説明

紙容器

【課題】 軽い力で胴部を変形させて凹部を形成し、この凹部を指掛かりとして掴み易くした紙容器を得る。
【解決手段】 切妻屋根型の紙容器において、開口部30を設けた切妻屋根形成パネル13に連接される胴部パネル5に、胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2と頂部横折線11との交点又は交点近傍から、胴部縦折線1,2の底部横折線31側へ向かう所定の位置に繋がる互いに内向きの概ね円弧状の第1補助折線40,41をそれぞれ設け、また、胴部パネル5から胴部パネル5の両側に連接されている左右の胴部パネル4,6に渡って、それぞれの第1補助折線40,41の概ね中間位置から、胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2を跨いで、左右の胴部パネル4,6の他側の胴部縦折線8,3と頂部横折線19,20との交点又は交点近傍に繋がる下向きの概ね円弧状の第2補助折線42,43をそれぞれ設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳やジュース等の飲料液体を収容する切妻屋根型頂部を有する紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
牛乳カートンに代表される飲料用の紙容器として、表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、胴部縦折線を介して連接される4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて四角の筒状の胴部が形成され、前記胴部パネルの上端に互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、互いに対向する一対の妻壁形成パネルが頂部横折線を介して連接され、前記一対の切妻屋根形成パネルの間に前記一対の妻壁形成パネルが折り込まれて頂部が形成され、前記一対の切妻屋根形成パネルの何れか一方の切妻屋根形成パネル又は前記一対の妻壁形成パネルの何れか一方の妻壁形成パネルに開口部を設けた切妻屋根型の紙容器(ゲーブルトップ型)が広く使用されている。
【0003】
このような紙容器にあって、内容物を注出する場合、一般に、開口部側の後側から左右の胴部を挟むようにして掴み、紙容器を傾斜させるようにしているが、胴部を挟むようにして掴んだとき、指に引っ掛かりが無く、指で掴むのが極めて不安定で、特に、紙容器の容量が大きい場合や紙容器の表面に水滴が付いているような場合など、滑りやすく落としてしまうことがあるといった問題があった。
【0004】
かかる問題を解決するものとして、図8,図9に示すように、開口部50を設けた切妻屋根形成パネル51に連接されている胴部パネル52に、胴部パネル52の両側の胴部縦折線53,54と頂部横折線55との交点近傍から、胴部縦折線53,54と底部横折線56との交点近傍に繋がる互いに内向きの概ね曲線状の第1補助折線57,58がそれぞれ設けられ、胴部パネル52から、胴部パネル52の両側に連接されている左右の胴部パネル59,60に渡って、それぞれの第1補助折線57,58の長さ方向中間位置から、胴部パネル52の両側の胴部縦折線53,54を跨いで、左右の胴部パネル59,60の他側の胴部縦折線61,62とに繋がる第2補助折線63,64がそれぞれ設けられており、この第2補助折線63,64は、胴部パネル52の両側の胴部縦折線53,54を1本の折線で直交状態で跨ぎ、2本に分岐して横方向に伸び第1補助折線57,58及び左右の胴部パネル59,60の他側の胴部縦折線61,62に繋がっている紙容器が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このように構成された紙容器にあっては、使用に際し、胴部65における胴部パネル52の両側の胴部縦折線53,54と第2補助折線63,64との交点付近を押圧して凹まし、第1補助折線57,58を山折状態とし、第2補助折線63,64を谷折状態とすることにより左右の胴部パネル59,60の高さ方向中間部に凹部を形成し、この凹部を指掛かりとして掴み易くしようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2009/141389 