説明

細胞を処理するための装置および方法

本発明は、対象物内の生体細胞を処理するための装置であり、単巻コイル要素と、単巻コイル要素に接続された発電機であって、単巻線が基本的に対象物の周りに位置決めされるように構成されている発電機とを備え、発電機が、単巻コイル要素内で磁気誘導により、単巻コイル要素が短持続時間のパルス電磁場を発生するように、単巻コイル要素内に放電するように構成されており、電磁場が、対象物が単巻コイル要素内に配置されている動作中に、対象物に含まれる生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜に影響を及ぼすのに、好ましくはこれらの透過性を増加するのに、十分に高い場の強度を有する装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物内の生体細胞を処理するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パルス電磁場処理は、強力な外部電磁場の短パルスにより生体細胞に影響を及ぼす方法である。パルス電磁場処理では、生体細胞を含む媒体内に2つの電極が配置される。そしてパルス電磁場が媒体に印加される。印加された電磁場は、場の強度およびパルス形状(パルスの持続時間および峻度を含む)に応じて、細胞膜および/または細胞内構造に影響を及ぼすことができる。より具体的には、エレクトロポレーションとして知られるプロセスが行われてもよく、これは、媒体に印加された電磁場の結果として、細胞膜および/または細胞内膜の透過性が増加することを意味する。
【0003】
細胞膜においてエレクトロポレーションが行われると、細胞膜内のタンパク質チャネルが開放されて、イオン濃度を変化させることができる。イオン濃度におけるこの変化は、細胞ストレスを生じる可能性がある。印加された電磁場の強度が、細胞膜にかかる電圧がたとえば1ボルトの閾値の臨界閾値付近であって、比較的短い持続時間であるような場合、細胞は自己回復する。この効果は、たとえば、物質(遺伝子または薬物など)を細胞内に局所的に送達するために使用されてもよい。細胞膜にわたってより高い電圧を発生させる、より高い電磁場強度を印加すること、および/またはより長い持続時間に場のパルスを印加することにより、かえって細胞に不可逆的な損傷を与える可能性があり、結果的には細胞を死なせる可能性すらある。この効果は、たとえばフルーツジュースの低温殺菌のために食品を加工するため、またはアポトーシス、すなわちガンなどの病気の治療における計画的な細胞死を誘導するために使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
媒体中の生体細胞の細胞膜に影響を及ぼす臨界閾値は異なってもよいが、しかし通常は約1ボルトになる。細胞の標準的なサイズが約10μmであれば、外部から印加された電場の強度は、ほぼ1kV/cm程度となる。これは非常に高い場の強度であり、実際には、処理すべき生体細胞において十分な強度の電場を発生することが困難であった。
【0005】
さらに、媒体内にパルス電磁場を発生することができるようにするために、媒体内に電極が配置されることになるので、媒体の生体細胞は、まず電極と接触した状態で処理されるべきであり、細胞処理が完了した後にのみ、対象物内に配置されることが可能、すなわち容器、カートン、パック(パッケージ)などに包装されることが可能である。これは、処理作業の有効性を著しく低下させる可能性がある。
【0006】
パルス電磁場を発生させるために電極を使用することの別の欠点は、電極が時間とともに腐食する可能性があることであり、腐食した電極材料が最終的に、処理すべき媒体に達してしまう可能性があることを意味する。また、電気化学反応が、電極またはその周辺において発生する可能性がある。そのような反応は、望ましくない反応残留物を生じる可能性がある。媒体が、人によって消費される食料を含む場合、これは許容不可能な健康上のリスクを伴う可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、従来技術における上記のおよび/またはその他の欠点のうちの少なくとも1つが解消または少なくとも軽減された、対象物内の生体細胞を処理するための方法および装置を提供することである。
【0008】
本発明の実施形態のより具体的な目的は、対象物内の生体細胞が、高速かつ効果的な方法で処理され得る方法および装置を提供することである。
【0009】
本発明の実施形態のより具体的な目的は、対象物内に存在する生体細胞が、対象物内に1個または複数の電極を配置することを必要とせずに処理され得る方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様によれば、対象物内の生体細胞を処理するための装置において、装置は、
単巻コイル要素と、
単巻コイル要素に接続された発電機であって、単巻線が基本的に対象物の周りに位置決めされるように構成されている発電機とを備え、
