紙からのインキの除去方法
印刷紙からインキを除去する方法であって、(a)少なくとも25重量%が古新聞印刷紙である印刷紙を少なくとも約3%の濃度においてパルプ化してパルプスラリーを得ること;(b)前記パルプスラリーを、前記パルプスラリーからインキを遊離させるのに有効な量のインキ除去系((i)リパーゼおよびアミラーゼ、キシラナーゼまたはセルラーゼから選択される少なくとも1種の第2の酵素の組合せ、ならびに(ii)非イオン性界面活性剤を含む)(前記リパーゼは、前記パルプスラリーの乾燥含有量に対して少なくとも約0.001重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の第2の酵素:リパーゼの比は、少なくとも約1.2:1である)により処理すること;ならびに(c)遊離したインキを前記パルプスラリーから分離することを含み、前記処理工程を脱インキフロテーション段階前に実施する方法を対象とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、印刷紙を脱インキおよび脱色する方法に関する。さらに特定すると、本発明の分野は、紙パルプを含有する新聞印刷紙からインキを除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙産業は、製紙に使用可能なセルロース繊維を再生するために古紙の再循環を数十年間実施してきた。これらのプロセスにおいて、インキは、好適な脱インキ組成物を使用して古紙パルプから除去される。脱インキプロセスにより、脱インキしなければ埋立地行きとなり得る材料から新たな紙または板紙製品が生成される。
【0003】
公的需要の増加のため、再循環紙の使用が安定して増加している。製紙に使用された繊維を古紙から回収するため、一般に古紙脱インキ操作を実施して印刷に使用されたインキを除去し、こうして再使用に好適な特性を作出しなければならない。古紙、例えば古新聞(ONP)および廃雑誌(WM)の量の増加は、最終消費者の再循環における参加の増加につれて利用可能となってきている。
【0004】
従来の紙再利用の過程において、脱インキ手順は、古紙をパルプに変換させる工程および該パルプを、化学脱インキ剤を含有するアルカリ水性脱インキ媒体と接触させる工程を含む。機械的作用および水性媒体のアルカリ度により、パルプ繊維からのインキの部分的除去が引き起こされる。脱インキ剤はこの除去を仕上げ、インキ粒子の水性懸濁液および/または分散液を生成する。続いて、得られた混合物を、懸濁/分散インキをパルプから分離するように処理する。この分離は、当分野において公知のフロテーションおよび/または洗浄技術によるものであり得る。
【0005】
従来の脱インキ化学薬品は、化学薬品、例えば水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、キレート剤、過酸化水素、界面活性剤、分散剤、回収用化学薬品および凝集用化学薬品の複合混合物を含む。一般に、脱インキにおいて、顕著な量のアルカリ材料を含めることが標準的である。それというのも、アルカリ材料は、インキ樹脂の十分な鹸化および加水分解に必要とされると考えられるからである。さらに、腐食剤による繊維膨潤が挙げられ、これは繊維表面からのインキ粒子の剥離に部分的に関与する。典型的には、このような脱インキプロセスの間のpHは、約9.5から約11である。このアルカリ性の程度にセルロースおよびリグノセルロース繊維を曝露することは、繊維の黄変を引き起こす傾向があり、したがって、一般に、酸化または還元漂白剤、例えば過酸化物またはハイドロサルファイトナトリウムを添加することが必要である。還元漂白工程は、一般に、脱インキプロセスの終了時に用いられる一方、過酸化水素は、パルパーにおいて添加される。一部の脱インキ操作においては、過酸化水素はプロセス後期に添加される。
【0006】
さらに、アルカリ法は、パルプ繊維に対する不可逆的変化を引き起こし、したがって、単に化学薬品を使用するコストに加えて施設に対するコストを表す。腐食剤の使用も、製紙添加剤およびコーティングを可溶化し、抄紙機における堆積に起因する追加の実行性の問題をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、安全であり、経済的かつ環境的に望ましい、これらの欠点を回避する脱インキプロセスが必要とされている。
【0008】
本発明者らにより、パルプを含有する古紙を本発明によるインキ除去系により処理することにより、このような脱インキプロセスに対する上記要求が満たされることが見出された。
【0009】
本発明は、印刷紙からインキを除去する方法を対象とする。一実施形態において、本発明は、パルプを含有する古新聞印刷紙(ONP)からのインキの除去および中性脱インキプロセスにおける脱インキされたパルプの白色度の維持または増加に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様において、本発明は、印刷紙からインキを除去する方法であって、(a)少なくとも25重量%が古新聞印刷紙である印刷紙を少なくとも約3%の濃度においてパルプ化してパルプスラリーを得ること;(b)前記パルプスラリーを、前記パルプスラリーからインキを遊離させるのに有効な量のインキ除去系((i)リパーゼと、アミラーゼ、キシラナーゼまたはセルラーゼから選択される少なくとも1種の第2の酵素との組合せ、ならびに(ii)非イオン性界面活性剤を含む)(前記リパーゼは、前記パルプスラリーの乾燥含有量に対して少なくとも約0.001重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の第2の酵素:リパーゼの比は、少なくとも約1.2:1である)により処理すること;ならびに(c)遊離したインキを脱インキ工程(例えば、脱インキフロテーション段階)において前記パルプスラリーから分離して脱インキされたパルプスラリーを提供することを含み、前記処理工程を前記脱インキ工程前に実施する方法を対象とする。
【0011】
本発明の一実施形態において、酵素の組合せは、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せである。キシラナーゼ:リパーゼの比は、少なくとも約1.5:1であり得る。本発明の
実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比は、約1.5:1から約5:1;約1.5:1から約4:1;約1.5:1から約3:1;約1.5:1から約2.5:1;約2:1から約4:1;または約2:1から約3:1の範囲内の比から選択することができる。追加の実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比は、約2:1、2.5:1または3:1から選択することができる。
【0012】
本発明の実施形態において、非イオン性界面活性剤は、脂肪酸アルコキシレート、脂肪族アルコールアルコキシレートまたはこれらの混合物から選択することができる。非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択することができる。
【0013】
本発明の実施形態において、インキ除去系中に存在する(i):(ii)の比は、約1:1から約1:10;約1:1から約1:5;または約1:2から約1:4の範囲内の比から選択することができる。
【0014】
本発明の別の態様において、上記インキ除去系は、(iii)石鹸をさらに含むことができる。別の態様において、インキ除去系は、(iv)アルカリ試薬をさらに含むことができる。さらに別の態様において、インキ除去系は、(iii)石鹸および(iv)アルカリ試薬をさらに含むことができる。
【0015】
一実施形態において、濃度は、約3から約30%の範囲内であり得る。追加の実施形態において、濃度は、約10%から約17%、または約18から約23%の範囲内の値から選択することができる。
【0016】
本発明の実施形態において、印刷紙は、少なくとも約40重量% ONPを含む。別の実施形態において、印刷紙は、少なくとも約50重量% ONPを含む。他の実施形態において、印刷紙は、約40から約95重量%、約45から約90重量%、または約50から約80重量%の範囲内から選択される量のONPを含む。本発明のさらに別の態様において、印刷紙は、古雑誌印刷紙(OMG)をさらに含む。
【0017】
一実施形態において、インキ除去系が(iii)石鹸および(iv)アルカリ試薬を含む場合、酵素の組合せ(i)は、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せであり得る。このような実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比は上記の通りであり得る。
【0018】
本発明の一実施形態において、石鹸は脂肪酸石鹸であり得る。別の実施形態において、脂肪酸石鹸は、獣脂に由来し得る。さらに別の実施形態において、脂肪酸石鹸は植物油に由来し得る。
【0019】
本発明の一実施形態において、アルカリ試薬はケイ酸ナトリウムである。一実施形態において、酵素の組合せ(i)は、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せであり;非イオン性界面活性剤(ii)は、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択され;石鹸(iii)は獣脂脂肪酸石鹸であり;アルカリ試薬(iv)はケイ酸ナトリウムである。このような実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比および(i):(ii)の比は上記の通りであり得る。
【0020】
本発明の一態様において、構成要素(i)および(ii)を予備混合して酵素組成物(v)を形成し、次いで(v)をインキ除去系の構成要素としてパルプスラリーに添加する。一実施形態において、酵素組成物(v)を約0.04から約0.5重量%の範囲内の量でパルプスラリーに添加し、石鹸(iii)を約0.1から約1重量%の範囲内の量でパルプスラリーに添加し、アルカリ試薬(iv)を約0.5から約2重量%の範囲内の量でパルプスラリーに添加する(全てスラリーの固体含有量に対するものである)。
【0021】
本発明の一実施形態において、スラリーのpHは、約6から約11の範囲内で維持する。好ましい範囲は6.7から9.5であり、より好ましい範囲は7から9であり、最も好ましい範囲は7.5から8.8である。
【0022】
本発明の一実施形態において、スラリーは実質的に亜硫酸ナトリウムを含まない。別の実施形態において、スラリーは実質的に水酸化ナトリウムを含まず、または水酸化ナトリウムをスラリーに添加する場合、水酸化ナトリウムをスラリーの重量に対して約0.15重量%未満の量で添加する。さらに別の実施形態において、スラリーは実質的に過酸化水素を含まない。さらに別の実施形態において、(規定の材料を含まない)これらの要件の2つまたは全てが満たされる。
【0023】
追加の目的、利点および新規特徴は、以下の詳細な説明の試験により当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図2】実施例1の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図3】実施例1の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図4】実施例2の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図5】実施例2の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図6】実施例2の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図7】実施例3の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図8】実施例3の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図9】実施例3の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図10】実施例4の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図11】実施例4の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図12】実施例4の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図13】実施例5の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図14】実施例5の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図15】実施例5の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図16】実施例6の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図17】実施例6の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図18】実施例6の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図19】実施例7の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図20】実施例7の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図21】実施例7の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図22】実施例8の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