紙葉類繰出装置
【課題】機構や制御を簡略化できる紙葉類繰出装置を提供する。
【解決手段】幅寄せ手段34は、積層された帳票12に対して回転中に当接と離反を繰り返す幅寄せ用摩擦部材42を有する。幅寄せ手段34により、幅寄せ用摩擦部材42が当接する帳票12をこの帳票12の繰出方向に対して交差する一側の基準辺側に幅寄せする。分離手段47は、積層された帳票12に対して回転中に当接と離反を繰り返す分離用摩擦部材54を有する。分離手段47により、分離用摩擦部材54が当接する帳票12を繰出方向へ1枚ずつ分離して繰り出す。幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接するタイミングと分離用摩擦部材54が帳票12に当接するタイミングとを異ならせ、帳票12の幅寄せと繰り出しとを順に連続して行う。
【解決手段】幅寄せ手段34は、積層された帳票12に対して回転中に当接と離反を繰り返す幅寄せ用摩擦部材42を有する。幅寄せ手段34により、幅寄せ用摩擦部材42が当接する帳票12をこの帳票12の繰出方向に対して交差する一側の基準辺側に幅寄せする。分離手段47は、積層された帳票12に対して回転中に当接と離反を繰り返す分離用摩擦部材54を有する。分離手段47により、分離用摩擦部材54が当接する帳票12を繰出方向へ1枚ずつ分離して繰り出す。幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接するタイミングと分離用摩擦部材54が帳票12に当接するタイミングとを異ならせ、帳票12の幅寄せと繰り出しとを順に連続して行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された紙葉類を1枚ずつ分離して繰り出す紙葉類繰出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帳票などの紙葉類を処理するために、集積された紙葉類を1枚ずつ分離して搬送路へ繰り出すようにした紙葉類繰出装置がある。
【0003】
この紙葉類繰出装置は、紙葉類をこの紙葉類の繰出方向に対して交差する一側の基準辺側に幅寄せする幅寄せローラと、紙葉類を搬送路へ繰り出す分離ローラとを備えている。そして、幅寄せローラの作動時には、分離ローラに設けたリンク機構をソレノイドで駆動して分離ローラを紙葉類面から退避させ、一方、分離ローラの作動時には、幅寄せローラに設けたリンク機構をソレノイドで駆動して幅寄せローラを紙葉類面から退避させている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−128276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の紙葉類繰出装置では、紙葉類の1枚毎に、分離ローラおよび幅寄せローラを紙葉類面から退避させる機構や制御が必要となるため、機構や制御が複雑化する問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、機構や制御を簡略化できる紙葉類繰出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の紙葉類繰出装置は、積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す幅寄せ用摩擦部材を有し、この幅寄せ用摩擦部材が当接する紙葉類をこの紙葉類の繰出方向に対して交差する一側の基準辺側に幅寄せする幅寄せ手段と、積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す分離用摩擦部材を有し、この分離用摩擦部材が当接する紙葉類を繰出方向へ1枚ずつ分離して繰り出す分離手段とを具備し、前記幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングと前記分離用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングとが異なるものである。
【0008】
請求項2記載の紙葉類繰出装置は、請求項1記載の紙葉類繰出装置において、前記分離用摩擦部材が紙葉類に当接しない間、前記幅寄せ用摩擦部材が複数回、紙葉類に当接するものである。
【0009】
請求項3記載の紙葉類繰出装置は、請求項1または2記載の紙葉類繰出装置において、積層した紙葉類の上面と前記幅寄せ手段との間隔を調整可能としたものである。
【0010】
請求項4記載の紙葉類繰出装置は、請求項3記載の紙葉類繰出装置において、前記幅寄せ手段は、上下動可能に支持されているものである。
【0011】
請求項5記載の紙葉類繰出装置は、請求項4記載の紙葉類繰出装置において、前記幅寄せ手段の高さ位置を調整可能としたものである。
【0012】
請求項6記載の紙葉類繰出装置は、請求項5記載の紙葉類繰出装置において、紙葉類の厚さを測定する厚さ測定手段と、この厚さ測定手段による測定結果に基づいて前記幅寄せ手段の高さ位置を調整する高さ調整手段とを具備しているものである。
【0013】
請求項7記載の紙葉類繰出装置は、請求項1ないし6いずれか一記載の紙葉類繰出装置において、積層された紙葉類に対して前記幅寄せ用摩擦部材が前記分離用摩擦部材よりも先に当接するものである。
【0014】
請求項8記載の紙葉類繰出装置は、請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置において、前記幅寄せ手段は、外径方向に突出する羽根として前記幅寄せ用摩擦部材を有する羽根車で構成されているものである。
【0015】
請求項9記載の紙葉類繰出装置は、請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置において、前記幅寄せ手段は、周面の一部に前記幅寄せ用摩擦部材を有するローラで構成されているものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の紙葉類繰出装置によれば、積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す幅寄せ用摩擦部材を有する幅寄せ手段と、積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す分離用摩擦部材を有する分離手段とを用い、幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングと分離用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングとを異ならせることにより、紙葉類の幅寄せと繰り出しとを順に連続して行うことができるため、従来のような分離手段を退避させるための機構や制御が必要なく、機構や制御を簡略化できる。
【0017】
請求項2記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項1記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、分離用摩擦部材が紙葉類に当接しない間、幅寄せ用摩擦部材が複数回、紙葉類に当接するため、紙葉類が基準辺側から大きくずれていたり1回の当接では十分な寄せができなかった場合でも、紙葉類を基準辺側に確実に幅寄せすることができる。
【0018】
請求項3記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項1または2記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、積層された紙葉類の上面と幅寄せ手段との間隔を調整可能としたため、幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接する力を適切に調整することができ、紙葉類の損傷を防止しながら紙葉類を確実に幅寄せできる。
【0019】
請求項4記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項3記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、幅寄せ手段を上下動可能に支持したため、幅寄せ手段と紙葉類との間に誤って何かが挟まれても幅寄せ手段が上方に逃げて挟まれたものを保護することができる。
【0020】
請求項5記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項4記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、幅寄せ手段の高さ位置を調整可能としたため、幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接する力を適切に調整することができ、紙葉類の損傷を防止しながら紙葉類を確実に幅寄せできる。