A2号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1で開示された紙容器によれば、使用に際し、胴部65における胴部パネル52の両側の胴部縦折線53,54と第2補助折線63,64との交点付近を押圧して凹ます力を加えたとき、第2補助折線63,64は胴部パネル52の両側の胴部縦折線53,54を直交状態で跨いでいるので、胴部縦折線53,54の位置で形成される胴部65の山角部aが胴部縦折線53,54と第2補助折線63,64との交点を挟んで均等に対向して押し合うことになり、当該部分を凹ますには強い力を要し、安易に強い力で押圧すると当該部分にある胴部縦折線53,54で形成される山角部aが崩れてしまい、この結果、第1補助折線57,58が山折状態に、そして第2補助折線63,64が谷折状態に折れることは期待できない。特に、容量が大きい紙容器の場合は板紙素材の坪量を高くするため、一層このようなことが言える。
【0008】
このように、上記の紙容器にあっては、胴部65における胴部パネル52の両側の胴部縦折線53,54と第2補助折線63,64との交点付近を凹まし難く、胴部パネル52と、胴部パネル52の両側に連接されている左右の胴部パネル59,60を第1補助折線57,58と第2補助折線63,64に沿って折るためには面倒な作業を要することとなり、かえって使用を面倒にすることにもなるといった問題があった。
【0009】
本発明の目的は、軽い力で胴部を変形させて凹部を形成し、この凹部を指掛かりとして掴み易くした紙容器を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、胴部縦折線を介して連接される4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて四角の筒状の胴部が形成され、前記胴部パネルの上端に互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、互いに対向する一対の妻壁形成パネルが頂部横折線を介して連接され、前記一対の切妻屋根形成パネルの間に前記一対の妻壁形成パネルが折り込まれて頂部が形成され、前記一対の切妻屋根形成パネルの何れか一方の切妻屋根形成パネル又は前記一対の妻壁形成パネルの何れか一方の妻壁形成パネルに開口部を設けた切妻屋根型の紙容器において、前記開口部を設けた切妻屋根形成パネル又は妻壁形成パネルに連接される1の胴部パネルに、1の胴部パネルの両側の前記胴部縦折線と前記頂部横折線との交点又は交点近傍から、前記胴部縦折線の底部横折線側へ向かう所定の位置に繋がる互いに内向きの概ね円弧状の第1補助折線がそれぞれ設けられ、また、前記1の胴部パネルから前記1の胴部パネルの両側に連接されている左右の胴部パネルに渡って、前記それぞれの第1補助折線の概ね中間位置から、前記1の胴部パネルの両側の前記胴部縦折線を跨いで、前記左右の胴部パネルの他側の前記胴部縦折線と前記頂部横折線との交点又は交点近傍に繋がる下向きの概ね円弧状の第2補助折線がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記1の胴部パネルの両側の前記胴部縦折線と前記第2補助折線との交点が、胴部の縦方向の上端側から胴部縦方向全長の1/4〜1/2の範囲に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の紙容器によれば、前記第1補助折線の概ね中間位置から、前記1の胴部パネルの両側の前記胴部縦折線を跨いで、前記左右の胴部パネルの他側の前記胴部縦折線に繋がる前記第2補助折線は下向きの概ね円弧状となっているので、前記第2補助折線は前記1の胴部パネルの両側の前記胴部縦折線に傾斜状態で跨ることになり、前記1の胴部パネルの両側の胴部縦折線と第2補助折線との交点付近を押圧したとき、胴部縦折線の位置で形成される胴部の山角部が第2補助折線との交点を挟んで凹み方向へ押し合ったときに、山角部に掛かる押圧作用がずれて掛かることになり、山角部における第2補助折線との交点部分が変形し易く、また、前記第2補助折線は下向きの概ね円弧状となっているので、胴部縦折線の位置で形成される山角部における第2補助折線との交点部分の凹み方向への変形に伴って、前記1の胴部パネル及び前記左右の胴部パネルに作用する力が第2補助折線を谷折させる力となって作用し、下向きの概ね円弧状となっている第2補助折線は容易に谷折りされ、同時に、前記第1補助折線を山折りさせる力となって作用し、前記第1補助折線も概ね円弧状となっているので容易に山折りされることになることから、紙容器の胴部を前記第1補助折線及び前記第2補助折線に沿って軽い力で容易に変形させることができる。
