説明

紫外線殺菌方法及び粉砕殺菌装置

【課題】 粉状の又は粉砕を要する被殺菌物を簡単に且つ確実に殺菌することができる紫外線殺菌方法を提供する。
【解決手段】 被殺菌物が収容される収容容器12及び収容容器12に収容された被殺菌物を攪拌して粉砕するための攪拌手段60を用いて、収容容器12内の被殺菌物を紫外線により殺菌する紫外線殺菌方法である。この紫外線殺菌方法では、被殺菌物を収容容器12に収容し、収容容器12に収容された被殺菌物を攪拌手段60によって攪拌して粉砕し、攪拌手段60による攪拌摩擦作用によって被殺菌物を帯電させ、被殺菌物への帯電及び放電を交互に繰り返し行うことにより被殺菌物元素の電子分極の生起と消滅により紫外線を略連続的に発生させ、この紫外線によって収容容器12内の被殺菌物を殺菌する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば茶葉や薬草、乾燥動植物などの粉状の又は粉砕を要する被殺菌物を紫外線により殺菌するための紫外線殺菌方法に関する。また、このような被殺菌物を粉砕するとともに紫外線により殺菌するための粉砕殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品などの製造販売に関する衛生管理の重要性が高まっており、特に輸入加工食品などに付着した細菌が問題となりつつある。通常、茶葉や薬草などは、粉砕されて粉状物になる前の状態では蒸気又は加熱などにより殺菌処理が行われているが、粉砕された後の粉状物の状態では殺菌処理が困難な状況にある。これは、粉状物に例えば蒸気殺菌や加熱殺菌を行うと、粉状物の風味や香味、色が損なわれてしまうためである。従って、例えば輸入される健康粉末食品などの粉状物には、粉末状態になった後に殺菌処理が行われていないものが多い。
【0003】
しかしながら、近年では細菌の感染の問題から、茶葉や薬草などの粉状物を殺菌処理することが望まれている。このような粉状物は、そのまま食材と一緒に摂取されたり、菓子やパンなどに添加して使用される場合があるためである。
【0004】
このようなことから、粉状物に電子線を照射して殺菌を行う方法(例えば、特許文献1参照)や、粉状物に放電や爆発により発生させた衝撃波を加えることによって殺菌を行う方法(例えば、特許文献2)などが提案されている。電子線を利用した殺菌方法は、小麦粉などの粉状物に電子線を照射し、電子が粉状物に侵入して貫通することによって粉状物の殺菌を行うものである。また、衝撃波を利用した殺菌方法は、チューブ内に粉状物を注入し、一対の電極間で放電させることによって、又は爆薬を爆発させることによって生じた衝撃波を衝撃波伝搬媒体を介してチューブ内の粉状物に与え、粉状物の表面を瞬間的に加熱することによって殺菌を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−105300号公報
【特許文献2】特開2003−38141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の殺菌方法では、次のような問題がある。電子線を利用した殺菌方法では、電子線を生成して照射するための特殊な殺菌装置が必要となり、これにより茶葉や薬草などの粉状物を殺菌するための設備が大型化してしまう。また、衝撃波を利用した殺菌方法では、放電や爆発による衝撃波を発生させることから、殺菌装置やチューブなどがその衝撃に耐え得る構造であることが必要となり、これにより殺菌装置が大型化、複雑化してしまう。また、チューブが衝撃波によって破損した場合は、チューブの破片が粉状物と混在するおそれがあり、また破損箇所から粉状物が漏出するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、粉状の又は粉砕を要する被殺菌物を簡単に且つ確実に紫外線により殺菌することができる紫外線殺菌方法を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、簡単な構造でもって被殺菌物を粉砕するとともに紫外線により殺菌することができる粉砕殺菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の紫外線殺菌方法では、被殺菌物が収容される収容容器及び前記収容容器に収容された前記被殺菌物を攪拌して粉砕するための攪拌手段を用いて、前記収容容器内の前記被殺菌物を紫外線により殺菌する紫外線殺菌方法であって、
前記被殺菌物を前記収容容器に収容し、前記収容容器に収容された前記被殺菌物を前記攪拌手段によって攪拌して粉砕し、前記攪拌手段による攪拌摩擦作用によって前記被殺菌物の各々の粒子を相異なる電荷を有するように帯電させ、帯電させた後に前記収容容器を電気的に接地することによって前記被殺菌物の各々の粒子を相異なる電荷を有するように放電させ、このように帯電及び放電を行うことによって極近接する前記粒子の相異なる電荷による電界を変動させて前記被殺菌物から紫外線を発生させ、この紫外線によって前記収容容器内の前記被殺菌物を殺菌することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の紫外線殺菌方法では、前記収容容器に対する電気的な非接地及び接地は、所定時間内に交互に繰り返し複数サイクル行われ、1サイクルは10分以内であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の粉砕殺菌装置では、被殺菌物が収容される収容空間を有する収容容器と、前記収容容器に収容された複数の玉状部材と、前記収容容器に収容された前記被殺菌物を前記複数の玉状部材とともに攪拌して粉砕するための攪拌手段と、前記収容容器を第1軸線を中心として回転させるとともに、前記第1軸線に対して偏心した第2軸線を中心として回転させるための駆動機構と、前記収容容器を電気的に接地するためのアース手段と、を備え、
