説明

紙の改良表面サイジング

サイズプレス組成物、ライナーボードを含む、サイジングされた紙製品の製造方法が開示される。サイズプレス組成物は、少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤、少なくとも一つの反応性サイジング剤、少なくとも一つのプロモーター樹脂、少なくとも一つのバインダー、及び水を含む。少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤は、pH約6未満の正のゼータ電位を分散物、エマルション、またはラテックスの形態のポリマーである。少なくとも一つの反応性サイジング剤は、アルキルケテンダイマーまたはアルキル無水コハク酸を含む、分散物、エマルション、またはラテックスの形態のポリマーである。少なくとも一つのプロモーター樹脂は、ポリアミノアミド-エピクロロヒドリン樹脂またはポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上質紙及びライナーボードを含む、紙製品の表面サイジングに関する。サイズプレス組成物、サイズプレス組成物が適用される紙複合物、及びサイジングされた紙製品の製造方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
紙のサイジングとは、液体を保持する、または、こうした液体の紙への浸透または透過を防ぐ、紙の性能に関する。一般的に、保持される液体とは、水である。液体の保持を増大させるように設計される化合物は、サイジング剤として既知である。特定タイプのサイジング、例えば、オイルサイジング剤を意味することもある。サイジングに関する議論については、Principles of Wet End Chemistry, by William E. Scott. Tappi Press (1996), Atlanta, ISBN 0-89852-286-2が参照される。サイジング値は、使用する試験に固有のものである。
【0003】
製紙及び紙仕上げにおいては、最終紙製品に求められる望ましい特徴をもたらすために、サイジング剤がしばしば用いられる。サイジングまたはサイジング特性は、水であってよい水性の液体による浸透または湿潤化に対する、加工紙または板紙製品の耐性の評価である。サイジング剤は、製紙の際に使用される内部添加剤、または、この耐性を増大させる紙仕上げの際に表面処理剤として使用される外部添加剤である。
【0004】
製紙は、酸性、中性、またはアルカリ性pH条件下で行うことができ、サイジング剤の選択は、通常は、採用されるpHに依存する。例えば、ロジン誘導サイジング剤は、典型的には、酸性製紙条件下で使用される。上質紙製造応用において広く採用されるアルカリ性pH条件下では、典型的なサイジング剤にはアルカリケテンまたはアルケニルダイマーまたは酸無水物、例えば、アルケニル無水コハク酸が含まれる。
【0005】
サイジング剤は、抄紙機のサイズプレスにて、ライナーボードまたは再生ライナーボードに加えてよい。サイジングは、しばしば、カチオン性ポリマーラテックス、例えば、スチレンとアクリルモノマーとのポリマーのラテックスを添加することによって得られる。サイズプレスは、典型的には、溶解デンプン、サイジング剤、及び別の添加剤を含む。カチオン性ラテックスが使用される場合のサイズプレスのpHは、通常、4.5乃至5.5である。より高いpHでは、カチオン性サイジング剤は、サイジングの発展における有効性に劣る。反応性サイジング剤もまた、紙のサイジングに使用してよく、これらはサイズプレスpHが6.0より高い場合にはより有効である。しかしながら、反応性サイジング剤は、ライナーボード材料のサイジングにまでは広く使用されない。これらが紙の摩擦係数及び滑り角を低減させるためである。
【0006】
ライナーボードまたは再生ラインボード紙の表面サイジングのための現在の技術は、カチオン性ラテックスまたはロジンサイジング剤の応用に依存する。サイジングの有効性は平凡であり、著しい改善の余地がある。サイジングは、一般的に、著しくpH7より低いpH、典型的には、約pH5.5にて行われる。反応性サイジング剤は、印刷用紙及び便箋向けの紙である「上質紙」のサイジングにおけるサイズプレスで使用される場合により有効なサイジングをもたらすことが知られている。しかしながら、ライナーボード応用における反応性サイジング剤の使用は、上記の通り、こうしたサイジング剤が最終ボードの摩擦係数に対して有する悪影響によって制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,169,886号明細書
【特許文献2】米国特許第6,207,258号明細書
【特許文献3】米国特許第6,162,328号明細書
【特許文献4】米国特許第7,270,727号明細書
【特許文献5】米国特許第4,478,682号明細書
【特許文献6】米国特許第4,278,794号明細書
【特許文献7】米国特許第4,317,756号明細書
【特許文献8】米国特許第5,470,742号明細書
【特許文献9】米国特許第6,554,961号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Principles of Wet End Chemistry, by William E. Scott. Tappi Press (1996), Atlanta, ISBN 0-89852-286-2
【非特許文献2】The Handbook of Pulping and Papermaking, by Christopher J. Biermann, Academic Press (1996), San Diego, ISBN 0-12-097362-6
