説明

紙幣識別装置

【課題】搬送紙幣に滑りが生じた場合でも該紙幣の識別精度を向上させることの可能な紙幣識別装置を提供する。
【解決手段】紙幣挿入口に挿入された紙幣を紙幣通路に沿って搬送する紙幣搬送手段を備えた紙幣識別装置において、紙幣通路に配置され、前記紙幣を通過又は反射した光の強度を所定のタイミング毎に検出する第1の光センサと、紙幣通路の所定位置に配置され、該紙幣が該所定位置まで搬送されたことを検出する第2の光センサと、第1の光センサによって検出された光強度の前記タイミング間隔を、該紙幣が紙幣搬送手段によって第1及び第2の光センサの一方から他方まで搬送される間に第1の光センサによって検出された光強度の検出回数と、当該検出回数を事前に取得することにより得られた事前検出回数との比に基づき補正した後に所定の紙幣識別処理を行う制御部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等に用いられる紙幣識別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の紙幣識別装置として、紙幣挿入口に挿入された紙幣を紙幣通路に沿って搬送する紙幣搬送手段を備えたものが知られている。
【0003】
この紙幣識別装置は、紙幣通路に配置され、前記紙幣を通過又は反射した光の強度を所定のタイミング毎に検出する検出手段を備えており、紙幣搬送時に検出手段によって検出された光強度の時間変化と、事前に取得された該紙幣の光強度の時間変化とを比較することにより紙幣識別処理を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−97364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の紙幣搬送手段に用いられる紙幣搬送用部材は、例えば紙幣搬送用ベルトが磨耗する等して劣化することにより、搬送紙幣に滑りが生じて該紙幣の搬送量が変化する。この場合、検出手段によって検出される光強度の時間変化が、事前に取得された光強度の時間変化と互いに異なることから、単に比較しただけでは紙幣識別処理を正確に行うことができず、紙幣の識別精度に劣るおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、搬送紙幣に滑りが生じた場合でも該紙幣の識別精度を向上させることの可能な紙幣識別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、紙幣挿入口に挿入された紙幣を紙幣通路に沿って搬送する紙幣搬送手段を備えた紙幣識別装置において、前記紙幣通路に配置され、前記紙幣を通過又は反射した光の強度を所定のタイミング毎に検出する第1の検出手段と、紙幣通路の所定位置に配置され、該紙幣が該所定位置まで搬送されたことを検出する第2の検出手段と、第1の検出手段によって検出された光強度の前記タイミング間隔を、該紙幣が紙幣搬送手段によって第1及び第2の検出手段の一方から他方まで搬送される間に第1の検出手段によって検出された光強度の検出回数と、当該検出回数を事前に取得することにより得られた事前検出回数との比に基づき補正した後に所定の紙幣識別処理を行う制御手段とを備えている。
【0008】
これにより、第1の検出手段によって検出された光強度のタイミング間隔が、該紙幣が紙幣搬送手段によって第1及び第2の検出手段の一方から他方まで搬送される間に第1の検出手段によって検出された光強度の検出回数と、当該検出回数を事前に取得することにより得られた事前検出回数との比に基づき補正された後に所定の紙幣識別処理が行われることから、例えば搬送紙幣に滑りが生じたことにより光強度の検出回数が異常となる場合でも、該検出回数を事前検出回数に合わせた状態で紙幣識別処理を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、例えば搬送紙幣に滑りが生じたことにより光強度の検出回数が異常となる場合でも、該検出回数を事前検出回数に合わせた状態で紙幣識別処理を行うことができるので、紙幣搬送部材の劣化により紙幣搬送量が変化したことによる紙幣識別処理への影響を低減することができ、紙幣の識別精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す紙幣識別装置の断面図
【図2】図1の要部拡大図
【図3】検出データの補正に係る制御系構成を示す図
【図4】検出データの補正に係る制御部の動作を示すフロー図
【図5】検出回数に対する光強度の変化を示す図
【符号の説明】
【0011】
