説明

紫外線照射装置

【課題】紫外線の照射むらを生じることなく清掃ブラシの位置を非接触に検出することができる紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】処理槽2の中心軸Oの周りに複数の紫外線ランプ12のそれぞれを保護管10に挿入して等間隔に配置し、これらの紫外線ランプ12の紫外線照射により処理槽2に注入した被処理流体を紫外線処理する紫外線照射装置1において、前記中心軸Oに沿って往復移動し前記紫外線ランプ12の保護管10の表面を清掃するクリーニングプレート21を備え、前記クリーニングプレート21には前記処理槽2の端面を閉止する閉止フランジ4と対向する位置に金属棒71を設け、前記閉止フランジ4には前記クリーニングプレート21の金属棒71の近接を検出する近接センサ60を設け、前記クリーニングプレート21が前記近接センサ60を設けた閉止フランジ4に向けて移動している時には前記近接センサ60による前記金属棒71の検出に基づいて前記クリーニングプレート21を停止する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理槽に流れ込む流体に紫外線照射処理を行う装置に係り、特に、処理槽の中に配置された紫外線ランプ清掃用のブラシの位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理流体が流れ込む筒状の処理槽に、該流体の流れ方向に沿って延びる管状の紫外線ランプを設置し、被処理流体中の微生物の殺滅、有機物の酸化分解、その他の有機物質の分解などを行う紫外線照射装置が知られている。かかる紫外線照射装置は、浄水場に設置されて原水の浄水処理に好適に用いられている。浄水場で用いられている紫外線照射装置においては、紫外線ランプの破損時に破片が流れ出ないようにすべく、紫外線ランプはランプ保護管に挿入されている。さらに、処理槽内には、ランプ保護管の表面を清掃する清掃ブラシが設けられており、この清掃ブラシをランプ保護管の長手方向に沿って1日に1〜数往復させてランプ保護管の表面に紫外光の透過を妨げる物質が堆積するのを防いでいる。
【0003】
ところで、清掃ブラシの往復移動制御には、少なくとも清掃ブラシが処理槽の端部に到達したことを検出する必要があるものの、処理槽内は流体によって加圧されているため、当該処理槽内にセンサを直接配置して清掃ブラシの位置を検出することは困難である。そこで従来では、ランプ保護管と同様な管体を処理槽の中に配置し、この管体の中に磁気センサを収めるとともに、検出対象である清掃ブラシに磁石を取り付け、処理槽の端部に設定した待機位置に清掃ブラシが到達したことを管体の中から磁気センサで検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−21434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、処理槽内に磁気センサを納めた管体を配置すると、被処理流体への紫外線照射にむらが生じる、という問題がある。詳述すると、紫外線照射装置では、円筒状の処理槽の中心軸に清掃ブラシを往復移動させるためのシャフトを配置し、このシャフトの周囲に等間隔に複数の紫外線ランプをランプ保護管に挿入して配置することで被処理流体に均等に紫外線を照射している。
これに対し、従来の構成では、いずれかのランプ保護管の位置に、磁気センサを納めた管体を配置しているため、紫外線ランプの配置の対称性が崩れ紫外線照射にむらが生じることになる。また、処理槽の中心軸上に、磁気センサを納める管体を配置することも考え得るが、そうすると、清掃ブラシを駆動するシャフトを、処理槽の中心からずれた位置に配置する必要があるため駆動機構が複雑になる、という問題がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、紫外線の照射むらを生じることなく清掃ブラシの位置を非接触に検出することができる紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、処理槽の中心軸の周りに複数の紫外線ランプのそれぞれを保護管に挿入して等間隔に配置し、これらの紫外線ランプの紫外線照射により処理槽に注入した被処理流体を紫外線処理する紫外線照射装置において、前記中心軸に沿って往復移動し前記紫外線ランプの保護管の表面を清掃するクリーニングプレートを備え、前記クリーニングプレートには前記処理槽の端面を閉止する閉止フランジと対向する位置に被検出体を設け、前記閉止フランジには前記クリーニングプレートの被検出体の近接を検出する近接センサを設け、前記クリーニングプレートが前記近接センサを設けた閉止フランジに向けて移動している時には前記近接センサによる前記被検出体の検出に基づいて前記クリーニングプレートを停止することを特徴とする。