【非特許文献3】Properties of Paper: An Introduction, ed. William E. Scott and James C Abbott Tappi Press (1995), Atlanta, ISBN 0-89852-062-2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、紙製品のサイジングのより優れた方法が、製紙サイジング技術において望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、紙またはライナーボードのサイジングにおける使用のためのサイズプレス組成物に関する。この組成物は、少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤、少なくとも一つの反応性サイジング剤、少なくとも一つのプロモーター樹脂、少なくとも一つのバインダー、及び水を含む。本発明は、また、サイズプレス組成物で,サイジングされた紙またはライナーボード、並びにサイズプレス組成物でサイジングされた紙またはサイジングされたライナーボードの製造方法に関する。
【0011】
本発明の一実施態様には、
(a)少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤、
(b)少なくとも一つの反応性サイジング剤、
(c)少なくとも一つのプロモーター樹脂、及び
(d)水
を含むサイズプレス組成物が含まれる。
成分(a)、(b)、及び(c)は、活性成分であり、成分(a)は、前記組成物中に、全活性成分((a)、(b)、及び(c))に基づいて約30乃至約95質量%、より典型的には、全活性成分((a)、(b)、及び(c))に基づいて約60乃至約80質量%存在する。成分(b)は、前記組成物中に、全活性成分((a)、(b)、及び(c))に基づいて約5乃至約70質量%、より典型的には、全活性成分((a)、(b)、及び(c))に基づいて約20乃至約40質量%存在し、成分(c)は、前記組成物中に、全活性成分に基づいて約2乃至約20質量%、より典型的には、全活性成分((a)、(b)、及び(c))に基づいて約5乃至約15質量%存在する。この組成物は、紙のサイジングにおける使用のためのサイジング剤処方中に使用される。
【0012】
本発明の別の実施態様には、上述のサイジング組成物及び、少なくとも一つのバインダー(成分(e))を更に含むサイズプレス組成物が含まれる。この少なくとも一つのバインダー(e)は、前記サイズプレス組成物中に、サイズプレス組成物の全質量に基づいて約2乃至約12質量%、より典型的には、サイズプレス組成物の全質量に基づいて、約6乃至約10質量%存在する。このサイズプレス組成物は、サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.15乃至約1質量%の少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤(a)を含む。このサイズプレス組成物は、サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.025乃至約0.8質量%の少なくとも一つの反応性サイジング剤(b)、及びサイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.01乃至約0.2質量%の少なくとも一つのプロモーター樹脂(c)を含む。より典型的には、このサイズプレス組成物は、サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.3乃至約0.85質量%の少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤(a)、サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.1乃至約0.45質量%の少なくとも一つの反応性サイジング剤(b)、及びサイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.025乃至約0.16質量%の少なくとも一つのプロモーター樹脂(c)を含む。
【0013】
本発明の別の実施態様には、上述のサイズプレス組成物でサイジングされた紙を含む紙複合物が含まれる。この紙複合物は、ハーキュリーズサイジング試験(Hercules Sizing Test)(HST)によって測定される20秒より高いサイジング値を有する。サイジング値は、採用される試験に固有であり、HST(Tappi Method T 530)を以下の実施例にてより詳しく説明する。紙複合物は、上述のサイズプレス組成物をサイズプレスで紙に適用することによって製造される。
【0014】
ライナーボードにおける使用のために、反応性サイジング剤を非反応性サイジング剤と組み合わせる場合、これら二つには、多量の摩擦を失うことなく適切なサイジングが達成されるように均衡を取るべきである。上記の通り、反応性サイジング剤は、ライナーボードに優れたサイジングをもたらすことができるが、摩擦を低減させることから欠点を有する。しかしながら、サイズプレス製剤pHが7未満になると反応性サイジング剤は格段に有効性に劣り、このためカチオン性非反応性サイジング剤の優れた性能が求められる。典型的には、反応性サイジング剤は、7超のpH値で最高の働きをする。予期せぬことに、反応性及び非反応性のサイジング剤の組み合わせを使用する場合、pH約6未満のpHのサイズプレス製剤を使用できるように少なくとも一つのプロモーター樹脂を含めることによって、結果を改善できることが判明した。少なくとも一つのプロモーター樹脂によって、非反応性サイズ剤が、pH6未満の最適なpH範囲で作用することができる一方で、さらに反応性サイズ剤がこの低いpH範囲で十分に作用することができる。反応性サイズ剤は、当技術分野においてpH6未満のpHでは作用性に劣ることが既知であることから、この結果は予想外である。更に、少なくとも一つのプロモーター樹脂が、予期せぬことに、反応性サイジング剤が全く存在しない場合でさえも、少なくとも一つの非反応性サイジング剤の作用を予想外に改善することが判明した。このことは、プロモーター樹脂が反応性及び非反応性のサイジング剤の両方の有効性を改善することを示す。