前記収容容器には、前記被殺菌物を前記収容容器に投入するための投入口及び前記被殺菌物を前記収容容器から排出するための排出口が設けられ、前記収容容器は前記駆動機構によって、前記第1軸線を中心として所定方向に所定回転数で公転されるとともに、前記第2軸線を中心として前記所定方向と反対方向に前記所定回転数で自転され、
前記アース手段は非接地状態及び接地状態に交互に保持され、前記アース手段が前記非接地状態に保持されると、前記収容容器に投入された前記被殺菌物は、前記投入口から前記排出口に移送される間に、前記攪拌手段の攪拌摩擦作用によって前記複数の玉状部材とともに攪拌されることにより粉砕及び帯電され、また前記アース手段が前記接地状態に保持されると、前記被殺菌物が粉砕されるとともに前記収容容器に接触する前記被殺菌物に帯電された電荷が放電され、このように帯電及び放電を交互に繰り返し行うことによって前記被殺菌物から紫外線が略連続的に発生し、この紫外線により前記被殺菌物が殺菌されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の粉砕殺菌装置では、前記収容容器は、前記収容空間の内周面を規定する内筒部材と、前記内筒部材の外側に配設されるとともに前記収容空間の外周面を規定する外筒部材と、を有し、前記投入口は前記収容容器の一端部に設けられ、また前記排出口は前記収容容器の他端部に設けられており、前記外筒部材の内周面及び/又は前記内筒部材の外周面には、複数の邪魔部材が前記第2軸線の方向に間隔を置いて設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に記載の粉砕殺菌装置では、前記複数の邪魔部材は、前記外筒部材の内周面に間隔を置いて設けられた複数の第1邪魔部材と、前記内筒部材の外周面に間隔を置いて設けられた複数の第2邪魔部材と、を有し、前記複数の第1及び第2邪魔部材は交互に配設されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項6に記載の粉砕殺菌装置では、前記投入口は、前記内筒部材又はその近傍に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の紫外線殺菌方法によれば、収容容器に収容された被殺菌物(粉状のもの又は粉砕を要する非粉状のもの)を攪拌手段によって攪拌して粉砕し、攪拌手段による攪拌摩擦作用によって収容容器内の被殺菌物の各々の粒子を相異なる電荷を有するように(即ち、不均一な電荷分布となるように)帯電させ、帯電させた後に収容容器を電気的に接地することによって被殺菌物の各々の粒子を相異なる電荷を有するように(即ち、不均一な電荷分布となるように)放電させ、このように帯電及び放電を行うことによって極近接する粒子の相異なる電荷による電界を変動させて被殺菌物(これに付着した細菌を含む)から紫外線を発生させ、この紫外線によって収容容器内の被殺菌物を殺菌することができる。被殺菌物への帯電及び放電が行われると、収容容器内には電場によるエネルギー場が生成される。このエネルギー場で電界変動(即ち、帯電及び放電を行うことによる被殺菌物の帯電電圧の変動)が生じると、被殺菌物を構成する元素の原子核と電子との間に相対的な変位による電子分極が生じる。分極が平衡に達してから電界を除くと、分極は瞬時には消滅せずに漸減する。分極が平衡値の1/e(e;自然対数の底)になるまでの時間を緩和時間と定義してこれをτとすると、被殺菌物から放出される電磁波の緩和周波数frはfr=1/2πτとなる。電子の分極の速さは大きい(換言すると、緩和時間τが小さい)ため、緩和周波数frは、可視光線〜紫外線の周波数領域まで増大するようになる。これによって、被殺菌物元素の電子分極の生起と消滅により、誘電体である被殺菌物から紫外線が発生する。このように発生された紫外線が収容容器内の被殺菌物に照射されることにより、被殺菌物の品質に影響を与えることなく効果的に被殺菌物を殺菌することができる。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載の紫外線殺菌方法によれば、収容容器に対する電気的な非接地及び接地が行われるサイクルは所定時間内に複数回行われ、1サイクルは10分以内であるので、所定時間(例えば40〜50分程度)内に収容容器に対する電気的な非接地及び接地が多数回(例えば数十回〜数百回程度)行われるようになる。これにより、上記所定時間内における紫外線の発生回数が多くなり、紫外線が上記所定時間内に略連続的に発生するようになるので、被殺菌物をより効果的に殺菌することができる。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載の粉砕殺菌装置によれば、収容容器の収容空間に被殺菌物及び玉状部材が収容されるので、収容容器の第1及び第2軸線を中心とする回転によって、収容空間内の被殺菌物は玉状部材の移動に積極的に巻き込まれ、また収容容器の内面と玉状部材との間に挟まれるように圧力を受け、その結果、被殺菌物を実質上均一に微粉末化することができる。