【0008】
また上記目的を達成するために、本発明は、処理槽の中心軸の周りに複数の紫外線ランプのそれぞれを保護管に挿入して等間隔に配置し、これらの紫外線ランプの紫外線照射により処理槽に注入した被処理流体を紫外線処理する紫外線照射装置において、前記中心軸に沿って往復移動し前記紫外線ランプの保護管の表面を清掃するクリーニングプレートを備え、前記処理槽の周面には、前記クリーニングプレートの停止位置に相当する位置に、前記クリーニングプレートの近接を検出する近接センサを埋め込み固定し、前記近接センサによる前記クリーニングプレートの検出に基づいて前記クリーニングプレートの移動を停止することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記紫外線照射装置において、前記クリーニングプレートには、前記処理槽の端面を閉止する閉止フランジとの間の最小距離を規制する規制部材を設けたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記紫外線照射装置において、前記閉止フランジ、或いは、前記処理槽の周面に設けた取付孔に嵌め込み固定される樹脂製のセンサホルダーに前記近接センサを螺合させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クリーニングプレートの被検出体を非接触に検出する近接センサを処理槽の端面を閉止する閉止フランジに設けたため、処理槽の中に紫外線ランプと並列させて近接センサを設けた従来の構成に比べ、紫外線の照射むらを生じることがなく、殺菌能力のむらを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る紫外線照射装置の正面図である。
【図2】同紫外線照射装置の断面図である。
【図3】同紫外線照射装置の平面図である。
【図4】クリーニングプレートの平面視図である。
【図5】閉止フランジに固定された近接センサユニットの構造を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る近接センサユニットを示す図である。
【図7】第3実施形態に係る紫外線照射装置の構成を示す図である。
【図8】図7の近接センサユニットを拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は本実施形態に係る紫外線照射装置1の構成を示す正面図、図2は紫外線照射装置1の断面図、図3は紫外線照射装置1の平面図である。
紫外線照射装置1は、浄水場に設けられ、浄水処理後の浄水を殺菌(消毒)し、耐塩素性病原微生物を不活化する装置として用いられる。この紫外線照射装置1は、図1から図3に示すように、筐体の胴体部を構成する円筒状の処理槽2を有し、図示せぬ設置具により、処理槽2を立てた状態、または、水平に寝かせた状態で設置される。
【0014】
処理槽2は、例えばステンレス鋼から形成され、その上端の開口3が閉止フランジ4により閉塞されている。処理槽2の下端の開口5には入水口フランジ7が接続され、また、処理槽2の上端側の周面に導出ポート8が配設されている。上記入水口フランジ7には、浄水処理後の浄水を処理槽2に導水するパイプが接続されており、このパイプ及び入水口フランジ7を通じて、殺菌前の浄水が所定の流量(或いは流圧)を保ちながら処理槽2内に導入され、その流圧によって処理槽2内を上方に向かい導出ポート8から吐出される。
【0015】
この処理槽2には、図2及び図3に示すように、紫外線ランプ12(後述)が挿入される細長い円筒状の保護管10が設けられている。保護管10は、処理槽2の下端に設けた支持具9に下端部が固定されるとともに上端部が閉止フランジ4に貫挿した支持金具13に支持されて、処理槽2内の流圧に耐え得る強度で保持される。保護管10は、紫外線の透過性が良い石英ガラスから形成されており、その表面がフッ素系樹脂で被覆されている。このフッ素系樹脂の被覆により破損時に破片が飛び散らないようになされている。また保護管10の被覆にフッ素系樹脂を使用することで、紫外線による被覆の劣化が防止される。
【0016】
処理槽2内には、6本の保護管10が設けられ、これらの保護管10は、図3に示すように、処理槽2の中心軸Oを中心とした円周P上に等間隔に配置されている。保護管10のそれぞれには、処理槽2の下端から上端まで(少なくとも導出ポート8を超えた位置まで)延びる直管型の紫外線ランプ12が挿入され固定されている。なお、保護管10の数は6本でなくとも良い。
【0017】
