説明

紫外線水処理装置

【課題】水の種類や水量の変化に十分対応して紫外線照射による水処理を可能にする紫外線水処理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】実施形態によれば、両端に第1の配管用フランジ継手を設け,内部に紫外線ランプとランプ保護管からなる紫外線照射管を設けた紫外線ランプユニット22と、両端に第2の配管用フランジ継手を設け,前記ランプ保護管の表面を清掃する清掃装置を駆動する清掃装置駆動ユニット23とを具備し、紫外線ランプユニットと清掃装置駆動ユニットが第1・第2の配管用フランジ継手部分で連結された紫外線水処理装置が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紫外線を利用した紫外線水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、上下水道の殺菌・消毒、工業用水の殺菌・脱臭・脱色、あるいはパルプの漂白、さらには医療機器の殺菌等を行うためにオゾンや塩素等の薬品が用いられている。
従来の消毒装置では、オゾンや薬品を処理水に均一に溶けこますために、滞留槽やスプレーポンプ等の攪拌装置が必需品であり、水質や水量の変化に対し即対応できなかった。一方、紫外線には、上下水道の殺菌・消毒・脱色、難分解性有機物の分解、工業用水の脱臭・脱色、あるいはパルプの漂白等の作用があり、紫外線を照射する時間が数秒以内で効果が発揮される。そこで、紫外線照射を行う紫外線水処理装置においては、その紫外線光源として、高輝度高出力の紫外線ランプを使用する場合、管状の通水胴に直交するように紫外線ランプを設置する場合がある(非特許文献1)。
【0003】
図7(A)および(B)は従来の高輝度高出力紫外線ランプを使用した紫外線水処理装置の一例を示し、図7(A)は同紫外線水処理装置の正面図、図7(B)は図7(A)のX−Xに沿う断面図を示す。
紫外線水処理装置1は、被処理水2が流れる管状通水胴3と、この管状通水胴3の中央部で十字接合された管状通水胴3と同管径のランプハウジング4とから構成されている。ランプハウジング4には、石英ガラス製のランプ保護管5と、この保護管5の中に紫外線ランプ6が配置された6本の紫外線照射管7が、等間隔で設置されている。各紫外線照射管7の両端部は、ランプハウジング蓋8に水密Oリング(図示せず)とOリング押さえ9により水封されている。また、ランプハウジング4には、清掃板駆動軸10と、駆動ネジ(図示せず)と、駆動モータ11と、清掃板12と、ランプ保護管ワイパー13とにより構成された清掃装置が組み込まれている。こうした構成の紫外線照射装置1では、同一仕様の紫外線ランプが使用されている。なお、図中の符番14は処理水を示す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「地表水以外の水への適用における紫外線処理設備維持管理マニュアル」、(財)水道技術研究センター、平成21年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水処理施設によっては被処理水に含まれる汚れ物質が多い場合や少ない場合があり、従来の紫外線水処理装置では、水の種類や水量の変化した場合に十分な紫外線処理ができないという課題があった。
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、水の種類や水量が変化した場合でも十分な紫外線処理をなしえる紫外線水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る紫外線水処理装置は、両端に第1の配管用フランジ継手を設け,内部に紫外線ランプとこの紫外線ランプを保護するランプ保護管からなる紫外線照射管を設けた紫外線ランプユニットと、両端に第2の配管用フランジ継手を設け,前記ランプ保護管の表面を清掃する清掃装置を駆動する清掃装置駆動ユニットとを具備し、紫外線ランプユニットと清掃装置駆動ユニットが第1・第2の配管用フランジ継手部分で連結されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る紫外線水処理装置の説明図。
【図2】図1の紫外線水処理装置の一構成である紫外線ランプユニットの要部の説明図。
【図3】図2のX−X線、Y−Y線に沿う断面図。
