説明

紙葉類搬送装置

【課題】用紙の集積動作の安定化を向上する紙葉類搬送装置を提供する。
【解決手段】実施形態の紙葉類搬送装置は、用紙を搬送しスタッカ部に載置する。この紙葉類搬送装置は、前記用紙をスタッカ部に搬送するローラと、前記スタッカ部の上方に配置され、前記ローラによって搬送された用紙を吸着し、この用紙を搬送する吸着搬送部と、回転軸と、この回転軸の外周に渦巻き状に延出し、かつ用紙の先端を間に挟持して前記スタッカ部に載置可能に搬送する複数の把持爪部と、を有する羽根車と、前記吸着搬送部で吸着、搬送された用紙の先端を前記把持爪部間に挟持可能に誘導する用紙誘導部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、用紙(書類や帳票等)をスタッカ部に搬送する紙葉類搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、搬送装置では、多種多様な用紙を、搬送しスタッカ部に振り分けて載置する。この振り分けられた用紙を、回転する渦巻き状羽根車の把持爪部でそれぞれ把持して、スタッカ部に反転載置する装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−105802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
用紙先端が羽根車に入らなければならないタイミングでも、ファンの吸着力によって用紙が搬送ベルトに貼り付いたままの場合がある。この場合には、用紙搬送中に集積ジャムが発生したり、または用紙がスタッカ部以外の場所に飛び出し、用紙の順番が変わってしまう可能性がある。
本発明が解決しようとする課題は、用紙の集積動作の安定化を向上することのできる紙葉類搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の紙葉類搬送装置は、用紙を搬送しスタッカ部に載置する。この紙葉類搬送装置は、前記用紙をスタッカ部に搬送するローラと、前記スタッカ部の上方に配置され、前記ローラによって搬送された用紙を吸着し、この用紙を搬送する吸着搬送部と、回転軸と、この回転軸の外周に渦巻き状に延出し、かつ用紙の先端を間に挟持して前記スタッカ部に載置可能に搬送する複数の把持爪部と、を有する羽根車と、前記吸着搬送部で吸着、搬送された用紙の先端を前記把持爪部間に挟持可能に誘導する用紙誘導部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一実施形態の紙葉類搬送装置を含む光学的文字読取装置の構成を示す図。
【図2】紙葉類搬送装置の一部を拡大した拡大側面図。
【図3】紙葉類搬送装置の駆動系の構成を表すブロック図。
【図4】羽根車と搬送部の配置関係を表す図。
【図5】図4のB方向から羽根車側を見た内部構成図。
【図6】帳票の検出とフラップ板の動作タイミングを表す図。
【図7】帳票の誘導動作を説明するためのフローチャートを示す図。
【図8】用紙誘導部による帳票の誘導動作を表す図。
【図9】紙葉類搬送装置の第2の実施形態における羽根車と搬送部の配置関係を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、一実施形態の紙葉類搬送装置を含む光学的文字読取装置の構成を示す図である。
【0008】
図1に示すように、この光学的文字読取装置は、読取装置1と、帳票を振り分ける紙葉類搬送装置10とを備える。読取装置1は、帳票を読み取る装置本体2と、この装置本体2の一端上部側に設けられ、各種サイズの帳票が載置されるホッパテーブル3を有する。ホッパテーブル3に帳票(図示せず)はその上端側が装置本体2から遠い後方に傾くように傾斜した状態で載置される。
【0009】
ホッパテーブル3の送出側には、帳票を装置本体2内に送り込むためのフィーダ部4が配設されている。このフィーダ部4には、帳票を取り込むための各種ローラや帳票を検知するための検知センサ等が設けられている。
【0010】
