説明

紡糸巻取設備

【課題】装置高さを低くして設備を小型化したと共に、巻取機近傍を簡素化することで設備を簡素化した紡糸巻取設備を提供する。
【解決手段】紡績機10から紡出される複数本の糸条1を上方から下方に向けて供給し、1台の巻取機22のボビンホルダ軸23に装着される複数本のボビン21のそれぞれに同時に巻き取るようにする紡糸巻取設備100であって、巻取機22の直前に複数個の糸送りローラ(各糸送りローラ30・31)を配置し、紡出機10から紡出される複数本の糸条1を、複数にグループ化された状態(各糸群2・3)で巻取機22の直前に配置する複数の糸送りローラ(各糸送りローラ30・31)のそれぞれのローラに供給し、複数の糸送りローラ(各糸送りローラ30・31)を経由してそれぞれのボビン21に分配して巻き取る紡糸巻取設備100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡糸機から紡出される複数本の糸条を、複数のローラを介して、巻取機で巻き取るようにした紡糸巻取設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紡糸巻取設備としては、巻取機の直前に配置される糸送りローラが、1台の巻取機に対して1個設けられており、紡糸された複数本の糸条の全てをその1個の直前の糸送りローラで拡散させて、一台の巻取機に装着される複数のボビンで巻き取るものがある(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示す紡糸巻取設備では、直前の糸送りローラから巻取機に装着されるボビンへの糸の拡がり角度(糸送りローラからボビンへの糸道と、上下方向とのなす角)が所定角度より大きくなると、糸条を拡散するためのガイドに対する糸条の摩擦が大きくなり、複数のボビン間の糸品質のばらつきに影響するため、当該糸の拡がり角度を所定角度以下としている。
【0004】
一方、従来の紡糸巻取設備の他の例としては、巻取機の直前に配置される糸送りローラが、一台の巻取機に対して複数個設けられており、紡糸機から紡出される複数本の糸条を分配して、各糸送りローラから1台の巻取機に装着される前記複数本の糸条と同数のボビンへ導いて巻き取るように構成されているものがある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−285972号公報
【特許文献2】特表2005−534825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す紡糸巻取設備において一台の巻取機に装着させるボビン数を増加させると、ボビンホルダーが長くなると共に、1個の糸送りローラで拡散させる糸条の本数が増加して、1個の糸送りローラで複数の糸条を拡散させる幅が広くなるため、前記糸の拡がり角度が所定角度より大きくなる。そこで、特許文献1に示す紡糸巻取設備においては、前記糸の拡がり角度を所定角度以下にするために、巻取機から直前の糸送りローラまでの距離を延ばさざるを得ない。そのため、装置高さが高くなり、設備が大型化するという問題点があった。そして、設備が大型化することにより、設備を設置するための建屋のコストアップ、糸掛け等の作業性の低下、設備を設置する建屋内の空調のコストアップ、という問題点があった。
【0006】
一方、特許文献2に示す紡糸巻取設備においては、糸送りローラでの糸の拡散を複数個の糸送りローラで分担して行うため、1個の糸送りローラで拡散する糸条の本数が減少して、1個の糸送りローラで複数の糸条を拡散させる幅が狭くなり、一台の巻取機に装着させるボビン数を増大させても前記糸の拡がり角度を所定角度以下にすることができる。そのため、巻取機から直前の糸送りローラまでの距離を延ばす必要が無く、設備を小型化することは可能である。しかしながら、紡糸機と、巻取機の直前に配置される糸送りローラとの間に、紡糸機から紡出される糸条を引き取るための糸送りローラを別途設ける必要があるため、巻取機近傍に糸送りローラが密集し、紡糸巻取設備が複雑になるという問題点があった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決すべくなされたものであり、装置高さを低くして紡糸巻取設備を小型化すると共に、巻取機近傍を簡素化することで紡糸巻取設備を簡素化した紡糸巻取設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、第1の発明に係る紡糸巻取設備は、
紡績機から紡出される複数本の糸条を上方から下方に向けて供給し、1台の巻取機のボビンホルダ軸に装着される複数本のボビンのそれぞれに同時に巻き取るようにする紡糸巻取設備であって、
前記巻取機の直前に複数個の糸送りローラを配置し、
前記紡出機から紡出される複数本の糸条を、複数にグループ化された状態で前記巻取機の直前に配置する複数の糸送りローラのそれぞれのローラに供給し、前記複数の糸送りローラを経由してそれぞれのボビンに分配して巻き取るものである。
【0010】
第2の発明に係る紡糸巻取設備は、第1の発明に係る紡糸巻取設備において、
前記巻取機の直前に配置する複数の糸送りローラは、前記ボビンホルダ軸の軸心方向に間隔を空けて配置され、前記複数本の糸条の全部又は一部の糸群を構成する第1糸群と第2糸群とを前記巻取機に送り出す、第1糸送りローラと第2糸送りローラとを少なくとも含み、
前記第1糸送りローラは、前記第1糸群を前記紡糸機から引き取って前記第2糸送りローラへ送り出すと共に、前記第2糸送りローラから送り出される前記第2糸群を引き取って前記巻取機へ送り出すように回転し、
