説明

紙塗工で使用するための炭酸カルシウム微粒子を含む水性スラリー

本発明は、5.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが98.5%から90%であり、2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが96%から80%であり、P/P比が0.98から0.85である天然重質炭酸カルシウムを含み、固形分が78重量%を超える水性スラリーに関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
塗工紙製造業者は、現在、苛烈な市況を経験している一方で、事業収益性を求める大きな課題に直面している。近年、塗工剤は著しく単純化されており、バインダー濃度は非常に低濃度に低下してきている。
【0002】
塗工着色剤(coating colour)の固形分は、概して、製造コストをさらに改善するための1つの重要な選択肢と考えられている。品質、環境側面および経済の点から、高乾燥固形物の潜在的利点は数多い。
−乾燥能力が限られている場合、乾燥エネルギーの著しい節約またはより高いコーター速度が可能である。例えば固形分の3%の増加により、乾燥エネルギーの著しい節約を達成することが既に可能である。
−100%天然重質炭酸カルシウム(GCC)が顔料系に使用される場合、塗工層のより良い持ち(hold−out)が、紙の光学的特性、特に繊維被覆およびシート光沢を改善する。塗工の高速設定は、優れた被覆に好都合である。
−固有の水分保持がより高くなると、添加物、増粘剤などの減少を可能にする。
−原紙中への移動の減少およびより穏やかな乾燥によるより均一なバインダー分布は、より優れた印刷適性に貢献する。
【0003】
上記の理由のために、塗工紙の製造業者は、絶えず製剤を最適化して固形物を最大化してきた。しかしながら、固形分が一定限度を超えて上昇すると、これはプロセス効率および紙の品質に有害な影響を及ぼす。レオロジーの制限または乏しいブレード操業性は、ひっかき、にじみまたはウィスカー形成(whiskering)をもたらし得る。さらに、標的塗工重量を制御するための過度のブレード荷重は、より多数の断紙(web break)およびブレード摩耗の増加をもたらす。しばしば、塗工顔料スラリーの濃度は、高固形物塗工着色剤を製造するのに不十分であり、他の成分(主としてバインダー)が濃度を著しく希釈する。さらに、スラリーの濃度の上昇は、輸送費の実質的節約、貯蔵能力をもたらし、殺菌剤の添加を減少させる。
【0004】
塗工着色剤毎に、塗工着色剤が「可塑性」または変形能力を喪失し、その粘度が突然「無限に」増加する所与の凝固点である、いわゆる「固化点」が存在する。
【0005】
ブレード塗工において、固形分についての3つの可能なシナリオが存在する。シナリオ1では、固形分が低く過ぎ、低い塗工着色剤濃度による、乏しい持ち、塗工収縮および特性不安定性などのいくつかの欠陥が生じる。シナリオ2は、固形物が最適化された狭い操業窓(operating window)である。最後に、シナリオ3は、機械の操業性に関して重大な欠陥が予測されるあまりに野心的な固形分を説明する。一般に、可能な限り固定化点を広げることが望ましい。
【0006】
上記のように、ブレードコーターの操業性への有害な影響を避けるために、粘度を許容できるレベルに維持しながら、塗工組成物の固形分は可能な限り高くすべきである。しかしながら、高い固形分と粘度との間のバランスを改善するための手段をとる場合、これらの手段が最終的な紙塗工の光学的特性を損なうべきではないことを考慮することが重要である。
【0007】
高い鏡面光沢を有する連続表面を製造するために、光沢紙のグレードは、非常に微細な顔料を要求する。
【0008】
US3714107は、少なくとも70重量%の固形分を有する水性紙塗工組成物を開示しており、前記固形物は粗挽き顔料、微粉砕顔料および塗工用バインダーを含み、粗挽き顔料は総顔料含量の25から90重量%を構成している。
【0009】
DE2943653は、100%の重量パーセントの2μm未満の直径を有する粒子を有する炭酸カルシウムに基づく高固形物塗工を開示している。
【0010】
DE3924846A1は、少なくとも2μmの平均粒径を有する粗炭酸カルシウム60−95重量%および0.8μm未満の平均粒径を有する合成有機顔料5−40重量%から作られた顔料ブレンドを含む水性紙塗工組成物を開示している。
【0011】