35,54…発光素子、45,47…受光素子、61…紙幣投入口、101…制御部、102…発光用ドライバ、103…ディテクタ、106…紙幣保持部、BP…紙幣通路
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図5は本発明の一実施形態を示すもので、図1は紙幣識別装置の断面図、図2は図1の要部拡大図、図3は検出データの補正に係る制御系構成を示す図、図4は検出データの補正に係る制御部の動作を示すフロー図、図5は検出回数に対する光強度の変化を示す図である。
【0013】
まず、図1及び図2を参照して、紙幣識別装置のメカニズムについて説明する。
【0014】
図1及び図2に示した紙幣識別装置は、メインフレーム10と、ベースボックス20と、前側シュート30と、紙幣搬送ユニット40と、後側シュート50と、マスク60と、紙幣収納カセット70とを備えている。
【0015】
ベースボックス20は上面及び後面を開口した箱形を成し、その前面をメインフレーム10の後面下部に固定されている。このベースボックス20は、投入紙幣を紙幣収納カセット70内に押し込むための縦長矩形状の紙幣収納プレート21と、該紙幣収納プレート21を前後に平行移動させるリンク機構22と、モータ、減速用歯車及び駆動レバーを有する収納駆動手段(図示省略)と、上部後側の左右にその中心線が左右方向を向くように設けられた後側シュート用の軸支孔(図示省略)とを有している。
【0016】
リンク機構22は、各々の上端を紙幣収納プレート21に回転自在に連結され、且つ、各々の下端をベースボックス20に回転自在に連結された左右一対の上側リンク22aと、各々の上端をベースボックス20に回転自在に連結され、且つ、各々の下端を紙幣収納プレート21に回転自在に連結された左右一対の下側リンク22bと、上側リンク22aと下側リンク22bで共通の操作軸22cとを有している。操作軸22cには収納駆動手段の駆動レバーが係合しており、該駆動レバーの前後移動に伴ってリンク機構22はその形態を変化して紙幣収納プレート21を前後に平行移動させる。
【0017】
前側シュート30は全体が略矩形状を成し、その前面をメインフレーム10の後面上部に固定されている。この前側シュート30は、後側に張り出した上部湾曲部31と、前側に張り出した下部湾曲部32と、上下左右に間隔をおいて回転自在に、且つ、その一部が後側に露出するように設けられた計4個のローラ33と、紙幣搬送ユニット取付部(図示省略)と、下部前側に設けられた基板34にその一部が後側に露出するように設けられた計2個の発光素子35とを有している。
【0018】
計2個の発光素子35は、後述する計2個の受光素子45とによって第1の検出手段としての第1の光センサ(符号無し)を構成している。この第1の光センサの具体構成について後に詳述する。
【0019】
また、計4個のローラ33のうちの右側の2個のローラ33は紙幣搬送ユニット40の右側の無端ベルト43の前側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触し、左側の2個のローラ33は紙幣搬送ユニット40の左側の無端ベルト43の前側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触している。
【0020】
紙幣搬送ユニット40は全体が略直方体形状を成し、前側シュート30の紙幣搬送ユニット取付部に着脱自在に取り付けられている。この紙幣搬送ユニット40は、ユニット本体41と、ユニット本体41の上部左右に回転自在に設けられたプーリ42と、ユニット本体41の下部左右に共通回転軸を通じて回転自在に設けられたプーリ42と、紙幣PMの幅方向両側部に向き合うように左側の2個のプーリ42と右側の2個のプーリ42にそれぞれ巻き付けられた2つの無端ベルト43と、左側の下側プーリ42に同軸上に連結された従動歯車(図示省略)と、ユニット本体41内の前側に設けられた基板44にその一部が前側に露出するように、且つ、前側シュート30の各発光素子35にそれぞれ向き合うように設けられた計2個の受光素子45と、ユニット本体41内の後側に設けられた基板46にその一部が後側に露出するように設けられた計6個の受光素子47とを有している。
【0021】
計6個の受光素子47は、後述する計6個の発光素子54とによって第2の検出手段としての第2の光センサ(符号無し)を構成している。この第2の光センサの具体構成について後に詳述する。
【0022】