装置本体2は、内部に設けられた水平搬送路5と、上面部に設けられた読取部6と、帳票Aを搬送するための搬送ローラ7と、制御ホスト100等を有する。水平搬送路5は、帳票を装置本体2の水平方向に搬送するためのガイドである。読取部6は、水平搬送路5によって搬送される帳票に記録されている情報(画像)を光学的に読み取るためのものである。搬送ローラ7は、帳票を紙葉類搬送装置10に搬送するためのものである。制御ホスト100は、文字認識プログラムを実装し、起動させる。
【0011】
図2は、紙葉類搬送装置の一部を拡大した拡大側面図である。図3は、紙葉類搬送装置の駆動系の構成を表すブロック図である。
図1および図2に示すように、紙葉類搬送装置10は、水平搬送路11、垂直搬送路13、搬送ローラ14、分岐ゲート15、搬送検出部16、排出ローラ17、羽根車18、抜き取り板19、ステージ20、ストッパ21、スタッカ部23、吸着搬送部24、吸着検出部45、フラップ板46、図示しない各部の駆動部等を備え、読取装置1から取り込まれた帳票をスタッカ部23に搬送する。図1に示す紙葉類搬送装置10は、スタッカ部23を縦方向に複数段有している。なお、この紙葉類搬送装置10は、互いの水平搬送路11が接続され、スタッカ部23を増設することも可能である。
【0012】
図1に示すように、水平搬送路11は、ホッパテーブル3から取り込まれた帳票Aを、紙葉類搬送装置10の水平方向に搬送するためのガイドである。搬送ベルト12は、水平搬送路11に設けられている。搬送ベルト12は、一方向に駆動し、供給された帳票Aを垂直搬送路13または次の紙葉類搬送装置に搬送する。図3に示すように、搬送ベルト12は、ドライバ30によって回転制御されるモータ31の回転動作に伴って、駆動する。ドライバ30は、制御部25によって動作制御される。
【0013】
図1および図2に示すように、垂直搬送路13は、帳票Aを排出目標のスタッカ部23に搬送するためのガイドである。
搬送ローラ14は、垂直搬送路13上に複数配置されている。搬送ローラ14は、一方向(図2では時計方向)に回転し、帳票Aを上方へと搬送する。そして、帳票Aを順次指定されたスタッカ部23に搬送する。どのスタッカ部23に排出するかは、例えば読取部6で読み取られた画像における文字の認識結果に基づいて決定される。なお、搬送ローラ14同士の用紙搬送速度と排出ローラ17の用紙搬送速度とは、ほぼ等しく設定する。図3に示すように、搬送ローラ14は、ドライバ32によって回転制御されるモータ33の回転動作に伴って、回転する。ドライバ32は、制御部25によって動作制御される。
【0014】
図1および図2に示すように、分岐ゲート15は、水平搬送路11と垂直搬送路13との分岐位置、垂直搬送路13と各スタッカ部23との分岐位置に設けられている。分岐ゲート15は駆動機構としてロータリーソレノイドを持つ(図示せず)。分岐ゲート15は、図3に示すようにソレノイドに流す電流をドライバ38で制御することにより、軸を中心にその先端部が2点の位置間で可動する構造になっている。分岐ゲート15は、先端部が移動した位置に応じて搬送されてくる帳票Aの搬送方向を切り替えるためのゲート機能を持つ。ドライバ38は、制御部25の制御により動作する。
【0015】
図2に示すように、搬送検出部16は、搬送路13上および分岐ゲート15と排出ローラ17との間に例えば光センサがそれぞれ配置され、帳票Aを検出する。光センサは、発光部から受光部に出力される光が搬送された帳票Aによって遮断されると、帳票Aが搬送路を通過したこと、帳票Aの先端がスタッカ部23への排出位置に到ったことを検出する。制御部25は、搬送検出部16の光を遮る時間tと、予め設定されている帳票の搬送速度vとに基づいて、帳票の送り長さ(搬送方向の長さ)L=v・tを算出することも可能である。
【0016】
図2に示すように、排出ローラ17は、搬送検出部16と羽根車18との間に設けられ、後述する羽根車18と吸着搬送ベルト24bの下側ベルト間に帳票Aを供給する。この排出ローラ17は、一方向(図2では時計方向)に回転し、供給された帳票Aを指定されたスタッカ部23に搬送する。排出ローラ17の用紙搬送速度は、羽根車18の用紙搬送速度より早く設定する。そのため、帳票Aの先端が羽根車18の把持爪部18bの根元まで挿入されて挟持されることが可能となる。図3に示すように、排出ローラ17は、ドライバ34によって回転制御されるモータ35の回転動作に伴って、回転する。ドライバ34は、制御部25によって動作制御される。
