説明

紫外線放射光線を用いた捜索および救援

捜索および救援システムは、放射光線を放出する放射光線源を含む救援ビーコンを含む。放射光線の少なくとも一部は、紫外線c−帯域放射光線を含む。また、本システムは、救援ビーコンを突き止めることを可能にするために、紫外線c−帯域放射光線を検出する紫外線c−帯域検出器を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 当技術分野では周知のように、紫外線(UV)光は電磁波であり、その波長は可視光よりは短いが、X−線よりは長い。UV光は、100から400ナノメートル(nm)の範囲の波長、および3から124電子ボルトまでのエネルギを含む。UV光は、太陽、電気アーク、およびブラック・ライトのような人工光源から放出される。イオン化放射光線(radiation)として、UV源は、多くの物質を成長または蛍光させる化学反応を起こさせることができる。UV光は可視光を超えるが、殆どの人は日焼けによって、UV放射光線の影響を知っている。しかしながら、UVスペクトルは人間の健康に対して、有益および有害双方の影響を他にも多く持っている。
【0002】
[0002] UV放射光線は、以下のように分離される放射光線帯域を含む、多数の方法で分類することができる。
【0003】
UV A−帯域:400から320nm
UV B−帯域:320から280nm
UV C−帯域:280から200nm
[0003] 太陽は、UV A、UV B、およびUV C−帯域の放射光線を放出する。しかしながら、地球の大気のオゾン層がこの放射光線の約98.7%を、特にUV BおよびUV C−帯域において吸収する。他の自然UV放射光線源は、稲妻(lightning)および火を含む。
【0004】
[0004] また同様に当技術分野では周知のように、通常のガラスは、UV A−帯域の放射光線に対しては部分的に透過性があるが、UV BおよびUV C−帯域における短い方のUV波長に対しては不透過性である。材料の品質に応じて、シリカまたはクオーツ・ガラスはUV C−帯域放射光線に対しても透過性となることができ、一方、窓ガラスは350nmよりも高いUV光の約90%を通過させるが、300nmよりも低いUV光の90%以上を遮断する。
【0005】
[0005] UV放射光線は、有効なウィルス撲滅剤およびバクテリア撲滅剤となることができ、汚水処理において用いられる。しかしながら、飲料水の滅菌における使用は、発見されたばかりに過ぎない。UVランプが、生物学研究所や医療設備において用いられる作業空間や器具を滅菌するために用いられている。特に、UV光は有効な殺菌剤となることができる。何故なら、受容有機体(host organism)を殺すことはできないが、細胞DNAを損傷することによって再生を阻止することができるからである。
【0006】
[0006] また同様に当技術分野では周知のように、UV C−帯域の放射光線は人間には見ることができず、通常のカメラ、ビデオ・ギア、および夜間映像システムには不可視である。既存のUV検出器は、一般に、炭化珪素デバイスまたは窒化アルミニウム・デバイスのようなソリッド・ステート・デバイス、あるいは検知エレメントのようなガス充填チューブのいずれかを含む。UV検出器は、主に人工光を検出するために用いられている。例えば、石油化学業界では、UV検出器を用いて、185から260nm範囲において強く放射する燃焼水素炎を監視する。UV検出器は、炭化水素、金属、硫黄、水素、ヒドラジン、およびアンモニアのような燃焼化合物に感応する。工業用保安用途では、アーク溶接、電気アーク、点火、およびX−線を効果的に検出するために、UV検出器を採用する。
【0007】
[0007] UV C−帯域カメラは、潜在的に破壊的な電気アーク(いわゆる「フラッシュ・オーバー」)を特定するために、高電圧電力線におけるホット・スポットから発する不可視のコロナを検出するために用いられている。これらのカメラは、特殊なクオーツまたはフッ化カルシウム・レンズを用い、分割光路を有し、可視光およびUV光を処理して最終的に可視画像に組み合わせる。可視光は従来のビデオ・カメラ経路に従うが、UV光はUV C−帯域透過光路を通過する。次いで、UV光は日食フィルタ(solar blind filter)を通過して、UV増感電荷結合デバイス(ICCD; UV Intensified Charged Coupled Device)に入る。画像再結合の結果、不可視のUV放射光線が、標準的なビデオ画像上におけるオーバーレイとして、可視光のように表示される。