前記第2糸送りローラは、前記第2糸群を前記紡糸機から引き取って前記第1糸送りローラへ送り出すと共に、前記第1糸送りローラから送り出される前記第1糸群を引き取って前記巻取機へ送り出すように回転し、
前記巻取機は、前記第1糸送りローラから送り出されて拡散される前記第2糸群と、前記第2糸送りローラから送り出されて拡散される前記第1糸群と、を前記ボビンに巻き取るものである。
【0011】
第3の発明に係る紡糸巻取設備は、第2の発明に係る紡糸巻取設備において、
前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラは互いに逆回転し、且つ、
前記第1糸送りローラは、前記紡糸機から引き取る前記第1糸群を前記第1糸送りローラの下部を案内させながら前記第2糸送りローラへ送り出すと共に、前記第2糸送りローラから引き取る前記第2糸群を前記第1糸送りローラの上部を案内させながら前記巻取機へ送り出すように回転し、
前記第2糸送りローラは、前記紡糸機から引き取る前記第2糸群を前記第2糸送りローラの下部を案内させながら前記第1糸送りローラへ送り出すと共に、前記第1糸送りローラから引き取る前記第1糸群を前記第2糸送りローラの上部を案内させながら前記巻取機へ送り出すように回転するものである。
【0012】
第4の発明に係る紡糸巻取設備は、第2又は第3の発明に係る紡糸巻取設備において、
前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラは、前記第1糸群と接する接糸部分の摩擦係数と、前記第2糸群と接する接糸部分の摩擦係数とが相対的に異なるものである。
【0013】
第5の発明に係る紡糸巻取設備は、第2から第4の発明のいずれか1つの発明に係る紡糸巻取設備において、
前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラは、前記第1糸群と接する接糸部分のローラ径と、前記第2糸群と接する接糸部分のローラ径とが相対的に異なるものである。
【0014】
第6の発明に係る紡糸巻取設備は、第2から第5の発明のいずれか1つの発明に係る紡糸巻取設備において、
前記第1糸群及び前記第2糸群を前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラへ糸掛けする時に、前記第1糸群及び前記第2糸群を一時的に預けておくための糸掛け補助ガイドを設けるものである。
【0015】
第7の発明に係る紡糸巻取設備は、第2から第6の発明のいずれか1つの発明に係る紡糸巻取設備において、
前記第1糸送りローラと前記第2糸送りローラとの間に、又は前記第1糸送りローラ又は前記第2糸送りローラと前記巻取機との間に、前記糸条へ交絡部を形成するインターレースを設けるものである。
【0016】
第8の発明に係る紡糸巻取設備は、第2から第7の発明のいずれか1つの発明に係る紡糸巻取設備において、
前記紡糸機の紡出部の下方に、前記糸条へ油剤を付与するオイリング装置を設けるものである。
【0017】
第9の発明に係る紡糸巻取設備は、第8の発明に係る紡糸巻取設備において、
前記オイリング装置の糸送り方向下流側に、前記糸条へガスを噴射するマイグレーションノズルを設けるものである。
【0018】
第10の発明に係る紡糸巻取設備は、第2から第9の発明のいずれか1つの発明に係る紡糸巻取設備において、
前記紡糸機の紡出部の下方に、前記糸条の糸切れ時における前記糸条の落下を防止するシャッターを設けるものである。
【0019】
第11の発明に係る紡糸巻取設備は、第2から第10の発明のいずれか1つの発明に係る紡糸巻取設備において、
前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラを駆動するためのインバータを共通にするものである。
【0020】
第12の発明に係る紡糸巻取設備は、第2から第11の発明のいずれか1つの発明に係る紡糸巻取設備において、
前記紡糸機は、前記ボビンホルダ軸の軸心方向に沿って配置される紡出部を具備し、
前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラが、前記紡出部から紡出される前記複数本の糸条の全部又は一部の糸群を構成する第1糸群と第2糸群とを前記巻取機へ送り出すものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0022】
第1の発明においては、巻取機の直前の糸送りローラでの糸の拡散を複数の糸送りローラで分担して行うため、1個の糸送りローラで拡散する糸条の本数が減少して、1個の糸送りローラにおける複数の糸条の拡散の幅が狭くなり、一台の巻取機に装着させるボビン数を増大させても前記糸条の拡がり角度を所定角度以下にすることができる。このため、複数のボビン間での糸品質のばらつきを抑制して糸品質を確保することができる。また、巻取機から直前の糸送りローラまでの距離を延ばす必要が無くなるため、装置高さが低くなり設備を小型化することができる。従って、設備を設置するための建屋のコストダウン、糸掛け等の作業性の向上、設備を設置する建屋内の空調のコストダウン、ができる。
【0023】
第2の発明においては、それぞれの糸送りローラが、紡糸機から紡出される糸条を引き取る機能と、糸条を巻取機へ送り出す機能とを兼ね備えることとなるため、紡糸機と、巻取機の直前に配置される糸送りローラとの間に、紡糸機から紡出される糸条を引き取るための糸送りローラを別途設ける必要がない。このため、巻取機近傍に糸送りローラが密集することがなく、紡糸巻取設備を簡素化することができる。