通常、紙塗工工程で使用される炭酸カルシウム顔料などの顔料は、顔料製造業者(例えば、炭酸カルシウム製造業者)により、水性スラリーの形態で提供される。その後、塗工紙の製造業者が、紙塗工設備で最終組成物を調製する。既に上で概説したものと同じ理由により、粘度を許容できるレベルに維持しながら、これらのスラリーの固形分を可能な限り高くすべきである。固形分を最大にすることは、不必要な水の輸送を最小限とし、乾燥のためのエネルギー消費を減らすことを意味する。例えば、許容できる粘度を有し、光沢紙の調製を可能にする、現在使用されている水性炭酸カルシウムスラリーは、粗いものから非常に微細なBPSD(「広い粒度分布」)GCC(60から95%<2μm)まで、78重量%の最大固形分で利用可能である。超微細GCC(99%<2μm)が最大で送達され得る。75%およびNPSD(「狭い粒度分布」)GCCは、わずか72%である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3714107号明細書
【特許文献2】独国特許第2943653号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第3924846号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
高固形分塗工剤の調製に有用であり、光沢紙の製造を可能にもする炭酸カルシウムスラリーなどの水性鉱物スラリーを提供することが本発明の目的である。水性鉱物(例えば、炭酸カルシウム)スラリーは、高固形分、なお許容できるレベルであり加工性を損なわない粘度、および高光沢などの優れた光学的特性の間の最適化されたバランスを提供するはずである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本目的は、5.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが98.5%から90%であり、2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが96%から80%であり、P/P比が0.98から0.85である鉱物材料を含み、固形分が78重量%を超える水性スラリーを提供することにより解決される。
【0015】
本発明では、微細または非常に微細な粒子の主分画と組み合わせた、特定の割合の非常に粗い粒子を有する炭酸カルシウムなどの鉱物材料を、なお許容できるレベルの粘度を有する高固形分スラリーを調製するために使用することができることが分かった。さらに、鉱物材料は非常に粗い粒子を含むが、本発明の水性スラリーは、なお高光沢紙の製造を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、「スラリー」という用語は、顔料粒子が中に分散した懸濁液を指す。
【0017】
鉱物材料は、炭酸カルシウム、粘土またはこれらの混合物から選択することができる。
【0018】
好ましくは、鉱物材料は、天然重質炭酸カルシウムである。
【0019】
好ましくは、天然重質炭酸カルシウム(「GCC」としても知られている)は、大理石、石灰石、白亜またはこれらの混合物から選択される。好ましくは、天然重質炭酸カルシウムは、少なくとも95重量%、より好ましくは98重量%を超える炭酸カルシウムを含有する。GCCは、当業者に周知であり、例えば、Omyaから商業的に入手可能である。以下でさらに詳細に説明するように、上記および以下でさらに記載する粒度分布を有する水性スラリーのGCCは、2種以上のGCC出発物質を混合することにより得ることができる。これらのGCC出発物質は、商業的に入手可能な物質であり得るまたは商業的に入手可能なGCC物質をさらなる粉砕手順に供することにより得ることができる。
【0020】
好ましい実施形態では、鉱物材料、より好ましくは、天然重質炭酸カルシウムは、5.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが98.5%から91%、より好ましくは98%から93%である。
【0021】
好ましい実施形態では、鉱物材料、より好ましくは、天然重質炭酸カルシウムは、2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが95%から82%、より好ましくは95%から85%である。
【0022】
好ましくは、P/P比は0.96から0.85、より好ましくは、0.94から0.89である。
【0023】
好ましくは、スラリーは、少なくとも79重量%、より好ましくは、少なくとも80重量%、さらにより好ましくは、少なくとも80.5重量%の固形分を有する。上限に関しては、固形分は、83重量%以下、例えば、81重量%以下であり得る。
【0024】
本発明では、天然重質炭酸カルシウムなどの鉱物材料は、88%から60%、より好ましくは80%から65%のP重量%の1.0μm未満の直径を有する粒子を有し得る。
【0025】
/P比は、0.89から0.65、より好ましくは、0.85から0.70であり得る。
【0026】
/P比は、0.92から0.75、より好ましくは、0.90から0.76であり得る。
【0027】
好ましくは、天然重質炭酸カルシウムなどの鉱物材料は、0.40μmから0.75μm、より好ましくは、0.45μmから0.70μmの中央粒径d50を有する。
【0028】