更に、この粉砕殺菌装置では、粉砕処理と同時に殺菌処理が行われる。アース手段が非接地状態及び接地状態に交互に保持され、アース手段が非接地状態に保持されると、被殺菌物は、玉状部材との衝突、摩擦及び圧縮などによって例えば−30〜−40kV程度の電位に帯電され、またアース手段が接地状態(即ち、アース状態)に保持されると、収容容器に接触する被殺菌物に帯電された電荷が放電される。このような帯電及び放電を交互に繰り返し行うことによって被殺菌物(これに付着した細菌を含む)から紫外線が略連続的に発生するようになり、この紫外線によって収容容器内の被殺菌物が殺菌される。従って、簡単な構成でもって、被殺菌物の粉砕処理と紫外線による被殺菌物の殺菌処理とを同時に行うことができ、更に、収容容器内をも紫外線による殺菌によって衛生的に維持することができる。また、収容容器の公転方向と自転方向とが互いに反対方向であるとともに、収容容器の公転数と自転数とが同じであるので、収容容器は、その上下の向きを保持した状態で公転及び自転されるようになる。それ故に、投入口及び排出口に接続されたチューブなどが捩れたり相互に絡まることがないので、収容容器が実質上垂直方向に回転する垂直遊星回転型の粉砕殺菌装置において、被殺菌物を連続的に投入して粉砕殺菌処理することができる。
【0018】
また、本発明の請求項4に記載の粉砕殺菌装置によれば、外筒部材の内周面及び/又は内筒部材の外周面には、複数の邪魔部材が第2軸線の方向に間隔を置いて設けられているので、被殺菌物は、複数の邪魔部材に衝突しながら収容空間内を投入口から排出口に移送される。これにより、被殺菌物の移送速度を均等に且つ小さくすることができ、被殺菌物が投入口から排出口まで移送されるのに数十分程度(例えば30〜40分程度)要するようになるので、被殺菌物の粉砕殺菌処理を効果的に且つ確実に行うことができる。
【0019】
また、本発明の請求項5に記載の粉砕殺菌装置によれば、複数の邪魔部材は、外筒部材の内周面に間隔を置いて設けられた複数の第1邪魔部材と、内筒部材の外周面に間隔を置いて設けられた複数の第2邪魔部材と、を有し、第1及び第2邪魔部材は交互に配設されているので、被殺菌物をほぼ一定の移送速度で投入口から排出口まで移送することができる。
【0020】
また、本発明の請求項6に記載の粉砕殺菌装置によれば、投入口は内筒部材又はその近傍に設けられているので、投入口の第2軸線からの距離が小さくなり、投入口に供給された被殺菌物に作用する自転による遠心力が小さくなる。従って、この遠心力に抗して被殺菌物を投入口より収容容器内に供給するのが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態による粉砕殺菌装置を示す断面図である。
【図2】図1の収容容器の公転及び自転の動作を説明するための概略図である。
【図3】図1の収容容器の一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図4】図3中のA−A線による収容容器の断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による粉砕殺菌装置を示す断面図である。
【図6】図5の収容容器の公転及び自転の動作を説明するための概略図である。
【図7】(a)は、粉砕殺菌処理を行う前において、収容容器の一方の端壁の内面にルミノーバシートを貼り付けた様子を撮影した写真を示す図であり、(b)は、粉砕殺菌処理を行う前において、収容容器の一方の端壁の内面にルミノーバシートを貼り付けた様子を模式的に示す図であり、(c)は、粉砕殺菌処理を行った後において、暗室にて(b)のルミノーバシートが発光している様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う紫外線殺菌方法及び粉砕殺菌装置の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による粉砕殺菌装置を示す断面図であり、図2は、図1の収容容器の公転及び自転の動作を説明するための概略図であり、図3は、図1の収容容器の一部を切り欠いて示す斜視図であり、図4は、図3中のA−A線による収容容器の断面図である。
【0023】
図1を参照して、本実施形態の粉砕殺菌装置2は、例えば工場の床などに絶縁体(図示せず)を介して支持された装置本体4と、装置本体4に取り付けられた第1及び第2支持部材6,8と、これら第1及び第2支持部材6,8に回転自在に支持された回転軸10と、回転軸10に回転自在に装着された収容容器12と、を備えている。以下、粉砕殺菌装置2の構成について詳細に説明する。
【0024】
第1及び第2支持部材6,8は、間隔を置いて配設されている。第1支持部材6の一側部には環状の第1支持凹部14が設けられ、第1支持凹部14の内側には、実質上水平方向に延びる円柱状の固定シャフト16が設けられている。また、第2支持部材8の一側部には、円形状の第2支持凹部18が設けられている。
【0025】
