説明

紙葉類識別方法及び紙葉類識別装置

【課題】紙葉類を識別する際に、受け取りを拒否又は受容する紙葉の種類を容易に設定する。
【解決手段】モード切替手段56により紙葉類識別装置10の判定制御回路50がEPROM60に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードに切り換えられかつ切替スイッチ43が受け取りモードにある場合に、紙葉センサ16が光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判別制御回路50が真紙幣と判断したとき、EPROM60がその紙葉を受け取る種類として選択して記憶した後、搬送装置15を逆転して、その紙葉を入口13に返却する。選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路50が切り換られかつ判別制御回路50が紙葉を真紙幣と判断しかつ受け取る種類の紙葉と判断したとき、判別制御回路50により搬送装置15を駆動し、搬送通路26に沿って紙葉を紙葉類識別装置10の出口14に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙葉類識別方法及び紙葉類識別装置、特に識別する紙幣の種類を容易に選択できる紙幣識別方法及び紙幣識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣鑑別装置は、自動販売機、自動両替機及びゲーム機等の種々の省力機器に使用され、紙幣を挿入する入口と、入口に設けられかつ紙幣の挿入を検出する入口センサと、入口から挿入された紙幣を搬送通路に沿って搬送する搬送装置と、搬送通路に隣接して設けられた鑑別センサと、入口センサ及び鑑別センサに接続されかつ搬送装置のモータを制御する鑑別制御回路とを備えている。鑑別センサは、紙幣の明暗パターン又は透過光パターンを形成する光学的特徴を検出する光学センサ又は紙幣に印刷されたインキの成分によって磁気パターンを形成する磁気的特徴を検出する磁気センサにより構成される。
【0003】
入口から紙幣が投入されると、入口センサは、紙幣の投入を検出して鑑別制御回路に検出信号を送出する。これにより、鑑別制御回路は、搬送装置のモータを駆動して紙幣を搬送通路に沿って紙幣鑑別装置の内部に取り込む。紙幣が搬送通路を通過する際に、鑑別センサは、紙幣の光学的特徴及び磁気的特徴を検出して、検出信号を鑑別制御回路に送出し、鑑別制御回路は、入口に投入された紙幣の真偽を判断する。鑑別制御回路は、投入された紙幣を真正紙幣と判断したときに、商品払出又はゲーム開始等の次のプロセスに移行するが、真正紙幣と判断できないときに、搬送装置のモータを逆転して紙幣を入口に返却する。
【0004】
鑑別制御回路は、紙幣鑑別装置の動作シーケンスを決定する動作プログラムを記憶するROM(リードオンリメモリ)を備え、国内紙幣の光学パターン及び磁気パターン、外国紙幣の光学パターン及び磁気パターン、紙幣と同様に特定の地域で流通しているクーポン及び有価証券等を含む複数種類の紙幣データもROM内に記憶される。従って、紙幣鑑別装置を特定の場所で使用するときに、ROM内に記憶された全ての紙幣データを使用する必要がないばかりでなく、対象外となる紙幣データに該当する紙幣が入口に投入されたときに、その紙幣を受領せずに入口に返却する必要がある。このように、受取可能又は拒否可能と判断すべき紙葉を選択する機能が紙幣鑑別装置に必要となっている。
【0005】
従来では、紙幣鑑別装置が返却する紙幣の種類を決定するとき、各取り扱う紙幣毎に同数のディップスイッチをパネルに設置すると共に、鑑別制御回路に接続し、ディップスイッチのオン・オフによって別個に金種を受け取るか又は返却するかを決定していた。例えば、ディップスイッチをオンに切り替えて受取不能に設定した種類と同一金種の紙幣を入口に挿入しても紙幣鑑別装置は、この紙幣を受け取らない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、受取金種の設定を行う場合、受け取り金種の種類と同数のディップスイッチが必要となり、部品数が増加する欠点がある。受け取る紙幣の種類が増加した場合、限られたスペースに配置されるスイッチを増設することは困難なため、大幅な設定変更が必要となる問題があった。
【0007】
そこで、この発明は、識別する紙葉の種類を容易に選択できる紙葉類識別方法及び紙葉類識別装置を提供することを目的とする。
【0008】
