除いた培養液1000mlに対して以下の操作Iを行なった。
【0037】操作I:このものを1.5倍量の冷アセトン中に攪拌しながら緩やかに加え、粘性物質を沈殿させた。この粘性物質に、pH7マックルベン緩衝液50mlと水350mlとを加え、適時攪拌しながら12時間冷暗所に静置し、約400mlの粘性物質水溶液とした。
【0038】この粘性物質水溶液に対して、操作Iを再度行ない、得られた粘性物質水溶液を3倍量の冷エチルアルコール中に攪拌しながら緩やかに加え、粘性物質を沈殿させた。沈殿した粘性物質に冷エチルアルコールを加えた後、ミキサーで粉砕した。この冷エチルアルコール混合粘性物質液を約4時間冷暗所に静置し、粘性物質含有沈澱物層(A層)と上澄層(B層)に分離し、B層を除去して沈澱物を取り出した。この沈澱物を60℃3時間乾燥後、更に常温で24時間乾燥し、細粒の粘性物質を22.1g(収率2.21%)得た。そして、この粘性物質を乳鉢で粉砕し、納豆菌の生産した粘性物質の粉末を得た。
【0039】このようにして得られた納豆菌産生の粘性物質のプロテアーゼ力価を以下の測定方法によって調べ、結果を表7に示した。
【0040】(プロテアーゼ力価測定方法)
(a)試験管に基質として所定のpHに合わせた2%カゼイン溶液1mlを採り、40℃恒温槽中で加温した。
(b)各pH(3,6,9)緩衝液に5%(20倍)で溶解した粘性物質溶液1mlを加えてよく混ぜ、40℃で反応させた。
(c)粘性物質溶液を加えてから10分後にTCA(0.4Mトリクロール酢酸)を2ml加えてよく混ぜ、しばらく放置した。
(d)反応液を自然ろ過し、沈殿を取り除いた。
(e)ろ液0.5mlを試験管に採り、0.4M−Na2 CO3 溶液を2.5ml加えてよく混ぜた。
(f)Folin試薬を0.5ml加えてよく混ぜ、40℃で10分間加温した。
(g)660nmでの吸光度を分光光度計で測定した。
【0041】(h)ブランクテストとして、試験管に基質溶液1mlTCA2ml、粘性物質溶液1ミリリットルをこの順に加えてよく混ぜ、(d)〜(g)の操作を行なった。
(i)(g)で得られた吸光度の値から、(h)のブランクテストの吸光度の値を差し引いたものを測定値とした。
(j)吸光度の値をチロシン濃度に換算するため、チロシン濃度を変化させて、(e)〜(g)の操作を行ない、標準曲線をあらかじめ作成しておいた。
【0042】ここで、酵素の単位は、1分間にチロシン1μg相当量の生成物を与える酵素量を1単位とした。なお、このプロテアーゼ測定法は、社団法人日本生物工学会編「生物工学実験書」の酵素活性測定法に準ずるものである。
【0043】1単位〔PU〕
酸性プロテアーゼ : pH 3.0中性プロテアーゼ : pH 6.0アルカリ性プロテアーゼ : pH 9.0
【0044】
【表7】


【0045】この結果より、本発明の培養・分離抽出法により抽出した粘性物質は活性プロテアーゼが多く含まれていることが判明した。
【0046】したがって、このものを食用とすることにより、美容及び健康食品としても有用であり、また得られる粘性物質は、非常に保水性が高く化粧品に配合することにより保湿性や使用感の優れたものが期待され、粉末状にすることも可能であり、パック類や洗浄剤・入浴剤等にも配合し、皮膚のタンパク質の汚れを落とす効果が期待される。また、得られた粘性物質は納豆キナーゼに基づく血栓溶解酵素の分泌促進・血栓の予防効果・消炎性なども期待される。
【0047】以下に、参考処方例を示した。また処方中においては、この発明の製造方法によって得られた粘性物質を粘性物質Aと略し、このものを乾燥し粉末状としたものを粘性物質Bと略記し、配合割合は全て重量%である。
【0048】


