説明

紫外線を用いる電荷変更

誘電材料(90)の電荷を変更するためのシステム(109)は、紫外線を利用する。このシステムはガス源(102)と紫外線源(104)を備える。ガス源(102)は、誘電材料(90)に隣接する領域にガス(103)を導入する。紫外線源(104)は、この領域に照射を行って、誘電材料上の電荷を調節するように配置されている。誘電材料(90)上の電荷を変更する方法も開示し、この方法では、誘電材料(90)に隣接する領域にガス(103)を導入する。続いて、この領域に紫外線(105)を照射して、誘電材料(90)上の電荷を変更する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
静電荷の蓄積は、誘電材料上で発生することが多い。誘電材料が別の材料と接触すると、表面電荷の交換が起こる。続いてこれらの材料を引き離すと、交換された電荷の一部は、一方又は双方の材料上に残留することがある。残留する電荷の量は、湿度又は印加される電場のような外部要因に加えて、それぞれの材料特性によって決まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
誘電材料の低い伝導度のために、誘電材料上に残留する電荷は、接地に流れ出るか、又は、イオナイザのような外部源によって若しくは空中の周囲イオンによって中和されるかのいずれかまで、少なくとも一時的に表面上に捕獲される。誘電材料上の静電荷は、コーティング欠陥を含む様々な問題を招く場合がある。誘電材料からの静電気の放電は、更なる問題を招くことがある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
大まかに言えば、本特許は紫外線を用いて誘電材料の電荷を変更することを目的とする。1つの可能な形状において及び非限定例によっては、電荷変更は紫外線源とガス源を伴う。帯電している誘電材料の近くに、ガス源から出るガスを導入する。紫外線源から放出される紫外線を前記ガスと誘電材料との境界面に供給して、誘電材料上に存在する電荷を変更する。
【0004】
1つの態様は、誘電材料上の電荷を変更するための電荷変更システムであって、誘電材料に隣接する場所にガスを導入して、そのガスが前記場所で、大気中におけるよりも高い濃度を有するようにするためのガス源と、紫外線を発生させると共に、その紫外線を前記場所に向かわせるための紫外線源であって、その紫外線が前記ガス及び前記誘電材料と相互作用して、前記誘電材料上の電荷を変更する紫外線源と、を備えるシステムである。
【0005】
別の態様は、誘電材料上の電荷を変更する方法であって、誘電材料を得る工程と、誘電材料に隣接する領域にガスを導入して、そのガスが前記領域で、大気中におけるよりも高い濃度を有するようにする工程と、前記領域及び前記誘電材料に紫外線を照射する工程と、前記誘電材料に照射を行いながら、前記誘電材料上の電荷を変更する工程と、を含む方法である。
【0006】
更に別の態様は、誘電材料を受け入れるための誘電材料経路と、ガスを含むガス源であって、前記誘電材料経路に隣接する場所に前記ガスを供給して、その場所における前記ガスの濃度を高めるように配置されたガス源と、前記場所に紫外線を照射して、前記ガスを励起させると共に、前記誘電材料上の電荷を変更するための紫外線源と、を備える電荷変更システムである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本開示による、誘電材料上の電荷を変更するための代表的な電荷変更システムのブロック図。
【図2】本開示による代表的な電荷変更システムの別のブロック図。
【図3】本開示による別の代表的な電荷変更システムのブロック図。
【図4】本開示による別の代表的な電荷変更システムのブロック図。
【図5】本開示による別の代表的な電荷変更システムのブロック図。
【図6】本開示による別の代表的な電荷変更システムのブロック図。
【図7】本開示による実験を行うために用いた試験システムの概略ブロック図。
【図8】窒素と図7に示されている試験システムを用いて、正電荷を持つ誘電材料について得られた試験結果を示す棒グラフ。
【図9】窒素と図7に示されている試験システムを用いて、負電荷を持つ誘電材料について得られた試験結果を示す棒グラフ。
【図10】図8に示されている試験結果の測定値を更に示すタイムライン。
【図11】窒素と図7に示されている試験システムを用いて得られた試験結果を示すグラフ。
【図12】窒素と図7に示されている試験システムを用いて得られた試験結果を示すグラフ。
【図13】二酸化炭素と図7に示されている試験システムを用いて得られた試験結果を示すグラフ。
【図14】アルゴンと図7に示されている試験システムを用いて得られた試験結果を示すグラフ。
【図15】アルゴンと図7に示されている試験システムを用いて得られた試験結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して様々な実施形態について詳しく説明していくが、いくつかの図面全体にわたって、同様の参照番号は、同様の部品及びアセンブリを表す。様々な実施形態の参照が、本明細書に添付の請求項の範囲を限定することはない。加えて、本明細書に記載されたいかなる実施例も、限定することを意図するものではなく、添付の請求項の多くの可能な実施形態のいくつかを示すものにすぎない。
【0009】
図1は、誘電材料90上の電荷を変更するための代表的な電荷変更システム100のブロック図である。電荷変更システム100はハウジング101、ガス源102、及び紫外線源104を備える。ガス源102はガス103の供給源である。紫外線源104は紫外線105を発生させる。
【0010】