この発明は、受け取りを拒否又は受容する紙葉の種類を容易に設定できる紙葉類識別方法および紙葉類識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による紙葉類識別方法は、紙葉類識別装置(10)の入口(13)に挿入される紙葉を検出する入口センサ(40)の出力に応答して、判別制御回路(15)により搬送装置(15)を駆動し、搬送通路(26)に沿って紙葉を紙葉類識別装置(10)の内側に搬送する過程と、搬送される紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を紙葉センサ(16)により検出する過程と、モード切替手段(56)により紙葉類識別装置(10)の判定制御回路(50)が種類記憶手段(60)に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードに切り換えられかつ処理切替手段(43)が受け取りモードにある場合に、紙葉センサ(16)が光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判別制御回路(50)が真紙幣と判断したとき、種類記憶手段(60)がその紙葉を受け取る種類として選択して記憶した後、搬送装置(15)を逆転して、その紙葉を入口(13)に返却する過程と、選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路(50)がモード切替手段(56)により切り換られかつ紙葉センサ(16)が光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判別制御回路(50)が真紙幣と判断しかつ受け取る種類の紙葉と判断したとき、判別制御回路(50)により搬送装置(15)を駆動し、搬送通路(26)に沿って紙葉を紙葉類識別装置(10)の出口(14)に移動する過程と、選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路(50)がモード切替手段(56)により切り換られかつ紙葉センサ(16)が光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判定制御回路(50)が真紙幣でないと判断したとき又は種類記憶手段(60)に受け取る種類として記憶された紙幣と同一種類でない紙幣と判断したとき、判別制御回路(50)が、搬送装置(15)を逆転して、その紙葉を入口(13)に返却する過程とを含む。
【0010】
モード切替手段(56)により判定制御回路(50)を選択モードに切り換えた後、紙葉を入口(13)に挿入すると、紙葉の挿入は、入口センサ(40)により検出される。搬送装置(15)は、入口センサ(40)の出力に応答して駆動され、搬送通路(26)に沿って紙葉を紙葉類識別装置(10)の内側に搬送して、紙葉センサ(16)は、搬送される紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を検出する。このとき、種類記憶手段(60)に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードに紙葉類識別装置(10)の判定制御回路(50)がモード切替手段(56)により切り換えられかつ処理切替手段(43)が受け取りモードにある場合に、判別制御回路(50)が紙葉を真紙幣と判断し、判定制御回路(50)によりその紙葉を受け取る種類として選択して種類記憶手段(60)に記憶した後、搬送装置(15)を逆転して、その紙葉を入口(13)に返却する。記憶した紙葉の種類と同一の種類の紙葉を受け取るか又は返却するかは予め判定制御回路(50)若しくは種類記憶手段(60)のプログラムによって決定されるか又は処理切替手段(43)の受け取りモードか又は返却モードかによって決定される。紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を紙葉センサ(16)により検出したとき、選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路(50)がモード切替手段(56)により切り換られる場合に、判別制御回路(50)が紙葉を真紙幣と判断しかつ受け取る種類の紙葉と判断したとき、判別制御回路(50)により搬送装置(15)を駆動し、搬送通路(26)に沿って紙葉を紙葉類識別装置(10)の出口(14)に移動する。紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を紙葉センサ(16)により検出したとき、判定制御回路(50)が紙葉を真紙幣でないと判断したとき又は種類記憶手段(60)に受け取る種類でないとして記憶された紙幣と同一種類の紙幣と判断したとき、判別制御回路(50)が、搬送装置(15)を逆転して、その紙葉を入口(13)に返却する。
【0011】
このように、返却し又は受け取る紙葉の種類を決定するには、単一のモード切替手段(56)により判定制御回路(50)を選択モードに切り替えればよい。従って、処理切替手段(43)が受け取るモードのときに、種類記憶手段(60)は、入口(13)に挿入された紙葉の種類を受け取る種類の紙葉として選択して記憶し、処理切替手段(43)が識別モードのときに、判定制御回路(50)は、種類記憶手段(60)に記憶された種類と同一種類でない紙葉を入口(13)に返却する。逆に、処理切替手段(43)が紙葉受け取りモードのときに、種類記憶手段(60)は、入口(13)に挿入された紙葉の種類を受け取る種類の紙葉として選択して記憶し、処理切替手段(43)が識別モードのときに、判定制御回路(50)は、種類記憶手段(60)に記憶された種類と同一種類の紙葉を受け取る。従って、従来のように紙葉識別機が取り扱う紙葉の種類と同一の数だけディップスイッチを設ける必要がない。