【0013】
そして、変形した紙容器の胴部は、前記1の胴部パネルの両側の胴部縦折線と第2補助折線との交点付近が凹み、この凹みに連なって前記1の胴部パネル及び前記左右の胴部パネルも凹み、その結果として、前記左右の胴部パネルにおける谷折りされた第2補助折線の上側が外側に向かうが、第2補助折線は下向きの概ね円弧状であるので、外側に向かう左右の胴部パネルにおける第2補助折線の上側面が第2補助折線から緩やかに膨出した状態となり、開口部側の後側から左右の胴部パネルの凹み部分を挟むようにして掴んだとき、左右の胴部パネルにおける第2補助折線の上側の膨出した上側面に指が掛かり持ち易く、特に、紙容器の容量が大きい場合や紙容器の表面に水滴が付いているような場合でも、容易に使用することができる。
【0014】
さらに、板紙素材の坪量が低い紙容器の場合、剛度が低くなり胴膨れが発生して持ち難くなるが、1の胴部パネルに設けられた第1補助折線と、1の胴部パネルから1の胴部パネルの両側に連接されている左右の胴部パネルに渡って設けられている第2補助折線がリブ効果を発揮して紙容器の剛度を高め、紙容器の胴膨れを抑えることができ、また前記のように第2補助折線が谷折りし易いので、胴膨れした状態でも左右の胴部パネルに容易に凹みを形成することができることから、板紙素材の坪量が低い紙容器であっても容易に掴むことができる。
【0015】
請求項2に記載の紙容器によれば、請求項1に記載の、前記1の胴部パネルの両側の前記胴部縦折線と前記第2補助折線との交点が、胴部の縦方向の上端側から胴部縦方向全長の1/4〜1/2の範囲に位置しているので、前記1の胴部パネルの両側の胴部縦折線と第2補助折線との交点付近を押圧したとき形成される前記1の胴部パネルの両側の胴部縦折線と第2補助折線との交点付近の凹みは、胴部の縦方向の中央から上側に形成されることから、開口部側の後側から左右の胴部パネルの凹み部分を挟むようにして掴んだとき、掴んだ位置より下側の方が上側の方よりも重い重量配分となり、安定した状態で掴むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る紙容器の第1実施例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す紙容器の正面図である。
【図3】図1に示す紙容器の組立加工前のカートンブランクを示す展開図である。
【図4】図1に示す紙容器の胴部を押圧して変形させた状態を示す正面図である。
【図5】図4に示す変形させた紙容器を掴んだ状態を示す側面図である。
【図6】本発明に係る紙容器の第2実施例を示す斜視図である。
【図7】図6に示す紙容器の組立加工前のカートンブランクを示す展開図である。
【図8】従来の紙容器を示す斜視図である。
【図9】図8に示す紙容器の組立加工前のカートンブランクを示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る紙容器を実施するための形態を、図面に示す実施例にて詳細に説明する。
図1乃至図5は本発明に係る紙容器の第1実施例を示したもので、図1は本発明に係る紙容器の第1実施例を示す斜視図、図2は図1に示す紙容器の正面図、図3は図1に示す紙容器の組立加工前のカートンブランクを示す展開図、図4は図1に示す紙容器の胴部を押圧して変形させた状態を示す正面図、図5は図4に示す変形させた紙容器を掴んだ状態を示す側面図である。
【0018】
本例の紙容器は、表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、胴部縦折線1,2,3を介して4つの胴部パネル4,5,6,7を備え、胴部パネル4に胴部縦折線8を介して連接した縦方向シールパネル9によって縁部が接合されて四角の筒状の胴部10が形成されている。
【0019】
胴部10の対向する胴部パネル5,7の上端には、頂部横折線11,12を介して互いに対向する一対の切妻屋根形成パネル13,14が連接されている。この一対の切妻屋根形成パネル13,14の上部には、シール横折線15,16を介して外側トップシールパネル17,18が連接されている。また、胴部10の他の対向する胴部パネル4,6の上端には、頂部横折線19,20を介して一対の妻壁形成パネル21,22が連接されている。この一対の妻壁形成パネル21,22の上部には、シール横折線23,24を介して内側トップシールパネル25,26が連接されている。
【0020】