本発明中、d50は、重量による中間の粒径、すなわち、粒子の50重量%がより粗いまたはより微細である粒径を表す。
【0029】
好ましくは、天然重質炭酸カルシウムなどの鉱物材料は、12m/gから19m/g、より好ましくは、14m/gから18m/gのBET比表面積を有する。
【0030】
好ましい実施形態では、水性スラリーの天然重質炭酸カルシウムなどの鉱物材料は、2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F1)が30%から45%、より好ましくは、35%から45%であり、中央粒径d50が2.0から3.0μm、より好ましくは、2.2μmから2.6μmである第1の分画と;2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F2)が85%から100%、より好ましくは、90%から96%であり、中央粒径d50が0.3から0.75μm、より好ましくは、0.4μmから0.6μmである第2の分画とを含有する。
【0031】
別の好ましい実施形態によると、鉱物材料(例えば、天然重質炭酸カルシウム)は、5.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F1)が75%から85%、より好ましくは、80%から85%であり、中央粒径d50が2.0から3.0μm、より好ましくは、2.3μmから2.7μmである第1の分画と;2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F2)が85%から100%、より好ましくは、95%から100%であり、中央粒径d50が0.3から0.65μm、より好ましくは、0.3μmから0.6μmである第2の分画とを含有する。好ましくは、第1の分画は、2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F1)が30%から45%、より好ましくは、35%から45%である。
【0032】
第1の分画は、1.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F1)が20%から22%である。
【0033】
好ましくは、第1の分画の中央粒径d50と第2の分画の中央粒径d50の比は、少なくとも3.5、より好ましくは少なくとも4.0である。
【0034】
好ましくは、第1の分画と第2の分画の重量比は、5/95から20/80、より好ましくは7/93から15/85である。
【0035】
第1の分画は、3.0m/gから4.5m/g、より好ましくは、3.5m/gから4.2m/gのBET比表面積を有し得る。
【0036】
第2の分画は、10m/gから22m/g、より好ましくは、16m/gから22m/gのBET比表面積を有し得る。
【0037】
スラリーは、分散化剤をさらに含んでよい。
【0038】
分散化剤は、当業者に一般的に知られているものから選択することができる。好ましくは、分散化剤は、ポリアクリレートから選択される。
【0039】
分散化剤は、乾燥固形物基準で、0.4重量%から0.9重量%、より好ましくは、0.4重量%から0.6重量%の量で存在することができる。
【0040】
既に上記のように、鉱物製造業者から鉱物(例えば、炭酸カルシウム)スラリーを得た後、塗工紙製造業者は、例えば、バインダー、特にラテックス粒子などのさらなる成分を添加することにより、塗工設備で最終塗工組成物を調製している。
【0041】
本発明のスラリーは、ラテックス粒子を含有しないことが好ましい。さらにより好ましくは、スラリーは、デンプン、ラテックス、ダイズタンパク質および/またはPVAなどのいずれのバインダーも含有しない。
【0042】
場合によって、粘土および/または天然重質炭酸カルシウムなどの鉱物材料に加えて、水性スラリーは、さらなる無機粒子を含有してよい。
【0043】
原則として、本発明のスラリーは、沈降炭酸カルシウム(PCCとしても知られている)を含んでもよい。しかしながら、スラリーがいかなるPCCも含有しないことがおそらく好ましい。
【0044】
本発明では、上記の鉱物材料、特に天然重質炭酸カルシウムは、水性スラリー中に存在する唯一の無機材料であることも好ましい。
【0045】
好ましくは、炭酸カルシウム、特に天然重質炭酸カルシウムは、鉱物材料の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、さらにより好ましくは少なくとも98重量%、最も好ましくは100重量%を示す。
【0046】
第2の態様によると、本発明はまた、5.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが98.5%から90%であり、2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが96%から80%である、P/P比が0.98から0.85である鉱物材料、好ましくは乾燥鉱物材料を提供する。