【0012】
この発明の実施の形態では、紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を紙葉センサ(16)により検出したとき、種類記憶手段(60)に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードに紙葉類識別装置(10)の判定制御回路(50)がモード切替手段(56)により切り換えられかつ処理切替手段(43)が受け取りモードにある場合に、判別制御回路(50)が紙葉を真紙幣と判断し、判定制御回路(50)によりその紙葉を受け取る種類として選択して種類記憶手段(60)に記憶した後、搬送装置(15)を逆転して、その紙葉を入口(13)に返却する過程と、紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を紙葉センサ(16)により検出したとき、選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路(50)がモード切替手段(56)により切り換られる場合に、判別制御回路(50)が紙葉を真紙幣と判断しかつ受け取る種類の紙葉と判断したとき、判別制御回路(50)により搬送装置(15)を正転して、搬送通路(26)に沿ってその紙葉を紙葉類識別装置(10)の出口(14)に搬送する過程とを含んでもよい。また、選択モードを表示する信号を警報器(54)によって発生する過程又は判定制御回路(50)によって紙葉の種類を決定して種類記憶手段(60)がその紙葉の種類を選択して記憶したとき、記憶の完了を知らせる信号を警報器(54)によって発生する過程を含んでもよい。
【0013】
この発明による紙葉類識別装置は、入口(13)に挿入される紙葉を検出する入口センサ(40)と、入口センサ(40)の出力に応答して搬送通路(12)に沿って紙葉を搬送する搬送装置(15)と、搬送装置(15)により搬送される紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を検出する紙葉センサ(16)と、紙葉センサ(16)の出力信号から紙葉の真偽を判定して、搬送装置(15)を制御する判定制御回路(50)と、種類記憶手段(60)に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードと紙葉の真偽を判定する識別モードとの間で判定制御回路(50)を切り換えるモード切替手段(56)と、判定制御回路(50)に接続されて、紙葉識別装置(10)が紙葉の種類を受け取る受け取りモード又は返却する返却モードを決定する処理切替手段(43)と、処理切替手段(43)が受け取るモードにあるとき、受け取る種類の紙葉としてその種類の紙葉を選択して記憶する種類記憶手段(60)とを備えている。紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を紙葉センサ(16)により検出したとき、種類記憶手段(60)に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードに紙葉類識別装置(10)の判定制御回路(50)がモード切替手段(56)により切り換えられかつ処理切替手段(43)が受け取るモードにある場合に、判別制御回路(50)が紙葉を真紙幣と判断し、判定制御回路(50)によりその紙葉を返却する種類として選択して種類記憶手段(60)に記憶した後、搬送装置(15)を逆転して、その紙葉を入口(13)に返却する。紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を紙葉センサ(16)により検出したとき、選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路(50)がモード切替手段(56)により切り換られる場合に、判別制御回路(50)が紙葉を真紙幣と判断しかつ受け取る種類の紙葉と判断したとき、判別制御回路(50)により搬送装置(15)を駆動し、搬送通路(26)に沿って紙葉を紙葉類識別装置(10)の出口(14)に移動する。紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を紙葉センサ(16)により検出したとき、判定制御回路(50)が紙葉を真紙幣でないと判断したとき又は種類記憶手段(60)に受け取る種類として記憶された紙幣と同一種類でない紙幣と判断したとき、判別制御回路(50)が、搬送装置(15)を逆転して、その紙葉を入口(13)に返却する。
【0014】