【0024】
第3の発明においては、それぞれの糸送りローラが、紡糸機から紡出される糸条を確実に引き取ることができると共に、他の糸送りローラから送り出される糸条を引き取って巻取機へ確実に送り出すことができる。
【0025】
第4の発明においては、糸送りローラにおいて、糸群の引き取り部分における接糸部分と、糸群の送り出し部分における接糸部分とで摩擦係数を変更することで、糸条に掛かる張力を最適なものとし、良好な糸品質が確保できて安定した糸条の巻き取りが可能となる。
【0026】
第5の発明においては、糸送りローラにおいて、糸群の引き取り部分と糸群の送り出し部分とでローラ径を変更することで、糸条に掛かる張力を最適なものとし、良好な糸品質が確保できて安定した糸条の巻き取りが可能となる。
【0027】
第6の発明においては、各糸送りローラに糸掛けをする際に、前記糸条を一時的に預けておくことができるため、糸掛け作業を容易に行うことできる。
【0028】
第7の発明においては、各糸送りローラ間、又は各糸送りローラと巻取機との間に配置されるインターレースにより糸道を固定できるので安定した糸の巻き取りが可能となる。
【0029】
第8の発明においては、オイリング装置を巻取機から離して設置することができるため、巻取機近傍を簡素化できる。
【0030】
第9の発明においては、マイグレーションノズルを巻取機から離して設置することができるため、巻取機近傍を簡素化できる。
【0031】
第10の発明においては、シャッターを巻取機から離して設置することができるため、巻取機近傍を簡素化できる。
【0032】
第11の発明においては、糸送りローラの制御が容易となり、部品点数を減らせるため、コストを削減することができる。
【0033】
第12の発明においては、糸品質を一定に保ちつつ、紡糸機を糸送りローラに対してより低い位置に配置することができる。また、紡糸機から紡出される複数本の糸条を均等に分けて糸送りローラへ供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の第1実施形態に係る紡糸巻取設備100について図面に基づいて説明する。図1Aは、本発明の第1実施形態に係る紡糸巻取設備100の正面図、図1Bは、本発明の第1実施形態に係る紡糸巻取設備100の側面図、図2は、紡糸巻取装置20の斜視図、図3は、紡糸巻取装置20の側面図である。尚、以下の説明において、重力の作用方向を上下方向とし、後述する巻取機22に備えるボビンホルダ軸23の軸心方向を前後方向とし、ボビンホルダ軸23の駆動装置26と連結されている一方側を後側、他方側を前側とする。また、前側から巻取機22を見て、上下方向と、前後方向と、に直交する方向を左右方向とする。
【0035】
図1A、図1Bに示すように、紡糸巻取設備100は、主に、複数本の糸条1を紡出する紡糸機10と、紡糸機10から紡出される糸条1を巻き取る紡糸巻取装置20と、から構成されている。
【0036】
紡糸機10は、合繊原料をチップホッパー(図示せず)から投入し、押出機(図示せず)及びプレフィルター(図示せず)を介して紡出部11へ供給し、紡出部11を構成するスピニングヘッド12から複数本の糸条1を紡出して、紡糸巻取装置20へ供給するものである。
【0037】
図2及び図3に示すように、紡糸巻取装置20は、主に、巻取機22と、第1糸送りローラ30と、第2糸送りローラ31と、から構成されている。
【0038】
図2、図3に示すように、巻取機22は、紡糸機10から紡出される糸条1を複数のボビン21に巻き取るものである。巻取機22は、複数のボビン21が装着されるボビンホルダ軸23と、ボビン21上に形成されるパッケージ24に接触して回転する接触ローラ(図示せず)と、各ボビン21に巻き取られる各糸条1をトラバースする複数台のトラバース装置25・25・・・と、前記接触ローラ及びトラバース装置25・25・・・を駆動する駆動装置26と、を具備する。
【0039】
図1A、図1B、図2、図3に示すように、各糸送りローラ30・31は、巻取機22の上方でボビンホルダ軸23の軸心方向に間隔を空けて巻取機22の直前に配置され、スピニングヘッド12から紡出される複数本の糸条1を構成する第1糸群2及び第2糸群3を引き取ると共に、引き取った各糸群2・3を巻取機22に送り出すものである。つまり、各糸送りローラ30・31は、各糸群2・3を引き取る機能と送り出す機能とを兼ね備えている。
【0040】
具体的には、第1糸送りローラ30は、各糸群2・3と接する接糸部分を有する第1ローラ部30bを備え、第1ローラ部30bが固定される回転軸である第1ローラ軸30aを具備しており、紡糸機10から紡出される第1糸群2を引き取ると共に、第2糸送りローラ31から送り出される第2糸群3を引き取り、巻取機22へ送り出す。
【0041】
一方、第2糸送りローラ31は、各糸群2・3と接する接糸部分を有する第2ローラ部31bを備え、第2ローラ部31bが固定される回転軸である第2ローラ軸31aを具備しており、紡糸機10から紡出される第2糸群3を引き取ると共に、第1糸送りローラ30から送り出される第1糸群2を引き取り、巻取機22へ送り出す。
【0042】
各糸送りローラ30・31は、各ローラ軸30a・31aが、巻取機22のボビンホルダ軸23に対して直交するように、且つ水平に設けられている。また、各糸送りローラ30・31は、各ローラ部30b・31bの軸心方向長さが略同一であり、互いのローラ周面が対向するような位置に配置されている。
【0043】
