説明

紙容器

【課題】紙容器に設ける機械読取情報と文字列情報との情報を陳列時形態では外部から見えないようにした秘匿情報とし、商品の正規の購入者は簡単な操作で確認できるようにし、秘匿情報の提供に適した紙容器を得る。
【解決手段】スリーブ2に容器本体3を収納して容器本体3の開放上面がスリーブ2で覆われている紙容器形態を陳列時形態とし、この陳列時形態でのスリーブ構成板における外方に対して非表出である目視不能な位置に、二次元コードなどの機械読取情報19と文字列情報20とからなる秘匿情報18を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は菓子類などを収容し、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売り店舗で陳列販売される紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から菓子、特に個包装されたチョコレート菓子を複数収容した容器としては、平板状のスリーブに上方を開放したトレイ状の容器本体をスライド可能に収納した紙容器が多く流通していて、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでの小売り店舗においてこの紙容器を透明な包装フィルムで包んだ商品としで陳列販売されている。
そして、このような商品においても販売促進などを目的として懸賞を伴なう各種のキャンペーンが企画される場合があり、商品購入者がキャンペーンへの申し込みを行なう上での情報を商品に設けたり、申し込み資格を獲得するための当たり外れのあるクジの仕組みをその商品に設けることが行なわれていた。
このキャンペーン申し込み情報やクジを有するようにした商品にあっては、この商品自体が小売り店舗で陳列され、店舗側の顧客が手軽に商品を取り扱えることから、申し込み情報やクジが、商品購入者ではない顧客には見ることができないようにする必要があり、例えば特許文献1に示されているように、収納物の包装フィルムの内面に申し込み情報やクジなどの表示を行なうようにして、陳列時形態のままではその表示を目視できないようにした工夫が提案されていた。
【0003】
一方、携帯電話のカメラ撮影で獲得した情報に基づいてその携帯電話からインターネント上のサイトに接続し、そのサイトで掲載されている各種の情報を入手したり、サイトでのゲームに参加できるようにしたサービスが提供されるようになってきている。
そして、携帯電話のカメラを用いた情報の取得や携帯電話によるインターネット上のサイトへの接続も手数を要せずに行なえることから、上述した商品に係るキャンペーンの申し込み情報やクジ情報などを携帯電話を用いても取得できる表示にしてその商品に設けることが試みられるようになってきた。
【特許文献1】実開昭61−097162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した携帯電話のカメラを用いて情報を獲得する場合に適する表示としてQRコードに代表される二次元コードなどの機械読取情報がある。この機械読取情報を上記商品の外表面に目視できる位置に設けた際、小売り店舗での購入者以外の顧客が不正に情報を入手し易いかどうかの検討が行なわれているが、店員が存在することと、携帯電話を取り出して商品をカメラ撮影する動作を行なう必要があるため、携帯電話を用いた情報の不正取得は起き難いと考えられている。そのため、現状の商品ではその商品の外表面で目視容易な位置に機械読取情報を記載することが行なわれている。
【0005】
そして、上記機械読取情報を、携帯電話の機能でインターネット上のサイトに接続できるようにURLなどのアクセス情報と、サイトに接続してからそのサイトでのサービスを受けることができるか否かなどのクジ情報のような役割を果たすエントリー情報との組み合せとしていて、この両者の情報を一つの機械読取情報にしていることが多い。
このように二次元コード(例えばQRコード)には、URLの他にユニーク(唯一無二)な番号(エントリー情報)が変換されている場合がある。つまり、QRコードを読み取るとURLによりサイトにアクセスし、次いで、ユニークな番号によりキャンペーンの当否が判るようにすることがある。よって、QRコードだけで対応でき、文字列情報などを必要としない場合がある。
【0006】
また、一方、インターネット上の上記サイトでのサービスを受けることができるかどうか遊技性をもった顧客サービスを、携帯電話を使用しない購入者がパソコンを利用したインターネット接続をして受けることができるようにしたいとの要望もでてきている。そのため、アクセス情報である固定値のURLと、商品個々に異なるユニーク値で構成されたエントリー情報の文字列情報とを、機械読取情報に並べて記載することが検討された。