この発明の実施の形態では、紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を紙葉センサ(16)により検出したとき、種類記憶手段(60)に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードに紙葉類識別装置(10)の判定制御回路(50)がモード切替手段(56)により切り換えられかつ処理切替手段(43)が返却モードにある場合に、判別制御回路(50)が紙葉を真紙幣と判断し、判定制御回路(50)によりその紙葉を返却する種類として選択して種類記憶手段(60)に記憶した後、搬送装置(15)を逆転して、その紙葉を入口(13)に返却する。紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を紙葉センサ(16)により検出したとき、選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路(50)がモード切替手段(56)により切り換られる場合に、判別制御回路(50)が紙葉を真紙幣と判断しかつ返却する種類でない紙葉と判断したとき、判別制御回路(50)により搬送装置(15)を正転して、搬送通路(26)に沿ってその紙葉を紙葉類識別装置(10)の出口(14)に搬送する。モード切替手段(56)は、入口(13)付近に設けられかつ選択モードを表示する信号を発生する警報器(54)を有し、判定制御回路(50)によって紙葉の種類を決定して種類記憶手段(60)にその紙葉の種類を記憶したとき、警報器(54)は、記憶の完了を知らせる信号を発生する。
【発明の効果】
【0015】
前記のように、この発明による紙葉類識別装置では、モード切替手段とその設定を記憶する種類記憶装置により紙葉の拒否又は受け取りを設定するため、拒否し又は受け取る紙葉の種類の増加に対しても、柔軟に対応することができ、基板変更等の設計を変更する必要がなく、コスト削減並びに大幅な設計工数減縮を達成できる。また、ハードウエア的でなく、ソフトウエア的に設定されるため、不用意な接触などによる設定変更などが生じる心配がなく、信頼度が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、紙幣鑑別装置に適用したこの発明による紙葉類識別装置及び紙葉類鑑別方法の実施の形態を図1〜図4について説明する。
【0017】
図1に示す通り、この発明による紙幣鑑別装置10は、ケース11と、ケース11内に形成されかつ紙幣が通過する搬送通路12と、搬送通路12の一端に設けられた入口13から挿入された紙幣を搬送通路12に沿って搬送通路12の他端に設けられた出口14に搬送する搬送装置15と、搬送通路12に隣接して配置された紙葉センサ16とを備えている。紙葉センサ16は、識別ユニット20に設けられ、赤外線式のホトカプラ等の光学センサ41と、磁気ヘッド等の磁気センサ42とを有する。また、識別ユニット20の入口13に設けられた入口センサ40は、入口13に挿入された紙幣の通過を検出して検出信号を発生する。搬送通路12の出口14に設けられた出口センサ45は、紙幣の通過を検出して、検出信号を発生する。搬送装置15は、一対のプーリ21、22と、搬送モータ38に作動連結されたプーリ22と、プーリ21、22に捲回されたベルト23とを有し、入口13に挿入された紙幣を出口14に向かって搬送する。
【0018】
識別ユニット20の出口14から排出される紙幣をスタッカ装置25に搬送する移送装置24は、識別ユニット20の搬送通路12と一致する搬送通路26と、搬送通路26に隣接して設けられた移送プーリ27、28、29、30及び31と、移送プーリ27〜31に捲回されたベルト47とを有する。3つの移送プーリ27〜29の上端は、ほぼ同一平面上に配置されるが、移送プーリ31は、搬送通路26の屈曲部26aの内側に配置され、移送プーリ27、28には、それぞれ対向して押圧ローラ32、33が配置される。搬送通路26は、屈曲部26aにおいてスタッカ装置25の図示しない入口に接続される出口26bに向かって上方に偏向され、搬送通路26を挟んで設けられた移送プーリ31は、ベルト47を搬送通路26の屈曲部26aに沿って駆動させる。移送モータ34の出力軸に接続されたピニオン35は、中間歯車36を介して移送プーリ30と一体に回転する最終歯車37に接続され、移送モータ34によって移送プーリ30が回転されるから、ベルト47は移送プーリ30によって駆動される。
【0019】
図2は、紙幣鑑別装置10に使用する電気回路図を示す。この電気回路は、紙葉センサ16の出力信号から紙幣の真偽を判定すると共に、搬送装置15を制御する判定制御回路50を有し、判定制御回路50の各入力端子には、入口13に挿入される紙幣を検出する入口センサ40と、搬送される紙幣の光学的特徴を検出する光学センサ41と、搬送される紙幣の磁気的特徴を検出する磁気センサ42と、処理切替手段としての切替スイッチ43とが接続される。