図23】実施例8の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図24】実施例8の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図25】実施例9の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図26】実施例9の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図27】実施例10の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図28】実施例10の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図29】実施例10の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図30】実施例11の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図31】実施例11の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図32】実施例11の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図33】実施例12の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図34】実施例12の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図35】実施例12の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図36】実施例13の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図37】実施例13の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図38】実施例13の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図39】実施例14の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図40】実施例14の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図41】実施例14の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図42】実施例15の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図43】実施例15の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図44】実施例15の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、印刷紙からインキを除去する方法を対象とする。一実施形態において、本発明は、パルプを含有する古新聞印刷紙(ONP)からのインキの除去および中性脱インキプロセスにおける脱インキされたパルプの白色度の維持または増加に関する。
【0026】
一態様において、本発明は、前記パルプスラリーからインキを遊離させるのに有効な量のインキ除去系であって、(i)リパーゼおよびアミラーゼ、キシラナーゼまたはセルラーゼから選択される少なくとも1種の第2の酵素の組合せ、ならびに(ii)非イオン性界面活性剤を含み、前記リパーゼが、前記パルプスラリーの乾燥含有量に対して少なくとも約0.001重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の第2の酵素:リパーゼの比が、少なくとも約1.2:1であるインキ除去系を対象とする。
【0027】
本発明の一実施形態において、酵素の組合せは、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せである。キシラナーゼ:リパーゼの比は、少なくとも約1.5:1であり得る。本発明の実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比は、約1.5:1から約5:1;約1.5:1から約4:1;約1.5:1から約3:1;約1.5:1から約2.5:1;約2:1から約4:1;または約2:1から約3:1の範囲内の比から選択することができる。追加の実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比は、約2:1、2.5:1または3:1から選択することができる。
【0028】
インキを除去する方法の実施形態において、パルプスラリーに添加されるインキ除去系中の酵素の全量は、乾燥パルプ1トン(2000lbs)当たり0.5lbs(0.23kg)、または0.45lbs(0.2kg)、または0.4lbs(0.18kg)、または0.3lbs(0.14kg)未満である。
【0029】
インキを除去する方法の実施形態において、インキ除去系の構成要素は、後続の脱インキフロテーション段階において少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%のインキ除去効率を達成する量で存在する。インキ除去効率は、印刷紙パルプをインキ除去系により処理し、脱インキ工程に供して脱インキされたパルプを提供する前に印刷紙パルプ中に含有されるインキの元の量に対する除去されたインキの割合を意味する。例えば、50%のインキ除去効率は、脱インキされたパルプが出発印刷紙パルプよりも50%だけ少ないインキを有することを意味する。本発明の実施形態において、脱インキ工程(例えば、脱インキフロテーション段階)後のパルプスラリーは、印刷インキ系中に典型的に含有されるタイプの印刷インキ樹脂または油を含む、大幅に低減された量のインキを有する。
【0030】
本発明の実施形態において、脱インキされたパルプは、0.2重量%未満の印刷インキ中に見出される植物油および鉱油を含有し、または植物油および鉱油を実質的に含まない。インキを除去する方法の実施形態において、植物または鉱油はパルプスラリーに添加しない。
【0031】
非イオン性界面活性剤の例としては、高級脂肪族アルコールアルコキシレート、脂肪酸アルコキシレート、高級芳香族アルコールアルコキシレート、アルカノールアミンの脂肪酸アミド、脂肪酸アミドアルコキシレート、プロピレングリコールアルコキシレート、エチレンおよびプロピレンオキシドのブロックもしくはランダムコポリマー、または高級アルコールポリエチレンポリプロピレンブロックもしくはランダムアダクトが挙げられる。
【0032】
本発明の実施形態において、非イオン性界面活性剤は、脂肪酸アルコキシレート、脂肪族アルコールアルコキシレートまたはこれらの混合物から選択することができる。非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択することができる。本発明の実施形態において、非イオン性界面活性剤は、低発泡脱インキ系を提供するように選択または系に組み込まれる。非イオン性界面活性剤自体、または界面活性剤を含有する組成物は、低発泡性であり得る。本発明において有用な市販の界面活性剤製品の例としては、Eka Chemicalsから入手可能なEka RF4000および4200シリーズ脱インキ製品、特にEka RF4031およびEka RF4291が挙げられる。一実施形態において、Eka RF4291脱インキ製品を含めることが好ましい。
【0033】
本発明の一態様において、インキ除去系は(iii)石鹸をさらに含むことができる。別の態様において、インキ除去系は(iv)アルカリ試薬をさらに含むことができる。さらに別の態様において、インキ除去系は(iii)石鹸および(iv)アルカリ試薬をさらに含むことができる。
【0034】
石鹸は、脂肪酸石鹸であり得る。脂肪酸石鹸は、獣脂に由来し得、または植物油に由来し得る。
【0035】
本発明の一実施形態において、アルカリ試薬はケイ酸ナトリウムである。
【実施例】
【0036】
以下の実施例は、中性脱インキプロセスにおける脱インキ系の性能を評価するために実施した:
1.70% 古新聞印刷紙(ONP)および30% 古雑誌(OMG)の比を使用するフロテーション試験を、Wall Street JournalおよびLos Angles Timesの混合物を使用して実施した。本実施例は、同様の量のリジェクトおよびハイパーウオッシュ(hyperwash)ERIC値を有する試験の平均を表す。試験条件は、インキの特性が経時的に変化するという想定に基づき選択し、したがって同様のハイパーウオッシュERIC値を有することは、結果が比較可能な経時劣化効果を有する紙についてのものであることを意味する。
2.単にWall Street Journalを使用するフロテーション試験を、異なる新聞がリジェクトの量に影響することを示す予備試験に基づき実施した。
3.単にカナダからのGlobe and Mailを使用するフロテーション試験を実施した。
4.カナダにおいて実施されたミルスケール試験についての結果。
【0037】
実施例1〜15に使用した典型的な装置、紙料および条件は、以下の通りであった:
【表1】
【表2】
【表3】
【0038】
実施例のそれぞれにおいて、試験をランダムな順序で実行して実行順序誤差を防止したが、使用される条件、例えば使用されるセルレベルおよび酵素による試験をグループ化するために順序通りにせずに表中に列記して分析をより容易にした。二重試験を実行し、または特有の化学薬品を使用した、例えば別の構成要素を添加した一部の実施例において、試験番号を表から省略し、このことにより試験が本発明と無関連になり、または比較可能でなくなる。二重試験の場合、表に列記された結果は二重試験についての結果の平均である。
【0039】
パルプリカーのpHに関して、合わせたパルプ化化学薬品および希釈水のpHの計測が、特にミル設定においてリアルタイムで常に可能であり、または容易でない一方、このpHを実験室設定において計測することができる。したがって、以下の実施例において、合わせた化学薬品および希釈水の計測されたpHを「パルプリカーpH」と称し、これはpHのアルカリ試薬添加の影響の変化を把握するのに役立つ。
【0040】
(実施例1)
実施例1(試験1〜16)において使用したパルプ化レシピを表4に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例1について使用したpH操作範囲を表5に以下列記する。
【表4】
【表5】
【0041】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表6に以下示す。
【表6】
【0042】
表6の結果に加え、以下のことが観察された:試験3、5および6は、発泡がより少なく、リジェクトがより少なく生じ;試験7および8(酵素ブレンドあり)は、最良のインキ除去を生じさせ;試験11、12、15および16は、ウエットリジェクトが過多であり;試験13は、良好なインキ除去を示したがリジェクトが過多であった。本実施例については、約350gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。
【0043】
実施例1についての脱インキ試験の結果を図1〜3にグラフとして示す。これらの図面の報告は、リパーゼおよびキシラナーゼを50/50または66/34の比においてブレンドすることにより最良の脱インキ性能が生じ、リジェクトのレベルが妥当であることを示す。亜硫酸ナトリウムを含むレシピを用いて添加されるリパーゼおよびキシラナーゼも、従来の、または亜硫酸塩ベースの中性脱インキよりも良好に機能した。
【0044】
(実施例2)
実施例2(試験1〜16)において使用したパルプ化レシピを表7に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例2についてのpH操作範囲を表7に以下列記する。
【表7】
【表8】
【0045】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表9に以下示す。
【表9】
【0046】
表9の結果に加え、以下のことが観察された:試験5〜8および11〜16は、リジェクトが過多であった。本実施例については、約400gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。
【0047】
実施例2についての脱インキ試験の結果を図3〜6にグラフとして示す。これらの図面の報告は、リパーゼおよびキシラナーゼの95/5または50/50の比のブレンドならびに3750gのセルレベルが、従来の、または亜硫酸塩ベースの中性脱インキよりも良好に機能したことを示す。実験の多くは4200gのレベルにおいて実施し、過多の材料をリジェクトした。亜硫酸ナトリウムを除去するが酵素を保持することにより、リジェクト体積が低減し、インキ剥離が改善された。0.15%および0.03%のリパーゼの適用量によりほぼ同レベルのリジェクトが生じた。
【0048】
(実施例3)
実施例3(試験1〜17)において使用したパルプ化レシピを表10に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例3についてのpH操作範囲を表11に以下列記する。
【表10】
【表11】
【0049】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表12に以下示す。
【表12】
【0050】
表12の結果に加え、以下のことが観察された:試験6および10〜16は、リジェクトが過多であった。本実施例については、約570〜600gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。
【0051】