(調製方法)
(1)に(2)を加え、攪拌し溶解する。次に(3)、(4)を加え溶解し均一になるまで攪拌し、納豆ゼリーを得た。
【0049】この得られた納豆ゼリーは、糸引感及び匂いもなく非常に食べやすく、また栄養価の高いものであった。
【0050】


(調製方法)
(12)に(1)〜(11)を順次加え、均一になるまで攪拌し清涼飲料水をえた。得られた、清涼飲料水はマイルド(コク)な感じがあり、また飲みやすいものであった。
【0051】〔処方例3〕 機能性食品粘性物質Aをゼラチンにてゼラチンカプセルにした。又は、粉末状のものをビタミンCと共に錠剤又は、造粒機で顆粒にした。このものはタンパク質の栄養補給及び、消化の助けを目的とした機能性食品として有用であった。
【0052】
〔処方例4〕 化粧水 〔処方例4〕 〔比較例〕
(1) 精製水 86.75 87.75 (2) 粘性物質 A 1.00 − (3) 1,3−ブチレングリコール 6.00 6.00 (4) パラオキシ安息香酸メチル 0.10 0.10 (5) ブルシン変性アルコール 4.00 4.00 (6) グリセリン 2.00 2.00 (7) クエン酸ナトリウム 0.10 0.10 (8) クエン酸 0.05 0.05 計100.00 計100.00(調製方法)
(1)に(2)を加え溶解する。このものに(3)〜(5)の溶解液を加え、攪拌・均一とする。更に(6)〜(8)を加え攪拌溶解し、化粧水を得た。
【0053】得られた化粧水について、成人女子20人による官能試験で皮膚の保湿性・保護効果・使用感の卓越性の3点を調べ、いずれも「明らかに効果あり」を2、「やや効果あり」を1、「効果無し」を0として全員の合計点を求め、さらに次式有効性(%)=(合計点/40)×100 から有効性(%)を計算し、得られた値を( )で囲み合計点と共に表8に併記した。
【0054】
【表8】


【0055】表8の結果より、粘性物質Aを配合した処方例2の化粧水は、比較例の化粧水よりもいずれの評価項目においてもはるかに優れていることがわかった。
【0056】
〔処方例5〕 スキンクリーム 油相:(1) ステアリン酸 3.00 (2) サラシミツロウ 1.00 (3) パルミチン酸セチル 3.00 (4) トリオクタン酸グリセリン 2.00 (5) ベヘニルアルコール 1.50 (6) メチルポリシロキサン 0.50 (7) イソノナン酸イソトリデシル 5.00 (8) モノステアリン酸グリセリン 0.50 (9) テトラオレイン酸ポリオキシエチレン 1.00 ソルビット(60E.O)
(10)ポリオキシエチレンセチルエーテル(7E.O) 1.00 (11)パラオキシ安息香酸プロピル 0.05 水相:(12)精製水 67.20 (13)グリセリン 10.00 (14)1,3−ブチレングリコール 2.00 (15)キサンタンガム 0.10 (16)パラオキシ安息香酸メチル 0.15 (17)粘性物質 A 2.00 計100.00(調製方法)
(1)〜(11)を加温溶解し75℃に調整した・・〔油相〕
(12)〜(16)を同様に加温溶解し75℃に調整した・・・・〔水相〕
〔油相〕に〔水相〕を加え乳化を行なった。その後冷却を行い45℃で(17)を添加し、35℃まで冷却しスキンクリームを得た。
【0057】このスキンクリームを化粧水の場合と同様に女子20人による官能テストを行ったところ、同じように塗布したときのベタつきは無くしっとりとまた、スベスベした良好な感触が得られた。
【0058】
〔処方例6〕 乳 液 水相:(1) 精製水 82.85 (2) イソプロピレングリコール 5.00 (3) グリセリン 1.00 (4) カルボキシビニルモノマー 0.15 (5) キサンタンガム 0.10 (6) パラオキシ安息香酸メチル 0.15 (7) 水酸化カリウム 0.20 油相:(8) ホホバ油 0.50 (9) スクワラン 1.50 (10)イソノナン酸イソデシル 2.50 (11)セタノール 1.50 (12)ステアリン酸 0.50 (13)モノステアリン酸グリセリン 0.50 (14)テトラオレイン酸ポリオキシエチレン 1.00 ソルビット(40E.O)
(15)モノステアリン酸ポリオキシエチレン 0.50 ソルビタン(20E.O)
(16)パラオキシ安息香酸プロピル 0.05 (17)粘性物質 A 2.00 計100.00(調製方法)
(1)〜(7)を加温溶解し75℃に調整した・・〔水相〕
(8)〜(16)も同様に加温溶解し75℃に調整した・・・・・・〔油相〕
〔水相〕に〔油相〕を加え乳化を行なった。その後冷却を行い45℃で(17)を添付し、40℃まで冷却し乳液を得た。このものを使用したところ、同様にすぐれた感触であった。
【0059】