そして紫外線ランプ12がそれぞれ紫外線を放射することで、処理槽2の中を入水口フランジ7から導出ポート8に向かって流れる浄水(被処理流体)が紫外線の照射を受けて殺菌される。このとき、紫外線ランプ12が処理槽2の下端から導出ポート8を超えた位置まで延びることで、入水口フランジ7から導出ポート8に至る流路の全範囲にわたって紫外線が照射され、装置の殺菌能力が高められている。さらに、処理槽2には、紫外線ランプ12が処理槽2の中心軸Oの周りに均等に配置されているため、処理槽2を流れる浄水には、照射むらが無く均一に紫外線が照射され、これにより、処理槽2内で殺菌能力にむらが生じるのが防止されている。
【0018】
処理槽2の外周面には、図3及び図4に示すように、3つの計測用ポート14が等間隔に配置されている。計測用ポート14のそれぞれには、紫外線強度を検出する紫外線センサユニット16(図2、図4)が設けられており、これら3つの紫外線センサユニット16で処理槽2の内部の紫外線強度が計測されている。作業者等は、計測結果に基づいて紫外線ランプ12の放射強度低下を判断し、紫外線ランプ12の交換を行うこととなる。
【0019】
ところで、紫外線ランプ12を収容した保護管10の表面にスケール等の汚れが付着し保護管10の紫外線透過率が低下すると、これに伴い紫外線照射装置1の殺菌能力も低下する。そこで、紫外線照射装置1には、保護管10の表面を清掃する清掃機構20が設けられており、この清掃機構20によって、例えば1日に1〜複数回の頻度で定期的に保護管10の表面の清掃が行われる。
清掃機構20は、図2に示すように、処理槽2の中に配置されたクリーニングプレート21と、このクリーニングプレート21を処理槽2の中で往復移動させる駆動機構22とを備えている。
【0020】
図4は、図2のA−A断面を示す図であってクリーニングプレート21を平面視した図である。
クリーニングプレート21は、図4に示すように、保護管10の外径と同程度の内径を有し、当該保護管10が挿入される環状のクリーニングブラシ(清掃ブラシ)24と、このクリーニングブラシ24を固定するケース体としてのブラシサポート26と、これらブラシサポート26を処理槽2の中心軸Oの周りに等間隔に同一高さで支持する支持フレーム28とを備えて構成されている。
【0021】
駆動機構22は、図2に示すように、処理槽2の中心軸O上に延びるボールネジ30と、このボールネジ30に螺合しクリーニングプレート21が連結されたボールネジナット32と、中心軸Oの周りに等間隔に配置され上下に延びる3本のガイドシャフト33と、閉止フランジ4の上に配置されたモータ34と、このモータ34の回転駆動力をボールネジ30に伝達して回転させる伝達機構36とを備えている。
上記支持フレーム28は、各ブラシサポート26を固定し、また、ガイドシャフト33を受けるシャフト軸受33Aが設けられたリング状フレーム28Aと、ボールネジナット32から放射状に延びてリング状フレーム28Aを支持する複数本の支持棒28Bとで構成されている。これらリング状フレーム28Aと支持棒28Bとの間に隙間があることで、支持フレーム28に加わる流圧が抑えられている。
【0022】
そして、モータ34によってボールネジ30が回転駆動されると、このボールネジ30にボールネジナット32によって連結されたクリーニングプレート21が処理槽2内をガイドシャフト33でガイドされながら上下に移動する。そして、このクリーニングプレート21の移動に伴って各クリーニングブラシ24が保護管10の外周表面を払拭することで、当該保護管10の清掃が行われることになる。
【0023】
上記クリーニングプレート21は、非清掃時には、影を生じさせないようにすべく、処理槽2の上端近傍であって、少なくとも導出ポート8の外側(導出ポート8と閉止フランジ4との間)で待機する。そして、保護管10の清掃時には、モータ34がボールネジ30を回転させることで、クリーニングプレート21が処理槽2の中を移動する。このとき、モータ34の駆動制御は、図1に示す制御回路40の指示に基づいて行われる。
【0024】
制御回路40は、モータ34を駆動するモータ駆動回路41を備え、また、モータ34の回転速度と、クリーニングプレート21が待機位置から処理槽2の下端部に到達するまでの時間との関係を規定した到達時間データ42を予め記憶している。そして、制御回路40は、毎日或いは所定日数おきに、所定の清掃開始時刻になると、モータ34を駆動してクリーニングプレート21を待機位置から移動開始させるとともに、上記到達時間データ42及びモータ34の回転速度に基づいて、クリーニングプレート21が下端位置に到達するタイミングを算出する。そして、制御回路40は、クリーニングプレート21が下端位置に到達したタイミングでモータ34を停止し、逆回転させ下端位置から待機位置に向けてクリーニングプレート21を移動させる。なお、クリーニングプレート21が待機位置から処理槽2の下端部に到達するまでのモータ34の回転数に基づいて、クリーニングプレート21が処理槽2の下端に到達するタイミングを算出しても良い。
【0025】