【0047】
本発明では、「乾燥」という用語は、好ましくは、10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、さらにより好ましくは2重量%未満の水分含量を有する材料を指す。
【0048】
本発明の第2の態様による鉱物材料のさらなる特性に関しては、本発明の第1の態様を定義する際に上で提供された記載を参照することができる。
【0049】
さらなる態様によると、本発明は、75.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F1)が5%から85%、好ましくは、80%から85%であり、中央粒径d50が2.0から3.0μm、好ましくは、2.3から2.7μmである鉱物材料の第1の分画F1が提供され;2.0μm未満の直径を有する粒子重量%P(F2)が85%から100%、好ましくは、95%から100%であり、中央粒径d50が0.3から0.65μm、好ましくは、0.3から0.6μmである鉱物材料の第2の分画F2が提供され;両分画が水に分散している、固形分が78重量%を超える水性スラリーを調製する方法を提供する。好ましくは、第1の分画は、2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F1)が30%から45%、より好ましくは、35%から45%である。
【0050】
第1の分画は、1.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F1)20%から22%を有することができる。
【0051】
好ましくは、第1の分画と第2の分画の重量比は、5/95から20/80、より好ましくは7/93から15/20である。
【0052】
さらに、第1の分画F1は、乾式鉱物材料として提供されてよく、別の好ましい実施形態では、第2の分画は、水性スラリーとして提供されてよい。
【0053】
鉱物材料は、炭酸カルシウム、粘土またはこれらの混合物から選択することができる。好ましくは、鉱物材料は、天然重質炭酸カルシウムである。
【0054】
第1の分画および第2の分画のさらなる特性に関して、ならびに最終ブレンドおよび水性スラリーの特性に関しては、本発明の水性スラリーを定義する際に上で提供された記載が参照される。
【0055】
各分画の粒度分布は、当業者に一般的に知られている方法により、例えば、従来の粉砕ステップにより、調節することができる。
【0056】
本発明による方法の好ましい実施形態では、分散化剤が、スラリーに添加される。分散化剤の種類および量に関しては、水性スラリーを検討する際に上記記述を参照する。
【0057】
さらなる態様によると、本発明は、ウエットエンド用途、塗工用途、塗料用途、充填材用途、コンクリートおよび/またはシーラントのための、上で定義した水性スラリーの使用を提供する。
【0058】
好ましくは、水性スラリーは、紙塗工に使用される。
【0059】
さらなる態様によると、本発明は、プラスチック用途、好ましくはプラスチック中のフィラーまたは添加物としての、本発明の第2の態様による鉱物組成物の使用を提供する。
【0060】
本発明は、ここで、以下の実施例を参照することにより、さらに詳細に記載される。
【実施例】
【0061】
I.測定方法
本発明の生成物および方法を定義するための上記全パラメーターは、以下の測定方法を使用することにより決定した。
【0062】
1.5.0μm未満、2.0μm未満および1.0μm未満直径を有するそれぞれの粒子の重量による中央粒径d50ならびに重量パーセント
本発明中、d50は、重量による中間の粒径、すなわち、粒子の50重量%がより粗いまたはより微細である粒径を表す。
粒径は、沈降法により測定した。沈降法は、重量測定フィールドにおける沈降挙動の分析である。測定は、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(商標)5100で行われる。方法および機器は、当業者に既知であり、フィラーおよび顔料の粒度を測定するために一般的に使用されている。測定は、0.1重量% Naの水溶液中で行われる。試料は、高速攪拌機および超音波を使用して分散した。
【0063】
2.比表面積(BET)
比表面積は、ISO9277による窒素およびBET法を使用して測定した。
【0064】
3.固形分
スラリーの固形分は以下のように測定した:固形分は、乾燥(IRランプまたはマイクロ波)で提供される特殊なスケールを使用することにより測定される。一定の試料重量に達した時(除去される水がそれ以上ない場合)に、最終固形物が得られる。
【0065】
4.粘度(ブルックフィールド)
スラリーのブルックフィールド粘度を以下のように測定した:スラリー粘度は、100rpmおよび20℃でブルックフィールド粘度計により評価される。
【0066】
5.シート光沢75°Tappi
シート光沢75°TappiをISO8254−1により測定した。