また、各糸送りローラ30・31は、互いに逆方向に回転している。第1糸送りローラ30は、第1モータユニット32によって回転駆動されると共に、第1モータユニット32がフレーム70に支持固定されることで、第1モータユニット32によって間接的にフレーム70に支持されている。一方、第2糸送りローラ31は、第2モータユニット33によって回転駆動されると共に、第2モータユニット33がフレーム70に支持固定されることで、第2モータユニット33によって間接的にフレーム70に支持されている。
【0044】
各モータユニット32・33は、インバータ71に接続され、インバータ71から電力が供給される。つまり、インバータ71は、各糸送りローラ30・31を回転駆動する各モータユニット32・33用のインバータとして共用されている。インバータ71は、各モータユニット32・33の駆動を同一に制御することで、各糸送りローラ30・31の回転速度が同一となるようにしている。
【0045】
図1A、図1Bに示すように、紡糸巻取装置20の上方には紡糸機10が配置されている。紡糸機10は、複数本の糸条1を紡出する紡出部11を具備する。紡出部11は、糸条1を紡出する複数の孔であるスピナーレット(図示せず)を有するスピニングヘッド12を具備する。スピニングヘッド12は、紡糸巻取装置20のボビンホルダ軸23の軸心方向と直交する方向(紡糸巻取設備100の左右方向)に配置されている。詳しくは、スピニングヘッド12の底面に設けられるスピナーレットが、ボビンホルダ軸23の軸心方向と直交する方向に略直線状に配列されるように、スピニングヘッド12が配置される。
【0046】
また、図1A、図1Bに示すように、紡糸機10を構成する紡糸部11の下方には、オイリング装置40と、マイグレーションノズル50と、シャッター60と、が設けられている。
【0047】
オイリング装置40は、ガイド等との摩擦を低減し、帯電の防止や柔軟性等を与えるための油剤を糸条1に供給する装置である。
【0048】
マイグレーションノズル50は、オイリング装置40により糸条1に付与された油剤を均一にマイグレーションするために、糸条1の流れに適度な乱れを起こすものである。
【0049】
シャッター60は、これを可動させることで断糸した糸条1の落下を防止するものであり、シャッター60の近傍に設けられる吸入口へ断糸を押しやって排除するものや、外気温度の変化に従って開度を調整して紡出部11の温度コントロールをするものもある。
【0050】
このように、オイリング装置40、マイグレーションノズル50、及びシャッター60を紡糸機10の紡出部を構成するスピニングヘッド12の下方に設けることで、紡糸巻取装置20の巻取機22近傍が簡素化できる。
【0051】
尚、オイリング装置40、マイグレーションノズル50、及びシャッター60の配置は、オイリング装置40、マイグレーションノズル50、シャッター60の順に限定されるものではなく、機能上、オイリング装置40の糸送り方向下流側にマイグレーションノズル50が配置される必要があるのみである。また、これら全てが紡出部11の下方に設けられる必要は無く、例えば、シャッター60のみを紡出部11の下方に配置し、残りのオイリング装置40及びマイグレーションノズル50を各糸送りローラ30・31の直前に配置する構成としても構わない。
【0052】
次に、紡糸機10から各糸送りローラ30・31によって引き取られ、巻取機22へ送出される各糸群2・3の糸道について説明する。図4Aは、各糸送りローラ30・31の平面図、図4Bは、第1糸群2の糸道及び各糸送りローラ30・31の側面図、図4Cは、第2糸群3の糸道及び各糸送りローラ30・31の側面図、である。
【0053】
紡糸機10のスピニングヘッド12から紡出される複数本の糸条1は、紡糸機10と各糸送りローラ30・31との間で、第1糸群2、及び第2糸群3に分配される。左右方向に略一列に並んだ状態で紡出される第1糸群2、及び第2糸群3のうち、第1糸群2は第1糸送りローラ30によって、第2糸群3は第2糸送りローラ31によって、紡糸機10から引き取られる。つまり、図1A、図1B、図2に示すように、各糸群2・3は、スピニングヘッド12から紡出された後、各糸条1同士の距離を狭めつつ、第1糸群2は第1糸送りローラ30の回転方向に沿うように、第2糸群3は第2糸送りローラ31の回転方向に沿うように、それぞれ導かれることになる。
【0054】
図4A、図4Bに示すように、第1糸送りローラ30へ導かれる第1糸群2は、第1糸送りローラ30の第1ローラ部30bの基端側部分30c(第1ローラ部30bの第1モータユニット32側)、第2糸送りローラ31の第2ローラ部31bの基端側部分31c(第2ローラ部31bの第2モータユニット33側)に導かれる。
【0055】
具体的には、第1糸群2は、第1糸送りローラ31の図示左側から第1糸送りローラ30の基端側部分30cに進入し、第1糸送りローラ30の回転方向(図示反時計回り)に沿って第1糸送りローラ30の下部を通って、第2糸送りローラ31の基端側部分31cへ進入する。そして、第1糸群2は、第2糸送りローラ31の回転方向(図示時計回り)に沿って第2糸送りローラ31の上部を通って、第2糸送りローラ31の図示右側で拡散され、各糸条1は下方の巻取機22へ導かれる。
【0056】
一方、図4A、図4Cに示すように、第2糸送りローラ31へ導かれる第2糸群3は、第2糸送りローラ31の第2ローラ部31bの先端側部分31d、及び第1糸送りローラ30の第1ローラ部30bの先端側部分30dを通る。
【0057】
