説明

紙葉類集積装置

【課題】羽根車集積装置において搬送ベルト終端から放出された紙葉類が確実に羽根間に取込まれたのを確認することにより集積不良障害を防止できる紙葉類処理装置。
【解決手段】集積される紙葉類を検知する集積入口センサS1及び羽根基準点センサS2を配置する。羽根基準点センサS2は、搬送ベルト4によって形成される搬送面と、羽根車5a、5bの羽根先端が交差する羽根基準点TP1部分を通過する紙葉類を検知する。羽根車5a、5bは、2個の上面搬送ベルト4の内側に同軸上に配置される。羽根車回転センサS3が羽根5apを検知するタイミングで羽根基準点TP1に羽根先端が到達し、そのとき、紙葉類P1の先端が羽根車基準点TP1の直近Dmmを通過するようにすることにより紙葉類P1が確実に羽根間に集積される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施例は、有価証券などの紙葉類を判別して区分集積する紙葉類処理装置に搭載される紙葉類集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、供給部に一括して供給された紙葉類束を取出位置まで移動し、当該紙葉類束の最上面の紙葉類から1枚ずつ取出装置によって取り出して搬送し、紙葉類判別装置によって当該紙葉類の種類、真偽、正損及び搬送方向などを判別し、その判別結果に基づいて紙葉類集積装置による集積などの区分処理をする装置である。
【0003】
この種の装置は既に実用化されており、紙葉類処理装置の集積装置には羽根車集積装置が用いられる場合が多い。大量の紙葉類を高速に搬送して集積する場合、当該搬送される紙葉類を静止させるために紙葉類の運動エネルギーを吸収しながら集積庫に集積する方法として羽根車集積装置が適していることによる。
【0004】
この羽根車集積装置は、上述したように高速に搬送される紙葉類の運動エネルギーを回転する羽根間で吸収しながら所定の位置(集積庫など)に集積する手段として知られているが、回転する羽根と羽根の間に紙葉類を取込む必要があるため、搬送される紙葉類の通過を検知する第1のセンサと、羽根間に取り込まれた後、所定の時間後に内部ストッパに到達したことを検知する第2のセンサを設け、集積不良を検知する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−170649号公報(第4−5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した羽根車集積装置は、紙葉類が羽根車集積装置に取込まれる直近までは搬送ベルトによって上面及び下面搬送ベルトによって挟持搬送されるが、搬送ベルトの終端では、紙葉類が放出され、羽根間で取込む必要がある。そのため、搬送ベルト終端から放出された紙葉類を取込む羽根間には、搬送ベルトがないか又は上面搬送ベルトのみの場合が多い。
【0007】
この結果、上記特許文献1記載の羽根車集積装置では、搬送ベルト終端から放出された紙葉類の先端が羽根間に到達する直前の羽根の位置の検知が十分でないために羽根間に紙葉類が確実に取り込まれたかどうかの確認が不十分であり、集積不良などの障害が発生する場合があった。すなわち、特許文献1では、羽根間に取込まれた後に羽間の奥(ストッパ)まで正常に取込まれなかった場合の集積障害の検知を行っているが、羽根間に取込む直前の羽根と紙葉類の位置の確認を行っていなかった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、上面ベルトで形成された搬送面と羽根先端が交差する羽根基準点に羽基準点センサを配置し、当該羽基準点センサを通過する紙葉類を所定のタイミングで検知することにより、紙葉類が羽根車集積装置の羽根間に確実に取込まれたかを確認することが可能な羽根車集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類集積装置は、所定のピッチで搬送される紙葉類を搬送路の終端から放出する終端搬送路と、この終端搬送路から放出された紙葉類を回転する羽根車に取込んで集積する羽根車集積装置を備えた紙葉類集積装置であって、前記終端搬送路は、前記羽根車集積装置の羽根車の直近搬送上流に配置され紙葉類を放出する第1の搬送ローラと、この第1の搬送ローラに掛け回された