クリーニングプレート21の待機位置への到達は、上記到達時間データ42に基づく制御ではなく、近接センサユニット50によって検出することとし、到達時間データ42に基づく位置制御に誤差が生じたとしても、毎回、決まった待機位置にクリーニングプレート21を復帰させることができる。上記近接センサユニット50は、図3に示すように、処理槽2の閉止フランジ4に設けられており、この近接センサユニット50の構造について以下に詳述する。
【0026】
図5は、閉止フランジ4に固定された近接センサユニット50の構造を示す図である。
閉止フランジ4には、貫通孔としてのセンサ取付孔51が設けられており、このセンサ取付孔51に近接センサユニット50が嵌め込み固定されている。近接センサユニット50は、大別すると、センサホルダー53と近接センサ60とを備えている。
センサホルダー53は、近接センサ60を閉止フランジ4内に保持する部材であり、下面53Aが閉止フランジ4の下面4Aと面一になる程度の深さの胴部53Bを有した有底筒状の部材であり、上記センサ取付孔51に嵌め込まれ、開口縁部53Cが閉止フランジ4の上面にボルト締めされた押さえ金具で固定されている。またセンサ取付孔51の周面には、浄水の浸みだしを防止するパッキン57が設けられている。
【0027】
センサホルダー53は、近接センサ60の検出感度を阻害しないように硬質樹脂で形成され、また、紫外線による劣化を防止すべく下面4Aにはフッ素系樹脂による被覆処理が施されている。また、センサホルダー53の内周面54には雌ねじが切られており、この雌ねじに螺合する雄ネジが周面に切られた胴部60Aを有する近接センサ60が胴部53Bにねじ込み固定されている。このように近接センサ60を螺合構造によりセンサホルダー53に固定することで、センサホルダー53の下面53Aを、近接センサ60の感度を阻害しない程度に薄くした結果、水圧に耐えられなくなっても、胴部53Bに強固に結合された近接センサ60によって下面53Aの耐圧が補われることとなる。なお、センサホルダー53にフッ素系樹脂による被覆処理を施す構成に代えて、当該センサホルダー53自体をフッ素系樹脂で形成してもよい。
【0028】
近接センサ60は、非接触でクリーニングプレート21が近づいたことを検出するセンサであり、電磁誘導を利用した高周波発振型のセンサが好適に用いられる。詳述すると、近接センサ60は、内蔵の検出コイル(不図示)により高周波磁界を発生しており、また、クリーニングプレート21には、近接センサ60と対向する位置に被検出棒である金属棒71が近接センサ60に向けてロックナット72を用いて立設されている。近接センサ60の検出コイルが発生する高周波磁界にクリーニングプレート21の金属棒71が接近した場合、この接近に伴い近接センサ60の検出コイルに誘導電流が生じ、当該検出コイルのインピーダンスが変化することで発振が停止し、これによりクリーニングプレート21の近接が検出される。
【0029】
本実施形態の近接センサ60には、検出コイルを内蔵した胴部60Aの側面が金属でおおわれた、いわゆるシールドタイプのセンサが用いられており、金属の塊である閉止フランジ4に埋め込んで使用できるようになっている。なお、近接センサ60には、シールドタイプに限らず、検出コイルを内蔵した胴部60Aの側面が金属で覆われていない、いわゆる非シールドタイプのセンサを用いることもできる。ただし、この場合には、周囲金属の影響を受けやすいため、センサホルダー53の胴部53bを深くして、近接センサ60の底面60Bが閉止フランジ4の下面4Aから処理槽2内に突出させることが好ましい。
【0030】
近接センサ60は、金属棒71の近接を検出したときの位置がクリーニングプレート21の待機位置となるように、近接センサ60の感度及び金属棒71の長さが予め規定されている。そして、近接センサ60が金属棒71の接近を検出した場合には、検出信号を制御回路40に出力し、この検出信号に基づいて、制御回路40がクリーニングプレート21の待機位置への復帰を検知してモータ駆動回路41を停止させ、クリーニングプレート21による清掃を終了することとなる。
【0031】
また図5に示すように、閉止フランジ4の下面4Aには、メカストッパー65が設けられている。メカストッパー65は、当該閉止フランジ4の下面4Aからクリーニングプレート21に向かって所定長さだけ伸びる棒状部材であり、これにより、閉止フランジ4とクリーニングプレート21の間の最小距離が規制され、クリーニングプレート21が待機位置を超えて閉止フランジ4に衝突することが防止される。
【0032】
このように、本実施形態によれば、クリーニングプレート21に処理槽2の端面を閉止する閉止フランジ4と対向する位置に金属棒71を立設し、閉止フランジ4にはクリーニングプレート21の金属棒71の近接を検出する近接センサ60を設け、クリーニングプレート21が近接センサ60を設けた閉止フランジ4に向けて移動している時には、この近接センサ60による金属棒71の検出に基づいてクリーニングプレート21を停止する構成とした。