【0007】
しかしながら、エントリー情報を文字列情報として表現した場合、小売り店舗において商品購入者以外の顧客が黙読して記憶し、不正に取得したエントリー情報を利用してパソコンなどによりサイトのサービスを受ける可能性がある。また、上記機械読取情報と、URLや文字列情報とを共に商品の外表面に設けると、商品の情報表示スペースが制限されたり、商品外観を損なうという問題も発生してきた。
そこで本発明は上記事情に鑑み、菓子類などの収納物を収容した紙容器に設ける機械読取情報と文字列情報との情報を、その陳列時形態の時点では外部から見えないようにした秘匿情報とし、商品の正規の購入者がその秘匿情報を確認する場合には、機械読取情報と文字列情報との何れも簡単に選択できるようにすることを課題とし、秘匿情報の提供に適した紙容器を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、上方が開放されている略トレイ状の容器本体がスリーブにスライド可能に収納されている紙容器において、スリーブに容器本体を収納して容器本体の開放上面がスリーブで覆われている紙容器形態を陳列時形態とし、この陳列時形態での前記スリーブ構成板における外方に対して非表出である目視不能な位置に、秘匿情報が設けられていることを特徴とする紙容器を提供して、上記課題を解消するものである。
【0009】
(請求項2の発明)
そして、本発明において、上記秘匿情報はスリーブの端部開口側に設けられているものとすることが良好である。
【0010】
(請求項3の発明)
また、本発明において、上記スリーブ構成板の容器内方側となる内面それぞれはスリーブに収納された上記容器本体が相対して上記目視不能な位置とされていて、スリーブ構成板の前記内面に上記秘匿情報を設けてなる情報隠蔽部が、該スリーブ構成板から舌片状に切り開き可能に設けられているものとすることが良好である。
【0011】
(請求項4の発明)
また、本発明において、上記情報隠蔽部はスリーブの端部開口側に設けられているものとすることが良好である。
【0012】
(請求項5の発明)
また、本発明において、上記秘匿情報は、二次元コードなどの機械読取情報と文字列情報とからなるもとすることが良好である。
【0013】
(請求項6の発明)
また、本発明において、上記秘匿情報の機械読取情報と文字列情報とは、箱本体個々に異なるユニーク値を共に含んでいるものとすることが良好である。
【発明の効果】
【0014】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、紙容器が陳列時形態であれば秘匿情報が目視できず、文字列情報を商品購入者ではない者が取得することを防止できる。また、陳列時形態で表示すべき商品情報を設けるスペースが狭められることがないとともに、違和感を生じ易い機械的な機械読取情報や文字列情報などの秘匿情報が顧客の目には止まることがなく、よって商品の外観を損なうことがない。
【0015】
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明により、容器本体をスリーブから抜いたりずらしたりすることで極めて簡単に秘匿情報の位置を確認することができる。
【0016】
(請求項3の発明の効果)
請求項3の発明により、秘匿情報を設けた情報隠蔽部を舌片状に切り開くことができるので、秘匿情報をスリーブの形状に影響されることなく見易い状態にすることが容易である。
【0017】
(請求項4の発明の効果)
請求項4の発明により、情報隠蔽部に指先などを掛け易くなってこの隠蔽情報記載部の切り開く操作が頗る簡単になる。
【0018】
(請求項5の発明の効果)
請求項5の発明により、携帯電話のイメージ処理機能を利用した情報取得やパソコンを利用した情報取得が行ない易くなるとともに、目視による不正な情報取得を抑止する上で効果が期待できる。勿論、この発明での文字列情報は単に目視しただけでは意味をなさない文字並びのものである。
【0019】
(請求項6の発明の効果)
請求項6の発明により、秘匿情報の送信者側からのその秘匿情報の利用回数を秘匿情報の受信者側で把握するシステムを組むことができ、不正アクセスの防止に効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
つぎに本発明を図1から図8に示す実施の例に基づいて詳細に説明する。
図中1は紙容器で、該紙容器1は略平板状とされたスリーブ2と、このスリーブ2の端部開口に挿し入れてスライド可能に収納されるトレイ状の容器本体3とからなるものである。