後側シュート50は全体が略直方体形状を成す。この後側シュート50は、前側に張り出した湾曲部51と、上下左右に間隔をおいて回転自在に、且つ、その一部が前側に露出するように設けられた計4個のローラ52と、内部前側に設けられた基板53にその一部が前側に露出するように、且つ、紙幣搬送ユニット40の各受光素子47にそれぞれ向き合うように設けられた計6個の発光素子54と、モータ、減速用歯車及び駆動歯車を有する搬送駆動手段(図示省略)と、下面後側の左右に設けられた支持片55と、各支持片55にその中心線が左右方向に向くように設けられた軸部55aとを有している。この後側シュート50は左右の軸部55aをベースボックス20の左右の軸支孔に回転自在に挿入され、軸支箇所を支点とした回転動作による開閉ができるようにベースボックス20に取り付けられている。
【0023】
また、計4個のローラ52のうちの右側の2個のローラ52は紙幣搬送ユニット40の右側の無端ベルト43の後側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触し、左側の2個のローラ52は紙幣搬送ユニット40の左側の無端ベルト43の後側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触している。図1及び図2から分かるように、下側の左右2個のローラ52は突出片50bに回転自在に設けられていて各々の中心線は下側の左右2個のプーリ42の中心線とほぼ同じ高さにあり、各ローラ52は投入紙幣を左右の無端ベルト43との協働によって挟み込んで保持することができる。
【0024】
さらに、搬送駆動手段の駆動歯車は後側シュート50を閉塞した状態で紙幣搬送ユニット40の従動歯車に噛合する。つまり、紙幣搬送ユニット40の各無端ベルト43は、搬送駆動手段の駆動歯車から紙幣搬送ユニット40の従動歯車に伝達された回転力に基づいて所定方向に回転して紙幣搬送を行う。
【0025】
マスク60は後面を開口した箱形を成し、その後面をメインフレーム10の前面に固定されている。このマスク60は、前面から後面に至る横長の紙幣挿入口61と、紙幣挿入口61の後端下部から後側に張り出した湾曲部62とを有している。
【0026】
紙幣収納カセット70は上面及び前面を開口した箱形を成し、ベースボックス20内に着脱自在に取り付けられている。この紙幣収納カセット70は、前面開口の左右に設けられた縦長のレール71と、両レール71の左右間隔よりも左右幅が僅かに大きく両レール71の後側に配置された縦長矩形状のカセットプレート72と、カセットプレート72を前方に付勢する円錐台状のコイルバネ73と、ベースボックス20内への紙幣収納カセット70の装着とその解除を行うフックレバー(図示省略)と、該フックレバーを後面側から操作するための切り欠き74とを有している。
【0027】
前述の紙幣識別装置では、後側シュート50が閉塞位置にあるとき、紙幣搬送ユニット40はその前後を前側シュート30と後側シュート50に挟み込まれたような状態となり、上部湾曲部31と湾曲部51の存在もあって、紙幣搬送ユニット40の周囲には各無端ベルト43と各ローラ33,52との境界面を含む逆U字形の紙幣通路BP(図2参照)が形成される。この紙幣通路BPの前側下端はマスク60の湾曲部62を介して紙幣挿入口61の後端と連通している。
【0028】
次に、紙幣識別装置の光強度検出データの補正に係る制御系構成について図3を参照して説明する。
【0029】
本実施形態の紙幣識別装置は、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータからなる制御部101と、制御部101からの制御信号に基づき第1の光センサの各発光素子35に駆動信号を送出する発光用ドライバ102と、第1の光センサの各受光素子45それぞれの検知信号を制御部101で取り扱える信号に変換して制御部101に送出するディテクタ103と、制御部101からの制御信号に基づき第2の光センサの各発光素子54に駆動信号を送出する発光用ドライバ104と、第2の光センサの各受光素子47それぞれの検知信号を制御部101で取り扱える信号に変換して制御部101に送出するディテクタ105と、挿入紙幣を紙幣通路BPに一時保留する紙幣保持部106と、パルス発生部107とを備えている。
【0030】
ここで、前記の第1の光センサと第2の光センサの具体構成について説明する。第1の光センサの各発光素子35は発光ダイオード等から成り、各受光素子45はフォトダイオードやフォトトランジスタ等から成る。また、第2の光センサの各発光素子54は発光ダイオード等から成り、各受光素子47はフォトダイオードやフォトトランジスタ等から成る。
【0031】
