紙幣類の流通経路の探索
【課題】 紙幣類の流通経路の探索を容易にする技術を提供する。
【解決手段】 ATM250a,250b,350,450は、入金、出金の際に紙幣識別番号を読み取る。ホストコンピュータ210,310,410は、入出金者の情報と、入出金された紙幣の紙幣識別番号を関連付けて記憶する。管理サーバ110は、それらの情報を監視対象人物DB111に収集し、監視対象人物DB111に基づいて紙幣流通人物リストなどを作成する。
【解決手段】 ATM250a,250b,350,450は、入金、出金の際に紙幣識別番号を読み取る。ホストコンピュータ210,310,410は、入出金者の情報と、入出金された紙幣の紙幣識別番号を関連付けて記憶する。管理サーバ110は、それらの情報を監視対象人物DB111に収集し、監視対象人物DB111に基づいて紙幣流通人物リストなどを作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣や有価証券等の紙幣類の流通経路の探索に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、不当な手段により得られた金銭、例えば、麻薬密売により得られた金銭や、賄賂により受け取った金銭を探し出し、金銭の出所を追求することで、犯罪を取り締まるという捜査がなされてきた。不当な手段により得られた金銭(以下、単に不当な金銭と呼ぶ)は、麻薬密売に関係していると疑わしい人物や、賄賂の受け渡しに関係していると思われる人物を把握し、その人物の居所などから出所不明の疑わしい金銭を見つけ出したり、その人物の金融機関の口座情報を調べたりすることによって探し出すことができる。
【0003】
しかしながら、このような捜査に対向し、不当な金銭をごまかすために、マネーロンダリングと言われる行動を起こすものもあった。マネーロンダリングとは、不当な金銭を多数の口座に転々と移動させることで、不当な金銭の出所はどこなのか、不当な金銭はどこに存在するのか、といったことを分かりづらくすることである。例えば、マネーロンダリングでは、以下のような行動を多数の人間が繰り返す。
1.A氏が金融機関Xから引き出した紙幣を、B氏に手渡す。
2.B氏が金融機関Yに受け取った紙幣を預ける。
3.B氏が金融機関Yから紙幣を引き出し、C氏に手渡す。
4.C氏は金融機関Zに紙幣を預ける。
【0004】
このようなマネーロンダリングに対向し、犯罪を取り締まるためには、紙幣及び有価証券を含む紙幣類の流通経路を探索しなければならない。しかし、従来は紙幣類の流通経路の探索を容易に行なえる技術は知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開平9−274677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、紙幣類の流通経路の探索を容易にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の紙幣類流通人物リスト作成システムは、紙幣及び有価証券を含む紙幣類に関して、紙幣類の流通経路を探索する際に参考とするための紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成システムであって、金融機関に紙幣類が入金される際、または、金融機関から紙幣類が出金される際に、該紙幣類の紙幣類識別番号を読み取る紙幣類識別番号読取装置と、紙幣類の入金者または出金者に関する入出金者情報を取得し、該紙幣類の前記紙幣類識別番号と関連付けて記憶する記憶部と、前記記憶部から、流通経路探索対象である紙幣類の紙幣類識別番号に関連付けられた入出金者情報を抽出し、該紙幣類に関連した入出金者情報のリストである前記紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、紙幣類に関連した入出金者情報のリストである紙幣類流通人物リストを提供することができるので、紙幣類の流通経路の探索を容易に行なうことができる。
【0009】
前記紙幣類流通人物リスト作成部は、複数の紙幣類の紙幣類識別番号に関して、各々前記紙幣類流通人物リストを作成し、前記紙幣類流通人物リスト作成システムは、更に、複数の前記紙幣類流通人物リストにおいて、任意の入出金者情報を含む紙幣類流通人物リストを抽出し、任意の入出金者が関係した紙幣類の流通経路を示す紙幣類流通人物リストの集合として紙幣類流通人物リスト群を作成する紙幣類流通人物リスト群作成部を備えた、ものとしても良い。
【0010】
これによれば、任意の入出金者が関係した紙幣類の流通経路を示す紙幣類流通人物リストの集合として紙幣類流通人物リスト群を提供できるので、任意の入出金者が関係した紙幣類の流通経路を容易に探索することができる。
【0011】
前記記憶部は、更に、紙幣類が入金された紙幣類であるか出金された紙幣類であるかを示す取引区分と、入金日時または出金日時とを、前記紙幣類識別番号と関連付けて記憶しており、前記紙幣類流通人物リスト作成部は、流通経路探索対象である紙幣類の紙幣類識別番号に関連付けられた入出金者情報と、前記取引区分と、前記入金日時または出金日時を抽出して、前記紙幣類流通人物リストを作成し、前記紙幣類流通人物リスト作成システムは、更に、前記入出金者情報と、前記取引区分と、前記入金日時または出金日時とに基づいて、前記紙幣類流通人物リストから、任意の入出金者が前記紙幣類を入金する直前に該紙幣類を出金した人物の入出金者情報と、任意の入出金者が前記紙幣類を出金した直後に該紙幣類を入金した人物の入出金者情報との少なくともいずれかを抽出し、前記任意の入出金者と関係があると推測される関係者リストを作成する関係者リスト作成部を備えた、ものとしても良い。
【0012】
これによれば、任意の入出金者と関係があると推測される関係者リストを提供できるので、任意の入出金者と関係のある人物を容易に捜索することができる。
【0013】
更に、紙幣類の入出金を監視する対象である監視対象人物の監視対象人物リストを記憶する監視対象人物リスト記憶部を備え、前記紙幣類識別番号読取装置は、前記監視対象人物リストに含まれる監視対象人物が金融機関に紙幣類を入金する際、または、前記監視対象人物が金融機関から紙幣類を出金する際に、該紙幣類の紙幣類識別番号を読み取り、前記記憶部は、該紙幣類の前記紙幣類識別番号と、入金または出金を行なった前記監視対象人物の入出金者情報とを関連付けて記憶する、ものとしても良い。
【0014】
これによれば、特定の監視対象人物が入出金する際に、紙幣類識別番号と入出金者情報とを関連付けて記憶するので、記憶部の記憶量を抑えることができる。
【0015】
前記金融機関は、複数の金融機関を含むことを特徴とする、ものとしても良い。
【0016】
これによれば、複数の金融機関にわたる紙幣類の流通経路を探索する際に参考となる情報を提供することができる。
【0017】
なお本発明は種々の形態で実現可能であり、例えば、紙幣類流通人物リスト作成方法および装置や、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、実施例としての紙幣流通人物リスト作成システム1000を示す説明図である。紙幣流通人物リスト作成システム1000とは、紙幣の流通経路を探索する際に参考とすることが可能な紙幣流通人物リストを作成するシステムである。紙幣流通人物リスト作成システム1000は、紙幣流通人物リスト作成センタ100の管理サーバ110と、金融機関200,300,400のホストコンピュータ210,310,410と、金融機関200,300,400のATM(紙幣取扱装置)250a,250b,350,450とで構成されている。ATM250a,250bは、ホストコンピュータ210に接続されており、ATM350は、ホストコンピュータ310に接続されており、ATM450は、ホストコンピュータ410に接続されている。ホストコンピュータ210,310,410は、ネットワーク500を介して、管理サーバ110に接続されている。紙幣流通人物リスト作成センタ100は、捜査機関の管理下にある。なお、図1には、金融機関として、3つの金融機関200,300,400を示したが、金融機関は1つ又は2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。ATM250a,250b,350,450の数も適宜変更可能である。
【0019】
図2は、ATM250aの構成を示す説明図である。ATM250aは、カード取扱装置251と、操作部252と、入出金口253と、鑑別部254と、制御部256と、紙幣搬送路259a,259bと、一時スタッカ260と、1万円札庫261と、5千円札庫262と、2千円札庫263と、千円札庫264と、リジェクト庫265とを備えている。また、鑑別部254は、紙幣のイメージデータと紙幣識別番号を読み取るセンサ255を備えており、制御部256は、RAM257と通信部258とを備えている。
【0020】
カード取扱装置251は、利用者から挿入されたキャッシュカードから、口座番号などを読み取り、読み取った内容を制御部256のRAM257に一時記憶させる。操作部252は、利用者から取引内容などの入力を受け付け、入力された内容を制御部256に送信する。入出金口253は、利用者がATM250に紙幣を投入するため、またはATM250から利用者に紙幣を渡すための機構である。
【0021】
鑑別部254のセンサ255は、紙幣搬送路259aにより搬送されている紙幣のイメージデータを読み取る。鑑別部254は、センサ255により読み取られた紙幣のイメージデータにより、紙幣が偽造紙幣などの不適切な紙幣であるか否か、適切な紙幣である場合は、何円札であるかを鑑別する。鑑別部254のセンサ255は、制御部256の指示により、イメージデータに加え、紙幣識別番号も読み取ることが可能である。センサ255により読み取られた紙幣識別番号は、RAM257に一旦記憶され、紙幣流通人物リストの作成に使用される。詳しくは後述する。なお、センサ255は、本発明の紙幣類識別番号読取装置に相当する。
【0022】