第1の搬送ベルトと、前記羽根車の直近搬送下流に配置された第2の搬送ローラと、前記第1の搬送ローラに掛けられ、前記第2の搬送ローラに掛け回された第2の搬送ベルトと、前記第1の搬送ローラの直近搬送上流に配置され搬送される紙葉類を検知する集積入口センサと、前記第2の搬送ベルトによって形成される搬送面と羽根車の羽根先端が交差する羽根基準点を通過する紙葉類を検知する羽根基準点センサと、を備え、前記羽根車集積装置は、回転軸を有する円盤状体で構成され、その回転軸から周辺に向かって複数の羽根を有し、前記終端搬送路の終端から放出された紙葉類の搬送に同期して回転することにより前記羽根間で当該紙葉類を取込む羽根車と、この羽根車の羽根を検知する羽根車回転センサと、前記羽根車回転センサが前記羽根車を検知するタイミングで前記羽根基準点に羽根先端が到達し、その後、放出された紙葉類の先端が所定の許容時間後に羽根基準点を通過することを確認する確認手段と、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に係る紙葉類処理装置に搭載される紙葉類集積装置の一例
【図2】終端搬送路によって搬送される紙葉類と、羽根基準点センサ及び羽根車回転センサとの動作を説明する図
【図3】図2に示す紙葉類集積装置の動作を説明する集積入口センサ、羽根基準点センサ及び羽根車回転センサの動作を説明するタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の羽根車集積装置は、有価証券等紙葉類を処理する紙葉類処理装置の紙葉類集積装置に使用される。本実施例では、当該紙葉類処理装置によって当該処理紙葉類が所定のピッチで搬送され、紙葉類判別装置によって判別され、その判別結果に基づいて区分された紙葉類を集積するために搬送路の終端に配置される羽根車集積装置に関する。発明を実施するための形態は、以下、図面を参照して本発明の実施例に記載する。
【実施例】
【0012】
図1は、本実施例に係る紙葉類処理装置(図示しない)に搭載される紙葉類集積装置100の一例である。図1(1)は平面図で、図1(2)は正面図である。
【0013】
紙葉類Pは、当該紙葉類処理装置の搬送路上に配置された紙葉類判別装置(図示しない)によって判別され、その判別結果に基づいて区分搬送される。本実施例では、上記紙葉類判別装置によって判別された紙葉類が紙葉類集積装置100に集積される場合を説明する。
【0014】
紙葉類は、搬送路によって紙葉類集積装置100に搬送される。紙葉類集積装置100は、終端搬送路110と羽根車集積装置120を有して構成される。
【0015】
終端搬送路110は、羽根車集積装置120の入口に配置された搬送ローラ1(第1の搬送ローラ)に掛け回された2個の下面搬送ベルト2(第1の搬送ベルト2a、2bの総称)及び搬送ローラ3(第2の搬送ローラ)に掛け回された2個の上面搬送ベルト4(第2の搬送ベルト4a、4bの総称)を備え、搬送される紙葉類を搬送ローラ1の出口1aから羽根車集積装置120に向かって放出(供給)する。図示した例では、紙葉類P1が搬送ローラ1の出口1aから羽根車集積装置120に向かって放出される状態を示している。この放出された紙葉類P1は、上面搬送ベルト(第2の搬送ベルト)4(4a、4bの総称)からなる2個の搬送ベルトによって当該紙葉類の搬送方向両端部がガイドされて放出される。
【0016】
なお、第1の搬送ローラ1より上流の終端搬送路では上記下面搬送ベルト2及び上面搬送ベルト4によって上下から紙葉類が挟持されて搬送されるのは言うに及ばない。
【0017】
また、本実施例では、この終端搬送路110を通過する紙葉類を検知するために集積入口センサS1(S1a、S1bの総称)及び羽根基準点センサS2が配置されている。
【0018】
集積入口センサS1a、S1bは、搬送ベルト4の内側に配置される。この集積入口センサS1a、S1bによる検知信号は、論理和(OR)されて使用される。以下、この論理和された検知信号を集積入口センサS1による検知信号と称する。本実施例では集積入口センサS1a、S1bで示すように2個配置したが、必ず2個を必要とするものではなく、当該搬送ベルト4の中間に1個用いた場合であってもよい。2個使用することにより、例えば紙葉類の搬送方向先端の一方の角が折れて搬送された場合であっても他方の紙葉類の先端を検知することが可能になるため、当該紙葉類の誤検知を防止することができるという効果がある。
