説明

紙幣処理装置および収納庫

【課題】収納庫の入れ換えを行った場合にも、故障が発生していないと判断された収納庫のみの動作を自動的に行わせることができる紙幣処理装置および収納庫を提供する。
【解決手段】紙幣処理装置10は、装置本体10aと、装置本体10aに着脱自在に設けられ、装置本体10aから送られた紙幣を収納する複数の収納庫30、32、34、36と、各収納庫30、32、34、36の制御を行う制御部50とを備えている。各収納庫30、32、34、36には、当該収納庫30、32、34、36に故障が発生しているか否かの故障情報を記憶する記憶部30m〜36mがそれぞれ設けられている。制御部50は、記憶部30m〜36mに記憶された故障情報に基づいて、故障が発生していないと判断された収納庫のみの動作を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣の収納を行う収納庫が着脱自在に複数設けられた紙幣処理装置、および収納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙幣の収納を行う収納庫が着脱自在に複数設けられた紙幣処理装置として、様々なタイプのものが知られている。例えば、特許文献1には、複数の収納庫が設けられた紙幣処理装置において、一部の収納庫で故障が発生したときに、この故障が発生した収納庫を使用しないで他の正常な収納庫のみを動作させるような縮退運用が行われることが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、入金庫、出金庫、リサイクル庫、リジェクト庫、装填・回収庫の各収納庫を任意に入れ換えることができるような紙幣入出金機が開示されている。このような紙幣入出金機では、各収納庫の入れ換えを行うと、当該紙幣入出金機に設けられた制御部において各収納庫に関する情報が無効となるため、収納庫の入れ換えを行う度に制御部において各収納庫の再設定が行われるようになっている。
【0004】
また、特許文献3には、金種別に紙幣の収納を行う金種別カセットにメモリが設けられており、各金種別カセットの各メモリに、当該金種別カセットの開閉日時や金種別の収納紙幣の枚数等が記憶されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−291145号公報
【特許文献2】特開2000−20783号公報
【特許文献3】特開2001−6018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1には、一部の収納庫で故障が発生したときに、この故障が発生した収納庫を使用しないで他の正常な収納庫のみを動作させるような縮退運用が行われることが開示されている。一方、特許文献2に示すように、各収納庫の入れ換えを行うことができるようなタイプの紙幣処理装置では、各収納庫の入れ換えを行うと、制御部において各収納庫の再設定を行う必要がある。このようなタイプの紙幣処理装置で、ある収納庫で故障が動作中に発生すると、この収納庫を外しておく、新たな収納庫に交換する、またはこの故障が発生した収納庫を使用しないで他の正常な収納庫のみを動作させるような縮退運用を行うこととなる。ここで、同じ種類の収納庫が複数設けられている場合には、各収納庫の入れ換えを行う際にどの収納庫に故障が発生しているかを操作者が認識しておかなければならない。また、各収納庫の入れ換えを行った場合は、縮退運用の対象となる収納庫、すなわち故障しており縮退運用で使用されないような収納庫の場所を制御部において再設定しなければならず、この際に操作者が故障した収納庫について誤装着や誤設定を行ってしまうおそれがある。
【0007】
また、紙幣の収納を行う収納部が収納庫に複数設けられている場合には、収納庫に設けられた複数の収納部のうちある収納部に故障が発生したときに、各収納庫の入れ換えを行った際の制御部における再設定が更に複雑なものとなる。また、この場合、縮退運用を収納庫毎に行っていると、使用可能な収納部まで縮退運用の対象となってしまう。また、複数の収納部の情報を得るために必要な信号線の数が増えていくため、配線が複雑になり、コストも増加してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、各収納庫に、当該収納庫に故障が発生しているか否かの故障情報を記憶する記憶部がそれぞれ設けられているので、故障している収納庫を制御部は容易に認識することができ、このため、各収納庫の入れ換えを行った場合にも故障が発生していないと判断された収納庫のみの動作を自動的に行わせることができるような紙幣処理装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、このような紙幣処理装置に設けられた収納庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、装置本体と、前記装置本体に着脱自在に設けられ、前記装置本体から送られた紙幣を収納する複数の収納庫であって、前記各収納庫に、当該収納庫に故障が発生しているか否かの故障情報を記憶する記憶部がそれぞれ設けられている複数の収納庫と、前記各収納庫の制御を行う制御部であって、前記各収納庫の制御を行うにあたり、当該各収納庫にそれぞれ設けられた前記記憶部に記憶された故障情報に基づいて、故障が発生していないと判断された収納庫のみの動作を行わせる制御部と、を備えたことを特徴とする紙幣処理装置である。
【0010】
このような紙幣処理装置によれば、各収納庫に、当該収納庫に故障が発生しているか否かの故障情報を記憶する記憶部がそれぞれ設けられており、制御部は、各収納庫の制御を行うにあたり、各記憶部に記憶された故障情報に基づいて、故障が発生していないと判断された収納部のみの動作を行わせるようになっている。このことにより、故障している収納庫を制御部は容易に認識することができ、このため、各収納庫の入れ換えを行った場合にも故障が発生していないと判断された収納庫のみの動作を自動的に行わせることができる。
【0011】
本発明の紙幣処理装置においては、前記制御部は、前記各収納庫のうちある収納庫に故障が発生していると判断したときには、当該収納庫の前記記憶部に故障情報を書き込むようになっていてもよい。
【0012】
