紙幣処理装置、紙幣処理方法、およびプログラム
【課題】在高の信頼性を向上するための紙幣処理装置、紙幣処理方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】紙幣入金口と、前記紙幣入金口に入金された入金紙幣を一時的に集積する一時保留部と、前記紙幣入金口から前記一時保留部へ前記入金紙幣が搬送される第1の過程、および前記一時保留部から前記入金紙幣が搬送される第2の過程において前記入金紙幣を鑑別する鑑別部と、同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する制御部と、を備える、紙幣処理装置。
【解決手段】紙幣入金口と、前記紙幣入金口に入金された入金紙幣を一時的に集積する一時保留部と、前記紙幣入金口から前記一時保留部へ前記入金紙幣が搬送される第1の過程、および前記一時保留部から前記入金紙幣が搬送される第2の過程において前記入金紙幣を鑑別する鑑別部と、同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する制御部と、を備える、紙幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理装置、紙幣処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近日、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの多様な商業施設にPOSレジスタが導入されており、レジの係員は、例えばこのPOSレジスタを操作することにより顧客との現金の授受を行うことができる。
【0003】
また、上記のような商業施設での売上金を計数、入金するための入金機も提案されている。例えば、入金機は、売上金を入金して回収カセットに収納するための入金取引、各入金取引による入金を集計する締め取引、および、回収カセットに収納された売上金を回収するための回収取引などの取引機能を有する。回収取引により回収された売上金は、例えば、入金機の利用者、または定期的に商業施設を訪問する警備会社により金融機関の口座に入金される。なお、特許文献1にも、このように現金を計数および収納する自動取引装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−338290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、紙幣の入金取引について具体的に説明する。紙幣の入金取引は、入金された紙幣を鑑別して一時保留部に搬送する入金計数処理、および、利用者による入金額の確認操作の後に紙幣を再度鑑別して回収カセットに搬送する収納計数処理を含む。入金計数処理時に例えば汚損や走行状態により正常な鑑別結果が得られなかった紙幣はリジェクト部に搬送され、利用者に返却される。また、回収カセットの在高は、収納計数処理時の鑑別結果に基づいて確定される。
【0006】
しかし、収納計数処理時に例えば金種不明と鑑別された紙幣があった場合、回収カセットの在高が不確かになってしまうので、回収カセット内の紙幣の数え直しが必要となるという問題がある。また、入金機の信頼性が疑われてしまうことも懸念される。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、在高の信頼性を向上することが可能な、新規かつ改良された紙幣処理装置、紙幣処理方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、紙幣入金口と、前記紙幣入金口に入金された入金紙幣を一時的に集積する一時保留部と、前記紙幣入金口から前記一時保留部へ前記入金紙幣が搬送される第1の過程、および前記一時保留部から前記入金紙幣が搬送される第2の過程において前記入金紙幣を鑑別する鑑別部と、同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する制御部と、を備える紙幣処理装置が提供される。
【0009】
前記制御部は、前記第1の過程において金種の鑑別結果が得られ、前記第2の過程における鑑別結果が金種不明であった入金紙幣の金種を、前記第1の過程における鑑別結果の金種として扱ってもよい。
【0010】
前記紙幣処理装置は、紙幣集積部をさらに備え、前記制御部は、前記第1の過程で得られた金種の鑑別結果と前記第2の過程で得られた金種の鑑別結果が一致する入金紙幣が前記紙幣集積部へ搬送され、前記第1の過程で得られた金種の鑑別結果と前記第2の過程で得られた金種の鑑別結果が異なる入金紙幣が外部に返却されるように前記入金紙幣の搬送を制御してもよい。
【0011】
前記第2の過程において前記鑑別部が入金紙幣の枚数の判別に失敗し、同一紙幣についての前記第1の過程での鑑別結果と前記第2の過程での鑑別結果との対応関係が不明になった場合、前記制御部は、第2の過程で得られた鑑別結果に従って入金紙幣の搬送を制御してもよい。
【0012】
紙幣処理装置は、前記第1の過程における各入金紙幣の鑑別結果を前記一時保留部への集積順序と対応付けて記憶する記憶部をさらに備えてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前記紙幣入金口から前記一時保留部へ入金紙幣を搬送する第1の過程と、前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する第2の過程と、を含み、前記第1の過程および前記第2の過程の各々において前記入金紙幣の鑑別を行い、同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する、紙幣処理方法が提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、紙幣入金口から一時保留部へ入金紙幣を搬送する第1の過程と、前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する第2の過程と、を実行する紙幣処理装置であって、前記第1の過程および前記第2の過程の各々において前記入金紙幣の鑑別を行い、同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する紙幣処理装置として機能させるための、プログラムが提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、紙幣入金口と、前記紙幣入金口に入金された入金紙幣を一時的に集積する一時保留部と、紙幣集積部と、前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する過程において前記入金紙幣を鑑別する鑑別部と、前記鑑別部により正常な鑑別結果が得られた入金紙幣は前記紙幣集積部に搬送され、前記鑑別部により正常な鑑別結果が得られなかった入金紙幣は前記紙幣入金口に搬送されるように各入金紙幣の搬送を制御する制御部と、を備える紙幣処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、在高の信頼性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による入金機の外観を示した説明図である。
【図2】メニュー画面の具体例を示した説明図である。
【図3】入金機の内部構成を示した説明図である。
【図4】第1の動作例による入金計数処理を示した説明図である。
【図5】記憶部の構成を示した説明図である。
【図6】第1の動作例による収納処理を示した説明図である。
【図7】第1の動作例のフローを示した説明図である。
【図8】第2の動作例による入金取引を示した説明図である。
【図9】第2の動作例のフローを示した説明図である。
【図10】第3の動作例による入金取引を示した説明図である。
【図11】第3の動作例のフローを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
<1.入金機の基本構成>
本発明の実施形態による入金機1は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットのような多様な商業施設での売上金を計数、入金するために用いられる。以下では、このような本発明の実施形態による入金機1の基本構成を図1〜図3を参照して説明する。なお、以下では、本発明の紙幣処理装置の一例として入金機1を説明するが、本発明の紙幣処理装置は入金機1に限定されない。例えば、本発明の紙幣処理装置は、オンライン/オフラインで入金/出金を管理する多様な入出金装置、あるいは自動取引装置にも適用可能である。