【図4】図1の紫外線水処理装置の一構成であるランプ保護管清掃装置駆動ユニットの説明図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る紫外線水処理装置の説明図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る紫外線水処理装置の説明図。
【図7】従来の紫外線水処理装置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係る紫外線水処理装置について図面を参照して説明する。なお、本実施形態は下記に述べることに限定されない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る紫外線水処理装置について、図1、図2(A),(B),(C)、図3(A),(B)及び図4(A),(B),(C)を参照して説明する。ここで、図1は紫外線水処理装置の正面図、図2(A)は図1の紫外線水処理装置の一構成である紫外線ランプユニットの平面図、図2(B)は同紫外線ランプユニットの正面図、図2(C)は図2(B)のZ方向から見た側面図を示す。また、図3(A)は図2(B)のX−X線に沿う断面図、図3(B)は図2(C)のY−Y線に沿う断面図を示す。さらに、図4(A)は図1の紫外線水処理装置の一構成であるランプ保護管清掃装置駆動ユニットの正面図、図4(B)は側面図、図4(C)は図4(B)のX−X線に沿う断面図を示す。
【0009】
紫外線水処理装置21は、両端に第1の配管用フランジ継手22aを設けた紫外線ランプユニット22と、両端に第2の配管用フランジ継手23aを設けたランプ保護管清掃装置駆動ユニット(以下、清掃装置駆動ユニットと呼ぶ)23とから構成されている。紫外線ランプユニット22と清掃装置駆動ユニット23とは、第1・第2の配管用フランジ継手部分で図示しないボルトとナットにより連結されている。また、紫外線ランプユニット22は通水配管24と連結され、清掃装置駆動ユニット23は通水配管25と連結されている。なお、図1中の符番26は被処理水、符番27は処理水を示す。
【0010】
前記紫外線ランプユニット22は、内部に紫外線ランプ(図示せず)と、この紫外線ランプを保護するランプ保護管(図示せず)からなる3本の紫外線照射管28を備えた円筒胴30を有している。円筒胴30の対向する中腹部には、夫々切欠き部30bが形成されている。この円筒胴30の切欠き部30bの一部には、管板31が夫々取り付けられている。また、切欠き部30bの残りの開口部分32には、この開口部分32を塞ぐように閉止板33が管板31と接続して取り付けられている。前記紫外線照射管28は、前記円筒胴30の胴部分を貫通するように配置され、その両端は水密固定部材34により前記管板31に水密に固定されている。
【0011】
紫外線照射管28の表面を擦るように設置されたワイパー部材35と、このワイパー部材35を固定するランプ保護管清掃板36は、図2(C)、図3(A),(B)に示すように、円筒胴30内に設けられている。ランプ保護管清掃板36は、ワイパー部材固定部37によりワイパー部材35を固定し、前記清掃装置駆動ユニット23との連結部38で連結されている。前記ワイパー部材35とランプ保護管清掃板36とワイパー部材固定部37と連結部38によりランプ保護管清掃装置が構成されている。
【0012】
前記清掃装置駆動ユニット23は、図4に示すように、両端に第2の配管用フランジ継手23aが取り付けられた円筒状のユニット胴39と、このユニット胴39の中腹部の両側面を貫通し、かつ両端部が水密に接続された駆動軸40、この駆動軸40の軸方向に往復するように取り付けられた駆動板41を備えている。駆動軸40の両端は貫通型の軸受42,密閉型の軸受43に水密に固定されており、その片端部には駆動モータ44が接続されている。この駆動モータ44は、所定の時間間隔で動作するように設定されている。駆動板41は、駆動軸40に駆動ネジ45によって取り付けられている。また、駆動板41には、前記ランプ保護管清掃板36の連結部38と接続するための接続部46が設けられている。
【0013】
次に、上記のように構成された紫外線水処理装置の作用について説明する。
被処理水26は、図1の左側から紫外線照射ユニット22内を紫外線の照射を受けながら通過し、その後、清掃装置駆動ユニット23内を通過して図1の右側へ処理水27として流出する。
また、駆動モータ44が駆動すると、この駆動モータ44に連結された駆動軸40も回転し、これに伴い駆動ネジ45に取り付けられた駆動板41が往復動作する。さらに、駆動板41の接続部46と、紫外線照射ユニット22の内部に設置されたランプ保護管清掃板34の連結部38が連結されているため、ランプ保護管清掃板34も往復動作し、紫外線照射管28のランプ保護管表面が清掃される。