通例、カメラの操作者は、作動中のUV C−帯域カメラを通してUV C−帯域放出源を観察すると、UV C−帯域光子の明るい雲(bright cloud)を見ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008] 撃墜された(downed)パイロットまたは行方不明のパイロット、あるいは海上において船から落ちた人(MOB)、雪崩の犠牲者、行方不明のハイカーの救出、更にその他の救出が想定される場面ににおいて、時間は重大である。犠牲者の救出における成功は、犠牲者における低体温症の急速な進展、極度の疲労、溺死、危険な地形、または敵との遭遇のため、分単位で測定するとよい。環境的条件が厳しい場合、救援隊は、犠牲者を突き止め損ねることもあり得る。犠牲者は、捜索補助具を装着している(またはつなぎ止めている)が、突き止めて追跡するためには見通し線が必要となる。更に、多くの捜索補助具は、外海では比較的長い距離から突き止めて追跡することはほぼ不可能であり、救援船が現れて捜索をさかのぼって調べようとしている間に連絡が途絶える可能性がある。
【0009】
[0009] ストロボは、夜間の穏やかな海(water)では、1マイル未満の距離においてほどほどに見ることができる。生憎、ストロボは日中、および/または多くの事故が発生する悪天候では、見えにくくなる。また、海を漂流する犠牲者および/または陸上を動き回る犠牲者(例えば、当該区域において危険な条件および/または敵の攻撃(hostile force)を避けるため)は、救援隊が一時的に犠牲者の居所が分からなくなっているときに、見失う可能性がある。更に、海の波および風が作業を妨げて、見失った犠牲者が長い距離にわたって漂流する可能性がある。
【0010】
[0010] 本発明者は、これらの問題の多くを克服するために、捜索および救援活動の間に、UV C−帯域放射光線を用いることができることを理解した。具体的には、本発明者は、UV C−帯域検出器がソラー・ブラインド型であるので(地球の大気がUV C−帯域放射光線を遮る)、UV C−帯域放射光線を、屋外および屋内、ならびに昼間および夜間を含む、多種多様の環境において用いることができることも理解した。更に、UV C−帯域放射光線は、一般に、雨や霧のような厳しい天候や埃の影響を受けず、したがって、他の場合には問題になるこれらの条件下でも有効に用いることができる。他の有用な特徴は、UV C−帯域放射光線が水、土、雪、ならびに歩道や壁のような人工表面で良く反射することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0011] 概略的な全体像において、本明細書において記載する本発明の概念、技法、およびシステムは、失われたエンティティを突き止めて追跡するための捜索および救援活動において用いることができる。更に特定すれば、本発明の概念、技法、およびシステムは、不明の犠牲者または資産に取り付けるおよび/または結び付けることができるUV C−帯域放射光線源を突き止めて追跡するために、UV C−帯域検出器の使用を伴う。本発明の概念、技法、およびシステムは、従来技術において体験した多くの問題を克服するように、捜索および救援機能を支援するために用いることができる。
【0012】
[0012] 利点をあげると、救援隊が比較的長い距離を踏破することが多い環境では(飛行機が衝突し、救援隊が衝突の正確な場所を探し当てることができない場合に、不明の犠牲者を突き止めようとするため等)、本発明の概念、技法、およびシステムは、比較的長距離から、不明のエンティティを突き止めそして追跡することを可能にする。一実施形態では、低電力UV C−帯域放射光線源は、見通し線を通して(即ち、何の障害物にも遮られない)何マイルにもわたって認識すること、航空機搭載反射板によって反射することおよび/または散乱することができる。
【0013】
[0013] 別の実施形態では、UV C−帯域放射光線は、ハンドヘルドUV C−帯域撮像器によって見ることができる。同じまたは異なる実施形態において、本発明のシステムを組み込むように救援デバイスを構成することができる。例えば、約400ナノメートル(nm)から約700nmの範囲において可視光(発行ダイオードからのような)および/または700nmよりも高い赤外線光を放出するストロボを、UV C−帯域放射光線源を組み込むように構成することができ、UV C−帯域撮像器を用いて、捜索および救援の作業を高速化および簡素化することができる。ストロボを用いる用途では、UV C−帯域放射光線を通常遮断するガラスまたはプラスチック・ストロボ・カバーを除去すること、またはストロボが放出するUV C−帯域放射光線を遮断しない別の材料で置き換えることができる。その他の例では、ストロボ管の材料がUV C−帯域放射光線を遮断してもよく、UV C−帯域放射光線を遮断しない他の材料と置き換えることができる。