発電機が、単巻コイル要素内で磁気誘導によって、単巻コイル要素が、短持続時間のパルス電磁場を発生するように、単巻コイル要素内に放電するように構成されており、電磁場が、対象物が単巻コイル要素内に配置されている動作中に、対象物に含まれる生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜に影響を及ぼすのに、好ましくはこれらの透過性を増加するのに、十分に高い場の強度を有する。装置は無電極であってもよく、したがって電極の使用に関わる不利な点は存在しない。さらに、コイル要素の単巻線の内側に対象物を配置することにより、対象物内の生体細胞は、対象物内に電極などのいかなる電気的要素も存在しない状態で、処理され得る。したがって、電磁場を発生した装置と生体細胞との間の接触は、回避されることが可能である。さらに、電磁場は持続時間の短い磁場によって誘導されるので、少なくとも1kV/cm(細胞膜に影響を与えるため)または少なくとも10kV/cm(細胞内膜に影響を与えるため)の必要とされる場の強度を有する電場が、比較的短い時間のうちに実現されることが可能である。細胞内で生じるいかなるエレクトロポレーションも、たとえば細胞内に薬物を導入するなど、異なる目的のために使用されてもよい。細胞膜および/または細胞内膜に所望の影響を与えるために必要な短持続時間高強度の電磁場を発生するために、単巻コイル要素が使用される。単巻コイル要素および/または同軸状に形成された回路を使用して、コイル要素および回路の自己インダクタンスを比較的低く維持されることが可能であり、これはコイル要素内の電流の短い立ち上がり時間が実現され得ることを意味する。数10ナノヘンリー以下の自己インダクタンスが、本実施形態において容易に達成され得る。
【0011】
一実施形態において、電磁場は、対象物内の生体細胞に無電極的に印加される。食料の場合に許容不可能な健康上のリスクをもたらす可能性のある、電極の腐食による汚染のリスクが、排除される。
【0012】
さらなる実施形態において、単巻コイル要素は、おおむね円形または楕円形の断面を有する。この形状は、生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜に影響を及ぼすのに、好ましくはこれらの透過性を増加するのに、適した電磁場のパターンを発生させることができるようにする。
【0013】
一実施形態において、単巻コイル要素は基本的に円筒形であって、生体細胞を含む対象物が取り外し可能に配置され得るようにする大きさの受容空間を規定する。コイル要素が生体細胞を含む対象物の周りに配置されているか、または対象物が単巻コイル要素の受容空間内に配置されているときに、電磁場が印加される。単巻線の円筒形状は、対象物内の全内容物が単巻コイル要素によって発生した高電磁場に曝されることを可能にする。
【0014】
一実施形態において、単巻コイル要素は、対象物が単巻線内を通過できるようにする大きさの受容空間を規定する。生体細胞を含む対象物は、コイル要素の固定されている単巻線を通じて移動させられることが可能であり、それにより電磁場に曝される。さらなる実施形態において、コイル要素は、単巻コイル要素によって定義される受容空間内を通過する生体細胞を含む一つまたは複数の静止している対象物に沿って単巻線が移動するような方法で、移動させられることが可能である。さらに別の実施形態において、コイル要素は、たとえば一次元、二次元、または三次元アレイとして配置された、多数の単巻線を備える。繰り返しになるが、一つまたは複数の対象物は、それぞれの単巻線の受容空間内を通過させられることが可能であり、かつ/または単巻線は一つまたは複数の対象物に沿って移動させられることが可能である。
【0015】
一実施形態において、単巻コイル要素は、コイル要素内で対象物の同心円状の配置を可能にするように構成されている。これは、対象物に含まれる生体細胞が、細胞膜および/または細胞内膜に影響を及ぼすのに十分な強度の比較的均一な電磁場に曝されることを可能にするであろう。
【0016】
一実施形態において、単巻コイルは、細胞と単巻コイルとの間の接触を伴わずに、対象物内の生体細胞に影響を及ぼすように構成される。単巻コイルと処理すべき細胞との間の物理的接触の不存在は、電磁場を発生および印加するための電極を採用している装置の上述の欠点を回避する。
【0017】
一実施形態において、発電機は、少なくとも10kV/cmの単巻コイル要素内の電場強度を発生するように配置されたコンデンサを備える。細胞の細胞内膜に影響を及ぼすためには、少なくともこの値の電磁場強度が必要とされる。
【0018】
一実施形態において、単巻コイル要素の巻線は、その間にギャップを規定する2つの端子を備える。ギャップの幅は、主に電磁場のパターン、および単巻コイルによって規定される受容空間内に配置される対象物内の生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜に影響を及ぼす能力を決定する。
【0019】
一実施形態において、発電機は、電源、コンデンサ、およびスイッチング素子を備え、スイッチング素子は、単巻コイル要素内で短持続時間高電流を提供するように、第1段階でコンデンサを充電し、第2段階でコンデンサを放電するように構成されている。
【0020】
一実施形態において、スイッチング素子は、所定の放電電圧で絶縁破壊するように構成された、マルチギャップ火花ギャップスイッチ、好ましくは2ギャップ火花ギャップスイッチを備える。
【0021】
