説明

紙被覆組成物

フィルムプレス塗工法において、充填剤、結合剤及び少なくとも100,000の重量平均分子量を有する水溶性アルキレンオキシドポリマーを含んでなるコーティングカラーを用いることによって、塗工紙及び板紙の塗工重量を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願の相互参照
本出願は、2006年11月15日に出願された米国仮出願第60/859,219号明細書の利益を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、フィルムプレス紙塗工法において特に有用な紙被覆組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ブレード又はフィルムプレス法による紙塗工には、単層上部塗工重量に限度がある。この限度は、1)当業界でコーティングカラーと称される被覆組成物のレオロジー、及び2)ウェブ幅全体にわたる均一な塗工重量の適用、即ち横方向のフラットな塗工重量適用プロファイルを保証するために計量装置上に適用するのに必要な最小圧によって規定される。最新技術によって配合されるカラーに関しては、典型的な最大塗工重量限度は、フィルムプレスト工の場合は片面あたり10g/m2(gsm)、ブレード塗工の場合は15gsm/面である。塗工重量限度を超えると、横方向における塗工重量の適用は、顕著な局所欠陥又は変動を示し、一貫性のない製品品質を生じるであろう。
【0004】
この限度の実際的な妥当性は、片面当たりの望ましい総塗工重量が一重塗工限度よりも大きい場合に、一重塗工紙から二重塗工紙に又は二重塗工紙から三重塗工紙に変える必要性によって示される。
【0005】
多くの用途において、単一パスで片面当たり可能な限り大きい塗工重量を適用できることが実際には重要である。単層塗工紙の場合は、より大きい塗工重量が、一重塗工形態から二重塗工形態に変えなくても、高価な繊維の一部をより安価な材料で置き換えることを可能にする。二重及び三重塗工の場合は、それが、より高価なトップコートカラーの一部をより安価なプレコート/ミドルコートカラーで置き換えることを可能にする。
【0006】
現在の最新技術は、二重塗工紙及び三重塗工紙中のプレコートを、フィルムプレストと称されるいわゆる計量フィルムプレスを用いて両面に同時に適用するものである。フィルムプレス塗工が、それが提供する多くの利点(特に走行性に関する)のために、広く受け入れられている。しかし、フィルムプレス塗工における重大な制限は、単一パスにおいて確実に得ることができる片面当たりの最大塗工重量がかなり小さいことである。最新技術に従って配合されるカラーに関しては、この限度は10gsm/面の範囲内である。更に、この限度は、塗工速度の低下につれて減少する。塗工速度が600m/分未満〜700m/分の場合は、目的とする望ましい大きい塗工重量には、平滑な計量ロッドではなく、溝付き計量ロッドが必要である。
【0007】
溝付き計量ロッドには、1)平滑な計量ロッドよりも速く摩耗し、そして2)ロッドの磨滅時に塗工重量を維持するために被覆組成物の固形分又は溝のプロファイルを変化させる必要があるという問題がある。このため、それぞれ、1)適用塗工重量が経時的に徐々に減少し、2)カラー固形分を頻繁に変化及び調整する必要がある。結果として、溝付きロッドは定期的に変化させなければならず、且つ/又はカラーの固形分は連続的に修正しなければならず、生産時間の損失、余分な予備部品コスト及び/又は製品品質の一貫性の低下がもたらされる。更に、溝付きロッド配合物には、溝の目詰まりによる及び適用ニップにおけるロール上の均一フィルムの作成に関連する問題のために、よく知られたレオロジー粘度−固形分制限がある。
【0008】
フィルムプレス塗工においては、適用塗工重量の増加を試みる目的で、カラー配合物及び走行状態を適合させなければならないが、多くの場合これは以下のような付加的な不利益をもたらす:
・平滑計量ロッドの代わりに溝付き計量ロッドを使用しなければならず;その結果、塗工重量の調整における柔軟性が低下し、ロッドが摩耗し、多くの場合に塗工層のストリーキネス(しまむら)(streakiness)が生じる。
【0009】
・計量エレメント下で充分な流体力学的逆圧を発生させるために塗工速度を増加させなければならない。大きい目標塗工重量と相まって、後者の選択肢はひどいミスチング(misting)をもたらす。更に、オンライン塗工機の場合は、ハードウェアの制限は、例えばウェットエンド又は乾燥能率の制限のために、速度を増加できないことを意味する。
【0010】
・コーティングカラーの固形分は高い必要があり、それが多くの場合、計量ロッドにおけるブリード(bleeding)、溝の目詰まり及びストリーキネスのような走行性の問題を引き起こすであろう。
【0011】
同様に、ブレード塗工において単一パスで大きい塗工重量を達成するためには、ブレード装着角を過度に減少させる必要があるか、又はコーティングカラーの固形分を増加させなければならず、これはほとんどの場合に、指定横方向外(out of specification cross direction)の塗工プロファイル又はブリード及び縞(streaking)のような走行性の問題をもたらす。
【0012】
最新技術によれば、アクリルアミドとアクリル酸とのコポリマーは、全ての他の配合及び塗工技術パラメーターが一定でありながらより大きい最大塗工重量を適用できる程度まで、コーティングカラーのレオロジーを修正するのに使用する添加剤である。しかし、多くの場合、コーティングカラーのレオロジー改質剤としてのこれらのコポリマーの使用は、最大塗工重量をわずかしか増加させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
アクリルアミドとアクリル酸との既存のコポリマーを用いて製造される被覆組成物よりも優れた性能を有し且つ最新技術に比較してより大きい単一パス塗工重量を紙用塗工機が達成できるようにする被覆組成物が得られれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
A)100重量部の充填剤並びに、固形分として表して充填剤100重量部当たり、
B)固形分として表して3〜25重量部の結合剤及び
C)0.005〜2重量部の、少なくとも100,000の重量平均分子量を有する水溶性アルキレンオキシドポリマーを含んでなり、
少なくとも65%の固形分を有する紙及び/又は板紙用の被覆組成物。
【0015】
このような組成物を使用すると、フィルムプレス及びブレード塗工において単一パスで大きい塗工重量を適用できると共に、以下の性質:優れた塗工重量横方向プロフィール制御、優れた走行性及び優れたカバレッジ特性(coverage characteristics) の1つ又はそれ以上が得られ、典型的には他の走行パラメーターを損なわないことを見出した。
【0016】
意外なことに、この型のレオロジー改質剤を含む紙被覆組成物は、ブレード及びフィルムプレス技術を用いる紙塗工法において、アクリルアミド/アクリル酸コポリマーよりもはるかに効率的であることがわかった。例えば、予想外なことに、ブレード塗工においては、標準カラーの場合は流れが極めて乱れているのに対して、コーティングカラーへの高分子量水溶性ポリアルキレンオキシドの添加によって、ブレードによって計量しながら除去される過剰のカラーの流れが実際には層流になる傾向があることがわかった。ブレード裏側の乱流を回避することによって、より一定なブレード圧が得られ、従って高頻度のブレード装着角の変動が制限される。結果として、「バーリング(barring)」減少が著しく減少する。
【0017】
別の態様において、本発明は、A)100重量部の充填剤と、固形分として表して充填剤100重量部当たり、
B)固形分として表して3〜25重量部の結合剤及び
C)0.005〜2重量部の、少なくとも100,000の重量平均分子量を有する水溶性アルキレンオキシドポリマーを含み、