【0014】
[0014] 1つの態様では、捜索および救援システムは、放射光線を放出する放射光線源を含む救援ビーコンであって、放射光線の少なくとも一部が紫外線c−帯域放射光線を含む、救援ビーコンと、救援ビーコンを突き止めることを可能にするために紫外線c−帯域放射光線を検出する紫外線c−帯域検出器とを含む。
【0015】
[0015] 更に別の実施形態では、本システムは、以下の特徴の内1つ以上を含む。救援ビーコンは、移動体に結合されている。放射光線源は、無指向性放射光線源である。放射光線の大部分は、紫外線c−帯域放射光線源である。放射光線源は、発光ダイオード、および気体放電管の内少なくとも1つである。気体放電管は、キセノンまたは水銀放電管である。紫外線c−帯域検出器は、1ビット検出器である。振動発生器は、紫外線c−帯域放射光線の検出に応答して振動する。紫外線c−帯域検出器は、撮像器である。撮像器は、画像をユーザに表示し、この画像が、検出された紫外線c−帯域放射光線を表す紫外線c−帯域部分と、救援ビーコンの環境を表す可視光部分とを含む。
【0016】
[0016] 他の態様では、捜索および救援方法は、放射光線源を含む救援ビーコンを設けるステップであって、少なくとも一部が紫外線c−帯域放射光線を含む、ステップと、紫外線c−帯域検出器を用いて、紫外線c−帯域放射光線を検出するステップとを含む。
【0017】
[0017] 本方法の別の実施形態は、以下の特徴の内1つ以上を含む。救援ビーコンが移動体に結合されている。放射光線源は、無指向性放射光線源である。放射光線の大部分は、紫外線c−帯域放射光線源である。放射光線源は、発光ダイオード、および気体放電管の内少なくとも1つである。気体放電管は、キセノンまたは水銀放電管である。紫外線c−帯域検出器が1ビット検出器である。紫外線c−帯域放射光線の検出に応答して振動刺激を発生する。紫外線c−帯域検出器は、撮像器である。画像をユーザに表示し、この画像が、検出された紫外線c−帯域放射光線を表す紫外線c−帯域部分と、救援ビーコンの環境を表す可視光部分とを含む。
【0018】
[0018] 尚、本発明の概念、技法、およびシステムは捜索および救援活動に限定されるのではないことは、当業者には容易に明らかとなるであろう。非限定的な一例を挙げると、本発明の概念、技法、およびシステムは、移動ビーコンおよび/または固定ビーコンを突き止めそして追跡して、研究活動および/または商業的努力および/または組織的機能を支援するために用いることができる。例えば、UV放射光線源を観測気球に取り付けて、天気予報を支援すること、または現場デバイスに取り付けて、UV検出器によって検出することができる商業的資産を追跡することができる。
【0019】
[0019] 以上の特徴、および詳細な説明は、以下の図面の説明から一層深く理解することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】[0020]図1は、本明細書に記載する本発明の概念、技法、およびシステムによる捜索および救援システムの一実施形態を表す図である。
【図2】[0021]図2は、一部がUV C−帯域放射光線を含む電磁スペクトルを表す図である。
【図3A】[0022]図3Aは、本明細書に記載する本発明の概念、技法、およびシステムによる救援ビーコンの一実施形態を表す図である。
【図3B】[0023]図3Bは、本明細書に記載する本発明の概念、技法、およびシステムによる救援ビーコンの別の実施形態を表す図である。
【図3C】[0024]図3Cは、本明細書に記載する本発明の概念、技法、およびシステムによる救援ビーコンの更に別の実施形態を表す図である。
【図3D】[0025]図3Dは、本明細書に記載する本発明の概念、技法、およびシステムの一実施形態を含む捜索および救援環境を表す図である。
【図3E】[0026]図3Eは、本明細書に記載する本発明の概念、技法、およびシステムの一実施形態を用いることができる研究環境を表す図である。
【図3F】[0027]図3Fは、本明細書に記載する本発明の概念、技法、およびシステムの一実施形態を用いることができる更に別の捜索および救援環境を表す図である。
【図4】[0028]図4は、図1のシステムにおいて用いることができるタイプの紫外線(UV)C−帯域撮像器一実施形態を表す図である。