また、異なる複数種の紙幣の識別データを記憶する識別データ記憶手段としてのROM(読み取り専用メモリ)52と、種類記憶手段としてのEPROM(不揮発性メモリ)60に予め記憶される紙葉の種類のうち返却する種類又は受け取る種類を選択する選択モードと、紙葉の真偽を判定する識別モードとの間で判定制御回路50を切り換えるオン・オフ状態とに切換えられるモード切替手段としてのディップスイッチ56と、ディップスイッチ56をオンに切換えることにより判定制御回路50が選択モードに切り換えられた状態で、判定制御回路50が入口13に挿入された紙幣を識別したとき、その紙幣の種類と同一種類の紙幣の受け取りを拒否又は受容することを記憶するEPROM(種類記憶手段)60とが判定制御回路50に接続される。判定制御回路50の各出力端子には、識別ユニット20内に設けられかつ搬送通路12に沿って紙幣を搬送する搬送モータ38と、移送装置24内に設けられかつ紙幣を搬送通路26に沿って出口26bへと移送する移送モータ34と、入口13付近に設けられかつ選択モードの時に点灯し、種類記憶手段にその紙葉の種類を記憶したとき、記憶の完了を知らせるため一定時間点滅する警報器としての発光ダイオード54とが接続される。切替スイッチ43がオン(受け取りモード)のとき、判定制御回路50は、種類記憶手段としてのEPROM60に記憶された紙幣と同一の種類の紙幣を受け取るが、切替スイッチ43がオフ(返却モード)のとき、判定制御回路50は、EPROM60に記憶された紙幣と同一の種類の紙幣を入口に返却する。
【0020】
ステップ100のスタートからステップ101に進み、紙幣鑑別装置10の図示しない電源スイッチがオンに切り替えると、ステップ102にて判定制御回路50の制御プログラムが初期化される。次に、ステップ103では、判定制御回路50はディップスイッチ56がオンか否か判断する。ディップスイッチ56がオンのとき、判定制御回路50は、選択モードにあり、ディップスイッチ56がオフのとき、判定制御回路50は、識別モードにある。識別モードの場合、発光ダイオード54が点灯せずにステップ105にジャンプする。ステップ103において、選択モードにする場合、操作者は、ディップスイッチ56をオンに切り替えるため、発光ダイオード54が点灯又は点滅し(ステップ104)、ステップ105に進む。
【0021】
ステップ105では、判定制御回路50は、紙幣が入口13に挿入されたか否か判断する。紙幣が入口13に挿入されると、入口センサ40は紙幣の挿入を検出し(ステップ106)、入口センサ40の検出信号に基づいて判定制御回路50は、搬送モータ38を駆動するため、搬送モータ38が正転され(ステップ107)、紙幣は、搬送通路12に沿って内側へ搬送される。次に、ステップ108にて、紙幣のサンプリング処理が行われ、光学センサ41及び磁気センサ42により、挿入された紙幣の光学的特徴及び磁気的特徴が電気信号に変換され、判定制御回路50に送出される。
【0022】
続いて、ステップ109では、判定制御回路50は選択モードか否か判断し、選択モードの場合、ステップ110に進み、判別制御回路50は、投入された紙幣が真正な紙幣か否か判断する。投入された紙幣が真正な紙幣の時、ステップ111にて、ステップ108のサンプリング処理によって処理した紙幣の種類、即ち受け取るべき金種の情報をEPROM60に記憶し、発光ダイオード54は判定制御回路50の出力により一定時間点滅する。このとき、切替スイッチ43がオンのとき、EPROM60は、記憶した紙幣と同一の種類の紙幣を受け取るものとして記憶する。その後、ステップ112において搬送モータ38を逆転し、紙幣を入口13に返却(ステップ113)した後、搬送モータ38の作動が停止される(ステップ114)。次に、ステップ115にて更に受け取るべき金種を設定する場合があるか否か判断し、更に受け取るべき金種を設定する場合は、ステップ105に戻り、設定が完了した場合は、ステップ116においてディップスイッチ56がオフに切り替えられて、判定制御回路50は、選択モードから識別モードに切換えられる。このため、判定制御回路50は、ステップ116において発光ダイオード54を消灯した後、ステップ127に進む。
【0023】
ステップ109において、ディップスイッチ56がオフ状態で識別モードの場合ステップ118に進み、判定制御回路50は投入された紙幣が真正な紙幣か否か判断する。投入された紙幣が真正な紙幣のとき、ステップ111にてEPROM60に記憶した金種と同一の金種か否かをステップ119において判断し、同一の金種の場合は、ステップ120においてゲーム機等に受取信号を発信する。また、ステップ121において移送モータ34を正転して、真正な紙幣を出口14に搬送すると共に、ステップ122においてスタッカを作動させた後、ステップ123にて搬送モータ38、移送モータ34及びスタッカの作動を停止して、ステップ127に進む。
【0024】
ステップ110、118において、紙幣を真正と判断できないとき又はステップ119において、EPROM60に記憶した金種と同一と判断できないとき、ステップ124において判定制御回路50は搬送モータ38を逆転して、紙幣を入口13に返却(ステップ124)した後、搬送モータ38を停止してステップ127に進む。
【0025】