紙幣搬送路259a,259bは、紙幣を搬送する。一時スタッカ260は、紙幣搬送路259a,259bにより搬送されてきた紙幣を一時ストックする。一時スタッカ260にストックされた紙幣は、鑑別部254の鑑別結果に基づいて、制御部256の判断により、入出金口253に搬送されたり、1万円札庫261,5千円札庫262,2千円札庫263,千円札庫264,リジェクト庫265のいずれかに搬送されたりする。1万円札庫261と、5千円札庫262と、2千円札庫263と、千円札庫264は、それぞれ、1万円札と、5千円札と、2千円札と、千円札とを保管する保管庫である。リジェクト庫265は、利用者が入出金口253から取り忘れた出金紙幣などを保管しておく保管庫である。制御部256は、ATM250の各部を統括制御する。その際、通信部258により、ホストコンピュータ210との通信も実行する。
【0023】
入金取引の際には、利用者により入出金口253に投入された紙幣は、センサ255によりイメージデータと紙幣識別番号、またはイメージデータのみを読み取られ、1万円札庫261と、5千円札庫262と、2千円札庫263と、千円札庫264(以下、まとめて紙幣収納庫261〜264と呼ぶ)のいずれかに搬送される。一方、出金取引の際には、紙幣収納庫261〜264のいずれかから搬送された紙幣は、センサ255によりイメージデータと紙幣識別番号、またはイメージデータのみを読み取られ、入出金口253に搬送される。以上、ATM250aについて説明したが、他のATM250b,350,450もATM250aと同じ構成である。
【0024】
図1に戻り説明する。ホストコンピュータ210は、顧客情報DB(データベース)211と、監視対象人物取引情報DB212を記憶している。図3は、顧客情報DB211を示す説明図である。顧客情報DB211は、顧客情報を管理するためのデータベースであり、顧客情報として、氏名と、口座番号と、取引日時と、取引区分と、預貯金残高と、監視対象人物フラグとを記憶している。氏名は、顧客の氏名であり、口座番号は、顧客が金融機関200に開設している口座の口座番号である。取引日時は、顧客が金融機関200で取引を行なった日時のうち、直近の日時である。取引区分は、顧客が取引日時に行なった取引の区分である。取引区分には、図示した出金や入金の他にも、振込などがあるが、本実施例では、簡単のために、出金と入金のみについて説明する。預貯金残高は、顧客の口座番号の口座の残高である。監視対象人物フラグは、顧客が監視対象人物であるか否かを示すフラグであり、フラグが1であれば監視対象人物であることを示し、フラグが0であれば監視対象人物ではないことを示す。
【0025】
以上の顧客情報のうち、氏名と口座番号は、顧客が口座を開設したときに、顧客情報DB211に登録される。取引年月日と取引区分と預貯金残高は、顧客が取引を行なう毎に更新される。具体的には、ATM250a,250bの通信部258が、カード取扱装置251が読み取った口座番号や、操作部252から入力された取引内容をホストコンピュータ210に送信し、ホストコンピュータ210は、口座番号や取引内容に基づいて、取引年月日と取引区分と預貯金残高を更新する。
【0026】
監視対象人物フラグは、紙幣流通人物リスト作成システム1000の管理者が、金融機関200,300,400に配布する監視対象人物リスト(図示せず)に基づいて設定される。監視対象人物リストには、管理者が紙幣の入出金を監視する対象と定めた人物の氏名が登録されている。金融機関200では、顧客情報DB211に登録されているレコードの中から、氏名が、監視対象人物リストに登録されている氏名と一致するレコードを検索する。そして、一致するレコードが存在すれば、そのレコードの監視対象人物フラグを1にする。それ以外のレコードの監視対象人物フラグは0にする。この監視対象人物フラグ更新処理は、ホストコンピュータ210の管理者の手作業により実行されるが、自動で実行されるものとしても良い。具体的には、ホストコンピュータ210は、以上の監視対象人物フラグ更新処理を自動で実行する監視対象人物フラグ更新部を備えており、監視対象人物リストが、ネットワーク500を介して管理サーバ110からホストコンピュータ210に配布されると、監視対象人物フラグ更新部が、監視対象人物フラグ更新処理を実行するものとしても良い。なお、氏名が一致するのみで監視対象人物フラグを1にすると、同姓同名で別人である人の監視対象人物フラグを1にしてしまう可能性もあるので、監視対象人物リストには、氏名のみではなく、生年月日や住所、居所などのより詳細な情報を登録しておくことが望ましい。この場合、顧客情報DB211にも、生年月日や住所・居所などが登録されており、氏名、生年月日、住所、居所などが全て一致する場合のみ、そのレコードの監視対象人物フラグを1にするものとしても良い。顧客情報DB211は、本発明の監視対象人物リスト記憶部に相当する。
【0027】
図4は、監視対象人物取引情報DB212を示す説明図である。監視対象人物取引情報DB212は、顧客情報DB211において監視対象人物フラグが1である監視対象人物のATM250a,250bにおける取引について記録するデータベースであり、ATM250a,250bの通信部258から情報を受信して記録する。記録する取引情報は、氏名と、取引日時と、取引区分と、紙幣識別番号である。氏名は、監視対象人物の氏名である。取引日時は、監視対象人物が取引を行なった取引年月日である。取引区分は、監視対象人物が取引日時に行なった取引の区分である。紙幣識別番号は、取引時に、ATM250a,250bから監視対象人物に出金された紙幣の紙幣識別番号、または監視対象人物からATM250a,250bに入金された紙幣の紙幣識別番号である。紙幣識別番号は、図2のセンサ255が読み取り、通信部258がホストコンピュータ210に送信することにより、監視対象人物取引情報DB212に記録される。入金または出金される紙幣の枚数が大量な場合などは、最初に入出金された数十枚の紙幣識別番号のみを監視対象人物取引情報DB212に記録するものとしても良い。このようにすれば、監視対象人物取引情報DB212のデータ量が膨大になることを防ぐことができる。なお、監視対象人物取引情報DB212には、直近の取引に関する取引情報のみではなく、監視対象人物が行なった取引すべてを記録することが好ましい。
【0028】
図1に戻る。以上のように、ホストコンピュータ210について説明したが、ホストコンピュータ310,410もホストコンピュータ210と同様の構成である。
【0029】
管理サーバ110は、監視対象人物DB111と、紙幣流通人物リスト作成部112と、紙幣流通人物リスト群作成部113と、関係者リスト作成部114を備えている。
【0030】
図5は、監視対象人物DB111を示す説明図である。監視対象人物DB111は、各金融機関200,300,400から、監視対象人物取引情報DB212の取引情報と金融機関名を受信して、管理サーバ110が作成するデータベースであり、氏名と、金融機関名と、取引日時と、取引区分と、紙幣識別番号を記録している。管理サーバ110は、監視対象人物DB111の取引情報を受信すると、送信元の金融機関名を、受信した取引情報に付け加えて、監視対象人物取引情報DB212に保存する。監視対象人物DB111は、本発明の記憶部に相当する。なお、本実施例では、取引情報という個人情報を捜査資料として利用するため、(i)利用者の了承を得る、(ii)監視対象人物取引情報DB212や監視対象人物DB111の存在を非公開にする、(iii)監視対象人物取引情報DB212や監視対象人物DB111のセキュリティを高くする、などの配慮をするものとしても良い。
【0031】
紙幣流通人物リスト作成部112は、監視対象人物DB111の情報に基づいて、紙幣流通人物リストを作成する。図6は、紙幣流通人物リストを示す説明図である。図6の(a)〜(c)が、各々1つの紙幣流通人物リストに相当する。紙幣流通人物リストは、監視対象人物DB111のレコードにおいて、同一の紙幣識別番号を含むレコードを抽出して作成したリストである。
【0032】
例えば、図5の監視対象人物DB111において、紙幣識別番号「A00001X」を含むレコードは、1行目と3行目のレコードである。そのような、紙幣識別番号「A00001X」を含むレコードにおける氏名と、金融機関名と、取引日時と、取引区分とを、監視対象人物DB111からコピーして作成したリストが、図6(a)の紙幣流通人物リストである。なお、紙幣流通人物リストは、取引日時が古い者から順に並ぶよう作成する。同様に、紙幣識別番号「C00011Q」を含むレコードを監視対象人物DB111から抽出して作成したリストが、図6(b)の紙幣流通人物リストであり、紙幣識別番号「H00101F」を含むレコードを監視対象人物DB111から抽出して作成したリストが、図6(c)の紙幣流通人物リストである。
【0033】
これらの紙幣流通人物リストは、紙幣の流通経路を探索する際に参考とすることが可能なリストであり、本実施例の紙幣流通人物リスト作成システム1000は、これらの紙幣流通人物リストを作成するシステムである。なお、紙幣流通人物リスト作成システム1000は、更に、紙幣流通人物リストを基に、紙幣流通人物リスト群や関係者リストを作成することができる。以下、紙幣流通人物リスト群と関係者リストについて詳細に説明する。
【0034】
図1に戻り説明する。紙幣流通人物リスト群作成部113は、紙幣流通人物リストから、紙幣流通人物リスト群を作成する。紙幣流通人物リスト群とは、同一の氏名を含む紙幣流通人物リストの集合である。例えば、図6の各紙幣流通人物リストにおいて、(a)の紙幣流通人物リストと、(c)の紙幣流通人物リストは、同一人物である「C氏」を含んでいる。そこで、(a)と(c)の紙幣流通人物リストを、紙幣流通人物リスト群として抽出する。
【0035】