【0020】
図1は、本発明の実施形態による入金機1の外観を示した説明図である。図1に示したように、入金機1は、硬貨入金口12と、硬貨リジェクト部14と、硬貨返却箱16と、操作表示部18と、紙幣入金口22と、紙幣リジェクト部24と、を備える。
【0021】
硬貨入金口12は、利用者が硬貨を入金するための硬貨の投入口である。硬貨リジェクト部14は、利用者に返却するためのリジェクト硬貨が搬送される場所である。硬貨返却箱16は、売上入金の取消時に利用者に返却するための硬貨が搬送される場所である。
【0022】
操作表示部18は、利用者による操作を誘導するための表示画面を表示する表示部、および操作を検出する操作検出部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、操作検出部としての機能は例えばタッチパネルやボタンにより実現される。なお、本明細書においては表示部および操作検出部の機能が入金機1において一体的に構成される例を説明するが、表示部および操作検出部の機能は分離して構成されてもよい。
【0023】
紙幣入金口22は、利用者が紙幣を入金するための紙幣の投入口、および、入金が取り消された場合に入金済みの紙幣を返却するための紙幣の返却口である。紙幣リジェクト部24は、鑑別結果が正常でなかった紙幣、すなわち、金種不明と鑑別された紙幣、汚損、折れまたは破れなどのある紙幣などが利用者への返却のために搬送される場所である。
【0024】
上記のような入金機1は、入金された現金を回収カセットに収納するための入金取引、各入金取引による入金を集計する締め取引、および、回収カセットに収納された現金を回収するための回収取引などの取引機能を有する。入金機1は、これらの取引機能のうち、利用者により選択された取引を実行する。
【0025】
例えば、入金機1は、事前に登録済みのレジカードやIDカードなどを読み込み、認証に成功すると、図2に示すようなメニュー画面を操作表示部18に表示する。図2に示したように、メニュー画面は、入金取引に対応する入金ボタン42、締め取引に対応する締めボタン44、および回収取引に対応する回収ボタン46を含む。利用者は、このようなメニュー画面を操作することにより、所望の取引を選択することが可能である。
【0026】
(入金取引)
例えば、メニュー画面において入金ボタン42が選択されると、操作表示部18は、紙幣および硬貨の入金を誘導する画面を表示する。そして、利用者が硬貨を硬貨入金口12に投入し、紙幣を紙幣入金口22に投入すると、入金機1は硬貨および紙幣を鑑別し、正常と鑑別された硬貨および紙幣を一時保留部に集積する入金計数処理を行う。続いて、入金機1は、正常と鑑別された紙幣および硬貨の金額を操作表示部18に表示する。その後、利用者が投入金額と表示金額が一致していることを確認し、確認ボタンを操作すると、一時保留部の硬貨および紙幣が回収カセットに搬送される。なお、入金計数処理での鑑別結果が正常でなかった硬貨および紙幣は、硬貨リジェクト部14および紙幣リジェクト部24に搬送され、利用者に返却される。
【0027】
(締め取引)
また、メニュー画面において締めボタン44が選択されると、入金機1は、それまでの各入金取引での入金金額を集計する。
【0028】
(回収取引)
また、メニュー画面において回収ボタン46が選択されると、入金機1は回収カセットの脱着を誘導する画面を操作表示部18に表示する。そして、利用者により回収カセットが脱着され、現金が利用者により回収され、空の回収カセットが装着されると、回収取引が終了する。回収取引により回収された現金は、例えば、入金機1の利用者、または定期的に商業施設を訪問する警備会社により金融機関の口座に入金される。
【0029】
<2.紙幣の入金処理のための構成>
本発明の実施形態は、入金機1における現金の入金処理に関し、特に、入金機1における紙幣の入金処理に関する。そこで、以下では、図3を参照して紙幣を入金するための入金機1の内部構成をより詳細に説明する。
【0030】
図3は、入金機1の内部構成を示した説明図である。図3に示したように、入金機1は、紙幣入金口22、鑑別部23、紙幣リジェクト部24、一時保留部26、回収カセット28、制御部32、および記憶部34を含む。
【0031】
紙幣入金口22は、モータm1の回転により紙幣入金口22に投入された紙幣が鑑別部23に向けて繰り出される。
【0032】
鑑別部23は、入金紙幣の鑑別を行う。具体的には、鑑別部23は、紙幣入金口22から搬送された紙幣の金種、真偽、正損および走行状態などを鑑別する。また、鑑別部23は、利用者によって入金金額が確認された後、一時保留部26から回収カセット28に搬送する紙幣の鑑別を行う。なお、鑑別部23には、紙幣の通過を検知するセンサS1が設けられている。
【0033】
紙幣リジェクト部24は、鑑別部23による鑑別結果が正常でなかった紙幣をモータm2の回転により集積する。
【0034】
一時保留部26は、鑑別部23による鑑別結果が正常であった紙幣をモータm3の回転により一時的に集積する。
【0035】
回収カセット28は、一時保留部26から搬送される紙幣をモータm4の回転により集積する紙幣集積部である。なお、回収カセット28には、紙幣の通過を検知するセンサS2が設けられており、センサS2の検知結果に基づいて回収カセット28に各紙幣が集積されたことを判断することが可能となる。
【0036】
制御部32は、入金機1の動作全般を制御する。例えば、制御部32は、紙幣の搬送制御、および、鑑別部23による鑑別の結果に基づく計数処理などを行う。記憶部34は、入金機1の動作のために利用する情報を記憶する。このような制御部32および記憶部34の具体的な機能については、「3.第1の動作例」〜「5.第3の動作例」において詳細に説明する。
【0037】
(本実施形態の背景)
ところで、通常の入金機においては、回収カセットの在高は、一時保留部から回収カセットへ紙幣を搬送する際に鑑別結果に基づいて確定される。しかし、回収カセットへの搬送時に金種不明と鑑別された紙幣があった場合、回収カセットの在高が不確かになってしまうので、回収カセット内の紙幣の数え直しが必要となるという問題がある。また、入金機の信頼性が疑われてしまうことも懸念される。
【0038】
そこで、上記の事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態の各動作例によれば、回収カセット28の在高の信頼性を向上することが可能となる。以下、このような本発明の実施形態の各動作例を詳細に説明する。
【0039】
<3.第1の動作例>
まず、第1の動作例として、入金計数処理で鑑別された紙幣の金種、および一時保留部26への当該紙幣の集積順序を対応付けて記憶し、回収カセット28への搬送時に金種不明と鑑別された紙幣の金種を、入金計数処理時に記憶した情報に基づいて確定する動作を説明する。
【0040】
図4は、第1の動作例による入金計数処理を示した説明図である。図4に示したように、紙幣入金口22に投入された紙幣は、鑑別部23による鑑別結果に応じ、紙幣リジェクト部24または一時保留部26に搬送される(第1の過程)。ここで、記憶部34(図3)は、一時保留部26に搬送された紙幣の金種と、一時保留部26への当該紙幣の集積順序を対応付けて記憶する。
【0041】
例えば、図4に示したように、一時保留部26に紙幣b1が最初に集積され、続いて、紙幣b2〜b5が集積され、最後に紙幣b6が集積された場合、記憶部34は、図5に示したように、紙幣b1〜b6の金種と、紙幣b1〜b6の一時保留部26への集積順序を対応付けて記憶する。
【0042】
その後、利用者により入金金額が確認されると、一時保留部26に集積された紙幣がLIFO(Last In Fast Out)に従って回収カセット28に搬送される(第2の過程)。
【0043】
ここで、図6に示すように、回収カセット28への搬送時の紙幣b3の鑑別結果が金種不明であった場合を考える。この場合、制御部32(図3)は、紙幣b3の金種を、紙幣b3の回収カセット28への集積順序から、紙幣b3が一時保留部26に集積された順序を判断し、紙幣b3が一時保留部26に集積された順序と記憶部34において対応付けられている金種として扱う。
【0044】