【0067】
II.鉱物スラリーの調製
[実施例1]
以下の特性を有する第1乾式天然重質炭酸カルシウムGCC(GCC1)を提供した:
50:2.5μm
81.4%<5.0μm
42.5%<2.0μm
BET比表面積:3.9m/g
【0068】
以下の特性を有する、ポリアクリレート分散剤の存在下で固形分78重量%の第2湿式天然重質炭酸カルシウムGCC(GCC2)を提供した:
50:0.55μm
100%<5.0μm
96.3%<2.0μm
78%<1.0μm
BET比表面積:16m/g
【0069】
GCC1およびGCC2を、GCC1/GCC2重量比5/95で混合した。
【0070】
最終GCC材料は、以下の特性を有した:
98.1%<5.0μm
93.3%<2.0μm
74.3%<1.0μm
50:0.58μm
【0071】
水性スラリーAS1は、80重量%に調節された固形分を有した。ブルックフィールド粘度:440mPas。
【0072】
[実施例2]
実施例2では、上記実施例1に記述と同じGCC1およびGCC2を使用した。
【0073】
GCC1およびGCC2を、GCC1/GCC2重量比8/92で混合した。
【0074】
最終GCC材料は、以下の特性を有した:
93.4%<5.0μm
91.8%<2.0μm
72.9%<1.0μm
50:0.59μm
【0075】
水性スラリーAS2は、80.3重量%に調節された固形分を有した。ブルックフィールド粘度:440mPas。
【0076】
[実施例3]
実施例3では、上記実施例1に記述と同じGCC1およびGCC2を使用した。
【0077】
GCC1およびGCC2を、GCC1/GCC2重量比10/90で混合した。
【0078】
最終GCC材料は、以下の特性を有した:
96.6%<5.0μm
90.1%<2.0μm
71.2%<1.0μm
50:0.60μm
【0079】
水性スラリーAS3は、80.4重量%に調節された固形分を有した。ブルックフィールド粘度:380mPas。
【0080】
[実施例4]
実施例4では、上記実施例1に記述と同じGCC1およびGCC2を使用した。
【0081】
GCC1およびGCC2を、GCC1/GCC2重量比16/84で混合した。
【0082】
最終GCC材料は、以下の特性を有した:
94.8%<5.0μm
88.5%<2.0μm
68.1%<1.0μm
50:0.63μm
【0083】
水性スラリーAS4は、80.2重量%に調節された固形分を有した。ブルックフィールド粘度:420mPas。
【0084】
[実施例5]
実施例5では、上記実施例1に記述と同じGCC1およびGCC2を使用した。
【0085】
GCC1およびGCC2を、GCC1/GCC2重量比20/80で混合した。
【0086】
最終GCC材料は、以下の特性を有した:
93.7%<5.0μm
83.4%<2.0μm
65.1%<1.0μm
50:0.66μm
【0087】
水性スラリーAS5は、80.8重量%に調節された固形分を有した。ブルックフィールド粘度:430mPas。
【0088】
[比較実施例1]
以下の特性を有する、ポリアクリレート分散剤の存在下で固形分78重量%の湿式天然重質炭酸カルシウムGCC6を提供した:
100%<5.0μm
95%<2.0μm
80%<1.0μm
50:0.55μm
【0089】
したがって、実施例1から5と対比すると、比較実施例1で使用したGCC材料中には、非常に粗い粒子(すなわち、5.0μmを超える直径を有する粒子)は存在しなかった。
水性スラリーAS6は、78重量%の固形分を有していた。このスラリーは、約300mPasブルックフィールド粘度を有していた。しかしながら、固形分が約80重量%まで増加すると、粘度が激しく増加し、これ以上スラリーをポンプで汲み出すことができなかった、すなわち、これ以上加工することができなかった。
【0090】
III.紙塗工への鉱物スラリーの使用
上記の本発明の炭酸塩スラリーAS2およびAS4を使用して、紙塗工組成物C2およびC4を調製した。比較実施例1のスラリーAS6から、紙塗工組成物C6を調製した。
【0091】
GCC成分に加えて、各紙塗工組成物はまた、スチレン−ブタジエンSBラテックスバインダー、ポリ酢酸ビニルPVA分散化剤および合成増粘剤を含有していた。
【0092】
各試料について、GCC、SBラテックス、PVAおよび増粘剤の重量比は同じ、すなわち、100部GCC、9部SBラテックス、0.4部PVAおよび0.1部増粘剤であった。
【0093】
各紙塗工組成物C2、C4およびC6について、最大固形分は、パイロットコーター試験を実施することにより測定した;完全にきれいなブレードおよび許容できるブレード荷重に達するまで(最大ブレード偏向(荷重)8mm、硬いブレードモーダス(modus))、試験毎に必要とされる希釈をした。結果を表1に示す。
【0094】
紙塗工組成物C2、C4およびC6を、紙の上に塗布し、シート光沢75°Tappiを各紙について測定した。結果を表1に要約する。