本発明の前記実施の形態は変更が可能である。例えば、ステップ111にて、切替スイッチ43がオフのとき、EPROM60は記憶した紙幣と同一の種類の紙幣を返却するものとして記憶する。図4に示すように、ステップ111にて記憶した金種と同一の金種の紙幣であるとステップ119にて判定すると、ステップ124に進み、ステップ124にて搬送モータ38を逆転してステップ125にて紙幣を返却する。逆に、ステップ119にて記憶した金種と異なる金種の紙幣であると判定したとき、ステップ120にて紙幣を受け取るように構成してもよい。
【0026】
ディップスイッチ56の代わりにモード切替手段として、通常のスイッチ、赤外線送受信機、電波送受信機を使用することもできる。警報器として発光ダイオード54を使用する例を示したが、発光色の異なる複数の発光ダイオード等の発光素子又はブザー等の音響警報器を使用してもよい。この発明の実施の形態を紙幣鑑別装置について説明したが、紙幣以外にクーポン券、有価証券等他の紙葉にもこの発明を適用できることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】紙幣鑑別装置に適用したこの発明による紙葉類識別装置の断面図
【図2】この発明による紙幣鑑別装置の電気回路を示すブロック図
【図3】判定制御回路の動作シーケンスを示すフローチャート
【図4】判定制御回路の動作シーケンスの他の実施の形態を示すフローチャート
【符号の説明】
【0028】
10・・紙葉識別装置、 12・・搬送通路、 13・・入口、 14・・出口、 15・・搬送装置、 16・・紙葉センサ、 20・・識別ユニット、 21,22・・プーリ、 23・・ベルト、 24・・移送装置、 26・・搬送通路、 26a・・屈曲部、 26b・・出口、 27,28,29,30,31・・移送プーリ、 32,33・・押圧ローラ、 34・・移送モータ、 35・・ピニオン、 36・・中間歯車、 37・・最終歯車、 38・・搬送モータ、 40・・入口センサ、 41・・光学センサ、 42・・磁気センサ、 43・・切替スイッチ(処理切替手段)、 45・・出口センサ、 47・・ベルト、 50・・判定制御回路、 52・・ROM、 54・・発光ダイオード(警報器)、 56・・ディップスイッチ(モード切替手段)、 60・・EPROM(種類記憶手段)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類識別装置の入口に挿入される紙葉を検出する入口センサの出力に応答して、判別制御回路により搬送装置を駆動し、搬送通路に沿って紙葉を紙葉類識別装置の内側に搬送する過程と、
搬送される紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を紙葉センサにより検出する過程と、
モード切替手段により紙葉類識別装置の判定制御回路が種類記憶手段に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードに切り換えられかつ処理切替手段が受け取りモードにある場合に、紙葉センサが光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判別制御回路が真紙幣と判断したとき、種類記憶手段がその紙葉を受け取る種類として選択して記憶した後、搬送装置を逆転して、その紙葉を入口に返却する過程と、
選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路がモード切替手段により切り換られかつ紙葉センサが光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判別制御回路が真紙幣と判断しかつ受け取る種類の紙葉と判断したとき、判別制御回路により搬送装置を駆動し、搬送通路に沿って紙葉を紙葉類識別装置の出口に移動する過程と、
選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路がモード切替手段により切り換られかつ紙葉センサが光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判定制御回路が真紙幣でないと判断したとき又は種類記憶手段に受け取る種類として記憶された紙幣と同一種類でないと判断したとき、判別制御回路が、搬送装置を逆転して、その紙葉を入口に返却する過程とを含むことを特徴とする紙葉類識別方法。
【請求項2】
モード切替手段により紙葉類識別装置の判定制御回路が種類記憶手段に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードに切り換えられかつ処理切替手段が返却モードにある場合に、紙葉センサが光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判別制御回路が真紙幣と判断したとき、種類記憶手段がその紙葉を返却する種類として選択して記憶した後、搬送装置を逆転して、その紙葉を入口に返却する過程と、