【図5】[0029]図5は、本明細書において記載する本発明の捜索および救援方法の一実施形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0030] 本明細書において記載する本発明の概念、技法、およびシステムの詳細な説明を開始する前に、捜索および捜索活動、ならびに従来の技法に伴う問題や救命胴衣のような捜索補助(水で動作するストロボ光(water-operated strobes)、クリップ・オン無線周波デバイス等を含むことができる)、更には煙信号、警笛、および火炎のようなその他の方法の概略的な全体像を示すことは有用であると考えられる。
【0022】
[0031] 撃墜されたパイロットおよび/または船から落ちた人(MOB)のような犠牲者を突き止める捜索および救援作業には、環境や手順による障害が生ずることが多い。特に、捜索環境の障害物および表面的特性が、救援作業を阻む可能性がある。例えば、海における変わりやすい波、陸地におけるでこぼこの地形、厳しい天候(雨および霧を含む)、および距離が、犠牲者を突き止めるために必要となり得る、探知機から犠牲者までの直接的な見通し線を遮る可能性がある。波(wave)の上の白波(white cap)のような、他の表面的特性も犠牲者を分かり難くし、救援隊が犠牲者を捜し当てるのを特に困難にする。捜索船が方向を逆転させるときのいわゆる「カム・アバウト」活動(come-about operations)の間に救援隊が犠牲者の姿(sight)を失うと、他の問題が発生する。
【0023】
[0032] 図1を参照すると、本明細書において記載する本発明の概念、システム、および技法の一実施形態によれば、捜索および救援システム100は、放射光線112を放出する放射光線源103を含む救援ビーコン102を含む。放射光線112の少なくとも一部は、紫外線(UV)C−帯域放射光線を含む。システム100は、更に、救援ビーコン102を突き止めることを可能にするためにUV C−帯域放射光線を検出するUV C−帯域検出器130も含む。
【0024】
[0033] UV C−帯域放射光線源103は、UV C−帯域の放射光線範囲における光を含む、光を放出することができるデバイスを含む。電磁スペクトル225を示す図2を参照すると、別の実施形態において、放出される光の大部分(例えば、放出される光の少なくとも80%)は、UV B−帯域252、UV A−帯域254、可視範囲256、および赤外線範囲258と比較すると、電磁スペクトル255のUV C−帯域放射光線範囲250の中にある。図2において見ることができるように、UV C−帯域放射光線250は、約200nmから約280nmの範囲内にある。
【0025】
[0034] 再度図1を参照すると、非限定的な一例として、放射光線源103は、炭化珪素または窒化アルミニウム・デバイスのようなソリッド・ステート・デバイス、あるいはガス充填管を含むことができる。他の非限定的な一例では、UV C−帯域放射光線源103は、UV C−帯域発光ダイオード、あるいは低圧力または中圧力気体のキセノンおよび/または水銀放電管を含むことができる。このような管は、低コストおよび長寿命デバイスと言えるストロボ光を含むことができる。その他の放射光線源には、レーザ・ダイオード、および他の種類の気体を混合した気体放電管が含まれる。
【0026】
[0035] UV−C帯域放射光線検出器130は、UV C−帯域放射光線範囲の光を含む、光を検出することができるデバイスを含む。非限定的な一例として、検出器130は1ビットUV C−帯域検出器を含むことができる。その非限定的な一例は、日本の静岡県、磐田市にあるHamamatsu Photonics K.K.が製造するUVTron R2868である。これは、約185nmから約260nmの範囲で光を検出することができる。別の実施形態では、検出器130はUV C−帯域撮像器を含む。その一例は、イスラエル国(Israel)、Nes-ZionのOfil Ltd.が製造するDayCor(登録商標)Superbである。これは、絶対ソラー・ブラインド性能および高い照準分解能を有する、高感度二重スペクトル(bi-spectral)可視光およびUV C−帯域検出装置である。尚、検出器130は以上で述べた実施形態に限定されるのではなく、他のタイプのUV C−帯域放射光線検出器を含むこともできることは、当業者には言うまでもないであろう。
【0027】
[0036] 別の実施形態では、UV C−帯域検出器130は、先に述べた1ビットUVTron検出器と同様であってもよい、1ビット検出器と、検出されたUV C−帯域放射光線に応答して振動刺激を発生する振動発生器とを含む。非限定的な一例として、振動発生器は、振動モータとすることができる。振動発生器は、検出されたUV C−帯域放射光線の量に応じて、振動刺激を強めることおよび/または弱めることができる。例えば、比較的強いUV C−帯域放射光線源に応答して、振動刺激が強くなるのであってもよい。