(調製方法)
(1)〜(7)を粉体混合機にて混合し、粉末状の洗い流しタイプのパック料を得た。このものは、使用する時に適量の水と混合しペースト状になったものを、顔に塗布し10分〜15分間放置し、その後水によって洗い流すものである。このパック料を使用したところ、皮脂やタンパク質等の汚れもきれいに落ち、お肌がすべすべし非常に良い感触であった。
【0060】
〔処方例8〕 粉末洗顔料 (1) 粘性物質 B 1.50 (2) マルチトール 40.00 (3) N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 35.00 (4) N−ヤシ油脂肪酸硬化牛脂脂肪酸アシル−L− グルタミン酸ナトリウム 23.50 計100.00(調製方法)
(1)〜(4)を粉体混合機にて混合し、粉末状の洗顔料を得た。
【0061】このものを、使用したところ皮脂やタンパク質等の汚れはさっぱりと良く落ち、なおかつお肌の刺激感が少なく、使用後はしっとりスベスベした 感じであり良好であった。
【0062】
〔処方例9〕 入浴剤 (1) 炭酸ナトリウム 30.30 (2) 重炭酸ナトリウム 10.00 (3) 硫酸ナトリウム 55.00 (4) ホウ砂 1.50 (5) ウラニン 0.20 (6) 香料 1.00 (7) 粘性物質 B 2.00 計100.00(調製方法)
(1)〜(7)を粉体混合機にて混合し、粉末状の入浴剤を得た。
【0063】このものを、使用したところ湯上りの肌の感触がしっとりし、またスベスベしており非常に良かった。
【0064】
【効果】この発明は、以上述べたように、所定の炭素源および窒素源を採用した液体培地に納豆菌を接種して、所定の条件で培養する方法としたので、粘性物質のみを選択的に効率よく培養することができる方法となる利点がある。また、このようにして培養されたものは、保湿効果・粘膜保護効果・タンパク質分解効果・増粘効果・血栓予防効果・栄養効果などを有する無臭のプロテアーゼ活性の高い粘性物質であって、この発明の製造方法ではこのような粘性物質を所定の操作でもって、効率よく抽出できるという利点がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 シュクロースを炭素源とし、大豆ペプトンまたは大豆粉砕物を窒素源としてPH6〜8の緩衝液を添加した液体培地に、納豆菌(Bacillus Natto)を接種し、30〜40℃の温度で培養することからなる納豆菌の培養方法。
【請求項2】 シュクロースを炭素源とし、大豆ペプトン又は大豆粉砕物を窒素源とし、PH値6〜8の緩衝液を添加した液体培地に、納豆菌(Bacillus Natto)を接種し、30〜40℃の温度で培養した後、これを遠心分離して液相部分を分取し、この液体をアセトン中に混合して粘性物質を分離沈澱させ、これに緩衝液と水を加えた粘性物質水溶液をエチルアルコールに混合し、これを粉砕し冷暗所に静置した後、沈殿した粘性物質を分取することからなる粘性物質の製造方法。