説明

紙束穿孔装置

【課題】
紙束のどのような部分でも多数の孔を施して紙束を綴じることや、紙に絵柄を残すことを可能にする紙束穿孔装置を提供すること。
【解決手段】
本発明に係る紙束穿孔装置は、台座からこれに装着させた多数の突起が下向きに露出される突起構造と、前記台座を収容できる凹部を有し、該凹部の前記多数の突起が突合する箇所には各突起が挿通するのに十分な孔が穿設される挟持上部において、該挟持上部の表面には少なくとも複数の磁石が収容される挟持上部と、前記挟持上部と対応し、前記複数の磁石が収容される箇所に対応する位置に対応する磁石が埋め込まれる挟持下部と、前記挟持上部に弾力性部材を介して接触され前記突起構造を上部から覆う押圧部において、前記突起構造を押圧すると該押圧と反対方向に前記弾力性部材から付勢される押圧部とを具備し、前記複数の磁石及び前記対応する磁石は上下をNSもしくはSN極とし、平面的配置は前記挟持上部及び前記挟持下部の嵌め合わせが一意的に特定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば紙束穿孔装置に係り、特に紙束に多数の孔を施す紙束穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、紙束を綴じ合わせる方法としては針を用いたステープラ等、紙束に穴をあける方法としてはパンチ等の装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−52956
【特許文献2】特開平10−76479
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまでのステープラやパンチ等では、紙束を軽く綴じることや独自の絵柄を細かな刺し孔で描くことは不可能であった。紙束を針を使用せずに綴じる方法については、特許文献1に示されるような、針やクリップを用いずに紙を綴じる方法が存在するが、やはり紙束を軽く綴じることや独自の絵柄を細かな刺し孔で描くことはできない。
【0005】
また、これまでのステープラやパンチ等ではヒンジが存在するので、紙の中央部を綴じることや穴をあけることはできない。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するもので、紙束のどのような部分でも多数の孔を施して紙束を綴じることや、紙に絵柄を残すことを可能にする紙束穿孔装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明に係る紙束穿孔装置は、台座からこれに装着させた多数の突起が下向きに露出される突起構造と、前記台座を収容できる凹部を有し、該凹部の前記多数の突起が突合する箇所には各突起が挿通するのに十分な孔が穿設される挟持上部において、該挟持上部の表面には少なくとも複数の磁石が収容される挟持上部と、前記挟持上部と対応し、前記複数の磁石が収容される箇所に対応する位置に対応する磁石が埋め込まれる挟持下部と、前記挟持上部に弾力性部材を介して接触され前記突起構造を上部から覆う押圧部において、前記突起構造を押圧すると該押圧と反対方向に前記弾力性部材から付勢される押圧部とを具備し、前記複数の磁石及び前記対応する磁石は上下をNSもしくはSN極とし、平面的配置は前記挟持上部及び前記挟持下部の嵌め合わせが一意的に特定されることを特徴とする。
【0008】
突起は、紙(束)に穿孔するのに十分な強度、剛性を備えたもので構成され、たとえば釘、針、千枚通し、突起等によって実現される。
【0009】
突起構造は、たとえば複数の突起が下向きに尖りが向くように尻部が台座に埋め込まれるもの等によって実現される。
【0010】
突起が挿通するのに十分な孔とは、押圧部が押圧されていない状態では突起が突出せず、同押圧によってこの孔を突起が通過するような構造によって実現される。
【0011】
挟持下部において前記挟持上部と対応し、前記複数の磁石が収容される箇所に対応する位置に対応する磁石が埋め込まれるとは、挟持上部と挟持下部とで穿孔の対象たる紙束を挟持する構造において、挟持上部と挟持下部との各突合面付近のたとえば四隅に磁石をN極もしくはS極を上にして埋め込んだ構成をいう。なお、磁石は上下方向に異極が配置される構成が好ましい。
【0012】
弾力性部材は、押圧部に穿孔の圧力をもたらすのに十分な重力の押圧に反発を与えるのに十分な弾性を有する機構であって、たとえばばね、ゴム等によって実現される。
【0013】
突起構造を押圧すると該押圧と反対方向に前記弾力性部材から付勢されるとは、たとえば下方向に押圧すると、上方向に反発力を弾力性部材から受けることをいう。
【0014】
複数の磁石及び前記対応する磁石は上下をNSもしくはSN極とし、平面的配置は前記挟持上部及び前記挟持下部の嵌め合わせが一意的に特定されるとは、たとえば挟持上部に平面的に四隅に磁石を配した場合に、右上部のみN極が上にき、他の3か所における磁石はS極が上になるような配置とし、挟持下部ではこれらと磁力で吸着される組み合わせとすることで、たとえば形状的に正方形のような四隅について方向性が特定できない場合であっても、一定の方向性の組み合わせしか磁着しないようにすることが可能とすることをいう。