【0015】
典型的には、少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤(成分(a))は、分散物、エマルション、またはラテックスの形態のポリマーである。このポリマーのゼータ電位は、約pH未満で正であり、このポリマーは約10乃至80℃の一次ガラス転移温度を有する。非限定的なポリマーの例には、スチレン及びアクリレート、またはこれらの組み合わせに基づくポリマーが含まれる。1つのこうしたポリマーは、フリーラジカルエマルション重合法によって形成され、カチオン性の第三のモノマー、例えば、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドをポリマーに導入することによって得られるカチオン性を有する、57質量%のスチレンと38質量%のn-ブチルアクリレートのランダムコポリマーである。このポリマーはまた、アクリルモノマー、例えば、米国特許第5,169,886号明細書に記載のものの組み合わせであってもよい。非反応性カチオン性表面サイジング剤は、典型的には、乾燥ベースで紙中に少なくとも0.05%のレベルで、より典型的には乾燥ベースで紙中に少なくとも0.1%のレベルで添加された場合に、紙にサイジングをもたらす。非反応性カチオン性表面サイジング剤の例には、Guilini Perghaten K532(登録商標)、BASF Basoplast PR8262(登録商標)、EKA SP CE28(登録商標)、及びHercules Incorporated imPress(登録商標)ST 830が含まれる。
【0016】
少なくとも一つの反応性サイジング剤(.成分(b))は、典型的には、アルキルケテンダイマーまたはアルキル無水コハク酸であり、典型的には水性分散物、エマルション、またはラテックスの形態である。アルキルケテンダイマーは、ジアルキル置換プロピオラクトン環の式を有する。
R1-CH=(COC(=O)CH)-R2
式中、R1及びR2は、少なくとも6つの炭素原子を有する、飽和もしくは不飽和のC6乃至C24炭化水素またはシクロアルキル、またはアリール、アラルキル、またはアルカリル炭化水素である。これには、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アイコシル、ドコシル、テトラコシル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、及びナフチルケテンダイマーが含まれる。更に、パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸(lincleic acid)、ミリストレイン酸、及びエレオステアリン酸(elecsteric acid)も含まれる。別の例が、米国特許第6,207,258及び第6,162,328号に見出され、これら特許の内容は参照のためにここに援用することとする。
【0017】
少なくとも一つのプロモーター樹脂(成分(c))は、反応性及び非反応性のサイジング剤を増強するあらゆる化学物質であってよい。典型的なプロモーター樹脂は、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド(DADMAC)、メチルアルキルアリルアンモニウムクロライド、またはジアリルアンモニウムクロライド(DAAC)モノマーから製造されるカチオン性ポリマー及びコポリマーである。別の有用なプロモーターには、ポリマー、例えば、ポリアミノアミド-エピクロロヒドリン樹脂を含むポリアミノアミド樹脂、及びポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)が含まれる。市販品の例には、Hercules Incorporated製のKymene(登録商標)製品種目が含まれる。別の例は、米国特許第7,270,727号、米国特許第4,478,682号、米国特許第4,278,794号、米国特許第4,317,756号、及び米国特許第5,470,742号に見出すことができ、これらの内容は参照のためにここに援用することとする。本発明のサイジング組成物には、成分(a)、(b)、及び(c)、並びに水(d)が含まれ、成分(a)、(b)、及び(c)は活性成分である。成分(a)は、全活性成分に基づいて約30乃至約95質量%存在し、成分(b)は、全活性成分に基づいて約5乃至約70質量%存在し、且つ成分(c)は、全活性成分に基づいて約2乃至約2質量%存在する。この組成物は、紙またはライナーボードのサイジングにおける使用のためのサイジング剤製剤として使用される。サイジング組成物の固形分は、約5%乃至約45%の範囲であってよい。
【0018】
サイズプレス中で紙またはライナーボードに適用してよいサイズプレス組成物は、成分(a)乃至(d)を上記のサイジング組成物として、並びに少なくとも一つのバインダー(成分(e))を含む。少なくとも一つのバインダーは、サイズプレス組成物の全質量に基づいて約2乃至約12%存在し、少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤(成分(a))は、サイズプレス組成物全質量に基づいて約0.15乃至約1%存在する。成分(b)及び(c)は、成分(a)についての記載と同様の割合でサイズプレス組成物中に存在する。典型的には、成分(a)は、サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.15乃至約1質量%存在し、成分(b)は、サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.025乃至約0.8質量%存在し、更に成分(c)は、サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.01乃至約0.2質量%存在する。固形分含量は、約2%乃至12%の範囲をとりうる。