【0017】
図2に示すように、羽根車18は、吸着搬送ベルト24bの下側ベルトとスタッカ部23間に配置される。この羽根車18は、回転軸18aと、この回転軸18aを中心に回転軸18a外周に所定間隔で配置される複数の把持爪部18bと、を有する。把持爪部18bは、帳票Aの搬送方向と逆方向に渦巻き状に延出している。
【0018】
図4は、羽根車と搬送部の配置関係を表す図である。図5は、図4のB方向から羽根車側を見た内部構成図である。羽根車18は、紙葉類搬送装置10が搬送可能な帳票Aの幅(例えば最大の帳票幅)に応じて、各スタッカ部23に対して帳票幅方向に複数配置されている(図5参照)。この羽根車18の幅は、紙葉類搬送装置10が搬送可能な帳票Aの幅(例えば最小の帳票幅)より狭く形成されている。
【0019】
この回転軸18aは、帳票Aを巻き取る方向(図4では反時計方向)に回転する。複数の把持爪部18bは、回転軸18aを中心に所定間隔でインボリュート曲線状に延出し、かつ用紙の一端をこれらの間に形成される隙間18cに把持して搬送する。この隙間18cは、帳票Aを把持可能な幅に形成されている。図3に示すように、この羽根車18は、ドライバ36によって回転制御されるモータ37の回転動作に伴って、回転する。ドライバ36は、制御部25によって動作制御される。
【0020】
抜き取り板19は、回転軸18aから外周方向に延出し、図5に示すように羽根車18の間を補間して配置されている。抜き取り板19には、回転する羽根車18の把持爪部18bの間(隙間18c)に挟持された帳票Aの先端が当接する。この帳票Aが抜き取り板19に当接した後も、羽根車18は、回転するので、帳票Aは羽根車18から抜き取られる。帳票Aは、先端が抜き取り板19に当接した状態でこの抜き取り板19の上方から下方に移動する(図4参照)。
【0021】
ステージ20は、羽根車18の外周に対向し、図示しない凹形状の溝部を形成し、羽根車18とスタッカ部23との間に配置されている。羽根車1つに対し、ステージ1つが対向する。ステージ20は、羽根車18から抜き取られた帳票Aの先端部を羽根車18との間に保持する。すなわち、ステージ20は、回転可能な羽根車18(把持爪部18bの先端部)と溝部で符合し凹形状により帳票Aを湾曲させて羽根車18との間で保持する。なお、ステージ20の長さは、例えばこの紙葉類搬送装置10で搬送可能な帳票のうち、帳票の送り長さの最小値に構成する。
【0022】
羽根車18およびステージ20は一対で構成され、これらは紙葉類搬送装置10が搬送する帳票の用紙サイズに対応して複数対配置する。ステージ20の各々は独立して、保持された帳票の重さ・厚さに応じて昇降する(図2参照)。ステージ20は、例えば伸縮するばね機構を有する(図示せず)。保持する帳票の枚数が多くなると、その重さ・厚さに応じて徐々にそれぞれのばねが縮んで下降する。すなわち、異なる用紙サイズの帳票を複数枚保持した場合、羽根車18およびステージ20のそれぞれの対に保持される帳票の重さが異なるので、その重さ・厚さに応じてそれぞれのばねの伸縮量は異なる。
【0023】
また、ステージ20は、オペレータ等によって保持していた帳票が取り除かれると、ばねが伸長して上昇する。なお、このステージ20の昇降動作は、羽根車18の外周面との間で、帳票Aの先端部を保持できるものであれば、ガス圧等の圧力を利用して行なってもよいし、モータ等を利用して機械的に行なってもよい。羽根車18とステージ20の対は対毎にステージ20が昇降するので、同一スタッカ部に異なる用紙サイズを積載する場合でも、帳票の先端部を揃えて保持することができる。
【0024】
図2に示すように、ストッパ21は、抜き取り板19の一端の下、略垂直方向に設置され、ステージ20上に保持された帳票Aの先端がそれぞれ当接する。抜き取り板19に当接した帳票Aは羽根車18の回転に伴い、抜き取り板19の上方から下方に移動し、ストッパ21に当接する。そして、帳票Aの先端がストッパ21に当接した状態で、ステージ20上に積み重なって、帳票の先端が揃えられた状態で保持される。
【0025】