本発明の紙幣処理装置においては、前記各収納庫は、1または複数の収納部を有しており、各収納部にそれぞれ紙幣が収納されるようになっており、前記記憶部に記憶される故障情報は、各収納部にそれぞれ故障が発生しているか否かに関するものであり、前記制御部は、前記各収納庫の制御を行うにあたり、当該各収納庫にそれぞれ設けられた前記記憶部に記憶された故障情報に基づいて、前記各収納庫にそれぞれ設けられた1または複数の収納部のうち故障が発生していないと判断された収納部のみの動作を行わせるようになっていてもよい。このような紙幣処理装置によれば、収納部が複数設けられた収納庫を用いた際に、この収納庫におけるある一つの収納部に故障が発生した場合でも、他の収納部を利用することができる。また、この収納庫の記憶部に記憶される故障情報は、各収納部にそれぞれ故障が発生しているか否かに関するものであるので、収納庫の入れ換えを行った場合でも制御部における再設定を容易に行うことができる。
【0013】
上述のような紙幣処理装置においては、前記装置本体には装置本体通信部が設けられており、前記各収納庫には収納庫通信部がそれぞれ設けられており、前記収納庫が前記装置本体に装着されたときに、前記収納部の数にかかわらず同一の種類の通信用接続部により前記装置本体通信部と前記収納庫通信部とが接続されてこれらの装置本体通信部と収納庫通信部との間で故障情報が送受信されるようになっていてもよい。このような紙幣処理装置によれば、複数の収納部の情報を得るために必要な信号線の数が増えることを防止することができ、配線をシンプルとすることができるとともにコストを低減することができる。
【0014】
本発明は、紙幣処理装置の装置本体に着脱自在に設けられた収納庫であって、前記装置本体から送られた紙幣を収納する収納部と、前記収納庫に故障が発生しているか否かの故障情報を記憶する記憶部と、を備えたことを特徴とする収納庫である。
【0015】
このような収納庫によれば、各収納庫の入れ換えを行った場合にも故障が発生していないと判断された収納庫のみの動作を自動的に行うことができる。
【0016】
本発明の収納庫においては、前記収納部は1または複数設けられており、各収納部にそれぞれ紙幣が収納されるようになっており、前記記憶部に記憶される故障情報は、各収納部にそれぞれ故障が発生しているか否かに関するものであってもよい。
【0017】
上述のような収納庫においては、前記装置本体に設けられた装置本体通信部と通信を行うための収納庫通信部と、前記装置本体に装着されたときに、前記収納庫通信部と前記装置本体に設けられた装置本体通信部とを接続するための通信用接続部と、を更に備え、前記通信用接続部は、前記収納部の数にかかわらず同一の種類のものが用いられるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の紙幣処理装置によれば、当該紙幣処理装置に設けられた制御部は故障している収納庫を容易に認識することができ、このため、各収納庫の入れ換えを行った場合にも故障が発生していないと判断された収納庫のみの動作を自動的に行わせることができる。
【0019】
また、本発明の収納庫によれば、各収納庫の入れ換えを行った場合にも故障が発生していないと判断された収納庫のみの動作を自動的に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一の実施の形態による紙幣処理装置の一の構成を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す紙幣処理装置の制御ブロック図である。
【図3】本発明の一の実施の形態による紙幣処理装置の他の構成を示す概略構成図である。
【図4】図3に示す紙幣処理装置の制御ブロック図である。
【図5】図3に示す紙幣処理装置において、各収納カセットおよびカセット収容部にそれぞれ設けられた通信用コネクタの一の構成を示す概略図である。
【図6】図3に示す紙幣処理装置において、各収納カセットおよびカセット収容部にそれぞれ設けられた通信用コネクタの他の構成を示す概略図である。
【図7】図1や図3に示す紙幣処理装置における収納カセットの構成の詳細を示す構成図であって、紙幣を収納カセットに収納するときの動作を示す図である。
【図8】図1や図3に示す紙幣処理装置における収納カセットの構成の詳細を示す構成図であって、紙幣を収納カセットから繰り出すときの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1および図2は、本実施の形態に係る紙幣処理装置を示す図である。
【0022】
本実施の形態による紙幣処理装置10の構成の概要について図1を用いて説明する。紙幣処理装置10は、略直方体形状の筐体12と、筐体12の外部から内部に紙幣を投入するための紙幣投入部14と、筐体12の内部にある紙幣を外部に投出するための紙幣投出部16と、を備えている。紙幣投入部14には、紙幣の投入口の開閉を行うシャッター(図示せず)が設けられている。また、紙幣投出部16には、紙幣の投出口の開閉を行うシャッター(図示せず)が設けられている。筐体12の内部には、紙幣投入部14により筐体12の内部に1枚ずつ繰り入れられた紙幣を筐体12内で搬送する搬送部28が設けられている。また、搬送部28には識別部22が設けられており、この識別部22は、例えば紙幣投入部14により筐体12の内部に繰り入れられ搬送部28により搬送される紙幣の金種、真偽、正損等を識別するようになっている。識別部22による紙幣の識別結果は後述する制御部50に送られるようになっている。
【0023】
また、筐体12の内部において搬送部28にはリジェクト部18が設けられている。そして、紙幣投入部14により筐体12の内部に繰り入れられ識別部22で識別された紙幣のうち正常な紙幣ではないと識別されたリジェクト紙幣は搬送部28からリジェクト部18に送られるようになっている。リジェクト部18は筐体12の外部に連通しており、リジェクト部18に送られたリジェクト紙幣は筐体12の外部から取り出すことができるようになっている。また、筐体12の内部において搬送部28には一時保留部20が接続されている。一時保留部20は、紙幣投入部14により筐体12の内部に繰り入れられ識別部22で識別された紙幣のうち正常な紙幣であると識別された紙幣を一時的に保留するようになっている。
【0024】