誘電材料90の例としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、布(ナイロンなど)、紙、ラミネート、ガラス等が挙げられる。誘電材料と称されているが、いくつかの実施形態では、誘電材料90は、導電層、静電気防止層、導電領域、静電気防止領域等と組み合わされている。いくつかの実施形態では、誘電材料90は、図2を参照して説明されているもののように、広範な長さを有するシートストックのウェブの形状をしている。別の実施形態では、誘電材料90は、約0.1メートル〜約1メートルの範囲の長さと、約0.1メートル〜約1メートルの幅を有するもののように、別個、つまり個別の品目の形状をしている。いくつかの実施形態では、誘電材料90は、約3マイクロメートル〜約3000マイクロメートル、典型的には約10マイクロメートル〜約1500マイクロメートルの範囲の厚みを有する。誘電材料90のいくつかの実施形態は、概ね平面のトポグラフィーを有する。誘電材料90の別の実施形態は、三次元トポグラフィーを有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、電荷変更システム100はハウジング101を備える。ハウジング101は、ガス源102から出るガス103をハウジング101内に収容するか、又は部分的に収容する働きをする。いくつかの実施形態はハウジング101を備えない。電荷変更システム100の別の実施形態は、シールド、1枚の壁、一式の壁、円筒若しくは部分的な円筒、球体若しくは部分的な球体等の形状のハウジング101を備える。ハウジング101の例は、紫外線チャンバのハウジングである。いくつかの実施形態では、ハウジング101は、誘電材料90が出入りする1つ以上の開口部を備える。また、ハウジング101のいくつかの実施形態は、ガス源102から出るホースを連結するためのガス源ポートのような、投入物を受け入れるためのポート又はコネクタと、電気エネルギーを受け入れて、紫外線源104に動力を供給するための電気レセプタクルと、その他の所望なポート又はコネクタとを備える。
【0012】
ガス源102はガス103の供給源である。いくつかの実施形態では、ガス源102は、加圧ガス又は液体を収容するガスタンクである。別の実施形態では、ガス源102は、固体(例えばドライアイス)を含む容器である。ガス源102は、1つ以上のホース、チューブ、パイプ、又はその他の導管を通じる等によって、誘電材料90に隣接する領域110にガス103を導入するように配置されている。いくつかの実施形態では、ガス源102を用いて、ハウジング101から大気を取り除くか又は部分的に取り除くと共に、大気をガス103と交換する。いくつかの実施形態では、複数のガス源102を用いる。
【0013】
ガス103は大気以外の1つ以上のガスを含む。いくつかの実施形態では、ガス103は窒素(N)、二酸化炭素(CO)、アルゴン(AR)、又はこれらの混合物である。更に別の実施形態では、ガス103は1種類の希ガス又は希ガスの混合物である。他の実施形態では、他のガス又はガスの混合物を用いる。いくつかの実施形態では、ガス103は、誘電材料90に隣接する大気と混ざるように、大気中に導入される。
【0014】
紫外線源104は紫外線105を発生させる。紫外線は、約30ナノメートル〜約400ナノメートルの範囲の波長を典型的に有する電磁放射線である。紫外線源104の例としては、様々なタイプのランプ、バルブ、又は発光ダイオード(LED)が挙げられる。紫外線105に加えて、一部の紫外線源104は、紫外スペクトル以外の波長を有する追加的な電磁放射線も発生させる。紫外線源104の1つの例は、メリーランド州ゲイザースバーグ(Gaithersburg)に位置するフュージョンUVシステムズ社(FUSION UV SYSTEMS, INC)(登録商標)製の、「D」バルブ又は「H」バルブのいずれかを備えるモデル450という紫外線システムである。紫外線源104は紫外線105を発生させ、紫外線105を領域110の方に方向付ける(ガス103の中を通し、誘電材料90の上に方向付けることを含む)。
【0015】
電荷変更システム101を用いて、誘電材料90上の静電荷を変更することができる。これを行うために、望ましくない静電荷を含む誘電材料90を準備する。誘電材料90に隣接する場所に、ガス103をガス源102から導入する。紫外線源104によって紫外線を発生させ、誘電材料90に隣接する場所に方向付ける。この紫外線はガス103を励起させ、ガス103が静電荷と相互作用できるようにして、電荷を変更する。例えば、誘電材料90上に位置する過剰電子を誘電材料90からガス103の中に移動させることになり、続いてガス103がこの電子を誘電材料90から運び去る。したがって、電荷変更システム101は、誘電材料90上に存在する望ましくない電荷を変更するのに有用である。いくつかの実施形態では、電荷変更は、誘電材料90から電子を取り除くことを含む。別の実施形態では、電荷変更は誘電材料90に電子を付加することを含む。いくつかの実施形態では、誘電材料90上の正味電荷を約100ボルト未満の電位まで中和する。
【0016】
誘電材料90上に存在する望ましくない電荷を中和したら、次の処理工程、例えばコーティング、ハンドリング、パッケージング、潜在的に可燃性の材料に関わる処理、及びその他の処理工程を行うことができる。コーティングを塗布する前に誘電材料90上の電荷を変更することの利点は、過剰電荷によって生じるコーティング欠陥が軽減又は排除されることである。ハンドリング(人又は機械によるもの)、パッケージング、又は潜在的に可燃性の材料に関わる処理の前に、誘電材料90上の電荷を変更することの利点は、静電荷が負傷又は損傷を招くリスクが軽減又は排除されることである。他の実施形態は他の機構、用途、及び利点を含む。
【0017】
図2は、誘電材料92上の電荷を変更するための別の代表的な電荷変更システム200のブロック図である。電荷変更システム200はハウジング201、ガス源202、及び紫外線源204を備える。ガス源202はガス203の供給源である。紫外線源204は紫外線205を発生させる。この実施形態では、電荷変更システム200はローラー210の周囲に形成されている。いくつかの実施形態は、任意のコーティング塗布装置212も備える。