少なくとも65%の固形分を有する紙及び/又は板紙用の被覆組成物をフィルムプレスプロセスによって基材の紙又は板紙に塗工することを含んでなる、塗工紙又は板紙の製造方法である。
【0018】
本発明の方法は、予想外に改善された利益を提供する。例えばミスチング度が(全ての他の因子は等しい)、フィルム塗工に関しては、本発明の被覆組成物を用いる場合に、水溶性ポリアルキレンオキシドを用いずに配合された被覆に比較して予想外に減少する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の紙被覆組成物は、結合剤(バインダー)、充填剤及び少なくとも100,000の数平均分子量を有する水溶性アルキレンオキシドポリマーを含む。
【0020】
本発明のためには、用語「乾燥(dry)」は、液体が実質的に存在しないことを意味し、用語「乾量基準(dry basis)」は、乾燥材料の重量を意味する。例えばコーティングカラーの固形分は乾燥重量で表し、それが本質的に全ての揮発性材料が除去された後に残る材料の重量であることを意味する。
【0021】
本発明のためには、用語「コポリマー」は、少なくとも2種のモノマーから形成されたポリマーを意味する。
【0022】
本明細書中で使用する用語「紙」は、板紙(paperboard)のような構造が意図されないことが明白なことがこの用語が使用される文脈から明らかでない限り、板紙を包含する。
【0023】
被覆配合物中に使用する結合剤は有利には合成ラテックスを含む。よく知られている合成ラテックスは、1種又はそれ以上のモノマーの乳化重合によって製造されるポリマー粒子の水性分散液である。本発明のためには、結合剤が塗工紙(コート紙)の製造への使用に充分な接着性を有するようなラテックスを使用する。ラテックスは単峰性(monomodal)又は多峰性、例えば二峰性の粒度分布を有することができる。結合剤の混合物を使用できる。
【0024】
結合剤は、適正な塗工強度及び基材への接着性を紙用被覆に提供するのに充分な量で使用する。紙用被覆に使用する結合剤はよく知られており、広範囲にわたって市販されている。結合剤は有利には、水性ポリマー分散液の形態である。ポリマーは、好ましくは−40〜+50℃のガラス転移温度(Tg)を有する。結合剤のポリマーは有利にはコポリマーであるが、ホモポリマーであることもできる。これらのポリマーの形成に使用する典型的なモノマーの例は、アクリレート及びメタクリレート、アクリルニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、炭素数3〜5のエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸、炭素数3〜5のエチレン性不飽和ジカルボン酸の半エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、モノエチレン性又はポリエチレン性不飽和炭化水素、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン類、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン及びクロロプレン、ビニルエステル、ビニルスルホン酸、並びに多価アルコールに由来するエチレン性不飽和カルボン酸のエステル、例えばアクリル酸ヒドロキシプロピル及びメタクリル酸ヒドロキシプロピルである。モノマーの混合物を使用できる。
【0025】
本発明の好ましい実施態様において、結合剤はアクリレートと共にスチレン及び/又はブタジエン及び/又はアクリロニトリル並びに、エチレン性不飽和酸を含むことができる。前記酸の代わりに、他の重合性親水性化合物がコポリマー中の共重合単位として存在でき、その例はヒドロキシル含有モノマー、例えばアクリル酸ヒドロキシプロピル及びメタクリル酸ヒドロキシプロピルである。重合に使用するアクリル酸エステルは、例えば炭素数1〜12の一価アルコール、好ましくは炭素数1〜4の一価アルコールに由来することができる。これらのコポリマー中のアクリレート含量は広範囲に変動でき、例えば10〜99%であることができ、或いはアクリレートホモポリマーを使用でき、或いはアクリレート非含有ポリマーも使用できる。これらのコポリマー中のエチレン性不飽和酸の含量は、原則として10重量%以下である。適当なエチレン性不飽和酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸及びイタコン酸が挙げられる。酸モノマーの混合物を使用できる。
【0026】
ポリメタクリレートは、ポリアクリレートと同様な構造を有するが、アクリレートではなくメタクリレートを含む。しかし、アクリレート及びメタクリレートを結合剤として使用する他のエチレン性不飽和化合物と共重合させることも可能である。例えばエチレン又はプロピレンもコモノマーとして使用できる。
【0027】
更なる適当な結合剤はブタジエン及びスチレンを含むコポリマーである。これらのコポリマーは有利には20〜60重量%のブタジエン並びに40〜80重量%のスチレン及び/又はアクリロニトリルを含む。これらは好ましくは追加のコモノマー、例えば炭素数3〜5のエチレン性不飽和カルボン酸のエステルを、10重量%以下の他のエチレン性不飽和共重合性化合物、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸及びフマル酸と共に又はそれらなしで含む。
【0028】
結合剤がスチレン及びブタジエンを含む場合には、コロイド安定性、ひいては結合効率の程度を増加させるためにラテックスをカルボキシル化するのが望ましい。適当なカルボン酸モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸及びフマル酸が挙げられる。カルボン酸モノマーの混合物も前記ラテックス中に使用できる。カルボン酸モノマーの量は使用モノマーの総重量に基づき、有利には約1.5〜約4重量%、好ましくは約1.8〜約3重量%、より好ましくは約2〜約2.4重量%である。
【0029】
本発明に係る紙被覆組成物中に結合剤として使用できる更なるポリマーは、ビニルエステルに由来するもの、例えば酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルの型のもの、又は重合性炭化水素、例えばエチレン若しくはプロピレンに由来するもの、例えばビニルエステルとアクリレート及び/又はメタクリレート及び/又はアクリロニトリル並びに他の化合物(ただし、親水性であり、例えばエチレン性不飽和酸又はヒドロキシル含有モノマーである)のコポリマーである。コポリマーはまた、更に別のエチレン性不飽和化合物、例えばアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、塩化ビニル及び塩化ビニリデンを共重合単位として含むことができる。ビニルエステルのホモポリマーも使用できる。
【0030】
本発明の実施において有用な結合剤としては、例えばスチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−アクリレートラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、スチレン−無水マレイン酸ラテックス、スチレン−アクリレート−無水マレイン酸ラテックス、多糖類、タンパク質、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、セルロース及びセルロース誘導体が挙げられる。好ましい結合剤の例としては、カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス、カルボキシル化スチレン−アクリレートラテックス、カルボキシル化スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、カルボキシル化スチレン−無水マレイン酸ラテックス、カルボキシル化多糖類、蛋白質、ポリビニルアルコール及びカルボキシル化ポリ酢酸ビニルラテックスが挙げられる。多糖類の例としては、寒天、アルギン酸ナトリウム並びにデンプン、例えば変性デンプン(例えば熱変性デンプン、カルボキシルメチル化デンプン、ヒドロキシルエチル化澱粉)及び酸化デンプンが挙げられる。本発明の方法に適当に使用できるタンパク質の例としては、アルブミン、大豆タンパク及びカゼインが挙げられる。