【0015】
本発明は、たとえば絵柄等を象った台座に装着された多数の針を用いることで、紙束に多数の孔を施し、紙束を綴じることや、紙に絵柄を残すことを可能にする。
【発明の効果】
【0016】
本願によれば、紙の端部、中央部等どのような部分にも本発明における装置を磁石の力で正確にセットすることができ、絵柄を象った多数の刺し孔により、絵柄模様に孔をあけ独自の印をつけることができ、軽く紙束を綴じることが可能になる。更に、綴じてある紙束を1枚ずつ捲る際に感じる独特の触感が生まれた。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る紙束穿孔綴込み装置における構造を断面視した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る紙束穿孔綴込み装置における構造を斜め上方面から俯瞰した図である。
【図3】本発明の一実施形態に紙束穿孔綴込み装置における構造の平面図(図3中央部)、断面図(図3上部、左部)、立面図(図3下部)及び俯瞰図(図3右部)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る紙束穿孔綴込み装置における構造を断面視した図である。主となる部分は、上部及び下部の台座からなり、その間に紙束を挟むことによりセットする。台座上部と下部がそれぞれ分かれているので、紙のどのような部分でもセットすることできる。
【0020】
上部台座と下部台座の各角4点の上部、下部に対応する磁石をセットしているので、上部台座と下部台座の正しい位置でのみセットできる。
【0021】
絵柄模様に並べられた針部分である中央部を加圧すると、下部台座には、同絵柄の孔があいている為、紙束を貫通し絵柄模様を象った刺し孔をあけることができる。
【0022】
おぼろげで幻想的な点の表情豊かな絵柄の刺し孔を表現することができる。
【0023】
すると、刺し孔の突起で軽く綴じられた紙束ができる。これを1枚ずつ剥がすと、パリパリとめくる楽しい触感を感じることができる。また、刺し孔は消すことができないので紙の1枚1枚に、消えない印として施すこともできる。
【0024】
更には、一旦綴じた紙束を剥がすと、再度同じ刺し孔で綴じる事はできない為、紙を剥がしたことを認識することが可能である。刺し孔の裏面の突起部分の触感も独特のものがある。
【0025】
刺し孔で象った図柄に沿って切り取ることができる。様々な絵柄を施した本発明品を組み合わせることで、独自の絵柄を作り上げることも可能である。
【0026】
さらにまた、本発明を用いて生産される装置、方法、システムが、その2次的生産品に搭載されて商品化された場合であっても、本発明の価値は何ら減ずるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
紙の端部、中央部等どのような部分にも本発明における装置を磁石の力で正確にセットすると、絵柄を象った多数の刺し孔により、絵柄模様に孔をあけ独自の印をつけることができ、軽く紙束を綴じることが可能になり、更に、綴じてある紙束を1枚ずつ捲る際に感じる独特の触感を生むことから、文房具産業、外食産業、出版業、製紙工業をはじめ、旅行業、観光業、製薬業等各産業分野で利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座からこれに装着させた多数の突起が下向きに露出される突起構造と、
前記台座を収容できる凹部を有し、該凹部の前記多数の突起が突合する箇所には各突起が挿通するのに十分な孔が穿設される挟持上部において、該挟持上部の表面には少なくとも複数の磁石が収容される挟持上部と、
前記挟持上部と対応し、前記複数の磁石が収容される箇所に対応する位置に対応する磁石が埋め込まれる挟持下部と、
前記挟持上部に弾力性部材を介して接触され前記突起構造を上部から覆う押圧部において、前記突起構造を押圧すると該押圧と反対方向に前記弾力性部材から付勢される押圧部と
を具備し、前記複数の磁石及び前記対応する磁石は上下をNSもしくはSN極とし、平面的配置は前記挟持上部及び前記挟持下部の嵌め合わせが一意的に特定されることを特徴とする紙束穿孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−194615(P2010−194615A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38689(P2009−38689)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(509051037)
【Fターム(参考)】