より具体的には、紙幣b3の回収カセット28への集積順序は「4」であるので、紙幣b3が一時保留部26に集積された順序は「3」であると判断される。このため、制御部32は、紙幣b3の金種を、記憶部34において集積順序「3」と対応付けられている五千円として扱う。
【0045】
このように、第1の動作例によれば、回収カセット28への搬送時に金種不明の紙幣が発生した場合であっても、入金計数処理で得られた鑑別結果とのマッチングにより当該紙幣の金種を特定することが可能である。したがって、回収カセット28に収納した各金種の紙幣枚数および金額をより高精度に確定することが可能となる。
【0046】
(第1の動作例のフローの整理)
以下、図7を参照し、上述した第1の動作例のフローを整理する。図7に示したように、まず、紙幣入金口22に紙幣が投入されると(S104)、当該紙幣は鑑別部23に搬送され、鑑別部23が当該紙幣を鑑別する(S108)。そして、鑑別結果が正常でなかった場合、当該紙幣は紙幣リジェクト部24に搬送される(S116)。
【0047】
一方、鑑別結果が正常であった場合、当該紙幣は一時保留部26に集積される(S120)。また、記憶部34が、当該紙幣の金種と、一時保留部26への当該紙幣の集積順序とを対応付けて記憶する(S124)。
【0048】
その後、全ての紙幣について一時保留部26への搬送が終了すると、操作表示部18が入金金額を表示する(S130)。これに対し、利用者により入金金額の確認操作が行われると(S134)、制御部32は、一時保留部26に集積された紙幣を回収カセット28に搬送するための制御を開始する(S138)。
【0049】
その際、鑑別部23が紙幣を鑑別し(S142)、鑑別部23により鑑別された紙幣が回収カセット28に搬送される(S146)。ここで、鑑別部23による鑑別結果が金種不明であった場合、制御部32は、記憶部34に記憶されている金種と一時保留部26への集積順序を示す情報に基づき、当該紙幣の金種を特定する(S154)。そして、一時保留部26に集積された全ての紙幣の搬送が終了すると、入金取引が終了する(S158)。
【0050】
(第1の動作例の補足)
ところで、第1の動作例は、一時保留部26への集積順序と、回収カセット28への搬送順序に基づいて、同一紙幣に関する2回の金種の鑑別結果を比較することが可能である。しかし、走行状態によっては、搬送される紙幣の枚数を鑑別部23が正確に鑑別できない場合が想定される。この場合、以降に一時保留部26から鑑別部23に搬送される紙幣が何番目に搬送された紙幣であるかを正確に特定できなくなるので、2回の金種の鑑別結果を直接的に比較することが困難となる。
【0051】
そこで、鑑別部23が搬送される紙幣の枚数の鑑別に失敗した場合、失敗後に鑑別部23が鑑別した金種の順列と、記憶部34に記憶されている金種の順列とを比較することにより、一時保留部26から何番目に搬送された紙幣であるかを推定してもよい。具体的には、失敗後に鑑別部23が鑑別した金種の順列が「千円、5千円、1万円」であった場合、制御部32は、「千円、5千円、1万円」という順列に一致する部分を記憶部34から検索してもよい。これにより、制御部32は、「千円、5千円、1万円」という順列部分に対応する集積順序を抽出することにより、失敗後に鑑別部23が鑑別した紙幣が何番目に搬送された紙幣であるかを推定することが可能となる。
【0052】
<4.第2の動作例>
続いて、本実施形態の第2の動作例を説明する。第2の動作例の背景として、一時保留部26から搬送される紙幣を鑑別部23による鑑別結果に関係なく回収カセット28に収納すると、ジャムの発生率が高くなるという問題が挙げられる。すなわち、鑑別部23により金種不明と鑑別された紙幣や、正常でないと鑑別された紙幣は、汚損、折れまたは破れなどの紙幣であることが多いので、このような紙幣は回収カセット28への収納時にジャムとなる確率が高い。なお、一時保留部26への搬送時に正常と鑑別された紙幣であっても、その後の搬送により折れや破れが発生し、一時保留部26からの搬送時には正常でないと鑑別されることも考えられる。
【0053】
第2の動作例によれば、上記のような回収カセット28でのジャムの発生を抑制することが可能である。以下、図8を参照し、第2の動作例について詳細に説明する。
【0054】
図8は、第2の動作例による入金取引を示した説明図である。第2の動作例による制御部32は、図8に示したように、一時保留部26からの紙幣の搬送時に、鑑別部23による鑑別結果が正常であった正常紙幣を回収カセット28に搬送する。
【0055】
一方、制御部32は、図8に示したように、鑑別部23による鑑別結果が正常でなかった金種不明紙幣およびリジェクト紙幣を、返却のために紙幣入金口22に搬送する。そして、制御部32は、入金取引を終了せずに、利用者に返却された紙幣の再入金を誘導する画面を操作表示部18に表示させる。
【0056】
このように、本実施形態の第2の動作例によれば、ジャムの発生を誘発しそうな紙幣が回収カセット28に収納されることを回避できるので、ジャムの発生を抑制すると同時に、回収カセット28の各金種の紙幣枚数および金額を確定することが可能となる。
【0057】
(第2の動作例のフローの整理)
以下、図9を参照し、上述した第2の動作例のフローを整理する。図9に示したように、まず、紙幣入金口22に紙幣が投入されると(S104)、当該紙幣は鑑別部23に搬送され、鑑別部23が当該紙幣を鑑別する(S108)。そして、鑑別結果が正常でなかった場合、当該紙幣は紙幣リジェクト部24に搬送される(S116)。一方、鑑別結果が正常であった場合、当該紙幣は一時保留部26に集積される(S120)。
【0058】
その後、全ての紙幣について一時保留部26への搬送が終了すると、操作表示部18が入金金額を表示する(S130)。これに対し、利用者により入金金額の確認操作が行われると(S134)、制御部32は、一時保留部26に集積された紙幣を回収カセット28に搬送するための制御を開始する(S138)。
【0059】
その際、鑑別部23が紙幣を鑑別する(S142)。ここで、制御部32は、鑑別部23による鑑別結果が正常であった紙幣を回収カセット28に搬送する(S162、S166)。一方、制御部32は、鑑別部23による鑑別結果が正常でなかった紙幣を返却のために紙幣入金口22へ搬送し(S170)、紙幣の再投入を誘導する画面を操作表示部18に表示させる(S174)。
【0060】
そして、一時保留部26に集積された全ての紙幣の搬送が終了すると、紙幣入金口22から返却した紙幣があった場合には取引を終了せず、紙幣入金口22に紙幣が再投入された場合にはS108からの処理を繰り返す。なお、紙幣が再投入されなかった場合でも、利用者により終了を指示する操作が行われた場合、入金機1は入金取引を終了してもよい。
【0061】
<5.第3の動作例>
続いて、本実施形態の第3の動作例を説明する。第3の動作例の背景として、一時保留部26から回収カセット28への搬送時に鑑別部23が金種を誤って鑑別し得ることが挙げられる。この場合、回収カセット28に実際に収納されている紙幣の金額と、入金機1が回収カセット28に収納されていると認識している在高とが一致しなくなる。本実施形態の第3の動作例は、このような背景から創作されたものであり、第3の動作例によれば、回収カセット28の在高の精度を一層向上することが可能である。以下、図10および図11を参照して詳細に説明する。
【0062】
第3の動作例による入金取引は、一時保留部26に紙幣を集積するまでの処理は第1の動作例と共通する。すなわち、第3の動作例においても、図4および図5を参照して説明したように、記憶部34が、一時保留部26に搬送された紙幣の金種と、一時保留部26への当該紙幣の集積順序を対応付けて記憶する。一方、第3の動作例は、図10に示すように、一時保留部26から搬送される紙幣の扱い方が第1の実施形態と異なる。
【0063】
図10は、第3の動作例による入金取引を示した説明図である。なお、図10は、図4に示したように一時保留部26に紙幣b1〜b6が集積された後の処理を示している。図10に示したように、制御部32は、一時保留部26に集積された紙幣をLIFOに従って鑑別部23に搬送する。すなわち、制御部32は、鑑別部23に紙幣b6を最初に搬送し、続いて紙幣b5〜b2を搬送し、最後に紙幣b1を搬送する。
【0064】