具体的には、第2糸群3は、第2糸送りローラ31の図示右側から第2糸送りローラ31の先端側部分31dに進入し、第2糸送りローラ30の回転方向(図示時計回り)に沿って第2糸送りローラ31の下部を通って、第1糸送りローラ30の先端側部分30dへ進入する。そして、第2糸群3は、第1糸送りローラ30の回転方向(図示時計回り)に沿って第1糸送りローラ30の上部を通って、第1糸送りローラ30の図示左側で糸条1として拡散され、下方の巻取機22へ導かれる。
【0058】
このように、第1糸群2は、各糸送りローラ30・31の基端側部分30c・31cにおいて引き取り及び送り出しがなされ、第2糸群3は、各糸送りローラ30・31の先端側部分30d・31dにおいて引き取り及び送り出しがなされるため、各糸送りローラ30・31の各ローラ部30b・31bにおいて、各糸群2・3が干渉することがない。
【0059】
各糸送りローラ30・31から巻取機22へ供給される糸条1は、巻取機22へ供給される前に、インターレースを行う。インターレース63は、各糸送りローラ30・31と巻取機22との間に設けられ、インターレースノズル(図示せず)の空気噴射によって糸条1に部分的な交絡部を形成させることで糸条1を構成するフィラメントを相互に絡み合わせて集束性を付与する。尚、インターレース63は、張力を掛けた糸条1に対して処理を行うことができれば良いため、その配置は、各糸送りローラ30・31と巻取機22との間に限定されず、各糸送りローラ30・31間の糸条1の糸道に配置しても構わない。
【0060】
図2、図3に示すように、インターレース63を通過した糸条1は、綾振り支点ガイド25aを介してトラバース装置25へ供給される。その後、糸条1はトラバース装置25によりトラバースされ、ボビンホルダ軸23に装着されるボビン21に巻き取られる。
【0061】
次に、本発明の第2実施形態に係る紡糸巻取設備100について説明する。尚、以下の説明において、第1実施形態に係る紡糸巻取設備100と同一の構成については、符号を同一とし、構成の説明は省略する。図5は、本発明の第2実施形態に係る紡糸巻取設備100の各糸送りローラ30・31の平面図である。
【0062】
図5に示すように、第1糸送りローラ30は、第1糸群2と接する接糸部分の摩擦係数と、第2糸群3と接する接糸部分の摩擦係数と、が相対的に異なるように第1ローラ部30bのローラ周面が表面処理されている。
【0063】
具体的には、第1糸送りローラ30の第1ローラ部30bのローラ周面において、第1ローラ部30bの第1糸群2と接する接糸部分であって、第1糸群2を紡糸機10から引き取る部分(引取部分)に該当する基端側部分30cを、糸条1に対する摩擦係数が大きくなる鏡面仕上げとし、第1ローラ部30bの第2糸群3と接する接糸部分であって、第2糸群3を巻取機22へ送り出す部分(送出部分)に該当する先端側部分30dを、糸条1に対する摩擦係数が小さくなる梨地仕上げとする。
【0064】
同様に、図5に示すように、第2糸送りローラ30は、第1糸群2と接する接糸部分の摩擦係数と、第2糸群3と接する接糸部分の摩擦係数と、が相対的に異なるように第2ローラ部31bのローラ周面が表面処理されている。
【0065】
具体的には、第2糸送りローラ31の第2ローラ部31bのローラ周面において、第2ローラ部31bの第2糸群3と接する接糸部分であって、第2糸群3を紡糸機10から引き取る部分(引取部分)に該当する先端側部分31dを、糸条1に対する摩擦係数が大きくなる鏡面仕上げとし、第2ローラ部31bの第1糸群2と接する接糸部分であって、第1糸群2を巻取機22へ送り出す部分(送出部分)に該当する基端側部分31cを、糸条1に対する摩擦係数が小さくなる梨地仕上げとする。
【0066】
このように、引取部分を摩擦係数が大きくなる鏡面仕上げとするのは、各ローラ部30b・31bのローラ周面を糸条1に対して滑りにくい状態とすることで、各糸送りローラ30・31の回転駆動力を糸条1へ確実に伝達するためである。また、送出部分を摩擦係数が小さくなる梨地仕上げとするのは、巻取機22における糸条1の張力変動を緩和させるためである。
【0067】
尚、各ローラ部30b・31bのローラ周面の表面処理は、鏡面仕上げ、及び梨地仕上げに限定されるものではなく、第1糸送りローラ30については、第1糸群2と接する部分のローラ周面の摩擦係数が、第2糸群3と接する部分のローラ周面の摩擦係数より大きくなるように、第2糸送りローラ31については、第2糸群3と接する部分のローラ周面の摩擦係数が、第1糸群2と接する部分のローラ周面の摩擦係数より大きくなるように、各ローラ部30b・31bのローラ周面を表面処理すれば、表面処理方法は特に限定されない。また、糸種によっては摩擦係数が逆になる場合もある。
【0068】
次に、本発明の第3実施形態に係る紡糸巻取設備100について説明する。尚、以下の説明において、第1及び第2実施形態に係る紡糸巻取設備100と同一の構成については、符号を同一とし、構成の説明は省略する。図6Aは、本発明の第3実施形態に係る紡糸巻取設備100の各糸送りローラ30・31の平面図、図6Bは、本発明の第3実施形態に係る紡糸巻取設備100の第1糸群2の糸道及び各糸送りローラ30・31の側面図、図6Cは、本発明の第3実施形態に係る紡糸巻取設備100の第2糸群3の糸道及び各糸送りローラ30・31の側面図、である。
【0069】
図6A、図6Bに示すように、第1糸送りローラ30は、第1糸群2と接する接糸部分のローラ径と、第2糸群3と接する接糸部分のローラ径とが相対的に異なる。具体的には、第1糸送りローラ30の第2糸群3と接する接糸部分であって、第2糸群3を巻取機22へ送り出す部分(送出部分)に該当する先端側部分30dのローラ径が、第1糸送りローラ30の第1糸群2と接する接糸部分であって、第1糸群2を紡糸機10から引き取る部分(引取部分)に該当する基端側部分30cのローラ径より大きくなっている。