また、紙幣処理装置10には複数の(例えば4つの)金種毎の収納カセット30、32、34、36が設けられており、これらの収納カセット30、32、34、36には紙幣が金種別に収納されるようになっている。各収納カセット30、32、34、36は、紙幣処理装置10の装置本体10aに着脱自在に設けられている。より詳細には、4つの収納カセット30、32、34、36が収容されるカセット収容部38が装置本体10aに設けられており、このカセット収容部38は装置本体10aから水平方向に引き出すことができるようになっている。そして、カセット収容部38が装置本体10aから引き出された後、各収納カセット30、32、34、36をそれぞれカセット収容部38から上方向に取り出すことができるようになっている。
【0025】
各収納カセット30、32、34、36にはそれぞれ1つの収納部30a、32a、34a、36aが設けられており、装置本体10aの搬送部28から各収納カセット30、32、34、36に送られた紙幣は各収納部30a、32a、34a、36aに収納されるようになっている。より詳細には、各収納部30a、32a、34a、36aには紙幣が集積される集積台が昇降自在にそれぞれ設けられており、この集積台上に紙幣が積層状態で集積されるようになっている。また、各収納部30a、32a、34a、36aはそれぞれ繰出機構30p、32p、34p、36pを有しており、各収納部30a、32a、34a、36aに収納された紙幣を各繰出機構30p、32p、34p、36pにより装置本体10aの搬送部28に1枚ずつ繰り出すことができるようになっている。
【0026】
ここで、各収納カセット30、32、34、36は全く同一のタイプのものからなり、その寸法、紙幣の収納可能枚数、収納部や繰出機構の位置等も同一となっている。このため、各収納カセット30、32、34、36について、他の収納カセットとの入れ換えを行うことが可能となっている。具体的には、例えば図1に示すような状態から収納カセット30および収納カセット32を互いに入れ換えてもよく、また、図1に示すような状態から収納カセット30を装置本体10aから抜き出し、同じタイプの新たな収納カセットを、収納カセット30が抜き出された箇所に装着してもよい。
【0027】
また、各収納カセット30、32、34、36には、当該収納カセット30、32、34、36に故障(例えば、ローラの摩耗や一時的な集積不良等)が発生しているか否かの検出を行う検出部がそれぞれ設けられている。ここで、各収納カセット30、32、34、36の構成の詳細について、図7および図8を用いて説明する。図7は、紙幣を各収納カセット30、32、34、36に収納するときの動作を示す図であり、図8は、紙幣を各収納カセット30、32、34、36から繰り出すときの動作を示す図である。
【0028】
以下、各収納カセット30、32、34、36の構成について、収納カセット30を代表的に用いて説明する。収納カセット30は、各紙幣ガイド82a、82b、82c、82d、82eを有している。一対の紙幣ガイド82a、82bの間にはステージ94が設けられており、このステージ94上に紙幣が積層状態で集積されるようになっている。また、ステージ94は昇降するようになっている。ステージ94の上方には紙幣ガイド82cが設けられており、この紙幣ガイド82cの近傍には落下ガイド92が設けられている。この落下ガイド92は軸92aにより回転自在に支持されており、落下ガイド92の先端部分はステージ94上の複数の紙幣のうち最上位にある紙幣の表面に当接するようになっている。また、収納カセット30には集積紙幣検出センサ96が設けられており、この集積紙幣検出センサ96により、紙幣ガイド82c近傍にある紙幣が検出されるようになっている。また、搬送部28には一対の紙幣ガイド82d、82eが接続されており、この一対の紙幣ガイド82d、82eの間で紙幣が搬送されてステージ94上に送られるようになっている。一対の紙幣ガイド82d、82eには紙幣右端部分検出センサ84aおよび紙幣左端部分検出センサ84bがそれぞれ設けられている。紙幣右端部分検出センサ84aは、一対の紙幣ガイド82d、82eの間で搬送される紙幣の幅方向右端部分を検出するようになっており、紙幣左端部分検出センサ84bは、一対の紙幣ガイド82d、82eの間で搬送される紙幣の幅方向左端部分を検出するようになっている。また、一対の紙幣ガイド82d、82eと紙幣ガイド82cとの接続箇所の近傍にはフィードローラ86が設けられており、このフィードローラ86にはゲートローラ88が対向して設けられている。ゲートローラ88の外周面には複数の札叩きゴム88aが取り付けられている。ゲートローラ88の回転軸には図示しないワンウェイクラッチが取り付けられており、ゲートローラ88は、図7における反時計回りの方向には回転しないようになっている。また、紙幣ガイド82cの近傍にはキッカローラ90が設けられている。フィードローラ86、ゲートローラ88およびキッカローラ90により、収納カセット30の繰出機構30pが構成されている。
【0029】
紙幣を収納カセット30に収納させる際には、図7に示すように、フィードローラ86が図7における反時計回りの方向に回転し、ゲートローラ88もフィードローラ86に連れ回って図7における時計回りの方向に回転する。そして、搬送部28から一対の紙幣ガイド82d、82eの間に送られた紙幣はフィードローラ86とゲートローラ88の間を通って1枚ずつステージ94上に送られる。この際に、ステージ94は徐々に降下する。より具体的には、集積紙幣検出センサ96により紙幣が検出されると、この集積紙幣検出センサ96により紙幣が検出されなくなるまでステージ94は降下する。一方、紙幣を収納カセット30から繰り出す際には、ステージ94が徐々に上昇し、ステージ94上の複数の紙幣のうち最上位にある紙幣がキッカローラ90に接触する。この際に、図8に示すように、フィードローラ86が図8における時計回りの方向に回転する。一方、ゲートローラ88は回転せずに停止する。また、キッカローラ90は図8における時計回りの方向に回転する。このことにより、ステージ94上の紙幣がキッカローラ90によりフィードローラ86に向かって蹴り出される。そして、蹴り出された紙幣はゲートローラ88により1枚ずつ分離されてフィードローラ86により繰り出される。その後、繰り出された紙幣は一対の紙幣ガイド82d、82eの間を通って搬送部28に送られる。
【0030】
紙幣を収納カセット30から繰り出す際に、紙幣右端部分検出センサ84aおよび紙幣左端部分検出センサ84bにより、紙幣の幅方向右端部分および幅方向左端部分がそれぞれ検出される。そして、両方の検出センサ84a、84bの検出タイミングの差を計算して紙幣の斜行を検出する。より具体的には、斜行量が所定量より大きいとき、繰り出し不良による紙幣の斜行として検出する。また、紙幣の繰り出し開始後、紙幣が通過するまでの時間や、通過する紙幣の間隔を計算し、前述の時間が所定値を超えたり、前述の間隔が所定値を超えたり、ばらつきの範囲が大きいときに、紙幣の繰り出し不良として検出してもよい。