【0031】
本発明の組成物において有用な水溶性アルキレンオキシドポリマーは、有利には、少なくとも100,000の重量平均分子量(Mw)を有するホモポリマー又はコポリマーである。水溶性アルキレンオキシドポリマーの例としては、C2〜C4アルキレンオキシドホモポリマー又はコポリマー、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブテンエポキシド及びイソブチレンオキシドのホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。アルキレンオキシドポリマーは好ましくはエチレンオキシドホモポリマー又はコポリマーを含み、ポリ(エチレンオキシド)が最も好ましいポリマーである。アルキレンオキシドポリマーのアニオン性及びカチオン性誘導体も使用できる。有利なポリ(エチレンオキシド)ポリマーの例としては、例えばThe Dow Chemical CompanyからPOLYOX WSP銘柄のポリ(エチレンオキシド)として入手可能な種々の分子量のポリマーが挙げられる。アルキレンオキシドポリマーの混合物を使用できる。
【0032】
他の有用なアルキレンオキシドポリマーは、脂環式エポキシドのホモポリマー及びコポリマー、例えば1,2−シクロヘキセンエポキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、例えば4−ビニル−1−シクロヘキセン1,2−エポキシド、エポキシシクロヘキセン又は4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキシド;ジペンテンエポキシド、不飽和グリシジルエーテル、例えばビニルグリシジルエーテル又はアルキルグリシジルエーテル;アルキルグリシジルエーテル、例えばメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル,n−ヘキシルグリシジルエーテル又はn−オクチルグリシジルエーテル;1,3−ブタジエンジエポキシド、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル又はアルキルフェニルグリシジルエーテルである。
【0033】
アルキレンオキシドコポリマーは少なくとも2種のアルキレンオキシドの混合物の重合によって生成されるランダムコポリマーであることができる。他の有用なアルキレンオキシドコポリマーは、各アルキレンオキシドのほとんど全ての消費が次のモノマーの付加の前に起こる、1個より多いアルキレンオキシドの逐次付加によって生成されるブロックコポリマーである。或いは、アルキレンオキシドコポリマーは、共重合された形態で、アルキレンオキシド及び別の共重合性モノマー、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、カプロラクトン、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,3−ジオキソラン、二酸化炭素、硫化カルボニル、テトラヒドロフラン、イソシアン酸メチル又はイソシアン化メチルを含むことができる。好ましいアルキレンオキシドコポリマーは、エチレンオキシドとエピクロロヒドリンとのコポリマー又はエチレンオキシドとシクロヘキセンオキシドとのコポリマーである。アルキレンオキシドコポリマーは、一般に、少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも70モル%、より好ましくは少なくとも85モル%のアルキレンオキシド単位を含む。最も好ましいアルキレンオキシドポリマーは、エチレンオキシドコポリマー又はより好ましくはエチレンオキシドホモポリマーである。
【0034】
水溶性アルキレンオキシドポリマーは有利には、水への溶解度が25℃、1気圧において100gの蒸留水中に少なくとも5g、好ましくは少なくとも10gである。水溶性アルキレンオキシドポリマーは有利には、100,000〜8,000,000、好ましくは400,000〜5,000,000、より好ましくは600,000〜2,000,000、最も好ましくは約800,000〜約1,000,000の重量平均分子量を有する。本発明の種々の実施態様において、水溶性アルキレンオキシドポリマーの重量平均分子量は少なくとも100,000、少なくとも400,000、少なくとも600,000又は少なくとも800,000である。本発明の種々の実施態様において、水溶性アルキレンオキシドポリマーの重量平均分子量は多くとも8,000,000、多くとも5,000,000、多くとも2,000,000又は多くとも1,000,000である。水溶性アルキレンオキシドポリマーの分子量はゲル透過クロマトグラフィーによって測定する。
【0035】
紙用被覆中に使用する顔料はよく知られており、広範囲にわたって市販されている。顔料の例としては、クレイ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カルシウムアルミニウム顔料、サテンホワイト、合成ポリマー顔料、酸化亜鉛、硫酸バリウム、石膏、シリカ、アルミナ三水和物、マイカ及び珪藻土が挙げられる。カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、サテンホワイト及び中空ポリマー顔料を含む合成ポリマー顔料が特に好ましい。顔料の混合物を使用できる。
【0036】
所望ならば、従来の添加剤を本発明の組成物中にその性質の変性のために混和できる。これらの添加剤の例としては、従来の増粘剤、分散剤、染料及び/着色剤、殺生物剤、消泡剤、光学増白剤、湿潤紙力増強剤、滑剤、保水剤、架橋剤、界面活性剤などが挙げられる。
【0037】
本発明の紙被覆組成物を製造するために、結合剤、充填剤及び水溶性アルキレンオキシドポリマーを常法によって混合することができる。紙被覆組成物の個々の成分を混合する順序は重要ではないが、被覆組成物の製造の最後に水溶性ポリマーを添加するのが有利である。水溶性アルキレンオキシドポリマーは、粉末として又は溶液として添加できるが、粉末としての直接添加は溶解が困難である得る凝集塊の形成をもたらすので、好ましくは水溶液として添加する。
【0038】
本発明の紙被覆組成物は有利には顔料100重量部当たり約3〜約25重量部の結合剤及び約0.005〜約2重量部の水溶性アルキレンオキシドポリマーを含む。好ましくは、結合剤は約4〜約16部の量で使用する。本発明の種々の実施態様において、紙被覆組成物は少なくとも3重量部、好ましくは少なくとも4重量部の結合剤を含む。本発明の種々の実施態様において、紙被覆組成物は多くとも25重量部、好ましくは多くとも16重量部の結合剤を含む。好ましくは、水溶性アルキレンオキシドポリマーは約0.01〜約0.5部、より好ましくは約0.02〜約0.2部の量で使用する。本発明の種々の実施態様において、紙被覆組成物は少なくとも0.01重量部、好ましくは少なくとも0.02重量部の水溶性アルキレンオキシドポリマーを含む。本発明の種々の実施態様において、紙被覆組成物は多くとも0.5重量部、好ましくは多くとも0.2重量部の結合剤を含む。
【0039】