【0070】
同様に、図6A、図6Cに示すように、第2糸送りローラ31は、第1糸群2と接する接糸部分のローラ径と、第2糸群3と接する接糸部分のローラ径とが異なる。具体的には、第2糸送りローラ31の第1糸群2と接する接糸部分であって、第1糸群2を巻取機22へ送り出す部分(送出部分)に該当する基端側部分31cのローラ径が、第2糸送りローラ31の第2糸群3と接する接糸部分であって、第2糸群3を紡糸機10から引き取る部分(引取部分)に該当する先端側部分31dのローラ径より大きくなっている。
【0071】
このように、送出部分のローラ径を引取部分のローラ径より大きくするのは、各糸群2・3の送出部分における各糸送りローラ30・31の周速を、各糸群2・3の引取部分における各糸送りローラ30・31の周速より速くするためである。
【0072】
尚、第4実施形態に係る紡糸巻取設備100の各糸送りローラ30・31を、第3実施形態に係る紡糸巻取設備100の各糸送りローラ30・31と同様に、各ローラ部30b・31bのローラ周面のうち、各糸群2・3の引取部分を鏡面仕上げとし、各糸群2・3の送出部分を梨地仕上げとする表面処理を行うと共に、梨地仕上げを行った部分のローラ径を鏡面仕上げを行った部分のローラ径より大きくしてもよい。
【0073】
次に、本発明の第4実施形態に係る紡糸巻取設備100について説明する。尚、以下の説明において、第1から第3実施形態に係る紡糸巻取設備100と同一の構成については、符号を同一とし、構成の説明は省略する。図7Aは、本発明の第1実施形態に係る紡糸巻取設備100(スピニングヘッド12がボビンホルダ軸23の軸心方向と直交する方向に配置される紡糸巻取設備100)の正面図、図7Bは、本発明の第4実施形態に係る紡糸巻取設備100の正面図、図7Cは、本発明の第4実施形態に係る紡糸巻取設備100の側面図、図8は、本発明の第4実施形態に係る紡糸巻取設備100の糸送りローラ30・31の側面図である。
【0074】
図7B、図7Cに示すように、第4実施形態に係る紡糸巻取設備100において、紡糸機10の紡出部11を構成するスピニングヘッド12は、紡糸巻取装置20の巻取機22に備えるボビンホルダ軸23の軸心方向(紡糸巻取設備100の前後方向)に沿って配置されている。詳しくは、スピニングヘッド12の底面に設けられるスピナーレットが、ボビンホルダ軸23の軸心方向に略直線状に配列されるように、スピニングヘッド12が配置される。
【0075】
図8に示すように、スピニングヘッド12から各糸送りローラ30・31へ供給される際、各糸群2・3は、各糸送りローラ30・31に対して進入角度Bで各糸送りローラ30・31に進入する。ここで進入角度Bは、スピニングヘッド12から各糸送りローラ30・31への糸道と、水平方向とがなす角度をいう。
【0076】
この進入角度Bは、スピニングヘッド12がボビンホルダ軸23の軸心方向に沿って配置される(図7B、図7C)ことで、スピニングヘッド12がボビンホルダ軸23の軸心方向と直交する方向に配置される場合(図7A)と比べて大きくなる。このため、スピニングヘッド12がボビンホルダ軸23の軸心方向に沿って配置される(図7B、図7C)ことで、各糸群2・3が各糸送りローラ30・31へ進入する際の各糸群2・3に掛かる張力が最適なものとなり、糸条1の品質を一定に保つことができる。
【0077】
また、スピニングヘッド12をボビンホルダ軸23の軸心方向に沿って配置することで(図7B、図7C)、スピニングヘッド12がボビンホルダ軸23の軸心方向と直交する方向に配置される場合(図7A)と比べて、紡糸機10を紡糸巻取装置20に対してより低い位置に配置することができる。また、スピニングヘッド12から紡出される糸条1を均等に分けて各糸送りローラ30・31へ供給することができる。
【0078】
次に、本発明の第5実施形態に係る紡糸巻取設備100について説明する。尚、以下の説明において、第1から第4実施形態に係る紡糸巻取設備100と同一の構成については、符号を同一とし、構成の説明は省略する。図9は、本発明の第5実施形態に係る紡糸巻取設備100の側面図である。
【0079】
図9に示すように、第5実施形態に係る紡糸巻取設備100は、2個以上の複数の糸送りローラが、巻取機22の上方であってボビンホルダ軸23の軸心方向に沿って間隔を空けて巻取機22の直前に配置されている。具体的には、第1糸送りローラ30、第2糸送りローラ31、第3糸送りローラ35、及び第4糸送りローラ36の4個の糸送りローラが、巻取機22の上方であってボビンホルダ軸23の軸心方向に沿って間隔を空けて巻取機22の直前に配置されている。
【0080】
第5実施形態に係る紡糸巻取設備100に設けられる各糸送りローラは、ボビンホルダ軸23の前側(ボビンホルダ軸23の先端側)に配置される第1糸送りローラ30から第2糸送りローラ31、第3糸送りローラ35、第4糸送りローラ36の順で間隔を空けて配置されている。
【0081】
各糸送りローラ30・31・35・36は、ボビンホルダ軸23の前側(ボビンホルダ軸23の先端側)に配置される第1糸送りローラ30から2個毎に糸送りローラ群を形成する。具体的には、第1糸送りローラ30と、第1糸送りローラ30に対向する第2糸送りローラ31と、により第1糸送りローラ群37が形成され、第2糸送りローラ31に対向する第3糸送りローラ35と、第3糸送りローラ35に対向する第4糸送りローラ36と、により第2糸送りローラ群38が形成される。
【0082】