実施例3についての脱インキ試験の結果を図7〜9にグラフとして示す。これらの図面の報告は、リパーゼおよびキシラナーゼの67/33または50/50の比のブレンドならびに3750gのセルレベルが、従来の、または亜硫酸塩ベースの中性脱インキよりも良好に機能したことを示す。実験の多くは4200gのレベルにおいて実施し、酵素適用量レベルを低減してさえも過多の材料をリジェクトした。0.015%キシラナーゼでリパーゼ適用量を0.0075%に低減させると、ほとんどアクセプトされるリジェクトレベルが4200gのストックのセルレベルにおいて生じた。亜硫酸ナトリウムありで過酸化水素を添加することにより、より高いフロテーションアクセプト白色度が生じたが、より低いハイパーウオッシュ白色度(より小さい漂白)が生じた。亜硫酸ナトリウムなしの過酸化水素により、より低いフロテーションアクセプト白色度およびより高いハイパーウオッシュ白色度が生じた。
【0052】
(実施例4および5)
実施例4および5(試験1〜30)において使用したパルプ化レシピを表13に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ(実施例4)および35グラムのGlobe and Mail混合物(実施例5)、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例4および5についてのpH操作範囲を表14に以下列記する。
【表13】
【表14】
【0053】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表15に以下示す。
【表15】
【0054】
表15の結果に加え、以下のことが観察された:試験5、9、11〜15、17、20〜22、25、29および30は、ウエットリジェクトが過多であった。本実施例については、約850gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。
【0055】
実施例4および5についての脱インキ試験の結果を図10〜15にグラフとして示す。これらの図面の報告は、リパーゼおよびキシラナーゼの66/34または50/50の比の混合物を、別個に添加され、パルパー中でブレンドされた酵素と比較したことを示す。結果は、酵素を混合した場合と同一であり、またはこの場合よりも良好であることが見出された。酵素を非イオン性界面活性剤に添加することは、より良好なインキ剥離を生じさせ、リジェクトレベルが制御される場合には最良の任意選択である。硫酸ナトリウムを除去することにより、ほとんどの場合においてリジェクトの量が低下した。Globe and Mail紙料は、過酸化物を亜硫酸塩化学薬品ありで添加した場合に利益が見られず、亜硫酸ナトリウムありの場合にわずかな利益が見られた。酵素のより高い適用量は脱インキ性能を増加させなかった。
【0056】
(実施例6および7)
実施例6および7(試験1〜17)において使用したパルプ化レシピを表16に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ(実施例6)および35グラムのGlobe and Mail混合物(実施例7)、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例6および7についてのpH操作範囲を表17に以下列記する。
【表16】
【表17】
【0057】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表18に以下示す。
【表18】
【0058】
本実施例については、約700gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表18の結果に加え、以下のことが観察された:試験14はウエットリジェクトが過多であった。
【0059】
実施例6および7についての脱インキ試験の結果を図16〜21にグラフとして示す。予想とおり、ONP含有量を増加させるとリジェクトの量が降下し、白色度が低下した。酵素の混合物を亜硫酸塩ベースの中性脱インキありで添加すると、実施例6のLAT/WSJの組合せについて従来のものよりも1(70%)、0.5(90%)および2(100%)ポイント高いフロテーションアクセプト白色度が生じた。実施例7のGlobe and Mailについては、フロテーションアクセプト白色度は−0.5(70%)、−0.3(90%)および2(100%)ポイントであった。発泡性質は、両実施例について100%ONPを使用する場合に役立った。Globe and Mailのためのインキタイプは、低レベルのリジェクトに起因して100%ONPに達した場合に白色度および被脱インキ能の顕著な降下を示した。酵素混合物の使用により、脱インキ性能を維持しつつミルがより高いONP含有量を使用することができる。
【0060】
(実施例8)
実施例8(試験1〜7)において使用したパルプ化レシピを表19に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例8についてのpH操作範囲を表20に以下列記する。
【表19】
【表20】
【0061】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表21に以下示す。
【表21】
【0062】
本実施例については、約1130gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表21の結果に加え、以下のことが観察された:試験4および6はウエットリジェクトが過多であった。
【0063】
実施例8についての脱インキ試験の結果を図22〜24にグラフとして示す。本実験は、亜硫酸ナトリウム除去ならびにキシラナーゼ/リパーゼの50/50、66/34および75/24の比を0.02%の適用量で調査した。75/25の比に達すると、リジェクトレベルがアクセプトされるレベルに降下した。2種を一緒に混合すると、2種の酵素を別個に添加するよりも約0.5ポイント良好な白色度が生じ、より低いリジェクトレベルが生じた。フロテーションアクセプト白色度は、本実験について従来のものよりも低かったが、2ポイント基準以内であり、約1.2ポイントの差であった。本実験はまた、亜硫酸ナトリウムを除去した場合にウエットリジェクトの量を制御するさらなる調整が必要であることを示した。
【0064】
(実施例9)
実施例9(試験1〜14)において使用したパルプ化レシピを表22に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例8についてのpH操作範囲を表23に以下列記する。
【表22】
【表23】
【0065】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表24に以下示す。
【表24】
【0066】
本実施例については、約920gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表24の結果に加え、以下のことが観察された:試験はウエットリジェクトが過多であることがなかった。
【0067】
実施例9についての脱インキ試験の結果を図25〜26にグラフとして示す。本実験は、腐食剤を添加せず、亜硫酸ナトリウムを添加しない過酸化水素の添加を調査した。試験誤差は、漂白剤除去および腐食剤黄変に起因してより暗色の紙を生成する従来のパルパー化学薬品に添加される過酸化水素をもたらさなかった。亜硫酸ナトリウムおよび酵素の除去は、中性脱インキについてERICハイパーウオッシュ平均226により把握される通りインキ再堆積の大きい増加をもたらした。ケイ酸ナトリウム適用量を0.5%に降下させることは、より良好なインキ除去およびより高い白色度を生じさせたが、より高いリジェクトの量に起因するものであった。ケイ酸ナトリウムは、中性脱インキの間のリジェクト体積を低減させるのに役立っている。
【0068】
(実施例10)
実施例10(試験1〜14)において使用したパルプ化レシピを表25に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:35グラムWSJ、LATまたはGlobe and Mailのそれぞれ、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例10についてのpH操作範囲を表26に以下列記する。
【表25】
【表26】
【0069】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表27に以下示す。
【表27】
【0070】
本実施例については、約380g(LA Times)、590(WSJ)または690(Globe and Mail)を超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表27の結果に加え、以下のことが観察された:試験はウエットリジェクトが過多であることがなかった。
【0071】
実施例10についての脱インキ試験の結果を図27〜29にグラフとして示す。リジェクトレベルは、開発の取り組みにおける問題であった。本実験において、インジェクトされる空気の量を20から15scfmに降下させた。酵素を使用する場合にセルレベルも4200gから4100gに降下させた。本実験は、亜硫酸ナトリウムなしであるが酵素ありの中性脱インキの脱インキ性能を調査し、従来の脱インキおよび亜硫酸塩ベースの中性脱インキと比較する。パルパー化学薬品のこの比較は、Los Angels Times(LAT)、Wall Street Journal(WSJ)およびGlobe and Mail(GLOBE)を使用して行った。酵素ありで亜硫酸ナトリウムなしの中性脱インキについて空気流速の降下および4100gのセルレベルへの降下により、従来の、および亜硫酸ナトリウムベースのパルパー化学薬品と同様のリジェクト損失が生じた。本実験は、キシラナーゼおよびリパーゼの66/34における組合せが、0.2%の適用量において、従来の、または亜硫酸塩中性脱インキと等しい脱インキ性能を生じさせることを示した。最悪の性能は、フロテーション後のGlobe and Mailについてのものであり、従来のものの1ポイント以内であった。
【0072】
(実施例11)
実施例11(試験1〜23)において使用したパルプ化レシピを表28に以下列記する。試験の一部は、本実験に関連せず、含めていない。規定のパルプ化構成要素および条件は:35グラムWSJ、LATまたはGlobe and Mailのそれぞれ、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例11についてのpH操作範囲を表29に以下列記する。
【表28】
【表29】
【0073】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表30に以下示す。
【表30】
【0074】
本実施例については、約380g(LA Times)、590(WSJ)または690(Globe and Mail)を超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表30の結果に加え、以下のことが観察された:試験23はウエットリジェクトが過多であることはほとんどなかった。
【0075】
実施例11についての脱インキ試験の結果を図30〜32にグラフとして示す。再堆積したインキの量も顕著に変動し、表31に示すERICハイパーウオッシュ値に基づき脱インキすることが容易から極めて困難であることを示す。一般に、本実施例は、2ポイント以内の基準を満たさず、ハイパーウオッシュ化パルプのERIC値の増加により把握される通り主として経時劣化効果に基づくONPのより困難な性質に起因した。本実施例は、酵素の混合物を非イオン性界面活性剤とブレンドすることを含み、LA TimesおよびGlobe and Mailのための他の中性脱インキパルパーレシピよりも良好に機能した。ブレンド混合物条件は、Wall Street Journalについては実行しなかった。
【表31】
【0076】
(実施例12)
実施例12において使用したパルプ化レシピを表32に以下列記する。試験の一部は、本実験に関連せず、含めず、または繰り返しは平均化して報告結果とした。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例12についてのpH操作範囲を表33に以下列記する。
【表32】
【表33】
【0077】
本実施例については、約1030g(Eka RF4291)または920(Eka NA120)を超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表34の結果に加え、以下のことが観察された:ウエットリジェクトが過多であった試験はなかった。
【0078】
実施例12についての脱インキ試験の結果を図33〜35にグラフとして示す。本実験において使用した紙は、紙の経時性に起因して従来の脱インキについて約250のハイパーウオッシュERIC値を有することにより示される通り、脱インキすることが極めて困難であった。本実験は、これらの負荷条件下で、66%キシラナーゼおよび33% リパーゼの酵素混合物を亜硫酸ナトリウムなしで添加すると、従来の、および亜硫酸ナトリウムベースの中性脱インキと比較可能な脱インキ性能が生じることを示した。本実験は、さらに脱インキ剤Eka RF4291を中性脱インキに使用することができることも示した。本実験は、一般に、Eka RF4291が、Eka NA120を作製するために使用される現行の配合物よりも良好な脱インキ剤であることも示した。
【表34】
【0079】
(実施例13)
実施例13(試験1〜14)において使用したパルプ化レシピを表35に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例13についてのpH操作範囲を表36に以下列記する。
【表35】
【表36】
【0080】
本実施例については、約1020から1070gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表37の結果に加え、以下のことが観察された:ウエットリジェクトが過多であった試験はなかった。