【0018】
この例では、誘電材料92は、広範な長さを有するシートストックのウェブの形状をしている。例えばいくつかの実施形態は、ある長さ、幅、及び厚みを有するシートストックのウェブを含む。この長さは典型的には約1メートルを超え、約10メートルを超える場合が多く、約100メートルを超えることもある。幅は典型的には約0.25メートル〜約5メートルである。厚みは典型的には約3マイクロメートル〜約3000マイクロメートルの範囲である。このような誘電材料はロール状で保管されていることがあり、その結果、処理工程を行うために、例えばコーティングを誘電材料に塗布するか、又は製造プロセスで誘電材料を用いるために、巻き出す。
【0019】
ローラー210は、誘電材料92を所望の経路に沿うように誘導するために設けられている。誘電材料92がローラー210と接触すると、誘電材料92とローラー210との間で表面電荷の交換が起こる。その後、誘電材料92がローラー210から離れると、電荷の一部が誘電材料92上に残留する。電荷変更システム200は、誘電材料92上の平均帯電電位を低下させる等のために、電荷を変更するのに有用である。この方法では、電荷変更システム200のいくつかの実施形態は、静電気ショックのリスクの軽減、コーティング欠陥の軽減、ギャップ乾燥機及び紫外線チャンバ等における帯電吸着(charge tack-down)機会の軽減、並びに、ちり及びその他のくずの吸着軽減による製品清浄度の向上を含め、多数の効果を提供する。
【0020】
ガス源202はガス203の供給源である。この実施形態では、ガス203をハウジング201の中に導入し、ハウジング201をガス203によって少なくとも部分的に満たす。具体的には、ガス203をガス源202から電荷変更領域209まで放出する。電荷変更領域209は、電荷変更が起こる領域である。この実施形態では、電荷変更領域209は、ローラー210と、ウェブ92がローラー210から離れる場所のすぐ向こう側のウェブ92との間の領域である。電荷変更領域209は、他の実施形態では別の場所に配置されている。
【0021】
紫外線源204は電荷変更領域209に紫外線205を発生させる。電荷変更システム200のいくつかの実施形態の利点は、他の電荷変更システムではアクセスしにくい区域で電荷を変更できることである。紫外線源204のいくつかの実施形態は、ガス203と紫外線205とを供給できるいずれの場所でも電荷を変更することができる。例えば、電荷変更システム200は、ガス203と紫外線205とを電荷変更領域209の中に導入する。紫外線205はガス203と相互作用して、誘電材料92上に存在する電荷を変更し、例えば平均帯電電位を低下させる。
【0022】
電荷を変更する量は、多くの要因によって可変である。1つの要因は、誘電材料が電荷変更システム200の中を移動する速度である。一般に、速度が遅いほど、誘電材料92上の電荷の低下が大きくなる。別の要因は紫外線源204の強度である。一般に、強度が高いほど、誘電材料92上の電荷の低下が大きくなる。ハウジング201内のガス203の濃度も、電荷変更に影響を与える。本明細書ではその他の要因について更に説明する。いくつかの実施形態では、電荷変更システム200によって、電荷を数キロボルト以上から100ボルト未満に低下させることができる。
【0023】
いくつかの実施形態はコーティング塗布装置212も備える。コーティング塗布装置212は、任意の所望の材料のコーティングを誘電材料92の少なくとも片側に塗布する。コーティング塗布装置212の例としては、ダイ、スプレーアプリケータ、グラビア等が挙げられる。
【0024】
図3は、誘電材料92上の電荷を変更するための別の代表的な電荷変更システム300のブロック図である。電荷変更システム300はハウジング301、ガス源302、及び紫外線源304を備える。ガス源302はガス303の供給源である。紫外線源304は紫外線305の発生器である。
【0025】
この実施形態では、電荷変更システム300はローラー310を備える。ローラー310は、紫外線を通すか又は部分的に通す材料で作られている。例えば、ローラー310はガラス又はプラスチックで作られている。
【0026】
紫外線源304はローラー310内に位置する。紫外線305がローラー310を通り抜けることができるように、ローラー310は紫外線305を通す。
【0027】
使用中、誘電材料92は電荷変更システム301に入り、部分的にローラー310の周囲に方向付けられる。誘電材料92がローラー310と接触すると、電荷移動が起こる。その後、誘電材料92がローラー310から離れると、移動した電荷の一部が誘電材料92上に残留する。ガス源302はガス303をハウジング301内に供給し、そのガスはハウジング301内で分散する。紫外線源302はローラー310内に紫外線303を発生させ、その紫外線はローラー310を通り抜けて誘電材料92の上に達する。加えて、紫外線305は更にローラー310と誘電材料92との間の領域も照射し、この領域で誘電材料92はローラー310から離れる。紫外線305はガス303と相互作用して、ガス303の原子又は分子を励起させ、望ましくない電荷をガス303に取り除かせる等して、誘電材料92上の電荷を変更する。
【0028】
いくつかの実施形態では、電荷変更システム301は、誘電材料92が電荷変更システム301に入ると、誘電材料92上に存在する電荷を取り除く働きをする。別の実施形態では、誘電材料92が電荷変更システム301に入るとき、誘電材料92は実質的に中性であり、実質的に中性の状態で電荷変更システム301から出る。いくつかの実施形態では、平均帯電電位が100ボルト未満である場合、誘電材料は実質的に中性である。換言すれば、いくつかの実施形態では、電荷変更システム301を用いて、ローラー310によって、又は別の物体若しくは材料との相互作用によって付加された電荷を取り除く。
【0029】