次に、第5実施形態に係る紡糸巻取設備100における糸条1の糸道について説明する。図9に示すように、スピニングヘッド12から紡出される複数本の糸条1は、紡糸機10と、各糸送りローラ30・31・35・36と、の間で4等分にグループ化され、第1糸群2、第2糸群3、第3糸群4、及び第4糸群5を構成する。
【0083】
各糸群2・3・4・5は、各糸群2・3の組、及び各糸群4・5の組、の2組の糸群の組にさらにグループ化される。そして、各糸群2・3の組は第1糸送りローラ群37へ、各糸群4・5の組は第2糸送りローラ群38へ、それぞれ供給される。
【0084】
第1糸送りローラ群37へ供給される各糸群2・3は、第1糸群2が第1糸送りローラ30によって、第2糸群3が第2糸送りローラ31によって、それぞれ紡糸機10から引き取られる。
【0085】
同様に、第2糸送りローラ群38へ供給される各糸群4・5は、第3糸群4が第3糸送りローラ35によって、第4糸群5が第4糸送りローラ36によって、それぞれ紡糸機10から引き取られる。
【0086】
このように、各糸群2・3・4・5は、糸送りローラ群37・38に分けられ、対応する糸送りローラによって紡糸機10から引き取られる。その後の第1糸送りローラ群37、及び第2糸送りローラ群38内における各糸群の糸道は、第1から第4実施形態に係る紡糸巻取設備100の糸道、すなわち、第1糸送りローラ30と第2糸送りローラ31のみを設けた場合の糸道と同様である。
【0087】
各糸送りローラによって引き取られた各糸群2・3・4・5は、各糸送りローラ30・31・35・36において、紡糸巻取設備100の前後方向に一本ずつの糸条1に拡散され、拡散された一本ずつの糸条1が巻取機22へ供給される。この時、糸条1の拡がり角度(糸拡がり角度A)は、糸品質を一定に保つ上で、垂直線に対して所定の角度以下(例えば、20度以下)となっている。
【0088】
次に、紡糸機10から各ボビン21に至るまでの各糸条1の糸掛けについて、第1実施形態を用いて説明する。
【0089】
まず、図1Aに示すように、作業者は、作業用ステップ90に立ち、スピニングヘッド12から紡出される第1糸群2をサクション装置に吸引しながら保持させた状態で、サクション装置を操作することにより第1糸送りローラ30に掛け、そのまま第2糸送りローラ31にS字状に掛け渡す。そして第2糸送りローラ31の後方にあるフレーム70に設けられた糸掛け補助ガイド64に一時的に第1糸群2を預ける。
【0090】
その後、スピニングヘッド12から紡出される第2糸群3を吸引しながら保持し、第2糸送りローラ31から第1糸送りローラ30へS字状に掛け渡して第1糸送りローラ30前方に位置する糸掛け補助ガイド64に預ける。その後、第1糸群2の糸条1をインターレース63を介して、トラバース装置25を構成する綾振り支点ガイド25aに導く。そして、第2糸群3の糸条1をインターレース63を介して、トラバース装置25を構成する綾振り支点ガイド25aに導く。
【0091】
このように糸掛け補助ガイド64を設けて、第1糸群2、或いは第2糸群3を糸掛け補助ガイド64に一時的に掛けておいて、本実施形態のように、各糸送りローラ30・31からそれぞれ糸条1を送り出す機構となっていても、容易に糸掛け作業を行うことができる。
【0092】
尚、糸掛け補助ガイド64の位置に関しては、各糸送りローラ30・31の近傍又は中間位置に配置することが、サクション装置の形状等から決定される事項であり、その具体的な位置を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】1Aは本発明の第1実施形態に係る紡糸巻取設備100の正面図、1Bは本発明の第1実施形態に係る紡糸巻取設備100の側面図。
【図2】紡糸巻取装置20の斜視図。
【図3】紡糸巻取装置20の側面図。
【図4】4Aは各糸送りローラ30・31の平面図、4Bは第1糸群2の糸道及び各糸送りローラ30・31の側面図、4Cは第2糸群3の糸道及び各糸送りローラ30・31の側面図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る紡糸巻取設備100の各糸送りローラ30・31の平面図。
【図6】6Aは本発明の第3実施形態に係る紡糸巻取設備100の各糸送りローラ30・31の平面図、6Bは本発明の第3実施形態に係る紡糸巻取設備100の第1糸群2の糸道及び各糸送りローラ30・31の側面図、6Cは本発明の第3実施形態に係る紡糸巻取設備100の第2糸群3の糸道及び各糸送りローラ30・31の側面図。
【図7】7Aは本発明の第1実施形態に係る紡糸巻取設備100の正面図、7Bは本発明の第4実施形態に係る紡糸巻取設備100の正面図、7Cは本発明の第4実施形態に係る紡糸巻取設備100の側面図。
【図8】本発明の第4実施形態に係る紡糸巻取設備100の各糸送りローラ30・31の側面図。
【図9】本発明の第5実施形態に係る紡糸巻取設備100の側面図。
【符号の説明】
【0094】
1 糸条
2 第1糸群
3 第2糸群
10 紡糸機
11 スピニングヘッド(紡出部)
12 スピナーレット(紡出部)
21 ボビン
22 巻取機
23 ボビンホルダ軸
30 第1糸送りローラ
31 第2糸送りローラ
40 オイリング装置
50 マイグレーションノズル
60 シャッター
63 インターレース
64 糸掛け補助ガイド
71 インバータ
100 紡糸巻取設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績機から紡出される複数本の糸条を上方から下方に向けて供給し、1台の巻取機のボビンホルダ軸に装着される複数本のボビンのそれぞれに同時に巻き取るようにする紡糸巻取設備であって、