【0081】
実施例13についての脱インキ試験の結果を図36〜38にグラフとして示す。本実験において使用した紙は、紙の経時性に起因して従来の脱インキについて約240のハイパーウオッシュERIC値を有することにより示される通り、脱インキすることが極めて困難であった。本実験は、これらの負荷条件下で、66%キシラナーゼおよび33% リパーゼの酵素混合物を亜硫酸ナトリウムなしで添加すると、従来の、および亜硫酸ナトリウムベースの中性脱インキと比較可能な脱インキ性能が生じることを示した。本実験は、0.15%超の腐食剤を添加すると、繊維の黄変を伴う酵素性能の損失により、従来のものよりも1ポイント低い白色度が生じ、0.3%超の腐食剤を添加すると2ポイントだけ低い白色度が生じることも示した。pHに関して、パルプ化リカーにおける10超の値は、酵素性能の範囲またはパルプ化後の9のpHを超える。
【表37】
【0082】
(実施例14)
実施例14(試験1〜14)において使用したパルプ化レシピを表38に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例14についてのpH操作範囲を表39に以下列記する。本実験は、20%のパルプ化濃度を使用した。
【表38】
【表39】
【0083】
本実施例については、約790gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表40の結果に加え、以下のことが観察された:ウエットリジェクトが過多であった試験はなかった。
【0084】
実施例14についての脱インキ試験の結果を図39〜41にグラフとして示す。キシラナーゼおよびリパーゼとトート(tote)における製造グレード製品を使用し、または実験室試料からの非イオン性界面活性剤とのブレンドは、フロテーション後により低い量の残留インキを有し、約0.5ポイント白色度が高かった。ハイパーウオッシュ化後の付着/再堆積インキの量は、従来のものについて150であり、中性脱インキについて196であり、このことは古新聞印刷紙を脱インキすることが困難であることを示す。中性についてのリジェクトレベルは等しく、またはわずかに低く、このことは、固体損失の増加がより良好な脱インキ性能の原因でないことを示す。
【表40】
【0085】
(実施例15)
実施例15(試験1〜14)において使用したパルプ化レシピを表41に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:50.0グラムフレキソ印刷インキおよびコート紙を使用した古新聞の混合物、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例15についてのpH操作範囲を表42に以下列記する。本実験は、20%のパルプ化濃度を使用した。
【表41】
【表42】
【表43】
【0086】
インキ断片化試験条件は従来の脱インキの範囲内であったが、過酸化水素を含む中性脱インキ試験は除外する。フロテーション後のERIC値については、中性脱インキ条件の全てが従来の脱インキと対等であり、またはより良く機能した。セルラーゼを除き、他の脱インキ条件の全てにより同等からより良好なインキ剥離が生じた。
【0087】
中性脱インキ条件の全ては、フロテーション後に従来の脱インキの2ポイント以内であった。キシラナーゼ、キシラナーゼ/リパーゼおよび過酸化物を含む試験は、白色度が亜硫酸塩ベースの中性脱インキよりも高かった。
【0088】
フロテーション後のハイパーウオッシュ白色度は、従来の脱インキの2ポイント以内であったが、亜硫酸ナトリウムおよびリパーゼ単独、セルラーゼ単独、またはアミラーゼ単独を含む試験は除外する。
【0089】
リパーゼおよび過酸化水素を含む試験は、リジェクト材料が最大レベルである傾向があった。しかしながら、過酸化水素試験は、より低い空気インジェクション流量において実施しなかった。
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、印刷紙を脱インキおよび脱色する方法に関する。さらに特定すると、本発明の分野は、紙パルプを含有する新聞印刷紙からインキを除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙産業は、製紙に使用可能なセルロース繊維を再生するために古紙の再循環を数十年間実施してきた。これらのプロセスにおいて、インキは、好適な脱インキ組成物を使用して古紙パルプから除去される。脱インキプロセスにより、脱インキしなければ埋立地行きとなり得る材料から新たな紙または板紙製品が生成される。
【0003】
公的需要の増加のため、再循環紙の使用が安定して増加している。製紙に使用された繊維を古紙から回収するため、一般に古紙脱インキ操作を実施して印刷に使用されたインキを除去し、こうして再使用に好適な特性を作出しなければならない。古紙、例えば古新聞(ONP)および廃雑誌(WM)の量の増加は、最終消費者の再循環における参加の増加につれて利用可能となってきている。
【0004】
従来の紙再利用の過程において、脱インキ手順は、古紙をパルプに変換させる工程および該パルプを、化学脱インキ剤を含有するアルカリ水性脱インキ媒体と接触させる工程を含む。機械的作用および水性媒体のアルカリ度により、パルプ繊維からのインキの部分的除去が引き起こされる。脱インキ剤はこの除去を仕上げ、インキ粒子の水性懸濁液および/または分散液を生成する。続いて、得られた混合物を、懸濁/分散インキをパルプから分離するように処理する。この分離は、当分野において公知のフロテーションおよび/または洗浄技術によるものであり得る。
【0005】
従来の脱インキ化学薬品は、化学薬品、例えば水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、キレート剤、過酸化水素、界面活性剤、分散剤、回収用化学薬品および凝集用化学薬品の複合混合物を含む。一般に、脱インキにおいて、顕著な量のアルカリ材料を含めることが標準的である。それというのも、アルカリ材料は、インキ樹脂の十分な鹸化および加水分解に必要とされると考えられるからである。さらに、腐食剤による繊維膨潤が挙げられ、これは繊維表面からのインキ粒子の剥離に部分的に関与する。典型的には、このような脱インキプロセスの間のpHは、約9.5から約11である。このアルカリ性の程度にセルロースおよびリグノセルロース繊維を曝露することは、繊維の黄変を引き起こす傾向があり、したがって、一般に、酸化または還元漂白剤、例えば過酸化物またはハイドロサルファイトナトリウムを添加することが必要である。還元漂白工程は、一般に、脱インキプロセスの終了時に用いられる一方、過酸化水素は、パルパーにおいて添加される。一部の脱インキ操作においては、過酸化水素はプロセス後期に添加される。
【0006】
さらに、アルカリ法は、パルプ繊維に対する不可逆的変化を引き起こし、したがって、単に化学薬品を使用するコストに加えて施設に対するコストを表す。腐食剤の使用も、製紙添加剤およびコーティングを可溶化し、抄紙機における堆積に起因する追加の実行性の問題をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、安全であり、経済的かつ環境的に望ましい、これらの欠点を回避する脱インキプロセスが必要とされている。
【0008】
本発明者らにより、パルプを含有する古紙を本発明によるインキ除去系により処理することにより、このような脱インキプロセスに対する上記要求が満たされることが見出された。
【0009】
本発明は、印刷紙からインキを除去する方法を対象とする。一実施形態において、本発明は、パルプを含有する古新聞印刷紙(ONP)からのインキの除去および中性脱インキプロセスにおける脱インキされたパルプの白色度の維持または増加に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様において、本発明は、印刷紙からインキを除去する方法であって、(a)少なくとも25重量%が古新聞印刷紙である印刷紙を少なくとも約3%の濃度においてパルプ化してパルプスラリーを得ること;(b)前記パルプスラリーを、前記パルプスラリーからインキを遊離させるのに有効な量のインキ除去系((i)リパーゼと、アミラーゼ、キシラナーゼまたはセルラーゼから選択される少なくとも1種の第2の酵素との組合せ、ならびに(ii)非イオン性界面活性剤を含む)(前記リパーゼは、前記パルプスラリーの乾燥含有量に対して少なくとも約0.001重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の第2の酵素:リパーゼの比は、少なくとも約1.2:1である)により処理すること;ならびに(c)遊離したインキを脱インキ工程(例えば、脱インキフロテーション段階)において前記パルプスラリーから分離して脱インキされたパルプスラリーを提供することを含み、前記処理工程を前記脱インキ工程前に実施する方法を対象とする。
【0011】
本発明の一実施形態において、酵素の組合せは、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せである。キシラナーゼ:リパーゼの比は、少なくとも約1.5:1であり得る。本発明の
実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比は、約1.5:1から約5:1;約1.5:1から約4:1;約1.5:1から約3:1;約1.5:1から約2.5:1;約2:1から約4:1;または約2:1から約3:1の範囲内の比から選択することができる。追加の実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比は、約2:1、2.5:1または3:1から選択することができる。
【0012】
本発明の実施形態において、非イオン性界面活性剤は、脂肪酸アルコキシレート、脂肪族アルコールアルコキシレートまたはこれらの混合物から選択することができる。非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択することができる。
【0013】
本発明の実施形態において、インキ除去系中に存在する(i):(ii)の比は、約1:1から約1:10;約1:1から約1:5;または約1:2から約1:4の範囲内の比から選択することができる。
【0014】
本発明の別の態様において、上記インキ除去系は、(iii)石鹸をさらに含むことができる。別の態様において、インキ除去系は、(iv)アルカリ試薬をさらに含むことができる。さらに別の態様において、インキ除去系は、(iii)石鹸および(iv)アルカリ試薬をさらに含むことができる。
【0015】
一実施形態において、濃度は、約3から約30%の範囲内であり得る。追加の実施形態において、濃度は、約10%から約17%、または約18から約23%の範囲内の値から選択することができる。
【0016】
本発明の実施形態において、印刷紙は、少なくとも約40重量% ONPを含む。別の実施形態において、印刷紙は、少なくとも約50重量% ONPを含む。他の実施形態において、印刷紙は、約40から約95重量%、約45から約90重量%、または約50から約80重量%の範囲内から選択される量のONPを含む。本発明のさらに別の態様において、印刷紙は、古雑誌印刷紙(OMG)をさらに含む。
【0017】
一実施形態において、インキ除去系が(iii)石鹸および(iv)アルカリ試薬を含む場合、酵素の組合せ(i)は、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せであり得る。このような実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比は上記の通りであり得る。
【0018】
本発明の一実施形態において、石鹸は脂肪酸石鹸であり得る。別の実施形態において、脂肪酸石鹸は、獣脂に由来し得る。さらに別の実施形態において、脂肪酸石鹸は植物油に由来し得る。
【0019】
本発明の一実施形態において、アルカリ試薬はケイ酸ナトリウムである。一実施形態において、酵素の組合せ(i)は、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せであり;非イオン性界面活性剤(ii)は、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択され;石鹸(iii)は獣脂脂肪酸石鹸であり;アルカリ試薬(iv)はケイ酸ナトリウムである。このような実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比および(i):(ii)の比は上記の通りであり得る。
【0020】
本発明の一態様において、構成要素(i)および(ii)を予備混合して酵素組成物(v)を形成し、次いで(v)をインキ除去系の構成要素としてパルプスラリーに添加する。一実施形態において、酵素組成物(v)を約0.04から約0.5重量%の範囲内の量でパルプスラリーに添加し、石鹸(iii)を約0.1から約1重量%の範囲内の量でパルプスラリーに添加し、アルカリ試薬(iv)を約0.5から約2重量%の範囲内の量でパルプスラリーに添加する(全てスラリーの固体含有量に対するものである)。
【0021】
本発明の一実施形態において、スラリーのpHは、約6から約11の範囲内で維持する。好ましい範囲は6.7から9.5であり、より好ましい範囲は7から9であり、最も好ましい範囲は7.5から8.8である。
【0022】
本発明の一実施形態において、スラリーは実質的に亜硫酸ナトリウムを含まない。別の実施形態において、スラリーは実質的に水酸化ナトリウムを含まず、または水酸化ナトリウムをスラリーに添加する場合、水酸化ナトリウムをスラリーの重量に対して約0.15重量%未満の量で添加する。さらに別の実施形態において、スラリーは実質的に過酸化水素を含まない。さらに別の実施形態において、(規定の材料を含まない)これらの要件の2つまたは全てが満たされる。
【0023】