一実施形態において、電流立ち上がり時間は10ns以下、好ましくは6ns以下であり、電流の変化率(dI/dt)は少なくとも100A/ns、好ましくは少なくとも150A/nsであり、電流パルスの振幅は約500Aから2000Aであり、かつ/または単巻コイル要素を含む回路の自己インダクタンスは数10ナノヘンリーである。
【0022】
スイッチング素子は、所定の放電電圧で絶縁破壊するように構成された、マルチギャップ火花ギャップスイッチ、好ましくは2ギャップ火花ギャップスイッチによって形成されてもよい。回路は、自己インダクタンスが最小値に維持されるように、同軸状に構成されてもよい。これらの実施形態は、電磁場の比較的短い持続時間を実現することを可能にする。より具体的には、単巻コイル要素内の電流の立ち上がり時間は10ns以下、好ましくは6ns以下であることが可能である。さらに、電流の変化率(dI/dt)は少なくとも100A/ns、好ましくは少なくとも150A/nsであり、その結果、約500から2000Aの単巻コイル要素内の電流パルスの振幅を生じる。本発明の実施形態において、パルスの総持続時間は、約数100ナノ秒、好ましくは300ナノ秒である。
【0023】
一実施形態において、発電機は、少なくとも部分的に筐体内に配置され、所定の高圧値、好ましくは少なくとも8バールの圧力まで加圧される。回路は、回路の自己インダクタンスを低く維持するために、同軸状に構成され、可能な限り小さく維持される。装置のサイズ、より具体的には素子(たとえば複数火花ギャップスイッチ)間の相互距離を短くするために、発電機は少なくとも部分的に筐体内に配置されてもよい。筐体はその後、所定の高圧値、たとえば少なくとも8バールの圧力まで、加圧される。
【0024】
さらなる態様によれば、装置と生体細胞を含む対象物とのアセンブリであって、対象物は単巻コイル要素内に配置されているアセンブリが提供される。対象物は、細胞組織、または生体細胞を含有するいずれかの固形物であってもよい。別の実施形態において、対象物は、たとえ食料など、前記生体細胞を含む媒体を保持するためのホルダである。
【0025】
本発明の別の態様によれば、対象物内の生体細胞を処理する方法であって、
発電機に接続された単巻コイル要素の単巻線の内部に対象物を位置決めするステップと、
単巻コイル要素内で磁気誘導によって短持続時間パルス電磁場を発生するように、単巻コイル要素内に発電機を放電させるステップとを含み、電磁場強度が、対象物に含まれる生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜に影響を及ぼすのに十分なほど高く、好ましくは細胞膜および/または細胞内膜の透過性を増加するのに十分なほど高い方法が提供される。
【0026】
好ましくは方法は、生体細胞の細胞増殖比を増加すること、および/または生体細胞の代謝活性を増加させることに適している。有利なことには、生体細胞は、これらが含まれる媒体内に残留することができる。従来のエレクトロポレーションに適した別の媒体にこれらを移動させる必要はない。
【0027】
一実施形態において、方法は、対象物に含まれる生体細胞に影響を及ぼすため、好ましくは生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜の透過性を増加させるために、十分に高い、好ましくは少なくとも1kV/cmの単巻コイル要素内の電場強度を有する電場を対象物内に発生するステップを含む。
【0028】
一実施形態において、方法は、単巻コイル要素内に短持続時間高電流を提供するために、第1段階においてコンデンサを充電するステップ、および第2段階においてコンデンサを放電するステップを含む。
【0029】
さらなる実施形態において、方法は、生体細胞の細胞増殖比を増加するステップ、および/または生体細胞の代謝活性を増加するステップを含む。
【0030】
本発明の別の態様によれば、生体細胞にパルス電磁場を印加するステップを含む方法であって、電磁場が、対象物に含まれる生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜に影響を及ぼすのに、好ましくはこれらの透過性を増加するのに、十分に高い場の強度を有しており、細胞に場を印加する持続時間が最小処理時間と最大処理時間との間に維持され、処理時間が生体細胞の細胞増殖比を増加するように選択される方法が提供される。パルス電磁場は、先に述べられた単巻コイルのうちの一つまたは複数を使用して印加されてもよい。しかしながら、方法は、たとえば−ただしこれらに限定されないが−電極、平行板、アンテナ、または同様の電磁場発生装置を使用して、異なる方法で電磁場が印加される実施形態も包含する。
【0031】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、その好適な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。説明において、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態の一般的なレイアウトである。
【図2】単巻コイルの内部に配置された対象物を含む図の実施形態のより詳細な図である。
【図3】図1および図2の単巻コイルによって発生した電場の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態を使用して実行される実験のグラフである。
【図5】本発明の一実施形態を使用して実行される実験のグラフである。