【0031】
また、紙幣を収納カセット30に収納する際に、前述のように、集積紙幣検出センサ96で集積紙幣の上端を検出し、検出したときは集積スペースを確保するためにステージ94を降下させるが、ステージ94を所定量以上降下させても集積紙幣検出センサ96が依然として紙幣を検出するときには、集積スペース内で紙幣が折れ曲がるなど正常に集積されていない可能性が高いので、紙幣の集積不良として検出する。また、紙幣の集積不良を検出するにあたり、検出集積紙幣検出センサ96の代わりに、落下ガイド92の位置を検出してもよい。
【0032】
また、ステージ94の昇降動作をフォトセンサ(図示せず)やロータリエンコーダ(図示せず)により監視し、ステージの昇降動作が命令通りに行われていないときに、ステージ動作不良の故障として検出される。
【0033】
上述のような様々な紙幣の繰り出し不良、紙幣の集積不良、ステージ故障等をまとめて、以下の記載では「カセット30に設けられた検出部により故障が検出される」という。
【0034】
また、紙幣処理装置10の装置本体10aには、精査処理を行う際に紙幣が一時的に収納される精査用収納部24が設けられている。この精査用収納部24は搬送部28に接続されており、各収納カセット30、32、34、36内の紙幣の精査処理を行う際に当該収納カセット30、32、34、36から紙幣が搬送部28を経由して収納されるとともにこの収納された紙幣を搬送部28に繰り出すことができるようになっている。より詳細には、精査用収納部24は繰出機構24pを有しており、精査用収納部24に収納された紙幣を繰出機構24pにより搬送部28に繰り出すことができるようになっている。
【0035】
また、紙幣処理装置10の装置本体10aには、例えば金種が混合した状態で紙幣を収納する混合収納部26が設けられている。この混合収納部26は搬送部28に接続されており、搬送部28から様々な金種の紙幣が送られて収納されるとともにこの収納された紙幣を搬送部28に繰り出すことができるようになっている。より詳細には、混合収納部26は繰出機構26pを有しており、混合収納部26に収納された紙幣を繰出機構26pにより搬送部28に繰り出すことができるようになっている。
【0036】
次に、図1に示すような紙幣処理装置10の制御ブロック図について図2を用いて説明する。
【0037】
図2に示すように、紙幣処理装置10の装置本体10aには制御部50が設けられている。この制御部50は、紙幣処理装置10の各構成要素、具体的には、紙幣投入部14、紙幣投出部16、一時保留部20、搬送部28、識別部22、精査用収納部24、混合収納部26等にそれぞれ接続されている。制御部50には、識別部22による紙幣の識別結果に係る情報が当該識別部22から送られるようになっている。また、制御部50は、紙幣投入部14、紙幣投出部16、一時保留部20、搬送部28、精査用収納部24、混合収納部26等の各々の制御を行うようになっている。
【0038】
また、図2に示すように、制御部50には表示操作部52が接続されている。表示操作部52は例えば紙幣処理装置10の筐体12の上面に設けられている。この表示操作部52は、紙幣処理装置10における紙幣の処理状況等を表示するようになっている。また、操作者が制御部50に対して表示操作部52により様々な指令を与えることができるようになっている。表示操作部52は例えばタッチパネルより構成されている。
【0039】
また、各収納カセット30〜36が装置本体10aに装着されたときに、各収納カセット30〜36における各収納部30a〜36aが制御部50に通信接続されるようになっている。各収納部30a〜36aが制御部50に通信接続されると、制御部50は、各収納部30a〜36aの各々の制御を行うことができるようになる。
【0040】
また、各収納カセット30〜36が装置本体10aに装着されたときに、各収納カセット30〜36に設けられた検出部が制御部50に通信接続されるようになっている。そして、検出部によりにより収納カセット30〜36に故障が発生していることが検出された場合には、この検出情報が検出部から制御部50に送られるようになっている。
【0041】
また、図2に示すように、各収納カセット30〜36には記憶部(メモリ)30m〜36mがそれぞれ設けられている。そして、各収納カセット30〜36が装置本体10aに装着されたときに、これらの記憶部30m〜36mが制御部50に通信接続されるようになっている。各記憶部30m〜36mには、各収納カセット30〜36の開閉日時や収納紙幣の枚数等が記憶されるようになっている。また、各記憶部30m〜36mには、各収納カセット30〜36に故障が発生しているか否かの故障情報が記憶されるようになっている。
【0042】
より詳細には、各記憶部30m〜36mには、各収納カセット30〜36の開閉日時や収納紙幣の枚数等が制御部50により書き込まれ、書き込まれた内容が記憶されるようになっている。また、制御部50は、各収納カセットに設けられた検出部からの検出情報に基づいて、ある収納カセット(例えば、収納カセット30)に故障が発生していると判断したときに、この収納カセットの記憶部(例えば、記憶部30m)に故障情報を書き込むようになっている。
【0043】
制御部50は、各収納部30a、32a、34a、36aの制御を行うにあたり、各記憶部30m〜36mに記憶された故障情報に基づいて、故障が発生していないと判断された収納部のみの動作を行わせるようになっている。具体的には、例えば収納カセット32に設けられた検出部により当該収納カセット32に故障が発生したことが検出された場合には、この検出情報が検出部から制御部50に送られ、制御部50は、収納カセット32の記憶部32mに故障情報を書き込む。そして、後述するような紙幣の入金処理や出金処理、精査処理等が行われる際に、制御部50は、搬送部28から収納カセット30、34、36の各収納部30a、34a、36aには紙幣を送るが搬送部28から収納カセット32の収納部32aには紙幣を送らないよう搬送部28や各収納部30a、34a、36aを制御する。また、制御部50は、収納カセット32の収納部32aから搬送部28に紙幣を繰り出しさせないよう制御を行う。
【0044】
