説明

紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシ及び吸入ブラシの製造方法

【課題】 被掃除面から流入されるごみ等から遮断されるよう紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 紫外線殺菌ランプを備えた吸入ブラシは、被掃除面に向けて開放された透過窓と、透過窓の内側空間部に設置されて、被掃除面に向けて紫外線を照射する紫外線殺菌ランプと、透過窓の内側空間部を覆うように結合されるテフロン窓部材とを備え、吸入ブラシの製造方法は、吸入ブラシの被掃除面に向けて開放された透過窓の内側空間部に紫外線殺菌ランプを設置するステップと、透過窓の周縁に形成された複数の結合突起に、対応する形状の結合孔を有するテフロン窓部材を嵌め込むステップと、透過窓の内側空間部が空気の疎通可能に窓部材の結合位置を設定するステップと、結合位置で前記結合孔を通過した結合突起の終端を高温/高圧で圧着することによって、窓部材を固定するステップとを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除機に関し、より詳しくは、被掃除面を殺菌できる紫外線殺菌装置を備えた真空掃除機の吸入ブラシ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、真空掃除機は、掃除機本体に設置された真空吸入手段により発生した負圧を利用して、被掃除面のごみ等を周辺の空気と共に吸入及び捕集する。ところが、最近では健康に対する関心が高まることにより、単にごみ等を捕集することのみならず被掃除面の細菌も殺菌することができる、吸入ブラシに紫外線殺菌装置を備えた真空掃除機が開発されている。一例に、韓国公開実用新案実2001-0001345号は、紫外線殺菌装置が備えられた真空掃除機の吸入ブラシを開示したものであって、被掃除面からごみ等が含まれた空気が吸入されるホコリ吸入孔が形成された下部ケースに紫外線殺菌ランプが設置された構造が開示されている。
【0003】
ところが、紫外線殺菌ランプから照射される紫外線は、進行経路上に障害物がある場合、これを通過できない。したがって、紫外線殺菌ランプから生成された紫外線の損失を最大限減らした状態で被掃除面に照射するためには、透過窓を開放された状態にするか、体積が大きなごみ等などにより紫外線殺菌ランプが損傷されることを防止するグリルを該透過窓に設置する。
【0004】
しかし、このように紫外線殺菌ランプが露出された状態に設置すれば、装置の使用期間の増加にともなって、外部ホコリなどにより紫外線殺菌ランプの表面が汚れ、破損の恐れもある。特に、紫外線殺菌ランプ表面が汚れると、紫外線殺菌ランプから発生した紫外線の一部は、表面に吸着された汚れにより遮断されて被掃除面に伝達されない。したがって、このような紫外線殺菌ランプの汚れを防止するため、紫外線透過効率の良い石英ガラスのような物質で透過窓を密閉する方法が提案された。
【0005】
しかし、石英ガラスを利用して透過窓を密閉すれば、被掃除面から流入される汚れを遮断できるという長所はあるが、紫外線殺菌ランプから発生する熱が外部に排出できないため、紫外線殺菌ランプが過熱される恐れがあり、また石英ガラスの強度が高くないため、破損の恐れがある。
【特許文献1】韓国公開実用新案実2001-0001345号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、被掃除面から流入される汚れから遮断されるよう紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシ及びその製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、紫外線殺菌ランプの過熱を解消できるように、紫外線殺菌ランプの設置構造が改善された吸入ブラシ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明に係る紫外線殺菌ランプを備えた吸入ブラシは、被掃除面に向けて開放された透過窓と、前記透過窓の内側空間部に設置されて被掃除面に向けて紫外線を照射する紫外線殺菌ランプと、前記透過窓の内側空間部を覆うように結合されるテフロン(イー アイ デュポン ドゥ ヌムール アンド カンパニーの登録商標)窓部材とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の好適な実施形態によると、前記テフロン窓部材は、前記内側空間部が外部と空気の疎通可能に、前記透過窓から所定の間隔だけ離れた位置で結合されることが良い。
【0010】
また、前記内側空間部には、前記紫外線殺菌ランプから発生した紫外線を被掃除面に集中させる反射面が形成される。
【0011】
この場合、前記反射面は、被掃除面に向けて広がる山形状に形成され、アルミニウムテープを付着して形成されることが良い。
【0012】
テフロン窓部材は、透明材質で形成されることが良い。
【0013】
一方、前記透過窓の周縁には複数の結合突起が突出形成され、テフロン窓部材には前記複数の結合突起と対応する結合孔が形成されるが、前記複数の結合突起は、単一列で配置された円筒形結合突起で形成されることもでき、複数列で構成され、対面している面が互いに交差するように配置された角柱型結合突起で形成されることもできる。
【0014】