【0019】
羽根基準点センサS2は、搬送ベルト4によって形成される搬送面と、羽根車5a、5bの羽根先端が交差する羽根基準点TP1で示される搬送位置を通過する紙葉類を検知するセンサであり、投光器及び受光器からなる光学センサによって構成される。
【0020】
羽根車集積装置120には、同軸上に配置された2個の羽根車5a、5b、振動版6、一時集積庫8、掻き出し版9、底板10が備えられている。また、羽根車集積装置120を構成する羽根の回転位置を検知する羽根車回転センサS3が上記羽根基準点センサS2の回転方向上流に配置される。また、これらの各構成部分は、紙葉類集積装置を制御する集積制御部(図示しない)によって制御される。
【0021】
羽根車5a、5bは、円盤状体を有し、その中心から周辺に向かって複数の羽根を有し、同様に構成される。羽根車5a、5bはまた、2個の上面搬送ベルト4の内側に同軸上に配置される。また、この羽根車5a、5bを駆動する駆動モータ(図示しない)及び振動板6に振動を与える駆動モータ7が備えられている。
【0022】
このように構成された羽根車5a、5bは、複数の羽根が羽根車5a、5bの回転軸の周りに組み込まれて構成され、搬送されてきた紙葉類の搬送に同期して回転している。この回転する羽根間で紙葉類を受取ることによって、高速に搬送される紙葉類の搬送エネルギーを吸収することができ、当該紙葉類にダメージを与えることなく静止させ、かつ当該紙葉類を掻き出し板9で掻き出すことができる。
【0023】
このようにして掻き出された紙葉類の端面は、振動板6による振動を受けて揃えられ、一時集積庫8の底板10の上に順番に集積される。
【0024】
また、羽根車集積装置120には、羽根車5(5a、5bの総称)の羽根の回転位置を検知する羽根車回転センサS3が羽根基準点センサS2の近傍に配置される。具体的には、羽根先端(例えば、羽根5am)が羽根基準点TP1に到達したとき、羽根車回転センサS3が羽根5apを検知する位置に配置する。図1(2)は、集積入口センサS1、羽根基準点センサS2、羽根車回転センサS3、搬送ベルト4の配置位置を示す。
【0025】
図2は、終端搬送路110によって搬送される紙葉類P1、P2と、羽根車集積装置120の羽根基準点センサS2及び羽根車回転センサS3との動作を説明する図である。図3は、図2に示す紙葉類集積装置120の動作を説明するタイミングチャートで、集積入口センサS1、羽根基準点センサS2及び羽根車回転センサS3の動作タイミングを示す。以下、これらの図を参照して本実施例に係る紙葉類集積装置100の動作を説明する。
【0026】
先行して搬送される紙葉類P1及び後行して搬送される紙葉類P2は図に示す搬送ピッチで搬送される。すなわちこの羽根車集積装置120によって正常に集積されている状態では、羽根5apが羽根車回転センサS3によって検知された瞬間に、紙葉類P1の搬送方向先端が羽根車基準点TP1の直近Dmm(搬送時間に換算するとdms)まで接近し、所定の許容時間後に羽根基準点TP1に到達する。この所定時間後に到達したかどうかは、確認手段としての上記集積制御部によって確認される。その後、連続する後続の紙葉類P2が集積入口センサS1に到達する。
【0027】
搬送される紙葉類P1に対して羽根5am、5anが常にこの状態であることが確認されれば紙葉類P1は、搬送方向に放出されながら羽根5amと羽根5anの間に取込まれる。従って、図示した距離Dは、羽根5amに紙葉類P1が衝突しないための許容値で、許容時間dmsに相等する。
【0028】
以上説明した動作を図3で説明すると、羽根車回転センサS3が羽根を検知すると、羽根が羽根回転センサS3を遮る(暗にする)時間は次の羽根によって遮られる時間に比べて短いため、図示したように羽根検知センサS3の出力がインパルス状になる。この羽根検知センサS3が羽根を検知した瞬間(=t1〜t5)に羽根基準点センサS2の出力が明(=0)になっており、かつ、暗(=1)になるまでの時間t(ms)が下式(1)に示す許容範囲dmin〜dmaxの範囲に含まれる場合、正常動作が確保される。
dmin≦t≦dmax・・・・・・(1)
図示した例の場合、t1、t2、t4で羽根基準点センサS2の出力が明(=0)であり、かつ、上式(1)を満たし正常集積動作が行われる。