【0014】
第1の実施形態によれば、以下に述べる効果を有する。
(1)両端に配管用フランジ継手22aを設け,内部に紫外線ランプとランプ保護管からなる紫外線照射管28を設けた紫外線ランプユニット22と、両端に配管用フランジ継手23aを設けた清掃装置駆動ユニット23とを備え、紫外線ランプユニット22と清掃装置駆動ユニット23が配管用フランジ継手部分で連結された構成であるので、水の種類や水量が変化しても紫外線ランプユニット22を別な紫外線ランプユニットに簡単に交換でき、既存の水処理施設に容易に導入することができる。
【0015】
(2)被処理水26内の微生物や有機物、および無機物の被処理対象物質を、紫外線照射ユニット22を通過する間に紫外線照射することにより、被処理水26を消毒(殺菌)又は酸化処理することができる。
(3)清掃装置駆動ユニット23によって紫外線ランプユニット22に内蔵されたランプ保護管清掃装置を駆動することにより、被処理水26に含まれる物質が紫外線照射管28の表面に付着するのを防止することができる。
【0016】
(4)紫外線ランプユニット22は、対向する中腹部に夫々切欠き部30bが形成された円筒胴30と、この円筒胴30の切欠き部30bの一部に夫々取り付けられた管板31と、前記切欠き部30bの残りの開口部分32を塞ぐように取り付けられた閉止板33を備え、3本の紫外線照射管28の両端は円筒胴30の中腹部に位置する管板31に水密に固定されている。従って、各紫外線照射管28が設置されている通水胴幅が上下方向で等しくなり、同一仕様の紫外線ランプでも、紫外線ランプから発光される紫外線を過不足なく被処理水26に照射することができる。
【0017】
これに対し、上記した図7の紫外線水処理装置の場合、紫外線ランプは消費する電力(又は紫外線出力)によりランプの全長、発光領域長、及び太さが決まっているため、管状通水胴3のような円形断面の場合、中心線部の幅が最大で、断面の上下方向に徐々に狭くなる。そのため、設置する紫外線ランプを選定する場合において、図7(B)に示したように、断面の上下位置幅に合わせて選定した場合、中心位置のランプにおいては、通水胴幅に対して紫外線ランプの発光領域長が短くなってしまう。その結果、紫外線ランプの両端側領域Fを流れる被処理水に対して十分な紫外線が照射されない。
また、上記とは逆に、管状通水胴3の断面中心部の幅に合わせて紫外線ランプを選定した場合は、断面上部及び断面下部においては、管状通水胴3の幅に対して紫外線発光長が長くなってしまうため、被処理水の処理に寄与しない領域にも紫外線が無駄に照射されてしまう。
【0018】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る紫外線水処理装置について、図5(A),(B),(C),(D)を参照して説明する。ここで、図5(A)は同紫外線水処理の一構成である紫外線ランプユニットの正面図、図5(B)は側面図、図5(C)は図5(A)のX−X線に沿う断面図、図5(D)は図5(B)のY−Y線に沿う断面図を示す。但し、図1〜図4と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0019】
図中の符番51は、両端に第1の配管用フランジ継手51aが取り付けられた矩形状胴体を示す。矩形状胴体51の対向する両側面部52には、3本の紫外線照射管28が側面部52から外部に突き出るように貫通して配置されている。各紫外線照射管28の両端は、水固定部材34により側面部52に水密に固定されている。
【0020】
こうした構成の紫外線水処理装置では、被処理水は、矩形状胴体51内を通過する間に、内部に設置された紫外線照射管28から紫外線の照射を受ける。その後、清掃装置駆動ユニット内を通過して処理水として流出する。なお、ランプ保護管清掃装置による紫外線照射管28のランプ保護管表面の清掃については第1の実施形態の場合と同様である。
【0021】
第2の実施形態によれば、紫外線ランプユニットの被処理水が流れる流路断面が矩形状と単純な形状であるため、紫外線ランプから発光される紫外線を無駄なく被処理水に照射することができる。また、矩形状の断面のため、流路は上下方向で等しくなるので、同一仕様の紫外線ランプでも、紫外線ランプから発光される紫外線を無駄なく被処理水に照射することができる。
なお、第2の実施形態では、上記紫外線ランプユニットと連結される通水配管として円形の配管を用いるが、矩形状の通水配管を用いることもできる。