そして、一対の妻壁形成パネル21,22には、胴部パネル4,6との境界の頂部横折線19,20の両端から内側トップシールパネル25,26との境界のシール横折線23,24の中央に繋がる折込線27,28が設けられており、一対の妻壁形成パネル21,22が折込線27,28で折られて一対の切妻屋根形成パネル13,14の間に折り込まれ、外側トップシールパネル17,18及び内側トップシールパネル25,26が所定の位置で加熱されシールされて密封されることによって切妻屋根型の頂部29が形成されている。本例では、切妻屋根形成パネル13に開口部30となる口栓が取り付けられている。
【0021】
また、胴部10の対向する胴部パネル5,7の下端には、底部横折線31,32を介して互いに対向する一対の外側パネル33,34が連接され、筒状胴部10の他の対向する胴部パネル4,6の下端には、底部横折線35,36を介して一対の内側パネル37,38が連接され、一対の外側パネル33,34の間に一対の内側パネル37,38が折り込まれ、加熱されてシールされ密封されることによって底部39が形成されている。
【0022】
前記胴部10を構成する胴部パネル4,5,6,7のうち、開口部30が取り付けられている切妻屋根形成パネル13に頂部横折線11を介して連接する胴部パネル5に、胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2と頂部横折線11との交点又は交点近傍から、胴部縦折線1,2の底部横折線31側へ向かう所定の位置に繋がる互いに内向きの概ね円弧状の第1補助折線40,41がそれぞれ設けられている。
【0023】
また、胴部パネル5と、胴部パネル5の両側に胴部縦折線1,2を介して連接されている左右の胴部パネル4,6には、胴部パネル5から左右の胴部パネル4,6に渡って、それぞれの第1補助折線40,41の概ね中間位置から、胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2を跨いで、左右の胴部パネル4,6の他側の胴部縦折線8,3と頂部横折線19,20との交点又は交点近傍に繋がる下向きの概ね円弧状の第2補助折線42,43がそれぞれ設けられている。
本例では、胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交点Cが、胴部10の縦方向の上端側から胴部縦方向全長の1/4〜1/2、好ましくは1/4〜1/3の範囲に位置している。
【0024】
上記のように構成された第1実施例の紙容器によれば、紙容器の使用に際し、図2に示すように、開口部30が取り付けられている切妻屋根形成パネル13に頂部横折線11を介して連接されている胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交点C付近を押圧する。
【0025】
この押圧により、胴部縦折線1,2の位置で形成される胴部10の山角部aが胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交点Cを挟んで凹み方向へ押し合うが、このとき、第2補助折線42,43は、第1補助折線40,41の概ね中間位置から胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2を跨いで、左右の胴部パネル4,6の他側の胴部縦折線8,3に繋がる下向きの概ね円弧状となっているので、第2補助折線42,43は胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2に傾斜状態で跨ることになるから、山角部aが胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交点Cを挟んで凹み方向へ押し合ったときに、山角部aに掛かる押圧作用がずれて掛かることになる。
【0026】
これにより、胴部縦折線1,2の位置で形成される胴部10の山角部aにおける胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交点C部分が容易に変形し、また、第2補助折線42,43は下向きの概ね円弧状となっているので、胴部縦折線1,2の位置で形成される山角部aにおける胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交点C部分の凹み方向への変形に伴って、胴部パネル5及び左右の胴部パネル4,6に作用する力が第2補助折線42,43を谷折させる力となって作用し、下向きの概ね円弧状となっている第2補助折線42,43は容易に谷折りされ、同時に、第1補助折線40,41を山折りさせる力となって作用し、第1補助折線40,41も概ね円弧状となっているので容易に山折りされることになることから、紙容器の胴部10を第1補助折線40,41及び第2補助折線42,43に沿って軽い力で容易に変形させることができる(図4参照。)。