(第一の例)
(スリーブ)
前記スリーブ2は図2の展開したブランクで示すようにスリーブ構成板であるスリーブ上面板4とスリーブ側面板5とスリーブ底面板6と糊代aが折り罫を介して連接され、前記糊代aを組み起こしで相対するスリーブ側面板5に貼着する胴貼りをして角筒状にしている。
(容器本体)
また、容器本体3は本体底部の四方に側壁が起きて上方が開放された形状となるように複数の容器本体構成板を折り罫を介して連接したブランクを組み起こしたものであり、図3の展開したブランクで示すごとく、底面板7のスライド方向に沿った辺側(図上長辺側)に側面板8が連接されてその側面板8の端辺にフラップ9を連接している。さらに底面板7のスライド方向に相対する辺側(図上短辺側)に側面板10が連接されているとともに、その側面板10それぞれの上辺(容器高さ方向での上辺)に折り罫を介して内折り板11が連接されており、ブランクの折り起こしに際して前記側面板10の容器内方側に側面板8のフラップ9を折り入れ、さらに前記内折り板11を容器内方側であって側面板10の基端から底面板中央側に寄った位置に接するように折り倒して傾斜させ、図4に示すごとく底面板7に沿うように折り返した下辺部12を底面板7の切り込みbに係止させて止めている。
なお、容器本体3において上記フラップ9は側面板10の内面に折り重なっているものであるが、図4において説明を容易にするためにこのフラップ9は図示していない。
【0021】
(陳列時形態)
スリーブ2の各スリーブ構成板(スリーブ上面板4とスリーブ側面板5とスリーブ底面板6と糊代a)の内面それぞれは、スリーブ2に上記容器本体3をスライド収納するとその容器本体3と相対する部分であり、スリーブ2に容器本体3を収納しその容器本体3の上方開放部分がスリーブ上面板4で覆われて、容器全体で平板状となる形態、即ち、陳列時形態では外部からは前記スリーブ構成板の内面が容器本体3の存在によって直接目視できないようになる。
勿論、スリーブ2の外周面は商品化粧面や商品情報表示面であり、陳列時形態でも目視できる位置である。
このように容器本体3がスリーブ2に収納された陳列時形態では、スリーブ上面板4とスリーブ側面板5とスリーブ底面板6と糊代aの各内面が外方に対して非表出である目視不能な位置となっている。
【0022】
(スリーブ側面板の情報隠蔽部)
図2の展開のブランクと図5とに示すように、糊代aと貼り合わせを行なわないスリーブ側面板3には、スリーブ2の一方の端部開口縁側からスリーブ上面板4との間の折り罫位置と、スリーブ底面板6との間の折り罫位置とに沿って所要の長さにして切り取り線14が設けられているとともに、これら切り取り線14の端部開口側とは反対の位置の端部に連続するようにして縦折り罫15が設けられていて、前記上下の切り取り線14とこの切り取り線14に連続する縦折り罫15とで舌片形状の情報隠蔽部16が区画形成されており、前記切り取り線14の切断による切り開きで、情報隠蔽部16が、前記縦折り罫15を中心としてスリーブ2の側方に向けて回動できるようにしている(図5参照)。
上記情報隠蔽部16自体はこの紙容器1の陳列時形態において上述したように容器本体3と相対する部分にあり、情報隠蔽部16の内面は陳列時形態では目視不能な位置にある。そして、前記スリーブ側面板5の内面である情報隠蔽部16の内面を情報記載面17としていて、この情報記載面17に秘匿情報18が設けられている。前記秘匿情報18は二次元コードなどの機械読取情報19と文字列情報20とを並べたものである。
【0023】
陳列時形態となっている紙容器1において、上記情報隠蔽部16に記載されている秘匿情報18を確認する場合には、スリーブ2から容器本体3を引き出す。そして、スリーブ側面板5から情報隠蔽部16を側方に向けて切り開くようにする。前記情報隠蔽部16を切り開かなくとも容器内方側から秘匿情報18を確認できるが、情報隠蔽部16を側方に開くようにすれば、秘匿情報18がより一層確認し易くなる。
【0024】
秘匿情報18は上述したように紙容器1の陳列時形態での容器本体3の存在によって隠れて直接には見ることのできない目視不能な位置にあればよく、スリーブ側面板5の容器内方での端部開口側となる位置に限定されず、情報隠蔽部16もスリーブ側面板5から側方に向けて横開きするように切り開かれるものに限定されない。その他の例を以下に示した。
【0025】
(第二の例)
(情報隠蔽部)
図6と図7とは第二の例を示すもので、上記情報隠蔽部16を配するスリーブ構成板がスリーブ上面板5であり、そのスリーブ上面板5の端部開口側の部分においてスリーブ上面板4から上方に向けて切り開くようにしている点で上記の例を相違している。