スタッカ部23は、ステージ20の下方に配置され、ステージ20よりも長い帳票Aの他端(後端)を保持する。スタッカ部23は、複数(図1では、縦方向に8段)設置される。
【0026】
図2に示すように、吸着搬送部24は、羽根車18の上方で、排出方向延長線上に設置され、帳票Aを吸引する吸引ファン24a、この吸引ファン24aによって吸引されている帳票Aを搬送する吸着搬送ベルト24bを有する。例えば図5では、5台の吸着搬送ベルト24bが羽根車18に対応して設置され、吸引ファン24aが1台の吸着搬送ベルト24bに対して、例えば直列に3個1組で配置されている。この吸引ファン24aは、吸着搬送ベルト24b内の排出方向延長線上に配列され、帳票Aを吸引方向(図2上方向)へ吸引する。この吸引ファン24aは、ドライバ38によって回転制御されるモータ39の回転動作に伴って、回転する。なお、この吸引ファン24aと吸着搬送ベルト24bは、この紙葉類搬送装置10が使用する帳票の最大用紙サイズ(幅)に対応させて複数配置することが好ましい。
【0027】
図2および図4に示すように、吸着搬送ベルト24bは、スタッカ部23の上方に配置された無端ベルトである。この吸着搬送ベルト24bの下側のベルトが帳票Aの搬送方向となるように駆動されている。吸着搬送ベルト24bの搬送面(ベルト)には、吸引ファン24aにより帳票を吸引する図示しない複数の穴部を有し、帳票Aに対する吸引方向(図4上方向)への吸引力を高めている。図3に示すように、吸着搬送ベルト24bは、ドライバ40によって回転制御されるモータ41の回転動作に伴って、駆動する。ドライバ30は、制御部25によって動作制御される。
【0028】
吸着搬送ベルト24bは、搬送方向(図2では時計方向)に回転し、ステージ20に対してストッパ21の反対方向、すなわち羽根車18から遠方の方向(図2の矢印参照)に帳票Aの後端を搬送する。吸着搬送ベルト24bによって搬送された帳票Aの後端部は、自重によって降下し、スタッカ部23に着地する。吸着搬送ベルト24bの用紙搬送速度と、羽根車18の用紙搬送速度とは、ほぼ等しく設定する。この結果、帳票Aは、先端部がストッパ21によって揃えられ、かつステージ20に保持され、後端部がスタッカ部23によって保持される。
【0029】
図4および図5に示すように、吸着検出部45は、吸着搬送ベルト24b間に例えば光センサが配置され、吸着搬送ベルト24bに吸着された帳票Aを検出する。この光センサは、吸着搬送ベルト24bの下側ベルトに吸着された帳票Aの先端部分から反射される光のみを検出しており、羽根車18の把持爪部18b間の隙間18cに挟持され、吸着搬送ベルト24bの下側ベルトに吸着されていない帳票Aを検出しない位置に配置されている。なお、この吸着検出部45は、帳票Aの幅方向に沿って複数配置することも可能である。この複数配置により、吸着搬送ベルト24bに吸着された帳票の検出精度を高めることができる。
【0030】
フラップ板46は、例えば硬くて帳票との摩擦係数が低いステンレス等の金属やプラスチック(ガラス繊維、カーボン含有の複合材料)等の材質からなり、吸着搬送ベルト24b間に複数配置されるとともに、吸着搬送ベルト24b内を貫通する駆動軸47にそれぞれ取り付けられる。すなわち、フラップ板46は、その後端が駆動軸47に取り付けられ、その先端が帳票の搬送方向(図4参照)に延出して駆動軸47の回転に伴って上下方向に移動するものである。
【0031】
図3に示すように、この駆動軸47は、ドライバ48によって回動制御されるモータ49の回転動作に伴って、回転する。ドライバ48は、制御部25によって動作制御される。この動作制御によって、フラップ板46の先端が図4の双方向の矢印に示すように、上方向(吸着搬送ベルト24bの方向)と下方向(羽根車18の方向)に移動する。フラップ板46は、図4の側面側から見た場合、先端の上方向での停止位置は、吸着搬送ベルト24bの下側ベルトより上方に位置する(図4の二点鎖線参照)。また、先端が下方向に移動しての停止位置は、吸着搬送ベルト24bの下側ベルトより下方に突出し、上方向での停止位置と一定の角度θ、例えば帳票を把持爪部18b間に誘導、かつ挿入し易い15度〜40度の角度となるように位置する(図4の実線参照)。
【0032】