【0021】
請求項6記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項5記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、紙葉類の厚さを測定し、幅寄せ手段の高さ位置を自動的に調整するため、幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接する力を自動的に適切に調整することができ、紙葉類の損傷を防止しながら紙葉類を確実に幅寄せできる。
【0022】
請求項7記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項1ないし6いずれか一記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、積層された紙葉類に対して幅寄せ用摩擦部材が分離用摩擦部材よりも先に当接するため、確実に幅寄せした紙葉類を繰り出すことができる。
【0023】
請求項8記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、幅寄せ手段は、外径方向に突出する羽根として幅寄せ用摩擦部材を有する羽根車で構成できる。
【0024】
請求項9記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、幅寄せ手段は、周面の一部に幅寄せ用摩擦部材を有するローラで構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施の形態を示す紙葉類繰出装置を用いた紙葉類処理機の断面図である。
【図2】同上紙葉類繰出装置の紙葉類装填状態を示す斜視図である。
【図3】同上紙葉類繰出装置の紙葉類幅寄せ動作を示す斜視図である。
【図4】同上紙葉類繰出装置の紙葉類繰出動作を示す斜視図である。
【図5】同上紙葉類繰出装置の幅寄せ手段および分離手段が紙葉類に当接するタイミングを説明する説明図である。
【図6】第2の実施の形態を示す紙葉類繰出装置の幅寄せ手段および分離手段が紙葉類に当接するタイミングを説明する説明図である。
【図7】第3の実施の形態を示す紙葉類繰出装置の幅寄せ手段および分離手段が紙葉類に当接するタイミングを説明する説明図である。
【図8】第4の実施の形態を示す紙葉類繰出装置の幅寄せ手段および分離手段を構成するローラの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、紙葉類繰出装置の第1の実施の形態を、図1ないし図5を参照して説明する。
【0027】
まず、図1に紙葉類繰出装置を適用した紙葉類処理機として帳票仕分け機11を示す。この帳票仕分け機11が処理する紙葉類としては、例えば、公共料金の納付書や、国税および社会保険料の歳入金の納付書などの帳票12である。
【0028】
帳票仕分け機11は、機体14、複数枚集積して載置された帳票12を機体14内に1枚ずつ(1綴りずつ)分離して繰り出す紙葉類繰出装置(帳票繰出装置)15、この紙葉類繰出装置15で機体14内に繰り出される帳票12を搬送する搬送路16、この搬送路16によって搬送する帳票12のデータを読み取る読取部17、この読取部17による読取結果に応じて搬送路16から帳票12を受け入れて一時保留したり一時保留した帳票12を搬送路16に送り出す複数の一時保留部18、搬送路16によって搬送する帳票12を種類別に仕分ける複数の仕分け部19、およびこの帳票仕分け機11を制御する制御部20を備えている。
【0029】
一時保留部18は、一対のテープ18a、これら一対のテープ18aの一端側を重ねて一緒に巻き取る巻取りローラ18b、および各テープ18aの他端側をそれぞれ巻き取る一対の巻取りリール18cを備えている。そして、帳票12の収納時には、巻取りローラ18bで一対のテープ18aを巻き取るとともに各巻取りリール18cから各テープ18aを巻き戻し、搬送路16から1枚ずつ送り込まれる帳票12を一対のテープ18a間に挟み込んで一対のテープ18aとともに巻取りローラ18bに巻き取って収納し、また、帳票12の繰出時には、各巻取りリール18cで各テープ18aを巻き取るとともに巻取りローラ18bから一対のテープ18aを巻き戻し、一対のテープ18a間から帳票12を1枚ずつ搬送路16に送り出す。
【0030】
そして、帳票仕分け機11では、複数枚集積されて装填された帳票12を紙葉類繰出装置15によって1枚ずつ搬送路16に繰り出し、この搬送路16によって搬送する帳票12のデータを読取部17で読み取り、帳票12の種類を判別する。種類を判別した帳票12は、設定に応じて、仕分け部19に搬送したり、全ての帳票12を一時保留部18に一時保留したり、読取不良などの一部の帳票12のみを一時保留部18に一時保留する。帳票12を一時保留部18に一時保留した場合には、一時保留部18から帳票12を1枚ずつ繰り出して仕分け部19に搬送する。仕分け部19では、搬送路16によって搬送してくる帳票12を種類別に仕分ける。
【0031】
次に、図2ないし図4に紙葉類繰出装置15を示す。なお、図2ないし図4は、図1に示す紙葉類繰出装置15と搬送路16との位置関係が逆向きとなる反対側の方向から見た図である。
【0032】
紙葉類繰出装置15は、ベース部23を有し、このベース部23上に帳票12を装填する装填部24が設けられている。
【0033】
この装填部24には、帳票12を載置する載置台25、この載置台25上の帳票12を搬送路16へ繰り出す繰出方向Aの側に配置される規制壁26、およびこの規制壁26に直交する一側であって帳票12を幅寄せする幅寄せ方向Bの側に配置される基準壁27を有している。
【0034】
載置台25は、繰出方向Aに向けて下降傾斜し、その傾斜によって載置台25の上面に載置された帳票12の繰出方向Aの先端が規制壁26に当接するように案内する。載置台25は、ベース部23内に配置された図示しない昇降手段により昇降駆動される。
【0035】
規制壁26は、ベース部23から略垂直に設けられており、上側には搬送路16の入口部16aが開口形成されているとともにその搬送路16の入口部16aに向かって傾斜するガイド部28が形成されている。搬送路16の入口部16aの上側にはその搬送路16の入口部16aに向かって傾斜するガイド板29が配設されている。また、基準壁27は、ベース部23から略垂直に設けられている。そして、これら規制壁26と基準壁27との間の装填部24の空間に載置台25が昇降可能に配設されている。
【0036】
また、装填部24には、載置台25に載置された帳票12を基準壁27に幅寄せするための幅寄せ機構31、およびこの幅寄せ機構31で基準壁27に幅寄せされた帳票12を1枚ずつ分離して搬送路16に繰り出すための分離機構32が配設されている。
【0037】
幅寄せ機構31は、幅寄せ手段34、この幅寄せ手段34を回転可能に支持する揺動部材35、この揺動部材35を上下方向に揺動可能に支持する支持部材36、および幅寄せ手段34を回転駆動する幅寄せ用駆動手段(図示せず)を有している。幅寄せ手段34および揺動部材35は装填部24内となる基準壁27の内面側に配置され、支持部材36および幅寄せ用駆動手段は装填部24外となる基準壁27の外面側に配置されている。
【0038】
幅寄せ手段34は、揺動部材35に回転可能に軸支された回転軸38、およびこの回転軸38の両端に間隔をあけて取り付けられた一対の羽根車39を備えている。羽根車39は、回転軸38に取り付けられる取付部40、およびこの取付部40の周面から180°異なる外径方向へ突出する一対の羽根(ベルト)41を有している。羽根車39の構成のうち少なくとも一対の羽根41は、例えばゴムなどの摩擦係数が高い幅寄せ用摩擦部材42によって構成されている。そして、幅寄せ手段34は、回転軸38が基準壁27と平行でかつ載置台25の上面の傾斜と平行となるように揺動部材35を介して支持部材36に支持されている。
【0039】
揺動部材35は、略コ字形に形成され、その両側部44の一端側に回転軸38が回転自在に軸支され、両側部44の他端側が揺動支軸45によって支持部材36に揺動可能に支持されている。両側部44の他端側は、基準壁27に設けられた一対の溝部27aを挿通されている。そして、揺動部材35は、揺動支軸45を中心として載置台25の上面に平行な上下方向に揺動可能とし、幅寄せ手段34および揺動部材35の自重または付勢手段による付勢も加わって下降する。図2および図4に示すように揺動部材35の下降位置は支持部材36に対してストッパ(図示せず)などで規制される。なお、揺動部材35が下降位置から上昇位置へ揺動したことを検知する揺動検知部(図示せず)が支持部材36に設けられている。
【0040】