なお、制御部50が、各記憶部30m〜36mに記憶された故障情報に基づいて、故障が発生していないと判断された収納部のみの動作を行わせるにあたり、収納カセットに故障が1回発生しただけでこの収納カセットの収納部の動作を行わせないようにしてもよく、あるいは個々の収納カセットにおける故障が発生した回数が予め設定された所定の回数に達するとこの収納カセットの収納部の動作を行わせないようにしてもよい。後者の場合には、収納カセットにおける故障が発生した回数はこの収納カセットの記憶部に履歴情報として記憶されるようになる。また、収納カセットに故障が発生したことが検出部により検出されたときに、または収納カセットにおける故障が発生した回数が予め設定された所定の回数に達したときに、このことが表示操作部52に表示され、操作者が表示操作部52によりこの収納カセットを用いないという指令を制御部50に与えたときに、制御部50がこの収納カセットの収納部の動作を行わせないようにしてもよい。
【0045】
次に、上述のような構成からなる紙幣処理装置10の動作について以下に説明する。以下に説明する紙幣処理装置10の動作は、制御部50が紙幣処理装置10の各構成要素を制御することにより行われる。
【0046】
まず、紙幣処理装置10における紙幣の入金処理について説明する。紙幣処理装置10において紙幣の入金処理を行う際に、操作者は表示操作部52によって紙幣の入金処理を行うという指令を制御部50に与える。制御部50に対して紙幣の入金処理を行うという指令が与えられると、紙幣投入部14に設けられたシャッター(図示せず)が自動的に開く。そして、操作者は、紙幣を紙幣投入部14に投入する。その後、操作者が表示操作部52によって入金スタートの指令を制御部50に与えると、紙幣投入部14に投入された紙幣は1枚ずつ搬送部28に繰り出され、搬送部28により識別部22に送られる。そして、識別部22により紙幣の金種、真偽、正損等の識別が1枚ずつ行われる。識別部22により識別が行われた紙幣のうち、正常な紙幣は一時保留部20に送られてこの一時保留部20で一時的に保留される。一方、識別部22により識別を行うことができなかった紙幣や、識別により正常ではないと判断された紙幣はリジェクト紙幣としてリジェクト部18に送られる。
【0047】
そして、紙幣投入部14から一時保留部20またはリジェクト部18への紙幣の搬送が終了すると、表示操作部52には、紙幣の入金処理の確定を行うか否かの表示がなされる。そして、操作者が表示操作部52により紙幣の入金処理の確定の指令を制御部50に与えると、一時保留部20で一時的に保留された紙幣は1枚ずつ搬送部28に繰り出され、識別部22により再び識別が行われ、金種別に各収納カセット30、32、34、36の各収納部30a、32a、34a、36aまたは混合収納部26に収納される。この際に、各収納カセット30、32、34、36のうち一または複数の収納カセットに故障が発生している場合には、この収納カセットに設けられた記憶部に故障情報が記憶されるので、制御部50は、記憶部に故障情報が記憶された収納カセットの収納部には紙幣を搬送しないよう制御を行う。
【0048】
次に、紙幣処理装置10における紙幣の出金処理について説明する。紙幣処理装置10において紙幣の出金処理を行う際に、操作者は表示操作部52によって紙幣の出金処理を行うという指令を制御部50に与える。制御部50に対して紙幣の出金処理を行うという指令が与えられると、各収納カセット30、32、34、36の各収納部30a、32a、34a、36aおよび/または混合収納部26に収納された紙幣は1枚ずつ搬送部28に繰り出され、搬送部28により1枚ずつ搬送される。この際に、各収納カセット30、32、34、36のうち一または複数の収納カセットに故障が発生している場合には、この収納カセットに設けられた記憶部に故障情報が記憶されるので、制御部50は、記憶部に故障情報が記憶された収納カセットの収納部からは搬送部28に紙幣を繰り出さないよう制御を行う。
【0049】
そして、搬送部28に繰り出された紙幣は識別部22を通り、この識別部22により正常な紙幣であると判断された紙幣は紙幣投出部16に送られる。一方、識別部22により識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣として一時保留部20に送られる。そして、各収納部30a、32a、34a、36aおよび/または混合収納部26から紙幣投出部16または一時保留部20への紙幣の搬送が終了すると、紙幣投出部16に設けられたシャッター(図示せず)が自動的に開き、操作者は紙幣投出部16にある紙幣を取り出すこととなる。この際に、一時保留部20に保留されたリジェクト紙幣は識別部22により識別された後、各収納部30a、32a、34a、36a等に戻されることとなる。このようにして、紙幣の出金処理が完了する。
【0050】
次に、紙幣処理装置10における紙幣の精査処理について説明する。紙幣処理装置10において紙幣の精査処理を行う際に、操作者は表示操作部52によって紙幣の精査処理を行うという指令を制御部50に与える。制御部50に対して紙幣の精査処理を行うという指令が与えられると、各収納カセット30、32、34、36の各収納部30a、32a、34a、36aおよび/または混合収納部26に収納された紙幣は1枚ずつ搬送部28に繰り出され、搬送部28により1枚ずつ搬送され、識別部22により識別される。この際に、各収納カセット30、32、34、36のうち一または複数の収納カセットに故障が発生している場合には、この収納カセットに設けられた記憶部に故障情報が記憶されるので、制御部50は、記憶部に故障情報が記憶された収納カセットの収納部からは搬送部28に紙幣を繰り出さないよう制御を行う。
【0051】
そして、識別部22により識別された紙幣は精査用収納部24に送られる。各収納部30a、32a、34a、36aおよび/または混合収納部26から紙幣が全て精査用収納部24に送られると、精査用収納部24に収納された紙幣は1枚ずつ搬送部28に繰り出され、各収納部30a、32a、34a、36aや混合収納部26に戻される。このようにして、制御部50は、各収納部30a、32a、34a、36aや混合収納部26に収納された紙幣の在高を確認することができる。このような紙幣の在高は、表示操作部52に表示されるようになっている。
【0052】