本発明に係る紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシの製造方法は、吸入ブラシの被掃除面に向けて開放された透過窓の内側空間部に紫外線殺菌ランプを設置するステップと、前記透過窓の周縁に形成された複数の結合突起に、前記複数の結合突起と対応する形状の結合孔を有するテフロン窓部材を嵌め込むステップと、前記透過窓の内側空間部が空気の疎通可能にテフロン窓部材の結合位置を設定するステップと、前記結合位置で前記結合孔を通過した複数の結合突起の終端を高温/高圧で圧着することによって、前記テフロン窓部材を固定するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被掃除面のごみ等または障害物などに対して紫外線殺菌ランプを保護する窓部材を、紫外線殺菌ランプが設置される透過窓に空気の疎通可能な構造で結合するため、この疎通される空気により紫外線殺菌ランプから発生する熱を排出でき、これにより紫外線殺菌ランプが過熱されることを防止できる。
【0016】
また、紫外線透過率が高くかつ高強度の透明テフロン樹脂で窓部材を形成するため、従来用いられた石英を利用した透過窓に比べて製品信頼性の高い窓部材を提供することが可能な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態をアップライト掃除機を一例にとって説明する。
【0018】
図1に示すように、アップライト掃除機は、掃除機本体10に被掃除面に沿って移動しながらごみ等が含まれた空気を吸入する吸入ブラシ20が結合される。掃除機本体10には、吸入ブラシ20から吸入されたごみ等が空気から分離され捕集される集塵装置30が着脱自在に設置される。
【0019】
図2に示すように、吸入ブラシ20には被掃除面に向けて開放された透過窓21が形成され、この透過窓21の内側空間部23には紫外線が発生される紫外線殺菌ランプ40が設置される。
【0020】
図3及び図4に示すように、本発明の第1実施形態によれば、内側空間部23には、発生された紫外線を被掃除面に向けて集中させることができるよう反射面25が形成される。該反射面25は、被掃除面に向ける方向に広がる山形状に形成され、紫外線殺菌ランプ40から発生した紫外線を最大限集めて被掃除面に広く分散させる。反射面25は、反射率に優れた材質から形成されることが良いが、好ましくは、アルミニウムテープを内側空間部23の壁面に付着し形成することが良い。
【0021】
また、透過窓21には、透明なテフロン窓部材50が所定の間隔gだけ離れた状態で結合されて、内側空間部23に設置される紫外線ランプ40が外部ホコリにより汚れることを防止する。紫外線透過性に優れたテフロン樹脂の物理的特性上、テフロン窓部材50が必ず透明に形成される必要はない。しかし、ユーザが肉眼で紫外線殺菌ランプ40の状態が確認できるように、透明部材で形成されることが好ましい。 図4に示すように、テフロン窓部材50は、単一列に配置された円筒形結合突起22aにより固定される。
【0022】
図5及び図6は、本発明の第2実施形態を示したものであって、基本的な構成は上述した第1実施形態と同一である。すなわち、内側空間部23には、紫外線殺菌ランプ40が設置され、透過窓21には、透明なテフロン窓部材50が所定の間隔gだけ離れた状態で結合されて、内側空間部23に設置される紫外線ランプ40の汚れを防止する。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、透過窓21の周縁に突出形成された結合突起の形状にある。すなわち、同図に示すように、該結合突起は複数列で構成され、対面している面が互いに交差するように配置された角柱型結合突起22bから形成される。この場合、上述した第1実施形態に比べて、透過窓21とテフロン窓部材50との間の結合がより強くなる。
【0023】
なお、本発明の第1及び第2実施形態に示す結合突起22a、22bは、吸入ブラシ20から延長形成される。すなわち、吸入ブラシ20を射出成形する時、金型上で一体に形成し構成することが良い。
【0024】
以下、本発明に係る紫外線殺菌ランプを備えた吸入ブラシの製造方法を図7のように示したフローチャート及び図8〜図10に基づいて説明する。因みに、テフロン窓部材50を吸入ブラシに結合する方法は、第1及び第2実施形態に同一に適用されるので、その結合方法は第1実施形態を引用して説明する。
【0025】
図3及び図4に示すように、吸入ブラシ20の底面には吸入ブラシ20の被掃除面に向けて開放された透過窓21を構成し、その内側空間部23には、紫外線殺菌ランプを設置する(S10)。
【0026】
一方、図8に示すように、透過窓21の周縁には複数の結合突起22aが突出形成され、この透過窓21を覆うテフロン窓部材50には、結合突起22aと対応する形状の結合孔51が形成され、これら各々を互いに嵌め込んで、テフロン窓部材50が透過窓21を覆うよう結合する(S20)。
【0027】
このとき、図3及び図9に示すように、透過窓21から所定の間隔gだけ離れた位置にテフロン窓部材50の結合位置を設定することにより、内側空間部23から発生した熱が排出される。テフロン窓部材50と透過窓21との間隔gは、1mm前後で離隔されることが好ましい(S30)。
【0028】
このように結合位置を設定すると、図10に示すように、結合位置で結合孔51を通過した複数の結合突起22aの終端が高温/高圧で圧着され、テフロン窓部材50の離脱が防止される。このような結合方法を使用する理由は、テフロン材質自体が有する物理的な特性上、他の材質との親和性が悪くて接着などが困難であるためである(S40)。
【0029】
一方、説明を省略したが、第2実施形態の場合にも、結合突起22bの形状及び配列において差があるだけで、結合後に結合孔51を通過した結合突起22bの終端を高温/高圧で圧着することにより、テフロン窓部材50を前記結合位置に固定するという点は同一である。
【0030】