【0019】
典型的には、サイズプレス組成物は、紙またはライナーボードに、成分(a)、(b)、(c)、及び(e)の全乾燥質量に基づいて紙1トンについて約40乃至約120ポンド、より典型的には、成分(a)、(b)、(c)、及び(e)の全乾燥質量に基づいて紙1トンについて約60乃至約100ポンド適用される。
【0020】
少なくとも一つのバインダー(成分(e))は、典型的には、デンプンまたはポリビニルアルコール、あるいはこれら二つの組み合わせである。デンプンは、カチオン性、酸化、エチル化、両性、疎水変性、並びにあらゆる別のタイプの変性デンプンであってよい。デンプンは、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ、キャッサバ根、米、及び別のデンプン源から誘導してよい。デンプン源は、紙またはライナーボードの処理に適切であり、且つ、水に溶解可能であって、紙またはライナーボードに適用可能である限りは、制限されない。典型的には、デンプンは、固形分が約6%超である溶液がサイズプレス中で使用可能なように、低下させた粘度を有する。サイズプレス組成物はまた、塩、フィラー、起泡防止剤、殺生物財、着色料、染料、ワックス、任意の増白剤、並びにこれら成分の組み合わせを含む、別の成分を含んでよい。
【0021】
サイズプレス組成物は、抄紙機上のサイズプレス装置中で(オンマシンで)または別個のサイズプレス装置中で(オフマシンで)、紙に適用される。サイジングされた紙は、典型的には、ハーキュリーズサイジング試験(HST)によって測定される20秒超、よりさらに典型的には100秒超のサイジング値を有する。HST値が高いほどサイジングが多いことを表わす。典型的には、サイズプレス組成物は、約6未満のpH及び約0乃至約70℃、より典型的には約45乃至約70℃の温度を有する。
【0022】
本発明によるサイジング組成物でサイジングされた紙基材は、砕木から化学漂白木材までの木材ベースのパルプ、または非木材ベースのパルプ、あるいはパルプの組み合わせを含んでよい。更に、パルプは、全体的または部分的に、再生された紙または紙製品から得て良い。パルプは、幾分の合成パルプを含んでよい。パルプは、幾つかのパルプタイプ、例えば、硬材及び軟材、あるいは所定タイプの木材、例えば、ユーカリ等の組み合わせであってよい。パルプは、砕木パルプ、機械パルプ、化学または熱処理パルプ、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、または合成パルプ、あるいは製紙業で使用される他のあらゆる一般的なパルプであってよい。紙は、無機フィラー、例えば、炭酸カルシウムまたは粘土を含んでも含まなくてもよく、有機フィラー、サイジング剤、及び抄紙機のウェットエンドで添加される別の添加剤を含んでも含まなくてもよい。
【0023】
サイジングされた紙については、少なくとも1つの非反応性カチオン性表面サイジング剤(成分(a))が、前記紙中に、乾燥質量ベースで、紙の全質量に基づいて約0.05質量%超の量で存在し、少なくとも一つの反応性サイジング剤(成分(b))が、前記紙中に、紙の全質量に基づいて約0.02質量%超の量で存在し、更に少なくとも一つのプロモーター樹脂(成分(c))が、前記紙中に、紙の全質量に基づいて約0.005質量%超の量で存在する。
【0024】
本発明は、紙またはライナーボードの片面または両面のサイジング処理に応用することができる。片面のみ処理する場合には、紙に関する上記全てのレベルは記載の値の二分の一である。
【0025】
最終紙は、紙の構成に含まれるか、あるいは、サイジング組成物表面処理と共にまたはサイジング組成物表面処理とは別に適用される、別の添加剤を含んでよい。適用してよい添加剤は、紙に使用されるものである。これらは、以下に限定されるものではないが、無機及び有機のフィラー、例えば、粘土または中空球状顔料;光増白剤、蛍光増白助剤としても既知のもの;顔料;染料;強度添加剤、例えば、ポリアミドアミン;付着促進ポリマー、例えば、スチレンアクリルラテックス及びスチレン無水マレイン酸ベースのポリマー;ワックス;及び無機塩、例えば、塩化ナトリウム及び塩化カルシウムを含む。
【0026】
サイズプレス組成物を紙またはライナーボードに適用する方法は、均一で制御された適用が得られることを条件に、制限されない。処理は、抄紙機上で生成された後に部分的にのみ乾燥された紙に行ってよく、あるいは抄紙機上で乾燥した紙に行うことができ、あるいは、処理は抄紙機とは別に、生成され、乾燥され、移動させた紙に行うことができる。 典型的な方法は、紙が抄紙機で生成され、部分的に乾燥させることである。その後、サイジング処理が、抄紙機サイズプレスで適用される。その後、紙を再び乾燥させる。紙は、キャレンダ―処理によって更に変性してよい。本発明は、カチオン性ラテックスサイジング剤が使用されてサイジングがもたらされ、且つサイズプレスが7未満のpHで運転される、別のタイプの紙の製造にも同様に適用可能である。紙の適用可能な等級は、約50乃至350g/m2、更に好ましくは、約70乃至250g/m2の基本重量のものである。
【0027】
以下の実施例は、詳説のみを目的とし、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0028】
本明細書では、サイジング及びサイジング剤は、ハーキュリーズサイジング試験において使用される水ベースのインク溶液を保持する能力に関して定義される。この試験は以下に定義される。サイジングは、以下に説明されるコブ(Cobb)試験によっても定義される。
【0029】
ハーキュリーズサイジング試験