制御部25は、搬送検出部16と吸着検出部45が帳票Aを検出すると、フラップ板46の先端が一定時間下方向に移動するように、駆動軸47を駆動制御する。これにより、フラップ板46は、帳票Aを吸着搬送ベルト24bから離反させて羽根車18の把持爪部18b間に誘導することが可能となる。
【0033】
図6は、帳票の検出とフラップ板の動作タイミングを表す図である。この実施形態では、例えば図6に示すように、帳票の搬送間隔の時間をt1、帳票が搬送検出部16で検出(オフからオン)されてから把持爪部18b間への誘導(停止)位置に到達するまでの時間をt2、フラップ板46の上方から下方の停止位置、下方から上方の停止位置への移動時間をt3とすると、フラップ板46の先端は、吸着検出部45での検出後(t2-t3)時間で移動が開始され、t2時間で上方から下方の停止位置に移動され、例えばそのt1時間後にその停止位置から上方に移動される。これにより、1枚目の帳票が羽根車18のある把持爪部18b間の隙間18cに誘導され、2枚目の帳票が次の把持爪部18b間の隙間18cに誘導されるので、連続する複数の帳票が同じ隙間18cに誘導されることがなくなり、帳票の集積動作の安定化を向上することができる。
【0034】
制御部25は、図1に示した制御ホスト100からの指示に基づいて、紙葉類搬送装置10内の各種ドライバの動作制御を行い、帳票Aの搬送制御を行なう。
制御ホスト100は、文字認識プログラムを実装し、起動させる。そして、読み取られた画像の認識処理結果に基づいて、帳票の排出先のスタッカ指定が、読み取り処理された帳票毎に行われるように、制御部25に指示を与える。この指示に基づいて、制御部25が各種ドライバの動作制御を行なう。
【0035】
以下、図3、図7、図8を参照してこの紙葉類搬送装置10による帳票Aの搬送動作を説明する。図7は、帳票の誘導動作を説明するためのフローチャートを示す図である。図8は、用紙誘導部による帳票の誘導動作を表す図である。
【0036】
まず、図3に示した制御部25は、水平搬送路11上の搬送ベルト12、垂直搬送路13上の搬送ローラ14および分岐ゲート15を駆動制御し(ステップS101)、制御ホスト100から入力する用紙搬送制御の実行指示に基づいて帳票Aの搬送を行なう。帳票Aは、指定された排出先のスタッカ部23に搬送される(図2参照)。
【0037】
次に、搬送路11,13上および指定されたスタッカ部23の近傍に配置された搬送検出部16が、搬送されてきた帳票Aを検出すると(図7のステップS102のYesの場合)、制御部25は指定されたスタッカ部23の羽根車18、吸引ファン24a、吸着搬送ベルト24bを駆動制御する(ステップS103)。
【0038】
なお、回転開始時、羽根車18の回転速度は、排出ローラ17の用紙搬送速度より遅く制御する。この結果、帳票Aは羽根車18の隙間18cに挿入されて把持爪部18b間に把持されやすくなる。
【0039】
次に、制御部25は、吸着搬送ベルト24b間に配置された吸着検出部45が帳票Aを検出したか否か判断する(ステップS104)。ここで、搬送された帳票Aが検出された場合には(ステップS104のYesの場合)、制御部25は吸着搬送ベルト24bに帳票A(図8の二点鎖線で表す帳票A参照)が吸着していると判断する。次に、制御部25はドライバ48を駆動制御して駆動軸47を回動させ、フラップ板46の先端を吸着搬送ベルト24bの下側ベルトより下方向(図8では反時計方向)の停止位置に移動制御する。そして、一定時間経過すると、制御部25は、フラップ板46の先端を上方向(図8では時計方向)の停止位置に移動制御する(ステップS105)。
【0040】
これにより、吸着搬送ベルト24bに吸着された帳票Aは、フラップ板46に当接して把持爪部18bの隙間18cに誘導され(図8の実線で表す帳票A参照)、その先端が把持爪部18b間に挟持される。なお、この一定時間とは、例えば所定用紙サイズの帳票がフラップ板46によって把持爪部18bの方向に誘導され、把持爪部18b間で挟持可能となる時間である。羽根車18は、この挟持された状態で、帳票Aをステージ20の配置位置に回転搬送する。
【0041】
また、吸着検出部45で搬送された帳票Aが検出されない場合には(ステップS104のNoの場合)、制御部25は吸着搬送ベルト24bに帳票Aが吸着していないと判断し、ステップS102に戻って搬送検出部16による次の帳票の検出を待つ。