図7の左側のリスト群は、このようにして作成した紙幣流通人物リスト群を示す説明図である。なお、紙幣流通人物リスト群を作成する場合も、監視対象人物フラグを入力する場合と同様に、同姓同名の人物が存在することを考慮しつつ、紙幣流通人物リスト群を抽出するものとしても良い。具体的には、紙幣流通リストには、氏名のみではなく、生年月日や住所、居所などのより詳細な情報が登録されており、それらの詳細な情報が全て一致する場合のみ、紙幣流通人物リストを、紙幣流通人物リスト群として抽出するものとしても良い。紙幣流通人物リスト群は、特定の人物(この例ではC氏)が関与した紙幣の流通経路を探索する際に参考とすることができる。
【0036】
再度、図1に戻り説明する。関係者リスト作成部114は、紙幣流通人物リスト群に基づいて、関係者リストを作成する。関係者リストとは、紙幣流通人物リスト群のリスト全てに含まれる人物(先の例ではC氏。以下、関係者探索対象人物と呼ぶ)と何らかの関係があると推測される人物のリストである。関係者リスト作成部114は、関係者探索対象人物が、所定の紙幣流通人物リストにおいて、入金処理をしている場合は、その直前に出金処理をしている人物と、関係者探索対象人物を関係者リストに含める。更に、関係者リスト作成部114は、リスト全てに含まれる人物が、所定の紙幣流通人物リストにおいて、出金処理をしている場合は、関係者探索対象人物と、その直後に入金処理をしている人物を関係者リストに含める。
【0037】
例えば、図7の(a)の紙幣流通人物リストにおいて、C氏の直前に、紙幣識別番号「A00001X」の紙幣を出金している人物は、A氏である。よって、A氏がP銀行から出金した紙幣識別番号「A00001X」の紙幣をC氏が受け取り、R銀行から入金したものと推測し、A氏とC氏を関係者リストに登録する。また、図7の(c)の紙幣流通人物リストにおいて、C氏の直後に紙幣識別番号「H00101F」の紙幣を入金している人物は、D氏である。よって、C氏がR銀行から出金した紙幣をD氏が受け取り、A銀行から入金したものと推測し、C氏とD氏を関係者リストに登録する。関係者リストに含める際には、同時に取引区分も抽出し、登録する。図7の右側の関係者リストは、このようにして作成された関係者リストを示す説明図である。この関係者リストから、A氏とC氏とD氏の間に何らかのつながりがあり、A氏→C氏→D氏の流通経路の推測も可能である。
【0038】
以下、上述したATM250a,250b,350,450(以下、単にATM250〜450と示す)、ホストコンピュータ210,310,410、管理サーバ110で実行される処理についてフローチャートを用いて説明する。
【0039】
図8は、ATM250〜450の処理を示すフローチャートである。ATM250〜450の操作部252は、利用者から取引種類の入力を受け付け、取引種類を取得する(ステップS10)。ここでは、取引種類は入金または出金のいずれかである。取引種類が入力されると、ATM250〜450は、カード取扱装置251へのキャッシュカードの挿入を促し、カード取扱装置251によりキャッシュカードの口座番号を読み取る(ステップS20)。また、出金金額や入金金額などの情報を利用者から操作部252を介して取得する。そして、ホストコンピュータ210,310,410へ、口座番号により、利用者が監視対象人物であるか否か問い合わせる(ステップS30)。
【0040】
問い合わせを受けたホストコンピュータ210,310,410は、受信した口座番号で顧客情報DB211を検索し、該当したレコードの氏名と監視対象人物フラグをATM250〜450に送信する。
【0041】
ATM250〜450は、問い合わせ結果として氏名と監視対象人物フラグを受信し(ステップS40)、受信した監視対象人物フラグが1である場合は、監視対象人物であると判断する(ステップS50:YES)。そして、利用者が指定した入金金額分の紙幣を入出金口253から紙幣収納庫261〜264に搬送する入金処理、または利用者が指定した出金金額分の紙幣を、紙幣収納庫261〜264から入出金口253に搬送する出金処理を行なう。その際、ATM250〜450のセンサ255は、入出金口253に投入された入金紙幣、または紙幣収納庫261〜264から出金される出金紙幣の紙幣識別番号とイメージデータを読み取る(ステップS60)。読み取った紙幣識別番号は、RAM257が記憶する。一方、読み取ったイメージデータは、入金紙幣または出金紙幣が正常な紙幣であるか否かの確認に利用するが、ここでは説明を省略する。そして、入金処理または出金処理が終わると、ATM250〜450は、監視対象人物の取引情報をホストコンピュータ210,310,410へ送信する(ステップS70)。取引情報とは、ステップS40でホストコンピュータ210,310,410から受信した氏名と、取引日時と、取引区分と、RAM257に記憶されている紙幣識別番号である。なお、ここでは、ATM250〜450は、入金処理または出金処理が終わった時点で紙幣識別番号をホストコンピュータ210,310,410へ送信しているが、センサ255で紙幣識別番号を読み取った際に、リアルタイムで送信するものとしても良い。
【0042】
監視対象人物の取引情報を受信したホストコンピュータ210,310,410は、受信した情報を監視対象人物取引情報DB212に保存する。
【0043】
一方、受信した監視対象人物フラグが0である場合は、監視対象人物ではないと判断する(ステップS50:NO)。そして、入金処理または出金処理の実行時、ATM250〜450のセンサ255は、入金紙幣または出金紙幣のイメージデータを読み取る(ステップS80)。読み取ったイメージデータは、入金紙幣または出金紙幣が正常な紙幣であるか否かの確認に利用するが、ここでは説明を省略する。
【0044】
そして、ATM250〜450は、利用者が監視対象人物であるか否かに関わらず、顧客取引情報をホストコンピュータ210,310,410へ送信する(ステップS90)。顧客取引情報とは、キャッシュカードから読み取った口座番号と、取引日時と、取引区分と、出金金額または入金金額である。
【0045】
顧客取引情報を受信したホストコンピュータ210,310,410は、受信した顧客取引情報に基づいて顧客情報DB211を更新する。具体的には、顧客情報DB211から、受信した口座番号に該当するレコードを検索し、取引日時と、取引区分を上書きし、預貯金残高から出金金額を減算、または預貯金金額に入金金額を加算する。
【0046】
紙幣流通人物リスト作成センタ100の管理者は、任意のタイミングで、ホストコンピュータ210,310,410に、監視対象人物取引情報DB212を送信するよう要求する。ホストコンピュータ210,310,410は、管理サーバ110からの要求を受けて、監視対象人物取引情報DB212と金融機関名を管理サーバ110に送信する。なお、ホストコンピュータ210,310,410は、管理サーバ110からの要求を受けるのではなく、所定のタイミング、例えば、1ヶ月おきに監視対象人物取引情報DB212を管理サーバ110に送信するものとしても良い。
【0047】
図9は、管理サーバ110の処理を示すフローチャートである。管理サーバ110は、ホストコンピュータ210,310,410から、監視対象人物取引情報DB212と金融機関名を受信して、図5の監視対象人物DB111を作成する(ステップS200)。そして、紙幣流通人物リスト作成部112は、監視対象人物DB111に基づいて、図6の紙幣流通人物リストを作成する(ステップS210)。更に、紙幣流通人物リスト群作成部113は、紙幣流通人物リストに基づいて、図7左側の紙幣流通人物リスト群を作成する(ステップS220)。また、関係者リスト作成部114は、紙幣流通人物リスト群に基づいて、図7右側の関係者リストを作成する(ステップS230)。
【0048】
本実施例では、管理サーバ110は、監視対象人物DB111を作成すれば、自動的に監視対象人物DB111に登録されているすべての紙幣について紙幣流通人物リストを作成し、更に、同一の氏名を含む紙幣流通人物リストを抽出して紙幣流通人物リスト群を、そして、紙幣流通人物リスト群から各々関係者リストを作成する。しかし、管理サーバ110は、管理者が指定した紙幣識別番号の紙幣についてのみ紙幣流通人物リストを作成するものとしても良い。例えば、管理者が、紙幣識別番号A00001X,C00011Q,H00101Fを指定した場合は、図6の3つの紙幣流通人物リストが作成される。また、1枚の紙幣流通人物リストのみ作成するものとしても良い。管理者が、1つの紙幣識別番号を指定した場合は、1枚の紙幣流通人物リストが作成される。
【0049】
また、管理サーバ110は、管理者が指定した人物についてのみ紙幣流通人物リスト群や関係者リストを作成するものとしても良い。例えば、管理者が、C氏を指定した場合は、図7の紙幣流通人物リスト群や関係者リストが作成される。
【0050】
また、紙幣流通人物リストなどを作成するタイミングも、任意に指定可能であるものとしても良い。更に、管理者が任意の期間を指定した場合は、監視対象人物DB111において、取引日時が任意の期間内であるレコードについてのみ紙幣流通人物リストを作成するものとしても良い。
【0051】
本実施例の紙幣流通人物リスト作成システム1000によれば、監視対象人物フラグが1である監視対象人物が入出金した紙幣の紙幣識別番号と、入出金者を関連付けて記憶することで、図6の紙幣類流通人物リストを作成することができる。紙幣類流通人物リストは、紙幣の流通経路を探索する際の参考情報とすることができる。例えば、捜査により不当な金銭を発見した際には、被疑者が出所を言わない場合であっても、不当な金銭の紙幣識別番号により、その紙幣に関する紙幣流通人物リストを作成し、その紙幣の出所などを捜索する手掛かりとすることができる。
【0052】
紙幣流通人物リスト作成システム1000では、更に、図7に示した紙幣流通人物リスト群や関係者リストを作成することが可能である。紙幣流通人物リスト作成システム1000は、図7左側の紙幣類流通人物リスト群を作成することで、任意の入出金者(実施例ではC氏)が関係した紙幣の流通経路を探索する際に参考となる情報を得ることができる。例えば、疑わしい人物に関する紙幣の流通経路を探索する場合に、その人物に関して紙幣類流通人物リスト群を作成することで、参考情報とすることができる。また、図7右側の関係者リストを作成することで、任意の入出金者(実施例ではC氏)と関係のある人物を捜索する際に参考となる情報とすることができる。