また、上述のような紙幣の入金処理や出金処理、精査処理等が行われている間に、各収納カセット30、32、34、36のうちある収納カセットに故障が発生した場合には、当該収納カセットに設けられた検出部によって故障が発生したことが検出され、この検出情報が検出部から制御部50に送られる。制御部50は、検出部から送られた検出情報に基づいて、故障が発生したことが検出された収納カセットの記憶部に故障情報を書き込む。このようにして、紙幣の入金処理や出金処理、精査処理等が行われる際に、制御部50は、各収納部30a、32a、34a、36aの制御を行うにあたり、各記憶部30m〜36mに記憶された故障情報に基づいて、故障が発生していないと判断された収納カセットの収納部のみの動作を行わせるよう制御を行う。
【0053】
以上のように本実施の形態の紙幣処理装置10によれば、各収納カセット30、32、34、36に、当該収納カセット30、32、34、36に故障が発生しているか否かの故障情報を記憶する記憶部30m〜36mがそれぞれ設けられており、制御部50は、各収納カセット30、32、34、36の各収納部30a、32a、34a、36aの制御を行うにあたり、各記憶部30m〜36mに記憶された故障情報に基づいて、故障が発生していないと判断された収納部のみの動作を行わせるようになっている。このことにより、制御部50は故障している収納カセットを容易に認識することができ、このため、各収納カセット30、32、34、36の入れ換えを行った場合にも故障が発生していないと判断された収納カセットのみの動作を自動的に行わせることができる。
【0054】
また、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、制御部50は、各収納カセット30、32、34、36のうちある収納カセットに故障が発生していると判断したときには、当該収納カセットの記憶部に故障情報を書き込むようになっている。
【0055】
また、本実施の形態の収納カセット30、32、34、36によれば、装置本体10aから送られた紙幣を収納する収納部30a、32a、34a、36aと、収納カセット30、32、34、36に故障が発生しているか否かの故障情報を記憶する記憶部30m〜36mとを備えている。このような収納カセット30、32、34、36によれば、各収納カセット30、32、34、36の入れ換えを行った場合にも故障が発生していないと判断された収納カセットのみの動作を自動的に行わせることができる。
【0056】
なお、本実施の形態による紙幣処理装置10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0057】
例えば、紙幣処理装置10に設けられる各収納カセットは、1つの収納部が設けられるものに限定されることはない。本実施の形態による紙幣処理装置10において、複数の収納部が設けられた収納カセットを用いてもよい。
【0058】
図3乃至図6に、本実施の形態に係る紙幣処理装置の他の構成を示す。図3に示す紙幣処理装置11は、図1に示す紙幣処理装置10と比較して、1つの収納部36aが設けられた収納カセット36を用いる代わりに複数(例えば3つ)の収納部40a、40b、40cが設けられた収納カセット40を用いる点が異なるのみであり、他の構成については実質的に図1に示す紙幣処理装置10と同様となっている。以下、紙幣処理装置11の構成の詳細について図3乃至図6を用いて説明するが、図1および図2に示す紙幣処理装置10と同様の構成や動作についてはその説明を省略する。
【0059】
図3に示すような紙幣処理装置11において、4つの収納カセット30、32、34、40が設けられており、このうち3つの収納カセット30、32、34にはそれぞれ1つの収納部30a、32a、34aが設けられているが、収納カセット40には3つの収納部40a、40b、40cが鉛直方向に並んで設けられている。これらの4つの収納カセット30、32、34、40はカセット収容部38に収容されており、カセット収容部38を装置本体11aから水平方向に引き出すと、各収納カセット30、32、34、40をそれぞれカセット収容部38から上方向に取り出すことができるようになっている。
【0060】
収納カセット40が装置本体11aに装着されたときに、搬送部28から各収納部40a、40b、40cにそれぞれ紙幣を送ることができるようになっており、搬送部28から各収納部40a、40b、40cに送られた紙幣はこれらの収納部40a、40b、40cにそれぞれ収納されるようになっている。また、各収納部40a、40b、40cはそれぞれ繰出機構40p、40q、40rを有しており、各収納部40a、40b、40cに収納された紙幣を各繰出機構40p、40q、40rにより装置本体11aの搬送部28に1枚ずつ繰り出すことができるようになっている。
【0061】
各収納カセット30、32、34は全く同一のタイプのものからなり、その寸法、紙幣の収納可能枚数、収納部や繰出機構の位置等も同一となっている。また、各収納カセット30、32、34と収納カセット40はその寸法(縦、横、高さの各大きさ)が同一となっている。このため、各収納カセット30、32、34、40について、他の収納カセットとの入れ換えを行うことが可能となっている。具体的には、例えば図3に示すような状態から収納カセット30および収納カセット40を互いに入れ換えてもよく、また、図3に示すような状態から収納カセット40を装置本体11aから抜き出し、収納部が1つ設けられた新たな収納カセットを装置本体11aにおける収納カセット40が抜き出された箇所に装着してもよい。ただし、カセット収容部38に搬送路が設けられていない場合には、収納部40b、40cを使用することはできない。
【0062】
また、各収納カセット30、32、34、40には、当該収納カセット30、32、34、40に故障が発生しているか否かの検出を行う検出部(図示せず)がそれぞれ設けられている。ここで、収納カセット40の各収納部40a、40b、40cは、それぞれ図7および図8に示すような構成となっている。また、収納カセット40において、各収納部40a、40b、40cにそれぞれ検出部が設けられており、各検出部は、対応する収納部40a、40b、40cに故障が発生しているか否かをそれぞれ検出するようになっている。
【0063】
次に、図3に示すような紙幣処理装置11の制御ブロック図について図4を用いて説明する。
【0064】