追加の目的、利点および新規特徴は、以下の詳細な説明の試験により当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図2】実施例1の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図3】実施例1の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図4】実施例2の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図5】実施例2の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図6】実施例2の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図7】実施例3の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図8】実施例3の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図9】実施例3の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図10】実施例4の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図11】実施例4の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図12】実施例4の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図13】実施例5の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図14】実施例5の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図15】実施例5の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図16】実施例6の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図17】実施例6の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図18】実施例6の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図19】実施例7の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図20】実施例7の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図21】実施例7の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図22】実施例8の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図23】実施例8の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図24】実施例8の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図25】実施例9の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図26】実施例9の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図27】実施例10の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図28】実施例10の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図29】実施例10の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図30】実施例11の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図31】実施例11の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図32】実施例11の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する紙資源、酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図33】実施例12の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図34】実施例12の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図35】実施例12の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図36】実施例13の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図37】実施例13の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図38】実施例13の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図39】実施例14の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図40】実施例14の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図41】実施例14の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素および亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図42】実施例15の脱インキ系についての白色度(パルパー)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図43】実施例15の脱インキ系についての白色度(フロテーションおよびハイパーウオッシュ)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【図44】実施例15の脱インキ系についての白色度差(従来のものとの対比)に対する酵素、水酸化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、印刷紙からインキを除去する方法を対象とする。一実施形態において、本発明は、パルプを含有する古新聞印刷紙(ONP)からのインキの除去および中性脱インキプロセスにおける脱インキされたパルプの白色度の維持または増加に関する。
【0026】
一態様において、本発明は、前記パルプスラリーからインキを遊離させるのに有効な量のインキ除去系であって、(i)リパーゼおよびアミラーゼ、キシラナーゼまたはセルラーゼから選択される少なくとも1種の第2の酵素の組合せ、ならびに(ii)非イオン性界面活性剤を含み、前記リパーゼが、前記パルプスラリーの乾燥含有量に対して少なくとも約0.001重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の第2の酵素:リパーゼの比が、少なくとも約1.2:1であるインキ除去系を対象とする。
【0027】
本発明の一実施形態において、酵素の組合せは、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せである。キシラナーゼ:リパーゼの比は、少なくとも約1.5:1であり得る。本発明の実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比は、約1.5:1から約5:1;約1.5:1から約4:1;約1.5:1から約3:1;約1.5:1から約2.5:1;約2:1から約4:1;または約2:1から約3:1の範囲内の比から選択することができる。追加の実施形態において、キシラナーゼ:リパーゼの比は、約2:1、2.5:1または3:1から選択することができる。
【0028】
インキを除去する方法の実施形態において、パルプスラリーに添加されるインキ除去系中の酵素の全量は、乾燥パルプ1トン(2000lbs)当たり0.5lbs(0.23kg)、または0.45lbs(0.2kg)、または0.4lbs(0.18kg)、または0.3lbs(0.14kg)未満である。
【0029】
インキを除去する方法の実施形態において、インキ除去系の構成要素は、後続の脱インキフロテーション段階において少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%のインキ除去効率を達成する量で存在する。インキ除去効率は、印刷紙パルプをインキ除去系により処理し、脱インキ工程に供して脱インキされたパルプを提供する前に印刷紙パルプ中に含有されるインキの元の量に対する除去されたインキの割合を意味する。例えば、50%のインキ除去効率は、脱インキされたパルプが出発印刷紙パルプよりも50%だけ少ないインキを有することを意味する。本発明の実施形態において、脱インキ工程(例えば、脱インキフロテーション段階)後のパルプスラリーは、印刷インキ系中に典型的に含有されるタイプの印刷インキ樹脂または油を含む、大幅に低減された量のインキを有する。
【0030】
本発明の実施形態において、脱インキされたパルプは、0.2重量%未満の印刷インキ中に見出される植物油および鉱油を含有し、または植物油および鉱油を実質的に含まない。インキを除去する方法の実施形態において、植物または鉱油はパルプスラリーに添加しない。
【0031】
非イオン性界面活性剤の例としては、高級脂肪族アルコールアルコキシレート、脂肪酸アルコキシレート、高級芳香族アルコールアルコキシレート、アルカノールアミンの脂肪酸アミド、脂肪酸アミドアルコキシレート、プロピレングリコールアルコキシレート、エチレンおよびプロピレンオキシドのブロックもしくはランダムコポリマー、または高級アルコールポリエチレンポリプロピレンブロックもしくはランダムアダクトが挙げられる。
【0032】
本発明の実施形態において、非イオン性界面活性剤は、脂肪酸アルコキシレート、脂肪族アルコールアルコキシレートまたはこれらの混合物から選択することができる。非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択することができる。本発明の実施形態において、非イオン性界面活性剤は、低発泡脱インキ系を提供するように選択または系に組み込まれる。非イオン性界面活性剤自体、または界面活性剤を含有する組成物は、低発泡性であり得る。本発明において有用な市販の界面活性剤製品の例としては、Eka Chemicalsから入手可能なEka RF4000および4200シリーズ脱インキ製品、特にEka RF4031およびEka RF4291が挙げられる。一実施形態において、Eka RF4291脱インキ製品を含めることが好ましい。
【0033】
本発明の一態様において、インキ除去系は(iii)石鹸をさらに含むことができる。別の態様において、インキ除去系は(iv)アルカリ試薬をさらに含むことができる。さらに別の態様において、インキ除去系は(iii)石鹸および(iv)アルカリ試薬をさらに含むことができる。
【0034】
石鹸は、脂肪酸石鹸であり得る。脂肪酸石鹸は、獣脂に由来し得、または植物油に由来し得る。
【0035】
本発明の一実施形態において、アルカリ試薬はケイ酸ナトリウムである。
【実施例】
【0036】
以下の実施例は、中性脱インキプロセスにおける脱インキ系の性能を評価するために実施した:
1.70% 古新聞印刷紙(ONP)および30% 古雑誌(OMG)の比を使用するフロテーション試験を、Wall Street JournalおよびLos Angles Timesの混合物を使用して実施した。本実施例は、同様の量のリジェクトおよびハイパーウオッシュ(hyperwash)ERIC値を有する試験の平均を表す。試験条件は、インキの特性が経時的に変化するという想定に基づき選択し、したがって同様のハイパーウオッシュERIC値を有することは、結果が比較可能な経時劣化効果を有する紙についてのものであることを意味する。
2.単にWall Street Journalを使用するフロテーション試験を、異なる新聞がリジェクトの量に影響することを示す予備試験に基づき実施した。
3.単にカナダからのGlobe and Mailを使用するフロテーション試験を実施した。
4.カナダにおいて実施されたミルスケール試験についての結果。
【0037】
実施例1〜15に使用した典型的な装置、紙料および条件は、以下の通りであった:
【表1】
【表2】
【表3】
【0038】
実施例のそれぞれにおいて、試験をランダムな順序で実行して実行順序誤差を防止したが、使用される条件、例えば使用されるセルレベルおよび酵素による試験をグループ化するために順序通りにせずに表中に列記して分析をより容易にした。二重試験を実行し、または特有の化学薬品を使用した、例えば別の構成要素を添加した一部の実施例において、試験番号を表から省略し、このことにより試験が本発明と無関連になり、または比較可能でなくなる。二重試験の場合、表に列記された結果は二重試験についての結果の平均である。
【0039】
パルプリカーのpHに関して、合わせたパルプ化化学薬品および希釈水のpHの計測が、特にミル設定においてリアルタイムで常に可能であり、または容易でない一方、このpHを実験室設定において計測することができる。したがって、以下の実施例において、合わせた化学薬品および希釈水の計測されたpHを「パルプリカーpH」と称し、これはpHのアルカリ試薬添加の影響の変化を把握するのに役立つ。
【0040】
(実施例1)
実施例1(試験1〜16)において使用したパルプ化レシピを表4に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例1について使用したpH操作範囲を表5に以下列記する。
【表4】
【表5】