【図6】処理後3日目におけるMC3T3細胞の数を示すグラフである。
【図7】処理後3日目および7日目におけるMC3T3細胞の代謝活性を示すグラフである。
【図8】生体細胞を含むホルダが配置されている受容空間を有する単巻コイルの一実施形態の概略透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
生体細胞をパルス電磁場に曝露することは、多くの用途において使用される。一般的方法は、電磁場を形成するために互いに対向して配置された、導電性材料を含む2個以上の電極を使用することである。生体細胞をパルス電磁場に曝露するための電極の使用例は、とりわけ、低温殺菌(PEF)、トランスフェクションおよびマイクロクランピング、アポトーシス誘導(nsPEF、sm/i−PEF、HISDEP、UPSET)用の装置に見出されることが可能である。
【0034】
一般的に、生体細胞は、強力な外部電磁場の短パルスに曝される。この強電磁場は、生体細胞を含む媒体内に配置された2つ以上の電極によって発生する。そしてパルス電磁場が媒体に印加される。印加された電磁場は、場の強度およびパルス形状(パルスの持続時間および峻度を含む)に応じて、生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜および/または構造に影響を及ぼす可能性があり、不可逆効果の可逆性を生じる可能性がある。本発明に関連して、細胞間および細胞内という用語は、置き換え可能に使用されてもよい。たとえば20V/cmなど、1センチメートル当たり数ボルトの低電磁場強度を細胞膜に印加することは、細胞膜内に電圧依存チャネルを開放させて、イオン濃度を変化させる可能性がある。イオン濃度におけるこの変化は、細胞ストレスを生じる可能性がある。たとえば1kV/cmなど、1センチメートル当たり数キロボルトの高電磁場強度を細胞膜に印加することは、細胞膜の透過性を増加させる可能性がある。細胞がこの透過性の増加から回復するのに(可逆性破壊)数秒から数時間を要するか、または細胞死(不可逆的破壊)が発生する可能性がある。外部電磁場の印加を含む処理は、細胞膜の透過性の一時的な増加を生じる可能性があり、これはトランスフェクションおよびマイクロクランピングに使用されてもよい。このような処理は恒久的な不可逆効果も生じる可能性があり、これはたとえば低温殺菌など、食料を加工するために使用されてもよい。
【0035】
電極の使用は、以下のいくつかの欠点:
電極が生体細胞を含む媒体と直接接触している必要があるので、侵襲的技術であること、
汚染のリスクを有すること、および
たとえば電気絶縁破壊の危険性を少なくとも減少させるために、対象物内の生体細胞の処理の前および/または後に、追加ステップを必要とすること、を有する。
【0036】
媒体内でパルス電磁場を発生することができるようにするために、媒体内に電極が配置されることになるので、媒体の生体細胞は、まず電極と接触した状態で処理されるべきであり、細胞処理が完了した後にのみ、対象物内に配置されることが可能、すなわち容器、カートン、パック(パッケージ)などに包装されることが可能である。これは、処理作用の有効性を著しく低下させる可能性がある。
【0037】
パルス電磁場を発生させるために電極を使用することの知られている欠点は、電極が時間とともに腐食する可能性があること、すなわち腐食した電極材料が最終的に、処理すべき媒体に達してしまう可能性があることである。電気化学反応もまた、電極またはその周辺において発生する可能性がある。このような反応は、望ましくない反応残留物を生じる可能性がある。媒体が、たとえば人によって消費される食料を含む場合、この汚染リスクは許容不可能な健康上のリスクを伴う可能性がある。
【0038】
電極を被覆または遮蔽することが、たとえば処理すべき生体細胞を含む媒体にわたって電磁場を弱めることになるので、上述の欠点を少なくとも軽減するために被覆または遮蔽することは、選択肢でない場合が多い。腐食の影響を低下させるために、貴金属が使用される場合がある。しかしながら、これはその他の欠点を軽減するものではない。
【0039】
さらに、電極の使用は、電極を含む特殊環境(たとえば、エレクトロポレーションキュベット)において一時的に細胞を交換するなど、追加ステップを要する場合が多い。必要とされる追加ステップの別の例は、電気絶縁破壊の危険性を少なくとも減少させるために、細胞を洗浄して、これらを無塩媒体に入れることである。処理の後、細胞は通常、その初期環境および/または媒体内に戻されなければならない。
【0040】
生体細胞は、真核生物および原核生物の2種類に分けることができる。2つの細胞型の間の重要な違いは、原核生物細胞には細胞核および細胞器官がないことである。これは、DNAが細胞内を自由に浮遊していることを意味する。いずれの細胞型も、細胞膜によって包まれており、DNA(たとえばリボソームおよびRNAを作るための指示を含んでいる)、細胞質、およびリボソームを含む。リボソームは、メッセンジャーRNA内に保持される鋳型にしたがって、タンパク質を形成する。細菌および古細菌は、原核生物型である。原核生物のサイズは、通常0.5μmから2μmの間である。動物、植物、および菌類は、真核生物型である。これらの細胞は、細胞核、遺伝物質を保持して細胞膜に包まれた細胞器官、およびやはり細胞膜によって隔てられたその他の細胞器官を有している。2つの重要な細胞器官は、小胞体およびミトコンドリアである。小胞体は、細胞内の送達を提供し、したがって、たとえば肝臓内の毒素を解毒することができる。ミトコンドリアは、実際には真核生物内に生存している細菌(原核生物)であって、自身と置き換えられるそれ自身のDNAを含んでいる。その機能は、栄養物を分解し、それによってエネルギーを生じることである。真核生物の細胞サイズは、通常は2μmから10μmの間である。