様々なサイジング試験の説明が、The Handbook of Pulping and Papermaking, by Christopher J. Biermann, Academic Press (1996), San Diego, ISBN 0-12-097362-6;及びProperties of Paper: An Introduction, ed. William E. Scott and James C Abbott Tappi Press (1995), Atlanta, ISBN 0-89852-062-2に見られる。これらの実施例において使用されるハーキュリーズサイジング試験(HST)は、Tappi Method T530に記載されている。本明細書中に記載される試験結果については、1%のナフタレングリーン染料及び1%の蟻酸を含む溶液が浸透剤として使用された。試験の終点は、反射率80%にセットした。
【0030】
コブ試験
コブ試験は、紙を金属環とプレートとの間に保持しつつ、特定時間内に前記紙の試料によって吸収される水の量を測定することによってサイジングを測定する。面積100cm2の紙を、1cmの深さを有する100mlの水に暴露する。試験に先立ち、紙(およそ12.5×12.5cm)を切り取り、計量する。この試験のためには、水を、1分間にわたって紙に接触させた。水を捨てた後、環を迅速に除去し、試料を、その湿った面を上にして吸い取り紙の上に載せる。二枚目の吸い取り紙を試料の上に載せ、10kgのハンドローラーを前記紙の上でいったんは前方へ、次いで後方へ転がす。ローラーに下向きの力を加えないように注意すべきである。紙試料を吸い取り紙から除去し、再計量する。結果を、紙1平方メートル毎に吸収された水の量(グラム)で報告する。この試験及び試験装置の完全な説明は、Gurley Precision Instruments(http://www.gpi-test.com/cobb.htmを参照のこと)より入手可能である。
【0031】
試料の調製
下記の実施例のための紙試料を、実験室方式で、またはテスト抄紙機で調製した。一般的な操作はここに記載される。特定の詳細は、各実施例に挙げる。
【0032】
実験室方式のために、原紙を、予め工業用またはテスト抄紙機で調製した。紙は、いかなるサイズプレス処理もなしに製造された。すなわち、澱粉、サイジング剤、または別の添加剤も、生成された紙の表面に適用されなかった。紙の生成に使用されたパルプは、再生紙ストリームから調製された。基本重量は、139g/m2であり、HSTサイジングのレベルは5秒であった。いったん生成し、乾燥させた紙は、後の使用のために貯蔵した。本明細書中に説明した実験のために、紙を、ハーキュリーズ研究センターにて、研究用ベンチトップパドルサイズプレスで処理した。
【0033】
サイズプレス製剤を、95℃にて澱粉を45分間に亘って溶解させ、冷却し、この澱粉を65℃に保持することによって調製した。 澱粉のpHを個別の実験に必要なように調節した。この澱粉に、各実施例に記載される別の添加剤を加え、pHを再び調節した。その後、依然として65℃の澱粉溶液を使用して紙を処理した。使用した各原紙について、ローラーに拾われた溶液の量を測定し、かくして添加剤レベルを決定した。
【0034】
サイズプレスは、一つはゴム被覆で一つは金属の、10インチのピンチローラーの横並びのセットからなり、これらを通して紙が供給された。サイズプレス処理のパドルは、ローラー及びローラー上面のダムによって保持した。ローラーは、10ポンドの気圧で合わせて保持された。紙は、ローラーによって引っ張られるままパドルを通り、ローラーを通って供給され、制御された均一なレベルの処理をもたらした。紙を30秒間置き、その後、二度目のサイズプレス通過を行った。
【0035】
処理のレベルは、別の添加物を含む溶解澱粉溶液である、処理溶液中の処理化学物質の濃度によって制御される。二度目のサイズプレス通過の後、紙を二つのローラーの下で捕捉し、即座に210°F(99℃)に設定したドラム乾燥機で乾燥させた。紙を約3乃至5%の湿分レベルに乾燥させた。乾燥後、各試料を五日間(試料が反応性サイジング剤を含む場合)、更に少なくとも一日間(試料が反応性サイジング剤を含まない場合)に亘って室温に置くことにより調整した。
【0036】
下記の実施例に使用される別の試料は、ハーキュリーズ試験抄紙機で調製した。紙は、下地材について上述したものと同様の条件で調製した。完成紙料ストリームは、大部分が再生板紙の、約25%の再生雑誌紙及び15%の再生新聞紙との混合物であった。パルプを、350CSFに精製した。最終紙ベースで、約0.75%が、抄紙機のウェットエンドで添加されたカチオン性澱粉であった。紙の基本重量は138g/m2であり、キャリパーは8.8ミルであった。
【0037】
抄紙機には、第一乾燥機セクションに次いでサイズプレスがあり、更に別の乾燥機セクションがあり、その次に一連のカレンダーロールがあった。本発明の処理を、サイズプレスにて紙に適用した。パドルサイズプレスモードを使用した。パドルモードでは、液体サイズプレス組成物処理溶液は、紙が通過するパドルとしてのロールと共に、パドル及びローラーを通って保持された。テスト抄紙機方法は、大型抄紙機の処理を制限した。実験室研究と同様に、調理(溶解)澱粉の溶液を、処理化学物質の担体として用いた。
【0038】
(実施例1:比較−反応性及び非反応性のサイジング剤、プロモーター樹脂なし)
上述のベンチトップサイズプレス法を用いて、紙試料を二つの異なるカチオン性ラテックスで表面サイジングし、これら同様のラテックスそれぞれに反応性サイジング剤を混合した。酸化トウモロコシ澱粉を、主なサイズプレス成分として使用した。これを10%溶液として使用したところ、紙の最終含浸量は61.5%であり、このことは、最終紙が、紙100g毎に6.15gの澱粉を含むことを意味する。最終紙中のサイジング剤の添加レベルを、以下の表にまとめる。サイズプレス溶液を、約6のpHに保持した。試料を、より低いサイズプレスpHにおいても試験した。添加された反応性サイジング剤は、Hercules imPress(登録商標) ST900表面サイジング剤であり、これは不飽和脂肪酸に基づく液体ダイマーを含むダイマーエマルションである。