支持部材36は、高さ調整手段(図示せず)によって基準壁27に対する高さ位置を調整可能とする。高さ調整手段は、手動で調整する手動調整機構でもよいし、例えばモータの駆動力を利用した自動調整機構でもよい。
【0041】
幅寄せ用駆動手段は、例えば、回転軸38に固定した従動プーリと揺動支軸45に回転可能に取り付けた駆動プーリとにベルトを掛け回した伝達機構を備え、駆動プーリにモータからの回転力を伝達することによって幅寄せ手段34を回転駆動する。このような伝達機構を用いることにより、幅寄せ手段34の回転に影響することなく、幅寄せ手段34の上下方向の揺動を可能とする。
【0042】
さらに、分離機構32は、分離手段47、この分離手段47を回転可能に支持する支持部材48、および分離手段47を回転駆動する分離用駆動手段(図示せず)を有している。分離手段47は搬送路16の入口部16aより上側で規制壁26より装填部24の内側に配置され、支持部材48および分離用駆動手段はガイド板29の内側に配置されている。
【0043】
分離手段47は、幅寄せ手段34と同様に形成されている。すなわち、分離手段47は、支持部材48に回転可能に軸支される回転軸50、およびこの回転軸50に間隔をあけて取り付けられた一対の羽根車51を備えている。羽根車51は、回転軸50に取り付けられる取付部52、およびこの取付部52の周面から180°異なる外径方向へ突出する一対の羽根(ベルト)53を有している。羽根車51の構成のうち少なくとも一対の羽根53は、例えばゴムなどの摩擦係数の高い分離用摩擦部材54によって構成されている。そして、分離手段47は、回転軸50が規制壁26と平行となるように支持部材48に支持され、一対の羽根車51が基準壁27に近い側となる回転軸50の端部側に取り付けられている。
【0044】
支持部材48は、ガイド板29の内側に配置され、回転軸50を回転可能に支持する。
【0045】
分離用駆動手段は、例えば、回転軸50に固定した従動プーリと駆動プーリとにベルトを掛け回した伝達機構を備え、駆動プーリにモータからの回転力を伝達することによって分離手段47を回転駆動する。
【0046】
そして、幅寄せ用駆動手段および分離用駆動手段は、載置台25に載置された帳票12の上面に対して、幅寄せ手段34の羽根41が当接するタイミングと分離手段47の羽根53が当接するタイミングとが異なるように駆動する。
【0047】
図5に、幅寄せ手段34の羽根41が当接するタイミングと分離手段47の羽根53が当接するタイミングとが異なることを説明する説明図を示す。幅寄せ手段34の羽根41と分離手段47の羽根53とは、90°ずつずれた状態で一体に連動して回転するように駆動する。例えば、幅寄せ用駆動手段および分離用駆動手段は、1つのモータからの駆動力を幅寄せ手段34および分離手段47にそれぞれ伝達してこれら幅寄せ手段34および分離手段47を一体に連動して回転するように駆動する。あるいは、幅寄せ用駆動手段および分離用駆動手段がモータをそれぞれ1つずつ備えて独立している場合には、幅寄せ手段34の羽根41が帳票12に当接するタイミングと分離手段47の羽根53が帳票12に当接するタイミングが異なるように各モータの駆動を制御する。
【0048】
幅寄せ用駆動手段および分離用駆動手段では、例えば、エンコーダを用いて幅寄せ手段34および分離手段47の回転位置を検知し、幅寄せ手段34および分離手段47の回転や停止位置を制御したり、あるいは、ステッピングモータを用いて幅寄せ手段34および分離手段47の回転量や停止位置を制御する。
【0049】
次に、紙葉類繰出装置15の動作を説明する。
【0050】
図2に示すように、紙葉類繰出装置15の待機状態では、載置台25が下降した待機位置にあり、幅寄せ手段34の羽根41が垂直、および分離手段47の羽根53が水平となる待機位置にそれぞれ停止されている。さらに、幅寄せ手段34および揺動部材35は、それらの自重あるいは付勢手段による付勢が加わって下降位置に下降されている。
【0051】
そして、仕分けようとする帳票12を複数枚積層した状態で装填部24の載置台25上に載置する。このとき、帳票12の基準辺12aを基準壁27に沿わせるとともに、帳票12の基準辺12aに交差する一辺を規制壁26に沿わせて、載置台25上に載置する。帳票12の基準辺12aは、例えば、帳票12の正面から見て下辺などである。
【0052】
帳票仕分け機11の操作部で仕分け開始を操作するか、装填部24に設置されている帳票検知センサで載置台25上に載置された帳票12を検知すると、紙葉類繰出装置15による帳票の繰出動作を開始する。
【0053】
繰出動作の開始により、まず、図3に示すように、載置台25が上昇し、載置台25上の帳票12の上面が幅寄せ手段34の下方に向けて停止されている羽根41の先端に当接し、幅寄せ手段34を押し上げ、この幅寄せ手段34および揺動部材35が揺動支軸45を中心として上方へ揺動する。このとき、幅寄せ手段34が上下動可能であるため、幅寄せ手段34と帳票12との間に誤って何かが挟まれても幅寄せ手段34が上方に逃げて挟まれたものを保護することができる。
【0054】
載置台25上の帳票12の上面が所定の繰出高さまで上昇すると、それに対応して上昇位置に揺動する揺動部材35を揺動検知部(図示せず)で検知する。この揺動検知部による検知に基づいて、載置台25の上昇を停止または上昇を継続したまま、幅寄せ手段34および分離手段47の連動した回転駆動を開始する。
【0055】
幅寄せ手段34および分離手段47が回転を開始するときには、最上位の帳票12に対して、幅寄せ手段34の羽根41の先端が当接し、繰出手段47の羽根53は当接していないため、幅寄せ手段34の回転に伴い、幅寄せ手段34の羽根41を構成する幅寄せ用摩擦部材42と最上位の帳票12との摩擦力によって帳票12の基準辺12aが基準壁27に当接するように帳票12を幅寄せする。また、帳票12の基準辺12aが基準壁27に当接すると、幅寄せ用摩擦部材42と最上位の帳票12との間に滑りが生じるため、帳票12を幅寄せしつつ、幅寄せ手段34の回転は継続する。
【0056】
このとき、幅寄せ手段34および揺動部材35の自重によって、または自重とともに付勢手段による下方への付勢も加わって、幅寄せ手段34の羽根41が帳票12に当接する当接圧力(摩擦力)が適切に設定されているため、帳票12を確実に幅寄せすることができるとともに、摩擦力の過大による帳票12にしわが寄るなどの損傷を防止できる。
【0057】
さらに、幅寄せ手段34を支持する支持部材36が高さ調整手段(図示せず)によって高さ位置を調整可能としているため、幅寄せ手段34の羽根41が帳票12に当接する当接圧力を適切に設定することができる。
【0058】
そして、幅寄せ手段34および分離手段47の回転に伴い、図4に示すように、幅寄せ手段34の羽根41が最上位の帳票12から外れて離反した後、分離手段47の羽根53が最上位の帳票12に当接し、羽根53を構成する分離用摩擦部材54と最上位の帳票12との摩擦力によって帳票12を繰出方向Aへ向けて移動させる。繰出方向Aへ向けて移動する帳票12の先端は、規制壁26を乗り越え、ガイド部28を通じて搬送路16の入口部16a内に繰り出される。最上位の帳票12の下面に接する2番目の帳票12には繰り出される最上位の帳票12との間の摩擦力によって繰出方向Aへ移動する力が加わるが、2番目の帳票12の先端が規制壁26を乗り越えることない。そのため、最上位の帳票12のみが搬送路16に繰り出される。
【0059】
幅寄せ手段34の羽根41が最上位の帳票12から外れたときには、幅寄せ手段34および揺動部材35が下降位置に揺動する。
【0060】
分離手段47の羽根53が最上位の帳票12から外れて離反する前には、搬送路16に繰り出された帳票12の先端が搬送路16に設置されている図示しない搬送機構に取り込まれ、この搬送機構で最上位の帳票12が搬送路16内に引き込まれる。
【0061】
そして、幅寄せ手段34および分離手段47の回転に伴い、図3に示すように、分離手段47の羽根53が最上位の帳票12から離反した後、上述のように、幅寄せ手段34の羽根41が最上位から2番目の帳票12に当接し、幅寄せする。このとき、幅寄せ手段34が帳票12に当接する領域からは搬送路16に引き込まれていく最上位の帳票12の後端側は既に外れているため、幅寄せ手段34の羽根41が2番目の帳票12に当接し、幅寄せする。また、幅寄せ手段34の羽根41が2番目の帳票12に当接することで幅寄せ手段34が上方に揺動し、幅寄せ手段34の羽根41が2番目の帳票12に当接する当接圧力(摩擦力)が適切になる。
【0062】
その後、図4に示すように、幅寄せ手段34の羽根41が2番目の帳票12から離反し、上述のように、分離手段47の羽根53が2番目の帳票12に当接し、搬送路16に繰り出す。
【0063】
このようにして、幅寄せ手段34と分離手段47とがそれぞれ回転しながら帳票12に交互に当接し、帳票12の幅寄せ、繰り出しを繰り返す。
【0064】