【0041】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表6に以下示す。
【表6】
【0042】
表6の結果に加え、以下のことが観察された:試験3、5および6は、発泡がより少なく、リジェクトがより少なく生じ;試験7および8(酵素ブレンドあり)は、最良のインキ除去を生じさせ;試験11、12、15および16は、ウエットリジェクトが過多であり;試験13は、良好なインキ除去を示したがリジェクトが過多であった。本実施例については、約350gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。
【0043】
実施例1についての脱インキ試験の結果を図1〜3にグラフとして示す。これらの図面の報告は、リパーゼおよびキシラナーゼを50/50または66/34の比においてブレンドすることにより最良の脱インキ性能が生じ、リジェクトのレベルが妥当であることを示す。亜硫酸ナトリウムを含むレシピを用いて添加されるリパーゼおよびキシラナーゼも、従来の、または亜硫酸塩ベースの中性脱インキよりも良好に機能した。
【0044】
(実施例2)
実施例2(試験1〜16)において使用したパルプ化レシピを表7に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例2についてのpH操作範囲を表7に以下列記する。
【表7】
【表8】
【0045】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表9に以下示す。
【表9】
【0046】
表9の結果に加え、以下のことが観察された:試験5〜8および11〜16は、リジェクトが過多であった。本実施例については、約400gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。
【0047】
実施例2についての脱インキ試験の結果を図3〜6にグラフとして示す。これらの図面の報告は、リパーゼおよびキシラナーゼの95/5または50/50の比のブレンドならびに3750gのセルレベルが、従来の、または亜硫酸塩ベースの中性脱インキよりも良好に機能したことを示す。実験の多くは4200gのレベルにおいて実施し、過多の材料をリジェクトした。亜硫酸ナトリウムを除去するが酵素を保持することにより、リジェクト体積が低減し、インキ剥離が改善された。0.15%および0.03%のリパーゼの適用量によりほぼ同レベルのリジェクトが生じた。
【0048】
(実施例3)
実施例3(試験1〜17)において使用したパルプ化レシピを表10に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例3についてのpH操作範囲を表11に以下列記する。
【表10】
【表11】
【0049】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表12に以下示す。
【表12】
【0050】
表12の結果に加え、以下のことが観察された:試験6および10〜16は、リジェクトが過多であった。本実施例については、約570〜600gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。
【0051】
実施例3についての脱インキ試験の結果を図7〜9にグラフとして示す。これらの図面の報告は、リパーゼおよびキシラナーゼの67/33または50/50の比のブレンドならびに3750gのセルレベルが、従来の、または亜硫酸塩ベースの中性脱インキよりも良好に機能したことを示す。実験の多くは4200gのレベルにおいて実施し、酵素適用量レベルを低減してさえも過多の材料をリジェクトした。0.015%キシラナーゼでリパーゼ適用量を0.0075%に低減させると、ほとんどアクセプトされるリジェクトレベルが4200gのストックのセルレベルにおいて生じた。亜硫酸ナトリウムありで過酸化水素を添加することにより、より高いフロテーションアクセプト白色度が生じたが、より低いハイパーウオッシュ白色度(より小さい漂白)が生じた。亜硫酸ナトリウムなしの過酸化水素により、より低いフロテーションアクセプト白色度およびより高いハイパーウオッシュ白色度が生じた。
【0052】
(実施例4および5)
実施例4および5(試験1〜30)において使用したパルプ化レシピを表13に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ(実施例4)および35グラムのGlobe and Mail混合物(実施例5)、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例4および5についてのpH操作範囲を表14に以下列記する。
【表13】
【表14】
【0053】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表15に以下示す。
【表15】
【0054】
表15の結果に加え、以下のことが観察された:試験5、9、11〜15、17、20〜22、25、29および30は、ウエットリジェクトが過多であった。本実施例については、約850gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。
【0055】
実施例4および5についての脱インキ試験の結果を図10〜15にグラフとして示す。これらの図面の報告は、リパーゼおよびキシラナーゼの66/34または50/50の比の混合物を、別個に添加され、パルパー中でブレンドされた酵素と比較したことを示す。結果は、酵素を混合した場合と同一であり、またはこの場合よりも良好であることが見出された。酵素を非イオン性界面活性剤に添加することは、より良好なインキ剥離を生じさせ、リジェクトレベルが制御される場合には最良の任意選択である。硫酸ナトリウムを除去することにより、ほとんどの場合においてリジェクトの量が低下した。Globe and Mail紙料は、過酸化物を亜硫酸塩化学薬品ありで添加した場合に利益が見られず、亜硫酸ナトリウムありの場合にわずかな利益が見られた。酵素のより高い適用量は脱インキ性能を増加させなかった。
【0056】
(実施例6および7)
実施例6および7(試験1〜17)において使用したパルプ化レシピを表16に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ(実施例6)および35グラムのGlobe and Mail混合物(実施例7)、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例6および7についてのpH操作範囲を表17に以下列記する。
【表16】
【表17】
【0057】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表18に以下示す。
【表18】
【0058】
本実施例については、約700gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表18の結果に加え、以下のことが観察された:試験14はウエットリジェクトが過多であった。
【0059】
実施例6および7についての脱インキ試験の結果を図16〜21にグラフとして示す。予想とおり、ONP含有量を増加させるとリジェクトの量が降下し、白色度が低下した。酵素の混合物を亜硫酸塩ベースの中性脱インキありで添加すると、実施例6のLAT/WSJの組合せについて従来のものよりも1(70%)、0.5(90%)および2(100%)ポイント高いフロテーションアクセプト白色度が生じた。実施例7のGlobe and Mailについては、フロテーションアクセプト白色度は−0.5(70%)、−0.3(90%)および2(100%)ポイントであった。発泡性質は、両実施例について100%ONPを使用する場合に役立った。Globe and Mailのためのインキタイプは、低レベルのリジェクトに起因して100%ONPに達した場合に白色度および被脱インキ能の顕著な降下を示した。酵素混合物の使用により、脱インキ性能を維持しつつミルがより高いONP含有量を使用することができる。
【0060】
(実施例8)
実施例8(試験1〜7)において使用したパルプ化レシピを表19に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例8についてのpH操作範囲を表20に以下列記する。
【表19】
【表20】
【0061】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表21に以下示す。
【表21】
【0062】
本実施例については、約1130gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表21の結果に加え、以下のことが観察された:試験4および6はウエットリジェクトが過多であった。
【0063】
実施例8についての脱インキ試験の結果を図22〜24にグラフとして示す。本実験は、亜硫酸ナトリウム除去ならびにキシラナーゼ/リパーゼの50/50、66/34および75/24の比を0.02%の適用量で調査した。75/25の比に達すると、リジェクトレベルがアクセプトされるレベルに降下した。2種を一緒に混合すると、2種の酵素を別個に添加するよりも約0.5ポイント良好な白色度が生じ、より低いリジェクトレベルが生じた。フロテーションアクセプト白色度は、本実験について従来のものよりも低かったが、2ポイント基準以内であり、約1.2ポイントの差であった。本実験はまた、亜硫酸ナトリウムを除去した場合にウエットリジェクトの量を制御するさらなる調整が必要であることを示した。
【0064】
(実施例9)
実施例9(試験1〜14)において使用したパルプ化レシピを表22に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、8分間のフロテーション時間、ならびに20SCHFの空気流量であった。実施例8についてのpH操作範囲を表23に以下列記する。
【表22】
【表23】
【0065】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表24に以下示す。
【表24】
【0066】
本実施例については、約920gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表24の結果に加え、以下のことが観察された:試験はウエットリジェクトが過多であることがなかった。
【0067】
実施例9についての脱インキ試験の結果を図25〜26にグラフとして示す。本実験は、腐食剤を添加せず、亜硫酸ナトリウムを添加しない過酸化水素の添加を調査した。試験誤差は、漂白剤除去および腐食剤黄変に起因してより暗色の紙を生成する従来のパルパー化学薬品に添加される過酸化水素をもたらさなかった。亜硫酸ナトリウムおよび酵素の除去は、中性脱インキについてERICハイパーウオッシュ平均226により把握される通りインキ再堆積の大きい増加をもたらした。ケイ酸ナトリウム適用量を0.5%に降下させることは、より良好なインキ除去およびより高い白色度を生じさせたが、より高いリジェクトの量に起因するものであった。ケイ酸ナトリウムは、中性脱インキの間のリジェクト体積を低減させるのに役立っている。
【0068】
(実施例10)
実施例10(試験1〜14)において使用したパルプ化レシピを表25に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:35グラムWSJ、LATまたはGlobe and Mailのそれぞれ、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例10についてのpH操作範囲を表26に以下列記する。
【表25】
【表26】
【0069】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表27に以下示す。
【表27】
【0070】
本実施例については、約380g(LA Times)、590(WSJ)または690(Globe and Mail)を超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表27の結果に加え、以下のことが観察された:試験はウエットリジェクトが過多であることがなかった。
【0071】
実施例10についての脱インキ試験の結果を図27〜29にグラフとして示す。リジェクトレベルは、開発の取り組みにおける問題であった。本実験において、インジェクトされる空気の量を20から15scfmに降下させた。酵素を使用する場合にセルレベルも4200gから4100gに降下させた。本実験は、亜硫酸ナトリウムなしであるが酵素ありの中性脱インキの脱インキ性能を調査し、従来の脱インキおよび亜硫酸塩ベースの中性脱インキと比較する。パルパー化学薬品のこの比較は、Los Angels Times(LAT)、Wall Street Journal(WSJ)およびGlobe and Mail(GLOBE)を使用して行った。酵素ありで亜硫酸ナトリウムなしの中性脱インキについて空気流速の降下および4100gのセルレベルへの降下により、従来の、および亜硫酸ナトリウムベースのパルパー化学薬品と同様のリジェクト損失が生じた。本実験は、キシラナーゼおよびリパーゼの66/34における組合せが、0.2%の適用量において、従来の、または亜硫酸塩中性脱インキと等しい脱インキ性能を生じさせることを示した。最悪の性能は、フロテーション後のGlobe and Mailについてのものであり、従来のものの1ポイント以内であった。
【0072】
(実施例11)
実施例11(試験1〜23)において使用したパルプ化レシピを表28に以下列記する。試験の一部は、本実験に関連せず、含めていない。規定のパルプ化構成要素および条件は:35グラムWSJ、LATまたはGlobe and Mailのそれぞれ、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例11についてのpH操作範囲を表29に以下列記する。
【表28】
【表29】
【0073】
種々の試験レシピの脱インキ性能を評価し、結果を表30に以下示す。