【0053】
また、本実施例では、複数の金融機関200,300,400の監視対象人物取引情報DB212に基づいて、図6の紙幣類流通人物リストを作成しているので、紙幣類流通人物リストは、複数の金融機関200,300,400にわたって紙幣が移動した場合にも、紙幣の流通経路を探索する際の参考とすることができる。
その他の実施例:
【0054】
(1)上記実施例では、図6の紙幣流通人物リストに、氏名と、金融機関名と、取引日時と、取引区分とを含んでいるが、更に他の情報を含むものとしても良い。例えば、利用者が取引を行なったATM250〜450の設置場所やATM識別番号、利用者の住所、居所、年齢、性別などである。このような情報を含むものとすれば、更に、紙幣類の流通経路の探索に使用する情報として有用である。
【0055】
(2)上記実施例では、取引の種類が出金と入金のみの場合について説明したが、振込なども取引の種類に含めるものとしても良い。その場合、振込者の氏名と振込先の人物の氏名とを関連付けて記憶しておき、関係者探索対象人物に金銭を振り込んだ者と、関係者探索対象人物から金銭を振り込まれた者を、関係者リストに加えるものとしても良い。
【0056】
(3)上記実施例では、監視対象人物フラグが1である監視対象人物の取引について、紙幣識別番号を含む取引情報を監視対象人物取引情報DB212に記憶させるものとしたが、これに限らず、すべての人物の取引時に、紙幣の紙幣識別番号を読み取り、紙幣識別番号を含む取引情報を記憶するものとしても良い。この場合、紙幣流通人物リスト作成センタ100の管理者は、管理サーバ110において、監視対象人物を指定し、ホストコンピュータ210,310,410は、管理サーバ110から指定された監視対象人物についての取引情報を管理サーバ110に送信するものとしても良い。このようにすれば、管理者は、その人物を監視対象人物としてマークする前からの取引情報を得て、紙幣流通人物リストなどを作成することができる。また、この場合、管理者は、被疑者となるなど、多分に疑わしい人物のみ監視対象人物として指定することができるので、そのような人物に関する取引情報以外は、捜査機関に送信されないようにすることも可能である。
【0057】
(4)上記実施例では、管理サーバ110で関係者リストを作成するものとしたが、作成しないものとしても良い。関係者リストを作成しない場合は、監視対象人物取引情報DB212の取引情報に取引区分や取引日時を含める必要もない。また、紙幣流通人物リスト群も作成しないものとしても良い。
【0058】
(5)上記実施例では、センサ255は、紙幣に記載されている紙幣識別番号を読み取るものとしたが、紙幣に超小型ICタグが付けられている場合、超小型ICタグに記録された紙幣識別番号を読み取るものとしても良い。
【0059】
(6)本実施例では、金融機関200,300,400は複数存在するが、金融機関200,300,400は1つであっても良い。その場合、管理サーバ110の機能をホストコンピュータ210が有するものとしても良い。
【0060】
(7)上記実施例では、紙幣流通人物リストと紙幣流通人物リスト群と関係者リストを監視対象人物DB111とは別個に作成しているが、これに限らず、監視対象人物DB111のレコードを並べ替えたり、任意のレコードや任意の項目の表示を省略したりすることにより、紙幣流通人物リストや紙幣流通人物リスト群や関係者リストに相当する情報を提供するものとしても良い。
【0061】
(8)本実施例では、ATM250〜450において紙幣識別番号を読み取るなどの処理を行なうものとしたが、これに限らず、現金自動支払い機(cash dispenser)など、その他の紙幣を取り扱う装置において、紙幣識別番号を読み取るなどの処理を行なうものとしても良い。
【0062】
(9)本実施例では、紙幣流通人物リストを作成する処理について説明したが、紙幣に限らず、有価証券などについても本システムを適用し、有価証券流通人物リストなどを作成するものとしても良い。
【0063】
以上、実施例に基づき本発明に係る紙幣流通人物リスト作成システム1000を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例としての紙幣流通人物リスト作成システム1000を示す説明図。
【図2】ATM250aの構成を示す説明図。
【図3】顧客情報DB211を示す説明図。
【図4】監視対象人物取引情報DB212を示す説明図。
【図5】監視対象人物DB111を示す説明図。
【図6】紙幣流通人物リストを示す説明図。
【図7】紙幣流通人物リスト群と関係者リストを示す説明図。
【図8】ATM250〜450の処理を示すフローチャート。
【図9】管理サーバ110の処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0065】
100...紙幣流通人物リスト作成センタ
110...管理サーバ
111...監視対象人物DB
112...紙幣流通人物リスト作成部
113...紙幣流通人物リスト群作成部
114...関係者リスト作成部
200,300,400...金融機関
210,310,410...ホストコンピュータ
211...顧客情報DB
212...監視対象人物取引情報DB
250a,250b,350,450...ATM
251...カード取扱装置
252...操作部
253...入出金口
254...鑑別部
255...センサ
256...制御部
258...通信部
259a,259b...紙幣搬送路
260...一時スタッカ
261...1万円札庫
262...5千円札庫
263...2千円札庫
264...千円札庫
265...リジェクト庫
500...ネットワーク
1000...紙幣流通人物リスト作成システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣や有価証券等の紙幣類の流通経路の探索に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、不当な手段により得られた金銭、例えば、麻薬密売により得られた金銭や、賄賂により受け取った金銭を探し出し、金銭の出所を追求することで、犯罪を取り締まるという捜査がなされてきた。不当な手段により得られた金銭(以下、単に不当な金銭と呼ぶ)は、麻薬密売に関係していると疑わしい人物や、賄賂の受け渡しに関係していると思われる人物を把握し、その人物の居所などから出所不明の疑わしい金銭を見つけ出したり、その人物の金融機関の口座情報を調べたりすることによって探し出すことができる。
【0003】
しかしながら、このような捜査に対向し、不当な金銭をごまかすために、マネーロンダリングと言われる行動を起こすものもあった。マネーロンダリングとは、不当な金銭を多数の口座に転々と移動させることで、不当な金銭の出所はどこなのか、不当な金銭はどこに存在するのか、といったことを分かりづらくすることである。例えば、マネーロンダリングでは、以下のような行動を多数の人間が繰り返す。
1.A氏が金融機関Xから引き出した紙幣を、B氏に手渡す。
2.B氏が金融機関Yに受け取った紙幣を預ける。
3.B氏が金融機関Yから紙幣を引き出し、C氏に手渡す。
4.C氏は金融機関Zに紙幣を預ける。
【0004】
このようなマネーロンダリングに対向し、犯罪を取り締まるためには、紙幣及び有価証券を含む紙幣類の流通経路を探索しなければならない。しかし、従来は紙幣類の流通経路の探索を容易に行なえる技術は知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開平9−274677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、紙幣類の流通経路の探索を容易にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の紙幣類流通人物リスト作成システムは、紙幣及び有価証券を含む紙幣類に関して、紙幣類の流通経路を探索する際に参考とするための紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成システムであって、金融機関に紙幣類が入金される際、または、金融機関から紙幣類が出金される際に、該紙幣類の紙幣類識別番号を読み取る紙幣類識別番号読取装置と、紙幣類の入金者または出金者に関する入出金者情報を取得し、該紙幣類の前記紙幣類識別番号と関連付けて記憶する記憶部と、前記記憶部から、流通経路探索対象である紙幣類の紙幣類識別番号に関連付けられた入出金者情報を抽出し、該紙幣類に関連した入出金者情報のリストである前記紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、紙幣類に関連した入出金者情報のリストである紙幣類流通人物リストを提供することができるので、紙幣類の流通経路の探索を容易に行なうことができる。
【0009】
前記紙幣類流通人物リスト作成部は、複数の紙幣類の紙幣類識別番号に関して、各々前記紙幣類流通人物リストを作成し、前記紙幣類流通人物リスト作成システムは、更に、複数の前記紙幣類流通人物リストにおいて、任意の入出金者情報を含む紙幣類流通人物リストを抽出し、任意の入出金者が関係した紙幣類の流通経路を示す紙幣類流通人物リストの集合として紙幣類流通人物リスト群を作成する紙幣類流通人物リスト群作成部を備えた、ものとしても良い。
【0010】
これによれば、任意の入出金者が関係した紙幣類の流通経路を示す紙幣類流通人物リストの集合として紙幣類流通人物リスト群を提供できるので、任意の入出金者が関係した紙幣類の流通経路を容易に探索することができる。
【0011】