制御部101のメモリ(図示省略)には、紙幣搬送に係るプログラムと、紙幣搬送の制御に必要なデータ等と、後述する事前検出回数及び事前検出データとが格納されている。また、本実施形態の制御部101は、各発光用ドライバ102,104に制御信号を送出すると共に、各ディテクタ103,105から入力される信号に基づき紙幣搬送に係るプログラムを実行して所期の紙幣搬送を行う。さらに、制御部101は、後述の光強度検出データの補正処理を行うとともに所定の紙幣識別処理を行う。
【0032】
各発光用ドライバ102,104は、制御部101から制御信号を受信すると、予め設定された大きさの電流を駆動信号として、各発光素子35,54に送出する。
【0033】
各ディテクタ103,105は、周知の増幅回路及びA/D変換回路等を備え、各受光素子45,47それぞれの検知信号を受信すると、該検知信号を制御部101で取り扱える信号に変換した後に制御部101に送出する。
【0034】
紙幣保持部106は、いわゆるエスクロ機構を備え、制御部101からの制御信号に基づき、搬送された紙幣の一時保留又は解除を行う。なお、紙幣保持部106には第2の光センサが設けられており、第2の光センサは、紙幣が紙幣保持部106に保持されていることを検出するようになっている。
【0035】
パルス発生部107は、紙幣搬送ユニット40の従動歯車に設けられたエンコーダであり、従動歯車の回転角度に応じた出力信号を制御部101に送出する。
【0036】
以下に、本実施形態に係る紙幣識別装置において、検出データの補正を行う際の動作について、図4のフロー図及び図5を参照して説明する。
【0037】
まず、制御部101は、紙幣が紙幣挿入口61に挿入されたことを第1の光センサにより検出すると(ステップS1)、所期の紙幣搬送を行うとともに光強度の検出タイミングか否かを判別する(ステップS2)。ここで、制御部101は、紙幣搬送ユニット40の従動歯車の回転角度に応じたパルス信号をパルス発生部107から受信したタイミングを、光強度の検出タイミングとして判別する。そして、制御部101は、パルス発生部107からパルス信号を受信すると、受光量の強度を表す信号を第1の光センサから受信することにより、第1の光センサによる光強度の検出を行う(ステップS3)。また、制御部101は、光強度の検出回数を一つ増加させる(ステップS4)。
【0038】
そして、制御部101は、第2のセンサにより紙幣が検出されるまで、即ち紙幣が紙幣保持部106まで搬送された後に紙幣保持部106に保持されるまで(ステップS5)、ステップS2〜ステップS4の処理を繰り返し行う。なお、第2のセンサにより紙幣が検出されるまでの間に第1の光センサにより検出された光強度の時間変化(検出データ)を図5(a)の実線で示す。この場合、紙幣が第1の光センサから第2の光センサまで搬送される間に200回の検出処理が行われている。
【0039】
次に、制御部101は、紙幣が第2の光センサによって検出されると、メモリ(図示省略)に記憶されている事前検出回数を用いて検出データの補正を行う(ステップS6)。なお、事前検出回数は、例えば各無端ベルト43等の紙幣搬送用部材の劣化が無い状態において、上記ステップS1〜S5までの処理が行われたときの第1の光センサによる光強度の検出回数を表している。また、事前に取得された光強度の時間変化(事前検出データ)を、図5(a)の破線で示す。この場合、紙幣が第1の光センサから第2の光センサまで搬送される間に100回の光強度検出処理が行われている。
【0040】
ここで、第1の光センサから第2の光センサまでの紙幣通路の経路長は一定であることから、検出データと事前検出データとの間で光強度検出回数の比を求めることにより、検出データの補正を行うことが可能になる。具体的に説明すると、図5(a)の実線により表された検出データの光強度検出回数(200回)は、図5(a)の破線により表された事前検出データの光強度検出回数(100回)の2倍となっていることから、検出データの光強度検出タイミングの間隔を1/2に補正することにより、検出回数を事前検出回数に合わせることができる。この場合、(a)の実線により表された検出データは、図5(b)の実線により表された検出データに補正される。
【0041】
次いで、制御部101は、補正された検出データを用いて所定の紙幣識別処理を行う(ステップS7)。具体的に説明すると、制御部101は、補正された検出データ(図5(b)の実線で示す)と、事前検出データ(図5(b)の破線で示す)とを比較して、紙幣の真偽及び金種の識別を行う。
【0042】
このようにして、第1の光センサによって検出された光強度のタイミング間隔が、紙幣が紙幣搬送手段によって第1の光センサから第2の光センサまで搬送される間に第1の光センサによって検出された光強度の検出回数と、当該検出回数を事前に取得することにより得られた事前検出回数との比に基づき補正された後に紙幣識別処理が行われることから、例えば搬送紙幣に滑りが生じたことにより光強度の検出回数が異常となる場合でも、該検出回数を事前検出回数に合わせた状態で紙幣識別処理を行うことが可能になる。