【0041】
細胞膜は、エレクトロポレーションにおいて主要な役割を果たすものであり、より詳細に説明される。先に述べられたように、全ての細胞は細胞膜によって包まれている。細胞膜は、細胞の内部を保護し、物質の通路を調整する。細胞膜の主要構造物は、脂質の二重層である。脂質可溶性物質、酸素、および二酸化炭素が、この層を通じて移動することができる。細胞膜は、水溶性物質、ブドウ糖、およびアミノ酸が通過するのを助けるその他のタンパク質も含む。これらのタンパク質チャネルのうちのいくつかは、細胞膜にかかる電圧に変化があったときに開放または閉鎖する。これらのチャネルは、電圧依存イオンチャネルと呼ばれる。そのため外部電場が印加されると、これらのタンパク質チャネルが開放され、イオン濃度に変化を生じる。
【0042】
真核生物については、細胞器官も細胞膜(細胞内膜)と境界を接する。細胞内膜は、また外部から印加される電磁場の影響を受ける可能性がある。
【0043】
先に述べられたように、エレクトロポレーションプロセスにおいて、細胞膜の透過性が増加する。エレクトロポレーションは、外部電磁場が生体細胞に印加されるときに生じる。たとえば細胞膜の充電時間に応じて、エレクトロポレーションは、細胞膜または細胞内膜のいずれかにおいて生じる。電磁場が高すぎず(細胞膜にかかる電圧が約1ボルトの臨界閾値となるように)、比較的短持続時間であるとき、細胞は自己回復することになる。エレクトロポレーションは、たとえば遺伝子移送および薬物送達に適用されることが可能である。より高い電磁場、細胞膜におけるより高い電圧、および/またはより長い持続時間にわたる印加は、細胞に不可逆的な損傷を生じ、最終的に細胞死を引き起こす可能性がある。
【0044】
通常、細胞膜に影響を及ぼすためには、少なくとも1ボルトの電圧が必要とされる。真核生物のサイズはおよそ10μmであるので、外部電場は、細胞膜にわたって約1kV/cm前後の大きさであるべきである。細胞の細胞内膜に影響を及ぼすために必要とされる細胞膜電圧は、細胞膜に影響を及ぼすために必要とされる電圧と同程度の大きさであることが見出されており、したがって約1Vである。しかしながら、細胞内構造の寸法は、細胞の大きさと比較して、およそ10分の1である。これは、電磁場強度が少なくとも約10kV/cmであるべきことを意味している。
【0045】
図1は、たとえば牛乳カートンの中の牛乳など、対象物内に存在する媒体の生体細胞に影響を及ぼすために必要とされるパルス電磁場を発生するための実施形態の回路図を示す。回路1は、電源2(たとえば電圧源)、抵抗器4、スイッチング素子5、および単巻コイル6、ならびに随意的に制動抵抗12を直列的に備える。電源2と並列に、コンデンサ3が配置されている。さらに、回路1の自己インダクタンスを示す素子8が示されている。抵抗器12は、単巻コイルを流れる電流の立ち上がり時間をさらに増加するために、随意的に追加されることが可能である。
【0046】
一実施形態において、スイッチング素子は、多数火花ギャップスイッチを備える。多数火花ギャップスイッチは、通常、複数のギャップによって分離されている導電電極の配置を備える。適切な電圧が供給されると、火花が形成され、電極間の媒体(たとえば空気)のイオン化を生じ、スイッチの電気抵抗を減少させることができる。すると、イオン化された気体の経路が遮断されるか、または電流が最小電流値未満に減少するまで、電流が流れる。
【0047】
図2を参照すると、単巻コイル6は、基本的に円形の巻線10を備える。単巻コイル6の軸方向11と平行に、たとえば巻線と同心に、処理すべき生体細胞を含む対象物(O)が、配置される。図3において力線16によって示されるように、本実施形態の単巻コイル6によって発生した電場が、回転場(力線14によって示される)と保存場(力線15によって示される)との重ね合わせと考えられてもよいことがわかる。図4より、電場は単巻コイル6のギャップ19の付近で特に強くなってもよい。
【0048】
図8は、本発明による単巻コイル6の一実施形態を示す。本実施形態において、単巻コイルは基本的に円筒形であり、より具体的には馬蹄形である。一箇所において、円筒の壁がギャップ19によって遮断されている。ギャップ19の両側において、コイル要素6は、多数火花ギャップスイッチのリード線の取付のための端子25および26を備える。
【0049】
コイル要素は、たとえばホルダまたは容器を空間24内に下方に移動させることによって、ホルダまたは容器23などの対象物が配置される、受容空間24を規定する。生体細胞を処理した後、生体細胞(または、より一般的には対象物)を含むホルダまたは容器22は、容器またはホルダを下方または上方に移動させることにより、受容空間から取り外されてもよい。全体の手順の間、容器またはホルダを単巻コイル6と接触させる必要はない。
【0050】