前記巻取機の直前に複数個の糸送りローラを配置し、
前記紡出機から紡出される複数本の糸条を、複数にグループ化された状態で前記巻取機の直前に配置する複数の糸送りローラのそれぞれのローラに供給し、前記複数の糸送りローラを経由してそれぞれのボビンに分配して巻き取る、
ことを特徴とする紡糸巻取設備。
【請求項2】
前記巻取機の直前に配置する複数の糸送りローラは、前記ボビンホルダ軸の軸心方向に間隔を空けて配置され、前記複数本の糸条の全部又は一部の糸群を構成する第1糸群と第2糸群とを前記巻取機に送り出す、第1糸送りローラと第2糸送りローラとを少なくとも含み、
前記第1糸送りローラは、前記第1糸群を前記紡糸機から引き取って前記第2糸送りローラへ送り出すと共に、前記第2糸送りローラから送り出される前記第2糸群を引き取って前記巻取機へ送り出すように回転し、
前記第2糸送りローラは、前記第2糸群を前記紡糸機から引き取って前記第1糸送りローラへ送り出すと共に、前記第1糸送りローラから送り出される前記第1糸群を引き取って前記巻取機へ送り出すように回転し、
前記巻取機は、前記第1糸送りローラから送り出されて拡散される前記第2糸群と、前記第2糸送りローラから送り出されて拡散される前記第1糸群と、を前記ボビンに巻き取る、
ことを特徴とする請求項1に記載の紡糸巻取設備。
【請求項3】
前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラは互いに逆回転し、且つ、
前記第1糸送りローラは、前記紡糸機から引き取る前記第1糸群を前記第1糸送りローラの下部を案内させながら前記第2糸送りローラへ送り出すと共に、前記第2糸送りローラから引き取る前記第2糸群を前記第1糸送りローラの上部を案内させながら前記巻取機へ送り出すように回転し、
前記第2糸送りローラは、前記紡糸機から引き取る前記第2糸群を前記第2糸送りローラの下部を案内させながら前記第1糸送りローラへ送り出すと共に、前記第1糸送りローラから引き取る前記第1糸群を前記第2糸送りローラの上部を案内させながら前記巻取機へ送り出すように回転する、
ことを特徴とする請求項2に記載の紡糸巻取設備。
【請求項4】
前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラは、前記第1糸群と接する接糸部分の摩擦係数と、前記第2糸群と接する接糸部分の摩擦係数と、を相対的に異なるものとする、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の紡糸巻取設備。
【請求項5】
前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラは、前記第1糸群と接する接糸部分のローラ径と、前記第2糸群と接する接糸部分のローラ径と、を相対的に異なるものとする、
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の紡糸巻取設備。
【請求項6】
前記第1糸群又は前記第2糸群を前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラへ糸掛けする時に、前記第1糸群又は前記第2糸群を一時的に預けておくための糸掛け補助ガイドを設ける、
ことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の紡糸巻取設備。
【請求項7】
前記第1糸送りローラと前記第2糸送りローラとの間に、又は前記第1糸送りローラ又は前記第2糸送りローラと前記巻取機との間に、前記糸条へ交絡部を形成するインターレースを設ける、
ことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の紡糸巻取設備。
【請求項8】
前記紡糸機の紡出部の下方に、前記糸条へ油剤を付与するオイリング装置を設ける、
ことを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の紡糸巻取設備。
【請求項9】
前記オイリング装置の糸送り方向下流側に、前記糸条へガスを噴射するマイグレーションノズルを設ける、
ことを特徴とする請求項8に記載の紡糸巻取設備。
【請求項10】
前記紡糸機の紡出部の下方に、前記糸条の糸切れ時における前記糸条の落下を防止するシャッターを設ける、
ことを特徴とする請求項2から請求項9のいずれか1項に記載の紡糸巻取設備。
【請求項11】
前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラを駆動するためのインバータを共通にすることを特徴とする請求項2から請求項10のいずれか1項に記載の紡糸巻取設備。
【請求項12】
前記紡糸機は、前記ボビンホルダ軸の軸心方向に沿って配置される紡出部を具備し、
前記第1糸送りローラ及び前記第2糸送りローラが、前記紡出部から紡出される前記複数本の糸条の全部又は一部の糸群を構成する第1糸群と第2糸群とを前記巻取機へ送り出す、
ことを特徴とする請求項2から請求項11のいずれか1項に記載の紡糸巻取設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−116249(P2010−116249A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291547(P2008−291547)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(502455511)TMTマシナリー株式会社 (91)
【Fターム(参考)】