【0022】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る紫外線水処理装置について、図6を参照して説明する。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。
本実施形態は、2台の第1・第2の紫外線ランプユニット22,22に対し、1台の清掃装置駆動ユニット23を両紫外線ランプユニット22,22間に配置してフランジ継手部分で連結したことを特徴とする。
【0023】
第3の実施形態によれば、被処理水の条件によっては1台の紫外線ランプユニットで処理に必要な紫外線照射量を超えるような施設でも、別な紫外線ランプユニットを用いて容易に紫外線処理を行うことができる。また、1台の清掃装置駆動ユニット23で2台の紫外線ランプユニット22,22の夫々に内蔵されたランプ保護管清掃板を動作することで、設備をコンパクトな構成にすることができる。
【0024】
なお、本開示は、上記実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せることができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。具体的には、紫外線照射管は上述した3本に限らない。また、紫外線ランプユニットや清掃装置駆動ユニットの組み合わせも上述した内容のものに限らない。
【符号の説明】
【0025】
21…紫外線水処理装置、22,22,22…紫外線ランプユニット、22a,23a,51a…配管用フランジ継手、23…ランプ保護管清掃装置駆動ユニット、28…紫外線照射管、30…円筒胴、30b…切欠き部、31…管板、33…閉止板、34…水密固定部材、35…ワイパー部材、36…ランプ保護管清掃板、39…ユニット胴、40…駆動軸、41…駆動板、42,43…軸受、44…駆動モータ、45…駆動ネジ、51…矩形状胴体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に第1の配管用フランジ継手を設け,内部に紫外線ランプとこの紫外線ランプを保護するランプ保護管を有する紫外線照射管を設けた紫外線ランプユニットと、両端に第2の配管用フランジ継手を設け,前記ランプ保護管の表面を清掃する清掃装置を駆動する清掃装置駆動ユニットとを具備し、紫外線ランプユニットと清掃装置駆動ユニットが第1・第2の配管用フランジ継手部分で連結されていることを特徴とする紫外線水処理装置。
【請求項2】
前記紫外線ランプユニットは、両端に前記第1の配管用フランジ継手を設けるともに内部に前記紫外線照射管を設け,対向する中腹部に夫々切欠き部が形成された円筒胴と、この円筒胴の切欠き部の一部に夫々取り付けられた管板と、前記切欠き部の残りの開口部分を塞ぐように取り付けられた閉止板を備え、
前記紫外線照射管は前記円筒胴を貫通するように配置され、その両端は前記管板に水密に固定されていることを特徴とする請求項1記載の紫外線水処理装置。
【請求項3】
前記紫外線ランプユニットは、両端に前記第1の配管用フランジ継手を設けるとともに内部に前記紫外線照射管を設けた矩形状胴体を備え、
前記紫外線照射管は前記矩形状胴体を貫通するように配置され、その両端は矩形状胴体の対向する側面部に水密に固定されていることを特徴とする請求項1記載の紫外線水処理装置。
【請求項4】
前記紫外線照射管の表面を擦るように設置されたワイパー部材と、このワイパー部材を固定するランプ保護管清掃板と、前記清掃装置駆動ユニットとの連結部を有する清掃装置を具備することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一記載の紫外線水処理装置。
【請求項5】
前記清掃装置駆動ユニットは、両端に前記第2の配管用フランジ継手が設けられた円筒状のユニット胴と、このユニット胴の中腹部の両側面を貫通し、かつ両端部が水密に接続された駆動軸と、この駆動軸の軸方向に往復するように取り付けられた駆動板を備えていることを特徴とする請求項1記載の紫外線水処理装置。
【請求項6】
複数台の前記紫外線ランプユニットに、1台の前記清掃装置駆動ユニットが連結されていることを特徴とする請求項1記載の紫外線水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−189289(P2011−189289A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58129(P2010−58129)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】