載置台25は、揺動部材35が下降位置に揺動して揺動検知部が検知しなくなったときに合わせて間欠的に上昇するか、または予め決められた速度で連続的に上昇し、最上位となる帳票12の上面が所定の繰出高さを保つようにする。
【0065】
そして、載置台25に載置された全ての帳票12の繰り出しが完了し、装填部24に設置されている帳票検知センサで載置台25上に載置された帳票12を検知しなくなると、幅寄せ手段34の羽根41が垂直、および分離手段47の羽根53が水平となる待機位置にそれぞれ停止し、載置台25を下降させて待機位置に戻す。
【0066】
このように、紙葉類繰出装置15によれば、積層された帳票12に対して回転中に当接と離反を繰り返す幅寄せ用摩擦部材42を有する幅寄せ手段34と、積層された帳票12に対して回転中に当接と離反を繰り返す分離用摩擦部材54を有する分離手段47とを用い、幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接するタイミングと分離用摩擦部材54が帳票12に当接するタイミングとを異ならせることにより、帳票12の幅寄せと繰り出しを順に連続して行うことができるため、従来のような退避させるための機構や制御が必要なく、機構や制御を簡略化できる。
【0067】
また、幅寄せ手段34および分離手段47は、外径方向に突出する羽根41として幅寄せ用摩擦部材42を有する羽根車39で容易に構成できる。
【0068】
また、積層された帳票12に対して幅寄せ用摩擦部材42が分離用摩擦部材54よりも必ず先に当接する構成であるため、確実に幅寄せした帳票12を繰り出すことができる。
【0069】
また、幅寄せ手段34を上下動可能に支持しているため、幅寄せ手段34と帳票12との間に誤って何かが挟まれても幅寄せ手段34が上方に逃げて挟まれたものを保護することができる。
【0070】
また、幅寄せ手段34の高さ位置を高さ調整手段によって調整可能としたため、幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接する力を適切に調整することができ、帳票12の損傷を防止しながら帳票12を確実に幅寄せすることができる。
【0071】
なお、帳票12の厚さを厚さ測定手段(図示せず)で測定し、幅寄せ手段34の高さ位置を自動的に調整するように構成することにより、幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接して与える力を帳票12の厚さに応じて自動的に調整することができる。例えば、帳票12が厚く腰が強い場合には、幅寄せ手段34と最上位の帳票12との間隔を狭くし、幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接する力を強くすることにより、帳票12を確実に幅寄せすることができ、逆に、帳票12が薄く腰が弱い場合には、幅寄せ手段34と最上位の帳票12との間隔を大きくし、幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接する力を弱くすることにより、帳票12にしわが寄るなどの損傷を防止することができる。また、厚さ測定手段としては、載置台25に載置する帳票12の枚数が分かっている場合には、繰出動作開始直後の載置台25の上昇時に幅寄せ手段34が押し上げられて揺動したことを揺動検知部で検知したときの載置台25の位置や移動量と、帳票12の枚数とから、帳票12の厚みを求めるようにしてもよい。
【0072】
なお、幅寄せ手段34および分離手段47は、図6に示す第2の実施の形態、図7に示す第3の実施の形態に示すように構成してもよい。図6に示す第2の実施の形態では、羽根車39,51の羽根41,53が3つで取付部40,52から120°毎に突出されている場合を示し、この場合には、幅寄せ手段34の羽根41と分離手段47の羽根53とが60°ずつずれた状態で一体に連動して回転するように駆動する。また、図7に示す第3の実施の形態では、羽根車39,51の羽根41,53が4つで取付部40,52から90°毎に突出されている場合を示し、この場合には、幅寄せ手段34の羽根41と分離手段47の羽根53とが45°ずつずれた状態で一体に連動して回転するように駆動する。これらのように構成した場合でも、幅寄せ手段34の羽根41が帳票12に当接するタイミングと分離手段47の羽根53が帳票12に当接するタイミングとを異ならせることができる。
【0073】
また、幅寄せ手段34および分離手段47は、羽根車39,51に限らず、図8に示す第4の実施の形態のように、ローラ61で構成してもよい。このローラ61は、ローラ部62を有し、このローラ部62の周面の対称位置となる2箇所でローラ部62の周面より少し突出して幅寄せ用摩擦部材42または分離用摩擦部材54が設けられる。ローラ61の周面の摩擦係数は、ローラ部62の部分が小さく、各摩擦部材42,54の部分が大きくなる。この場合にも、幅寄せ手段34のローラ61の幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接するタイミングと分離手段47のローラ61の分離用摩擦部材54が帳票12に当接するタイミングとを異ならせるように構成すればよい。そして、帳票12の繰出動作時には、載置台25の上昇によって帳票12を所定の当接圧力で幅寄せ手段34のローラ61および分離手段47のローラ61に押し当てた状態で、各ローラ61を連動して回転駆動することにより、帳票12の幅寄せと繰り出しを順に連続して行うことができる。
【0074】
なお、分離用摩擦部材54が帳票12に当接しない間に、幅寄せ用摩擦部材42が複数回、帳票12に当接するようにしてもよい。これは、幅寄せ手段34の回転速度を分離手段47の回転速度より速くしたり、幅寄せ手段34の幅寄せ用摩擦部材42の数を分離手段47の分離用摩擦部材54の数より多くすることにより可能となる。このように構成することにより、帳票12が基準壁27から大きくずれていたり1回の当接では十分な寄せができなかった場合でも、帳票12を基準辺12a側に確実に幅寄せすることができる。
【0075】
また、本実施形態では、幅寄せ手段34の高さ位置を高さ調整手段によって調整可能とした場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、載置台25を上下動させることで、積層された帳票12の上面と幅寄せ手段34との間隔を調整するようにしてもよい。
【0076】
なお、紙葉類繰出装置15が処理対象する紙葉類は、帳票12に限らず、紙幣、書類などのシート状のものであればいずれでもよい。そのため、紙葉類繰出装置15を用いる紙葉類処理機は、帳票仕分け機11に限らず、紙葉類を分離搬送する処理を有する機械であればいずれでもよい。
【符号の説明】
【0077】
12 紙葉類としての帳票
15 紙葉類繰出装置
34 幅寄せ手段
39 羽根車
41 羽根
42 幅寄せ用摩擦部材
47 分離手段
51 羽根車
53 羽根
54 分離用摩擦部材
61 ローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された紙葉類を1枚ずつ分離して繰り出す紙葉類繰出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帳票などの紙葉類を処理するために、集積された紙葉類を1枚ずつ分離して搬送路へ繰り出すようにした紙葉類繰出装置がある。
【0003】
この紙葉類繰出装置は、紙葉類をこの紙葉類の繰出方向に対して交差する一側の基準辺側に幅寄せする幅寄せローラと、紙葉類を搬送路へ繰り出す分離ローラとを備えている。そして、幅寄せローラの作動時には、分離ローラに設けたリンク機構をソレノイドで駆動して分離ローラを紙葉類面から退避させ、一方、分離ローラの作動時には、幅寄せローラに設けたリンク機構をソレノイドで駆動して幅寄せローラを紙葉類面から退避させている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−128276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の紙葉類繰出装置では、紙葉類の1枚毎に、分離ローラおよび幅寄せローラを紙葉類面から退避させる機構や制御が必要となるため、機構や制御が複雑化する問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、機構や制御を簡略化できる紙葉類繰出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の紙葉類繰出装置は、積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す幅寄せ用摩擦部材を有し、この幅寄せ用摩擦部材が当接する紙葉類をこの紙葉類の繰出方向に対して交差する一側の基準辺側に幅寄せする幅寄せ手段と、積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す分離用摩擦部材を有し、この分離用摩擦部材が当接する紙葉類を繰出方向へ1枚ずつ分離して繰り出す分離手段とを具備し、前記幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングと前記分離用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングとが異なるものである。