被覆組成物のレオロジーは、目的とする結果に応じて、当業界で使用されるように広範囲に変化させることができ、被覆組成物の固形分は、フィルムプレス塗工機上で走行可能な任意の固形分であることができる。紙被覆組成物の固形分は有利には少なくとも50%、好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約67%、より好ましくは少なくとも約69%である。紙被覆組成物の固形分は有利には多くとも77%、好ましくは多くとも約75%、より好ましくは多くとも約73%、より好ましくは多くとも約72%である。本発明の一実施態様においては固形分は60〜75%であるが、別の実施態様においては固形分は69〜80%、好ましくは69〜72%である。紙被覆組成物は有利には約5,000cP(センチポアズ)、より好ましくは約200〜約2,000cPの粘度を有する。
【0040】
本発明の組成物は、ブレード塗工法及び/又はフィルムプレス塗工法による紙塗工において特に有用である。これらの方法は当業界でよく知られている。本発明のカラー組成物は、単一パス当たり約3〜約30gsm/面の範囲の塗工重量を適用するように設計されている。有利には、少なくとも10gsmの塗工重量をフィルムプレス塗工法によって単一パスで基材紙の少なくとも1つの面に適用する。本発明の一実施態様においては、少なくとも15gsmの塗工重量をブレード塗工法によって単一パスで基材紙の少なくとも1つの面に適用する。本発明の一実施態様の顕著な利点は、単一パス当たりの紙上の適用塗工重量は、フィルムプレス塗工の場合は10gsm超〜約20gsm/面、ブレード塗工の場合は約15〜約30gsmであることができる。これらの好ましい塗工重量値は、従来及び最新技術の紙用フィルムプレス被覆組成物を用いて得られる値よりも大きい。有利には、本発明のフィルムプレス法によって適用される平均塗工重量は、少なくとも24gsm、好ましくは少なくとも26gsm、より好ましくは少なくとも28gsmである。
【0041】
本発明の方法のウェブ基材速度は広範囲に変動できる。有利には、基材速度は少なくとも800m/分、好ましくは少なくとも1000m/分、より好ましくは少なくとも1200m/分、更に好ましくは少なくとも1300m/分、より好ましくは少なくとも1400m/分である。有利なことに、基材速度は上限が使用装置の制限によってのみ限定される。本発明の一実施態様において、基材速度は最大限で2200m/分である。
【0042】
当業者には理解されるように、フィルムプレス塗工機は、1つ又はそれ以上のアプリケーターを利用して、被覆組成物又はカラーを1つ又はそれ以上のロールの外面に移し、そして次にロールが被覆をロール表面から、紙塗工用ウェブの1つ又はそれ以上の面に移す。
【0043】
フィルムプレス塗工において、高塗工重量を高速で適用する場合には、ミスチングが問題となる。意外なことに、本発明に係る水溶性アルキレンオキシドポリマーを用いることによって、高塗工重量であってもミスチングを著しく低下させることができることがわかった。本発明の一実施態様によれば、本発明の係るコーティングカラーは、高塗工重量と高速の組合せによって、ミスチングを起こさないフィルムプレス塗工を可能にする。現在の業界の慣行は、ミスチングを回避するためには高塗工重量は低速と組み合せて走行させなければならないことを意味している。逆に、現在の慣行は、フィルムプレスの場合は、高速で走行させるためには低塗工重量しか使用できないことを意味する。
【0044】
本発明のためには、用語「ミスチング度(degree of misting)」は、g/m(紙ウェブ幅)/秒のミスト発生被覆組成物の収集質量を意味する。有利には、ミスチング度は0.050g/m−sec未満、好ましくは0.025g/m−sec未満、より好ましくは0.010g/m−sec未満、最も好ましくは0.005g/m−sec未満である。本発明のためには、用語「ミスチングへの損失%」は、適用した被覆組成物の量の重量百分率としての、ミスチングに失われた被覆組成物の量を意味する。有利には、ミスチングへの損失%は0.02%未満、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満である。
【0045】
本発明のためには、用語「プロファイルインデックス(Profile Index)」は、塗工均等度(degree of coating uniformity)を表し、以下の表VIに示されるようにして計算する。有利には、本発明の被覆組成物は、プロファイルインデックスが0.11以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下又は0.06以下となるようなフィルムプレス塗工を可能にする。
【0046】
本発明のためには、当業界における通常の知識を有する者の理解と一致して、数値範囲は、その範囲内に含まれる全ての可能な部分的範囲を含み且つサポートするものであることを理解すべきである。例えば約1〜約100の範囲は約1.01〜約100、約1〜約99.99、約1.01〜約99.99、約40〜約60、約1〜約55などを表すものである。
【実施例】
【0047】
以下の実施例は本発明を説明するために示すのであって、範囲の限定と解してはならない。特に断らない限り、全ての部及び百分率は重量基準である。
【0048】
試験方法
<ブルックフィールド粘度>
この粘度は、BROOKFIELD RVT粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,Inc,Stoughton,Massachusetts,USAから入手可能)を用いて測定する。粘度は特に断らない限り、25℃において100rpmの主軸速度で測定する。
【0049】
<紙光沢度>
紙光沢度は、ZEHNTNER ZLR−1050測定器を入射角75°で用いて測定する。
【0050】
<紙粗度(roughness)>
塗工紙表面の粗度は、Parker PrintSurf粗度試験機を用いて測定する。塗工紙のサンプルシートを、コルク−メリネックスプラテン(cork-melinex platen)と測定ヘッドとの間に1,000kPaの締め付け圧で固定する。圧縮空気を測定器に400kPaで供給し、測定ヘッドと塗工紙表面の間の空気の漏れを測定する。より高い数字は、より高い塗工紙表面粗度を示す。
【0051】
<インキ光沢度>
試験は、Pruefbau Test Printingユニット上でLorrilleux Red Ink No.8588を用いて実施する。0.8g/m2(又は別々に1.6g/m2)の量のインキを、スチール印刷ディスクを用いて、長いゴム裏引き層のあるプラテン上に取り付けられた塗工紙試験ストリップに適用する。インキ適用圧は1,000Nであり、速度は1m/sである。印刷されたストリップを20℃において最小室内湿度55%で12時間乾燥させる。次いで、光沢度をZEHNTNER ZLR−1050測定器上で入射角75°で測定する。
【0052】
<ドライピック抵抗性(Dry Pick Resistance)(IGT)>
この試験は、紙表面がべとつかずにインキ転移を受ける能力を測定する。試験は、IGT Reprotest BVから市販されているA2型印刷適正試験機上で実施する。塗工紙ストリップ(4mm×22mm)に、振り子駆動システム及びReprotest BV製の高粘度試験油(赤)によってインクを塗ったアルミニウムディスクを用いて36Nの印刷圧で印刷する。印刷の完了後、塗膜がべとつきを示し始める距離に、立体顕微鏡下で印を付ける。次いで、印を付けた距離を、IGT速度曲線に移し、対応する駆動曲線から速度(cm/s)を読み取る。
【0053】
<ウェットピック>
試験は、湿潤室を装着したPruefbau Test Printingユニット上で実施する。印刷インキ(紙の全体的ウェットピック抵抗性に応じて、Hueber 1、2、3又は4)500mm3を分配器上で2分間分配させ;各印刷後、60mm3のインキを再び塗る。加硫ゴム印刷ディスクを分配器上に15秒間置くことによって、それにインクを塗る。次いで、蒸留水10mm3を、湿潤室で適用し、ゴムロール全体に分配させる。塗工紙ストリップをゴム裏引き層のあるプラテン上に取り付け、印刷圧600N及び印刷速度1m/sで印刷する。塗工紙の中央ストリップが、湿潤室を通過する際に水の試験ストライプで湿潤される。湿潤室から出てきた直後に同じ試験ストリップについて印刷を行う。ゴム裏引き層のあるプラテン上に固定された塗工紙試験ストリップ上で、印刷ディスクのオフプリントを行う(印刷圧400N)。両試験ストリップ上のインキ濃度を測定し、下記式に使用する:
【0054】
インキ転移(Xと定義)=(B/A)*100%
インキ拒絶(Yと定義)=((100*D−X*C)/100*A)*100%、及び
ウェットピック(Zと定義)=100−X−Y%
[式中、Aは、第1塗工試験ストリップの非湿潤面ストライプ上のインキ密度であり、
Bは、第1塗工試験ストリップの湿潤中央ストライプ上のインキ密度であり、
Cは、第2塗工ストリップ上のオフプリントに関する面ストライプ上のインキ密度であり、
Dは、第2塗工ストリップ上のオフプリントに関する中央ストライプ上の密度である。
【0055】
<インキパイリング(Ink Piling)>
インキパイリングをPruefbau印刷適正試験機上で試験する。紙ストリップに、商標名Huber Wegschlagfarbe No.520068で市販されているインキを印刷する。500mm3の出発量をインキ分配ロールに適用する。スチール印刷ディスクに、インキ容量が60mm3となるようにインキを塗付する。塗工紙ストリップを、ゴム裏引き層のあるプラテン上に取り付け、インキを塗付したスチールディスクを用いて速度1.5m/s及び印刷圧800Nで印刷する。10秒の遅延時間後、紙ストリップに、インキを同様に60mm3含む加硫ゴム印刷ディスクを用いて印刷圧800Nで再印刷する。塗工紙ストリップの表面が破断するまで、この操作を繰り返す。塗工紙表面を破断させるのに必要な印刷パスの数が、紙の表面強度の尺度である。
【0056】
<インキモットリング(Ink Mottling)>
この試験は、印刷むらの程度を評価するために行う。Pruefbau Test Printingユニット上で紙ストリップに、商標名Huber Wegschlagfrabe NO.520068として市販されている試験インキを印刷する。最初に、インキ250mm3をスチールロールで適用する。次いで、湿潤層を除去するために、乾燥加硫ゴムロールを用いて3回のパスを行う。モットリングの評価のために、このストリップをOnly Solutions GmbH製のMottling Viewer Softwareを用いてデジタル解析する。最初に、このストリップを走査し、走査をグレースケールに変換する。次いで、グレースケール強度の偏差を、0.17mm、0.34mm、0.67mm、1.34mm、2.54mm、5.1mm及び10.2mmの幅に関して7つの異なる解像度において測定する。これらの測定値から、モトル値(MV)を計算する。結果は印刷むらの程度を示す。数字が大きいほど印刷むらがひどい。
【0057】
<塗工重量>
塗工重量は、ベータ線Krypton 85放射線源及び検出器を含むオンライン装置(Measurexから入手可能)によって測定する。シートを通過する放射線の量はシートの坪量に比例する。ベータ線の透過度を、塗工の前後で測定して、差によって塗工重量を測定できるようにする。塗工重量測定装置の応答は、予備実験で各原紙/無機顔料系組合せについて、塗工重量の読み取り値を絶乾塗工重量と比較することによって較正する。絶乾塗工重量は、オーブン中で110℃において30分間乾燥後における原紙と塗工紙の重量差を計算することによって求める。この方法を用いて、被覆を紙の両面に同時に適用すると、総塗工重量のみを求めることができる。
【0058】
塗工重量プロファイルは、塗工走行中に放射線源及び検出器走査が紙の横方向を横切るという事実によって得られる。
【0059】
材料
以下の材料を被覆組成物の製造に使用する:
・カーボネート(A):<2μmの粒径が60%の炭酸カルシウムの水中分散液(Pluess-Stauffer,Oftringen,Switzerlandから入手可能なHYDROCARB(登録商標)60),固形分78%。
・カーボネート(B):<2μmの粒径が90%の炭酸カルシウムの水中分散液(Pluess-Staufferから入手可能なHYDROCARB(登録商標)90),固形分78%。
・クレイ(A):<2μmの粒径が90%の高白色度クレイの水中分散液(Engelhard,USA製のULTRAWHITE),固形分71%。
・クレイ(B):高白色度Brazilianクレイの水中分散液(Imerys,St.Austell,Englandから入手可能なCAPIM SP),固形分68%。
・ラテックス(A):カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス(The Dow Chemical Company,Midland,Michigan,USAから入手可能なXZ94362),水中固形分50%。
・ラテックス(B):カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス(The Dow Chemical Company,Midland,Michigan,USAから入手可能なDL966),水中固形分50%。
・ラテックス(C):カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス(The Dow Chemical Company,Midland,Michigan,USAから入手可能なXZ96467.00),水中固形分50%。
・デンプン: 熱加水分解変性コーンスターチ,40℃における25%溶液のブルックフィールド粘度(100rpm)=185mPa.s(Cerestar,Krefeld,Germanyから入手可能なC−FILM07311)。
・PVOH: 低分子量合成ポリビニルアルコール(Kuraray Specialties Europe,Frankfurt,Germanyから入手可能なMOWIOL(登録商標)6/98),固形分23%の溶液として調製。
・CARBOWAX PEG400: ポリエチレングリコール(The Dow Chemical Company,Midland USAから入手可能),濃度100%。
・CMC:低分子量カルボキシメチルセルロース(CPKelco,Aanekoski,Finlandから入手可能なFF10)。
・STEROCOLL BL:アクリルアミドアクリル酸コポリマーの油中水型の逆分散液,固形分35%,BASF,Germanyから入手可能。
・種々の銘柄のPOLYOX WSR: 種々の分子量のポリ(エチレンオキシド)(概算分子量100,000のPOLYOX WSR N−10;概算分子量200,000のPOLYOX WSR N−80;概算分子量400,000のPOLYOX WSR N−3000;概算分子量600,000のPOLYOX WSR−205;概算分子量900,000のPOLYOX WSR−1105,The Dow Chemical Company,Midland,Michigan,USAから入手可能)。これらの例の場合、POLYOX WSRは、以下の手法に従って調製した4%活性水溶液として使用する:1)POLYOX WSR粉末1部をCARBOWAX PEG400 2部に撹拌しながら加えることによって、POLYOX WSR及びCARBOWAX PEG400のスラリーを調製し;2)水溶液の重量に基づき4%のPOLYOX WSR溶液を得るために、得られた混合物を水に加える。
・OBA:ジアミノ−スチルベンジスルホン酸に由来する螢光増白剤(Ciba Specialty Chemicals Inc.Basel,Switzerlandから入手可能なTINOPAL(登録商標)ABP/Z)。
・原紙A:木材非含有,58gsm。
・原紙B:木材含有,42gsm。
・原紙C:木材非含有プレコート,原紙坪量75gsm及び塗工重量10gsm/面をフラッドニップ(flooded nip)及び硬質ブレードで適用。