そして、鑑別部23により各紙幣の金種が鑑別されると、制御部32は、各紙幣の鑑別された金種が、記憶部34に記憶されている各紙幣の金種と一致するか否かを判断する。具体的には、制御部32は、各紙幣の鑑別部23への搬送順序から、各紙幣が一時保留部26に集積された順序を判断し、各紙幣が一時保留部26に集積された順序と記憶部34で対応付けられている金種と、今回鑑別部23により鑑別された紙幣の金種とを比較する。図10に示した例では、紙幣b3について記憶部34に記憶されている金種は五千円であるのに対し、今回の紙幣b3の鑑別結果は千円であるので、制御部32は、双方の金種が異なると判断する。
【0065】
さらに、制御部32は、双方の金種が一致する紙幣は回収カセット28に搬送し、双方の金種が異なる紙幣は返却のために紙幣入金口22に搬送する。図10に示した例では、紙幣b1、b2、b4〜b6を回収カセット28に搬送し、紙幣b3を紙幣入金口22に搬送する。
【0066】
このように、第3の動作例によれば、入金計数処理において鑑別された金種と、回収カセット28への収納処理において鑑別された金種が一致する紙幣のみを回収カセット28に収納することにより、回収カセット28の在高の精度を一層向上することが可能である。
【0067】
(第3の動作例のフローの整理)
以下、図11を参照し、上述した第3の動作例のフローを整理する。なお、入金計数処理を含むS104〜S130の処理は第1の動作例と実質的に同一であるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0068】
図11に示したように、利用者により入金金額の確認操作が行われると(S134)、制御部32は、一時保留部26に集積された紙幣を回収カセット28に搬送するための制御を開始する(S138)。
【0069】
その際、鑑別部23が紙幣を鑑別する(S142)。ここで、制御部32は、記憶部34を参照し、今回鑑別された金種と、入金計数処理で鑑別された金種が一致するか否かを判断する(S184)。そして、制御部32は、双方の金種が一致する場合には紙幣を回収カセット28に搬送し(S188)、異なる場合には紙幣を返却のために紙幣入金口22に搬送する(S192)。そして、一時保留部26に集積された全ての紙幣の搬送が終了すると、入金取引が終了する(S196)。
【0070】
(第3の動作例の補足)
ところで、第3の動作例は、一時保留部26への集積順序と、一時保留部26からの搬送順序に基づいて、同一紙幣に関する2回の金種の鑑別結果を比較することが可能である。しかし、走行状態によっては、搬送される紙幣の枚数を鑑別部23が正確に鑑別できない場合が想定される。この場合、以降に一時保留部26から鑑別部23に搬送される紙幣が何番目に搬送された紙幣であるかを正確に特定できなくなるので、2回の金種の鑑別結果を直接的に比較することが困難となる。
【0071】
そこで、鑑別部23が搬送される紙幣の枚数の鑑別に失敗した後は、第3の動作例を中止し、通常通りに全ての紙幣を回収カセット28に搬送してもよいし、第2の動作例に移行してもよい。
【0072】
<6.むすび>
以上説明したように、本実施形態の第1の動作例によれば、回収カセット28への搬送時に金種不明の紙幣が発生した場合であっても、入金計数処理で得られた鑑別結果とのマッチングにより当該紙幣の金種を特定することが可能である。したがって、回収カセット28に収納した各金種の紙幣枚数および金額をより高精度に確定することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態の第2の動作例によれば、ジャムの発生を誘発しそうな紙幣が回収カセット28に収納されることを回避できるので、ジャムの発生を抑制すると同時に、回収カセット28の各金種の紙幣枚数および金額を確定することが可能となる。
【0074】
さらに、本実施形態の第3の動作例によれば、入金計数処理において鑑別された金種と、回収カセット28への収納処理において鑑別された金種が一致する紙幣のみを回収カセット28に収納することにより、回収カセット28の在高の精度を一層向上することが可能である。
【0075】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
例えば、本明細書の入金機1の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、入金機1の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0077】
また、入金機1に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した入金機1の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0078】
1 入金機
12 硬貨入金口
14 硬貨リジェクト部
16 硬貨返却箱
18 操作表示部
22 紙幣入金口
23 鑑別部
24 紙幣リジェクト部
26 一時保留部
28 回収カセット
32 制御部
34 記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理装置、紙幣処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近日、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの多様な商業施設にPOSレジスタが導入されており、レジの係員は、例えばこのPOSレジスタを操作することにより顧客との現金の授受を行うことができる。
【0003】
また、上記のような商業施設での売上金を計数、入金するための入金機も提案されている。例えば、入金機は、売上金を入金して回収カセットに収納するための入金取引、各入金取引による入金を集計する締め取引、および、回収カセットに収納された売上金を回収するための回収取引などの取引機能を有する。回収取引により回収された売上金は、例えば、入金機の利用者、または定期的に商業施設を訪問する警備会社により金融機関の口座に入金される。なお、特許文献1にも、このように現金を計数および収納する自動取引装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−338290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、紙幣の入金取引について具体的に説明する。紙幣の入金取引は、入金された紙幣を鑑別して一時保留部に搬送する入金計数処理、および、利用者による入金額の確認操作の後に紙幣を再度鑑別して回収カセットに搬送する収納計数処理を含む。入金計数処理時に例えば汚損や走行状態により正常な鑑別結果が得られなかった紙幣はリジェクト部に搬送され、利用者に返却される。また、回収カセットの在高は、収納計数処理時の鑑別結果に基づいて確定される。
【0006】
しかし、収納計数処理時に例えば金種不明と鑑別された紙幣があった場合、回収カセットの在高が不確かになってしまうので、回収カセット内の紙幣の数え直しが必要となるという問題がある。また、入金機の信頼性が疑われてしまうことも懸念される。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、在高の信頼性を向上することが可能な、新規かつ改良された紙幣処理装置、紙幣処理方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、紙幣入金口と、前記紙幣入金口に入金された入金紙幣を一時的に集積する一時保留部と、前記紙幣入金口から前記一時保留部へ前記入金紙幣が搬送される第1の過程、および前記一時保留部から前記入金紙幣が搬送される第2の過程において前記入金紙幣を鑑別する鑑別部と、同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する制御部と、を備える紙幣処理装置が提供される。
【0009】
前記制御部は、前記第1の過程において金種の鑑別結果が得られ、前記第2の過程における鑑別結果が金種不明であった入金紙幣の金種を、前記第1の過程における鑑別結果の金種として扱ってもよい。
【0010】
前記紙幣処理装置は、紙幣集積部をさらに備え、前記制御部は、前記第1の過程で得られた金種の鑑別結果と前記第2の過程で得られた金種の鑑別結果が一致する入金紙幣が前記紙幣集積部へ搬送され、前記第1の過程で得られた金種の鑑別結果と前記第2の過程で得られた金種の鑑別結果が異なる入金紙幣が外部に返却されるように前記入金紙幣の搬送を制御してもよい。