【表1】

【0039】
いずれのラテックス試料のサイジング性能も(HSTで測定)、pHの低下につれて改善された。HST値が高いほどサイジングの多いことを表す。同時に、1分間のコブ試験の値はより低かった。コブ数が小さいほどサイジングの多いことを表す。pH6では、いずれかのラテックスサイジング剤の一部に代わる反応性サイジング剤の添加により、より高いHST及びより低いコブ値に見られるように、サイジングのかなり大きな増大が得られた。しかしながら、pH4.8または4.7では、反応性サイジング剤の添加による変化はかなり小さかった。結果は、より低いpHでの反応性サイジング剤の有効性の低下と矛盾がない。低いpHでは有効性がより小さいにもかかわらず、反応性サイジング剤により、カチオン性ラテックスのみの場合に比べて幾分かのサイジング性能が加わった。
【0040】
(実施例2:反応性及び非反応性のサイジング剤、プロモーター樹脂併用の有無について)
実施例1の同様の条件を再び使用した。紙の含浸量は再び61.5%であった。ポリマーラテックスで、同様のラテックスと反応性サイジング剤とで、及び同様のラテックスと反応性サイジング剤とプロモーター樹脂とでサイジングされた、紙を試験した。表2に結果をまとめる。
【表2】

【0041】
反応性サイジング剤の添加により、ポリマーラテックスのみの場合に比べてサイジングが改善された。驚くべきことに、試料4中のプロモーター樹脂の低レベルでの添加により、HSTを使用したサイジング値に比較的大幅な増大がもたらされた。
【0042】
(実施例3:反応性及び非反応性のサイジング剤、プロモーター樹脂併用)
実施例2に示したものと同様の実験において、プロモーター樹脂として有用ないくつかの異なる化合物を加えた。各場合の紙中のプロモーター樹脂のレベルは、0.05%であった。ラテックスはGiulini Pergluten K532であり、一定レベルをサイズプレスに加えて紙中に0.1%とした。imPress(登録商標)ST900反応性サイジング剤を一定レベルで加えて、紙中に0.02%とした。
【表3】

プロモーターA=ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)
プロモーターB=ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、アクリル酸、及びジアリルアミン塩酸塩のターポリマー
プロモーターC=ポリアミドアミン、Kymene 557H強力樹脂として市販のもの
プロモーターD=ポリアミドアミン、Kymene 736強力樹脂として市販のもの
プロモーターE=ジメチルアミノプロピルアミン及びエピクロロヒドリンから生成されるポリマー
【0043】
全てのプロモーター樹脂は、サイジングを幾分増大させた。所定のプロモーター樹脂はHSTサイジングにおいてより大きな増大をもたらし、別のプロモーター樹脂はコブサイジングにより大きな効果を与えた。特に、反応性サイジング剤であるKymene(登録商標)557H湿式強力樹脂及びKymene 736は、コブ試験による測定で、サイジングの改善に有効であった。
【0044】
(実施例4:反応性及び非反応性のサイジング剤、プロモーター樹脂併用)
実施例2のものと同様の実験において、様々なレベルのプロモーター樹脂及びサイジング剤を添加した。ラテックスは、再びPergluten K532(登録商標)であって、0.1%で加えられ、反応性サイジング剤は再びimPress(登録商標)ST 900であった。いずれの場合も、サイズプレスpHは5.0であった。結果を表4に示す。
【表4】

【0045】
Kymene(登録商標)557H湿式強力樹脂及びKymene 736は、Hercules Incorporated製の市販のポリアミドアミンエピクロロヒドリン強力添加剤である。E-5131は、Hercules Incorporated製のジシアンジアミドベースの市販のカチオン性プロモーター樹脂である。
【0046】
反応性サイジング剤が低レベルの場合には、ポリ-ジメチルジアリルアンモニウムクロライド(P(DADMAC))のレベルの増大により、サイジングのレベルに増大がもたらされた。反応性サイジングのレベルの増大もまた、より多くのサイジングをもたらした。 反応性サイジング剤のレベルがより高い場合にも、全てのプロモーター樹脂が依然としてサイジングにおける増大をもたらした。
【0047】
(実施例5:反応性及び非反応性のサイジング剤、プロモーター樹脂併用の有無について)
同様の実験を再び行った。様々なラテックスサイジング剤を、imPress(登録商標)ST900反応性サイジング剤と共に、また、ポリ-ジメチルジアリルアンモニウムクロライド(P(DADMAC))プロモーター樹脂を併用する場合及びしない場合について試験した。結果を表5に示す。全ての場合において、サイズプレスpHは5.0であり、加えたラテックスのレベルは、最終紙中、乾燥重量ベースで0.15%であった。各試料中に加えられた反応性サイジング剤のレベルは、最終紙中、乾燥重量ベースで0.03%であった。
【表5】

【0048】
四つの異なるポリマーラテックスサイジング剤を用いることで、比較的に低レベルのプロモーター樹脂の添加により、ラテックス単独またはラテックスと反応性サイジング剤との併用よりも増強された性能が得られた。
【0049】
(実施例6:非反応性サイジング剤、プロモーター樹脂併用の有無について)