【0060】
被覆製造方法
前記成分を、種々の例に関連して組成表中に示した量で混合する。顔料着色被覆配合物のpHを、NaOH溶液(10%)の添加によって8.5に調整する。配合物の固形分を調整するために必要に応じて水を加える。
【0061】
操作条件
配合物を、前計量フィルムプレス及びブレード適用法に関連する以下の手法に従って紙上に塗工する。
【0062】
フィルムプレス塗工に関しては、前計量フィルムプレス装置を用いて、カラーを供給室によって適用し且つ直ちにアプリケーターロール上に計量供給し、次いで紙の該当面にニップを通してから転移させる。供給室は、片面に供給される全幅室(full width chamber)であり、横方向に均一で安定な流れ分布を提供するように特別に設計されている。用語「横方向」は、基材紙面の方向、又は基材紙面と平行な方向であって、基材紙の移動方向に垂直な方向を意味する。
【0063】
アプリケーターロールは、33−38+/−5 P&J硬度のポリウレタン被覆を含むステンレス鋼磨きロールである。全ロール直径は1200mmである。計量装置は平滑なロッドであり、片面が電動機で駆動される。ロッド直径は15、25又は35mmである。ロッドをロッドホルダー中に取り付ける。ロッドホルダーはポリウレタン又はポリエチレンである。ロッドをアプリケーターロール上に空気圧によって押圧して、カラーの厚さを測定し、修正する。ロッド圧は80kPaから300kPaまでの範囲である。実験を、1000〜1500m/分の塗工速度で行う。アプリケーターロールに液圧で荷重をかける。ニップ圧は15〜30kN/mであり、塗工機上の紙の不安定性及びしわを避けるために調整する。適用塗工重量の均一性を全適用のプロファイルによって測定し、オンライン品質スキャナ制御システムによって連続的に記録する。実験を種々の目標塗工重量においてロッド圧を変えながら行う。対応する塗工プロファイルを促成し、記録する。他の実験を一定のロッド圧で行う。各ロッド圧についてのプロファイル及び平均塗工重量を測定し、記録する。
【0064】
ブレード塗工の場合は、カラーを走行ウェブ上に過剰に適用し、次いでブレードで計量する。この適用システムは、カラーパン中に浸された(flooded)アプリケーターロールであることもできるし、或いは自由噴流(free jet)であることもできる。しかし、これらの走行の場合には、供給ライン上に脱気システムを使用しながら、自由噴流を用いる。全ての走行について、噴流の衝突角及びノズル開口部を50°及び0.85mmの一定に保持する。計量エレメントは、従来のブルースチールの硬質ブレードである。ブレードの寸法は76mm×高さ16mm×厚さ0.4mmである。塗工ヘッド角は35〜45°である。実験の間中、ブレード装着角(blade loading angle)を8°から24°まで変化させながら、ブレード圧を変化させる。用語「ブレード角」は、基材又はその近傍における角度を意味し、用語「ブレード装着角」はクランプにおけるブレードの角度を意味する。実験を800〜1400m/分の塗工速度で行う。適用塗工重量の均一性を、適用プロファイルによって測定する。一部の実験は、ブレード装着角を変えながら、種々の目標塗工重量で行う。該当する塗工プロファイルを記録する。他の実験を一定の装着角で行う。各ブレード装着角についての平均プロファイル及び塗工重量を記録する。
【0065】
ハードウェア供給元によって定義されるように、用語「塗工ヘッド角」は、塗工ヘッドの作用角(working angle)を意味する。塗工ヘッド角は、基材又は基材近傍におけるブレード先端部の傾斜角度に等しく、従ってブレード角とも称する。「ブレード装着角」は、ブレードが紙上に引き起こしている圧力の尺度である:より小さいブレード装着角は、より低い圧力(従ってより大きい塗工重量)を意味し、より大きいブレード装着角はより高い圧力(従ってより小さい塗工重量)を意味する。
【0066】
コーティングカラー組成物、原紙並びに塗工装置の走行条件及び設定値についての詳細は、各例中に示す。
【0067】
実施例1:フィルムプレス塗工;平均塗工重量の増加及び横方向プロファイルの改善
実施例1は、高塗工重量の場合は、フィルムプレス塗工における横方向プロファイルの制御に対する本発明の組成物のプラスの効果を示す。実験の目標は、総塗工重量(両面)25gsmのプレコートをフィルムプレスによって塗工速度1300m/分未満、理想的には1000m/分未満で適用することである。直径25mmの平滑ロッド及び原紙Aを用いる。
【0068】
実施例1の場合は、一定の塗工速度について、計量ロッド圧を調整して、平均総塗工重量が25gsmに達するように試みる。ロッド圧を低下させることによって、平均塗工重量は増加するが、横方向プロファイルは悪化する。横方向プロファイルが許容され得なくなる場合には、平均総塗工重量が目標以下であっても、ロッド圧はそれ以上低下させない。
【0069】
以下の実施例1−1及び1−2並びに比較実験1−A及び1−Bの結果を表Iに要約する。
【0070】
比較実験1−A(本発明の実施値態様ではない)
より高い塗工重量を可能にするために作られた特殊成分を含まないカラーF4が対照である。カラーの剪断粘度を調整するために、低分子量CMCであるFF10を用いる。平均塗工重量25gsmに達することができるためには、塗工速度は、目標速度より速い1500m/分まで増加させなければならない。ロッド圧は0.8バールまで減少させなければならない。
【0071】
得られた横方向プロファイルは非常に悪く、最大及び最小塗工重量はそれぞれ29.3gsm及び19gsmである。即ち、塗工重量の極値の差は10gsmである。横方向プロファイルは放物形であり、中央部においては縁端部よりもはるかにカラーが多かった。この悪い横方向プロファイルは、低すぎてウェブ幅の全体にわたる均一且つ一定のロッド制御を保証できないロッド圧に関係する。より低いロッド圧の使用によってより高い「平均」塗工重量に到達できるであろうが、プロファイルは更に悪くなるであろう。このカラーの場合、1500m/分の塗工速度の場合に良好な横方向プロファイルを保つためには、平均塗工重量は合計20gsmを超えることができない。
【0072】
比較実験1−B(本発明の実施態様ではない)
コーティングカラーF1は、高塗工重量用の参照カラーであり、最新技術に従って配合し、0.03部(乾燥/乾燥)のSTEROCOLL BLを含む。
【0073】
1300m/分においては、横方向プロファイルは平均塗工重量21.8gsm(即ち目標値より約3gsm少ない)の場合は依然として許容され得る。この極限値間の塗工重量差は約3gsmである。この速度及び平均塗工重量の場合は、ロッド圧は1.5バールである。1300m/分においては、ロッド圧を0.6バールに低下させると、平均塗工重量は23.2gsmまで増加するが、プロファイルが許容され得なくなる。
【0074】
実施例1−1
カラーF2は、0.05部のPOLYOX WSR 1105を含む。1300/分においては、26gsmの平均塗工重量の場合であっても優れた横方向プロファイルが得られる。極限値間の塗工重量差はわずか1.5gsmである。プロファイルはまた、横方向において、カラーF1の場合の23.2gsmの総塗工重量プロファイルよりもはるかに良好である、即ちより均一である。
【0075】
ロッド圧は3バールである。この意外にも高い値は、POLYOX WSR 1105を用いた場合のカラーのレオロジー性によってもたらされ、ウェブ幅全体にわたって一定で安定なロッド制御を可能にする。
【0076】
実施例1−2
カラーF3は0.03部のPOLYOX WSR 1105を含む。1300m/分及びロッド圧1.7バールにおいて、25gsmの平均塗工重量に達すると共に横方向プロファイルが良好である。極値間の塗工重量の差は3gsmである。このプロファイルもまた、カラー1の場合の23.2gsmカラーF1の総塗工重量プロファイルよりもはるかに優れている。