【0011】
前記第2の過程において前記鑑別部が入金紙幣の枚数の判別に失敗し、同一紙幣についての前記第1の過程での鑑別結果と前記第2の過程での鑑別結果との対応関係が不明になった場合、前記制御部は、第2の過程で得られた鑑別結果に従って入金紙幣の搬送を制御してもよい。
【0012】
紙幣処理装置は、前記第1の過程における各入金紙幣の鑑別結果を前記一時保留部への集積順序と対応付けて記憶する記憶部をさらに備えてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前記紙幣入金口から前記一時保留部へ入金紙幣を搬送する第1の過程と、前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する第2の過程と、を含み、前記第1の過程および前記第2の過程の各々において前記入金紙幣の鑑別を行い、同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する、紙幣処理方法が提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、紙幣入金口から一時保留部へ入金紙幣を搬送する第1の過程と、前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する第2の過程と、を実行する紙幣処理装置であって、前記第1の過程および前記第2の過程の各々において前記入金紙幣の鑑別を行い、同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する紙幣処理装置として機能させるための、プログラムが提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、紙幣入金口と、前記紙幣入金口に入金された入金紙幣を一時的に集積する一時保留部と、紙幣集積部と、前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する過程において前記入金紙幣を鑑別する鑑別部と、前記鑑別部により正常な鑑別結果が得られた入金紙幣は前記紙幣集積部に搬送され、前記鑑別部により正常な鑑別結果が得られなかった入金紙幣は前記紙幣入金口に搬送されるように各入金紙幣の搬送を制御する制御部と、を備える紙幣処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、在高の信頼性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による入金機の外観を示した説明図である。
【図2】メニュー画面の具体例を示した説明図である。
【図3】入金機の内部構成を示した説明図である。
【図4】第1の動作例による入金計数処理を示した説明図である。
【図5】記憶部の構成を示した説明図である。
【図6】第1の動作例による収納処理を示した説明図である。
【図7】第1の動作例のフローを示した説明図である。
【図8】第2の動作例による入金取引を示した説明図である。
【図9】第2の動作例のフローを示した説明図である。
【図10】第3の動作例による入金取引を示した説明図である。
【図11】第3の動作例のフローを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
<1.入金機の基本構成>
本発明の実施形態による入金機1は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットのような多様な商業施設での売上金を計数、入金するために用いられる。以下では、このような本発明の実施形態による入金機1の基本構成を図1〜図3を参照して説明する。なお、以下では、本発明の紙幣処理装置の一例として入金機1を説明するが、本発明の紙幣処理装置は入金機1に限定されない。例えば、本発明の紙幣処理装置は、オンライン/オフラインで入金/出金を管理する多様な入出金装置、あるいは自動取引装置にも適用可能である。
【0020】
図1は、本発明の実施形態による入金機1の外観を示した説明図である。図1に示したように、入金機1は、硬貨入金口12と、硬貨リジェクト部14と、硬貨返却箱16と、操作表示部18と、紙幣入金口22と、紙幣リジェクト部24と、を備える。
【0021】
硬貨入金口12は、利用者が硬貨を入金するための硬貨の投入口である。硬貨リジェクト部14は、利用者に返却するためのリジェクト硬貨が搬送される場所である。硬貨返却箱16は、売上入金の取消時に利用者に返却するための硬貨が搬送される場所である。
【0022】
操作表示部18は、利用者による操作を誘導するための表示画面を表示する表示部、および操作を検出する操作検出部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、操作検出部としての機能は例えばタッチパネルやボタンにより実現される。なお、本明細書においては表示部および操作検出部の機能が入金機1において一体的に構成される例を説明するが、表示部および操作検出部の機能は分離して構成されてもよい。
【0023】
紙幣入金口22は、利用者が紙幣を入金するための紙幣の投入口、および、入金が取り消された場合に入金済みの紙幣を返却するための紙幣の返却口である。紙幣リジェクト部24は、鑑別結果が正常でなかった紙幣、すなわち、金種不明と鑑別された紙幣、汚損、折れまたは破れなどのある紙幣などが利用者への返却のために搬送される場所である。
【0024】
上記のような入金機1は、入金された現金を回収カセットに収納するための入金取引、各入金取引による入金を集計する締め取引、および、回収カセットに収納された現金を回収するための回収取引などの取引機能を有する。入金機1は、これらの取引機能のうち、利用者により選択された取引を実行する。
【0025】
例えば、入金機1は、事前に登録済みのレジカードやIDカードなどを読み込み、認証に成功すると、図2に示すようなメニュー画面を操作表示部18に表示する。図2に示したように、メニュー画面は、入金取引に対応する入金ボタン42、締め取引に対応する締めボタン44、および回収取引に対応する回収ボタン46を含む。利用者は、このようなメニュー画面を操作することにより、所望の取引を選択することが可能である。
【0026】
(入金取引)
例えば、メニュー画面において入金ボタン42が選択されると、操作表示部18は、紙幣および硬貨の入金を誘導する画面を表示する。そして、利用者が硬貨を硬貨入金口12に投入し、紙幣を紙幣入金口22に投入すると、入金機1は硬貨および紙幣を鑑別し、正常と鑑別された硬貨および紙幣を一時保留部に集積する入金計数処理を行う。続いて、入金機1は、正常と鑑別された紙幣および硬貨の金額を操作表示部18に表示する。その後、利用者が投入金額と表示金額が一致していることを確認し、確認ボタンを操作すると、一時保留部の硬貨および紙幣が回収カセットに搬送される。なお、入金計数処理での鑑別結果が正常でなかった硬貨および紙幣は、硬貨リジェクト部14および紙幣リジェクト部24に搬送され、利用者に返却される。
【0027】
(締め取引)
また、メニュー画面において締めボタン44が選択されると、入金機1は、それまでの各入金取引での入金金額を集計する。
【0028】
(回収取引)
また、メニュー画面において回収ボタン46が選択されると、入金機1は回収カセットの脱着を誘導する画面を操作表示部18に表示する。そして、利用者により回収カセットが脱着され、現金が利用者により回収され、空の回収カセットが装着されると、回収取引が終了する。回収取引により回収された現金は、例えば、入金機1の利用者、または定期的に商業施設を訪問する警備会社により金融機関の口座に入金される。
【0029】
<2.紙幣の入金処理のための構成>
本発明の実施形態は、入金機1における現金の入金処理に関し、特に、入金機1における紙幣の入金処理に関する。そこで、以下では、図3を参照して紙幣を入金するための入金機1の内部構成をより詳細に説明する。
【0030】
図3は、入金機1の内部構成を示した説明図である。図3に示したように、入金機1は、紙幣入金口22、鑑別部23、紙幣リジェクト部24、一時保留部26、回収カセット28、制御部32、および記憶部34を含む。
【0031】
紙幣入金口22は、モータm1の回転により紙幣入金口22に投入された紙幣が鑑別部23に向けて繰り出される。
【0032】