【0027】
そして、変形した紙容器の胴部10は、胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交点C付近が凹み、この凹みに連なって胴部パネル5及び左右の胴部パネル4,6も凹む。そして、その結果として左右の胴部パネル4,6における谷折りされた第2補助折線42,43の上側が外側に向かうが、第2補助折線42,43は下向きの概ね円弧状であるので、外側に向かう左右の胴部パネル4,6における第2補助折線42,43の上側面が第2補助折線から緩やかに膨出した状態となり、図5に示すように、開口部30側の後側から左右の胴部パネル4,6の凹み部分を挟むようにして掴んだとき、左右の胴部パネル6における第2補助折線42,43の上側の膨出した上側面に指が掛かり持ち易くなる。
【0028】
特に、板紙素材の坪量が150〜350g/mの紙容器の場合であっても、胴部パネル5に設けられた第1補助折線40,41と、胴部パネル5から胴部パネル5の両側に連接されている左右の胴部パネル4,6に渡って設けられている第2補助折線42,43がリブ効果を発揮して紙容器の剛度を高め、紙容器の胴膨れを抑えることができ、また前記のように第2補助折線42,43が谷折りし易いので、胴膨れした状態でも左右の胴部パネル4,6に容易に凹みを形成することができることになり、板紙素材の坪量が低い紙容器であっても容易に掴むことができる。例えば板紙素材の坪量が250〜330g/mのゲーブルトップ型紙容器の場合、胴膨れが僅かとなり、また、胴膨れがあっても左右の胴部パネル4,6に容易に凹みが形成でき、容易に掴むことができる。
【0029】
また、本例では、胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交点Cが、胴部10の縦方向の上端側から胴部縦方向全長の1/4〜1/2の範囲に位置しているので、胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交点C付近を押圧したとき形成される胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交点C付近の凹みは、胴部10の縦方向の真ん中から上側に形成されることから、開口部30側の後側から左右の胴部パネル4,6の凹み部分を挟むようにして掴んだとき、掴んだ位置より下側の方が上側の方よりも重い重量配分となり、安定した状態で掴むことができる。特に、胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交点Cが、胴部10の縦方向の上端側から胴部縦方向全長の1/4〜1/3の範囲の位置であると、下側が重くなり過ぎず、より安定した状態で掴むことができる。
【0030】
また、本例では、切妻屋根形成パネル13に開口部30となる口栓が取り付けられているので、胴部パネル5の両側の胴部縦折線1,2と第2補助折線42,43との交叉C付近を押圧して凹みを形成したとき、この凹みを形成する力が切妻屋根形成パネル13の存在により開口部30方向に逃げることが効果的に阻止されることになり、容易に凹みを形成することができる。
【0031】
図6、図7は本発明に係る紙容器の第2実施例を示したもので、図6は本発明に係る紙容器の第2実施例を示す斜視図、図7は図6に示す紙容器の組立加工前のカートンブランクを示す展開図である。
本例の紙容器は、前記第1実施例とその基本構成において変わるところはなく、第1実施例と同一の構成については同一の符号を付して説明する。
【0032】
本例の紙容器は、胴部10の対向する胴部パネル4,6の上端に頂部横折線19,20を介して互いに対向して連接されている一対の妻壁形成パネル21,22のうちの一方が、本例では妻壁形成パネル22が切妻屋根形成パネル13,14の間から引き出されて開口部30となる注出口を形成する形式となっている。
【0033】