電荷変更システム300のいくつかの実施形態では、所望に応じて、任意のコーティング塗布装置(例えば図2で示されている212)を用いて、材料のコーティングを誘電材料92に塗布する。
【0030】
その他の考え得る実施形態としては、誘電材料92に隣接させて直列に配置した2つ以上の電荷変更システムが挙げられる。複数の電荷変更システムによって、いくつかの実施形態は、より速い速度で誘電材料92を動かせるようになるうえに、依然として、誘電材料92上の電荷変更は所望どおりに達成される。複数の電荷変更システムによって、別の実施形態は、誘電材料92上の電荷変更のレベル向上を達成することができる。
【0031】
図4は、誘電材料92上の電荷を変更するための別の代表的な電荷変更システム400のブロック図である。電荷変更システム400は、ガス403を供給するガス源402と、紫外線405を供給する紫外線レーザー404とを備える。
【0032】
図示されている実施形態では、誘電材料92は左側から電荷変更システム400に入り、右側から出る。誘電材料92は、電荷変更システム400に入る前に帯電する。例えば、誘電材料92はロールストックから巻き出され、その結果、電荷が蓄積される。別の例として、別の材料(例えばウール)を横断するように誘電材料92を引いて動かす等によって、誘電材料92をその別の材料と摩擦接触させる。更に別の例は、誘電材料92上に電荷を堆積させるコロナ放電を含む。
【0033】
続いて、帯電している誘電材料が電荷変更システム400に入る。電荷変更システム400は、帯電している誘電材料92の表面に、ガス源402から出るガス403を導入する。紫外線レーザー404は紫外線405を発生させ、この紫外線を、帯電している誘電材料92の選択された場所に方向付けて、その場所の電荷を選択的に変更する。所望に応じて、モーターを用いて紫外線レーザー404を誘導し、いずれかの所望のパターンで誘電材料92に照射することができる。この方法では、誘電材料92は選択的に帯電が解消される。
【0034】
続いて、選択的に帯電が解消された誘電材料92を利用するために、次の処理を行う。例えば、コーティングを塗布する。誘電材料92の帯電又は非帯電領域は別々の形でコーティングと相互作用し、それによってコーティング内にパターン、形、又はデザインを作り出す。別の例としては、トナーを誘電材料92に塗布する。このトナーは、帯電している領域に付着させる。続いて、誘電材料92を紙又はその他の材料に接触させて、トナー像をその紙の上に転写する。所望に応じて、熱を用いてトナーを溶かして紙に固着させる。他の用途では、別の処理工程を用いる。
【0035】
図5は、誘電材料92上の電荷を変更するための別の代表的な電荷変更システム500のブロック図である。電荷変更システム500は、ガス503を供給するガス源502と、紫外線505を供給する紫外線源504と、紫外線フィルター506とを備える。電荷変更システム500は、誘電材料92上の電荷を選択的に変更するために用いることができる点で、図4に示されている電荷変更システム400と似ている。
【0036】
電荷変更システム500は、紫外線505を発生させるバルブ又はランプのような紫外線源504を備える。誘電材料92上の電荷を選択的に変更するために、紫外線フィルター506が設けられている。紫外線フィルター506は、紫外線の望ましくない光線のみが通れるようにすると共に、望ましくない光線を吸収又は反射する。
【0037】
紫外線フィルター506の例は、非透過性の印刷イメージを含む透過性材料のシートである。紫外線505は、フィルタリングされた紫外線507として透過性材料の非印刷領域を通り抜けるが、印刷領域は通り抜けない。その結果、フィルタリングされた紫外線507は、所望のパターンで誘電材料92を照射する。フィルタリングされた紫外線507が照射される誘電材料92の表面領域では、電荷が変更され、放射線507が照射されない領域では、電荷は変更されない。この方法では、電荷は誘電材料92上で選択的にパターン化される。
【0038】
紫外線フィルター506の別の考えられ得る例は、液晶ディスプレイ(LCD)である。LCDは、選択的にオン又はオフにできる、格子状に配列された画素を備える。画素がオフのとき、紫外線はLCDの画素を通り抜ける。画素がオンのとき、紫外線は吸収され、通り抜けない。紫外線505はLCDを通るように方向付けられるが、フィルタリングされた紫外線507はオフ状態の画素のみを通り抜ける。フィルタリングされた紫外線507は、誘電材料92の選択された領域を照射して、それらの場所の電荷を変更する。別の実施形態は、紫外線をフィルタリングするための他の装置を備える。
【0039】
図6は、誘電材料92上の電荷を変更するための別の代表的な電荷変更システム600のブロック図である。電荷変更システム600はガス源602と、紫外線源604と、接地プレート606と、スクリーン610と、電圧供給部612とを備える。
【0040】
接地プレート606、又は接地ローラー等を横断するように誘電材料92を前進させるのが望ましいときもある。しかし、接地プレート606は、誘電材料92上に存在する電荷と相互作用することによって、電荷変更に干渉する。例えば、誘電材料92上に正電荷が存在する場合、接地プレート606はその正電荷を引きつけ、それによって、その正電荷から出る力線を接地プレート606に向けて、かつ紫外線源604から離れるように方向付けることになる。
【0041】
この干渉は、スクリーン610と電圧源612とを設けることによって解消される。スクリーン610は、金属のような導電材料で作られたスクリーンである。電圧源612はスクリーン610に電気的に接続されている。電圧源612は、接地プレート606に対するスクリーン610上に電圧を発生させる。この電圧は正若しくは負の値、又は接地のいずれかであってよく、いくつかの実施形態では、この電圧は正及び負の値、並びに接地の間で切り替わる。
【0042】