【0008】
請求項2記載の紙葉類繰出装置は、請求項1記載の紙葉類繰出装置において、前記分離用摩擦部材が紙葉類に当接しない間、前記幅寄せ用摩擦部材が複数回、紙葉類に当接するものである。
【0009】
請求項3記載の紙葉類繰出装置は、請求項1または2記載の紙葉類繰出装置において、積層した紙葉類の上面と前記幅寄せ手段との間隔を調整可能としたものである。
【0010】
請求項4記載の紙葉類繰出装置は、請求項3記載の紙葉類繰出装置において、前記幅寄せ手段は、上下動可能に支持されているものである。
【0011】
請求項5記載の紙葉類繰出装置は、請求項4記載の紙葉類繰出装置において、前記幅寄せ手段の高さ位置を調整可能としたものである。
【0012】
請求項6記載の紙葉類繰出装置は、請求項5記載の紙葉類繰出装置において、紙葉類の厚さを測定する厚さ測定手段と、この厚さ測定手段による測定結果に基づいて前記幅寄せ手段の高さ位置を調整する高さ調整手段とを具備しているものである。
【0013】
請求項7記載の紙葉類繰出装置は、請求項1ないし6いずれか一記載の紙葉類繰出装置において、積層された紙葉類に対して前記幅寄せ用摩擦部材が前記分離用摩擦部材よりも先に当接するものである。
【0014】
請求項8記載の紙葉類繰出装置は、請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置において、前記幅寄せ手段は、外径方向に突出する羽根として前記幅寄せ用摩擦部材を有する羽根車で構成されているものである。
【0015】
請求項9記載の紙葉類繰出装置は、請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置において、前記幅寄せ手段は、周面の一部に前記幅寄せ用摩擦部材を有するローラで構成されているものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の紙葉類繰出装置によれば、積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す幅寄せ用摩擦部材を有する幅寄せ手段と、積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す分離用摩擦部材を有する分離手段とを用い、幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングと分離用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングとを異ならせることにより、紙葉類の幅寄せと繰り出しとを順に連続して行うことができるため、従来のような分離手段を退避させるための機構や制御が必要なく、機構や制御を簡略化できる。
【0017】
請求項2記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項1記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、分離用摩擦部材が紙葉類に当接しない間、幅寄せ用摩擦部材が複数回、紙葉類に当接するため、紙葉類が基準辺側から大きくずれていたり1回の当接では十分な寄せができなかった場合でも、紙葉類を基準辺側に確実に幅寄せすることができる。
【0018】
請求項3記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項1または2記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、積層された紙葉類の上面と幅寄せ手段との間隔を調整可能としたため、幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接する力を適切に調整することができ、紙葉類の損傷を防止しながら紙葉類を確実に幅寄せできる。
【0019】
請求項4記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項3記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、幅寄せ手段を上下動可能に支持したため、幅寄せ手段と紙葉類との間に誤って何かが挟まれても幅寄せ手段が上方に逃げて挟まれたものを保護することができる。
【0020】
請求項5記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項4記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、幅寄せ手段の高さ位置を調整可能としたため、幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接する力を適切に調整することができ、紙葉類の損傷を防止しながら紙葉類を確実に幅寄せできる。
【0021】
請求項6記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項5記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、紙葉類の厚さを測定し、幅寄せ手段の高さ位置を自動的に調整するため、幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接する力を自動的に適切に調整することができ、紙葉類の損傷を防止しながら紙葉類を確実に幅寄せできる。
【0022】
請求項7記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項1ないし6いずれか一記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、積層された紙葉類に対して幅寄せ用摩擦部材が分離用摩擦部材よりも先に当接するため、確実に幅寄せした紙葉類を繰り出すことができる。
【0023】
請求項8記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、幅寄せ手段は、外径方向に突出する羽根として幅寄せ用摩擦部材を有する羽根車で構成できる。
【0024】
請求項9記載の紙葉類繰出装置によれば、請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置の効果に加えて、幅寄せ手段は、周面の一部に幅寄せ用摩擦部材を有するローラで構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施の形態を示す紙葉類繰出装置を用いた紙葉類処理機の断面図である。
【図2】同上紙葉類繰出装置の紙葉類装填状態を示す斜視図である。
【図3】同上紙葉類繰出装置の紙葉類幅寄せ動作を示す斜視図である。
【図4】同上紙葉類繰出装置の紙葉類繰出動作を示す斜視図である。
【図5】同上紙葉類繰出装置の幅寄せ手段および分離手段が紙葉類に当接するタイミングを説明する説明図である。
【図6】第2の実施の形態を示す紙葉類繰出装置の幅寄せ手段および分離手段が紙葉類に当接するタイミングを説明する説明図である。
【図7】第3の実施の形態を示す紙葉類繰出装置の幅寄せ手段および分離手段が紙葉類に当接するタイミングを説明する説明図である。
【図8】第4の実施の形態を示す紙葉類繰出装置の幅寄せ手段および分離手段を構成するローラの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、紙葉類繰出装置の第1の実施の形態を、図1ないし図5を参照して説明する。
【0027】
まず、図1に紙葉類繰出装置を適用した紙葉類処理機として帳票仕分け機11を示す。この帳票仕分け機11が処理する紙葉類としては、例えば、公共料金の納付書や、国税および社会保険料の歳入金の納付書などの帳票12である。
【0028】
帳票仕分け機11は、機体14、複数枚集積して載置された帳票12を機体14内に1枚ずつ(1綴りずつ)分離して繰り出す紙葉類繰出装置(帳票繰出装置)15、この紙葉類繰出装置15で機体14内に繰り出される帳票12を搬送する搬送路16、この搬送路16によって搬送する帳票12のデータを読み取る読取部17、この読取部17による読取結果に応じて搬送路16から帳票12を受け入れて一時保留したり一時保留した帳票12を搬送路16に送り出す複数の一時保留部18、搬送路16によって搬送する帳票12を種類別に仕分ける複数の仕分け部19、およびこの帳票仕分け機11を制御する制御部20を備えている。