本例では、前記胴部10を構成する胴部パネル4,5,6,7のうち、開口部30となる注出口を形成する妻壁形成パネル22に頂部横折線20を介して連接する胴部パネル6に、胴部パネル6の両側の胴部縦折線2,3と頂部横折線20との交点又は交点近傍から、胴部縦折線2,3の底部横折線36側へ向かう所定の位置に繋がる互いに内向きの概ね円弧状の第1補助折線40,41がそれぞれ設けられている。
【0034】
また、胴部パネル6と、胴部パネル6の両側に胴部縦折線2,3を介して連接されている左右の胴部パネル5,7には、胴部パネル6から左右の胴部パネル5,7に渡って、それぞれの第1補助折線40,41の概ね中間位置から、胴部パネル6の両側の胴部縦折線2,3を跨いで、左右の胴部パネル5,7の他側の胴部縦折線1,8と頂部横折線11,12との交点又は交点近傍に繋がる下向きの概ね円弧状の第2補助折線42,43がそれぞれ設けられている。なお、本例では、胴部パネル7の他側の胴部縦折線8は、胴部パネル7の他側の側辺を指している。
他の構成は第1実施例と同一の構成なので、第1実施例の説明を援用し、その説明を省略する。
【0035】
上記のように構成された第2実施例の紙容器によれば、紙容器の使用については、第1実施例と同様であり、また第2実施例の紙容器の胴部10の変形も第1実施例と同様なので、第1実施例の説明を援用し、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0036】
1,2,3 胴部縦折線
4,5,6,7 胴部パネル
8 胴部縦折線
9 縦方向シールパネル
10 胴部
11,12 頂部横折線
13,14 切妻屋根形成パネル
15,16 シール横折線
17,18 外側トップシールパネル
19,20 頂部横折線
21,22 妻壁形成パネル
23,34 シール横折線
25,26 内側トップシールパネル
27,28 折込線
29 頂部
30 開口部
31,32 底部横折線
33,34 外側パネル
35,36 底部横折線
37,38 内側パネル
39 底部
40,41 第1補助折線
42,43 第2補助折線
50 開口部
51 切妻屋根形成パネル
52 胴部パネル
53,54 胴部縦折線
55 頂部横折線
56 底部横折線
57,58 第1補助折線
59,60 胴部パネル
61,62 胴部縦折線
63,64 第2補助折線
65 胴部
C 胴部パネルの両側の胴部縦折線と第2補助折線との交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、胴部縦折線を介して連接される4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて四角の筒状の胴部が形成され、前記胴部パネルの上端に互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、互いに対向する一対の妻壁形成パネルが頂部横折線を介して連接され、前記一対の切妻屋根形成パネルの間に前記一対の妻壁形成パネルが折り込まれて頂部が形成され、前記一対の切妻屋根形成パネルの何れか一方の切妻屋根形成パネル又は前記一対の妻壁形成パネルの何れか一方の妻壁形成パネルに開口部を設けた切妻屋根型の紙容器において、
前記開口部を設けた切妻屋根形成パネル又は妻壁形成パネルに連接される1の胴部パネルに、1の胴部パネルの両側の前記胴部縦折線と前記頂部横折線との交点又は交点近傍から、前記胴部縦折線の底部横折線側へ向かう所定の位置に繋がる互いに内向きの概ね円弧状の第1補助折線がそれぞれ設けられ、
また、前記1の胴部パネルから前記1の胴部パネルの両側に連接されている左右の胴部パネルに渡って、前記それぞれの第1補助折線の概ね中間位置から、前記1の胴部パネルの両側の前記胴部縦折線を跨いで、前記左右の胴部パネルの他側の前記胴部縦折線と前記頂部横折線との交点又は交点近傍に繋がる下向きの概ね円弧状の第2補助折線がそれぞれ設けられていることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記1の胴部パネルの両側の前記胴部縦折線と前記第2補助折線との交点が、胴部の縦方向の上端側から胴部縦方向全長の1/4〜1/2の範囲に位置していることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−43686(P2013−43686A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184355(P2011−184355)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】