【0077】
1000m/分及びロッド圧0.8バールにおいては、平均塗工重量は25.2であると共にプロファイルが良好であり;極限値間の塗工重量差は4gsmである。カラーF3の更なる利点は、低下した速度でそれが目標塗工重量を減少でき且つニップ出口において発生するミスチングがより少ないことである。1000m/分においては、ミスチングがほとんどない。
【0078】
【表1】

【0079】
実施例1によって示されるように、ポリ(オキシレンオキシド)はカラーのレオロジー特性を修正し、ロッドの動圧の著しい増加を可能にする。目標塗工重量を計量するためにはロッド圧を増加させなければならない。ロッド上にカラーによって適用される増加した動圧は、紙ウェブ幅全体にわたってより均一なロッド制御を保つのに役立ち、その結果として横方向プロファイルが改善される。
【0080】
ポリ(エチレンオキシド)を用いることによって、1000m/分ほどの低速であっても合計25gsmの目的塗工重量に到達できたが、最新技術に従って配合されたカラーF1の場合は、塗工速度は少なくとも1300m/分でなければならなかった。また、カラーF4の場合は速度は1500m/分より速くする必要がある。これは、本発明が既存のオンライン塗工装置上で使用できることを示している。
【0081】
1000m/分の低速の使用を意外にも可能にするPOLYOX WSR 1105を用いることによって、ミスチングを生じない走行が可能である。参照カラーF1又はF4に関しては、目標塗工重量を得るのに高速が必要であるので、ミスチングが非常に顕著である。
【0082】
実施例2:フィルムプレス塗工;POLYOX WSR 1105によって与えられるロッド圧の増加
【0083】
実施例2は、ポリ(エチレンオキシド)のロッド圧への効果をより詳細に説明する。コーティングカラーF6〜F9は、種々の量のPOLYOX WSR 1105を含む以外はカラーF5と同様である。実施例2の結果を表IIに示す。
【0084】
【表2】

【0085】
実施例2は、横方向プロファイルを考慮に入れずに、POLYOX WSR 1105のロッド圧に対する効果に焦点を合わせる。この実施例においては、フィルムプレスで紙の片面にのみ塗工を行う。指定塗工速度において所定の目標塗工重量に到達するために、ロッド圧を調整する。最大ロッド圧において実際の塗工重量が目標値より大きい場合には、より小さい直径の計量ロッドを使用する。
【0086】
これらの実験の全てにおいて、POLYOX WSR 1105の添加はロード(road)の著しい増加を可能にする。多くの場合、ロッドに対する動圧の増加は非常に大きいので、カラーF5に用いたロッドに比較して、より直径の小さいロッドを使用しなければならない。POLYOX WSR 1105含量が高いほど、ロッド圧が高い。ロッド圧に対する著しい効果は、POLYOX WSR 1105が0.01部の場合であっても見られる。
【0087】
実施例3:フィルムプレス塗工;転移ロールに対するコーティングカラーフィルム均一性に対するPOLYOXの効果
【0088】
実施例3においては、転移ロール上で計量されるコーティングカラーフィルムの均一性に対するPOLYOX WSR 1105の効果を調べる。塗工重量に到達するように、計量ロッド圧を調整する。転移ロールに対する湿潤コーティングカラーフィルムの分布の均一性を目視評価する。
【0089】
【表3】

【0090】
この実施例の場合は、目視評価によって、POLYOX WSR 1105 0.07部を含むカラーがフィルムプレスロール上により均一に分布されている。
【0091】
実施例4及び5:ブレード塗工;ブレード圧及び塗工重量に対するPOLYOX WSR 1105の影響
【0092】
実施例4及び5は、一定ブレード装着角に関する塗工重量増加に対するPOLYOX WSRのプラスの効果を示す。
【0093】
参照は、より大きい塗工重量を可能にするための特定成分を含まないカラーF12及びF13である。カラーの剪断粘度を調整するために、CMCを使用する。
【0094】
カラーF17は、より大きい塗工重量に達するために配合された参照カラーであり、最新技術によって配合し、STEROCOLL BLを0.05部(乾燥/乾燥)含む。
【0095】
カラーF14、F15及びF16は本発明に従って配合し、POLYOX WSR 1105を0.05部含む。
【0096】
指定塗工速度について、これらのカラーを2つのモードで走行させる。一定ブレード装着角において、得られる平均塗工重量及び横方向プロファイルに対するカラー配合の影響を検討する。一定の平均塗工重量において、目標塗工重量に達するのに必要なブレード装着角を測定する。必要ならば、最大荷重角度(25°)において塗工重量が依然として目標値より大きい場合には、塗工ヘッド角も変える。
【0097】
本発明の範囲は、低い一定ブレード装着角の場合の実験によって最も良く説明される。実際に、この実施例に使用する塗工機の場合には8°である、走行可能な最低ブレード装着角の場合に最大塗工重量に到達する。
【0098】
実施例4は、42gsmのLWC原紙(原紙B)上における塗工を検討する。実施例5は、プレコートベース(原紙C)上におけるブレード塗工の場合を検討する。実施例4及び5の結果をそれぞれ表IV及びVに要約する。
実施例4;LWCブレード塗工
【0099】
【表4】

【0100】
コーティングカラー中にPOLYOX WSR 1105を0.05部用いることによって、意外なことにブレード上の動圧を増加させることができ、(1)同じ目標塗工重量の場合にはより大きいブレード装着角;又は(2)同じブレード装着角の場合にははるかに大きい塗布重量がもたらされる。
【0101】
一定速度の場合には、8°のブレード装着角(最低ブレード装着角)において、POLYOX WSR 1105を0.05部含むカラーF14(本発明に係る)は、既存の最新技術に従って配合されたカラーF17に対比して30%大きい塗工重量を与える。
【0102】
目標塗工重量が大きい場合は、POLYOX WSR 1105 0.05部の使用によって、横方向プロファイルのより良好な制御及び湿潤ブリードの減少/回避がもたらされる。
【0103】
ブレード塗工におけるブレードに対する動圧の増加は、フィルムプレス塗工の場合のロッド圧の増加と一致している。
【0104】
実施例5:プレコート紙上のブレード塗工
【0105】
【表5】

【0106】
コーティングカラー中にPOLYOX WSR 1105を0.05部用いることによって、ブレードに対する動圧が非常に増加し、(1)同じ目標塗工重量の場合にはより大きいブレード装着角;又は(2)同じブレード装着角の場合にははるかに大きい塗布重量がもたらされる。
【0107】
一定速度の場合は、8°のブレード装着角(最低ブレード装着角)において、POLYOX WSR 1105を0.05部含むカラーF14(本発明に係る)は、カラーF12に対比して35%大きい塗工重量を与える。
【0108】
目標塗工重量が大きい場合は、POLYOX WSR 1105 0.05部の使用によって、横方向プロファイルのより良好な制御及び湿潤ブリードの減少/回避がもたらされる。
【0109】
実施例6:フィルムプレス塗工;一定走行条件における種々の分子量のポリ(エチレンオキシド)の効果
【0110】
【表6】

【0111】
「デルタ」は、CWmaxとCWminとの差である。「プロファイルインデックス」は、デルタを総塗工重量で割ることによって計算する。F21の場合には、プロファイルインデックスは2.4/28.2=0.09である。プロファイルインデックスが低いほどフラットな塗工プロファイル及びより均一な塗工を示す。
【0112】
実施例6は、適用する総塗工重量に対する種々の分子量の異なるポリ(エチレンオキシド)の効果を示す。
【0113】