スクリーン610と接地プレート606との間の電圧は、誘電材料92上の電荷を引きつけ、それによって力線(図示せず)の方向を変えて、スクリーン610の方を向くようにする。紫外線源604は紫外線605を発生させ、この紫外線はスクリーン610を通り抜けると共に、ガス606と相互作用して、誘電材料92上の電荷を変更する。
【実施例】
【0043】
下記の非限定例は、本開示による様々な実施形態を例示している。
【0044】
図7は、下記の実験を行うために用いた試験システム700の概略ブロック図である。試験システム700は紫外線チャンバ702と、ガス源704と、紫外線源706とを備えていた。誘電材料710をロールストック712から巻き出し、経路に沿って紫外線チャンバ702を通ってからペーサーロール714を通るように方向付け、ロール716に再び巻いた。
【0045】
下記の試験では、誘電材料710は、約51マイクロメートル(約0.002インチ)の厚みと約15.2cm(6インチ)の幅を有するポリエチレンテレフタレート(PET)であった。
【0046】
誘電材料710の経路沿いには、様々な器械があった。これらの器械は核棒720と、コロトロン722と、入力電圧メーター724と、出力電圧メーター726を含んでいた。誘電材料710をロールストック712から巻き出してから、核棒720のそばを通過させた。誘電材料710を巻き出すと、誘電材料710上に多大な電荷が発生した。核棒720を用いて、誘電材料710上に存在する電荷を低下させた。続いて、コロトロン722によって誘電材料710に電荷を印加した。コロトロン722は、50Mオームの抵抗器を通じて+15kV/20mAのグラスマン(Glassman)社製直流電源によって、又は100Mオームの抵抗器を通じて−20kV/15mAのグラスマン(Glassman)社製直流電源によってのいずれかで動力を供給される2線式コロトロンであった。誘電材料710に印加した電荷は概して約2kVであった(入力電圧メーター724で測定した場合)。
【0047】
紫外線チャンバ702に入る前に、入力電圧メーター724を用いて、誘電材料724のフリースパン電位を測定した。入力電圧メーター724は3M 718という静電気メーターであった。続いて、誘電材料710を紫外線チャンバ702に通し、紫外線チャンバ702において、ガス源704から出るガスと、紫外線源706から放出される紫外線とに誘電材料710を暴露した。紫外線チャンバ702から出たら、出力電圧メーター726を用いて、誘電材料724のフリースパン電位を再び測定した。ーター726は3M718という静電気メーターであった。メーター724及び726は、データを収集するテクトロニクス(Tektronix)TDS 3034Bというオシロスコープに接続されていた。
【0048】
続いて、誘電材料710をペーサーロール714に通し、このロールが誘電材料710の速度を制御した。次いで、誘電材料710を再び巻いてロール716にした。
【0049】
実施例1−窒素
この試験では、紫外線チャンバ702にガス源704から窒素(N)ガスを供給した。UV源706は、フュージョン(Fusion)F450というD型バルブ、又は下に明記されているH型バルブのいずれかであり、フュージョン(Fusion)P115という可変電源(100%の出力において118ワット/cm(300ワット/インチ))を動力源とした。入力メーター724によって入力電位を、出力メーター726によって出力電位を測定した。
【0050】
図8及び図9はそれぞれ、正電荷を持つ誘電材料(図8)と、負電荷を持つ誘電材料(図9)に関する試験結果を示している棒グラフである。図示されている試験では、ガス源の状態(オン又はオフ)、及び紫外線源の状態(オン又はオフ)を含め、様々な条件を試験した。誘電材料を紫外線チャンバに速度10メートル/分、及び速度25メートル/分で通す試験も行った。
【0051】
図8は、正電荷を持つ誘電材料を投入物として用いて行った試験を示している。入力電位と出力電位が示されている。「エラーバー」は、入力電位と出力電位の時間平均標準偏差を表しており、測定値の実際の誤差を表しているのではない。入力電位は典型的には約2kVである。グラフは事例802、事例804、事例806、及び事例808の結果を示している。事例802では、ガス源(N)はオフで、紫外線源(D型バルブ)はオフであった。事例804では、ガス源はオンで、紫外線源はオフであった。事例806では、ガス源はオフで、紫外線源はオンであった。事例808では、ガス源も紫外線源もオンであった。これらの試験では、紫外線源が「オン」の場合、最大(100%)出力で動作している。
【0052】
各事例(802、804、806、及び808)において、2種類の試験を行った。第1の事例(各事例の左側の2本の棒によって表されている)は、10メートル/分の誘電材料速度を伴うものであった。第2の事例(各事例の右側の2本の棒によって表されている)は、25メートル/分の誘電材料速度を伴うものであった。
【0053】
事例802は測定値810、812、814、及び816を示している。測定値810及び814は入ってくるときの電位の測定値であり、測定値812及び816は、紫外線チャンバを通り抜けた後の出て行くときの電位の測定値である。平均電位が示されている。ガス源と紫外線源の両方がオフであったこの事例では、出て行くときの電位は概して、入ってくるときの電位とほぼ同じであった。
【0054】
事例804は測定値820、822、824、及び826を示している。測定値820及び824は入ってくるときの電位の測定値であり、測定値822及び826は出て行くときの電位の測定値である。ガス源はオンであったが紫外線源はオフであったこの事例では、出て行くときの電位は概して、入ってくるときの電位とほぼ同じであった。
【0055】
事例806は測定値830、832、834、及び836を示している。測定値830及び834は入ってくるときの電位の測定値であり、測定値832及び836は出て行くときの電位の測定値である。ガス源がオフで、紫外線源がオンであったこの事例では、出て行く電位の多少の低下が測定されたが、測定値832及び836は1kV超のままであった。