【0029】
一方、t3、t5では羽根基準点センサS2の出力が暗(=1)になっており、集積動作が異常状態(ジャム発生)であることがわかる。
【0030】
また、集積入口センサS1によって、紙葉類P1が検知された際、当該紙葉類P1の搬送方向の長さが計測される。
【0031】
次に、羽根車回転センサS3によって羽根5apが検知されたタイミングで羽根基準点センサS2に紙葉類P1が到達していないこと(羽根基準点センサS2が明)がチェックされる。
【0032】
次に、上式(1)に示す羽根基準点センサS2を通過する紙葉類P1の長さが再度チェックされる。この長さが当該羽根車集積装置によって集積可能な許容範囲を超える場合には、集積異常と判別され、ジャム(障害)処理に移行する。
【0033】
以上説明したように、本発明の実施例によれば、搬送される紙葉類が羽根車集積装置によって取込まれる直前まで監視することが可能になり、例えば、障害発生時であってもその後の原因追及が容易になり、もって、羽根車集積装置120の性能向上に寄与することになる。
【符号の説明】
【0034】
P、P1、P2 紙葉類
1 搬送ローラ(第1の搬送ローラ)
2 下面搬送ベルト
3 搬送ローラ(第2の搬送ローラ)
4 上面搬送ベルト
5 羽根車
100 紙葉類集積装置
110 終端搬送路
120 羽根車集積装置
TP1 羽根基準点
S1 集積入口センサ
S2 羽根基準点センサ
S3 羽根車回転センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のピッチで搬送される紙葉類を搬送路の終端から放出する終端搬送路と、この終端搬送路から放出された紙葉類を回転する羽根車に取込んで集積する羽根車集積装置を備えた紙葉類集積装置であって、
前記終端搬送路は、
前記羽根車集積装置の羽根車の直近搬送上流に配置され紙葉類を放出する第1の搬送ローラと、
この第1の搬送ローラに掛け回された第1の搬送ベルトと、
前記羽根車の直近搬送下流に配置された第2の搬送ローラと、
前記第1の搬送ローラに掛けられ、前記第2の搬送ローラに掛け回された第2の搬送ベルトと、
前記第1の搬送ローラの直近搬送上流に配置され搬送される紙葉類を検知する集積入口センサと、
前記第2の搬送ベルトによって形成される搬送面と羽根車の羽根先端が交差する羽根基準点を通過する紙葉類を検知する羽根基準点センサと、を備え、
前記羽根車集積装置は、
回転軸を有する円盤状体で構成され、その回転軸から周辺に向かって複数の羽根を有し、前記終端搬送路の終端から放出された紙葉類の搬送に同期して回転することにより前記羽根間で当該紙葉類を取込む羽根車と、
この羽根車の羽根を検知する羽根車回転センサと、
前記羽根車回転センサが前記羽根車を検知するタイミングで前記羽根基準点に羽根先端が到達し、その後、放出された紙葉類の先端が所定の許容時間後に羽根基準点を通過することを確認する確認手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類集積装置。
【請求項2】
所定のピッチで連続して搬送される紙葉類の後の紙葉類の先端が集積入口センサによって検知されたとき、先に搬送された紙葉類の先端が前記羽根基準点センサに到達しておらず、到達するまでの時間が許容範囲を超える場合に集積異常と判別することを特徴とする請求項1記載の紙葉類集積装置。
【請求項3】
前記第2の搬送ベルトは、
紙葉類の搬送方向に平行に配置した2個の搬送ベルトによって当該紙葉類の搬送方向両端部を挟持又はガイドし、
前記羽根車は、
2個配置された前記第2の搬送ベルトの内側に2個、同軸上に配置され、
前記羽根基準点センサは、
前記2個の羽根車の間に形成される羽根基準点に配置し、当該羽根基準点を通過する紙葉類を検知することを特徴とする請求項1記載の紙葉類集積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−240799(P2012−240799A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112889(P2011−112889)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】