【表30】
【0074】
本実施例については、約380g(LA Times)、590(WSJ)または690(Globe and Mail)を超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表30の結果に加え、以下のことが観察された:試験23はウエットリジェクトが過多であることはほとんどなかった。
【0075】
実施例11についての脱インキ試験の結果を図30〜32にグラフとして示す。再堆積したインキの量も顕著に変動し、表31に示すERICハイパーウオッシュ値に基づき脱インキすることが容易から極めて困難であることを示す。一般に、本実施例は、2ポイント以内の基準を満たさず、ハイパーウオッシュ化パルプのERIC値の増加により把握される通り主として経時劣化効果に基づくONPのより困難な性質に起因した。本実施例は、酵素の混合物を非イオン性界面活性剤とブレンドすることを含み、LA TimesおよびGlobe and Mailのための他の中性脱インキパルパーレシピよりも良好に機能した。ブレンド混合物条件は、Wall Street Journalについては実行しなかった。
【表31】
【0076】
(実施例12)
実施例12において使用したパルプ化レシピを表32に以下列記する。試験の一部は、本実験に関連せず、含めず、または繰り返しは平均化して報告結果とした。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例12についてのpH操作範囲を表33に以下列記する。
【表32】
【表33】
【0077】
本実施例については、約1030g(Eka RF4291)または920(Eka NA120)を超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表34の結果に加え、以下のことが観察された:ウエットリジェクトが過多であった試験はなかった。
【0078】
実施例12についての脱インキ試験の結果を図33〜35にグラフとして示す。本実験において使用した紙は、紙の経時性に起因して従来の脱インキについて約250のハイパーウオッシュERIC値を有することにより示される通り、脱インキすることが極めて困難であった。本実験は、これらの負荷条件下で、66%キシラナーゼおよび33% リパーゼの酵素混合物を亜硫酸ナトリウムなしで添加すると、従来の、および亜硫酸ナトリウムベースの中性脱インキと比較可能な脱インキ性能が生じることを示した。本実験は、さらに脱インキ剤Eka RF4291を中性脱インキに使用することができることも示した。本実験は、一般に、Eka RF4291が、Eka NA120を作製するために使用される現行の配合物よりも良好な脱インキ剤であることも示した。
【表34】
【0079】
(実施例13)
実施例13(試験1〜14)において使用したパルプ化レシピを表35に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例13についてのpH操作範囲を表36に以下列記する。
【表35】
【表36】
【0080】
本実施例については、約1020から1070gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表37の結果に加え、以下のことが観察された:ウエットリジェクトが過多であった試験はなかった。
【0081】
実施例13についての脱インキ試験の結果を図36〜38にグラフとして示す。本実験において使用した紙は、紙の経時性に起因して従来の脱インキについて約240のハイパーウオッシュERIC値を有することにより示される通り、脱インキすることが極めて困難であった。本実験は、これらの負荷条件下で、66%キシラナーゼおよび33% リパーゼの酵素混合物を亜硫酸ナトリウムなしで添加すると、従来の、および亜硫酸ナトリウムベースの中性脱インキと比較可能な脱インキ性能が生じることを示した。本実験は、0.15%超の腐食剤を添加すると、繊維の黄変を伴う酵素性能の損失により、従来のものよりも1ポイント低い白色度が生じ、0.3%超の腐食剤を添加すると2ポイントだけ低い白色度が生じることも示した。pHに関して、パルプ化リカーにおける10超の値は、酵素性能の範囲またはパルプ化後の9のpHを超える。
【表37】
【0082】
(実施例14)
実施例14(試験1〜14)において使用したパルプ化レシピを表38に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:17.5グラムWSJおよびLATのそれぞれ、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例14についてのpH操作範囲を表39に以下列記する。本実験は、20%のパルプ化濃度を使用した。
【表38】
【表39】
【0083】
本実施例については、約790gを超えるリジェクト量を過度の収量損失とみなした。表40の結果に加え、以下のことが観察された:ウエットリジェクトが過多であった試験はなかった。
【0084】
実施例14についての脱インキ試験の結果を図39〜41にグラフとして示す。キシラナーゼおよびリパーゼとトート(tote)における製造グレード製品を使用し、または実験室試料からの非イオン性界面活性剤とのブレンドは、フロテーション後により低い量の残留インキを有し、約0.5ポイント白色度が高かった。ハイパーウオッシュ化後の付着/再堆積インキの量は、従来のものについて150であり、中性脱インキについて196であり、このことは古新聞印刷紙を脱インキすることが困難であることを示す。中性についてのリジェクトレベルは等しく、またはわずかに低く、このことは、固体損失の増加がより良好な脱インキ性能の原因でないことを示す。
【表40】
【0085】
(実施例15)
実施例15(試験1〜14)において使用したパルプ化レシピを表41に以下列記する。規定のパルプ化構成要素および条件は:50.0グラムフレキソ印刷インキおよびコート紙を使用した古新聞の混合物、5分間のフロテーション時間、ならびに15SCHFの空気流量であった。実施例15についてのpH操作範囲を表42に以下列記する。本実験は、20%のパルプ化濃度を使用した。
【表41】
【表42】
【表43】
【0086】
インキ断片化試験条件は従来の脱インキの範囲内であったが、過酸化水素を含む中性脱インキ試験は除外する。フロテーション後のERIC値については、中性脱インキ条件の全てが従来の脱インキと対等であり、またはより良く機能した。セルラーゼを除き、他の脱インキ条件の全てにより同等からより良好なインキ剥離が生じた。
【0087】
中性脱インキ条件の全ては、フロテーション後に従来の脱インキの2ポイント以内であった。キシラナーゼ、キシラナーゼ/リパーゼおよび過酸化物を含む試験は、白色度が亜硫酸塩ベースの中性脱インキよりも高かった。
【0088】
フロテーション後のハイパーウオッシュ白色度は、従来の脱インキの2ポイント以内であったが、亜硫酸ナトリウムおよびリパーゼ単独、セルラーゼ単独、またはアミラーゼ単独を含む試験は除外する。
【0089】
リパーゼおよび過酸化水素を含む試験は、リジェクト材料が最大レベルである傾向があった。しかしながら、過酸化水素試験は、より低い空気インジェクション流量において実施しなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷紙からインキを除去する方法であって、
(a)少なくとも25重量%が古新聞印刷紙である印刷紙を少なくとも約3%の濃度においてパルプ化してパルプスラリーを得ること;
(b)前記パルプスラリーを、前記パルプスラリーからインキを遊離させるのに有効な量のインキ除去系((i)リパーゼと、アミラーゼ、キシラナーゼまたはセルラーゼから選択される少なくとも1種の第2の酵素との組合せ、ならびに(ii)非イオン性界面活性剤を含む)(前記リパーゼは、前記パルプスラリーの乾燥含有量に対して少なくとも約0.001重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の第2の酵素:リパーゼの比は、少なくとも約1.2:1である)により処理すること;ならびに
(c)遊離したインキを脱インキ工程において前記パルプスラリーから分離して脱インキされたパルプスラリーを提供することを含み、前記処理工程を前記脱インキ工程前に実施する方法。
【請求項2】
前記酵素の組合せが、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、少なくとも約1.5:1である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約1.5:1から約5:1の範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約1.5:1から約2.5:1の範囲内である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約2:1である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記非イオン性界面活性剤が、脂肪酸アルコキシレート、脂肪族アルコールアルコキシレートまたはこれらの混合物から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記非イオン性界面活性剤が、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(i):(ii)の比が、約1:1から約1:10の範囲内である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(i):(ii)の比が、約1:1から約1:5の範囲内である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(i):(ii)の比が、約1:2から約1:4の範囲内である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記インキ除去系が、(iii)石鹸をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記インキ除去系が、(iv)アルカリ試薬をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記インキ除去系が、(iii)石鹸および(iv)アルカリ試薬をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記濃度が、約3から約30%の範囲内である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記印刷紙が、少なくとも約40重量% ONPを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記印刷紙が、少なくとも約50重量% ONPを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記印刷紙が、約40重量%から約95重量%の範囲内の量のONPを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記印刷紙が、古雑誌印刷紙(OMG)をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記酵素の組合せ(i)が、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せである、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、少なくとも約1.5:1である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約1.5:1から約5:1の範囲内である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約1.5:1から約2.5:1の範囲内である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約2:1である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記非イオン性界面活性剤が、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
(i):(ii)の比が、約1:1から約1:10の範囲内である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
(i):(ii)の比が、約1:1から約1:5の範囲内である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(i):(ii)の比が、約1:2から約1:4の範囲内である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記石鹸が、脂肪酸石鹸である、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記石鹸が、獣脂に由来する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記石鹸が、植物油に由来する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記アルカリ試薬が、ケイ酸ナトリウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項33】
前記酵素の組合せ(i)が、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せであり;前記非イオン性界面活性剤(ii)が、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択され;前記石鹸(iii)が獣脂脂肪酸石鹸であり;前記アルカリ試薬(iv)がケイ酸ナトリウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項34】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約1.5:1から約5:1の範囲内である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