【0029】
一時保留部18は、一対のテープ18a、これら一対のテープ18aの一端側を重ねて一緒に巻き取る巻取りローラ18b、および各テープ18aの他端側をそれぞれ巻き取る一対の巻取りリール18cを備えている。そして、帳票12の収納時には、巻取りローラ18bで一対のテープ18aを巻き取るとともに各巻取りリール18cから各テープ18aを巻き戻し、搬送路16から1枚ずつ送り込まれる帳票12を一対のテープ18a間に挟み込んで一対のテープ18aとともに巻取りローラ18bに巻き取って収納し、また、帳票12の繰出時には、各巻取りリール18cで各テープ18aを巻き取るとともに巻取りローラ18bから一対のテープ18aを巻き戻し、一対のテープ18a間から帳票12を1枚ずつ搬送路16に送り出す。
【0030】
そして、帳票仕分け機11では、複数枚集積されて装填された帳票12を紙葉類繰出装置15によって1枚ずつ搬送路16に繰り出し、この搬送路16によって搬送する帳票12のデータを読取部17で読み取り、帳票12の種類を判別する。種類を判別した帳票12は、設定に応じて、仕分け部19に搬送したり、全ての帳票12を一時保留部18に一時保留したり、読取不良などの一部の帳票12のみを一時保留部18に一時保留する。帳票12を一時保留部18に一時保留した場合には、一時保留部18から帳票12を1枚ずつ繰り出して仕分け部19に搬送する。仕分け部19では、搬送路16によって搬送してくる帳票12を種類別に仕分ける。
【0031】
次に、図2ないし図4に紙葉類繰出装置15を示す。なお、図2ないし図4は、図1に示す紙葉類繰出装置15と搬送路16との位置関係が逆向きとなる反対側の方向から見た図である。
【0032】
紙葉類繰出装置15は、ベース部23を有し、このベース部23上に帳票12を装填する装填部24が設けられている。
【0033】
この装填部24には、帳票12を載置する載置台25、この載置台25上の帳票12を搬送路16へ繰り出す繰出方向Aの側に配置される規制壁26、およびこの規制壁26に直交する一側であって帳票12を幅寄せする幅寄せ方向Bの側に配置される基準壁27を有している。
【0034】
載置台25は、繰出方向Aに向けて下降傾斜し、その傾斜によって載置台25の上面に載置された帳票12の繰出方向Aの先端が規制壁26に当接するように案内する。載置台25は、ベース部23内に配置された図示しない昇降手段により昇降駆動される。
【0035】
規制壁26は、ベース部23から略垂直に設けられており、上側には搬送路16の入口部16aが開口形成されているとともにその搬送路16の入口部16aに向かって傾斜するガイド部28が形成されている。搬送路16の入口部16aの上側にはその搬送路16の入口部16aに向かって傾斜するガイド板29が配設されている。また、基準壁27は、ベース部23から略垂直に設けられている。そして、これら規制壁26と基準壁27との間の装填部24の空間に載置台25が昇降可能に配設されている。
【0036】
また、装填部24には、載置台25に載置された帳票12を基準壁27に幅寄せするための幅寄せ機構31、およびこの幅寄せ機構31で基準壁27に幅寄せされた帳票12を1枚ずつ分離して搬送路16に繰り出すための分離機構32が配設されている。
【0037】
幅寄せ機構31は、幅寄せ手段34、この幅寄せ手段34を回転可能に支持する揺動部材35、この揺動部材35を上下方向に揺動可能に支持する支持部材36、および幅寄せ手段34を回転駆動する幅寄せ用駆動手段(図示せず)を有している。幅寄せ手段34および揺動部材35は装填部24内となる基準壁27の内面側に配置され、支持部材36および幅寄せ用駆動手段は装填部24外となる基準壁27の外面側に配置されている。
【0038】
幅寄せ手段34は、揺動部材35に回転可能に軸支された回転軸38、およびこの回転軸38の両端に間隔をあけて取り付けられた一対の羽根車39を備えている。羽根車39は、回転軸38に取り付けられる取付部40、およびこの取付部40の周面から180°異なる外径方向へ突出する一対の羽根(ベルト)41を有している。羽根車39の構成のうち少なくとも一対の羽根41は、例えばゴムなどの摩擦係数が高い幅寄せ用摩擦部材42によって構成されている。そして、幅寄せ手段34は、回転軸38が基準壁27と平行でかつ載置台25の上面の傾斜と平行となるように揺動部材35を介して支持部材36に支持されている。
【0039】
揺動部材35は、略コ字形に形成され、その両側部44の一端側に回転軸38が回転自在に軸支され、両側部44の他端側が揺動支軸45によって支持部材36に揺動可能に支持されている。両側部44の他端側は、基準壁27に設けられた一対の溝部27aを挿通されている。そして、揺動部材35は、揺動支軸45を中心として載置台25の上面に平行な上下方向に揺動可能とし、幅寄せ手段34および揺動部材35の自重または付勢手段による付勢も加わって下降する。図2および図4に示すように揺動部材35の下降位置は支持部材36に対してストッパ(図示せず)などで規制される。なお、揺動部材35が下降位置から上昇位置へ揺動したことを検知する揺動検知部(図示せず)が支持部材36に設けられている。
【0040】
支持部材36は、高さ調整手段(図示せず)によって基準壁27に対する高さ位置を調整可能とする。高さ調整手段は、手動で調整する手動調整機構でもよいし、例えばモータの駆動力を利用した自動調整機構でもよい。
【0041】
幅寄せ用駆動手段は、例えば、回転軸38に固定した従動プーリと揺動支軸45に回転可能に取り付けた駆動プーリとにベルトを掛け回した伝達機構を備え、駆動プーリにモータからの回転力を伝達することによって幅寄せ手段34を回転駆動する。このような伝達機構を用いることにより、幅寄せ手段34の回転に影響することなく、幅寄せ手段34の上下方向の揺動を可能とする。
【0042】
さらに、分離機構32は、分離手段47、この分離手段47を回転可能に支持する支持部材48、および分離手段47を回転駆動する分離用駆動手段(図示せず)を有している。分離手段47は搬送路16の入口部16aより上側で規制壁26より装填部24の内側に配置され、支持部材48および分離用駆動手段はガイド板29の内側に配置されている。
【0043】
分離手段47は、幅寄せ手段34と同様に形成されている。すなわち、分離手段47は、支持部材48に回転可能に軸支される回転軸50、およびこの回転軸50に間隔をあけて取り付けられた一対の羽根車51を備えている。羽根車51は、回転軸50に取り付けられる取付部52、およびこの取付部52の周面から180°異なる外径方向へ突出する一対の羽根(ベルト)53を有している。羽根車51の構成のうち少なくとも一対の羽根53は、例えばゴムなどの摩擦係数の高い分離用摩擦部材54によって構成されている。そして、分離手段47は、回転軸50が規制壁26と平行となるように支持部材48に支持され、一対の羽根車51が基準壁27に近い側となる回転軸50の端部側に取り付けられている。
【0044】
支持部材48は、ガイド板29の内側に配置され、回転軸50を回転可能に支持する。
【0045】
分離用駆動手段は、例えば、回転軸50に固定した従動プーリと駆動プーリとにベルトを掛け回した伝達機構を備え、駆動プーリにモータからの回転力を伝達することによって分離手段47を回転駆動する。
【0046】
そして、幅寄せ用駆動手段および分離用駆動手段は、載置台25に載置された帳票12の上面に対して、幅寄せ手段34の羽根41が当接するタイミングと分離手段47の羽根53が当接するタイミングとが異なるように駆動する。
【0047】
図5に、幅寄せ手段34の羽根41が当接するタイミングと分離手段47の羽根53が当接するタイミングとが異なることを説明する説明図を示す。幅寄せ手段34の羽根41と分離手段47の羽根53とは、90°ずつずれた状態で一体に連動して回転するように駆動する。例えば、幅寄せ用駆動手段および分離用駆動手段は、1つのモータからの駆動力を幅寄せ手段34および分離手段47にそれぞれ伝達してこれら幅寄せ手段34および分離手段47を一体に連動して回転するように駆動する。あるいは、幅寄せ用駆動手段および分離用駆動手段がモータをそれぞれ1つずつ備えて独立している場合には、幅寄せ手段34の羽根41が帳票12に当接するタイミングと分離手段47の羽根53が帳票12に当接するタイミングが異なるように各モータの駆動を制御する。
【0048】
幅寄せ用駆動手段および分離用駆動手段では、例えば、エンコーダを用いて幅寄せ手段34および分離手段47の回転位置を検知し、幅寄せ手段34および分離手段47の回転や停止位置を制御したり、あるいは、ステッピングモータを用いて幅寄せ手段34および分離手段47の回転量や停止位置を制御する。