別の実施形態において、生体細胞は、管、チャネル、または受容空間内に延在している類似の通路の中に配置される。生体細胞は、通路に沿って送達される。送達中、これらは単巻コイル6によって発生した高電磁場に曝される。細胞の送達は、バッチのような方法で行われてもよいが、しかし一個または複数の連続した単巻コイル6に沿って細胞を連続的に流すことも、考えられる。
【0051】
動作中、電圧源2はコンデンサ3を充電し、多数火花ギャップスイッチ5の火花ギャップが発火するまで、電圧の立ち上がりを生じる。火花ギャップスイッチは、特定の電圧によって閉鎖するスイッチと見なされることも可能である。この電圧は、電極の相互距離(ギャップ)および電極間の媒体の圧力に依存している。より長い距離および/またはより高い(空気)圧力は、より高い絶縁破壊電圧を生じることになる。火花ギャップスイッチ5が発火すると、コンデンサ3が単巻コイル6の内部に放電し、パルス形状の電流信号をその内部で生成する。単巻コイル6内の電流は、対象物(O)内に非常に強力な電場を有する、短く強い磁場を発生する。
【0052】
回路配置の自己インダクタンス(通常は約50nHから150nH)は、回路を流れる電流の立ち上がり時間(およびしたがって対象物の内部に形成された電場の強度)に関係している。単巻コイル自体のインダクタンスは、たとえば1nHから5nH程度の大きさであり、かなり低い。
【0053】
単巻コイル6を流れる立ち上がり電流が、電場を発生する。電場の強度は、単巻コイル6を流れる電流の立ち上がり時間および振幅に、大きく依存する。回路を流れる電流の立ち上がり時間が10ns未満、好ましくは6ns未満であって、回路を流れる電流の振幅が1000Aより大きい場合、対象物(O)における電場強度は、10kV/cmよりも大きくなる可能性がある。この電場は、対象物(O)内に存在する細胞に影響を及ぼすのに十分なほど強力である。対象物が特定量の牛乳を保持する牛乳カートンである場合、印加される電場は、牛乳の低温殺菌が行われるような方法で、牛乳内の細胞に影響を及ぼすのに十分であろう。
【0054】
上記の特定の電流立ち上がり時間の電磁場を対象物の生体細胞に印加する効果を判定するために、一連の試験が実行された。試験は、一次マウス胚性繊維芽細胞に由来し、3T3プロトコルによって培養された、3T3細胞に対して実行された。3T3とは、「3日ごと移植、3×10個の細胞を接種」の略である。繊維芽細胞は、真核生物型の哺乳類細胞であり、結合組織の重要部分である。これらは結合組織の構造的な繊維および基質を形成し、創傷治癒における役割を果たす。3T3細胞は、培養された後、ウェルプレートに移植され、培養の2日から3日後に細胞が計数されて、試験されるためにエッペンドルフチューブに移植された。異なる処理時間の効果が判定される、いわゆる用量反応試験が実行された。使用された処理時間は、約400パルスから6000パルスの間に(特定の測定設定において)対応して、1分、2分、3分、4分、5分、10分、および15分であった。これらの試験の間、パルス源は、毎秒7パルスで、約1200Aのピーク電流および約6nsの立ち上がり時間で動作した。処理後、未処理および処理済みの両方の細胞が培養器に戻され、この培養の間、定期的に検査が行われた。
【0055】
0分(すなわち全く処理しない)から最大15分までの処理時間の後に、同じサンプルからの細胞の数が判定された。予想されたように、細胞の数は10分および15分の処理時間において減少を示した。しかしながら試験は、2分、4分、および5分の処理時間における細胞の数が、減少するよりむしろ驚くほど増加することも示した。
【0056】
明らかに、細胞はパルス電磁場によって影響を受けた。用量実験が行われ、NucleoCounterにより処理後毎日、細胞が計数された。NucleoCounterは、細胞核に結びつけられた蛍光信号を検出するシステムであり、そのようなものとして当業者に知られている。この計数ステップの結果は、図4および図5に示されている。
【0057】
図4は、0時間、24時間、および48時間の培養時間について、0分(すなわち対照サンプルにおいて全く処理しない)から15分までの処理時間に応じた細胞計数のグラフである。図5は、0分から15分の処理時間および72時間から144時間の培養時間の後の細胞計数を示す、類似の表示である。結果は、3分および4分の処理時間の後の細胞増殖の増加、ならびにおよそ10分および15分の処理時間で細胞増殖の減少を示している。結果的に、処理時間に応じて、細胞増殖に対する顕著な効果が観察された。約2から5分の処理時間では、細胞増殖は、対照サンプルと比較して増加するようであった。より長い処理時間では(すなわち10分から15分の処理時間)、対照サンプルと比較して減少した。
【0058】
装置が骨形成原細胞の増殖比に影響を与えることができるか否かを試験するために、我々はMC3T3−E1細胞に対する装置の試験を開始した。
【0059】
MC3T3 E−1細胞は、パルス持続時間がナノ秒であり周波数が7Hzである誘導パルス電磁場に数秒間曝露された。最適な増殖加速度を見つけるために、異なる処理時間が選択された。処理後に、これらは10,000個/cm(n=3)の密度でメッキされ、細胞の増殖比が細胞計数(n=3)によって測定され、代謝活性がAlamar Blue(n=3)を用いて測定された。
【0060】