【0028】
[0037] このような検出器103は、検出されたUV C−帯域放射光線に応答して振動するハンドヘルド・デバイスに含めることもできる。利点をあげると、このような検出器103は比較的簡素で低価格でありながら、UV C−帯域放射光線の存在および/または位置をユーザに効果的に伝達できることである。例えば、検出器103は、ユーザがハンドヘルド・デバイスを直接UV C−帯域放射光線源102に向けたときに振動することができる。他の例では、検出器103は、埃の粒子によって散乱された放射光線のような散乱UV C−帯域放射光線、および/または水面から反射した放射光線のような、反射UV C−帯域放射光線に応答して振動することもできる。散乱および反射UV C−帯域放射光線は、UV C−帯域放射光線の正確な発生源や位置を示せないこともあるが、捜索空間を狭めるために、概略的な発生源の方向を示すことができる。
【0029】
[0038] 別の実施形態では、UV C−帯域検出器130は、更に、検出されたUV C−帯域放射光線に応答して、それぞれ音響および映像刺激を発生する、音響発生デバイスおよび/または映像発生デバイスも含む。更に、これらのデバイスを、前述した振動発生デバイスと組み合わせることもできる。
【0030】
[0039] これより図3Aおよび図3Bを参照すると、これらの図では、同様のエレメントは同様の参照符号を有しており、更に別の実施形態において、救援ビーコン302が、UV C−帯域放射光線源303を含み、これらは図1と関連付けて先に説明した救援ビーコン102および放射光線源103と同様であってもよく、犠牲者301が装着している救命胴衣305(図3A)に結合されている。別の実施形態では、救援ビーコン102を救命浮き輪または、犠牲者301に結び付けることができる(307)発射可能な水中落下人マーカ(throwable man-overboard marker)310(図3B)に結合することもできる。救援ビーコン302をこれらのデバイスに結合するには、種々の方法を用いることができ、締結具(その非限定的な例には、リベット、クリップ、ステープルが含まれる)のような機械的デバイスを設けること、またはエポキシを用いるというように化学的に行うこと、あるいはその組み合わせを設けることを含むが、これらに限定されるのではない。
【0031】
[0040] 図3Cを参照すると、この図では、図3Aおよび図3Bの同様のエレメントが同様の参照符号を有しており、他の実施形態において、救援ビーコン302は固定体となっている。非限定的な例として、救援ビーコンは、地面317に埋め込まれた柱315、タワーのような永続的支持構造、またはその他のいずれの固定体であってもよい。この実施形態では、救援隊が救援犠牲者301を突き止めることができるように、犠牲者301は救援ビーコン302の近くに留まっているとよい。
【0032】
[0041] 他の実施形態では、救援ビーコン302は移動体である。非限定的な一例として、救援ビーコン302は、表面波、海流、および/または風力による漂流と共に移動する浮遊デバイスとすることができ、あるいは移動する車両または移動する不明の犠牲者に結合されていてもよい。後者の場合、不明の犠牲者は、敵の攻撃を避けるため、避難所を探すため、および/または危険な環境条件(険しい地形のような)を避けるために移動する可能性がある。同じまたは異なる実施形態において、救援ビーコン302を一時的に固定し、例えば、不安定な地面のためにある時点でのみまたはある出来事の間だけ移動するのであってもよい。例えば、救援ビーコン302を不安定な雪の堆積の中に配備し、なだれの間、あるいは氷または雪の沈殿、溶融、および/または凍結のために一時的に移動するようにしてもよい。
【0033】
[0042] これより図3Dを参照すると、図3Aおよび図3Bの同様のエレメントが同様の参照符号を有しており、更に別の実施形態において、放射光線源303が無指向性放射光線源312になっている。無指向性放射光線源とは、光線源を中心として全ての方向に実質的に等しく光を放出する放射光線源である。利点をあげると、このような放射光線源は、この放射光線源に近づきつつあるおよび/または放射光線源から遠ざかりつつある車両上に装着されたUV C−帯域検出器からの方向を含む、広い多様な方向から検出できることである。
【0034】
[0043] UV C−帯域放射光線の反射特性と組み合わせると、放射光線源が救援車両319の見通し線318以内にあるか否かには関係なく、放射光線源303を検出することができる。図3Dにおいて見られるように、救援車両319と救援ビーコン302との間の見通し線318は、山頂321によって遮られている。しかしながら、UV C−帯域検出器330の視野の一部がUVC−帯域源303から発せられるUV C−帯域放射光線307の場の一部と重複している(333)限り、救援ビーコン302を検出することができる。