【0049】
次に、紙葉類繰出装置15の動作を説明する。
【0050】
図2に示すように、紙葉類繰出装置15の待機状態では、載置台25が下降した待機位置にあり、幅寄せ手段34の羽根41が垂直、および分離手段47の羽根53が水平となる待機位置にそれぞれ停止されている。さらに、幅寄せ手段34および揺動部材35は、それらの自重あるいは付勢手段による付勢が加わって下降位置に下降されている。
【0051】
そして、仕分けようとする帳票12を複数枚積層した状態で装填部24の載置台25上に載置する。このとき、帳票12の基準辺12aを基準壁27に沿わせるとともに、帳票12の基準辺12aに交差する一辺を規制壁26に沿わせて、載置台25上に載置する。帳票12の基準辺12aは、例えば、帳票12の正面から見て下辺などである。
【0052】
帳票仕分け機11の操作部で仕分け開始を操作するか、装填部24に設置されている帳票検知センサで載置台25上に載置された帳票12を検知すると、紙葉類繰出装置15による帳票の繰出動作を開始する。
【0053】
繰出動作の開始により、まず、図3に示すように、載置台25が上昇し、載置台25上の帳票12の上面が幅寄せ手段34の下方に向けて停止されている羽根41の先端に当接し、幅寄せ手段34を押し上げ、この幅寄せ手段34および揺動部材35が揺動支軸45を中心として上方へ揺動する。このとき、幅寄せ手段34が上下動可能であるため、幅寄せ手段34と帳票12との間に誤って何かが挟まれても幅寄せ手段34が上方に逃げて挟まれたものを保護することができる。
【0054】
載置台25上の帳票12の上面が所定の繰出高さまで上昇すると、それに対応して上昇位置に揺動する揺動部材35を揺動検知部(図示せず)で検知する。この揺動検知部による検知に基づいて、載置台25の上昇を停止または上昇を継続したまま、幅寄せ手段34および分離手段47の連動した回転駆動を開始する。
【0055】
幅寄せ手段34および分離手段47が回転を開始するときには、最上位の帳票12に対して、幅寄せ手段34の羽根41の先端が当接し、繰出手段47の羽根53は当接していないため、幅寄せ手段34の回転に伴い、幅寄せ手段34の羽根41を構成する幅寄せ用摩擦部材42と最上位の帳票12との摩擦力によって帳票12の基準辺12aが基準壁27に当接するように帳票12を幅寄せする。また、帳票12の基準辺12aが基準壁27に当接すると、幅寄せ用摩擦部材42と最上位の帳票12との間に滑りが生じるため、帳票12を幅寄せしつつ、幅寄せ手段34の回転は継続する。
【0056】
このとき、幅寄せ手段34および揺動部材35の自重によって、または自重とともに付勢手段による下方への付勢も加わって、幅寄せ手段34の羽根41が帳票12に当接する当接圧力(摩擦力)が適切に設定されているため、帳票12を確実に幅寄せすることができるとともに、摩擦力の過大による帳票12にしわが寄るなどの損傷を防止できる。
【0057】
さらに、幅寄せ手段34を支持する支持部材36が高さ調整手段(図示せず)によって高さ位置を調整可能としているため、幅寄せ手段34の羽根41が帳票12に当接する当接圧力を適切に設定することができる。
【0058】
そして、幅寄せ手段34および分離手段47の回転に伴い、図4に示すように、幅寄せ手段34の羽根41が最上位の帳票12から外れて離反した後、分離手段47の羽根53が最上位の帳票12に当接し、羽根53を構成する分離用摩擦部材54と最上位の帳票12との摩擦力によって帳票12を繰出方向Aへ向けて移動させる。繰出方向Aへ向けて移動する帳票12の先端は、規制壁26を乗り越え、ガイド部28を通じて搬送路16の入口部16a内に繰り出される。最上位の帳票12の下面に接する2番目の帳票12には繰り出される最上位の帳票12との間の摩擦力によって繰出方向Aへ移動する力が加わるが、2番目の帳票12の先端が規制壁26を乗り越えることない。そのため、最上位の帳票12のみが搬送路16に繰り出される。
【0059】
幅寄せ手段34の羽根41が最上位の帳票12から外れたときには、幅寄せ手段34および揺動部材35が下降位置に揺動する。
【0060】
分離手段47の羽根53が最上位の帳票12から外れて離反する前には、搬送路16に繰り出された帳票12の先端が搬送路16に設置されている図示しない搬送機構に取り込まれ、この搬送機構で最上位の帳票12が搬送路16内に引き込まれる。
【0061】
そして、幅寄せ手段34および分離手段47の回転に伴い、図3に示すように、分離手段47の羽根53が最上位の帳票12から離反した後、上述のように、幅寄せ手段34の羽根41が最上位から2番目の帳票12に当接し、幅寄せする。このとき、幅寄せ手段34が帳票12に当接する領域からは搬送路16に引き込まれていく最上位の帳票12の後端側は既に外れているため、幅寄せ手段34の羽根41が2番目の帳票12に当接し、幅寄せする。また、幅寄せ手段34の羽根41が2番目の帳票12に当接することで幅寄せ手段34が上方に揺動し、幅寄せ手段34の羽根41が2番目の帳票12に当接する当接圧力(摩擦力)が適切になる。
【0062】
その後、図4に示すように、幅寄せ手段34の羽根41が2番目の帳票12から離反し、上述のように、分離手段47の羽根53が2番目の帳票12に当接し、搬送路16に繰り出す。
【0063】
このようにして、幅寄せ手段34と分離手段47とがそれぞれ回転しながら帳票12に交互に当接し、帳票12の幅寄せ、繰り出しを繰り返す。
【0064】
載置台25は、揺動部材35が下降位置に揺動して揺動検知部が検知しなくなったときに合わせて間欠的に上昇するか、または予め決められた速度で連続的に上昇し、最上位となる帳票12の上面が所定の繰出高さを保つようにする。
【0065】
そして、載置台25に載置された全ての帳票12の繰り出しが完了し、装填部24に設置されている帳票検知センサで載置台25上に載置された帳票12を検知しなくなると、幅寄せ手段34の羽根41が垂直、および分離手段47の羽根53が水平となる待機位置にそれぞれ停止し、載置台25を下降させて待機位置に戻す。
【0066】
このように、紙葉類繰出装置15によれば、積層された帳票12に対して回転中に当接と離反を繰り返す幅寄せ用摩擦部材42を有する幅寄せ手段34と、積層された帳票12に対して回転中に当接と離反を繰り返す分離用摩擦部材54を有する分離手段47とを用い、幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接するタイミングと分離用摩擦部材54が帳票12に当接するタイミングとを異ならせることにより、帳票12の幅寄せと繰り出しを順に連続して行うことができるため、従来のような退避させるための機構や制御が必要なく、機構や制御を簡略化できる。
【0067】
また、幅寄せ手段34および分離手段47は、外径方向に突出する羽根41として幅寄せ用摩擦部材42を有する羽根車39で容易に構成できる。
【0068】
また、積層された帳票12に対して幅寄せ用摩擦部材42が分離用摩擦部材54よりも必ず先に当接する構成であるため、確実に幅寄せした帳票12を繰り出すことができる。
【0069】
また、幅寄せ手段34を上下動可能に支持しているため、幅寄せ手段34と帳票12との間に誤って何かが挟まれても幅寄せ手段34が上方に逃げて挟まれたものを保護することができる。
【0070】
また、幅寄せ手段34の高さ位置を高さ調整手段によって調整可能としたため、幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接する力を適切に調整することができ、帳票12の損傷を防止しながら帳票12を確実に幅寄せすることができる。
【0071】
なお、帳票12の厚さを厚さ測定手段(図示せず)で測定し、幅寄せ手段34の高さ位置を自動的に調整するように構成することにより、幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接して与える力を帳票12の厚さに応じて自動的に調整することができる。例えば、帳票12が厚く腰が強い場合には、幅寄せ手段34と最上位の帳票12との間隔を狭くし、幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接する力を強くすることにより、帳票12を確実に幅寄せすることができ、逆に、帳票12が薄く腰が弱い場合には、幅寄せ手段34と最上位の帳票12との間隔を大きくし、幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接する力を弱くすることにより、帳票12にしわが寄るなどの損傷を防止することができる。また、厚さ測定手段としては、載置台25に載置する帳票12の枚数が分かっている場合には、繰出動作開始直後の載置台25の上昇時に幅寄せ手段34が押し上げられて揺動したことを揺動検知部で検知したときの載置台25の位置や移動量と、帳票12の枚数とから、帳票12の厚みを求めるようにしてもよい。