図4に示すように、制御部50には通信部54が接続されており、この通信部54を介して制御部50は各収納カセット30、32、34、40と信号の送受信を行うようになっている。より具体的には、収納カセット30には、制御部30s、制御部30sに接続された記憶部30m、および制御部30sに接続された通信部30tがそれぞれ設けられている。そして、収納カセット30が装置本体11aに装着されたときに、収納カセット30の通信部30tと装置本体11aの通信部54とが接続され、これらの通信部30t、54の間で信号の送受信が行われるようになっている。制御部30sは、通信部30t、54を介して制御部50から送られた制御信号に基づいて収納部30aの制御を行うようになっている。収納カセット32、34にも、収納カセット30と同様に、制御部、記憶部、および通信部がそれぞれ設けられている。
【0065】
また、収納カセット40には、制御部40s、制御部40sに接続された記憶部40m、および制御部40sに接続された通信部40tがそれぞれ設けられており、制御部40sは、通信部40t、54を介して制御部50から送られた制御信号に基づいて収納部40a、40b、40cの制御を行うようになっている。また、収納カセット40が装置本体11aに装着されたときに、収納カセット40の各収納部40a、40b、40cに設けられた検出部がそれぞれ制御部50に通信接続されるようになっている。そして、検出部により各収納部40a、40b、40cに故障が発生していることが検出された場合には、この検出情報が各検出部から制御部50に送られるようになっている。また、記憶部40mには、各収納部40a、40b、40cの各々における収納紙幣の枚数等が記憶されるようになっている。また、記憶部40mには、各収納部40a、40b、40cにそれぞれ故障が発生しているか否かの故障情報が記憶されるようになっている。
【0066】
制御部50は、収納カセット40に設けられた制御部40sに制御信号を送るにあたり、記憶部40mに記憶された故障情報に基づいて、各収納部40a、40b、40cのうち故障が発生していないと判断された収納部のみの動作を行わせるようになっている。具体的には、例えば収納カセット40の収納部40bに設けられた検出部により当該収納部40bに故障が発生したことが検出された場合には、この検出情報が検出部から制御部50に送られ、制御部50は、記憶部40mにこの故障情報を書き込むよう制御部40sに制御信号を送る。そして、紙幣の入金処理や出金処理、精査処理等が行われる際に、制御部50は、搬送部28から収納カセット40の各収納部40a、40cには紙幣を送るが収納部40bには紙幣を送らないよう搬送部28の制御を行ったり制御部40sに制御信号を送ったりする。また、制御部50は、収納カセット40の収納部40bから搬送部28に紙幣を繰り出しさせないよう制御部40sに制御信号を送る。
【0067】
また、各収納カセット30、32、34、40が装置本体11aに装着されたときに、これらの収納カセット30、32、34、40に設けられる収納部の数にかかわらず同じ種類の通信用コネクタにより各収納カセット30、32、34、40の通信部30t〜40tと装置本体11aの通信部54とが接続されるようになっている。より具体的には、図5(a)(b)に示すように、各収納カセット30、32、34、40の底面には同一の種類の通信用コネクタ42が設けられている。通信用コネクタ42は各収納カセット30、32、34、40の通信部30t〜40tに接続されている。ここで、各収納カセット30、32、34、40の底面における通信用コネクタ42が設けられる位置は全て同一となっている。また、図5(c)に示すように、カセット収容部38における各収納カセット30、32、34、40が収容されるべき空間38aの底部にも通信用コネクタ44が設けられている。通信用コネクタ44は装置本体11aの通信部54に接続されている。そして、各収納カセット30、32、34、40がカセット収容部38に収容されたときに、各収納カセット30、32、34、40に設けられた通信用コネクタ42と、カセット収容部38に設けられた通信用コネクタ44とが接続され、このことにより装置本体11aの通信部54と各収納カセット30、32、34、40の通信部30t〜40tとの間で信号の送受信が行われるようになる。
【0068】
なお、各収納カセット30、32、34、40およびカセット収容部38にそれぞれ設けられる通信用コネクタは図5に示すようなものに限定されることはない。通信用コネクタの他の例について図6を用いて説明する。図6(a)(b)に示すように、1つの収納部が設けられた収納カセット30、32、34の底面における通信用コネクタ42の配置位置と、3つの収納部が設けられた収納カセット40の底面における通信用コネクタ43の配置位置とは互いに異なるようになっている。ここで、通信用コネクタ42は各収納カセット30、32、34の通信部30t等にそれぞれ接続されており、通信用コネクタ43は収納カセット40の通信部40tに接続されている。なお、通信用コネクタ42および通信用コネクタ43は全く同じ種類のものである。また、図6(c)に示すように、カセット収容部38における各収納カセット30、32、34、40が収容されるべき空間38aの底部には、通信用コネクタ42、43に対応して複数の通信用コネクタ44、45が設けられている。通信用コネクタ44、45はそれぞれ装置本体11aの通信部54に接続されている。なお、通信用コネクタ44および通信用コネクタ45は全く同じ種類のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。そして、各収納カセット30、32、34がカセット収容部38に収容されたときに、各収納カセット30、32、34に設けられた通信用コネクタ42と、カセット収容部38に設けられた通信用コネクタ44とが接続され、このことにより装置本体11aの通信部54と各収納カセット30、32、34の通信部30t等との間で信号の送受信が行われるようになる。一方、収納カセット40がカセット収容部38に収容されたときに、収納カセット40に設けられた通信用コネクタ43と、カセット収容部38に設けられた通信用コネクタ45とが接続され、このことにより装置本体11aの通信部54と収納カセット40の通信部40tとの間で信号の送受信が行われるようになる。また、図5(c)に示すように、カセット収容部38における各収納カセット30、32、34、40が収容されるべき空間38aの底部には、例えば2つの収納部が設けられた収納カセット用の通信用コネクタ46が追加的に設けられていてもよい。また、4つ以上の収納部が設けられた収納カセット用の通信用コネクタが収納部の数毎に設けられていてもよい。このように、図6に示すような通信用コネクタによれば、収納部の数が異なる各収納カセットに応じて別々の通信用コネクタを用いることができる。