回転軸10は全体としてクランク状に構成されている。回転軸10は、その両端部に設けられた第1及び第2回転軸部20,22と、これら第1及び第2回転軸部20,22から所定量だけ偏心されたクランク部24と、を有している。第1回転軸部20は円筒状に構成され、その内部には円形状の支持空間26が第1軸線C1(後述する)の方向に延びて設けられている。第1回転軸部20は、第1支持部材6の第1支持凹部14に複数の軸受28を介して回転自在に支持されるとともに、その支持空間26には、固定シャフト16が複数の軸受30を介して回転自在に挿入支持されている。なお、固定シャフト16と第1回転軸部20との間には、これらを相互に電気的に接続するための可動接点(図示せず)が介在されている。第1回転軸部20の外周部には第1スプロケット32が設けられ、この第1スプロケット32は、第1駆動チェーン34を介して電動モータ36の出力軸38に設けられた第2スプロケット40に駆動連結されている。また、固定シャフト16の先端部は、第1回転軸部20の支持空間26より外部に突出され、この先端部には第3スプロケット42が設けられている。第2回転軸部22は円柱状に構成され、第2支持部材8の第2支持凹部18に複数の軸受44を介して回転自在に支持されている。
【0026】
なお、回転軸10の第1及び第2回転軸部20,22における中心軸線は第1軸線C1を構成し、この第1軸線C1は、第1及び第2支持部材6,8間を実質上水平方向に延びている。また、回転軸10のクランク部24における中心軸線は第2軸線C2を構成し、この第2軸線C2は第1軸線C1に実質上平行に(即ち、第1軸線C1に対して偏心して)延びている。
【0027】
収容容器12は、内筒部材46と、内筒部材46の外側に同心状に配設された外筒部材48と、内筒部材46及び外筒部材48の両端を覆うようにして着脱自在に取り付けられた環状の一対の端壁50,52と、を有している。これら内筒部材46、外筒部材48及び一対の端壁50,52によって、実質上密封された環状の収容空間54が規定される。即ち、外筒部材48によって収容空間54の外周面が規定され、内筒部材46によって収容空間54の内周面が規定され、また一対の端壁50,52によって収容空間54の両端面が規定される。内筒部材46の内側には第2軸線C2の方向に延びる円形状の支持空間56が設けられ、この支持空間56には、回転軸10のクランク部24が複数の軸受57を介して回転自在に挿入支持されている。これにより、収容容器12は、全体として実質上水平に保持されるようになる。なお、収容容器12は、例えばステンレス鋼などの金属から形成されている。また、クランク部24と収容容器12との間には、これらを相互に電気的に接続するための可動接点(図示せず)が介在されている。
【0028】
収容容器12の収容空間54には、複数の玉状部材58が収容されている(図4参照)。玉状部材58は、尖った部分が無く、全体として丸みを帯びたものが好ましく、またその表面が光沢を示さない程度の表面粗さを有するものであることが好ましい。また、玉状部材58は、例えばステンレス鋼やセラミック材などの比重の比較的大きい物質から形成されている。更に、玉状部材58の直径は、例えば2〜10mmに構成されている。玉状部材58としては、例えば直径3.0mm程度の耐摩耗性を有するクロムを含有する焼きの入った鋼球を好都合に用いることができ、その表面粗さについては、JIS B0601に定義されるRy値がJIS B651に規定された測定方法で測定して基準長さ0.25mmにつき2.0〜10.0μm(実際には、±1.5μm程度ばらつく)程度であるのが好ましい。このような玉状部材58は、図4に示すように、実質上水平に保持された収容容器12の収容空間54の下部に、その直径の2/5〜4/5程度の量が収容される。なお、図1〜図3においては、玉状部材58の図示は省略してある。
【0029】
内筒部材46の外周面には、例えばステンレス鋼やセラミックス材などから形成された複数のピン状部材60(攪拌手段を構成する)が設けられている。ピン状部材60は、内筒部材46の周方向に実質上等間隔(例えば、約90度の間隔)を置いて、且つ第2軸線C2の方向に実質上等間隔を置いて設けられている。ピン状部材60の長さは、例えば、内筒部材46と外筒部材48との間隙Wの1/5〜1/2程度の長さに構成されている。
【0030】
外筒部材48の内周面には、環状の第1邪魔部材62が収容空間54内に突出するようにして複数設けられている。また、内筒部材46の外周面には、環状の第2邪魔部材64が収容空間54内に突出するようにして複数設けられている。これら第1及び第2邪魔部材62,64は、例えばステンレス鋼やセラミックス材などから形成され、第2軸線C2の方向に実質上等間隔を置いて交互に配設されている。なお、図3及び図4においては、第1及び第2邪魔部材62,64の図示は省略してある。
【0031】
外筒部材48の一端部側における上端部には、粉砕殺菌処理すべき被殺菌物66を収容空間54内に投入するための投入口68が外部に延びて設けられ、その他端部側における下端部には、粉砕殺菌処理した被殺菌物66を収容空間54から排出するための排出口70が外部に延びて設けられている。投入口68はパイプ状に構成され、この投入口68には、被殺菌物66を供給するための供給源(図示せず)から延びる供給チューブ(図示せず)が接続されている。また、投入口68には、被殺菌物66の供給量を調節するためのバルブ(図示せず)が設けられている。排出口70はパイプ状に構成され、この排出口70には、被殺菌物66を回収するための回収容器(図示せず)から延びる回収チューブ(図示せず)が接続されている。また、排出口70には、被殺菌物66の排出量を調節するためのバルブ(図示せず)が設けられている。
