説明

細物アルミ電線

【課題】 比重が銅よりも小さく、導電率及び強度にすぐれたワイヤーハーネス細物電線を提供する。
【解決手段】 アルミニウム合金線の周囲に純アルミニウム線を複数撚り合わせた複合構造を有するアルミニウム細物電線からなり、該アルミニウム合金線の直径が0.08〜0.40mm、純アルミニウム線の直径が0.08〜0.40mmであり、該アルミニウム合金線に対する純アルミニウム線の重量比が10%〜40%であり、全体の直径が0.05〜3.0mmであることを特徴とするワイヤーハーネス細物電線

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネス細物電線として好適な細物アルミ電線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
純アルミニウムは導電性がアルミニウムの中で最も高いが、強度が低いという欠点を有し、一方、合金アルミは強度の点ではすぐれているが、導電性が不十分であるという欠点を有する。
特開平10−241459号公報(特許文献1)には、アルミニウム又はアルミニウム合金で被覆された綱線からなるテンションメンバの周囲に、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体メンバを配置したアルミニウム電線が記載されている。
この電線は、高い強度を有するが、導電率が不十分である上、比重が大きいという欠点を有する。そして、この電線は、架送電線や架空地線に好適のもので、自動車に用いられているワイヤーハーネス細物電線としては不適のものである。
ワイヤーハーネス細物電線(以下、単にHNWとも言う)としては、銅主に導電線が用いられてきたが、このものは、比重が大きく、また高価である等の問題を有し、HNWとしては未だ不満足のものである。
【0003】
【特許文献1】特開平10−241459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、比重が銅よりも小さく、導電率及び強度にすぐれたワイヤーハーネス細物電線を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、アルミニウム合金線の周囲に純アルミニウム線を複数撚り合わせた複合構造を有するアルミニウム細物電線からなり、該アルミニウム合金線の直径が0.08〜0.40mm、純アルミニウム線の直径が0.08〜0.40mmであり、該アルミニウム合金線に対する純アルミニウム線の重量比が10%〜40%であり、全体の直径が0.05〜3.0mmであることを特徴とするワイヤーハーネス細物電線が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明のHNWは、その比重が銅より小さい軽量化電線であるが、その伝導率及び強度において銅線に匹敵するものである。
本発明のHNWは7.5AFuseマッチングするもので、銅電線と置き換え可能の物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で用いるアルミニウム合金線において、そのアルミニウム含量は80〜95重量%、好ましくは90〜95重量%であり、その直径は0.08〜0.40mm、好ましくは0.11〜0.20mmである。該アルミニウムに添加される添加成分としては、例えば、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn等が挙げられる。本発明で用いるアルミニウム合金は、アルミ系列でJIS5000系のもの(Al−Mg系)のもの(例えばJIS5056、5154等)の使用が好ましい。
【0008】
本発明で用いる純アルミニウムにおいて、そのアルミニウム含量は99.9〜100重量%であり、その長径は0.08〜0.40mm、好ましくは0.11〜0.20mmである。該アルミニウムに添加される添加成分としては、例えば、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、Ti等が挙げられる。本発明で用いる純アルミニウムは、アルミ系列でJIS1000系のもの(例えば、JIS1000、1100等)の使用が好ましい。
【0009】
本発明のHNWは、アルミニウム合金線の周囲に、複数の純アルミニウム線を撚り合わせた複合構造を有する。この場合、合金アルミニウム線に対する純アルミニウム線の重量比は、10%〜40%、好ましくは10%〜20%である。このような重量比とすることにより、強度と導電率のバランスのとれたHNWを得ることができる。アルミニウム合金線1本当たりの純アルミニウム線の数は、それらの太さにより異なるが、一般的には4〜7本、好ましくは6〜7本である。
本発明のHNWの太さは、断面積で表して、0.05〜3.0mm、特に、0.08〜0.5mmであるが、その用途に応じて適宜定める。
【0010】
本発明のHNWにおいて、純アルミニウム線及びアルミニウム合金線は、単線の他、撚り線であることができる。
本発明のHNWにおいて、アルミニウム合金線に対する純アルミニウムの撚りピッチは、8〜30mm、好ましくは12〜26mmである。
【0011】
本発明のHNWは、これに絶縁被覆を施して絶縁被覆電線とすることができる。
【0012】
本発明のHNWにおいて、その強度は50〜200N、好ましくは70〜100Nであり、その抵抗は40〜100mΩ/m、好ましくは40〜60mΩ/mである。
【実施例】
【0013】
次に本発明を実施例により詳述する。
【0014】
実施例1
直径0.32mmのアルミニウム合金(アルミニウム系列JIS5154)線1本の周囲に、直径0.32mmの純アルミニウム(アルミニウム系列JIS1100)線6本をピッチ20mmで撚り合わせてHNWを作った。
このHNWを軟化させて、押出機にて被覆材を被せて(肉厚0.2〜0.3mm)被覆HNWを得た。
前記HNW(アルミニウム電線)において、その強度は、80.1Nであり、その導体抵抗は56.2mΩ/mであり、銅線(強度83.7N、抵抗46.4mΩ/m)に匹敵するものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金線の周囲に純アルミニウム線を複数撚り合わせた複合構造を有するアルミニウム細物電線からなり、該アルミニウム合金線の直径が0.08〜0.40mm、純アルミニウム線の直径が0.08〜0.40mmであり、該アルミニウム合金線に対する純アルミニウム線の重量比が10%〜40%であり、全体の直径が0.05〜3.0mmであることを特徴とするワイヤーハーネス細物電線。

【公開番号】特開2006−12468(P2006−12468A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184441(P2004−184441)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】