この構成により、処理槽2内に、紫外線ランプ12と並んで近接センサ60を設ける必要がないため、紫外線の照射むらを生じることがなく、殺菌能力のむらを防止することができる。さらに、クリーニングプレート21を駆動するためのボールネジ30を処理槽2の中心軸Oに配置できるため、駆動機構が複雑になることもない。
【0033】
また本実施形態によれば、閉止フランジ4とクリーニングプレート21の間の最小距離を規制するメカストッパー65を設ける構成としたため、クリーニングプレート21が待機位置を超えて閉止フランジ4に衝突することを防止できる。
【0034】
また本実施形態によれば、閉止フランジ4に設けたセンサ取付孔51に嵌め込み固定される樹脂製のセンサホルダー53に近接センサ60を螺合させる構成としたため、センサホルダー53の下面53Aを、近接センサ60の感度を阻害しない程度に薄くした結果、水圧に耐えられなくなっても、センサホルダー53に強固に結合された近接センサ60によって下面53Aの耐圧を補うことができる。
【0035】
[第2実施形態]
第1実施形態では、近接センサ60の閉止フランジ4への固定構造において、有底筒状の樹脂製のセンサホルダー53を用いた。これに対して、本実施形態では、金属製のセンサホルダーを用いる場合を説明する。
図6は、本実施形態に係る近接センサユニット150を示す図である。なお、同図において、第1実施形態と同様な部材は、同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施形態では、第1実施形態で説明したメカストッパー65がクリーニングプレート21に設けられている。
【0036】
この図に示すように、近接センサユニット150は、金属製の両端が開口した筒状のセンサホルダー153と、上記近接センサ60とを備えている。
閉止フランジ4のセンサ取付孔151には、下面4A側の開口にセンサホルダー153を受けて脱落を防止する片部4Bが形成されており、この片部4Bとセンサホルダー153の間には水密を維持するOリング154が設けられている。
センサホルダー153は、閉止フランジ4のセンサ取付孔151の内周面に切られたネジ山と螺合するネジ山が外周面に切られ、センサ取付孔151に螺合しロックナット156で閉止フランジ4に強固に締結される。近接センサ60はセンサホルダー153に螺合してロックナット157で強固に締結され、これにより、近接センサ60が閉止フランジ4に固定される。このとき、センサホルダー153及び近接センサ60の底面には、例えばフッ素樹脂シートなどの紫外線による劣化が少ない防水シート158が設けられており、近接センサ60とセンサホルダー153との間からの浸水が防止されている。
【0037】
本実施形態によれば、底部が開口した筒状のセンサホルダー153に近接センサ60を固定するため、クリーニングプレート21の金属棒71を高感度で検出することができる。
【0038】
[第3実施形態]
第1及び第2実施形態では、処理槽2の端面を閉止する閉止フランジ4に近接センサ60を設ける構成を例示した。これに対し、本実施形態では、近接センサ60を処理槽2の周面に設ける構成を説明する。
図7は、本実施形態に係る紫外線照射装置200の構成を示す図である。なお、同図において第1及び第2実施形態で説明した部材については同一の符号を付して、その説明を省略する。
この図に示すように、本実施形態の紫外線照射装置200においては、浄水を処理槽2に導入する導入ポート202が処理槽2の外周面の下端側に、また、第1実施形態で説明した導出ポート8が上端側に設けられており、これら導入ポート202と導出ポート8の間をクリーニングプレート21が往復移動して流路に位置する保護管10の表面を清掃する。
また、処理槽2の外周面には、導出ポート8及び導入ポート202のそれぞれの位置、すなわち、クリーニングプレート21の待機位置及び往復の折返位置に、クリーニングプレート21の近接を検出する近接センサユニット250が嵌め込み固定されている。
【0039】
図8は、図7に示す近接センサユニット250の拡大図である。
この図に示すように、処理槽2の外周面(側面)には、取付用筒体280が溶接されており、取付用筒体280に、近接センサユニット250が取り付けられ、固定されている。近接センサユニット250は、第1実施形態と同様な有底筒状の硬質樹脂製のセンサホルダー253と、第1及び第2実施形態で説明した近接センサ60とを備えている。
センサホルダー253は、周面にOリング279が設けられた取付用筒体280に嵌挿され、ロックナット282で締め付け固定された補強スリーブ284で脱落不能に押さえられる。そして、このセンサホルダー253に近接センサ60が螺合して固定され、これにより、近接センサ60が処理槽2の外周面に強固に固定される。