【0032】
また、収容容器12の一方の端壁50には第4スプロケット72が設けられ、この第4スプロケット72は、第2駆動チェーン74を介して固定シャフト16に設けられた第3スプロケット42に駆動連結されている。第3及び第4スプロケット42,72の歯数は同数に構成されている。なお、上述した第1〜第4スプロケット32,40,42,72、第1及び第2駆動チェーン34,74並びに電動モータ36によって、収容容器12を公転及び自転させるための駆動機構76が構成される。
【0033】
この駆動機構76によって、次のようにして収容容器12が公転及び自転される。電動モータ36によって第2スプロケット40が所定方向に回転されると、この回転が第1駆動チェーン34を介して第1スプロケット32に伝達され、回転軸10が上記所定方向(図2中の矢印Pで示す方向)に回転される。このとき、第3及び第4スプロケット42,72は第2駆動チェーン74を介して回転が相互に拘束されているので、回転軸10が上記所定方向に回転されると、収容容器12が上記所定方向と反対方向(図2中の矢印Qで示す方向)に回転される。従って、収容容器12は、第1軸線C1を中心として上記所定方向に公転されるとともに、第2軸線C2を中心として上記所定方向と反対方向に自転されるようになる。
【0034】
なお、第3及び第4スプロケット42,72の歯数は同数に構成されているので、収容容器12が公転する際の回転数(公転数)は、収容容器12が自転する際の回転数(自転数)と等しくなる。これにより、所定時間内における収容容器12の公転回転角度θ1(図2参照)と自転回転角度θ2とは等しくなるので、収容容器12は、その上下の向きが保持された状態で、即ち、投入口68及び排出口70がそれぞれ外筒部材48の上端部及び下端部に位置付けられた状態で公転及び自転されるようになる。
【0035】
また、本実施形態の粉砕殺菌装置2には、収容容器12を接地するためのアース手段78が設けられている。このアース手段78は、装置本体4と大地との間に電気的に接続されたリード線80と、リード線80に開閉自在に配設されたスイッチ82と、スイッチ82を開閉制御するための制御手段(図示せず)と、を備えている。収容容器12は、軸受57や回転軸10等を介して装置本体4に電気的に接続されているので、スイッチ82が閉状態に保持されると、アース手段78は接地状態となって収容容器12が大地に電気的に接続され、またスイッチ82が開状態に保持されると、アース手段78は非接地状態となって収容容器12が大地と電気的に絶縁される。スイッチ82は、制御手段によって、所定のサイクル(例えば2分)で閉状態及び開状態に交互に繰り返し保持される。
【0036】
上述した粉砕殺菌装置2を用いた被殺菌物66の粉砕及び殺菌は、次のようにして行われる。被殺菌物66は、例えば茶葉や薬草、乾燥動植物(乾燥茎や乾燥根、乾燥葉、乾燥実、乾燥骨、乾燥血)などから構成されており、予め充分に乾燥され、適当に予備粉砕が施されている。粉砕殺菌処理すべき被殺菌物66は、供給源から供給チューブを通して収容容器12の投入口68に供給され、収容空間54内に連続的に投入される。なお、被殺菌物66は、粉状のものでもよく、あるいは粉砕を要する非粉状のものでもよい。
【0037】
投入口68及び排出口70がそれぞれ外筒部材48の上端部及び下端部に位置付けられた状態で電動モータ36が回転駆動されると、収容容器12が第1軸線C1を中心として上記所定方向に所定回転数(例えば240rpm)で公転されるとともに、第2軸線C2を中心として上記所定方向と反対方向に上記所定回転数で自転される。上述のように、収容容器12の公転数及び自転数は等しいので、収容容器12は、投入口68及び排出口70がそれぞれ外筒部材48の上端部及び下端部に位置付けられた状態で公転及び自転されるようになる。それ故に、投入口68に接続された供給チューブや排出口70に接続された回収チューブが捩れたり相互に絡まることがなく、供給チューブ及び回収チューブの配設状態を良好に保つことができる。
【0038】
このように収容容器12が公転することにより、収容容器12内において、被殺菌物66及び玉状部材58が公転による遠心力でもって外筒部材48の内周面に押し付けられる。またこれと同時に、収容容器12が自転することにより、複数のピン状部材60が収容空間54の内周部にある被殺菌物66及び玉状部材58に作用して攪拌混合し、また自転による遠心力、コリオリの力及び重力により被殺菌物66及び玉状部材58が互いに擦れ合い、ぶつかり合いながら攪拌混合を繰り返すようになる。この攪拌混合の際に、被殺菌物66には、玉状部材58の間に、玉状部材58と内筒部材46及び外筒部材48との間に、また玉状部材58とピン状部材60との間に働く剪断力を伴う摩擦作用、押圧作用及び衝突作用などが作用し、これらの複雑な作用によって被殺菌物66が微細な粉末状に粉砕される。
【0039】