【0035】
[0044] 尚、本発明の概念、技法、およびシステムは、捜索および救援活動における用途に限定されるのではないことは、当業者には容易に分かるであろう。非限定的な一例として、本発明の概念、技法、およびシステムは、移動ビーコンおよび/または固定ビーコンを突き止めそして追跡して、研究活動および/または商業的努力および/または組織的機能を支援するために用いることができる。これより図3Eを参照すると、例えば、気象観測活動を支援するために、UV放射光線源383を含むビーコン382を、観測気球387に取り付けることができる。この例では、UV検出器380をタワー389に装着することができる。1つ以上の商用用途では、本発明の概念、技法、およびシステムは、資産を追跡するために用いることができる。
【0036】
[0045] 本願の全体を通じて説明するように、UV C−帯域放射光線は、約200nmから約280nmの範囲内に入っている。図3Fを参照して、利点をあげると、このように放出された光392は、可視光検出カメラ395および/または当技術分野で見られることが多い望遠鏡または双眼鏡397を含む光学デバイスでは検出できないことである。このように、本発明の概念、技法、およびシステムは、通例これらのデバイス395、397を用いる敵の軍隊393を妨害し、飛行機の墜落399に巻き込まれ墜落したパイロットのような、墜落した犠牲者391を突き止め、捕獲し、および/または制圧しようとするのに役立つことができる。
【0037】
[0046] これより図4を参照すると、更に別の実施形態において、本発明の概念、技法、およびシステムは、UV C−帯域放射光線源403によって放出されるUV C−帯域放射光線412、および環境490内にある可視光を検出することができる撮像器430を含む。撮像器430は、表示デバイス432上に、検出されたUV C−帯域放射光線413および環境423の視覚的光景を含む画像434を発生する。撮像器430は、対物UVおよび/またはズーム・レンズ、ならびに参照番号455で全体的に示される、他のコンポーネントを含むことができる。
【0038】
[0047] 更に別の実施液体では、検出されたUV C−帯域画像413を変換して(415)、表示画像434の映像成分433として現れるようにする。映像成分433は、環境490内にある他の表示物体435と重複してもよい。このように、図1に関して説明した救援ビーコン102と同様に、救援隊は救援ビーコン402を突き止めて追跡することができる。
【0039】
[0048] これより図5を参照すると、捜索および救援方法500は、UV C−帯域放射光線を放出する紫外線c−帯域放射光線源を含む救援ビーコン502を設けるステップと、紫外線c−帯域検出器を用いて、紫外線c−帯域放射光線504を検出するステップとを含む。別の実施形態では、方法500は、広い捜索エリア、例えば、救援船を取り巻く360度の捜索エリアを自動的に掃引し監視するために、放射光線スキャナを設けるステップを含む。
【0040】
[0049] 同じまたは異なる実施形態において、方法500は、広い捜索エリアからUV C−帯域検出器までUV C−帯域放射光線を反射する、UV C−帯域放射光線反射板を設けるステップを含む。例えば、UV C−帯域反射板は、UV C−帯域放射光線を検出器に向けて反射することができるミラーを含むことができる。このようなミラーは、UV C−帯域放射光線を検出器に向けて全ての方向から実質的に等しく反射するように、前述のスキャナに回転可能に結合するとよい。
【0041】
[0050] 以上、本発明の実施形態例について説明したが、その概念を組み込んだ他の実施形態も用いてもよいことは、今では当業者には明らかとなろう。本明細書に含まれる実施形態を、開示した実施形態に限定してはならず、添付した請求項の主旨および範囲によってのみ限定されてしかるべきである。本明細書において引用した全ての刊行物および参照文献は、引用したことによって、その全体が本願にも明示的に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捜索および救援システムであって、
救援ビーコンであって、放射光線を放出する放射光線源を備えており、前記放射光線の少なくとも一部が紫外線c−帯域放射光線を含む、救援ビーコンと、
前記救援ビーコンを突き止めることを可能にするために、前記紫外線c−帯域放射光線を検出する紫外線c−帯域検出器と、