【0040】
かかる構成の下、保護管10の清掃時にクリーニングプレート21が近接センサ60の横(水平位置)に位置したときに、該近接センサ60から検出信号が制御回路40に出力される。これにより、制御回路40は、クリーニングプレート21が待機位置及び折返位置に位置したことを検知して、クリーニングプレート21を停止させる、といった制御を行う。
【0041】
このように、本実施形態によれば、近接センサ60を処理槽2の外周面に設けたため、第1及び第2実施形態と同様に、処理槽2内に紫外線ランプ12と並列させて近接センサ60を設けた従来の構成に比べ、紫外線の照射むらを生じることがなく、殺菌能力のむらを防止することができる。さらに、クリーニングプレート21を駆動するためのボールネジ30を処理槽2の中心軸Oに配置できるため、駆動機構が複雑になることもない。
【0042】
なお、上述した第1〜第3実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、第1実施形態において、第3実施形態で説明した近接センサユニット250をクリーニングプレート21の折返位置に相当する処理槽2の外周面に設け、この近接センサユニット250の検出に基づいて、クリーニングプレート21を折返位置で停止し、折り返す構成としてもよい。
また、本発明において、流体は液体に限られるものでないことは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
1、200 紫外線照射装置
2 処理槽
4 閉止フランジ
8 導出ポート
10 保護管
12 紫外線ランプ
20 清掃機構
21 クリーニングプレート
22 駆動機構
24 クリーニングブラシ(清掃ブラシ)
28 支持フレーム
30 ボールネジ
34 モータ
40 制御回路
41 モータ駆動回路
42 到達時間データ
50、150、250 近接センサユニット
51、151 センサ取付孔
53、153、253 センサホルダー
60 近接センサ
65 メカストッパー(規制部材)
71 金属棒(被検出体)
202 導入ポート
O 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽の中心軸の周りに複数の紫外線ランプのそれぞれを保護管に挿入して等間隔に配置し、これらの紫外線ランプの紫外線照射により処理槽に注入した被処理流体を紫外線処理する紫外線照射装置において、
前記中心軸に沿って往復移動し前記紫外線ランプの保護管の表面を清掃するクリーニングプレートを備え、
前記クリーニングプレートには前記処理槽の端面を閉止する閉止フランジと対向する位置に被検出体を設け、前記閉止フランジには前記クリーニングプレートの被検出体の近接を検出する近接センサを設け、
前記クリーニングプレートが前記近接センサを設けた閉止フランジに向けて移動している時には前記近接センサによる前記被検出体の検出に基づいて前記クリーニングプレートを停止することを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
処理槽の中心軸の周りに複数の紫外線ランプのそれぞれを保護管に挿入して等間隔に配置し、これらの紫外線ランプの紫外線照射により処理槽に注入した被処理流体を紫外線処理する紫外線照射装置において、
前記中心軸に沿って往復移動し前記紫外線ランプの保護管の表面を清掃するクリーニングプレートを備え、
前記処理槽の周面には、前記クリーニングプレートの停止位置に相当する位置に、前記クリーニングプレートの近接を検出する近接センサを埋め込み固定し、前記近接センサによる前記クリーニングプレートの検出に基づいて前記クリーニングプレートの移動を停止することを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項3】
前記クリーニングプレートには、前記処理槽の端面を閉止する閉止フランジとの間の最小距離を規制する規制部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記閉止フランジ、或いは、前記処理槽の周面に設けた取付孔に嵌め込み固定される樹脂製のセンサホルダーに前記近接センサを螺合させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−72901(P2011−72901A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226485(P2009−226485)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】