【0095】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
5.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが98.5%から90%であり、2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが96%から80%であり、P/P比が0.98から0.85である鉱物材料を含む水性スラリーであって、該スラリーが78重量%を超える固形分を有する水性スラリー。
【請求項2】
上記鉱物材料が、炭酸カルシウム、粘土またはこれらの任意の混合物から選択され、より好ましくは、天然重質炭酸カルシウムから選択される、請求項1に記載のスラリー。
【請求項3】
上記天然重質炭酸カルシウムが、大理石、石灰石、白亜またはこれらの任意の混合物から選択される、請求項2に記載のスラリー。
【請求項4】
上記鉱物材料が、1.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが88%から60%であり、および/またはP/P比が0.75から0.65である、請求項1から3のいずれか一項に記載のスラリー。
【請求項5】
ラテックス粒子を含有しない、請求項1から4のいずれか一項に記載のスラリー。
【請求項6】
上記天然重質炭酸カルシウムが、5.0μm未満の直径を有する粒子の重量%7P(F1)が5%から85%であり、中央粒径d50が2.0から3.0μmである第1の分画と、2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F2)が85%から100%であり、中央粒径d50が0.3から0.65μmである第2の分画とを含有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のスラリー。
【請求項7】
第1の分画の中央粒径d50と第2の分画の中央粒径d50の比が、少なくとも3.5である、請求項6に記載のスラリー。
【請求項8】
第1の分画と第2の分画の重量比が、5/95から20/80である、請求項6または請求項7に記載のスラリー。
【請求項9】
5.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが98.5%から90%であり、2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%Pが96%から80%であり、P/P比が0.98から0.85である鉱物材料。
【請求項10】
上記鉱物材料が乾燥鉱物材料である、請求項9に記載の鉱物材料。
【請求項11】
固形分が78重量%を超える水性スラリーを調製する方法であって、5.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F1)が75%から85%であり、中央粒径d50が2.0から3.0μmである鉱物材料の第1の分画F1が設けられ、2.0μm未満の直径を有する粒子の重量%P(F2)が85%から100%であり、中央粒径d50が0.3から0.65μmである鉱物材料の第2の分画F2が設けられ、両分画が水に分散している、上記方法。
【請求項12】
第1の分画と第2の分画の重量比が、5/95から20/80である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1の分画F1が、乾式鉱物材料として設けられる、請求項11または請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第2の分画が、水性スラリーとして設けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
分散化剤がスラリーに添加される、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ウエットエンド用途、塗工用途、特に、紙塗工、塗料用途、充填材用途、コンクリートおよび/またはシーラントのための、請求項1から8のいずれか一項に記載の水性スラリーの使用。
【請求項17】
プラスチック用途における、請求項9または請求項10に記載の鉱物材料の使用。

【公表番号】特表2013−505374(P2013−505374A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530241(P2012−530241)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063866
【国際公開番号】WO2011/033119
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(505018120)オムヤ・デイベロツプメント・アー・ゲー (31)
【Fターム(参考)】