【0056】
事例808は測定値840、842、844、及び846を示している。測定値840及び844は入ってくるときの電位の測定値であり、測定値842及び846は出て行くときの電位の測定値である。ガス源と紫外線源の両方がオンであったこの事例では、測定値842及び846によって、出て行くときの電位のかなりの低下が測定された。具体的には、第1の試験(10メートル/分の誘電材料速度によるもの)では、入ってくるときの電位(測定値840)は約2kVで、出て行くときの電位(測定値842)は約0.1kVであった。第2の試験(25メートル/分の誘電材料速度によるもの)では、入ってくるときの電位(測定値842)は約2kVで、出て行くときの電位(測定値844)は約0.3kVであった。
【0057】
したがって、正電荷を持つ誘電材料に対する電荷の引き下げは、ガス源をオンにし、紫外線源もオンにしたときに最も効果的であったことが明らかになった。
【0058】
図9は、負電荷を持つ誘電材料を投入物として用いて行った試験を示している。入力電位と出力電位が示されている。入力電位は約1kV〜2kVであった。グラフは事例902、事例904、事例906、及び事例908の結果を示している。事例902では、ガス源(N)はオフで、紫外線源(D型バルブ)はオフであった。事例904では、ガス源はオンで、紫外線源はオフであった。事例906では、ガス源はオフで、紫外線源はオンであった。事例908では、ガス源も紫外線源もオンであった。これらの試験では、紫外線源が「オン」の場合、最大(100%)出力で動作している。
【0059】
各事例(902、904、906、及び908)において、2種類の試験を行った。第1の事例(各事例の左側の2本の棒によって表されている)は、10メートル/分の誘電材料速度を伴うものであった。第2の事例(各事例の右側の2本の棒によって表されている)は、25メートル/分の誘電材料速度を伴うものであった。
【0060】
事例902は測定値910、912、914、及び916を示している。測定値910及び914は入ってくるときの電位の測定値であり、測定値912及び916は、紫外線チャンバを通り抜けた後の出て行くときの電位の測定値である。平均電位が示されている。ガス源と紫外線源の両方がオフであったこの事例では、出て行くときの電位は概して、入ってくるときの電位とほぼ同じであった。
【0061】
事例904は測定値920、922、924、及び926を示している。測定値920及び924は入ってくるときの電位の測定値であり、測定値922及び926は出て行くときの電位の測定値である。ガス源はオンであったが紫外線源はオフであったこの事例では、出て行くときの電位は概して、入ってくるときの電位とほぼ同じであった。
【0062】
事例906は測定値930、932、934、及び936を示している。測定値930及び934は入ってくるときの電位の測定値であり、測定値932及び936は出て行くときの電位の測定値である。ガス源はオフで、紫外線源はオンであったこの事例では、出て行くときの電位は概して、入ってくるときの電位とほぼ(abou)同じであった。
【0063】
事例908は測定値940、942、944、及び946を示している。測定値940及び944は入ってくるときの電位の測定値であり、測定値942及び946は出て行くときの電位の測定値である。ガス源と紫外線源の両方がオンであったこの事例では、測定値942によって、出て行くときの電位のかなりの低下が測定され、測定値946によって多少の低下が測定された。具体的には、第1の試験(10メートル/分の誘電材料速度によるもの)では、入ってくるときの電位(測定値940)は約1.5kVで、出て行くときの電位(測定値942)は約0kVであった(測定値942はわずかにプラスであったことに留意されたい)。第2の試験(25メートル/分の誘電材料速度によるもの)では、入ってくるときの電位(測定値942)は約1.1kVで、出て行くときの電位(測定値944)は約0.7kVであった。
【0064】
したがって、正電荷を持つ誘電材料に対する電荷の引き下げは、ガス源をオンにし、紫外線源もオンにしたときに最も効果的であったことが明らかになった。また、誘電材料の速度が遅い方が効果的であった。
【0065】
図10は、20秒の期間にわたる測定840及び842の試験結果を示しているタイムラインである。測定840及び842は、ガス源(N)をオンに、紫外線源(D型バルブ)をオンにして行った。入ってくるときの電位の平均(測定値840)は約2kV(標準偏差は約0.171)で、出て行くときの電位の平均(測定値842)は約0.1kV(標準偏差は約0.047)であった。つまり、誘電材料上に存在する正電荷を約100ボルトに低下させることが可能である。速度が遅いほど(例えば暴露時間が長いほど)、電荷を低下させることができる。
【0066】
ランプの出力が電荷に及ぼす効果が、図11及び12に示されている。いずれのグラフでも、x軸は、入ってくるときの電位を出て行くときの電位で除した値であり、y軸はランプ出力のパーセンテージ(最大出力に対する割合)である。入ってくるときの電位は、事例802及び902と同様であった。
【0067】
図11は、誘電材料710を紫外線チャンバ702に速度10メートル/分で通した試験を示しているグラフである。このグラフは線1102、1104、1106、及び1108を含む。線1102及び1104は、負電荷を持つ誘電材料(例えば、マイナス20kV/15mAのグラスマン(Glassman)社製直流電源を動力源とするコロトロン)を用いた試験結果であり、線1106及び1108は、正電荷を持つ誘電材料(例えば、プラス15kV/20mAのグラスマン(Glassman)社製直流電源を動力源とするコロトロン)を用いた試験結果である。線1102及び1106は、D型バルブを用いた試験結果であり、線1104及び1108は、H型バルブを用いた試験結果である。
【0068】