同様の実験を行い、ここでは、カチオン性ラテックスを、反応性サイズプロモーター樹脂を併用する場合及びしない場合について試験したが、反応性サイジング剤は加えなかった。サイズプレスは、二つの異なるpH値で行った。全ての場合において、使用したカチオン性ラテックスはPergluten K532であり、これは、一定のレベルで添加して最終紙中で0.1%となるようにした。様々なプロモーター樹脂及び様々なプロモーター樹脂のレベルを採用した。表6に結果をまとめる。
【表6】

【0050】
Kymene 25XLは、Hercules Incorporated製の市販のカチオン性ポリアミドアミンエピクロロヒドリン紙強力添加剤である。
【0051】
非常に驚くべきことに、反応性サイズプロモーター樹脂の低レベルの添加により、カチオン性ラテックスによるもたらされるサイジングが増大した。同レベルで、但しカチオン性ラテックスなしでプロモーター樹脂を使用した場合には、紙へのサイジングには増加が全くもたらされなかった。
【0052】
(実施例7:テスト抄紙機及びプレミックス製剤)
テスト抄紙機を使用して、上述の方法で試料を評価した。試料は下記の通りであった。
1)100gのカチオン性ラテックスA(固形分31%)を33.7gのimPress(登録商標)ST900サイジング剤と混合した。ポリマー対ダイマーの比率は、4:1であった。
2)100gのカチオン性ラテックスAを、33.7gのimPress(登録商標)ST900及び9.69gのP(DADMAC)の20%水溶液と混合した。ポリマー対ダイマー対プロモーター樹脂の比率は、16:4:1であった。
3)306.7gのカチオン性ラテックスB(固形分31%)を100gのimPress(登録商標)ST900サイジング剤と混合した。ポリマー対ダイマーの比率は4:1であった。
4)306.7gのカチオン性ラテックスBを100gのimPress(登録商標)ST900及び28.8gのP(DADMAC)の20%水溶液と混合した。ポリマー対ダイマー対プロモーター樹脂の比率は、16:4:1であった。
【0053】
試料は、それぞれ、およそ8%の酸化澱粉のサイズプレス澱粉溶液に添加した。様々なpH値に調節したサイズプレス溶液を試験した。サイズプレスの条件は、紙への3.5%の澱粉添加及び活性物質(ラテックス由来の固形分のレベル+反応性サイジング剤中のダイマーのレベル+プロモーター樹脂のレベル)に基づいて0.15%のサイジングプレミックスが得られるように調整した。サイジング混合物を、同じく0.15%で紙に添加されたカチオン性ラテックス試料と比較した。
【0054】
表7に、サイジングの結果をまとめる。
【表7】

【0055】
ベンチトップサイズプレス研究と同様の結果が得られた。サイジング剤のカチオン性ラテックスへの添加により、サイジングが改善され、プロモーター樹脂の更なる添加により、さらに大幅な増大が得られた。ラテックスA単独ではHST試験で388秒であった一方で、幾分のラテックスに代えてダイマーを使用すると、サイジングは461秒であり、プロモーター樹脂を使用すると506秒であった。試料は、pH6にてサイズプレスを用いて試験した。
【0056】
カチオン性ラテックスBのサイジングは、サイズプレス溶液のpHが6.0から7.0に増大するにつれて減少した。反応性サイジング剤が幾分のラテックスの代わりに存在する場合は、サイジングはpH6及びpH7において増大した。しかしながら、増大は、pH7でいっそう大きかった。サイジング剤とプロモーター樹脂との両方がラテックスと共に存在する場合には、サイジングは依然としてpH7で最も増大したが、pH6でのサイジングであってもプロモーター樹脂のない場合よりは格段に増大した。
【0057】
コブ試験によって測定されるサイジング結果は、HST試験の結果と完全に合致した。
【0058】
実施例7の結果は、カチオン性ラテックス、反応性サイジングエマルション、及びプロモーター樹脂を予め混合してよいことを示す。
【0059】
前述の説明は、本発明を例示及び詳説する。更に、本発明は、好ましい実施態様を詳説する。上記の教示及び/または関連分野の技能もしくは知識と相応の、本明細書中に表現される概念の範囲内での変更または修正は、本発明の一部であると見なされる。本明細書中の、以上に記載される実施態様は、本発明の実施の最良の態様を説明すること、また別の当業者が、こうした実施態様または別の実施態様において更に本明細書中に開示された特段の応用または使用に要する様々な変更を伴って、本発明を利用することができることをさらに企図したものである。然るに、本明細書は、本発明を本明細書中に開示された形態に制限することを企図しない。また、本願特許請求の範囲は、代替実施態様を含むと解されることを企図する。
【0060】
本明細書中に挙げられた全ての文献、特許、及び特許出願は、各文献、特許、及び特許出願が特段に且つ個別に参照のために援用されると表示されているかのごとく、参照のため、及びありとあらゆる目的のために、にここに援用することとする。矛盾が生じた場合には、本発明の開示が優先される。
【0061】
「含む」なる語及びその文法的変形は、「有する」または「含む」の包括的意味で使用され、「のみからなる」の排他的な意味で使用されない。「1つの」及び「この」なる語が本明細書中で使用される場合には、複数並びに単数を包含すると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤、
(b)少なくとも一つの反応性サイジング剤、
(c)少なくとも一つのプロモーター樹脂、
(d)水、及び
(e)少なくとも一つのバインダー
を含むサイズプレス組成物であって、成分(a)が前記サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.15乃至約1質量%存在し、成分(b)が前記サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.025乃至約0.8質量%存在し、成分(c)が前記サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.01乃至約0.2質量%存在し、且つバインダー(e)が前記サイズプレス組成物の全質量に基づいて約2乃至約12質量%存在する、サイズプレス組成物。