【0042】
なお、この実施形態では、フラップ板46を下げる時間を一定時間としたが、これに限らず用紙サイズに応じてフラップ板46を下げる時間を可変に設定することも可能である。例えば、フラップ板46を下げる時間を、用紙サイズが把持爪部18bの長さより長いサイズの帳票に対しては帳票が把持爪部18b間に挟持されるまでの時間とし、用紙サイズが把持爪部18bの長さより短いサイズの帳票に対しては帳票の後端が吸着搬送ベルト24bから剥離される時間等とすることが可能である。この帳票の用紙サイズは、上述した搬送検出部16での光を遮る時間tと帳票の搬送速度vとに基づく帳票の送り長さL=v・tから算出することができる。
【0043】
以上説明した実施形態によれば、搬送される帳票が吸着搬送ベルト24bに吸着された場合、フラップ板46を下げて帳票を羽根車18の把持爪部18b間に誘導するので、帳票を把持爪部18b間に挟持することができる。この結果、羽根車18は、この挟持された状態で帳票Aをステージ20の配置位置に回転搬送できるので、用紙の集積動作の安定化を向上することができる。
【0044】
なお、この実施形態では、フラップ板46を吸着検出部45の検出結果に基づいて、駆動制御したが、これに限らず、フラップ板46を下方の停止位置に固定配置することも可能である。この場合には、搬送される帳票の送り方向の長さが羽根車18の隙間18cの長さ以下であること、または帳票の送り方向の長さに応じて、帳票の搬送間隔の時間t1を変更、すなわち帳票の送り長さに比例して帳票の搬送間隔の時間t1を長くする等の変更を行えば、帳票を読み取った順番にスタッカ部23に搬送することができる。この時間t1の変更は、制御部25の排出ローラ17等の駆動制御によって実現することができる。
【0045】
これにより、フラップ板46の移動制御が不要となるとともに、吸着検出部45、ドライバ48及びモータ49が不要となり、部品点数及び製作コストの削減が可能となる。
【0046】
(第2の実施の形態)
図9は、紙葉類搬送装置の第2の実施形態における羽根車と搬送部の配置関係を表す図である。
図9に示すように、この実施形態では、第1の実施形態の吸着検出部45に代えて、排出ローラ17の変位を検出する変位検出部50を設ける点が第1の実施形態と異なる。
【0047】
帳票は、用紙のサイズだけではなく、用紙の厚さによっても吸着搬送ベルト24bに吸着されたまま搬送される場合がある。例えば帳票では、用紙サイズが小さくなるにしたがって、用紙の厚さが薄くなる場合がある。
そこで、この実施形態では、排出ローラ17に変位検出部50を取り付け、搬送される帳票の厚さによって変化する排出ローラ17の変位量を検出し、一定以下の変位量の時にフラップ板46を駆動制御するものである。
【0048】
すなわち、搬送検出部16が、搬送されてきた帳票Aを検出し、かつ変位検出部50で検出されたこの帳票Aの厚さが一定の厚さ以下の場合、制御部25(図3参照)は吸着搬送ベルト24bに帳票Aが吸着しているものと判断する。次に、制御部25はドライバ48を駆動制御して駆動軸47を回動させ、フラップ板46の先端を吸着搬送ベルト24bの下側ベルトより下方向(図9では反時計方向)の停止位置に移動制御する。そして、一定時間経過すると、制御部25は、フラップ板46の先端を上方向(図9では時計方向)の停止位置に移動制御する。
【0049】
これにより、吸着搬送ベルト24bに吸着された帳票Aは、フラップ板46に当接して把持爪部18bの隙間18cに誘導され、その先端が把持爪部18b間に挟持されてステージ20の配置位置に回転搬送される。なお、フラップ板46の動作タイミングは、図6と同様である。
【0050】