概して、いずれの試験も、ランプ出力が高いほど電荷の低下を示した。正電荷を持つ誘電材料に対してはH型バルブが一番良く機能し、負電荷を持つ誘電材料に対してはD型バルブが一番良く機能した。
【0069】
図12は、誘電材料710を紫外線チャンバ702に速度25メートル/分で通した試験を示しているグラフである。このグラフは線1202、1204、1206、及び1208を含む。線1202及び1204は、負電荷を持つ誘電材料を用いた試験結果であり、線1206及び1208は、正電荷を持つ誘電材料を用いた試験結果である。線1202及び1206は、D型バルブを用いた試験結果であり、線1204及び1208は、H型バルブを用いた試験結果である。
【0070】
概して、いずれの試験も、ランプ出力が高いほど電荷の低下を示した。正電荷を持つ誘電材料、及び負電荷を持つ誘電材料のいずれに対しても、H型バルブがより良く機能した。加えて、負電荷の方が正電荷よりも低下した。
【0071】
実施例2−二酸化炭素
この試験では、紫外線チャンバ702にガス源704から二酸化炭素(CO)ガスを供給すると共に、フュージョン(Fusion)F450というH型バルブを備え付けた。入力メーター724によって入力電位を、出力メーター726によって出力電位を測定した。入ってくるときの電位は事例802及び902と同様であった。
【0072】
これらの試験の結果は、誘電材料上の電荷の低下度が二酸化炭素の場合の方が小さいこと以外は、(上記の)窒素の場合の試験結果と同様であった。
【0073】
図13は、誘電材料710を紫外線チャンバ702に速度10メートル/分で通した試験を示しているグラフである。このグラフでは、x軸は、入ってくるときの電位を出て行くときの電位で除した値であり、y軸はランプ出力のパーセンテージ(最大出力に対する割合)である。
【0074】
このグラフは線1302及び1304を含む。線902は負の電荷を持つ誘電材料の試験結果である。線904は正の電荷を持つ誘電材料の試験結果である。図示されているように、電荷は概して、ランプ出力が高いほど低下した。加えて、線904は、誘電材料上で正電荷の方が負電荷よりも低下したことを示している。
【0075】
実施例3−アルゴン
この試験では、紫外線チャンバ702にガス源704からアルゴン(AR)ガスを供給すると共に、フュージョン(Fusion)F450というD型バルブ、又は下に明記されているようなH型バルブを備え付けた。入力メーター724によって入力電位を、出力メーター726によって出力電位を測定した。入ってくるときの電位は事例802及び902と同様であった。
【0076】
ランプの出力が電荷に及ぼす効果が、図14及び15に示されている。いずれのグラフでも、x軸は、入ってくるときの電位を出て行くときの電位で除した値であり、y軸はランプ出力のパーセンテージ(最大出力に対する割合)である。
【0077】
図14は、誘電材料710を紫外線チャンバ702に速度10メートル/分で通した試験を示しているグラフである。このグラフは線1402、1404、1406、及び1408を含む。線1402及び1404は、負電荷を持つ誘電材料(例えば、20kV/15mAの負のグラスマン(Glassman)社製直流電源を動力源とするコロトロン)を用いた試験結果であり、線1406及び1408は、正電荷を持つ誘電材料(例えば、15kV/20mAの正のグラスマン(Glassman)社製直流電源を動力源とするコロトロン)を用いた試験結果である。線1402及び1406は、D型バルブを用いた試験結果であり、線804及び808は、H型バルブを用いた試験結果である。
【0078】
概して、いずれの試験も、ランプ出力が高いほど電荷の低下を示した。正電荷を持つ誘電材料、及び負電荷を持つ誘電材料のいずれに対しても、H型バルブが一番良く機能した。予め正電荷を持たせた誘電材料に、D型バルブを用いて負電荷を印加できることも明らかになった。したがって、電荷変更は、電荷の引き下げのみならず、電荷の付加も含む。
【0079】
図15は、誘電材料710を紫外線チャンバ702に速度25メートル/分で通した試験を示しているグラフである。このグラフは線1502、1504、1506、及び1508を含む。線1502及び1504は、負電荷を持つ誘電材料を用いた試験結果であり、線1506及び1508は、正電荷を持つ誘電材料を用いた試験結果である。線1502及び1506は、D型バルブを用いた試験結果であり、線1504及び1508は、H型バルブを用いた試験結果である。
【0080】
概して、いずれの試験も、ランプ出力が高いほど電荷の低下を示した。正電荷を持つ誘電材料、及び負電荷を持つ誘電材料のいずれに対しても、H型バルブがより良く機能した。加えて、負電荷の方が正電荷よりも低下した。
【0081】
(実施例4)
試験結果の要旨を以下に示す。各試験では、紫外線源を最大出力で用いた。示されているように、様々なガス源を用いた。
【0082】
表1は、10メートル/分で移動する、初期時点では正電荷を持っている誘電材料を用いた試験結果を示している。
【0083】
【表1】

【0084】
表2は、10メートル/分で移動する、初期時点では負電荷を持っている誘電材料を用いた試験結果を示している。
【0085】
【表2】

【0086】
表3は、25メートル/分で移動する、初期時点では正電荷を持っている誘電材料を用いた試験結果を示している。
【0087】
【表3】

【0088】
表4は、25メートル/分で移動する、初期時点では負電荷を持っている誘電材料を用いた試験結果を示している。
【0089】
【表4】

【0090】
上記の様々な実施形態は、実例としてのみ提供されており、添付の請求項を限定するものと解釈すべきではない。当業者は、本明細書に例示及び記載されている例示的実施形態及び用途に従わず、かつ下記の請求項の趣旨及び範囲から逸脱せずに行うことのできる様々な修正と変更を容易に認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電材料上の電荷を変更するための電荷変更システムであって、前記システムが、