図示されているようにスリーブ上面板4には、端部開口側の辺での略中央分を間にして二本の切り取り線14がスリーブ長手方向に向けて所要長さにして入れられているとともに、その切り取り線14の端部開口側とは反対の端部に連続するようにして端部開口の間口方向に沿った横折り罫21を入れて、前記切り取り線14と前記横折り罫21とで区画された情報隠蔽部16が設けられている。
そして、スリーブ2から容器本体3を引き出した後に上記切り取り線14を切断して情報隠蔽部16が上方に向けておきるようにして舌片状に切り開くことができ、容器内方に向く内面を情報記載面17として、この情報記載面17に上記例と同じように機械読取り情報19と文字列情報20とを並べ設けた秘匿情報18が記載されている。
よって、情報隠蔽部16を切り起こすようにすることで、情報記載面17に記載された秘匿情報18より確認し易くなる。
【0026】
(第三の例)
(情報隠蔽部)
図8は第三の例を示している。この第三の例では紙容器の陳列時形態でスリーブ底面板6の端部開口側の内面を情報記載面17とされ、この情報記載面17に秘匿情報18が記載されていて、容器本体3を引き抜いたり端部開口からズラすという簡易な操作で前記秘匿情報18を確認することができるようにしている。
なお、スリーブ底面板6の端部開口側に上記例と同じように切り開きする形式の情報隠蔽部を形成することも可能であるが、情報隠蔽部を下方に向けて降りるように切り開いた後、容器本体3をスリーブ2にズレた収納状態のまま容器全体を反転させて収納物が落下する可能性もあるため、スリーブ底面板6に秘匿情報を配する場合には第三の例として示した形態が望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る紙容器の第一の例を示す説明図である。
【図2】第一の例におけるスリーブを展開したブランクで示す説明図である。
【図3】第一の例における容器本体を展開したブランクで示す説明図である。
【図4】第一の例における容器本体を示す説明図である。
【図5】第一の例においてスリーブ側面板の情報隠蔽部を切り開いた状態を示す説明図である。
【図6】第二の例におけるスリーブを展開したブランクで示す説明図である。
【図7】第二の例において情報隠蔽部を切り開いた状態を示す説明図である。
【図8】第三の例におけるスリーブを示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1…紙容器
2…スリーブ
3…容器本体
7…底面板
8…側面板
10…側面板
11…内折り板
14…切り取り線
15…縦折り罫
16…情報隠蔽部
17…情報記載面
18…秘匿情報
19…機械読取情報
20…文字列情報
21…横折り罫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開放されている略トレイ状の容器本体がスリーブにスライド可能に収納されている紙容器において、
スリーブに容器本体を収納して容器本体の開放上面がスリーブで覆われている紙容器形態を陳列時形態とし、この陳列時形態での前記スリーブ構成板における外方に対して非表出である目視不能な位置に、秘匿情報が設けられていることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
上記秘匿情報はスリーブの端部開口側に設けられている請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
上記スリーブ構成板の容器内方側となる内面それぞれはスリーブに収納された上記容器本体が相対して上記目視不能な位置とされていて、スリーブ構成板の前記内面に上記秘匿情報を設けてなる情報隠蔽部が、該スリーブ構成板から舌片状に切り開き可能に設けられている請求項1に記載の紙容器。
【請求項4】
上記情報隠蔽部はスリーブの端部開口側に設けられている請求項3に記載の紙容器。
【請求項5】
上記秘匿情報は、二次元コードなどの機械読取情報と文字列情報とからなるものである請求項1から4の何れか一項に記載の紙容器。
【請求項6】
上記秘匿情報の機械読取情報と文字列情報とは、箱本体個々に異なるユニーク値を共に含んでいる請求項5に記載の紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−143577(P2009−143577A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320197(P2007−320197)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】