(i):(ii)の比が、約1:2から1:4の範囲内である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
(i)および(ii)を予備混合して酵素組成物(v)を形成し、次いで(v)を前記インキ除去系の構成要素として前記パルプスラリーに添加する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記酵素組成物(v)を約0.04から約0.5重量%の範囲内の量で前記パルプスラリーに添加し、前記石鹸(iii)を約0.1から約1重量%の範囲内の量で前記パルプスラリーに添加し、前記アルカリ試薬(iv)を約0.5から約2重量%の範囲内の量で前記パルプスラリーに添加する(全て前記スラリーの固体含有量に対するものである)、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記スラリーのpHを、約6から約11の範囲内で維持する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記スラリーが、実質的に亜硫酸ナトリウムを含まない、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記スラリーが、実質的に水酸化ナトリウムを含まず、または水酸化ナトリウムを前記スラリーに添加する場合、前記水酸化ナトリウムを前記スラリーの重量に対して約0.15重量%未満の量で添加する、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記スラリーが、実質的に過酸化水素を含まない、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記インキ除去効率が、少なくとも50%である、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記インキ除去効率が、少なくとも60%である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記インキ除去効率が、少なくとも70%である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記インキ除去効率が、少なくとも80%である、請求項44に記載の方法。
【請求項1】
印刷紙からインキを除去する方法であって、
(a)少なくとも25重量%が古新聞印刷紙である印刷紙を少なくとも約3%の濃度においてパルプ化してパルプスラリーを得ること;
(b)前記パルプスラリーを、前記パルプスラリーからインキを遊離させるのに有効な量のインキ除去系((i)リパーゼと、アミラーゼ、キシラナーゼまたはセルラーゼから選択される少なくとも1種の第2の酵素との組合せ、ならびに(ii)非イオン性界面活性剤を含む)(前記リパーゼは、前記パルプスラリーの乾燥含有量に対して少なくとも約0.001重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の第2の酵素:リパーゼの比は、少なくとも約1.2:1である)により処理すること;ならびに
(c)遊離したインキを脱インキ工程において前記パルプスラリーから分離して脱インキされたパルプスラリーを提供することを含み、前記処理工程を前記脱インキ工程前に実施する方法。
【請求項2】
前記酵素の組合せが、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、少なくとも約1.5:1である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約1.5:1から約5:1の範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約1.5:1から約2.5:1の範囲内である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約2:1である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記非イオン性界面活性剤が、脂肪酸アルコキシレート、脂肪族アルコールアルコキシレートまたはこれらの混合物から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記非イオン性界面活性剤が、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(i):(ii)の比が、約1:1から約1:10の範囲内である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(i):(ii)の比が、約1:1から約1:5の範囲内である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(i):(ii)の比が、約1:2から約1:4の範囲内である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記インキ除去系が、(iii)石鹸をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記インキ除去系が、(iv)アルカリ試薬をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記インキ除去系が、(iii)石鹸および(iv)アルカリ試薬をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記濃度が、約3から約30%の範囲内である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記印刷紙が、少なくとも約40重量% ONPを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記印刷紙が、少なくとも約50重量% ONPを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記印刷紙が、約40重量%から約95重量%の範囲内の量のONPを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記印刷紙が、古雑誌印刷紙(OMG)をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記酵素の組合せ(i)が、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せである、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、少なくとも約1.5:1である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約1.5:1から約5:1の範囲内である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約1.5:1から約2.5:1の範囲内である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約2:1である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記非イオン性界面活性剤が、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
(i):(ii)の比が、約1:1から約1:10の範囲内である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
(i):(ii)の比が、約1:1から約1:5の範囲内である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(i):(ii)の比が、約1:2から約1:4の範囲内である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記石鹸が、脂肪酸石鹸である、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記石鹸が、獣脂に由来する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記石鹸が、植物油に由来する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記アルカリ試薬が、ケイ酸ナトリウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項33】
前記酵素の組合せ(i)が、リパーゼおよびキシラナーゼの組合せであり;前記非イオン性界面活性剤(ii)が、脂肪族アルコールエトキシレート(FAEO)、プロポキシレート(FAPO)およびこれらの組合せ(FAEPO)から選択され;前記石鹸(iii)が獣脂脂肪酸石鹸であり;前記アルカリ試薬(iv)がケイ酸ナトリウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項34】
キシラナーゼ:リパーゼの比が、約1.5:1から約5:1の範囲内である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
(i):(ii)の比が、約1:2から1:4の範囲内である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
(i)および(ii)を予備混合して酵素組成物(v)を形成し、次いで(v)を前記インキ除去系の構成要素として前記パルプスラリーに添加する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記酵素組成物(v)を約0.04から約0.5重量%の範囲内の量で前記パルプスラリーに添加し、前記石鹸(iii)を約0.1から約1重量%の範囲内の量で前記パルプスラリーに添加し、前記アルカリ試薬(iv)を約0.5から約2重量%の範囲内の量で前記パルプスラリーに添加する(全て前記スラリーの固体含有量に対するものである)、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記スラリーのpHを、約6から約11の範囲内で維持する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記スラリーが、実質的に亜硫酸ナトリウムを含まない、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記スラリーが、実質的に水酸化ナトリウムを含まず、または水酸化ナトリウムを前記スラリーに添加する場合、前記水酸化ナトリウムを前記スラリーの重量に対して約0.15重量%未満の量で添加する、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記スラリーが、実質的に過酸化水素を含まない、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記インキ除去効率が、少なくとも50%である、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記インキ除去効率が、少なくとも60%である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記インキ除去効率が、少なくとも70%である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記インキ除去効率が、少なくとも80%である、請求項44に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公表番号】特表2013−519804(P2013−519804A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553024(P2012−553024)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/024501
【国際公開番号】WO2011/100530
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(509131443)アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (26)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel Chemicals International B.V.
【住所又は居所原語表記】Stationsstraat 77, 3811 MH Amersfoort, Netherlands
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/024501
【国際公開番号】WO2011/100530
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(509131443)アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (26)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel Chemicals International B.V.
【住所又は居所原語表記】Stationsstraat 77, 3811 MH Amersfoort, Netherlands
【Fターム(参考)】
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