上述のように収容容器12が公転及び自転されるとともに、アース手段78が接地状態及び非接地状態に交互に繰り返し保持される。アース手段78が非接地状態に保持されているときには、ピン状部材60による攪拌摩擦作用と、収容容器12内の被殺菌物66及び玉状部材58の摩擦や衝突などによる混合作用とによって、被殺菌物66の各々の粒子が相異なる電荷を有するように(即ち、不均一な電荷分布となるように)帯電される。被殺菌物66は、例えば−30〜−40kV程度の電位に帯電される。また、アース手段78が接地状態に保持されているときには、収容容器12の内面(即ち、内筒部材46の外周面、外筒部材48の内周面及び一対の端壁50,52の内面)に接触する被殺菌物66に帯電された電荷は、アース手段78を介して大地に放電される。なお、茶葉や薬草などの被殺菌物66は誘電体であるため、被殺菌物66に帯電された電荷は、その各々の粒子が相異なる電荷を有するように(即ち、不均一な電荷分布となるように)、例えば数秒〜数分程度かけて放電されるようになる。このように帯電及び放電を行うことによって、極近接する被殺菌物66の粒子の相異なる電荷による電界は、攪拌摩擦作用と相まって極めて高い振動数(例えば1015Hz程度)で変動するようになる。これにより、被殺菌物66(これに付着した細菌を含む)から紫外線が発生される。
【0040】
このように、被殺菌物66への帯電及び放電が交互に繰り返し行われることにより、収容空間54内には紫外線が発生されるが、その発生原理を詳細に説明すると次の通りである。被殺菌物66への帯電及び放電が交互に繰り返し行われると、収容空間54内には電場によるエネルギー場が生成される。このエネルギー場で電界変動(即ち、帯電及び放電を行うことによる被殺菌物66の帯電電圧の変動)が生じると、被殺菌物66を構成する元素の原子核と電子との間に相対的な変位による電子分極が生じる。分極が平衡に達してから電界を除くと、分極は瞬時には消滅せずに漸減する。分極が平衡値の1/e(e;自然対数の底)になるまでの時間を緩和時間と定義してこれをτとすると、被殺菌物66から放出される電磁波の緩和周波数frはfr=1/2πτとなる。電子の分極の速さは大きい(換言すると、緩和時間τが小さい)ため、緩和周波数frは、可視光線〜紫外線の周波数領域まで増大するようになる。これによって、誘電体である被殺菌物66から紫外線が発生する。このように発生された紫外線は収容空間54内の被殺菌物66に照射され、この紫外線によって被殺菌物66が殺菌されるようになる。同様に、被殺菌物66に付着した細菌(図示せず)からも紫外線が発生し、この紫外線によって被殺菌物66に付着した細菌が自滅するようになる。
【0041】
なお、収容容器12に対する電気的な非接地及び接地(即ち、アース手段78の非接地状態及び接地状態の保持)は、所定時間(例えば40〜50分程度)内に複数サイクル行われ、1サイクルは10分以内であることが好ましく、2分以内であることがより好ましい。これにより、上記所定時間内に収容容器12に対する電気的な非接地及び接地が多数回(例えば数十回〜数百回程度)行われるようになり、上記所定時間内における紫外線の発生回数が多くなって、紫外線が上記所定時間内に略連続的に発生し、被殺菌物66をより効果的に殺菌することができる。また、1サイクルにおける非接地時間(即ち、スイッチ82が開状態に保持される時間)及び接地時間(即ち、スイッチ82が閉状態に保持される時間)は、例えば被殺菌物66の種類や物性などに応じて適宜設定することができる。
【0042】
上述のように、投入口68より投入された被殺菌物66は、収容空間54内を排出口70に向けて移送される際に、粉末状に粉砕加工されるとともに、収容空間54内で発生した紫外線によって殺菌されるようになる。粉砕殺菌処理された被殺菌物66は排出口70より連続的に排出され、回収チューブを通して回収容器に回収される。このとき、投入口68への被殺菌物66の投入量と排出口70からの被殺菌物60の排出量とが等しくなるように、投入口68及び排出口70に設けられた各バルブの開度を適宜調節することにより、収容空間54内には常に一定量の被殺菌物66が移送されるようになる。
【0043】
なお、被殺菌物66は、第1及び第2邪魔部材62,64に衝突しながら、収容空間54内を投入口68から排出口70に移送される。これにより、被殺菌物66の移送速度を均等に且つ小さくすることができ、被殺菌物66が投入口68から排出口70まで移送されるのに数十分程度(例えば30〜40分程度)要するようになるので、被殺菌物66の粉砕殺菌処理を効果的に且つ確実に行うことができる。なお、第1及び第2邪魔部材62,64は交互に配設されているので、上述のように攪拌混合した際に、被殺菌物66をほぼ一定の移送速度で投入口68から排出口70まで移送することができる。
【0044】
本実施形態の粉砕殺菌装置2では、被殺菌物66への帯電及び放電を繰り返し行うことにより被殺菌物66から紫外線が発生し、この紫外線により収容空間54内の被殺菌物66を殺菌するので、被殺菌物66の風味や香り、色などの品質に影響を与えることなく被殺菌物66を殺菌することができる。また、このように発生する紫外線によって、玉状部材58やピン状部材60、収容容器12の内面をも殺菌することができるので、運転停止時における収容容器12内の雑菌の繁殖を抑制することができ、収容容器12内を清潔に保つことができる。
【0045】
次に、図5及び図6を参照して、他の実施形態の紫外線殺菌方法及び粉砕殺菌装置について説明する。図5は、本発明の他の実施形態による粉砕殺菌装置を示す断面図であり、図6は、図5の収容容器の公転及び自転の動作を説明するための概略図である。なお、本実施形態において、上記実施形態と実質上同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