【0043】
このように本実施形態に係る紙幣識別装置によれば、例えば搬送紙幣に滑りが生じたことにより光強度の検出回数が異常となる場合でも、該検出回数を事前検出回数に合わせた状態で紙幣識別処理を行うことができるので、紙幣搬送部材の劣化により紙幣搬送量が変化したことによる紙幣識別処理への影響を低減することができ、紙幣の識別精度を向上させることができる。
【0044】
また、紙幣を紙幣通路BPに一時保留する紙幣保持部106を備え、第2の光センサは、該紙幣が紙幣保持部106に保持されていることを検出するので、搬送紙幣に滑りが生じた場合でも該紙幣の識別精度を向上させるという効果を既存の構成を用いて達成することができる。従って、上記効果を達成するための新規部材を設ける必要が無いことから、製造コストが嵩むのを抑制することができる。
【0045】
さらに、第1の光センサは、紙幣が紙幣挿入口61に挿入されたことを検出するので、上記と同様に既存の構成を用いて紙幣の識別精度を向上させるという効果を達成することができる。従って、光強度を検出するための新規部材を設ける必要が無いことから、製造コストが嵩むのを抑制することができる。
【0046】
なお、上記実施形態は本発明の具体例に過ぎず、本発明が上記実施形態のみに限定されることはない。例えば、上記実施形態では、各受光素子45,47を、投入紙幣の透過光を受光するように構成していたが、投入紙幣の反射光を受光するように構成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、第2の光センサを、紙幣保持部106に設けられた各発光素子54及び各受光素子47から構成していたが、紙幣挿入口61側に設けられた各発光素子35及び各受光素子45から構成してもよい。この場合、第2の光センサは、紙幣が紙幣挿入口61に挿入されたことを検出する。なお、第1の光センサは、各発光素子54及び各受光素子47から構成される。また、制御部101は、紙幣が紙幣搬送手段によって第2の光センサから第1の光センサまで搬送される間に第1の光センサによって検出された光強度の検出回数と、当該検出回数を事前に取得することにより得られた事前検出回数との比に基づき補正した後に所定の紙幣識別処理を行う。この場合においても、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0048】
さらに、上記実施形態では、第1の光センサによって検出された光強度の検出回数と、当該検出回数を事前に取得することにより得られた事前検出回数との比に基づき検出データの検出タイミングの間隔を補正するものについて説明したが、第1の光センサによる光強度の検出タイミングを、例えばパルス発生部107から2つのパルスを受信する毎に1回の光強度検出を行う等のように補正してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣挿入口に挿入された紙幣を紙幣通路に沿って搬送する紙幣搬送手段を備えた紙幣識別装置において、
前記紙幣通路に配置され、前記紙幣を通過又は反射した光の強度を所定のタイミング毎に検出する第1の検出手段と、
紙幣通路の所定位置に配置され、該紙幣が該所定位置まで搬送されたことを検出する第2の検出手段と、
第1の検出手段によって検出された光強度の前記タイミング間隔を、該紙幣が紙幣搬送手段によって第1及び第2の検出手段の一方から他方まで搬送される間に第1の検出手段によって検出された光強度の検出回数と、当該検出回数を事前に取得することにより得られた事前検出回数との比に基づき補正した後に所定の紙幣識別処理を行う制御手段とを備えた
ことを特徴とする紙幣識別装置。
【請求項2】
前記紙幣を紙幣通路に一時保留する紙幣保持手段を備え、
第2の検出手段は、該紙幣が紙幣保持手段に保持されていることを検出する
ことを特徴とする請求項1記載の紙幣識別装置。
【請求項3】
前記第1の検出手段は、該紙幣が紙幣挿入口に挿入されたことを検出する
ことを特徴とする請求項1記載の紙幣識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−231722(P2010−231722A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81316(P2009−81316)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】