3日目に、細胞の数が計測され、代謝活性が測定された。図6に示されるように、装置による処理を受けた細胞は、対照細胞(0分)と比較して、著しく高速で増殖した。これらの研究成果は、図7に表示されるように、細胞の代謝活性に関するデータによって裏付けられている。これらの活性は、3日目および7日目の後にいずれも処理済み細胞において著しく増加している。顕微鏡観察によって、処理済みおよび対照細胞は、同様の形態を示した(データ表示なし)。
【0061】
2つのさらなる細胞株であるヒーラ細胞およびヒトケラチノサイトが、これらもまた電磁場に曝された後に増強された細胞増殖を示すかどうかを調べるために、調査された。実際、これらの細胞も増強された増殖を示すことが見出された。以下の表は、対照と比較した増殖比に関する結果をまとめたものである。増殖比>1が増加増殖であることを示すのに対して、増殖比<1が減少増殖であることを示す。
【表1】

【0062】
増殖比は、曝露の数時間(たとえば24時間、48時間、72時間、144時間)後に、処理済みサンプルにおいて計測された細胞の数を未処理サンプル(対照群)において計測された細胞の数で除したものとして定義される。
【0063】
ケラチノサイトの代謝活性(Alamar Blueを通じて測定)が判定され、これもまた電磁場に曝された後の増加を示した。
【表2】

【0064】
代謝活性は、曝露後の3日目および7日目に、処理済みサンプルにおける細胞の代謝活性を未処理サンプル(対照群)における細胞の代謝活性で除したものとして定義される。
【0065】
本発明に関連して、増殖比の増加または代謝活性の増加とは、比較した処理済み細胞と未処理細胞との比が1より大きいことを意味する。これらの効果は全ての細胞型、特に哺乳類細胞型において一般的に見出されると考えられる。
【0066】
明らかに、増加した細胞増殖および増加した代謝活性は、細胞自体の大量生産、および特に、たとえばタンパク質、抗体などの生物活性化合物の生成のために細胞を使用するプロセスにおいて、有利である。
【0067】
したがって、本発明は、また、生体細胞を処理するための方法であり、生体細胞にパルス電磁場を印加するステップを含み、電磁場が、生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜に影響を及ぼすのに十分に高い場の強度を有しており、細胞に場を印加する持続時間が最小処理時間と最大処理時間との間に維持され、処理時間が生体細胞の細胞増殖比および/または代謝活性を増加するように選択される方法に関する。
【0068】
一実施形態において、生体細胞に影響を与えるための電場は、生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜の透過性を増加するのに十分なほど高い。
【0069】
一実施形態において、場の強度は、10ns未満、好ましくは6ns未満の電流立ち上がり時間によって生成され、電流パルスの振幅は、少なくとも900A、好ましくは約1000Aである。
【0070】
一実施形態において、電場強度が約5kV/cmから15kV/cmの間、好ましくは8kV/cmから12kV/cmの間、より好ましくは約10kV/cmであり、最小処理時間が、好ましくは約1分超であり、好ましくは約10分未満である。
【0071】
好ましくは、処理時間が約2分から約9分まで、あるいは約8分、または約7分、または約6分である。好ましくは処理時間が約2分から約5分までである。
【0072】
本発明は、その特定の実施形態を参照して説明されてきたが、本発明がこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明から逸脱することなく本明細書に記載されるシステムおよび方法に対する変更および修正がなされてもよいことが、理解されるであろう。請求される権利は、以下の請求項によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物内の生体細胞を処理するための装置であって、
単巻コイル要素と、
単巻コイル要素に接続された発電機であって、単巻線が基本的に対象物の周りに位置決めされるように構成されている発電機とを備え、
発電機が、単巻コイル要素内で磁気誘導により単巻コイル要素が短い持続時間のパルス電磁場を生成するように、単巻コイル要素内に放電するように構成されており、電磁場が、対象物が単巻コイル要素内に配置されている動作中に、対象物に含まれる生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜に影響を及ぼすのに、好ましくはこれらの透過性を増加するのに、十分に高い場の強度を有する、装置。
【請求項2】
電磁場が、対象物内の生体細胞に無電極的に印加される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
単巻コイル要素が、おおむね円形または楕円形の断面を有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
単巻コイル要素が基本的に円筒形であって、生体細胞を含む対象物が取り外し可能に配置され得るように大きさの受容空間を規定する、請求項1、2、または3に記載の装置。
【請求項5】
単巻コイル要素が、対象物が単巻線内を通過できるようにする大きさの受容空間を規定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