前記記憶部は、更に、紙幣類が入金された紙幣類であるか出金された紙幣類であるかを示す取引区分と、入金日時または出金日時とを、前記紙幣類識別番号と関連付けて記憶しており、前記紙幣類流通人物リスト作成部は、流通経路探索対象である紙幣類の紙幣類識別番号に関連付けられた入出金者情報と、前記取引区分と、前記入金日時または出金日時を抽出して、前記紙幣類流通人物リストを作成し、前記紙幣類流通人物リスト作成システムは、更に、前記入出金者情報と、前記取引区分と、前記入金日時または出金日時とに基づいて、前記紙幣類流通人物リストから、任意の入出金者が前記紙幣類を入金する直前に該紙幣類を出金した人物の入出金者情報と、任意の入出金者が前記紙幣類を出金した直後に該紙幣類を入金した人物の入出金者情報との少なくともいずれかを抽出し、前記任意の入出金者と関係があると推測される関係者リストを作成する関係者リスト作成部を備えた、ものとしても良い。
【0012】
これによれば、任意の入出金者と関係があると推測される関係者リストを提供できるので、任意の入出金者と関係のある人物を容易に捜索することができる。
【0013】
更に、紙幣類の入出金を監視する対象である監視対象人物の監視対象人物リストを記憶する監視対象人物リスト記憶部を備え、前記紙幣類識別番号読取装置は、前記監視対象人物リストに含まれる監視対象人物が金融機関に紙幣類を入金する際、または、前記監視対象人物が金融機関から紙幣類を出金する際に、該紙幣類の紙幣類識別番号を読み取り、前記記憶部は、該紙幣類の前記紙幣類識別番号と、入金または出金を行なった前記監視対象人物の入出金者情報とを関連付けて記憶する、ものとしても良い。
【0014】
これによれば、特定の監視対象人物が入出金する際に、紙幣類識別番号と入出金者情報とを関連付けて記憶するので、記憶部の記憶量を抑えることができる。
【0015】
前記金融機関は、複数の金融機関を含むことを特徴とする、ものとしても良い。
【0016】
これによれば、複数の金融機関にわたる紙幣類の流通経路を探索する際に参考となる情報を提供することができる。
【0017】
なお本発明は種々の形態で実現可能であり、例えば、紙幣類流通人物リスト作成方法および装置や、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、実施例としての紙幣流通人物リスト作成システム1000を示す説明図である。紙幣流通人物リスト作成システム1000とは、紙幣の流通経路を探索する際に参考とすることが可能な紙幣流通人物リストを作成するシステムである。紙幣流通人物リスト作成システム1000は、紙幣流通人物リスト作成センタ100の管理サーバ110と、金融機関200,300,400のホストコンピュータ210,310,410と、金融機関200,300,400のATM(紙幣取扱装置)250a,250b,350,450とで構成されている。ATM250a,250bは、ホストコンピュータ210に接続されており、ATM350は、ホストコンピュータ310に接続されており、ATM450は、ホストコンピュータ410に接続されている。ホストコンピュータ210,310,410は、ネットワーク500を介して、管理サーバ110に接続されている。紙幣流通人物リスト作成センタ100は、捜査機関の管理下にある。なお、図1には、金融機関として、3つの金融機関200,300,400を示したが、金融機関は1つ又は2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。ATM250a,250b,350,450の数も適宜変更可能である。
【0019】
図2は、ATM250aの構成を示す説明図である。ATM250aは、カード取扱装置251と、操作部252と、入出金口253と、鑑別部254と、制御部256と、紙幣搬送路259a,259bと、一時スタッカ260と、1万円札庫261と、5千円札庫262と、2千円札庫263と、千円札庫264と、リジェクト庫265とを備えている。また、鑑別部254は、紙幣のイメージデータと紙幣識別番号を読み取るセンサ255を備えており、制御部256は、RAM257と通信部258とを備えている。
【0020】
カード取扱装置251は、利用者から挿入されたキャッシュカードから、口座番号などを読み取り、読み取った内容を制御部256のRAM257に一時記憶させる。操作部252は、利用者から取引内容などの入力を受け付け、入力された内容を制御部256に送信する。入出金口253は、利用者がATM250に紙幣を投入するため、またはATM250から利用者に紙幣を渡すための機構である。
【0021】
鑑別部254のセンサ255は、紙幣搬送路259aにより搬送されている紙幣のイメージデータを読み取る。鑑別部254は、センサ255により読み取られた紙幣のイメージデータにより、紙幣が偽造紙幣などの不適切な紙幣であるか否か、適切な紙幣である場合は、何円札であるかを鑑別する。鑑別部254のセンサ255は、制御部256の指示により、イメージデータに加え、紙幣識別番号も読み取ることが可能である。センサ255により読み取られた紙幣識別番号は、RAM257に一旦記憶され、紙幣流通人物リストの作成に使用される。詳しくは後述する。なお、センサ255は、本発明の紙幣類識別番号読取装置に相当する。
【0022】
紙幣搬送路259a,259bは、紙幣を搬送する。一時スタッカ260は、紙幣搬送路259a,259bにより搬送されてきた紙幣を一時ストックする。一時スタッカ260にストックされた紙幣は、鑑別部254の鑑別結果に基づいて、制御部256の判断により、入出金口253に搬送されたり、1万円札庫261,5千円札庫262,2千円札庫263,千円札庫264,リジェクト庫265のいずれかに搬送されたりする。1万円札庫261と、5千円札庫262と、2千円札庫263と、千円札庫264は、それぞれ、1万円札と、5千円札と、2千円札と、千円札とを保管する保管庫である。リジェクト庫265は、利用者が入出金口253から取り忘れた出金紙幣などを保管しておく保管庫である。制御部256は、ATM250の各部を統括制御する。その際、通信部258により、ホストコンピュータ210との通信も実行する。
【0023】
入金取引の際には、利用者により入出金口253に投入された紙幣は、センサ255によりイメージデータと紙幣識別番号、またはイメージデータのみを読み取られ、1万円札庫261と、5千円札庫262と、2千円札庫263と、千円札庫264(以下、まとめて紙幣収納庫261〜264と呼ぶ)のいずれかに搬送される。一方、出金取引の際には、紙幣収納庫261〜264のいずれかから搬送された紙幣は、センサ255によりイメージデータと紙幣識別番号、またはイメージデータのみを読み取られ、入出金口253に搬送される。以上、ATM250aについて説明したが、他のATM250b,350,450もATM250aと同じ構成である。
【0024】
図1に戻り説明する。ホストコンピュータ210は、顧客情報DB(データベース)211と、監視対象人物取引情報DB212を記憶している。図3は、顧客情報DB211を示す説明図である。顧客情報DB211は、顧客情報を管理するためのデータベースであり、顧客情報として、氏名と、口座番号と、取引日時と、取引区分と、預貯金残高と、監視対象人物フラグとを記憶している。氏名は、顧客の氏名であり、口座番号は、顧客が金融機関200に開設している口座の口座番号である。取引日時は、顧客が金融機関200で取引を行なった日時のうち、直近の日時である。取引区分は、顧客が取引日時に行なった取引の区分である。取引区分には、図示した出金や入金の他にも、振込などがあるが、本実施例では、簡単のために、出金と入金のみについて説明する。預貯金残高は、顧客の口座番号の口座の残高である。監視対象人物フラグは、顧客が監視対象人物であるか否かを示すフラグであり、フラグが1であれば監視対象人物であることを示し、フラグが0であれば監視対象人物ではないことを示す。
【0025】
以上の顧客情報のうち、氏名と口座番号は、顧客が口座を開設したときに、顧客情報DB211に登録される。取引年月日と取引区分と預貯金残高は、顧客が取引を行なう毎に更新される。具体的には、ATM250a,250bの通信部258が、カード取扱装置251が読み取った口座番号や、操作部252から入力された取引内容をホストコンピュータ210に送信し、ホストコンピュータ210は、口座番号や取引内容に基づいて、取引年月日と取引区分と預貯金残高を更新する。
【0026】
監視対象人物フラグは、紙幣流通人物リスト作成システム1000の管理者が、金融機関200,300,400に配布する監視対象人物リスト(図示せず)に基づいて設定される。監視対象人物リストには、管理者が紙幣の入出金を監視する対象と定めた人物の氏名が登録されている。金融機関200では、顧客情報DB211に登録されているレコードの中から、氏名が、監視対象人物リストに登録されている氏名と一致するレコードを検索する。そして、一致するレコードが存在すれば、そのレコードの監視対象人物フラグを1にする。それ以外のレコードの監視対象人物フラグは0にする。この監視対象人物フラグ更新処理は、ホストコンピュータ210の管理者の手作業により実行されるが、自動で実行されるものとしても良い。具体的には、ホストコンピュータ210は、以上の監視対象人物フラグ更新処理を自動で実行する監視対象人物フラグ更新部を備えており、監視対象人物リストが、ネットワーク500を介して管理サーバ110からホストコンピュータ210に配布されると、監視対象人物フラグ更新部が、監視対象人物フラグ更新処理を実行するものとしても良い。なお、氏名が一致するのみで監視対象人物フラグを1にすると、同姓同名で別人である人の監視対象人物フラグを1にしてしまう可能性もあるので、監視対象人物リストには、氏名のみではなく、生年月日や住所、居所などのより詳細な情報を登録しておくことが望ましい。この場合、顧客情報DB211にも、生年月日や住所・居所などが登録されており、氏名、生年月日、住所、居所などが全て一致する場合のみ、そのレコードの監視対象人物フラグを1にするものとしても良い。顧客情報DB211は、本発明の監視対象人物リスト記憶部に相当する。
【0027】