本実施形態の粉砕殺菌装置2Aでは、投入口68Aは、収容容器12Aの他方の端壁52Aの内周部(内筒部材46の近傍)に設けられている。この投入口68Aには、被殺菌物(図示せず)の投入量を調節するためのバルブ(図示せず)が設けられている。また、供給源にはスクリュー(図示せず)が回転自在に設けられており、供給源からの被殺菌物は、回転するスクリューの作用によって投入口68Aに供給される。粉砕殺菌装置2Aの他の構成は、上述した実施形態と同様である。
【0047】
投入口68Aを内筒部材46の近傍に設けることにより、投入口68Aの第2軸線C2からの距離d1(図6参照)が小さくなるので、投入口68Aに供給された被殺菌物に作用する自転による遠心力が小さくなる。従って、自転による遠心力に抗して被殺菌物を投入口68Aに供給するのに必要な圧力が小さくて済み、被殺菌物を投入口68Aに容易に供給することができる。
【0048】
また、図6において二点鎖線で示すように、収容容器12Aが公転軌道の下死点に位置付けられた際には、投入口68Aの第1軸線C1からの距離d2が最も小さくなるので、投入口68Aに供給された被殺菌物に作用する公転による遠心力が最も小さくなる。また、排出口70の第1軸線C1からの距離d3が最も大きくなるので、排出口70より排出される被殺菌物に作用する公転による遠心力が最も大きくなる。従って、収容容器12Aが公転軌道の下死点に位置付けられた際に、投入口68Aに設けられたバルブを開状態に保持することにより、公転による遠心力に抗して被殺菌物を投入口68Aに供給するのに必要な圧力が小さくて済み、被殺菌物を投入口68Aに容易に供給することができる。また、収容容器12Aが公転軌道の下死点に位置付けられた際に、排出口70に設けられたバルブを開状態に保持することにより、公転による遠心力を利用して被殺菌物を排出口70より容易に排出することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、投入口68Aを収容容器12Aの他方の端壁52Aの内周部に設けたが、内筒部材46に設けるようにしてもよい。かかる場合には、投入口68Aは、内筒部材46の支持空間56を通して外部に延びるようになる。
[紫外線発生確認試験]
図1〜図4に示す形態の粉砕殺菌装置を用いて、収容空間内における紫外線の発生を確認するための試験を行った。収容容器に収容する玉状部材として、直径3.0mmの鋼球を10,500g用いた。また、被殺菌物として、てん茶葉を500g用いた。粉砕殺菌処理を行う前に、暗室にて収容容器の一方の端壁を取り外し、その内面に、紫外線を吸収すると蓄光して緑色に発光するルミノーバシート(商品名、根本特殊化学株式会社製)を貼り付けて36時間放置した(図7(a)及び(b)参照)。また、上記暗室にて収容容器の外部にルミノーバシートを配置して36時間放置し、収容容器内のルミノーバシートと同条件下で実験開始時にルミノーバシートが発光していないことを確認した。その後、収容容器に対する電気的な非接地及び接地をそれぞれ1分、0.5分とし、これを1サイクルとして合計10サイクル、15分間粉砕殺菌処理を行った。
【0050】
粉砕殺菌処理後に、上記暗室にて収容容器の一方の端壁を取り外してルミノーバシートを調べたところ、ルミノーバシートが緑色に発光されていることが確認された。図7(c)はその様子を模式的に示す図であり、図7(c)においては、暗室にて緑色に発光されていることが肉眼で確認できるルミノーバシートを実線で示しており、暗室にて肉眼で確認できない端壁を破線で示している。これにより、被殺菌物への帯電及び放電を交互に繰り返し行うことにより、収容容器内において被殺菌物から紫外線が発生したことが確認された。
[実施例]
本発明の効果を確認するために、次の通りの実験を行った。この実験では、図1〜図4に示す形態の粉砕殺菌装置を用いて被殺菌物の粉砕殺菌処理を行い、粉砕殺菌処理前及び粉砕殺菌処理後の被殺菌物についての一般細菌数を調べた。この検査は、食品衛生検査指針に準拠して行った。具体的には、標準平板菌数測定法に基づき、被殺菌物としての茶葉10gを試料として滅菌希釈液90mlを加えた10倍希釈液を用い、標準寒天培地で35±1℃、48時間培養して生菌数を測定した。
【0051】
実施例1では、収容容器に収容する玉状部材として、直径3.0mmの鋼球を10,500g用いた。また、被殺菌物として、てん茶葉を500g用いた。収容容器に対する電気的な非接地及び接地を行う1サイクルを1.5分とし、合計28サイクル、42分間粉砕殺菌処理を行った。1サイクルにおける非接地時間及び接地時間はそれぞれ60秒及び30秒であった。この実施例1においては、粉砕殺菌処理後の一般細菌数は、粉砕殺菌処理前の一般細菌数の1/225であった。
【0052】
実施例2では、被殺菌物への帯電及び放電を行う1サイクルを2分とし、合計21サイクル、42分間粉砕殺菌処理を行った。1サイクルにおける非接地時間及び接地時間はそれぞれ80秒及び40秒であった。他の実験条件は上記実施例1と同様であった。この実施例2においては、粉砕殺菌処理後の一般細菌数は、粉砕殺菌処理前の一般細菌数の1/196であった。
【0053】
実施例3では、被殺菌物への帯電及び放電を行う1サイクルを6分とし、合計7サイクル、42分間粉砕殺菌処理を行った。1サイクルにおける非接地時間及び接地時間はそれぞれ240秒及び120秒であった。他の実験条件は上記実施例1と同様であった。この実施例3においては、粉砕殺菌処理後の一般細菌数は、粉砕殺菌処理前の一般細菌数の1/78であった。