鑑別部23は、入金紙幣の鑑別を行う。具体的には、鑑別部23は、紙幣入金口22から搬送された紙幣の金種、真偽、正損および走行状態などを鑑別する。また、鑑別部23は、利用者によって入金金額が確認された後、一時保留部26から回収カセット28に搬送する紙幣の鑑別を行う。なお、鑑別部23には、紙幣の通過を検知するセンサS1が設けられている。
【0033】
紙幣リジェクト部24は、鑑別部23による鑑別結果が正常でなかった紙幣をモータm2の回転により集積する。
【0034】
一時保留部26は、鑑別部23による鑑別結果が正常であった紙幣をモータm3の回転により一時的に集積する。
【0035】
回収カセット28は、一時保留部26から搬送される紙幣をモータm4の回転により集積する紙幣集積部である。なお、回収カセット28には、紙幣の通過を検知するセンサS2が設けられており、センサS2の検知結果に基づいて回収カセット28に各紙幣が集積されたことを判断することが可能となる。
【0036】
制御部32は、入金機1の動作全般を制御する。例えば、制御部32は、紙幣の搬送制御、および、鑑別部23による鑑別の結果に基づく計数処理などを行う。記憶部34は、入金機1の動作のために利用する情報を記憶する。このような制御部32および記憶部34の具体的な機能については、「3.第1の動作例」〜「5.第3の動作例」において詳細に説明する。
【0037】
(本実施形態の背景)
ところで、通常の入金機においては、回収カセットの在高は、一時保留部から回収カセットへ紙幣を搬送する際に鑑別結果に基づいて確定される。しかし、回収カセットへの搬送時に金種不明と鑑別された紙幣があった場合、回収カセットの在高が不確かになってしまうので、回収カセット内の紙幣の数え直しが必要となるという問題がある。また、入金機の信頼性が疑われてしまうことも懸念される。
【0038】
そこで、上記の事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態の各動作例によれば、回収カセット28の在高の信頼性を向上することが可能となる。以下、このような本発明の実施形態の各動作例を詳細に説明する。
【0039】
<3.第1の動作例>
まず、第1の動作例として、入金計数処理で鑑別された紙幣の金種、および一時保留部26への当該紙幣の集積順序を対応付けて記憶し、回収カセット28への搬送時に金種不明と鑑別された紙幣の金種を、入金計数処理時に記憶した情報に基づいて確定する動作を説明する。
【0040】
図4は、第1の動作例による入金計数処理を示した説明図である。図4に示したように、紙幣入金口22に投入された紙幣は、鑑別部23による鑑別結果に応じ、紙幣リジェクト部24または一時保留部26に搬送される(第1の過程)。ここで、記憶部34(図3)は、一時保留部26に搬送された紙幣の金種と、一時保留部26への当該紙幣の集積順序を対応付けて記憶する。
【0041】
例えば、図4に示したように、一時保留部26に紙幣b1が最初に集積され、続いて、紙幣b2〜b5が集積され、最後に紙幣b6が集積された場合、記憶部34は、図5に示したように、紙幣b1〜b6の金種と、紙幣b1〜b6の一時保留部26への集積順序を対応付けて記憶する。
【0042】
その後、利用者により入金金額が確認されると、一時保留部26に集積された紙幣がLIFO(Last In Fast Out)に従って回収カセット28に搬送される(第2の過程)。
【0043】
ここで、図6に示すように、回収カセット28への搬送時の紙幣b3の鑑別結果が金種不明であった場合を考える。この場合、制御部32(図3)は、紙幣b3の金種を、紙幣b3の回収カセット28への集積順序から、紙幣b3が一時保留部26に集積された順序を判断し、紙幣b3が一時保留部26に集積された順序と記憶部34において対応付けられている金種として扱う。
【0044】
より具体的には、紙幣b3の回収カセット28への集積順序は「4」であるので、紙幣b3が一時保留部26に集積された順序は「3」であると判断される。このため、制御部32は、紙幣b3の金種を、記憶部34において集積順序「3」と対応付けられている五千円として扱う。
【0045】
このように、第1の動作例によれば、回収カセット28への搬送時に金種不明の紙幣が発生した場合であっても、入金計数処理で得られた鑑別結果とのマッチングにより当該紙幣の金種を特定することが可能である。したがって、回収カセット28に収納した各金種の紙幣枚数および金額をより高精度に確定することが可能となる。
【0046】
(第1の動作例のフローの整理)
以下、図7を参照し、上述した第1の動作例のフローを整理する。図7に示したように、まず、紙幣入金口22に紙幣が投入されると(S104)、当該紙幣は鑑別部23に搬送され、鑑別部23が当該紙幣を鑑別する(S108)。そして、鑑別結果が正常でなかった場合、当該紙幣は紙幣リジェクト部24に搬送される(S116)。
【0047】
一方、鑑別結果が正常であった場合、当該紙幣は一時保留部26に集積される(S120)。また、記憶部34が、当該紙幣の金種と、一時保留部26への当該紙幣の集積順序とを対応付けて記憶する(S124)。
【0048】
その後、全ての紙幣について一時保留部26への搬送が終了すると、操作表示部18が入金金額を表示する(S130)。これに対し、利用者により入金金額の確認操作が行われると(S134)、制御部32は、一時保留部26に集積された紙幣を回収カセット28に搬送するための制御を開始する(S138)。
【0049】
その際、鑑別部23が紙幣を鑑別し(S142)、鑑別部23により鑑別された紙幣が回収カセット28に搬送される(S146)。ここで、鑑別部23による鑑別結果が金種不明であった場合、制御部32は、記憶部34に記憶されている金種と一時保留部26への集積順序を示す情報に基づき、当該紙幣の金種を特定する(S154)。そして、一時保留部26に集積された全ての紙幣の搬送が終了すると、入金取引が終了する(S158)。
【0050】
(第1の動作例の補足)
ところで、第1の動作例は、一時保留部26への集積順序と、回収カセット28への搬送順序に基づいて、同一紙幣に関する2回の金種の鑑別結果を比較することが可能である。しかし、走行状態によっては、搬送される紙幣の枚数を鑑別部23が正確に鑑別できない場合が想定される。この場合、以降に一時保留部26から鑑別部23に搬送される紙幣が何番目に搬送された紙幣であるかを正確に特定できなくなるので、2回の金種の鑑別結果を直接的に比較することが困難となる。
【0051】
そこで、鑑別部23が搬送される紙幣の枚数の鑑別に失敗した場合、失敗後に鑑別部23が鑑別した金種の順列と、記憶部34に記憶されている金種の順列とを比較することにより、一時保留部26から何番目に搬送された紙幣であるかを推定してもよい。具体的には、失敗後に鑑別部23が鑑別した金種の順列が「千円、5千円、1万円」であった場合、制御部32は、「千円、5千円、1万円」という順列に一致する部分を記憶部34から検索してもよい。これにより、制御部32は、「千円、5千円、1万円」という順列部分に対応する集積順序を抽出することにより、失敗後に鑑別部23が鑑別した紙幣が何番目に搬送された紙幣であるかを推定することが可能となる。
【0052】
<4.第2の動作例>
続いて、本実施形態の第2の動作例を説明する。第2の動作例の背景として、一時保留部26から搬送される紙幣を鑑別部23による鑑別結果に関係なく回収カセット28に収納すると、ジャムの発生率が高くなるという問題が挙げられる。すなわち、鑑別部23により金種不明と鑑別された紙幣や、正常でないと鑑別された紙幣は、汚損、折れまたは破れなどの紙幣であることが多いので、このような紙幣は回収カセット28への収納時にジャムとなる確率が高い。なお、一時保留部26への搬送時に正常と鑑別された紙幣であっても、その後の搬送により折れや破れが発生し、一時保留部26からの搬送時には正常でないと鑑別されることも考えられる。
【0053】
第2の動作例によれば、上記のような回収カセット28でのジャムの発生を抑制することが可能である。以下、図8を参照し、第2の動作例について詳細に説明する。
【0054】
図8は、第2の動作例による入金取引を示した説明図である。第2の動作例による制御部32は、図8に示したように、一時保留部26からの紙幣の搬送時に、鑑別部23による鑑別結果が正常であった正常紙幣を回収カセット28に搬送する。
【0055】