図4は、監視対象人物取引情報DB212を示す説明図である。監視対象人物取引情報DB212は、顧客情報DB211において監視対象人物フラグが1である監視対象人物のATM250a,250bにおける取引について記録するデータベースであり、ATM250a,250bの通信部258から情報を受信して記録する。記録する取引情報は、氏名と、取引日時と、取引区分と、紙幣識別番号である。氏名は、監視対象人物の氏名である。取引日時は、監視対象人物が取引を行なった取引年月日である。取引区分は、監視対象人物が取引日時に行なった取引の区分である。紙幣識別番号は、取引時に、ATM250a,250bから監視対象人物に出金された紙幣の紙幣識別番号、または監視対象人物からATM250a,250bに入金された紙幣の紙幣識別番号である。紙幣識別番号は、図2のセンサ255が読み取り、通信部258がホストコンピュータ210に送信することにより、監視対象人物取引情報DB212に記録される。入金または出金される紙幣の枚数が大量な場合などは、最初に入出金された数十枚の紙幣識別番号のみを監視対象人物取引情報DB212に記録するものとしても良い。このようにすれば、監視対象人物取引情報DB212のデータ量が膨大になることを防ぐことができる。なお、監視対象人物取引情報DB212には、直近の取引に関する取引情報のみではなく、監視対象人物が行なった取引すべてを記録することが好ましい。
【0028】
図1に戻る。以上のように、ホストコンピュータ210について説明したが、ホストコンピュータ310,410もホストコンピュータ210と同様の構成である。
【0029】
管理サーバ110は、監視対象人物DB111と、紙幣流通人物リスト作成部112と、紙幣流通人物リスト群作成部113と、関係者リスト作成部114を備えている。
【0030】
図5は、監視対象人物DB111を示す説明図である。監視対象人物DB111は、各金融機関200,300,400から、監視対象人物取引情報DB212の取引情報と金融機関名を受信して、管理サーバ110が作成するデータベースであり、氏名と、金融機関名と、取引日時と、取引区分と、紙幣識別番号を記録している。管理サーバ110は、監視対象人物DB111の取引情報を受信すると、送信元の金融機関名を、受信した取引情報に付け加えて、監視対象人物取引情報DB212に保存する。監視対象人物DB111は、本発明の記憶部に相当する。なお、本実施例では、取引情報という個人情報を捜査資料として利用するため、(i)利用者の了承を得る、(ii)監視対象人物取引情報DB212や監視対象人物DB111の存在を非公開にする、(iii)監視対象人物取引情報DB212や監視対象人物DB111のセキュリティを高くする、などの配慮をするものとしても良い。
【0031】
紙幣流通人物リスト作成部112は、監視対象人物DB111の情報に基づいて、紙幣流通人物リストを作成する。図6は、紙幣流通人物リストを示す説明図である。図6の(a)〜(c)が、各々1つの紙幣流通人物リストに相当する。紙幣流通人物リストは、監視対象人物DB111のレコードにおいて、同一の紙幣識別番号を含むレコードを抽出して作成したリストである。
【0032】
例えば、図5の監視対象人物DB111において、紙幣識別番号「A00001X」を含むレコードは、1行目と3行目のレコードである。そのような、紙幣識別番号「A00001X」を含むレコードにおける氏名と、金融機関名と、取引日時と、取引区分とを、監視対象人物DB111からコピーして作成したリストが、図6(a)の紙幣流通人物リストである。なお、紙幣流通人物リストは、取引日時が古い者から順に並ぶよう作成する。同様に、紙幣識別番号「C00011Q」を含むレコードを監視対象人物DB111から抽出して作成したリストが、図6(b)の紙幣流通人物リストであり、紙幣識別番号「H00101F」を含むレコードを監視対象人物DB111から抽出して作成したリストが、図6(c)の紙幣流通人物リストである。
【0033】
これらの紙幣流通人物リストは、紙幣の流通経路を探索する際に参考とすることが可能なリストであり、本実施例の紙幣流通人物リスト作成システム1000は、これらの紙幣流通人物リストを作成するシステムである。なお、紙幣流通人物リスト作成システム1000は、更に、紙幣流通人物リストを基に、紙幣流通人物リスト群や関係者リストを作成することができる。以下、紙幣流通人物リスト群と関係者リストについて詳細に説明する。
【0034】
図1に戻り説明する。紙幣流通人物リスト群作成部113は、紙幣流通人物リストから、紙幣流通人物リスト群を作成する。紙幣流通人物リスト群とは、同一の氏名を含む紙幣流通人物リストの集合である。例えば、図6の各紙幣流通人物リストにおいて、(a)の紙幣流通人物リストと、(c)の紙幣流通人物リストは、同一人物である「C氏」を含んでいる。そこで、(a)と(c)の紙幣流通人物リストを、紙幣流通人物リスト群として抽出する。
【0035】
図7の左側のリスト群は、このようにして作成した紙幣流通人物リスト群を示す説明図である。なお、紙幣流通人物リスト群を作成する場合も、監視対象人物フラグを入力する場合と同様に、同姓同名の人物が存在することを考慮しつつ、紙幣流通人物リスト群を抽出するものとしても良い。具体的には、紙幣流通リストには、氏名のみではなく、生年月日や住所、居所などのより詳細な情報が登録されており、それらの詳細な情報が全て一致する場合のみ、紙幣流通人物リストを、紙幣流通人物リスト群として抽出するものとしても良い。紙幣流通人物リスト群は、特定の人物(この例ではC氏)が関与した紙幣の流通経路を探索する際に参考とすることができる。
【0036】
再度、図1に戻り説明する。関係者リスト作成部114は、紙幣流通人物リスト群に基づいて、関係者リストを作成する。関係者リストとは、紙幣流通人物リスト群のリスト全てに含まれる人物(先の例ではC氏。以下、関係者探索対象人物と呼ぶ)と何らかの関係があると推測される人物のリストである。関係者リスト作成部114は、関係者探索対象人物が、所定の紙幣流通人物リストにおいて、入金処理をしている場合は、その直前に出金処理をしている人物と、関係者探索対象人物を関係者リストに含める。更に、関係者リスト作成部114は、リスト全てに含まれる人物が、所定の紙幣流通人物リストにおいて、出金処理をしている場合は、関係者探索対象人物と、その直後に入金処理をしている人物を関係者リストに含める。
【0037】
例えば、図7の(a)の紙幣流通人物リストにおいて、C氏の直前に、紙幣識別番号「A00001X」の紙幣を出金している人物は、A氏である。よって、A氏がP銀行から出金した紙幣識別番号「A00001X」の紙幣をC氏が受け取り、R銀行から入金したものと推測し、A氏とC氏を関係者リストに登録する。また、図7の(c)の紙幣流通人物リストにおいて、C氏の直後に紙幣識別番号「H00101F」の紙幣を入金している人物は、D氏である。よって、C氏がR銀行から出金した紙幣をD氏が受け取り、A銀行から入金したものと推測し、C氏とD氏を関係者リストに登録する。関係者リストに含める際には、同時に取引区分も抽出し、登録する。図7の右側の関係者リストは、このようにして作成された関係者リストを示す説明図である。この関係者リストから、A氏とC氏とD氏の間に何らかのつながりがあり、A氏→C氏→D氏の流通経路の推測も可能である。
【0038】
以下、上述したATM250a,250b,350,450(以下、単にATM250〜450と示す)、ホストコンピュータ210,310,410、管理サーバ110で実行される処理についてフローチャートを用いて説明する。
【0039】
図8は、ATM250〜450の処理を示すフローチャートである。ATM250〜450の操作部252は、利用者から取引種類の入力を受け付け、取引種類を取得する(ステップS10)。ここでは、取引種類は入金または出金のいずれかである。取引種類が入力されると、ATM250〜450は、カード取扱装置251へのキャッシュカードの挿入を促し、カード取扱装置251によりキャッシュカードの口座番号を読み取る(ステップS20)。また、出金金額や入金金額などの情報を利用者から操作部252を介して取得する。そして、ホストコンピュータ210,310,410へ、口座番号により、利用者が監視対象人物であるか否か問い合わせる(ステップS30)。
【0040】
問い合わせを受けたホストコンピュータ210,310,410は、受信した口座番号で顧客情報DB211を検索し、該当したレコードの氏名と監視対象人物フラグをATM250〜450に送信する。
【0041】
ATM250〜450は、問い合わせ結果として氏名と監視対象人物フラグを受信し(ステップS40)、受信した監視対象人物フラグが1である場合は、監視対象人物であると判断する(ステップS50:YES)。そして、利用者が指定した入金金額分の紙幣を入出金口253から紙幣収納庫261〜264に搬送する入金処理、または利用者が指定した出金金額分の紙幣を、紙幣収納庫261〜264から入出金口253に搬送する出金処理を行なう。その際、ATM250〜450のセンサ255は、入出金口253に投入された入金紙幣、または紙幣収納庫261〜264から出金される出金紙幣の紙幣識別番号とイメージデータを読み取る(ステップS60)。読み取った紙幣識別番号は、RAM257が記憶する。一方、読み取ったイメージデータは、入金紙幣または出金紙幣が正常な紙幣であるか否かの確認に利用するが、ここでは説明を省略する。そして、入金処理または出金処理が終わると、ATM250〜450は、監視対象人物の取引情報をホストコンピュータ210,310,410へ送信する(ステップS70)。取引情報とは、ステップS40でホストコンピュータ210,310,410から受信した氏名と、取引日時と、取引区分と、RAM257に記憶されている紙幣識別番号である。なお、ここでは、ATM250〜450は、入金処理または出金処理が終わった時点で紙幣識別番号をホストコンピュータ210,310,410へ送信しているが、センサ255で紙幣識別番号を読み取った際に、リアルタイムで送信するものとしても良い。
【0042】
監視対象人物の取引情報を受信したホストコンピュータ210,310,410は、受信した情報を監視対象人物取引情報DB212に保存する。
【0043】