【請求項2】
前記サイズプレス組成物pHが、約6未満である、請求項1に記載のサイズプレス組成物。
【請求項3】
少なくとも一つのバインダーが、澱粉である、請求項1に記載のサイズプレス組成物。
【請求項4】
少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤が、スチレン、アクリレート、またはこれらの組み合わせに基づくモノマー単位を有するポリマーである、請求項1に記載のサイズプレス組成物。
【請求項5】
少なくとも一つの反応性サイジング剤が、分散物、エマルション、またはラテックスであって、アルキルケテンダイマーまたはアルキル無水コハク酸を含む、請求項1に記載のサイズプレス組成物。
【請求項6】
少なくとも一つのプロモーター樹脂が、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド(DADMAC)、メチルアルキルアリルアンモニウムクロライド、またはジアリルアンモニウムクロライド(DAAC)モノマーに基づくモノマー単位を含む、少なくとも一つのカチオン性ポリマーまたはコポリマー、あるいは、ポリアミノアミド樹脂である少なくとも一つのカチオン性ポリマーを含む、請求項1に記載のサイズプレス組成物。
【請求項7】
(a)少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤、
(b)少なくとも一つの反応性サイジング剤、及び
(c)少なくとも一つのプロモーター樹脂
を含むサイズプレス組成物で処理した紙を含む紙複合物であって、乾燥質量ベースで、成分(a)が前記紙複合物の全質量に基づいて約0.05質量%超の量で存在し、成分(b)が前記紙複合物の全質量に基づいて約0.02質量%超の量で存在し、成分(c)が前記紙複合物の全質量に基づいて約0.005質量%超の量で存在する、紙複合物。
【請求項8】
少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤が、スチレン、アクリレート、またはこれらの組み合わせに基づくモノマー単位を有するポリマーである、請求項7に記載の紙複合物。
【請求項9】
少なくとも一つの反応性サイジング剤が、分散物、エマルション、またはラテックスであって、アルキルケテンダイマーまたはアルキル無水コハク酸を含む、請求項7に記載の紙複合物。
【請求項10】
少なくとも一つのプロモーター樹脂が、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド(DADMAC)、メチルアルキルアリルアンモニウムクロライド、またはジアリルアンモニウムクロライド(DAAC)モノマーに基づくモノマー単位を含む、少なくとも一つのカチオン性ポリマーまたはコポリマー、あるいは、ポリアミノアミド樹脂である少なくとも一つのカチオン性ポリマーを含む、請求項7に記載の紙複合物。
【請求項11】
前記紙が再生ライナーボード紙であり、前記紙が約100乃至約200g/m2の基本重量を有する、請求項7に記載の紙複合物。
【請求項12】
サイズプレス組成物を紙またはライナーボード紙に適用する工程を含む、紙複合物の製造方法であって、前記サイズプレス組成物が、
(a)少なくとも一つの非反応性カチオン性表面サイジング剤、
(b)少なくとも一つの反応性サイジング剤、
(c)少なくとも一つのプロモーター樹脂、
(d)水、及び
(e)少なくとも一つのバインダー
を含み、成分(a)が前記サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.15乃至約1質量%存在し、成分(b)が前記サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.025乃至約0.8質量%存在し、成分(c)が前記サイズプレス組成物の全質量に基づいて約0.01乃至約0.2質量%存在し、且つバインダー(e)が前記サイズプレス組成物の全質量に基づいて約2乃至約12質量%存在する、方法。
【請求項13】
前記サイズプレス組成物が、抄紙機上で紙に適用されるか、または抄紙機外のサイズプレスで別々に適用される、請求項12に記載の紙複合物の製造方法。
【請求項14】
少なくとも一つの非反応性カチオン性表面剤が、スチレン、アクリレート、またはこれらの組み合わせに基づくモノマー単位を有するポリマーである、請求項12に記載の紙複合物の製造方法。
【請求項15】
少なくとも一つの反応性サイジング剤が、分散物、エマルション、またはラテックスであって、アルキルケテンダイマーまたはアルキル無水コハク酸を含む、請求項12に記載の紙複合物の製造方法。
【請求項16】
少なくとも一つのプロモーター樹脂が、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド(DADMAC)、メチルアルキルアリルアンモニウムクロライド、またはジアリルアンモニウムクロライド(DAAC)モノマーに基づくモノマー単位を含む、少なくとも一つのカチオン性ポリマーまたはコポリマー、あるいは、ポリアミノアミド樹脂である少なくとも一つのカチオン性ポリマーを含む、請求項12に記載の紙複合物の製造方法。

【公表番号】特表2011−529142(P2011−529142A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520134(P2011−520134)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/051244
【国際公開番号】WO2010/011646
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】