一方、制御部32は、図8に示したように、鑑別部23による鑑別結果が正常でなかった金種不明紙幣およびリジェクト紙幣を、返却のために紙幣入金口22に搬送する。そして、制御部32は、入金取引を終了せずに、利用者に返却された紙幣の再入金を誘導する画面を操作表示部18に表示させる。
【0056】
このように、本実施形態の第2の動作例によれば、ジャムの発生を誘発しそうな紙幣が回収カセット28に収納されることを回避できるので、ジャムの発生を抑制すると同時に、回収カセット28の各金種の紙幣枚数および金額を確定することが可能となる。
【0057】
(第2の動作例のフローの整理)
以下、図9を参照し、上述した第2の動作例のフローを整理する。図9に示したように、まず、紙幣入金口22に紙幣が投入されると(S104)、当該紙幣は鑑別部23に搬送され、鑑別部23が当該紙幣を鑑別する(S108)。そして、鑑別結果が正常でなかった場合、当該紙幣は紙幣リジェクト部24に搬送される(S116)。一方、鑑別結果が正常であった場合、当該紙幣は一時保留部26に集積される(S120)。
【0058】
その後、全ての紙幣について一時保留部26への搬送が終了すると、操作表示部18が入金金額を表示する(S130)。これに対し、利用者により入金金額の確認操作が行われると(S134)、制御部32は、一時保留部26に集積された紙幣を回収カセット28に搬送するための制御を開始する(S138)。
【0059】
その際、鑑別部23が紙幣を鑑別する(S142)。ここで、制御部32は、鑑別部23による鑑別結果が正常であった紙幣を回収カセット28に搬送する(S162、S166)。一方、制御部32は、鑑別部23による鑑別結果が正常でなかった紙幣を返却のために紙幣入金口22へ搬送し(S170)、紙幣の再投入を誘導する画面を操作表示部18に表示させる(S174)。
【0060】
そして、一時保留部26に集積された全ての紙幣の搬送が終了すると、紙幣入金口22から返却した紙幣があった場合には取引を終了せず、紙幣入金口22に紙幣が再投入された場合にはS108からの処理を繰り返す。なお、紙幣が再投入されなかった場合でも、利用者により終了を指示する操作が行われた場合、入金機1は入金取引を終了してもよい。
【0061】
<5.第3の動作例>
続いて、本実施形態の第3の動作例を説明する。第3の動作例の背景として、一時保留部26から回収カセット28への搬送時に鑑別部23が金種を誤って鑑別し得ることが挙げられる。この場合、回収カセット28に実際に収納されている紙幣の金額と、入金機1が回収カセット28に収納されていると認識している在高とが一致しなくなる。本実施形態の第3の動作例は、このような背景から創作されたものであり、第3の動作例によれば、回収カセット28の在高の精度を一層向上することが可能である。以下、図10および図11を参照して詳細に説明する。
【0062】
第3の動作例による入金取引は、一時保留部26に紙幣を集積するまでの処理は第1の動作例と共通する。すなわち、第3の動作例においても、図4および図5を参照して説明したように、記憶部34が、一時保留部26に搬送された紙幣の金種と、一時保留部26への当該紙幣の集積順序を対応付けて記憶する。一方、第3の動作例は、図10に示すように、一時保留部26から搬送される紙幣の扱い方が第1の実施形態と異なる。
【0063】
図10は、第3の動作例による入金取引を示した説明図である。なお、図10は、図4に示したように一時保留部26に紙幣b1〜b6が集積された後の処理を示している。図10に示したように、制御部32は、一時保留部26に集積された紙幣をLIFOに従って鑑別部23に搬送する。すなわち、制御部32は、鑑別部23に紙幣b6を最初に搬送し、続いて紙幣b5〜b2を搬送し、最後に紙幣b1を搬送する。
【0064】
そして、鑑別部23により各紙幣の金種が鑑別されると、制御部32は、各紙幣の鑑別された金種が、記憶部34に記憶されている各紙幣の金種と一致するか否かを判断する。具体的には、制御部32は、各紙幣の鑑別部23への搬送順序から、各紙幣が一時保留部26に集積された順序を判断し、各紙幣が一時保留部26に集積された順序と記憶部34で対応付けられている金種と、今回鑑別部23により鑑別された紙幣の金種とを比較する。図10に示した例では、紙幣b3について記憶部34に記憶されている金種は五千円であるのに対し、今回の紙幣b3の鑑別結果は千円であるので、制御部32は、双方の金種が異なると判断する。
【0065】
さらに、制御部32は、双方の金種が一致する紙幣は回収カセット28に搬送し、双方の金種が異なる紙幣は返却のために紙幣入金口22に搬送する。図10に示した例では、紙幣b1、b2、b4〜b6を回収カセット28に搬送し、紙幣b3を紙幣入金口22に搬送する。
【0066】
このように、第3の動作例によれば、入金計数処理において鑑別された金種と、回収カセット28への収納処理において鑑別された金種が一致する紙幣のみを回収カセット28に収納することにより、回収カセット28の在高の精度を一層向上することが可能である。
【0067】
(第3の動作例のフローの整理)
以下、図11を参照し、上述した第3の動作例のフローを整理する。なお、入金計数処理を含むS104〜S130の処理は第1の動作例と実質的に同一であるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0068】
図11に示したように、利用者により入金金額の確認操作が行われると(S134)、制御部32は、一時保留部26に集積された紙幣を回収カセット28に搬送するための制御を開始する(S138)。
【0069】
その際、鑑別部23が紙幣を鑑別する(S142)。ここで、制御部32は、記憶部34を参照し、今回鑑別された金種と、入金計数処理で鑑別された金種が一致するか否かを判断する(S184)。そして、制御部32は、双方の金種が一致する場合には紙幣を回収カセット28に搬送し(S188)、異なる場合には紙幣を返却のために紙幣入金口22に搬送する(S192)。そして、一時保留部26に集積された全ての紙幣の搬送が終了すると、入金取引が終了する(S196)。
【0070】
(第3の動作例の補足)
ところで、第3の動作例は、一時保留部26への集積順序と、一時保留部26からの搬送順序に基づいて、同一紙幣に関する2回の金種の鑑別結果を比較することが可能である。しかし、走行状態によっては、搬送される紙幣の枚数を鑑別部23が正確に鑑別できない場合が想定される。この場合、以降に一時保留部26から鑑別部23に搬送される紙幣が何番目に搬送された紙幣であるかを正確に特定できなくなるので、2回の金種の鑑別結果を直接的に比較することが困難となる。
【0071】
そこで、鑑別部23が搬送される紙幣の枚数の鑑別に失敗した後は、第3の動作例を中止し、通常通りに全ての紙幣を回収カセット28に搬送してもよいし、第2の動作例に移行してもよい。
【0072】
<6.むすび>
以上説明したように、本実施形態の第1の動作例によれば、回収カセット28への搬送時に金種不明の紙幣が発生した場合であっても、入金計数処理で得られた鑑別結果とのマッチングにより当該紙幣の金種を特定することが可能である。したがって、回収カセット28に収納した各金種の紙幣枚数および金額をより高精度に確定することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態の第2の動作例によれば、ジャムの発生を誘発しそうな紙幣が回収カセット28に収納されることを回避できるので、ジャムの発生を抑制すると同時に、回収カセット28の各金種の紙幣枚数および金額を確定することが可能となる。
【0074】
さらに、本実施形態の第3の動作例によれば、入金計数処理において鑑別された金種と、回収カセット28への収納処理において鑑別された金種が一致する紙幣のみを回収カセット28に収納することにより、回収カセット28の在高の精度を一層向上することが可能である。
【0075】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
例えば、本明細書の入金機1の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、入金機1の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0077】
また、入金機1に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した入金機1の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0078】