一方、受信した監視対象人物フラグが0である場合は、監視対象人物ではないと判断する(ステップS50:NO)。そして、入金処理または出金処理の実行時、ATM250〜450のセンサ255は、入金紙幣または出金紙幣のイメージデータを読み取る(ステップS80)。読み取ったイメージデータは、入金紙幣または出金紙幣が正常な紙幣であるか否かの確認に利用するが、ここでは説明を省略する。
【0044】
そして、ATM250〜450は、利用者が監視対象人物であるか否かに関わらず、顧客取引情報をホストコンピュータ210,310,410へ送信する(ステップS90)。顧客取引情報とは、キャッシュカードから読み取った口座番号と、取引日時と、取引区分と、出金金額または入金金額である。
【0045】
顧客取引情報を受信したホストコンピュータ210,310,410は、受信した顧客取引情報に基づいて顧客情報DB211を更新する。具体的には、顧客情報DB211から、受信した口座番号に該当するレコードを検索し、取引日時と、取引区分を上書きし、預貯金残高から出金金額を減算、または預貯金金額に入金金額を加算する。
【0046】
紙幣流通人物リスト作成センタ100の管理者は、任意のタイミングで、ホストコンピュータ210,310,410に、監視対象人物取引情報DB212を送信するよう要求する。ホストコンピュータ210,310,410は、管理サーバ110からの要求を受けて、監視対象人物取引情報DB212と金融機関名を管理サーバ110に送信する。なお、ホストコンピュータ210,310,410は、管理サーバ110からの要求を受けるのではなく、所定のタイミング、例えば、1ヶ月おきに監視対象人物取引情報DB212を管理サーバ110に送信するものとしても良い。
【0047】
図9は、管理サーバ110の処理を示すフローチャートである。管理サーバ110は、ホストコンピュータ210,310,410から、監視対象人物取引情報DB212と金融機関名を受信して、図5の監視対象人物DB111を作成する(ステップS200)。そして、紙幣流通人物リスト作成部112は、監視対象人物DB111に基づいて、図6の紙幣流通人物リストを作成する(ステップS210)。更に、紙幣流通人物リスト群作成部113は、紙幣流通人物リストに基づいて、図7左側の紙幣流通人物リスト群を作成する(ステップS220)。また、関係者リスト作成部114は、紙幣流通人物リスト群に基づいて、図7右側の関係者リストを作成する(ステップS230)。
【0048】
本実施例では、管理サーバ110は、監視対象人物DB111を作成すれば、自動的に監視対象人物DB111に登録されているすべての紙幣について紙幣流通人物リストを作成し、更に、同一の氏名を含む紙幣流通人物リストを抽出して紙幣流通人物リスト群を、そして、紙幣流通人物リスト群から各々関係者リストを作成する。しかし、管理サーバ110は、管理者が指定した紙幣識別番号の紙幣についてのみ紙幣流通人物リストを作成するものとしても良い。例えば、管理者が、紙幣識別番号A00001X,C00011Q,H00101Fを指定した場合は、図6の3つの紙幣流通人物リストが作成される。また、1枚の紙幣流通人物リストのみ作成するものとしても良い。管理者が、1つの紙幣識別番号を指定した場合は、1枚の紙幣流通人物リストが作成される。
【0049】
また、管理サーバ110は、管理者が指定した人物についてのみ紙幣流通人物リスト群や関係者リストを作成するものとしても良い。例えば、管理者が、C氏を指定した場合は、図7の紙幣流通人物リスト群や関係者リストが作成される。
【0050】
また、紙幣流通人物リストなどを作成するタイミングも、任意に指定可能であるものとしても良い。更に、管理者が任意の期間を指定した場合は、監視対象人物DB111において、取引日時が任意の期間内であるレコードについてのみ紙幣流通人物リストを作成するものとしても良い。
【0051】
本実施例の紙幣流通人物リスト作成システム1000によれば、監視対象人物フラグが1である監視対象人物が入出金した紙幣の紙幣識別番号と、入出金者を関連付けて記憶することで、図6の紙幣類流通人物リストを作成することができる。紙幣類流通人物リストは、紙幣の流通経路を探索する際の参考情報とすることができる。例えば、捜査により不当な金銭を発見した際には、被疑者が出所を言わない場合であっても、不当な金銭の紙幣識別番号により、その紙幣に関する紙幣流通人物リストを作成し、その紙幣の出所などを捜索する手掛かりとすることができる。
【0052】
紙幣流通人物リスト作成システム1000では、更に、図7に示した紙幣流通人物リスト群や関係者リストを作成することが可能である。紙幣流通人物リスト作成システム1000は、図7左側の紙幣類流通人物リスト群を作成することで、任意の入出金者(実施例ではC氏)が関係した紙幣の流通経路を探索する際に参考となる情報を得ることができる。例えば、疑わしい人物に関する紙幣の流通経路を探索する場合に、その人物に関して紙幣類流通人物リスト群を作成することで、参考情報とすることができる。また、図7右側の関係者リストを作成することで、任意の入出金者(実施例ではC氏)と関係のある人物を捜索する際に参考となる情報とすることができる。
【0053】
また、本実施例では、複数の金融機関200,300,400の監視対象人物取引情報DB212に基づいて、図6の紙幣類流通人物リストを作成しているので、紙幣類流通人物リストは、複数の金融機関200,300,400にわたって紙幣が移動した場合にも、紙幣の流通経路を探索する際の参考とすることができる。
その他の実施例:
【0054】
(1)上記実施例では、図6の紙幣流通人物リストに、氏名と、金融機関名と、取引日時と、取引区分とを含んでいるが、更に他の情報を含むものとしても良い。例えば、利用者が取引を行なったATM250〜450の設置場所やATM識別番号、利用者の住所、居所、年齢、性別などである。このような情報を含むものとすれば、更に、紙幣類の流通経路の探索に使用する情報として有用である。
【0055】
(2)上記実施例では、取引の種類が出金と入金のみの場合について説明したが、振込なども取引の種類に含めるものとしても良い。その場合、振込者の氏名と振込先の人物の氏名とを関連付けて記憶しておき、関係者探索対象人物に金銭を振り込んだ者と、関係者探索対象人物から金銭を振り込まれた者を、関係者リストに加えるものとしても良い。
【0056】
(3)上記実施例では、監視対象人物フラグが1である監視対象人物の取引について、紙幣識別番号を含む取引情報を監視対象人物取引情報DB212に記憶させるものとしたが、これに限らず、すべての人物の取引時に、紙幣の紙幣識別番号を読み取り、紙幣識別番号を含む取引情報を記憶するものとしても良い。この場合、紙幣流通人物リスト作成センタ100の管理者は、管理サーバ110において、監視対象人物を指定し、ホストコンピュータ210,310,410は、管理サーバ110から指定された監視対象人物についての取引情報を管理サーバ110に送信するものとしても良い。このようにすれば、管理者は、その人物を監視対象人物としてマークする前からの取引情報を得て、紙幣流通人物リストなどを作成することができる。また、この場合、管理者は、被疑者となるなど、多分に疑わしい人物のみ監視対象人物として指定することができるので、そのような人物に関する取引情報以外は、捜査機関に送信されないようにすることも可能である。
【0057】
(4)上記実施例では、管理サーバ110で関係者リストを作成するものとしたが、作成しないものとしても良い。関係者リストを作成しない場合は、監視対象人物取引情報DB212の取引情報に取引区分や取引日時を含める必要もない。また、紙幣流通人物リスト群も作成しないものとしても良い。
【0058】
(5)上記実施例では、センサ255は、紙幣に記載されている紙幣識別番号を読み取るものとしたが、紙幣に超小型ICタグが付けられている場合、超小型ICタグに記録された紙幣識別番号を読み取るものとしても良い。
【0059】
(6)本実施例では、金融機関200,300,400は複数存在するが、金融機関200,300,400は1つであっても良い。その場合、管理サーバ110の機能をホストコンピュータ210が有するものとしても良い。
【0060】
(7)上記実施例では、紙幣流通人物リストと紙幣流通人物リスト群と関係者リストを監視対象人物DB111とは別個に作成しているが、これに限らず、監視対象人物DB111のレコードを並べ替えたり、任意のレコードや任意の項目の表示を省略したりすることにより、紙幣流通人物リストや紙幣流通人物リスト群や関係者リストに相当する情報を提供するものとしても良い。
【0061】
(8)本実施例では、ATM250〜450において紙幣識別番号を読み取るなどの処理を行なうものとしたが、これに限らず、現金自動支払い機(cash dispenser)など、その他の紙幣を取り扱う装置において、紙幣識別番号を読み取るなどの処理を行なうものとしても良い。
【0062】
(9)本実施例では、紙幣流通人物リストを作成する処理について説明したが、紙幣に限らず、有価証券などについても本システムを適用し、有価証券流通人物リストなどを作成するものとしても良い。
【0063】
以上、実施例に基づき本発明に係る紙幣流通人物リスト作成システム1000を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例としての紙幣流通人物リスト作成システム1000を示す説明図。
【図2】ATM250aの構成を示す説明図。
【図3】顧客情報DB211を示す説明図。
【図4】監視対象人物取引情報DB212を示す説明図。
【図5】監視対象人物DB111を示す説明図。
【図6】紙幣流通人物リストを示す説明図。
【図7】紙幣流通人物リスト群と関係者リストを示す説明図。
【図8】ATM250〜450の処理を示すフローチャート。
【図9】管理サーバ110の処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0065】
100...紙幣流通人物リスト作成センタ
110...管理サーバ
111...監視対象人物DB
112...紙幣流通人物リスト作成部
113...紙幣流通人物リスト群作成部
114...関係者リスト作成部