以上説明した実施形態によれば、帳票の厚さが一定の厚さ以下の場合、吸着搬送ベルト24bに帳票が吸着しているものと判断し、フラップ板46を下げて帳票を羽根車18の把持爪部18b間に誘導するので、帳票を把持爪部18b間に挟持することができる。この結果、羽根車18は、この挟持された状態で帳票Aをステージ20の配置位置に回転搬送できるので、用紙の集積動作の安定化を向上することができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1…読取装置、2…装置本体、3…ホッパテーブル、4…フィーダ部、5,11…水平搬送路、6…読取部、7,14…搬送ローラ、10…紙葉類搬送装置、12…搬送ベルト、13…垂直搬送路、15…分岐ゲート、16…搬送検出部、17…排出ローラ、18…羽根車、18a…回転軸、18b…把持爪部、18c…隙間、19…抜き取り板、20…ステージ、21…ストッパ、23…スタッカ部、24…吸着搬送部、24a…吸引ファン、24b…吸着搬送ベルト、25…制御部、30,32,34、36,38,40,42,48…ドライバ、31,33,35,37,39,41,49…モータ、45…吸着検出部、46…フラップ板、47…駆動軸、50…変位検出部、100…制御ホスト、A…帳票。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送しスタッカ部に載置する紙葉類搬送装置であって、
前記用紙をスタッカ部に搬送するローラと、
前記スタッカ部の上方に配置され、前記ローラによって搬送された用紙を吸着し、この用紙を搬送する吸着搬送部と、
回転軸と、この回転軸の外周に渦巻き状に延出し、かつ用紙の先端を間に挟持して前記スタッカ部に載置可能に搬送する複数の把持爪部と、を有する羽根車と、
前記吸着搬送部で吸着、搬送された用紙の先端を、前記把持爪部間に挟持可能に誘導する用紙誘導部と、
を具備することを特徴とする紙葉類搬送装置。
【請求項2】
前記用紙誘導部は、回動可能な軸と、一端が前記軸に取り付けられ、他端が前記軸の回動に伴って上下方向に移動するフラップ板と、を有し、
前記紙葉類搬送装置は、
前記吸着搬送部に吸着された用紙の先端を検出する吸着検出部と、
前記吸着検出部によって前記用紙の先端が検出されると、前記フラップ板の他端を下方向に移動させて前記用紙の先端が前記把持爪部間に誘導されるように前記軸を回動制御する制御部と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の紙葉類搬送装置。
【請求項3】
前記用紙誘導部は、回動可能な軸と、一端が前記軸に取り付けられ、他端が前記軸の回動に伴って上下方向に移動するフラップ板と、を有し、
前記紙葉類搬送装置は、
前記吸着搬送部に吸着される用紙の厚さを検出する厚さ検出部と、
前記厚さ検出部で検出された用紙の厚さに基づいて、前記フラップ板の他端を下方向に移動させて前記用紙の先端が前記把持爪部間に誘導されるよう前記軸を回動制御する制御部と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の紙葉類搬送装置。
【請求項4】
前記スタッカ部に搬送される前記用紙の先端と後端を検出する搬送検出部を、
さらに具備し、前記制御部は、前記ローラを回転制御して前記搬送検出部で検出された用紙が異なる前記把持爪部間に順次誘導されるように一定間隔で搬送する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の紙葉類搬送装置。
【請求項5】
前記スタッカ部において前記吸着搬送部は、
前記ローラによって供給された用紙を搬送する複数の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトと一対にそれぞれ配置され、前記ローラによって供給された用紙を前記搬送ベルトに吸着させる複数の吸着ファンと、を有し、
前記用紙誘導部は、前記搬送ベルト間にそれぞれ配設され、前記搬送ベルトによって搬送される用紙の先端を前記把持爪部間に誘導する複数のフラップ板を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の紙葉類搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−131601(P2012−131601A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284480(P2010−284480)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】