1 入金機
12 硬貨入金口
14 硬貨リジェクト部
16 硬貨返却箱
18 操作表示部
22 紙幣入金口
23 鑑別部
24 紙幣リジェクト部
26 一時保留部
28 回収カセット
32 制御部
34 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣入金口と、
前記紙幣入金口に入金された入金紙幣を一時的に集積する一時保留部と、
前記紙幣入金口から前記一時保留部へ前記入金紙幣が搬送される第1の過程、および前記一時保留部から前記入金紙幣が搬送される第2の過程において前記入金紙幣を鑑別する鑑別部と、
同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する制御部と、
を備える、紙幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の過程において金種の鑑別結果が得られ、前記第2の過程における鑑別結果が金種不明であった入金紙幣の金種を、前記第1の過程における鑑別結果の金種として扱う、請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記紙幣処理装置は、紙幣集積部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1の過程で得られた金種の鑑別結果と前記第2の過程で得られた金種の鑑別結果が一致する入金紙幣が前記紙幣集積部へ搬送され、
前記第1の過程で得られた金種の鑑別結果と前記第2の過程で得られた金種の鑑別結果が異なる入金紙幣が外部に返却されるように前記入金紙幣の搬送を制御する、請求項2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記第2の過程において前記鑑別部が入金紙幣の枚数の判別に失敗し、同一紙幣についての前記第1の過程での鑑別結果と前記第2の過程での鑑別結果との対応関係が不明になった場合、前記制御部は、第2の過程で得られた鑑別結果に従って入金紙幣の搬送を制御する、請求項3に記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
前記第1の過程における各入金紙幣の鑑別結果を前記一時保留部への集積順序と対応付けて記憶する記憶部をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
紙幣入金口から一時保留部へ入金紙幣を搬送する第1の過程と、
前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する第2の過程と、
を含み、
前記第1の過程および前記第2の過程の各々において前記入金紙幣の鑑別を行い、
同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する、紙幣処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
紙幣入金口から一時保留部へ入金紙幣を搬送する第1の過程と、
前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する第2の過程と、
を実行する紙幣処理装置であって、
前記第1の過程および前記第2の過程の各々において前記入金紙幣の鑑別を行い、
同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する紙幣処理装置として機能させるための、プログラム。
【請求項8】
紙幣入金口と、
前記紙幣入金口に入金された入金紙幣を一時的に集積する一時保留部と、
紙幣集積部と、
前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する過程において前記入金紙幣を鑑別する鑑別部と、
前記鑑別部により正常な鑑別結果が得られた入金紙幣は前記紙幣集積部に搬送され、前記鑑別部により正常な鑑別結果が得られなかった入金紙幣は前記紙幣入金口に搬送されるように各入金紙幣の搬送を制御する制御部と、
を備える、紙幣処理装置。
【請求項1】
紙幣入金口と、
前記紙幣入金口に入金された入金紙幣を一時的に集積する一時保留部と、
前記紙幣入金口から前記一時保留部へ前記入金紙幣が搬送される第1の過程、および前記一時保留部から前記入金紙幣が搬送される第2の過程において前記入金紙幣を鑑別する鑑別部と、
同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する制御部と、
を備える、紙幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の過程において金種の鑑別結果が得られ、前記第2の過程における鑑別結果が金種不明であった入金紙幣の金種を、前記第1の過程における鑑別結果の金種として扱う、請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記紙幣処理装置は、紙幣集積部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1の過程で得られた金種の鑑別結果と前記第2の過程で得られた金種の鑑別結果が一致する入金紙幣が前記紙幣集積部へ搬送され、
前記第1の過程で得られた金種の鑑別結果と前記第2の過程で得られた金種の鑑別結果が異なる入金紙幣が外部に返却されるように前記入金紙幣の搬送を制御する、請求項2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記第2の過程において前記鑑別部が入金紙幣の枚数の判別に失敗し、同一紙幣についての前記第1の過程での鑑別結果と前記第2の過程での鑑別結果との対応関係が不明になった場合、前記制御部は、第2の過程で得られた鑑別結果に従って入金紙幣の搬送を制御する、請求項3に記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
前記第1の過程における各入金紙幣の鑑別結果を前記一時保留部への集積順序と対応付けて記憶する記憶部をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
紙幣入金口から一時保留部へ入金紙幣を搬送する第1の過程と、
前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する第2の過程と、
を含み、
前記第1の過程および前記第2の過程の各々において前記入金紙幣の鑑別を行い、
同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する、紙幣処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
紙幣入金口から一時保留部へ入金紙幣を搬送する第1の過程と、
前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する第2の過程と、
を実行する紙幣処理装置であって、
前記第1の過程および前記第2の過程の各々において前記入金紙幣の鑑別を行い、
同一の入金紙幣の前記第1の過程における鑑別結果と前記第2の過程における鑑別結果との関係に応じて前記入金紙幣の扱いを決定する紙幣処理装置として機能させるための、プログラム。
【請求項8】
紙幣入金口と、
前記紙幣入金口に入金された入金紙幣を一時的に集積する一時保留部と、
紙幣集積部と、
前記一時保留部から前記入金紙幣を搬送する過程において前記入金紙幣を鑑別する鑑別部と、
前記鑑別部により正常な鑑別結果が得られた入金紙幣は前記紙幣集積部に搬送され、前記鑑別部により正常な鑑別結果が得られなかった入金紙幣は前記紙幣入金口に搬送されるように各入金紙幣の搬送を制御する制御部と、
を備える、紙幣処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−50782(P2013−50782A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187307(P2011−187307)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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