前記誘電材料に隣接する場所にガスを導入して、前記ガスが前記場所で、大気中におけるよりも高い濃度を有するようにするためのガス源と、
紫外線を発生させると共に、前記紫外線を前記場所に方向付けるための紫外線源であって、前記紫外線が前記ガス及び前記誘電材料と相互作用して、前記誘電材料上の電荷を変更する、紫外線源と、を備える電荷変更システム。
【請求項2】
前記紫外線が前記ガス及び前記誘電材料と相互作用して、平均帯電電位の絶対値を、約1000ボルトを超える初期値から約150ボルト未満に低下させる、請求項1に記載の電荷変更システム。
【請求項3】
前記ガス源が、窒素、二酸化炭素、アルゴン、及び希ガスからなる群から選択されるガスを含む、請求項1に記載の電荷変更システム。
【請求項4】
前記紫外線源がレーザーを含む、請求項1に記載の電荷変更システム。
【請求項5】
前記レーザーが、前記誘電材料上の電荷を所定のパターンで選択的に変更して、次の処理用の誘電材料を作製するように配置されている、請求項4に記載の電荷変更システム。
【請求項6】
前記紫外線をフィルタリングし、前記紫外線を所定のパターンで前記誘電材料上に選択的に方向付けて、次の処理用の誘電材料を作製するように配置されたフィルターを更に備える、請求項1に記載の電荷変更システム。
【請求項7】
前記紫外線源が、約30ナノメートル〜約400ナノメートルの範囲の波長を有する電磁放射線を発生させる、請求項1に記載の電荷変更システム。
【請求項8】
誘電材料上の電荷を変更する方法であって、前記方法が、
前記誘電材料を得る工程と、
前記誘電材料に隣接する領域にガスを導入して、前記ガスが前記領域で、大気中におけるよりも高い濃度を有するようにする工程と、
前記領域及び前記誘電材料に紫外線を照射する工程と、
前記誘電材料に照射を行いながら、前記誘電材料上の電荷を変更する工程と、を含む方法。
【請求項9】
前記誘電材料が、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、布、紙、ラミネート、及びガラスからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記誘電材料が、約1メートル〜約100メートルの範囲の長さと、約0.25メートル〜約5メートルの範囲の幅と、約3マイクロメートル〜約3000マイクロメートルの範囲の厚みとを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記誘電材料を得る工程が、帯電している誘電材料を得ることを含み、前記誘電材料上の電荷を変更する工程が、前記誘電材料上の電荷を低下させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
帯電している前記誘電材料が、1000ボルトを超える電位を有し、前記誘電材料上の電荷を低下させる工程が、前記電位を150ボルト未満に低下させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記誘電材料上の電荷を低下させる工程が、前記電位を100ボルト未満に低下させることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
電荷を変更する工程を所定のパターンで行って、第1の帯電電位を有する第1の領域と、第2の帯電電位を有する第2の領域とを形成させ、前記第1の帯電電位が前記第2の帯電電位よりも大きい、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記誘電材料を得る工程が、
ロール状の誘電材料の一部を巻き出すことと、
少なくとも1つのローラーを有する領域を通り抜けるように、前記誘電材料の前記巻き出し部分を送ることとを含み、電荷を変更する工程が、前記誘電材料上の電荷を低下させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記ローラーが接地に電気的に接続されており、電荷を変更しながら、スクリーンを通過するように前記巻き出し部分を送ることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記巻き出し部分を送ることが、前記巻き出し部分を毎分約10メートル〜毎分約25メートルの範囲の速度で移動させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
誘電材料を受け入れるための誘電材料経路と、
ガスを含むガス源であって、前記ガス源が、前記誘電材料経路に隣接する場所に前記ガスを供給して、前記場所における前記ガスの濃度を上昇させるように配置された、ガス源と、
前記場所に紫外線を照射して、前記ガスを励起させると共に、前記誘電材料上の電荷を変更するための紫外線源と、
を備える電荷変更システム。
【請求項19】
前記ガスが、窒素及びアルゴンからなる群から選択される、請求項18に記載の電荷変更システム。
【請求項20】
前記紫外線源がバルブ、ランプ、又は発光ダイオードである、請求項18に記載の電荷変更システム。
【請求項21】
電荷を変更することが、前記誘電材料上の帯電電位の大きさを増大させることを含む、請求項18に記載の電荷変更システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2011−511996(P2011−511996A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539696(P2010−539696)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/086958
【国際公開番号】WO2009/085742
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】