単巻コイル要素が、コイル要素内で対象物の同心円状の配置を可能にするように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
単巻コイルが、細胞と単巻コイルとの間の接触を伴わずに、対象物内の生体細胞に影響を及ぼすように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
発電機が、少なくとも10kV/cmの単巻コイル要素内の電場強度を発生するように配置されたコンデンサを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
単巻コイル要素の巻線が、その間にギャップを規定する2つの端子を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
発電機が電源、コンデンサ、およびスイッチング素子を備え、スイッチング素子が、単巻コイル要素内で短持続時間高電流を供給するように、第1段階でコンデンサを充電し、第2段階でコンデンサを放電するように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
スイッチング素子が、所定の放電電圧で絶縁破壊するように構成される、マルチギャップ火花ギャップスイッチ、好ましくは2ギャップ火花ギャップスイッチを備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
電流立ち上がり時間が10ns以下、好ましくは6ns以下であり、電流の変化率(dI/dt)が少なくとも100A/ns、好ましくは少なくとも150A/nsであり、電流パルスの振幅が約500Aから2000Aであり、かつ/または単巻コイル要素を含む回路の自己インダクタンスが数10ナノヘンリーである、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
発電機が、少なくとも部分的に筐体内に配置され、所定の高圧値、好ましくは少なくとも8バールの圧力まで加圧される、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の装置と生体細胞を含む対象物とのアセンブリであって、対象物が単巻コイル要素内に配置されており、対象物が好ましくは、たとえば食料など、前記生体細胞を含む媒体を保持するためのホルダである、アセンブリ。
【請求項15】
対象物内の生体細胞を処理する方法であって、
発電機に接続された単巻コイル要素の単巻線の内部に対象物を位置決めするステップと、
単巻コイル要素内で磁気誘導により短持続時間パルス電磁場を発生するために、単巻コイル要素内に発電機を放電させるステップとを含み、電磁場強度が、対象物に含まれる生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜に影響を及ぼすのに十分なほど高く、好ましくは細胞膜および/または細胞内膜の透過性を増加するのに十分なほど高い、方法。
【請求項16】
対象物に含まれる生体細胞に影響を及ぼすため、好ましくは生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜の透過性を増加させるために、十分に高い、好ましくは少なくとも1kV/cmの単巻コイル要素内の電場強度を有する電場を発生するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
単巻コイル要素内に短持続時間高電流を提供するために、第1段階においてコンデンサを充電するステップと、第2段階においてコンデンサを放電するステップとを含む、請求項15から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
生体細胞の細胞増殖比を増加するステップおよび/または、
生体細胞の代謝活性を増加するステップを含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
生体細胞を処理する方法、好ましくは請求項15から18のいずれか一項に記載の方法であって、生体細胞にパルス電磁場を印加するステップを含み、電磁場が、対象物に含まれる生体細胞の細胞膜および/または細胞内膜に影響を及ぼすのに、好ましくはこれらの透過性を増加するのに、十分に高い場の強度を有し、細胞に場を印加する持続時間が最小処理時間と最大処理時間との間に維持され、処理時間が生体細胞の細胞増殖比を増加するように選択される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−519483(P2012−519483A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552894(P2011−552894)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050106
【国際公開番号】WO2010/101461
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(510018753)テヒニーセ・ユニベルシタイト・エイントホーヘン (2)
【Fターム(参考)】