以上のように透明テフロン窓部材50を利用すれば、従来の石英ガラスを利用した窓部材に比べて衝撃などに対する製品信頼性を向上させることができる。また、紫外線殺菌ランプ40が設置された内側空間部23が完全に密閉されないので、紫外線殺菌ランプ40から発生した熱が外部に排出できて、紫外線殺菌ランプ40の過熱による装置故障を防止できる。
【0031】
以上では、本発明の原理を例示するために本発明の好適な実施形態について図示し説明したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求している本発明の要旨を逸脱することなく、本発明に対する種々の変更及び修正が可能であることは当業者であれば理解できることであろう。よって、そのような変更及び修正は本発明の特許請求の範囲に含まれるものと見なすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】アップライト型真空掃除機を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る紫外線殺菌ランプを備えた吸入ブラシの底面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるテフロン窓部材の結合構造を示す図である。
【図4】図2の要部拡大図であって、本発明の第1実施形態によるテフロン窓部材の結合構造を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるテフロン窓部材の結合構造を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるテフロン窓部材の結合構造を示す図である。
【図7】本発明に係る吸入ブラシ製造方法を示すフローチャートである。
【図8】図4の要部拡大図であって、テフロン窓部材を結合する過程を示す図である。
【図9】図4の要部拡大図であって、テフロン窓部材を結合する過程を示す図である。
【図10】図4の要部拡大図であって、テフロン窓部材を結合する過程を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 掃除機本体
20 吸入ブラシ
22a、22b 結合突起
23 内側空間部
30 集塵装置
40 紫外線殺菌ランプ
50 テフロン窓部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被掃除面に向けて開放された透過窓と、
前記透過窓の内側空間部に設置されて、被掃除面に向けて紫外線を照射する紫外線殺菌ランプと、
前記透過窓の内側空間部を覆うように結合される四フッ化エチレン樹脂窓部材と、
を備えることを特徴とする紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシ。
【請求項2】
前記四フッ化エチレン樹脂窓部材は、前記内側空間部が外部と空気の疎通可能に、前記透過窓から所定の間隔だけ離れた位置で結合されたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシ。
【請求項3】
前記内側空間部には、前記紫外線殺菌ランプから発生した紫外線を被掃除面に集中させる反射面が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシ。
【請求項4】
前記反射面は、被掃除面に向けて広がる山形状に形成されたことを特徴とする請求項3に記載の紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシ。
【請求項5】
前記反射面は、アルミニウムテープを付着して形成されたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシ。
【請求項6】
前記透過窓の周縁には複数の結合突起が突出形成され、四フッ化エチレン樹脂窓部材には、前記複数の結合突起と対応する結合孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシ。
【請求項7】
前記複数の結合突起は、単一列で配置された円筒形結合突起であることを特徴とする請求項6に記載の紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシ。
【請求項8】
前記複数の結合突起は複数列で構成され、対面している面が互いに交差するように配置された角柱型結合突起であることを特徴とする請求項6に記載の紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシ。
【請求項9】
吸入ブラシの被掃除面に向けて開放された透過窓の内側空間部に紫外線殺菌ランプを設置するステップと、
前記透過窓の周縁に形成された複数の結合突起に、前記複数の結合突起と対応する形状の結合孔を有する四フッ化エチレン樹脂窓部材を嵌め込むステップと、
前記透過窓の内側空間部が空気の疎通可能に、四フッ化エチレン樹脂窓部材の結合位置を設定するステップと、
前記結合位置で前記結合孔を通過した複数の結合突起の終端を高温/高圧で圧着することによって、前記四フッ化エチレン樹脂窓部材を固定するステップと、
を含むことを特徴とする紫外線殺菌ランプが設置された吸入ブラシの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−231031(P2006−231031A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264900(P2005−264900)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(595072848)三星光州電子株式会社 (134)
【Fターム(参考)】