200,300,400...金融機関
210,310,410...ホストコンピュータ
211...顧客情報DB
212...監視対象人物取引情報DB
250a,250b,350,450...ATM
251...カード取扱装置
252...操作部
253...入出金口
254...鑑別部
255...センサ
256...制御部
258...通信部
259a,259b...紙幣搬送路
260...一時スタッカ
261...1万円札庫
262...5千円札庫
263...2千円札庫
264...千円札庫
265...リジェクト庫
500...ネットワーク
1000...紙幣流通人物リスト作成システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣及び有価証券を含む紙幣類に関して、紙幣類の流通経路を探索する際に参考とするための紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成システムであって、
金融機関に紙幣類が入金される際、または、金融機関から紙幣類が出金される際に、該紙幣類の紙幣類識別番号を読み取る紙幣類識別番号読取装置と、
紙幣類の入金者または出金者に関する入出金者情報を取得し、該紙幣類の前記紙幣類識別番号と関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部から、流通経路探索対象である紙幣類の紙幣類識別番号に関連付けられた入出金者情報を抽出し、該紙幣類に関連した入出金者情報のリストである前記紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成部と、
を備えた紙幣類流通人物リスト作成システム。
【請求項2】
請求項1記載の紙幣類流通人物リスト作成システムであって、
前記紙幣類流通人物リスト作成部は、複数の紙幣類の紙幣類識別番号に関して、各々前記紙幣類流通人物リストを作成し、
前記紙幣類流通人物リスト作成システムは、更に、複数の前記紙幣類流通人物リストにおいて、任意の入出金者情報を含む紙幣類流通人物リストを抽出し、任意の入出金者が関係した紙幣類の流通経路を示す紙幣類流通人物リストの集合として紙幣類流通人物リスト群を作成する紙幣類流通人物リスト群作成部を備えた、
紙幣類流通人物リスト作成システム。
【請求項3】
請求項1記載の紙幣類流通人物リスト作成システムであって、
前記記憶部は、更に、紙幣類が入金された紙幣類であるか出金された紙幣類であるかを示す取引区分と、入金日時または出金日時とを、前記紙幣類識別番号と関連付けて記憶しており、
前記紙幣類流通人物リスト作成部は、流通経路探索対象である紙幣類の紙幣類識別番号に関連付けられた入出金者情報と、前記取引区分と、前記入金日時または出金日時を抽出して、前記紙幣類流通人物リストを作成し、
前記紙幣類流通人物リスト作成システムは、更に、
前記入出金者情報と、前記取引区分と、前記入金日時または出金日時とに基づいて、前記紙幣類流通人物リストから、任意の入出金者が前記紙幣類を入金する直前に該紙幣類を出金した人物の入出金者情報と、任意の入出金者が前記紙幣類を出金した直後に該紙幣類を入金した人物の入出金者情報との少なくともいずれかを抽出し、前記任意の入出金者と関係があると推測される関係者リストを作成する関係者リスト作成部を備えた、
紙幣類流通人物リスト作成システム。
【請求項4】
請求項1記載の紙幣類流通人物リスト作成システムであって、更に、
紙幣類の入出金を監視する対象である監視対象人物の監視対象人物リストを記憶する監視対象人物リスト記憶部を備え、
前記紙幣類識別番号読取装置は、前記監視対象人物リストに含まれる監視対象人物が金融機関に紙幣類を入金する際、または、前記監視対象人物が金融機関から紙幣類を出金する際に、該紙幣類の紙幣類識別番号を読み取り、
前記記憶部は、該紙幣類の前記紙幣類識別番号と、入金または出金を行なった前記監視対象人物の入出金者情報とを関連付けて記憶する、
紙幣類流通人物リスト作成システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の紙幣類流通人物リスト作成システムであって、
前記金融機関は、複数の金融機関を含むことを特徴とする、
紙幣類流通人物リスト作成システム。
【請求項6】
紙幣及び有価証券を含む紙幣類に関して、紙幣類の流通経路を探索する際に参考とするための紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成方法であって、
金融機関に紙幣類が入金される際、または、金融機関から紙幣類が出金される際に、該紙幣類の紙幣類識別番号を読み取る紙幣類識別番号読取工程と、
紙幣類の入金者または出金者に関する入出金者情報を取得し、該紙幣類の前記紙幣類識別番号と関連付けて記憶する記憶工程と、
前記記憶工程において、流通経路探索対象である紙幣類の紙幣類識別番号に関連付けられた入出金者情報を抽出し、該紙幣類に関連した入出金者情報のリストである前記紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成工程と、
を備えた紙幣類流通人物リスト作成方法。
【請求項1】
紙幣及び有価証券を含む紙幣類に関して、紙幣類の流通経路を探索する際に参考とするための紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成システムであって、
金融機関に紙幣類が入金される際、または、金融機関から紙幣類が出金される際に、該紙幣類の紙幣類識別番号を読み取る紙幣類識別番号読取装置と、
紙幣類の入金者または出金者に関する入出金者情報を取得し、該紙幣類の前記紙幣類識別番号と関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部から、流通経路探索対象である紙幣類の紙幣類識別番号に関連付けられた入出金者情報を抽出し、該紙幣類に関連した入出金者情報のリストである前記紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成部と、
を備えた紙幣類流通人物リスト作成システム。
【請求項2】
請求項1記載の紙幣類流通人物リスト作成システムであって、
前記紙幣類流通人物リスト作成部は、複数の紙幣類の紙幣類識別番号に関して、各々前記紙幣類流通人物リストを作成し、
前記紙幣類流通人物リスト作成システムは、更に、複数の前記紙幣類流通人物リストにおいて、任意の入出金者情報を含む紙幣類流通人物リストを抽出し、任意の入出金者が関係した紙幣類の流通経路を示す紙幣類流通人物リストの集合として紙幣類流通人物リスト群を作成する紙幣類流通人物リスト群作成部を備えた、
紙幣類流通人物リスト作成システム。
【請求項3】
請求項1記載の紙幣類流通人物リスト作成システムであって、
前記記憶部は、更に、紙幣類が入金された紙幣類であるか出金された紙幣類であるかを示す取引区分と、入金日時または出金日時とを、前記紙幣類識別番号と関連付けて記憶しており、
前記紙幣類流通人物リスト作成部は、流通経路探索対象である紙幣類の紙幣類識別番号に関連付けられた入出金者情報と、前記取引区分と、前記入金日時または出金日時を抽出して、前記紙幣類流通人物リストを作成し、
前記紙幣類流通人物リスト作成システムは、更に、
前記入出金者情報と、前記取引区分と、前記入金日時または出金日時とに基づいて、前記紙幣類流通人物リストから、任意の入出金者が前記紙幣類を入金する直前に該紙幣類を出金した人物の入出金者情報と、任意の入出金者が前記紙幣類を出金した直後に該紙幣類を入金した人物の入出金者情報との少なくともいずれかを抽出し、前記任意の入出金者と関係があると推測される関係者リストを作成する関係者リスト作成部を備えた、
紙幣類流通人物リスト作成システム。
【請求項4】
請求項1記載の紙幣類流通人物リスト作成システムであって、更に、
紙幣類の入出金を監視する対象である監視対象人物の監視対象人物リストを記憶する監視対象人物リスト記憶部を備え、
前記紙幣類識別番号読取装置は、前記監視対象人物リストに含まれる監視対象人物が金融機関に紙幣類を入金する際、または、前記監視対象人物が金融機関から紙幣類を出金する際に、該紙幣類の紙幣類識別番号を読み取り、
前記記憶部は、該紙幣類の前記紙幣類識別番号と、入金または出金を行なった前記監視対象人物の入出金者情報とを関連付けて記憶する、
紙幣類流通人物リスト作成システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の紙幣類流通人物リスト作成システムであって、
前記金融機関は、複数の金融機関を含むことを特徴とする、
紙幣類流通人物リスト作成システム。
【請求項6】
紙幣及び有価証券を含む紙幣類に関して、紙幣類の流通経路を探索する際に参考とするための紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成方法であって、
金融機関に紙幣類が入金される際、または、金融機関から紙幣類が出金される際に、該紙幣類の紙幣類識別番号を読み取る紙幣類識別番号読取工程と、
紙幣類の入金者または出金者に関する入出金者情報を取得し、該紙幣類の前記紙幣類識別番号と関連付けて記憶する記憶工程と、
前記記憶工程において、流通経路探索対象である紙幣類の紙幣類識別番号に関連付けられた入出金者情報を抽出し、該紙幣類に関連した入出金者情報のリストである前記紙幣類流通人物リストを作成する紙幣類流通人物リスト作成工程と、
を備えた紙幣類流通人物リスト作成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−215821(P2006−215821A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28084(P2005−28084)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
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