を備えている、捜索および救援システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、前記救援ビーコンが移動体に結合されている、システム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、前記放射光線源が無指向性放射光線源である、システム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムにおいて、前記放射光線の大部分が、紫外線c−帯域放射光線である、システム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムにおいて、前記放射光線源が、発光ダイオード、および気体放電管の内少なくとも1つである、システム。
【請求項6】
請求項5記載のシステムにおいて、前記気体放電管が、キセノンまたは水銀放電管である、システム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムにおいて、前記紫外線c−帯域検出器が1ビット検出器である、システム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムであって、更に、
検出された紫外線c−帯域放射光線に応答して、刺激を発生する刺激発生器を含む、システム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムにおいて、前記刺激発生器が、振動発生器、音響発生器、および映像発生器の内の1つである、システム。
【請求項10】
請求項1記載のシステムにおいて、前記紫外線c−帯域検出器が撮像器である、システム。
【請求項11】
請求項10記載のシステムにおいて、前記撮像器が画像をユーザに表示し、前記画像が、
前記検出された紫外線c−帯域放射光線を表す紫外線c−帯域部分と、
前記救援ビーコンの環境を表す可視光部分と、
を含む、システム。
【請求項12】
捜索および救援方法であって、
救援ビーコンを設けるステップであって、前記救援ビーコンが、放射光線を放出する放射光線源を備えており、前記放射光線の少なくとも一部が紫外線c−帯域放射光線を含む、ステップと、
紫外線c−帯域検出器を用いて、前記紫外線c−帯域放射光線を検出するステップと、
を備えている、捜索および救援方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記救援ビーコンが移動体に結合されている、方法。
【請求項14】
請求項12記載の方法において、前記放射光線源が無指向性放射光線源である、方法。
【請求項15】
請求項12記載の方法において、前記放射光線の大部分が紫外線c−帯域放射光線である、方法。
【請求項16】
請求項12記載の方法において、前記放射光線源が、発光ダイオード、および気体放電管の内少なくとも1つである、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記気体放電管が、キセノンまたは水銀放電管である、方法。
【請求項18】
請求項12記載の方法において、前記紫外線c−帯域検出器が1ビット検出器である、方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法であって、更に、
検出された紫外線c−帯域放射光線に応答して、刺激を発生するステップを含む、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記刺激を発生するステップが、振動を発生するステップ、音響を発生するステップ、および映像を発生するステップ内の1つである、方法。
【請求項21】
請求項12記載の方法において、前記紫外線c−帯域検出器が撮像器である、方法。
【請求項22】
請求項12記載の方法であって、更に、
画像をユーザに表示するステップを備えており、前記画像が、
前記検出された紫外線c−帯域放射光線を表す紫外線c−帯域部分と、
前記救援ビーコンの環境を表す可視光部分と、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−503782(P2013−503782A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527903(P2012−527903)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/046285
【国際公開番号】WO2011/028463
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)