【0054】
この実験結果から明らかなように、所定時間内において収容容器に対する電気的な非接地及び接地を行う1サイクルを短くすることによって、高い殺菌効果が得られることが確認された。これは、所定時間内に収容容器に対する電気的な非接地及び接地が行われる回数が多くなるほど、上記所定時間内における紫外線の発生回数が多くなり、紫外線が上記所定時間内に略連続的に発生するようになるためであると考えられる。
【0055】
以上、本発明に従う紫外線殺菌方法及び粉砕殺菌装置の各種実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0056】
2,2A 粉砕殺菌装置
12,12A 収容容器
46 内筒部材
48 外筒部材
54 収容空間
58 玉状部材
60 ピン状部材(攪拌手段)
62 第1邪魔部材
64 第2邪魔部材
66 被殺菌物
68,68A 投入口
70 排出口
76 駆動機構
78 アース手段




















【特許請求の範囲】
【請求項1】
被殺菌物が収容される収容容器及び前記収容容器に収容された前記被殺菌物を攪拌して粉砕するための攪拌手段を用いて、前記収容容器内の前記被殺菌物を紫外線により殺菌する紫外線殺菌方法であって、
前記被殺菌物を前記収容容器に収容し、前記収容容器に収容された前記被殺菌物を前記攪拌手段によって攪拌して粉砕し、前記攪拌手段による攪拌摩擦作用によって前記被殺菌物の各々の粒子を相異なる電荷を有するように帯電させ、帯電させた後に前記収容容器を電気的に接地することによって前記被殺菌物の各々の粒子を相異なる電荷を有するように放電させ、このように帯電及び放電を行うことによって極近接する前記粒子の相異なる電荷による電界を変動させて前記被殺菌物から紫外線を発生させ、この紫外線によって前記収容容器内の前記被殺菌物を殺菌することを特徴とする紫外線殺菌方法。
【請求項2】
前記収容容器に対する電気的な非接地及び接地は、所定時間内に交互に繰り返し複数サイクル行われ、1サイクルは10分以内であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌方法。
【請求項3】
被殺菌物が収容される収容空間を有する収容容器と、前記収容容器に収容された複数の玉状部材と、前記収容容器に収容された前記被殺菌物を前記複数の玉状部材とともに攪拌して粉砕するための攪拌手段と、前記収容容器を第1軸線を中心として回転させるとともに、前記第1軸線に対して偏心した第2軸線を中心として回転させるための駆動機構と、前記収容容器を電気的に接地するためのアース手段と、を備え、
前記収容容器には、前記被殺菌物を前記収容容器に投入するための投入口及び前記被殺菌物を前記収容容器から排出するための排出口が設けられ、前記収容容器は前記駆動機構によって、前記第1軸線を中心として所定方向に所定回転数で公転されるとともに、前記第2軸線を中心として前記所定方向と反対方向に前記所定回転数で自転され、
前記アース手段は非接地状態及び接地状態に交互に保持され、前記アース手段が前記非接地状態に保持されると、前記収容容器に投入された前記被殺菌物は、前記投入口から前記排出口に移送される間に、前記攪拌手段の攪拌摩擦作用によって前記複数の玉状部材とともに攪拌されることにより粉砕及び帯電され、また前記アース手段が前記接地状態に保持されると、前記被殺菌物が粉砕されるとともに前記収容容器に接触する前記被殺菌物に帯電された電荷が放電され、このように帯電及び放電を交互に繰り返し行うことによって前記被殺菌物から紫外線が略連続的に発生し、この紫外線により前記被殺菌物が殺菌されることを特徴とする粉砕殺菌装置。
【請求項4】
前記収容容器は、前記収容空間の内周面を規定する内筒部材と、前記内筒部材の外側に配設されるとともに前記収容空間の外周面を規定する外筒部材と、を有し、前記投入口は前記収容容器の一端部に設けられ、また前記排出口は前記収容容器の他端部に設けられており、前記外筒部材の内周面及び/又は前記内筒部材の外周面には、複数の邪魔部材が前記第2軸線の方向に間隔を置いて設けられていることを特徴とする請求項3に記載の粉砕殺菌装置。
【請求項5】
前記複数の邪魔部材は、前記外筒部材の内周面に間隔を置いて設けられた複数の第1邪魔部材と、前記内筒部材の外周面に間隔を置いて設けられた複数の第2邪魔部材と、を有し、前記複数の第1及び第2邪魔部材は交互に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の粉砕殺菌装置。
【請求項6】
前記投入口は、前記内筒部材又はその近傍に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の粉砕殺菌装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−83278(P2011−83278A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199876(P2010−199876)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(501124957)
【Fターム(参考)】