【0072】
なお、幅寄せ手段34および分離手段47は、図6に示す第2の実施の形態、図7に示す第3の実施の形態に示すように構成してもよい。図6に示す第2の実施の形態では、羽根車39,51の羽根41,53が3つで取付部40,52から120°毎に突出されている場合を示し、この場合には、幅寄せ手段34の羽根41と分離手段47の羽根53とが60°ずつずれた状態で一体に連動して回転するように駆動する。また、図7に示す第3の実施の形態では、羽根車39,51の羽根41,53が4つで取付部40,52から90°毎に突出されている場合を示し、この場合には、幅寄せ手段34の羽根41と分離手段47の羽根53とが45°ずつずれた状態で一体に連動して回転するように駆動する。これらのように構成した場合でも、幅寄せ手段34の羽根41が帳票12に当接するタイミングと分離手段47の羽根53が帳票12に当接するタイミングとを異ならせることができる。
【0073】
また、幅寄せ手段34および分離手段47は、羽根車39,51に限らず、図8に示す第4の実施の形態のように、ローラ61で構成してもよい。このローラ61は、ローラ部62を有し、このローラ部62の周面の対称位置となる2箇所でローラ部62の周面より少し突出して幅寄せ用摩擦部材42または分離用摩擦部材54が設けられる。ローラ61の周面の摩擦係数は、ローラ部62の部分が小さく、各摩擦部材42,54の部分が大きくなる。この場合にも、幅寄せ手段34のローラ61の幅寄せ用摩擦部材42が帳票12に当接するタイミングと分離手段47のローラ61の分離用摩擦部材54が帳票12に当接するタイミングとを異ならせるように構成すればよい。そして、帳票12の繰出動作時には、載置台25の上昇によって帳票12を所定の当接圧力で幅寄せ手段34のローラ61および分離手段47のローラ61に押し当てた状態で、各ローラ61を連動して回転駆動することにより、帳票12の幅寄せと繰り出しを順に連続して行うことができる。
【0074】
なお、分離用摩擦部材54が帳票12に当接しない間に、幅寄せ用摩擦部材42が複数回、帳票12に当接するようにしてもよい。これは、幅寄せ手段34の回転速度を分離手段47の回転速度より速くしたり、幅寄せ手段34の幅寄せ用摩擦部材42の数を分離手段47の分離用摩擦部材54の数より多くすることにより可能となる。このように構成することにより、帳票12が基準壁27から大きくずれていたり1回の当接では十分な寄せができなかった場合でも、帳票12を基準辺12a側に確実に幅寄せすることができる。
【0075】
また、本実施形態では、幅寄せ手段34の高さ位置を高さ調整手段によって調整可能とした場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、載置台25を上下動させることで、積層された帳票12の上面と幅寄せ手段34との間隔を調整するようにしてもよい。
【0076】
なお、紙葉類繰出装置15が処理対象する紙葉類は、帳票12に限らず、紙幣、書類などのシート状のものであればいずれでもよい。そのため、紙葉類繰出装置15を用いる紙葉類処理機は、帳票仕分け機11に限らず、紙葉類を分離搬送する処理を有する機械であればいずれでもよい。
【符号の説明】
【0077】
12 紙葉類としての帳票
15 紙葉類繰出装置
34 幅寄せ手段
39 羽根車
41 羽根
42 幅寄せ用摩擦部材
47 分離手段
51 羽根車
53 羽根
54 分離用摩擦部材
61 ローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す幅寄せ用摩擦部材を有し、この幅寄せ用摩擦部材が当接する紙葉類をこの紙葉類の繰出方向に対して交差する一側の基準辺側に幅寄せする幅寄せ手段と、
積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す分離用摩擦部材を有し、この分離用摩擦部材が当接する紙葉類を繰出方向へ1枚ずつ分離して繰り出す分離手段とを具備し、
前記幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングと前記分離用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングとが異なる
ことを特徴とする紙葉類繰出装置。
【請求項2】
前記分離用摩擦部材が紙葉類に当接しない間、前記幅寄せ用摩擦部材が複数回、紙葉類に当接する
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類繰出装置。
【請求項3】
積層した紙葉類の上面と前記幅寄せ手段との間隔を調整可能とした
ことを特徴とする請求項1または2記載の紙葉類繰出装置。
【請求項4】
前記幅寄せ手段は、上下動可能に支持されている
ことを特徴とする請求項3記載の紙葉類繰出装置。
【請求項5】
前記幅寄せ手段の高さ位置を調整可能とした
ことを特徴とする請求項4記載の紙葉類繰出装置。
【請求項6】
紙葉類の厚さを測定する厚さ測定手段と、
この厚さ測定手段による測定結果に基づいて前記幅寄せ手段の高さ位置を調整する高さ調整手段とを具備している
ことを特徴とする請求項5記載の紙葉類繰出装置。
【請求項7】
積層された紙葉類に対して前記幅寄せ用摩擦部材が前記分離用摩擦部材よりも先に当接する
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一記載の紙葉類繰出装置。
【請求項8】
前記幅寄せ手段は、外径方向に突出する羽根として前記幅寄せ用摩擦部材を有する羽根車で構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置。
【請求項9】
前記幅寄せ手段は、周面の一部に前記幅寄せ用摩擦部材を有するローラで構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置。
【請求項1】
積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す幅寄せ用摩擦部材を有し、この幅寄せ用摩擦部材が当接する紙葉類をこの紙葉類の繰出方向に対して交差する一側の基準辺側に幅寄せする幅寄せ手段と、
積層された紙葉類に対して回転中に当接と離反を繰り返す分離用摩擦部材を有し、この分離用摩擦部材が当接する紙葉類を繰出方向へ1枚ずつ分離して繰り出す分離手段とを具備し、
前記幅寄せ用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングと前記分離用摩擦部材が紙葉類に当接するタイミングとが異なる
ことを特徴とする紙葉類繰出装置。
【請求項2】
前記分離用摩擦部材が紙葉類に当接しない間、前記幅寄せ用摩擦部材が複数回、紙葉類に当接する
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類繰出装置。
【請求項3】
積層した紙葉類の上面と前記幅寄せ手段との間隔を調整可能とした
ことを特徴とする請求項1または2記載の紙葉類繰出装置。
【請求項4】
前記幅寄せ手段は、上下動可能に支持されている
ことを特徴とする請求項3記載の紙葉類繰出装置。
【請求項5】
前記幅寄せ手段の高さ位置を調整可能とした
ことを特徴とする請求項4記載の紙葉類繰出装置。
【請求項6】
紙葉類の厚さを測定する厚さ測定手段と、
この厚さ測定手段による測定結果に基づいて前記幅寄せ手段の高さ位置を調整する高さ調整手段とを具備している
ことを特徴とする請求項5記載の紙葉類繰出装置。
【請求項7】
積層された紙葉類に対して前記幅寄せ用摩擦部材が前記分離用摩擦部材よりも先に当接する
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一記載の紙葉類繰出装置。
【請求項8】
前記幅寄せ手段は、外径方向に突出する羽根として前記幅寄せ用摩擦部材を有する羽根車で構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置。
【請求項9】
前記幅寄せ手段は、周面の一部に前記幅寄せ用摩擦部材を有するローラで構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一記載の紙葉類繰出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−52992(P2013−52992A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194196(P2011−194196)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
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