実験の目的は、フィルムプレスによって、フラットで安定な横方向塗工プロファイルを保持しながら、従来のプレコート組成物を適用することである。プロファイルを、平均値並びにmax値及びmin値として記録する。これらの少なくとも2つの値の差は、プロファイルの横方向均一性を示す。本発明のためには、用語「塗工重量デルタ」又は「デルタ」は、前記方法に従って測定された塗工重量を用いた所定の塗工プロファイルに関する最大塗工重量と最小塗工重量の差(gsm)である。
【0114】
一貫性のある比較を行うために、走行条件を全ての実験及び配合物について一定に保持する。
【0115】
塗工速度は一定の1000mpmであり、直径25mmの平滑ロッドが計量装置であり、あらゆる種類のプロファイルの悪化を回避するために両方ロッド圧を最大レベル(3bar)に保つ。原紙Aを用いる。
【0116】
カラーF18が基本配合物である。適用する総塗工重量は、走行固形分が高いにもかかわらず、極めて低い。
【0117】
カラーF19は、高塗工重量のための参照カラーであり、最新技術に従って配合し、高分子量アクリルアミド/アクリル酸コポリマー(Sterocoll BL)0.035部(乾燥/乾燥)を含む。適用される塗工重量は、約16gsmまで著しく増加し、プロファイルは良好である。
【0118】
カラーF20はF19と同様であるが、2倍量のSterocoll BLを含む。塗工重量に対する効果は、前よりも更に大きく(23.3gsm)、プロファイルは良好である。
【0119】
カラーF21は、POLYOX WSR 1105を0.05部含む。適用される塗工重量は、最新技術の添加剤を用いて得られるよりも著しく大きく、28gsm超に達する。プロファイルは極めてフラットである。
【0120】
カラーF22は、POLYOX WSR 205を0.05部含む。適用される塗工重量は、最新技術の添加剤を用いて得られるよりも著しく大きく、28gsm超に達する。プロファイルは極めてフラットである。
【0121】
カラーF23は、POLYOX WSR N−3000を0.05部含む。適用される塗工重量は、最新技術の添加剤を用いて得られるよりも著しく大きく、25gsmに達する。プロファイルは極めてフラットである。
【0122】
カラーF24は、POLYOX WSR N−80を0.05部含む。塗工重量(17.6gsm)は、推奨添加レベルにおいて、最新技術の添加剤を用いて得られるよりもやはりわずかに大きい。プロファイルは良好である。
【0123】
カラーF25は、POLYOX WSR N−10を0.05部含む。塗工重量は11.4gsmまで低下し、プロファイルは良好である。
【0124】
実施例6によって示されるように、ポリ(エチレン)オキシドは、コーティングカラーのレオロジー特性を修正し、ロッドの一定動圧において塗工重量を著しく増加させる。
【0125】
分子量は本発明において基本的な役割を果たす。200,000の低い分子量は、先行技術の製品よりもよく働く。600,000〜900,000の分子量は、先行技術の製品(これらを通常量の2倍で使用する場合でも)よりも著しくよく働く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)100重量部の充填剤並びに、固形分として表して充填剤100重量部当たり、
B)固形分として表して3〜25重量部の結合剤及び
C)0.005〜2重量部の、少なくとも100,000の重量平均分子量を有する水溶性アルキレンオキシドポリマーを含んでなり、
少なくとも65%の固形分を有する紙及び/又は板紙用の被覆組成物。
【請求項2】
前記水溶性アルキレンオキシドポリマーが少なくとも400,000の平均分子量を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水溶性アルキレンオキシドポリマーが400,000〜5,000,000の平均分子量を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記水溶性アルキレンオキシドポリマーが600,000〜2,000,000の平均分子量を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記水溶性アルキレンオキシドポリマーがポリ(エチレンオキシド)である前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリ(エチレンオキシド)が少なくとも400,000の平均分子量を有する請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリ(エチレンオキシド)が400,000〜5,000,000の平均分子量を有し且つ結合剤が合成ラテックスを含む請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
A)100重量部の充填剤並びに、固形分として表して充填剤100重量部当たり、
B)固形分として表して3〜25重量部の結合剤及び
C)0.005〜2重量部の、少なくとも100,000の重量平均分子量を有する水溶性アルキレンオキシドポリマーを含み、少なくとも65%の固形分を有する紙被覆組成物を、
フィルムプレスプロセスによって基材紙又は板紙に塗工することを含んでなる、塗工紙又は塗工板紙の製造方法。
【請求項9】
少なくとも10gsmの塗工重量を単一パスで基材の少なくとも一方の面に適用する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
一面当たり10〜20gsmの塗工重量を単一パスで基材に適用する請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記水溶性アルキレンオキシドポリマーが600,000〜2,000,000の平均分子量を有する請求項8、9又は10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記水溶性アルキレンオキシドポリマーが約800,000〜約1,000,000の平均分子量を有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が少なくとも66%の固形分を有する請求項8〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が少なくとも67%の固形分を有する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が少なくとも68%の固形分を有する請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が少なくとも69%の固形分を有する請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記基材速度が少なくとも800m/分であり、前記方法を、少なくとも28gsmの平均塗工重量が基材紙又は板紙に単一パスで適用されるような条件下で実施し、且つプロファイルインデックスが0.11以下である請求項8に記載の方法。
【請求項18】
同一の又は異なる被覆組成物を基材の2つの面に同時に適用する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ミスチング度が0.025g/m−sec未満である請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記プロファイルインデックスが0.11以下である請求項8に記載の方法。

【公表番号】特表2010−510399(P2010−510399A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537354(P2009−537354)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/084781
【国際公開番号】WO2008/061177
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】