選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路がモード切替手段により切り換られかつ紙葉センサが光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判別制御回路が真紙幣と判断しかつ返却する種類でない紙葉と判断したとき、判別制御回路により搬送装置を正転して、搬送通路に沿ってその紙葉を紙葉類識別装置の出口に搬送する過程とを含む請求項1に記載の紙類葉識別方法。
【請求項3】
選択モードを表示する信号を警報器によって発生する過程又は判定制御回路によって紙葉の種類を決定して種類記憶手段がその紙葉の種類を選択して記憶したとき、記憶の完了を知らせる信号を警報器によって発生する過程を含む請求項1又は2に記載の紙葉類識別方法。
【請求項4】
入口に挿入される紙葉を検出する入口センサと、入口センサの出力に応答して搬送通路に沿って紙葉を搬送する搬送装置と、搬送装置により搬送される紙葉の光学的特徴又は磁気的特徴を検出する紙葉センサと、紙葉センサの出力信号から紙葉の真偽を判定して、搬送装置を制御する判定制御回路とを有する紙葉類識別装置において、
種類記憶手段に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードと紙葉の真偽を判定する識別モードとの間で判定制御回路を切り換えるモード切替手段と、
判定制御回路に接続されて、紙葉識別装置が紙葉の種類を受け取る受け取りモード又は返却する返却モードを決定する処理切替手段と、
処理切替手段が受け取りモードにあるとき、受け取る種類の紙葉としてその種類の紙葉を選択して記憶する種類記憶手段とを備え、
モード切替手段により紙葉類識別装置の判定制御回路が種類記憶手段に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードに切り換えられかつ処理切替手段が受け取りモードにある場合に、紙葉センサが光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判別制御回路が真紙幣と判断したとき、種類記憶手段がその紙葉を受け取る種類として選択して記憶した後、搬送装置を逆転して、その紙葉を入口に返却し、
選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路がモード切替手段により切り換られかつ紙葉センサが光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判別制御回路が真紙幣と判断しかつ受け取る種類の紙葉と判断したとき、判別制御回路により搬送装置を駆動し、搬送通路に沿って紙葉を紙葉類識別装置の出口に移動し、
選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路がモード切替手段により切り換られかつ紙葉センサが光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判定制御回路が真紙幣でないと判断したとき又は種類記憶手段に受け取る種類として記憶された紙幣と同一種類でない紙幣と判断したとき、判別制御回路が、搬送装置を逆転して、その紙葉を入口に返却することを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項5】
モード切替手段により紙葉類識別装置の判定制御回路が種類記憶手段に予め記憶される紙葉の種類のうち受け取る種類又は返却する種類を選択する選択モードに切り換えられかつ処理切替手段が返却モードにある場合に、紙葉センサが光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判別制御回路が真紙幣と判断したとき、種類記憶手段がその紙葉を返却する種類として選択して記憶した後、搬送装置を逆転して、その紙葉を入口に返却し、
選択モードから紙葉の真偽を判定する識別モードに判定制御回路がモード切替手段により切り換られかつ紙葉センサが光学的特徴又は磁気的特徴を検出した紙葉を判別制御回路が真紙幣と判断しかつ返却する種類でない紙葉と判断したとき、判別制御回路により搬送装置を正転して、搬送通路に沿ってその紙葉を紙葉類識別装置の出口に搬送する請求項4に記載の紙葉類識別装置。
【請求項6】
モード切替手段は、入口付近に設けられかつ選択モードを表示する信号を発生する警報器を有し、判定制御回路によって紙葉の種類を決定して種類記憶手段にその紙葉の種類を記憶したとき、警報器は、記憶の完了を知らせる信号を発生する請求項4又は5に記載の紙葉類識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−184001(P2007−184001A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95185(P2007−95185)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【分割の表示】特願平10−149178の分割
【原出願日】平成10年5月29日(1998.5.29)
【出願人】(000230858)日本金銭機械株式会社 (43)
【Fターム(参考)】