【0069】
図3乃至図6に示すような紙幣処理装置11によれば、複数の収納部40a、40b、40cが設けられた収納カセット40における記憶部40mに記憶される故障情報は、各収納部40a、40b、40cにそれぞれ故障が発生しているか否かに関するものであり、制御部50は、記憶部40mに記憶された故障情報に基づいて、収納カセット40にそれぞれ設けられた複数の収納部40a、40b、40cのうち故障が発生していないと判断された収納部のみの動作を行わせるようになっている。このことにより、収納部40a、40b、40cが複数設けられた収納カセット40を用いた際に、この収納カセット40におけるある一つの収納部(例えば収納部40b)に故障が発生した場合でも、他の収納部(収納部40a、40c)を利用することができる。また、この収納カセット40の記憶部40mに記憶される故障情報は、各収納部40a、40b、40cにそれぞれ故障が発生しているか否かに関するものであるので、収納カセット40の入れ換えを行った場合でも制御部50における再設定を容易に行うことができる。
【0070】
また、図5に示すように、収納カセット30、32、34、40が装置本体11aに装着されたときに、収納部の数にかかわらず同一の種類の通信用コネクタ42により装置本体11aの通信部54と収納カセット30、32、34、40の通信部30t〜40tとが接続されてこれらの通信部54と通信部30t〜40tとの間で故障情報が送受信されるようになっている。このため、複数の収納部の情報を得るために必要な信号線の数が増えることを防止することができ、配線をシンプルとすることができるとともにコストを低減することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 紙幣処理装置
10a 装置本体
11 紙幣処理装置
11a 装置本体
12 筐体
14 紙幣投入部
16 紙幣投出部
18 リジェクト部
20 一時保留部
22 識別部
24 精査用収納部
24p 繰出機構
26 混合収納部
26p 繰出機構
28 搬送部
30、32、34、36 収納カセット
30a、32a、34a、36a 収納部
30p、32p、34p、36p 繰出機構
30m、36m 記憶部
30s 制御部
30t 通信部
38 カセット収容部
38a 空間
40 収納カセット
40a、40b、40c 収納部
40p、40q、40r 繰出機構
40m 記憶部
40s 制御部
40t 通信部
42、43、44、45、46 通信コネクタ
50 制御部
52 表示操作部
54 通信部
82a、82b、82c、82d、82e 紙幣ガイド
84a 紙幣右端部分検出センサ
84b 紙幣左端部分検出センサ
86 フィードローラ
88 ゲートローラ
88a 札叩きゴム
90 キッカローラ
92 落下ガイド
92a 軸
94 ステージ
96 集積紙幣検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に着脱自在に設けられ、前記装置本体から送られた紙幣を収納する複数の収納庫であって、前記各収納庫に、当該収納庫に故障が発生しているか否かの故障情報を記憶する記憶部がそれぞれ設けられている複数の収納庫と、
前記各収納庫の制御を行う制御部であって、前記各収納庫の制御を行うにあたり、当該各収納庫にそれぞれ設けられた前記記憶部に記憶された故障情報に基づいて、故障が発生していないと判断された収納庫のみの動作を行わせる制御部と、
を備えたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記各収納庫のうちある収納庫に故障が発生していると判断したときには、当該収納庫の前記記憶部に故障情報を書き込むことを特徴とする請求項1記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記各収納庫は、1または複数の収納部を有しており、各収納部にそれぞれ紙幣が収納されるようになっており、
前記記憶部に記憶される故障情報は、各収納部にそれぞれ故障が発生しているか否かに関するものであり、
前記制御部は、前記各収納庫の制御を行うにあたり、当該各収納庫にそれぞれ設けられた前記記憶部に記憶された故障情報に基づいて、前記各収納庫にそれぞれ設けられた1または複数の収納部のうち故障が発生していないと判断された収納部のみの動作を行わせることを特徴とする1または2記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記装置本体には装置本体通信部が設けられており、
前記各収納庫には収納庫通信部がそれぞれ設けられており、
前記収納庫が前記装置本体に装着されたときに、前記収納部の数にかかわらず同一の種類の通信用接続部により前記装置本体通信部と前記収納庫通信部とが接続されてこれらの装置本体通信部と収納庫通信部との間で故障情報が送受信されるようになっていることを特徴とする請求項3記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
紙幣処理装置の装置本体に着脱自在に設けられた収納庫であって、
前記装置本体から送られた紙幣を収納する収納部と、
前記収納庫に故障が発生しているか否かの故障情報を記憶する記憶部と、
を備えたことを特徴とする収納庫。
【請求項6】
前記収納部は1または複数設けられており、各収納部にそれぞれ紙幣が収納されるようになっており、
前記記憶部に記憶される故障情報は、各収納部にそれぞれ故障が発生しているか否かに関するものであることを特徴とする請求項5記載の収納庫。
【請求項7】
前記装置本体に設けられた装置本体通信部と通信を行うための収納庫通信部と、
前記装置本体に装着されたときに、前記収納庫通信部と前記装置本体に設けられた装置本体通信部とを接続するための通信用接続部と、
を更に備え、
前記通信用接続部は、前記収納部の数にかかわらず同一の種類のものが用いられることを特徴とする請求項6記載の収納庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−170533(P2011−170533A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32614(P2010−32614)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】